JP3874324B2 - 新規なジカルボン酸化合物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なジカルボン酸化合物に関し、更に詳しくは樹脂母材及び樹脂母材中に分散された有機低分子物質を主成分とし、温度による可逆的な透明度変化を利用して画像の形成及び消去を繰り返して行なうことのできる熱可逆記録材料に用いられる有機低分子物質として有用なジカルボン酸化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、長鎖構造を有する有機低分子物質が高分子/長鎖低分子分散型熱可逆記録媒体に用いられる材料として有用であることが知られている。
近年、一時的な画像表示が行なえ、不要となったときにはその画像の消去ができ、温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を有する熱可逆記録媒体が注目されている。その代表的なものとしては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の樹脂母材中に高級脂肪酸等の有機低分子物質を分散した熱可逆記録媒体が知られている(特開昭55−154198号)。しかし、従来の熱可逆記録媒体は、透光、透明性を示す温度範囲の幅が2〜4℃と狭い欠点があり、透光・透明性や遮光・白濁性を利用して画像を形成する際の温度制御に難があった。
【0003】
この点を考慮して、本発明者らは、特開平2−1363号公報、特開平3−2089号公報において、高級脂肪酸と脂肪族ジカルボン酸を混合して用いることにより、透明になる温度範囲を20℃前後まで広げ、画像を消去(透明化)することを容易にできることを明らかにした。また、消去性をさらに向上させるために高級脂肪酸より融点の低い高級ケトンや脂肪酸エステルと脂肪族ジカルボン酸や飽和脂肪族ビスアミドを混合して用い、透明化温度幅を広げることが提案されている(特開平4−366682号公報、特開平5−294062号公報、特開平6−255247号公報)。これらは、透明化温度の幅は広がり消去性は向上するものの、融点の低い材料を使用しているため透明化温度が低温になっており、真夏に車のダッシュボードの上に置いた場合等の高温環境下では形成された白濁画像が消えてしまうという欠点があった。
【0004】
脂肪族ジカルボン酸より大幅に融点の高い融点200℃程度の脂環式ジカルボン酸(特開平5−139053号公報、特開平6−48024号公報、特開平6−48025号公報)や、200℃近い融点を有するステロイド骨格を有する低分子物質(特開平8−20167号公報、特開平8−282131号公報)を、低融点の低分子物質と混合して用い、透明化温度を高温にシフトすることが提案されている。しかし、これらは、極端に高融点の有機低分子化合物を使ったにも拘らず、実質的には透明化温度の上限はあまり上がらなかった。そのため消去性を向上させるためには低融点の低分子物質を使わざるを得ず、前記の例と同様に画像の耐熱性は低いものであった。透明化の上限温度から白濁化の開始温度までの温度差が大きく、白濁画像を形成する際に、非常に大きなエネルギーを必要とするため、媒体の表面が傷ついたり、印字消去の繰り返しにより白濁度が低下しやすくなる等の、繰り返し耐久性に問題が生じるという欠点を有していた。さらに、白濁画像を形成するためのエネルギーが高くなると、電源電圧の制約からサーマルヘッドのパルス印加時間を長くする必要が生じ、記録速度が遅くなったり、エネルギーが高くなるとサーマルヘッドの寿命が短くなるなど、この媒体を使い記録消去する装置にも悪影響を及ぼす欠点があった。この場合に、白濁化の開始温度が非常に高い温度となるのは、必要以上に高い融点を持つ低分子物質を使っているためであると考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、消去温度幅が広く且つ高耐熱性且つ高感度の熱可逆記録媒体に用いられる有機低分子物質として有用なジカルボン酸化合物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の(1)「一般式(1)で示されるジカルボン酸化合物、
【化9】
(ただし、nは1〜11の整数であり、mは、
n=1のとき、m=10〜18
n=2のとき、m=9〜18
n=3のとき、m=8〜18
n=4のとき、m=7〜18
n=5のとき、m=6〜17
n=6のとき、m=5〜16
n=7のとき、m=4〜16
n=8のとき、m=4〜15
n=9のとき、m=4〜15
n=10のとき、m=4〜14
n=11のとき、m=4〜13の整数)」、
(2)「一般式(1)で示されるジカルボン酸化合物。
【化10】
(ただし、(m、n)=(10,1)、(8,3)、(10,3)、(12,3)、(8,5)、(10,5)、(12,5)、(4,11)、(8,11)、(10,11)、(12,11)、(6,5)、(18,3))」、
【0007】
(3)「一般式(2)で示されるジカルボン酸化合物。
【化11】
(ただし、n ' は2〜11の整数であり、m ' は、
n ' =2のとき、m ' =8〜12
n ' =3のとき、m ' =8〜12
n ' =4のとき、m ' =8〜12
n ' =5のとき、m ' =8〜12
n ' =6のとき、m ' =7〜12
n ' =7のとき、m ' =7〜11
n ' =8のとき、m ' =5〜10
n ' =9のとき、m ' =3〜9
n ' =10のとき、m ' =2〜8
n ' =11のとき、m ' =2〜7の整数)」、
(4)一般式(2)で示されるジカルボン酸化合物。
【化12】
n ' =2のとき、m ' =4〜5
n ' =3のとき、m ' =4〜6の整数)」、
(5)一般式(2)で示されるジカルボン酸化合物。
【化13】
(ただし、(m、n)=(2,5))」、
(6)一般式(2)で示されるジカルボン酸化合物。
【化14】
(ただし、(m、n)=(4,10)、(8,5)、(10,4)、(12,2)、(12,4)、(4,2)、(8,2)、(10,2)、(4,3)、(6,3)、(2,5)、(2,11)、(6,11))」、
【0008】
(7)下記式(1)で示されるジカルボン酸化合物を感熱層に含有する熱可逆記録媒体。
【化15】
(ただし、nは1〜11の整数であり、mは、
n=1のとき、m=10〜18
n=2のとき、m=9〜18
n=3のとき、m=8〜18
n=4のとき、m=7〜18
n=5のとき、m=4、6〜17
n=6のとき、m=5〜16
n=7のとき、m=4〜16
n=8のとき、m=4〜15
n=9のとき、m=4〜15
n=10のとき、m=4〜14
n=11のとき、m=4〜13の整数)」、
(8)下記式(2)で示されるジカルボン酸化合物を感熱層に含有する熱可逆記録媒体。
【化8】
(ただし、n ' は2〜11の整数であり、m ' は、
n ' =2のとき、m ' =8〜12
n ' =3のとき、m ' =8〜12
n ' =4のとき、m ' =8〜12
n ' =5のとき、m ' =8〜12
n ' =6のとき、m ' =7〜12
n ' =7のとき、m ' =6〜11
n ' =8のとき、m ' =5〜10
n ' =9のとき、m ' =3〜9
n ' =10のとき、m ' =2〜8
n ' =11のとき、m ' =2〜7の整数)」によって達成される。
【0009】
本発明の前記一般式(1)及び(2)で示されるジカルボン酸化合物は次のようにして製造される。
一般式(1)の化合物の製造方法
【0010】
【化5】
一般式(1)で示される分子内に2個のアミド基を有するカルボン酸系化合物は、二塩基酸(又はその誘導体)とアミノ酸(又はその誘導体)との縮合反応により合成される。
縮合反応の方法としては、二塩基酸のハロゲン化物をアルカリ性下、含水有機溶媒中でアミノ酸に作用させる、または、二塩基酸のハロゲン化物とアミノ酸エステル誘導体をアミン成分共存下、有機溶媒中で作用させる、更には二塩基酸とアミノ酸エステル誘導体に縮合剤を作用させる、等がある。
