JP3873576B2 - 抗原結合固相の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、HCV(C型肝炎ウイルス)抗原に対する抗体の免疫測定および検出方法に使用するための抗原結合固相の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
抗HCV抗体の検出測定方法としては、従来よりHCV由来の種々の抗原、例えば、コア、NS3、NS4およびNS5等の抗原結合固相を使用した免疫測定法が広く使用されてきた。これらの方法においては、適当な緩衝液中の抗原を固相に接触させることによって抗原を固相に固定するか、または共有結合的に抗原を固相に固定することが行なわれてきた。このような場合、エピトープの露出が十分でないために検出感度が十分でなかったり、あるいは陽性反応と陰性反応との差が不明瞭である等の問題が指摘されていた。また、共有結合的に固相に結合する場合には抗原活性が失われる等の問題も生じていた。
一方、抗HCV抗体に関連しては、第1世代検出法から改良が進み、第3世代に至る過程で、HCV感染においてNS3抗原の重要性が次第に明らかになってきた。すなわち、HCV感染におけるセロコンバージョンパネルを用いてセロコンバージョンの過程を調べると、抗原によって種々の反応パターンを示すことが明らかになった。その中で、HCVの感染初期においてはHCVの非構造領域の一つであるNS3領域に対する抗体が特に強く誘導されることが明らかとなった。
従って、HCV感染診断のための、抗HCV抗体に対する感度の高い測定系、特に、早期診断を目的として、抗NS3抗体に対する感度の高い測定系、および、そのような測定系を組むために使用し得る抗原結合固相が強く望まれていた。また、HCV感染の有無の診断方法が普及するに従って、更なる診断を行なうべき対象を不必要に増加させないため、陽性反応と陰性反応を的確に区別することが更に重要になってきており、そのような目的に使用し得る抗原結合固相が強く望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、HCV抗原に対する抗体、すなわち抗HCV抗体を高感度に検出し得る、および/または陽性反応と陰性反応の比(P/N比)の高い抗HCV抗体測定系に使用し得るHCV抗原結合固相を提供することである。
特に本発明の目的は、リコンビナントHCV抗原に対する抗体を高感度に検出し得る、および/または陽性反応と陰性反応の比(P/N比)の高い抗リコンビナントHCV抗体の測定系に使用し得るHCV抗原結合固相を提供することである。
本発明のさらなる目的は、リコンビナントHCV NS3領域に対する抗体を高感度に検出し得る、および/またはリコンビナントHCV NS3領域に対する抗体に関してP/N比の高い測定系のためのHCV抗原結合固相を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の抗原結合固相の製造方法は、抗原、固相、および疎水性炭化水素鎖として炭素数8〜17個のアルキル基またはアルケニル基を有し、親水性原子団として6〜25個のポリオキシエチレン基を有する非イオン性界面活性剤を約0.05%〜約2.0%(v/v)の濃度で接触させることを特徴とする方法である。
更に、本発明の別の方法は、固相へ抗原を結合するに先立って、その抗原と前述した数のアルキル基またはアルケニル基、およびポリオキシエチレン基を有する非イオン性界面活性剤とを混合し、約3時間〜約42時間プレインキュベーションすることによって抗原を処理することを含む方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の抗原結合固相の製造方法に使用し得る非イオン性界面活性剤は、抗原分子の3次構造を変化させ得るものであれば特定のものに限定されない。また、本発明の方法に使用する界面活性剤は直鎖状であっても、分枝状であってもよい。直鎖状の非イオン性界面活性剤を使用する場合は、疎水性炭化水素鎖部分の長さが好ましくは炭素数8〜17個、より好ましくは8〜12個であり、特にアルキル基またはアルケニル基を含むことが好ましく、また、親水性原子団としては好ましくは6〜25個、より好ましくは6〜20個、特に好ましくは6〜10個のポリオキシエチレン基を有する非イオン性界面活性剤が使用される。分枝構造を有する界面活性剤を使用する場合は、分枝あたりの疎水性炭化水素鎖部分の炭素の総数が8個〜17個が好ましく、分枝あたりのポリオキシエチレン基の総数が、好ましくは6個〜25個、より好ましくは6個〜20個、特に好ましくは6個〜10個である界面活性剤が使用される。