【0011】
まず、二塩基酸のハロゲン化物をアルカリ性下、含水有機溶媒中でアミノ酸に作用させることによる本発明のカルボン酸系化合物の合成方法について説明する。アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒と水の混合物にアミノ酸を溶解又は分散し、これに水酸化ナトリウム(又は水酸化カリウム)等を添加し、アルカリ性を保持しながら二塩基酸のハロゲン化物を滴下し、縮合反応を行なう。次いで、鉱酸水溶液で酸性とし、カルボン酸塩を酸型とし、濾過、水洗、乾燥後得られた粗結晶を有機溶媒による洗浄、再結晶等で精製することにより目的とする分子内に2個のアミド基を有するカルボン酸系化合物(一般式(1))が得られる。
上記反応で用いる二塩基酸のハロゲン化物はカルボン酸の活性化誘導体の一つで、その合成には多くの方法が知られている。一般的には二塩基酸又はその塩やエステル、酸無水物にハロゲン化剤を作用させることにより得られる。
【0012】
次に、二塩基酸のハロゲン化物とアミノ酸エステル誘導体をアミン成分共存下、有機溶媒中で作用させることによる合成方法について説明する。アミノ酸エステル塩をアセトン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ベンゼン等の有機溶媒に溶解または分散し、ここに冷却しながら二塩基酸のハロゲン化物を滴下し、縮合反応を行なう。この際、反応の結果生ずるハロゲン化水素を捕捉するためにアミン成分を添加する。次いで、有機溶媒を除去し、水洗後、エステル部分をけん化分解する。更に、鉱酸水溶液で酸性とし、カルボン酸塩を酸型とし、濾過、水洗、乾燥後得られた粗結晶を有機溶媒による洗浄、再結晶等で精製することにより目的とする分子内に2個のアミド基を有するカルボン酸系化合物(一般式(1))が得られる。
上記反応で用いるアミン成分としては第三級アミンが好ましい。
【0013】
更には、二塩基酸とアミノ酸エステル誘導体に縮合剤を作用させることによる合成方法について説明する。テトラヒドロフラン、ジクロロメタン等の有機溶媒に二塩基酸とアミノ酸エステル塩を溶解し、縮合剤を作用させる。次いで、反応物から有機溶媒を除去し、水洗後、エステル部分をけん化分解する。更に鉱酸水溶液で酸性とし、カルボン酸塩を酸型とし、濾過、水洗、乾燥後得られた粗結晶を有機溶媒による洗浄、再結晶等で精製することにより目的とする分子内に2個のアミド基を有するカルボン酸系化合物(一般式(1))が得られる。
【0014】
上記反応で用いる縮合剤としては、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド等のカルボジイミド系や、トリフェニルホスフィン等のリン酸系のもの等の一般的に知られているアミド結合や、ペプチド結合生成に用いられるものが使用できる。また、カルボジイミド系の縮合剤を用いるときの縮合助剤として、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール等を用いることもできる。
なお、本発明の分子内に2個のアミド基を有するカルボン酸系化合物(一般式(1))は、上記の合成方法に何ら限られるものではない。
【0015】
一般式(2)の化合物の製造方法
【0016】
【化6】
一般式(2)で示される分子内に2個のアミド基を有するカルボン酸系化合物は、α,ω−アルキルジアミンと二塩基酸モノエステル(又は二塩基酸モノエステルのハロゲン化物)との縮合反応により合成される。
縮合反応の方法としては、α,ω−アルキルジアミンと二塩基酸モノエステルに縮合剤を作用させる、または、α,ω−アルキルジアミンと二塩基酸モノエステルのハロゲン化物をアミン成分共存下、有機溶媒中で作用させる、等がある。
【0017】
まず、α,ω−アルキルジアミンと二塩基酸モノエステルに縮合剤を作用させることによる合成方法を説明する。テトラヒドロフラン、ジクロロメタン等の有機溶媒にα,ω−アルキルジアミンと二塩基酸モノエステルアミノ酸エステル塩を溶解し、縮合剤を作用させる。次いで、反応物から有機溶媒を除去し、水洗後、エステル部分をけん化分解する。更に鉱酸水溶液で酸性とし、カルボン酸塩を酸型とし、濾過、水洗、乾燥後得られた粗結晶を有機溶媒による洗浄、再結晶等で精製することにより目的とする分子内に2個のアミド基を有するカルボン酸系化合物(一般式(2))が得られる。なお、上記反応で使用できる縮合剤や縮合助剤は、前記の場合と同様である。
【0018】
また、α,ω−アルキルジアミンと二塩基酸モノエステルのハロゲン化物をアミン成分共存下、有機溶媒中で作用させることによる合成方法について説明する。α,ω−アルキルジアミンをアセトン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンベンゼン等の有機溶媒に溶解又は分散し、ここに冷却しながら二塩基酸モノエステルのハロゲン化物を滴下し、縮合反応を行なう。この際、反応の結果生ずるハロゲン化水素を捕捉するためにアミン成分を添加する。次いで、有機溶媒を除去し、水洗後、エステル部分をけん化分解する。更に鉱酸水溶液で酸性とし、カルボン酸塩を酸型とし、濾過、水洗、乾燥後得られた粗結晶を有機溶媒による洗浄、再結晶等で精製することにより目的とする分子内に2個のアミド基を有するカルボン酸系化合物(一般式(2))が得られる。
上記反応で用いるアミン成分としては第三級アミンが好ましい。同じく、上記反応で用いる二塩基酸モノエステルのハロゲン化物は、二塩基酸モノエステルハロゲン化剤を作用させることにより得られる。
なお、本発明の分子内に2個のアミド基を有するカルボン酸系化合物(一般式(2))についても、上記の合成方法に何ら限られるものではない。
【0019】
【実施例】
以下に本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。
実施例1
HOOC−CH2−NHCO−(CH2)10−CONH−CH2−COOH
2−(11−(N−(3−カルボキシメチル)カルバモイル)ウンデカノイルアミノ)酢酸の合成
アセトン水溶液0.6リットルに、グリシン25.2g、水酸化ナトリウム13.6gを加え、アルカリ性下、室温でドデカン二酸ジクロリド30.0gを滴下した。滴下後室温で3時間撹拌し、次いで、硫酸水溶液で酸性とし、60℃で1時間撹拌した。析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、エタノールから再結晶し、目的の化合物13.6gを得た。融点は198℃である。
元素分析(C16H28N2O6として)
【0020】
【表1】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図1に示す。1701cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1647cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3310-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0021】
実施例2
HOOC−(CH2)3−NHCO−(CH2)8−CONH−(CH2)3−COOH
4−(9−(N−(3−カルボキシプロピル)カルバモイル)ノナロイルアミノ)ブタン酸の合成
アセトン水溶液1.8リットルに、3−アミノブタン酸77.6g、水酸化ナトリウム30.6gを加え、アルカリ性下、室温でセバシン酸ジクロリド75.0gを滴下した。滴下後室温で2時間撹拌し、次いで、硫酸水溶液で酸性とし、60℃で1時間撹拌した。析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、エタノールから再結晶し、目的の化合物52.8gを得た。融点は148℃である。
元素分析(C18H32N2O6として)
【0022】
【表2】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図2に示す。1694cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1634cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3310-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0023】
実施例3
HOOC−(CH2)3−NHCO−(CH2)10−CONH−(CH2)3−COOH
4−(11−(N−(3−カルボキシプロピル)カルバモイル)ウンデカノイルアミノ)ブタン酸の合成
アセトン水溶液0.6リットルに、3−アミノブタン酸27.0g、水酸化ナトリウム10.6gを加え、アルカリ性下、室温でドデカン二酸ジクロリド25.0gを滴下した。滴下後室温で2時間撹拌し、次いで、硫酸水溶液で酸性とし、60℃で2時間撹拌した。析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、イソプロピルアルコールから再結晶し、目的の化合物18.1gを得た。融点は150℃である。
元素分析(C20H36N2O6として)
【0024】
【表3】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図3に示す。1696cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1634cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3312-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0025】
実施例4
HOOC−(CH2)3−NHCO−(CH2)12−CONH−(CH2)3−COOH
4−(13−(N−(3−カルボキシプロピル)カルバモイル)トリデカノイルアミノ)ブタン酸の合成
3−アミノブタン酸エチル・塩酸塩75.0g、ピリジン35.4g、テトラデカン二酸38.5g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール68.5gをテトラヒドロフラン0.5リットルに溶解し、次いで、室温下でジイソプロピルカルボジイミド56.5gを滴下した。滴下後還流下で3時間撹拌した後、この反応液に水酸化ナトリウム181.7gを溶解させた90%エタノール水溶液0.8リットルに加え、還流下4時間撹拌した。反応液を4N−塩酸で酸性とし、析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、ジメチルホルムアミドから再結晶し、目的の化合物31.3gを得た。融点は156℃である。
元素分析(C22H40N2O6として)
【0026】
【表4】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図4に示す。1696cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1634cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3312-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0027】
実施例5
HOOC−(CH2)5−NHCO−(CH2)8−CONH−(CH2)5−COOH
6−(9−(N−(5−カルボキシペンチル)カルバモイル)ノナノイルアミノ)ヘキサン酸の合成
メチルエチルケトン水溶液1.8リットルに、5−アミノカプロン酸82.8g、水酸化ナトリウム25.6gを加え、アルカリ性下、室温でセバシン酸ジクロリド54.0gを滴下した。滴下後室温で2時間撹拌し、次いで、硫酸水溶液で酸性とし、60℃で3時間撹拌した。析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、イソプロピルアルコールから再結晶し、目的の化合物33.0gを得た。融点は145℃である。
元素分析(C22H40N2O6として)
【0028】
【表5】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図5に示す。1701cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1638cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3308-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0029】
実施例6
HOOC−(CH2)5−NHCO−(CH2)10−CONH−(CH2)5−COOH
6−(11−(N−(5−カルボキシペンチル)カルバモイル)ウンデカノイルアミノ)ヘキサン酸の合成
5−アミノカプロン酸エチル・塩酸塩81.6g、ピリジン33.0g、ドデカン二酸32.0g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール63.9gをテトラヒドロフラン0.5リットルに溶解し、次いで、室温下でジイソプロピルカルボジイミド52.5gを滴下した。滴下後還流下で3時間撹拌した後、この反応液に水酸化ナトリウム169.3gを溶解させた90%エタノール水溶液0.8リットルに加え、還流下4時間撹拌した。反応液を4N−塩酸で酸性とし、析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、ジメチルホルムアミドから再結晶し、目的の化合物29.7gを得た。融点は144℃である。
元素分析(C24H44N2O6として)
【0030】
【表6】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図6に示す。1701cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1638cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3308-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0031】
実施例7
HOOC−(CH2)5−NHCO−(CH2)12−CONH−(CH2)5−COOH
6−(13−(N−(5−カルボキシペンチル)カルバモイル)トリデカノイルアミノ)ヘキサン酸の合成
テトラヒドロフラン水溶液1.8リットルに、5−アミノカプロン酸33.3g、水酸化ナトリウム10.3gを加え、アルカリ性下、室温でテトラデカン二酸ジクロリド26.7gを滴下した。滴下後室温で2時間撹拌し、次いで、硫酸水溶液で酸性とし、60℃で4時間撹拌した。析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、1−ブタノールから再結晶し、目的の化合物14.4gを得た。融点は145℃である。
元素分析(C26H48N2O6として)
【0032】
【表7】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図7に示す。1701cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1638cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3310-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0033】