具体的には、本発明の方法において、ポリオキシエチレン(20)モノラウリン酸ソルビタン(Tween20)、ポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸ソルビタン(Tween80)、ポリオキシエチレン(10)p-オクチルフェニルエーテル(TritonN-101)、ポリオキシエチレン(10)p-t-オクチルフェニルエーテル(Triton X-100)、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(Brij56)等を使用することができ、Tween80、Triton N-101、Triton X-100、Brij56が好ましく、Tween80、Triton X-100、Brij56が特に好ましい。
【0006】
本発明の方法に使用し得る非イオン性界面活性剤の濃度は、好ましくは約0.05〜約2.0%(v/v)、より好ましくは約0.1〜約2.0%(v/v)、特に好ましくは約0.5〜約1.5%(v/v)である。本発明の方法において、単一種類の界面活性剤を使用してもよいが、2種以上の界面活性剤を使用することが好ましい。1種の界面活性剤を使用する場合は、直鎖構造を有するものが好ましい。2種以上の界面活性剤を使用する場合は、ソルビタン構造を有する非イオン性界面活性剤と直鎖構造を有する界面活性剤を組み合わせることが好ましく、総量が上述した濃度になるように使用される。例えば、Tween20、Tween80とBrij56またはTriton X-100の組み合わせが特に高い効果を示す。本発明において、界面活性剤は、固相への結合工程において添加してもよく、予め抗原と界面活性剤を混合し、一定時間のプレインキュベーションの後に固相へ結合させてもよい。界面活性剤による抗原の構造変化を十分行なうためにプレインキュベーションを行なうのが好ましい。
【0007】
プレインキュベーションを行なわない場合であっても、本発明の方法によって作製した固相を用いた場合は抗HCV抗体に対する検出感度、とりわけ抗NS3抗体の検出感度が高く、P/N比(陽性反応反応測定値/陰性反応測定値)が高いが、プレインキュベーションを行なうことにより、HCVの他の領域に対する抗体の検出感度に比較して、特にNS3領域に対する抗体の検出感度が向上する。
プレインキュベーションの時間は界面活性剤による抗原の構造変化が起こるに十分な時間であればよく、かつ、タンパク質の変性や分解のおそれが無い限り長期間にわたってもよいが、好ましくは約3時間〜約42時間、より好ましくは約3時間〜約24時間である。特にHCV抗原のNS3領域に対する反応性とコア領域と対する反応性の比を更に増大させたい場合は、測定の迅速性も考慮すると約18時間〜約24時間のプレインキュベーションを行なうのが最も好ましい。プレインキュベーション、および固相への結合反応の際の処理温度は、通常使用する温度でよいが、抗原分子のフレキシビリティを考慮すればあまり高温でないことが好ましく、一般には約15℃〜約37℃、好ましくは20℃〜37℃、更に好ましくは25℃±3℃である。しかしながら、必要に応じて、より低温で処理することもできる。
【0008】
本発明の方法における抗原としては、HCV由来の抗原、例えば、HCVコア領域、非構造領域NS3、NS4、NS5を含む抗原が使用し得るが、NS3領域を含む抗原が特に好ましい。これらは単独であっても、2以上が結合していてもよい。本発明に使用するHCV抗原は、天然起源、あるいはリコンビナント抗原の部分精製または未精製品であってよいが、リコンビナント抗原が好ましく、更に精製した抗原がより好ましく、精製リコンビナント抗原が特に好ましい。なぜならば、リコンビナント抗原は一般に抗体によって認識されるエプトープ部分が露出されておらずそのまま固相に結合したのでは抗体に認識されにくい場合が多いのに対し、本発明の方法によって抗原結合固相を作製した場合にはそのエピトープが露出された形態で抗原が固相に結合するため、特に著しい感度およびP/N比の上昇が得られるからである。そのような理由で、最も好ましいのはNS3領域を含むリコンビナントHCV抗原である。このような抗原結合固相を作製する場合に、使用する抗原は好ましくない反応を避けるため精製されたものが好ましいことはいうまでもない。そのような抗原として、例えばリコンビナントHCV c25抗原が商業的に入手可能である。この抗原はHCVのコア領域、および非構造領域NS3、NS4を含む融合ペプチド抗原である。