実施例8
HOOC−(CH2)11−NHCO−(CH2)4−CONH−(CH2)11−COOH
12−(5−(N−(11−カルボキシウンデシル)カルバモイル)ペンタノイルアミノ)ドデカン酸の合成
アセトン水溶液0.8リットルに、12−アミノラウリン酸141.1g、水酸化ナトリウム25.0gを加え、アルカリ性下、室温でアジピン酸ジクロリド40.0gを滴下した。滴下後室温で4時間撹拌し、次いで、硫酸水溶液で酸性とし、60℃で4時間撹拌した。析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、ブタノールから再結晶し、目的の化合物48.1gを得た。融点は149℃である。
元素分析(C30H56N2O6として)
【0034】
【表8】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図8に示す。1701cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1636cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3304-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0035】
実施例9
HOOC−(CH2)11−NHCO−(CH2)8−CONH−(CH2)11−COOH
12−(9−(N−(11−カルボキシウンデシル)カルバモイル)ノナノイルアミノ)ドデカン酸の合成
テトラヒドロフラン0.5リットルに、12−アミノラウリン酸エチル・塩酸塩152.6g、セバシン酸ジクロリド15g、ピリジン31.9gを加え、還流下5時間撹拌した。次いで、溶媒を除去し得られた結晶を水洗、乾燥後、水酸化ナトリウム98.5gを溶解させた90%エタノール水溶液0.91リットルに加え、還流下5時間撹拌した。反応液を硫酸水溶液で酸性とし、析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、ジメチルホルムアミドから再結晶し、目的の化合物14.4gを得た。融点は144℃である。
元素分析(C34H54N2O6として)
【0036】
【表9】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図9に示す。1701cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1636cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3312-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0037】
実施例10
HOOC−(CH2)11−NHCO−(CH2)10−CONH−(CH2)11−COOH
12−(11−(N−(11−カルボキシウンデシル)カルバモイル)ウンデカノイルアミノ)ドデカン酸の合成
テトラヒドロフラン0.6リットルに、12−アミノラウリン酸エチル・塩酸塩60.0g、ドデカン二酸ジクロリド21.6g、ピリジン26.1gを加え、還流下5時間撹拌した。次いで、溶媒を除去し得られた結晶を水洗、乾燥後、水酸化ナトリウム36.6gを溶解させた90%エタノール水溶液0.9リットルに加え、還流下5時間撹拌した。反応液を硫酸水溶液で酸性とし、析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、ジメチルホルムアミドから再結晶し、目的の化合物22.5gを得た。融点は148℃である。
元素分析(C36H68N2O6として)
【0038】
【表10】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図10に示す。1701cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1636cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3312-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0039】
実施例11
HOOC−(CH2)11−NHCO−(CH2)12−CONH−(CH2)11−COOH
12−(13−(N−(11−カルボキシウンデシル)カルバモイル)トリデカノイルアミノ)ドデカン酸の合成
テトラヒドロフラン1.0リットルに、12−アミノラウリン酸エチル・塩酸塩45.0g、テトラデカン二酸ジクロリド19.5g、ピリジン19.8gを加え、還流下8時間撹拌した。次いで、溶媒を除去し得られた結晶を水洗、乾燥後、水酸化ナトリウム75.2gを溶解させた90%エタノール水溶液1.2リットルに加え、還流下5時間撹拌した。反応液を硫酸水溶液で酸性とし、析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、ジメチルホルムアミドから再結晶し、目的の化合物17.2gを得た。融点は145℃である。
元素分析(C38H72N2O6として)
【0040】
【表11】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図11に示す。1699cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1636cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3312-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0041】
参考例1
HOOC−(CH2)5−NHCO−(CH2)4−CONH−(CH2)5−COOH
6−(5−(N−(5−カルボキシペンチル)カルバモイル)ペンタノイルアミノ)ヘキサン酸の合成
アセトン水溶液0.5リットルに、6−アミノカプロン酸35.2g、水酸化ナトリウム8.8gを加え、アルカリ性下、室温でアジピン酸ジクロリド18.3gを滴下した。滴下後室温で3時間撹拌し、次いで、硫酸水溶液で酸性とし、60℃で3時間撹拌した。析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、ブタノールから再結晶し、目的の化合物8.9gを得た。融点は146℃である。
元素分析(C18H32N2O6として)
【0042】
【表12】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図12に示す。1701cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1638cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3304-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0043】
実施例12
HOOC−(CH2)5−NHCO−(CH2)6−CONH−(CH2)5−COOH
6−(7−(N−(5−カルボキシペンチル)カルバモイル)ペンタノイルアミノ)ヘキサン酸の合成
アセトン水溶液0.7リットルに、6−アミノカプロン酸33.6g、水酸化ナトリウム8.4gを加え、アルカリ性下、室温でスベリン酸ジクロリド21.1gを滴下した。滴下後室温で4時間撹拌し、次いで、硫酸水溶液で酸性とし、60℃で3時間撹拌した。析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、イソプロピルアルコールから再結晶し、目的の化合物7.6gを得た。融点は138℃である。
元素分析(C30H56N2O6として)
【0044】