【0009】
本発明に使用する固相としては、ポリスチレン、ポリエチレン、セファロース等が使用でき、その物理的形状は本質的でない。使用する固相は、その表面への抗原の固定化が容易で、測定中に形成される免疫複合体と未反応のサンプル成分を容易に分離できるものであることが好ましい。特に、通常の免疫測定法に使用されるプラスチックプレートや磁性粒子が好ましい。取り扱い、保存、および分離の容易性等の観点から、前述のような材質の磁性粒子を使用することが最も好ましい。これらの固相への抗原の結合は当業者によく知られた方法によって行なうことができる。例えば、抗原結合磁性粒子は以下のように調製することができる:20mMリン酸緩衝液(pH7.0)に非イオン性界面活性剤を添加し、次に磁性粒子約1mgに感作液を0.5ml程度添加して分散した粒子懸濁液に、HCV抗原を適当量加え、25℃にて1時間程度撹拌する。反応後、磁性粒子を磁力で集め、粒子を0.4%塩化ナトリウム水溶液にて洗浄すれば抗原結合粒子を得ることができる。使用する緩衝液の組成は抗原の固相に使用される一般的なものでよく、pHは抗原が安定に存在し、固相への固定化を阻害しない範囲であればよい。より具体的には、中性〜アルカリ側のpHを有するリン酸緩衝液、トリス-HCl緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水などが使用される。pHは一般には中性〜アルカリ性領域が使用され、中性〜弱アルカリ性がより好ましく、より具体的にはpH約7.0〜約8.5、特にpH7.0〜8.0の範囲が好ましい。
このような抗原結合固相は通常の免疫測定法に使用することができる。例えば、ヒトについて抗HCV抗体を測定する場合には、検体または希釈した検体を本発明の方法によって作製したHCV抗原結合固相と接触させ、第1の免疫複合体を形成させた後、固相を洗浄し、続いて、標識抗ヒトIgG抗体をこの免疫複合体と接触させ、生じた第2の免疫複合体を検出することによって、検体中の抗HCV抗体を検出することができる。このような目的に使用し得る標識抗ヒトIgG抗体はおよび検出方法は当業者に良く知られたものであり、そのような抗体は商業的に入手することも自家調製することもできる。
【0010】
【実施例】
以下の実施例において、「従来法」とは、界面活性剤を使用しない抗原結合固相作製方法をいう。
[実施例1]
1. リコンビナントHCV c25抗原結合粒子の作製
従来法感作液として、20mMリン酸緩衝液(pH7.0)を、感作液としてポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(Triton X-100)を0.1%(v/v)添加した20mMリン酸緩衝液(pH7.0)を調製した。
磁性フェライト粒子(日本ペイント社製)1mgに感作液を0.5ml添加して分散した粒子懸濁液に、リコンビナントHCV c25抗原(カイロン社製) 35.7ugを加え、25℃1時間撹拌した。反応後、フェライト粒子を磁力で集め、粒子を0.4%塩化ナトリウム水溶液にて洗浄しリコンビナントHCV c25抗原結合粒子を得た。
リコンビナントHCV c25抗原結合粒子は、使用時に牛血清アルブミンおよび鉄処理健康家兎血清を含有する50mMトリス緩衝液(pH7.2)で0.01%(w/v)に懸濁し、粒子液として測定に使用した。
【0011】
2. 測定方法
1.で作製した粒子液250μlに検体希釈液(トリス-塩酸緩衝液、pH7.2)で1:10に希釈した測定対象検体20μlを混合し、撹拌後37℃10分間反応させた。磁力により磁性粒子から反応残液を分離除去し、洗浄液(トリス-塩酸緩衝液)にて洗浄した。洗浄後の粒子に次いで0.2μg/mlアルカリフォスファターゼ標識抗ヒトIgG抗体溶液250μlを添加し、撹拌後37℃にて10分間反応させた。再度磁力により磁性粒子と反応残液を分離除去し、洗浄液にて洗浄した。この粒子にアルカリフォスファターゼの化学発光基質である3-(2'-スピロアダマンタン)-4-メトキシ-4-(3''-ホスホリルオキシ)フェニル-1,2-ジオキセタン・2ナトリウム塩(AMPPD)溶液200μlを添加し37℃にて5分間酵素反応させた。反応後の化学発光量をルミノメーターで測定した。測定機器には全自動化学発光免疫測定装置ルミパルスフォルテ(富士レビオ社製)を使用した。
【0012】
3. 検体測定