【表13】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図13に示す。1701cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1638cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3306-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0045】
実施例13
HOOC−(CH2)3−NHCO−(CH2)18−CONH−(CH2)3−COOH
4−(19−(N−(3−カルボキシプロピル)カルバモイル)ノナデカノイルアミノ)ブタン酸の合成
テトラヒドロフラン1.0リットルに、4−アミノブタン酸エチル塩酸塩36.9g、エイコサン二酸ジクロリド37.9g、ピリジン33.2gを加え、還流下7時間撹拌した。次いで、溶媒を除去し得られた結晶を水洗、乾燥後、水酸化ナトリウム132.2gを溶解させた95%エタノール水溶液1.4リットルに加え、還流下6時間撹拌した。反応液を硫酸水溶液で酸性とし、析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、ジメチルホルムアミドから再結晶し、目的の化合物11.3gを得た。融点は151℃である。
元素分析(C38H72N2O6として)
【0046】
【表14】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図14に示す。1696cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1636cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3318-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0047】
実施例14
HOOC−(CH2)10−CONH−(CH2)4−NHCO−(CH2)10−COOH
11−(N−(4−(11−カルボキシウンデカノイルアミノ)ブチル)カルバモイル)ウンデカン酸の合成
テトラヒドロフラン0.3リットルに、1,4−ジアミノブタン6.0g、ドデカン二酸モノエチルクロリド45.1g、ピリジン12.9gを加え、還流下8時間撹拌した。次いで、溶媒を除去し得られた結晶を水洗、乾燥後、水酸化ナトリウム32.6gを溶解させた95%エタノール水溶液0.6リットルに加え、還流下4時間撹拌した。反応液を硫酸水溶液で酸性とし、析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、ジメチルホルムアミドから再結晶し、目的の化合物13.6gを得た。融点は168℃である。
元素分析(C28H52N2O6として)
【0048】
【表15】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図15に示す。1699cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1638cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3304-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0049】
参考例2
HOOC−(CH2)7−CONH−(CH2)6−NHCO−(CH2)7−COOH
8−(N−(6−(8−カルボキシオクタノイルアミノ)ヘキシル)カルバモイル)オクタン酸の合成
1,6−ジアミノヘキサン9.0g、アゼライン酸モノメチル42.5g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール5.2gをテトラヒドロフラン0.45リットルに溶解し、次いで、室温下でジイソプロピルカルボジイミド21.5gを滴下した。滴下後還流下で6時間撹拌した後、この反応液に水酸化ナトリウム49.7gを溶解させた90%エタノール水溶液0.7リットルに加え、還流下3時間撹拌した。反応液を4N−塩酸で酸性とし、析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、ジメチルホルムアミドから再結晶し、目的の化合物9.6gを得た。融点は164℃である。
元素分析(C24H44N2O6として)
【0050】
【表16】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図16に示す。1699cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1638cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3308-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0051】
実施例15
HOOC−(CH2)5−CONH−(CH2)8−NHCO−(CH2)5−COOH
6−(N−(8−(6−カルボキシヘキサノイルアミノ)オクチル)カルバモイル)ヘキサン酸の合成
1,8−ジアミノオクタン15.0g、ピメリン酸モノエチル43.2g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール9.9gをテトラヒドロフラン0.6リットルに溶解し、次いで、室温下でジイソプロピルカルボジイミド31.5gを滴下した。滴下後還流下で6時間撹拌した後、この反応液に水酸化ナトリウム83.4gを溶解させた95%エタノール水溶液0.7リットルに加え、還流下4時間撹拌した。反応液を4N−塩酸で酸性とし、析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、イソプロピルアルコールから再結晶し、目的の化合物13.5gを得た。融点は143℃である。
元素分析(C22H40N2O6として)
【0052】
【表17】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図17に示す。1701cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1638cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3310-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0053】
実施例16
HOOC−(CH2)4−CONH−(CH2)10−NHCO−(CH2)4−COOH
5−(N−(10−(5−カルボキシペンタノイルアミノ)デシル)カルバモイル)ペンタン酸の合成
アジピン酸モノエチルエステル10.0g、1,10−ジアミノデカン48.8g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール35.8gをテトラヒドロフラン1.2リットルに溶解し、次いで室温下でジイソプロピルカルボジイミド29.4gを滴下した。滴下後還流下で5時間撹拌した後、この反応液に水酸化ナトリウム113.7gを溶解させた90%エタノール水溶液1.5リットルを加え、還流下4時間撹拌した。反応液を4N−塩酸で酸性とし、析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、ジメチルホルムアミドから再結晶し、目的の化合物16.4gを得た。融点は159℃である。
元素分析(C22H40N2O6として)
【0054】