従来法および本発明の方法にて作製したリコンビナントHCV c25抗原結合粒子について、2.に記載した測定方法に従って標準陰性血清(抗HCV抗体を有しないヒト脱脂血清)、標準陽性血清(抗HCV抗体を有するヒト血清を抗HCV抗体を有しないヒト脱脂血清にて任意の濃度に希釈した血清)および、HCV陽性自家管理血清の測定を行った。結果を表1に示す。
【0013】
【表1】
表1.リコンビナントHCV c25抗原結合粒子測定結果
Figure 0003873576
【0014】
表1から明らかなように、本発明によって作製した粒子は従来法によって作製した粒子と比較し、陰性標準血清の発光量は変わらず、陽性標準血清の発光量が上昇した。HCV陽性自家管理血清については従来法によって作成した抗原結合粒子を使用した場合に比較して、発光量の顕著な上昇が認められた。
【0015】
[実施例2]
1. リコンビナントHCV c25抗原結合粒子の作製および検体測定
従来法感作液に (a) ポリオキシエチレン (20) モノウラリン酸ソルビタン (Tween20) 、 (b) ポリオキシエチレン (20) モノオレイン酸ソルビタン (Tween80)、(c) ポリオキシエチレン (23) ドデシルエーテル (Brij35)、(d) ポリオキシエチレン (10) p-オクチルフェニルエーテル (Triton N-101)、(e) ポリオキシエチレン (4〜5) p-t-オクチルフェニルエーテル (Triton X-45)、(f) ポリオキシエチレン (30) p-t-オクチルフェニルエーテル (Triton X-305)、(g) ポリオキシエチレン (10) p-t-オクチルフェニルエーテル (Triton X-100) をそれぞれ0.1%(v/v)添加し感作液(a)〜(g)とした。 以下実施例1と同様の方法によりリコンビナントHCV c25抗原結合粒子の作製、および検体測定を行った。結果を表2に示す。
【0016】
【表2】
表2.リコンビナントHCV c25抗原結合粒子の試験結果
Figure 0003873576
【0017】
【表3】
表2.続き(1)
Figure 0003873576
【0018】
【表4】
表2.続き(2)
Figure 0003873576
【0019】
疎水基側アルキル基の炭素数が同一で直鎖状であり、親水基側ポリオキシエチレン数が同一の (d) Triton N-101は (g) Triton X-100と比較し同等以上の発光量を示した。一方、疎水基側アルキル基の構造が同一で、親水基側ポリオキシエチレン数の異なる (e) Triton X-45および (f) Triton X-305では、 従来法と発光量がほとんど変わらず、効果が認められなかった。また、疎水基側アルキル基が直鎖状(ただし炭素数は異なる)であり、親水基側ポリオキシエチレン数が異なる (c) Brij35は (g) Triton X-100よりは効果が弱いものの従来法と比較しカウント上昇が認められた。
一方、ソルビタン構造を持ち、親水基側ポリオキシエチレン数が20である (a) Tween20 および (b) Tween80については、(g) Triton X-100よりやや効果が弱いものの従来法と比較し感度上昇が認められた。
【0020】
[実施例3]
1. リコンビナントHCV c25抗原結合粒子の作製および検体測定
感作液として(a) ポリオキシエチレン (20) モノオレイン酸ソルビタン (Tween80) 0.5%、(b) ポリオキシエチレン (20) モノオレイン酸ソルビタン (Tween80) 0.5% (v/v) およびポリオキシエチレン (9〜10) セチルエーテル (Brij56) 0.5%(v/v)を添加した20mMトリス-塩酸緩衝液(pH7.5)を調製し、以下実施例1と同様の方法によりリコンビナントHCV c25抗原結合粒子の作製、および検体測定を行った。結果を表3に示す。
【0021】
【表5】
Figure 0003873576
【0022】
(a) Tween80と比較し、(b) Tween80 + Brij56では、標準陰性血清発光量が変わらずに標準陽性血清および管理血清の発光量上昇が認められた。Brij56は、実施例2で効果の見られた疎水基側アルキル基の構造および親水基側ポリオキシエチレン数を有する界面活性剤に対応するものであり、これまでに得られた知見と合致する結果が得られた。更に、異なる界面活性剤を2種類以上組み合わせることによって感度が更に向上することが明らかになった。
【0023】
[実施例4]
感作液として(a)ポリオキシエチレン(20)モノラウリン酸ソルビタン(Tween20),
(b)ポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸ソルビタン(Tween80)、(c)ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(Briji56)、(d)ポリオキシエチレン(10)p-オクチルフェニルエーテル(Triton N-100)、(e)ポリオキシエチレン(10)p-t-オクチルフェニルエーテル(Triton X-100)をそれぞれ0.5%(v/v)添加した20mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を調製し、以下実施例1と同様の方法によりリコンビナントHCV c25抗原結合粒子の作製を行なった。
従来法および本発明の方法によって作製したリコンビナントHCV c25抗原結合粒子について、実施例1の測定方法に従って標準陰性血清(抗HCV抗体を有しないヒト脱脂血清)、標準陽性血清(抗HCV抗体を有するヒト血清を抗HCV抗体を有しないヒト脱脂血清にて任意の濃度に希釈した血清)、管理血清D、E、F(HCV core領域に体する抗体を有する血清、RIBA法c22-3陽性、HCV ELISAIII陽性)および管理血清G、H、I(HCV NS3領域に体する抗体を有する血清、RIBA法c33c陽性)を用いて測定を行なった。ここで、c22-3抗原はHCVコア領域に対応し、C33c抗原はHCV NS3領域に対応する。カットオフ値は(a)〜(e)の界面活性剤を用いた本発明の方法にについては標準陽性血清の発光量の25%、従来法については発光量の50%に設定した。カットオフインデクス(C.O.I)は[管理血清の発光量]/[カットオフ値]とし、C.O.Iが1.0以上をHCV抗体陽性、1.0未満をHCV抗体陰性と判定した。
【0024】
【表6】
表4.リコンビナントHCV c25抗原結合粒子を用いた測定結果
Figure 0003873576
【0025】
【表7】
表4.続き(1)
Figure 0003873576
【0026】
【表8】
表4.続き(2)
Figure 0003873576
【0027】
管理血清G、H、I(HCV NS3領域に対する抗体を有する血清)については、従来法では管理血清GおよびI(C.O.Iがそれぞれ0.4および0.6)は陰性判定となるが、(a)〜(e)では全て陽性判定となる。また、発光量の比較においても(a)〜(e)では従来法と比較して管理血清Hにおいて3倍以上、管理血清およびIでは10培以上の発光量の上昇が見られた。このことは、c25抗原中のNS3領域の抗体結合部位が界面活性剤の存在によって表面に露出する高次構造をとった状態で固相粒子に結合したことを意味する。
また、(a)〜(e)の中では、界面活性剤としてポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(Brij56)が最も高感度であった。Briji56は、疎水基側アルキル基が直鎖状であり、親水基側ポリオキシエチレンの数が9〜10個であって、c25抗原の高次構造を変化させてNS3領域の抗体結合部位を表面に露出させるために最も適した界面活性剤に要求される性質を完全に満たしている界面活性剤であり、この結果はこのことを反映したものである。
【0028】
[実施例5]リコンビナントHCV c25抗原結合粒子の作製におけるプレインキュベーション時間の影響(1)
感作液としてポリオキシエチレン (20) モノオレイン酸ソルビタン (Tween80) 0.5%(v/v)および ポリオキシエチレン (10) セチルエーテル (Brij56) 0.2%(v/v)を添加した20mMトリス-塩酸緩衝液(pH7.5)を調製した。
感作液0.25mlにリコンビナントHCV c25抗原35.7ugを加えてc25抗原希釈液とし、(a) 25℃ 1時間 (b) 25℃ 1日 (c) 25℃ 5日間 それぞれ静置してプレインキュベーションを行なった。c25抗原希釈液を調製後、プレインキュベーションを行なわない条件を(d)とした。
フェライト粒子1mgに感作液を0.25ml添加して分散した粒子懸濁液に、上記のc25抗原希釈液を混合し、25℃1時間撹拌した。反応後、フェライト粒子を磁力で集め、粒子を0.4%塩化ナトリウム水溶液にて洗浄しリコンビナントHCV c25抗原結合粒子を得た。
以下実施例1の測定方法に従って標準陰性血清、標準陽性血清、管理血清D,E,F,G,H,Iの測定を行った。結果を表5に示す。