【表18】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図18に示す。1696cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1636cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3308-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0055】
実施例17
HOOC−(CH2)2−CONH−(CH2)12−NHCO−(CH2)2−COOH
3−(N−(12−(3−カルボキシプロパノイルアミノ)ドデシル)カルバモイル)プロパン酸の合成
1,12−ジアミノドデカン12.0g、コハク酸モノエチル17.5g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール16.2gをメチルエチルケトン0.3リットルに溶解し、次いで室温下でジイソプロピルカルボジイミド16.6gを滴下した。滴下後還流下で6時間撹拌した後、この反応液に水酸化ナトリウム48.0gを溶解させた95%エタノール水溶液0.8リットルに加え、還流下3時間撹拌した。反応液を4N−塩酸で酸性とし、析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、エタノールから再結晶し、目的の化合物7.0gを得た。融点は181℃である。
元素分析(C20H36N2O6として)
【0056】
【表19】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図19に示す。1696cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1642cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3318-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0057】
実施例18
HOOC−(CH2)4−CONH−(CH2)12−NHCO−(CH2)4−COOH
5−(N−(12−(5−カルボキシペンタノイルアミノ)ドデシル)カルバモイル)ペンタン酸の合成
テトラヒドロフラン0.5リットルに、1,12−ジアミノドデカン15.0g、アジピン酸モノエチルクロリド34.7g、ピリジン14.2gを加え、還流下6時間撹拌した。次いで、溶媒を除去し得られた結晶を水洗、乾燥後、水酸化ナトリウム50.0gを溶解させた95%エタノール水溶液0.7リットルに加え、還流下4時間撹拌した。反応液を硫酸水溶液で酸性とし、析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、ジメチルホルムアミドから再結晶し、目的の化合物11.3gを得た。融点は158℃である。
元素分析(C24H44N2O6として)
【0058】
【表20】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図20に示す。1696cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1634cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3310-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0059】
実施例19
HOOC−(CH2)2−NHCO−(CH2)4−CONH−(CH2)2−COOH
3−(5−(N−(2−カルボキシエチル)カルバモイル)ペンタノイルアミノ)プロパン酸の合成
アセトン水溶液0.6リットルに、β−アラニン25.0g、水酸化ナトリウム11.4gを加え、アルカリ性下、室温でアジピン酸ジクロリド22.1gを滴下した。滴下後室温で3時間撹拌し、次いで硫酸水溶液で酸性とし、60℃で1時間撹拌した。析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、イソプロピルアルコールから再結晶し、目的の化合物14.2gを得た。融点は197℃である。
元素分析(C12H20N2O6として)
【0060】
【表21】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図21に示す。1698cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1640cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3303-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0061】
実施例20
HOOC−(CH2)2−NHCO−(CH2)8−CONH−(CH2)2−COOH
3−(9−(N−(2−カルボキシエチル)カルバモイル)ノナロイルアミノ)プロパン酸の合成
アセトン水溶液0.8リットルに、β−アラニン24.5g、水酸化ナトリウム11.2gを加え、アルカリ性下、室温でセバシン酸ジクロリド27.4gを滴下した。滴下後室温で4時間撹拌し、次いで硫酸水溶液で酸性とし、60℃で1時間撹拌した。析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、イソプロピルアルコールから再結晶し、目的の化合物17.2gを得た。融点は189℃である。
元素分析(C16H28N2O6として)
【0062】
【表22】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図22に示す。1696cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1638cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3303-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0063】
実施例21
HOOC−(CH2)2−NHCO−(CH2)10−CONH−(CH2)2−COOH
3−(11−(N−(2−カルボキシエチル)カルバモイル)ウンデカノイルアミノ)プロパン酸の合成
β−アラニンエチルエステル・塩酸塩50.0g、ピリジン25.7g、ドデカン二酸26.8g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール44.0gをテトラヒドロフラン0.5リットルに溶解し、次いで室温下でジイソプロピルカルボジイミド41.1gを滴下した。滴下後還流下で3時間撹拌した後、この反応液に水酸化ナトリウム132.2gを溶解させた90%エタノール水溶液2.8リットルを加え、還流下4時間撹拌した。反応液を4N−塩酸で酸性とし、析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、ジメチルホルムアミドから再結晶し、目的の化合物16.9gを得た。融点は187℃である。
元素分析(C18H32N2O6として)
【0064】
【表23】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図23に示す。1696cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1638cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3303-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0065】
実施例22
HOOC−(CH2)3−NHCO−(CH2)4−CONH−(CH2)3−COOH
4−(5−(N−(3−カルボキシプロピル)カルバモイル)ペンタノイルアミノ)ブタン酸の合成