【0029】
【表9】
表5.プレインキュベーション時間の影響
Figure 0003873576
【0030】
【表10】
表5(続き)
Figure 0003873576
【0031】
表5から明らかなように、プレインキュベーションを行なった場合には((a)〜(c))、行なわない場合((d))に比較して、標準陽性血清および管理血清D,E,F,G,H,Iいずれにおいても発光量増大が認められた。またc25抗原希釈液の静置時間の長さに伴って発光量は増大し、(a),(b),(c)の比較では、(c)が最も高い発光量を示し、(d)と比較し20〜52%の発光量増大となることが示された。標準陰性血清については、(a),(b),(c)は(d)と比較し寧ろ発光量が低下した。
【0032】
[実施例6]リコンビナントHCV c25抗原結合粒子の作製におけるプレインキュベーション時間の影響(2)
実施例5と同じ方法で、但し、プレインキュベーション時間を(a)0時間、(b)1時間、(c)3時間、(d)18時間、(e)24時間、(f)27時間、(g)42時間にしてプレインキュベーション時間の測定系の感度に与える影響を調べた。また、(標準陽性血清の測定値)/(標準陰性血清の測定値)を算出した。その結果を表6に示す。数値はいずれも発光量である。
【0033】
【表11】
表6.プレインキュベーション時間の影響(2)
Figure 0003873576
【0034】
【表12】
表6.続き
Figure 0003873576
P/N:(標準陽性血清の測定値)/(標準陰性血清の測定値)
【0035】
表6から明らかなように、プレインキュベーション時間が3時間程度から測定系の感度の向上が見られ、かつP/N比の向上が見られた。この効果は約24時間でほぼ最大に達し、その後は大きな変化は見られなかった。
【0036】
【発明の効果】
本発明により、HCV抗原、特にリコンビナントHCV抗原に対する抗体、特にそれらのNS3領域に対する抗体を高感度に検出するための抗原結合固相が得られる。また、本発明によれば、HCV抗原、特にリコンビナントHCV抗原、特にそれらのNS3領域に対する抗体の検出に際して、バックグラウンドの低い、すなわち、陰性/陽性比の低い結果を与える抗原結合固相が得られる。

Claims (7)

  1. 疎水性炭化水素鎖として炭素数8〜17個のアルキル基またはアルケニル基を有し、親水性原子団として6個〜25個のポリオキシエチレン基を有する1種以上の非イオン性界面活性剤、固相および、HCV抗原を中性またはアルカリ性緩衝液中で接触させることを特徴とする、HCV抗原を結合した抗原結合固相の製造方法。
  2. (i)固相へ抗原を結合させるに先立って、疎水性炭化水素鎖として炭素数8〜17個のアルキル基またはアルケニル基を有し、親水性原子団として6個〜25個のポリオキシエチレン基を有する1種以上の非イオン性界面活性剤と抗原とを混合してプレインキュベーションすることによって前記抗原を処理すること、
    および、
    (ii)疎水性炭化水素鎖として炭素数8〜17個のアルキル基またはアルケニル基を有し、親水性原子団として6個〜25個のポリオキシエチレン基を有する1種以上の非イオン性界面活性剤、固相および、(i)で処理されたHCV抗原を中性またはアルカリ性緩衝液中で接触させること
    を含み、(i)で使用する非イオン性界面活性剤と(ii)で使用する非イオン性界面活性剤が同一であるか、または、それらの一部若しくは全部が異なっていてもよい、HCV抗原を結合した抗原結合固相の製造方法。
  3. プイレインキュベーション時間が3時間〜42時間である、請求項2に記載の方法。
  4. HCV抗原がリコンビナントHCV抗原である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 界面活性剤の濃度が0.05%〜2.0%(v/v)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 抗原と界面活性剤とを接触させるときの緩衝液のpHが 7.0〜8.5の範囲である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 抗原が、HCVのNS3領域を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
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