アセトン水溶液0.5リットルに、4−アミノブタン酸25.0g、水酸化ナトリウム9.0gを加え、アルカリ性下、室温でアジピン酸ジクロリド24.2gを滴下した。滴下後室温で2時間撹拌し、次いで硫酸水溶液で酸性とし、60℃で1時間撹拌した。析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、イソプロピルアルコールから再結晶し、目的の化合物13.1gを得た。融点は139℃である。
元素分析(C14H24N2O6として)
【0066】
【表24】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図24に示す。1694cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1634cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3308-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0067】
実施例23
HOOC−(CH2)3−NHCO−(CH2)6−CONH−(CH2)3−COOH
4−(7−(N−(3−カルボキシプロピル)カルバモイル)ヘプタノイルアミノ)ブタン酸の合成
メチルエチルケトン水溶液0.6リットルに、4−アミノブタン酸27.0g、水酸化ナトリウム10.6gを加え、アルカリ性下、室温でスベリン酸ジクロリド23.0gを滴下した。滴下後室温で2時間撹拌し、次いで硫酸水溶液で酸性とし、60℃で3時間撹拌した。析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、1−ブタノールから再結晶し、目的の化合物16.6gを得た。融点は144℃である。
元素分析(C16H28N2O6として)
【0068】
【表25】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図25に示す。1694cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1634cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3310-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0069】
実施例24
HOOC−(CH2)5−NHCO−(CH2)2−CONH−(CH2)5−COOH
6−(3−(N−(5−カルボキシペンチル)カルバモイル)プロパノイルアミノ)ヘキサン酸の合成
メチルエチルケトン水溶液0.7リットルに、5−アミノカプロン酸26.0g、水酸化ナトリウム8.0gを加え、アルカリ性下、室温でコハク酸ジクロリド12.8gを滴下した。滴下後室温で2時間撹拌し、次いで硫酸水溶液で酸性とし、60℃で3時間撹拌した。析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、イソプロピルアルコールから再結晶し、目的の化合物9.5gを得た。融点は168℃である。
元素分析(C16H28N2O6として)
【0070】
【表26】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図26示す。1703cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1628cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3357-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0071】
実施例25
HOOC−(CH2)11−NHCO−(CH2)2−CONH−(CH2)11−COOH
12−(3−(N−(11−カルボキシウンデシル)カルバモイル)プロパノイルアミノ)ドデカン酸の合成
テトラヒドロフラン水溶液1.0リットルに、12−アミノラウリン酸29.0g、水酸化ナトリウム5.4gを加え、アルカリ性下、室温でコハク酸ジクロリド7.4gを滴下した。滴下後室温で2時間撹拌し、次いで硫酸水溶液で酸性とし、60℃で4時間撹拌した。析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、1−ブタノールから再結晶し、目的の化合物8.9gを得た。融点は144℃である。
元素分析(C28H52N2O6として)
【0072】
【表27】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図27示す。1701cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1632cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3310-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0073】
実施例26
HOOC−(CH2)11−NHCO−(CH2)6−CONH−(CH2)11−COOH
12−(7−(N−(11−カルボキシウンデシル)カルバモイル)ヘプタノイルアミノ)ドデカン酸の合成
テトラヒドロフラン水溶液0.8リットルに、12−アミノラウリン酸エチル・塩酸塩99.4g、セスベリン酸ジクロリド25.0g、ピリジン46.8gを加え、還流下5時間撹拌した。次いで、溶媒を除去し得られた結晶を水洗、乾燥後、水酸化ナトリウム120.2gを溶解させ、90%エタノール水溶液2.4リットルに加え、還流下5時間撹拌した。反応液を硫酸水溶液で酸性とし、析出した結晶を瀘別、水洗、乾燥後、ジメチルホルムアミドから再結晶し、目的の化合物14.4gを得た。融点は135℃である。
元素分析(C32H60N2O6として)
【0074】
【表28】
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図28示す。1701cm-1にカルボン酸のC=O伸縮振動、1634cm-1に第二アミドのC=O伸縮振動、3312-1に第二アミドのN−H伸縮振動に基づく吸収が認められた。
【0075】
使用例1
有機低分子物質として実施例6の6−(11−(N−(5−カルボキシペンチル)カルバモイル)ウンデカノイルアミノ)ヘキサン酸1.2部とベヘン酸(SIGMA社製、純度99%)7部とエイコサン二酸(岡村製油社製、SL−20−90)1.8部と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(ユニオンカーバイト社製、VYHH)38部をジメチルホルムアミド230部中に均一に溶解し、得られた溶液を約50μm厚の透明なポリエステルフィルム(東レ、ルミラーT−60)上にワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥して約12μm厚の感熱層を設けた。その上に、
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂の75%酢ブチル溶液
(大日本インキ化学工業社製、ユニディック C7−157) 10部
イソプロピルアルコール 10部
よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥後、80w/cmの高圧水銀灯で紫外線を照射し、硬化させ、約3μm厚のオーバーコート層を設け、熱可逆記録媒体を作成した。
【0076】
次に、こうして得られた熱可逆記録媒体を熱傾斜試験器(東洋精機社製、HG−100)を用い、加熱時間1秒、圧力約2.5kg/cm2とし、5秒間隔で温度を変え加熱した。その結果、透明化温度は84℃〜141℃となり透明化温度幅は57℃であった。また、白濁画像を形成した媒体を70℃に設定した高温槽中に24時間放置したが、画像にはほとんど影響がなかった。さらに、沖電気製リーダライタRC−30/M20を用い、白濁化する印字エネルギーを調べたところ、最適印字エネルギーは0.30mj/dotであった。このように本発明のジカルボン酸化合物を用いた熱可逆記録媒体は消去(透明化)温度幅が広く、高耐熱性かつ高感度であることがわかる。
【0077】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明から明らかなように、本発明のジカルボン酸化合物は、高消去性、高耐熱性且つ高感度の熱可逆記録媒体に用いられる有機低分子物質として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例1)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図2】本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例2)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図3】本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例3)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図4】本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例4)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図5】本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例5)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図6】本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例6)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図7】本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例7)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図8】本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例8)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図9】本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例9)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図10】本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例10)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図11】本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例11)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図12】 本発明に係るジカルボン酸化合物(参考例1)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図13】 本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例12)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図14】 本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例13)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図15】 本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例14)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図16】 本発明に係るジカルボン酸化合物(参考例2)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図17】 本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例15)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図18】 本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例16)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図19】 本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例17)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図20】 本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例18)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図21】 本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例19)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図22】 本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例20)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図23】 本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例21)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図24】 本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例22)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図25】 本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例23)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図26】 本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例24)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図27】 本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例25)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図28】 本発明に係るジカルボン酸化合物(実施例26)の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
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