JP3871847B2 - 気密用間仕切ランナー及び間仕切壁の上部の気密構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、気密用間仕切ランナー及び該気密用間仕切ランナーを使用した間仕切壁の上部の気密構造に関し、特に、間仕切壁の上部の気密性を確保するための施工を簡略化することができるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の間仕切ランナー51は、図9に示すように、下方に開口する断面コ字形の長尺の溝形に形成されたものである。そして、このような従来の間仕切ランナー51を使用する場合における間仕切壁の上部の気密構造52は、例えば、以下のような構成となっている。すなわち、当該気密構造52を示す斜視図である図10及び断面図である図11に示すように、天井野縁8の下面における前記間仕切ランナー51の取付位置に、間仕切壁16の厚さT2よりも長い一定幅の帯状に形成した気密シート53が配置され、該気密シート53の下面に前記間仕切ランナー51が密着して取り付けられるとともに、該間仕切ランナー51の溝部54に垂直部材である間仕切スタッド9が嵌合して固定されることにより間仕切壁16の内部の枠体が構成され、前記間仕切ランナー51及び前記間仕切スタッド9の両側に前記間仕切ボード10が取り付けられることにより間仕切壁16が構成されている。そして、天井ボード11の端面が前記間仕切ボード10の上部側面に当接し、該天井ボード11の上面端部12が前記気密シート53の下面に密着して取り付けられて天井下地が構成されている。ここで、前記天井ボード11は、気密性を有している。したがって、上記のように構成することで、前記気密シート53と前記天井ボード11とが密着して気密面が連続的に構成され、前記間仕切壁16の上部の気密性が確保される。
【0003】
しかしながら、このような従来の間仕切壁16の上部の気密構造52では、前記間仕切ランナー51の取付けの前に、前記天井野縁8の下面における前記間仕切ランナー51の取付位置に前記気密シート53を配置することが必要であり、また、その配置に際しては、前記気密シート53を所定の位置に固定しておくために粘着テープ等により前記天井野縁8の下面に貼り付ける必要がある。
【0004】
また、前記天井野縁8は隙間を空けて一定の間隔で配置されるものであり、当該隙間部分55においては、前記気密シート53の上方に押さえとなるものが存在しないため、前記気密シート53の下面に前記天井ボード11の上面端部12を取り付けた状態で、前記気密シート53が浮き上がって前記天井ボード11の上面端部12との間に隙間が生じることとなる。したがって、その部分においては、気密テープ(図示せず)で貼り付ける等の方法により当該隙間を塞いで気密性を確保する必要がある。
【0005】
これらのことから、従来の間仕切壁16の上部の気密構造52においては、気密性を確保するための施工手順が煩雑であり、多くの作業工数を要するするという問題があった。また、煩雑な施工手順によって作業の容易化が妨げられ、施工ミスが発生し易くなるという問題もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、間仕切壁の上部の気密性を確保するための施工手順を簡略化することにより、作業工数を削減するとともに、作業を容易化して施工ミスを減少させることができる気密用間仕切ランナー及び該気密用間仕切ランナーを使用した間仕切壁の上部の気密構造を提供することを技術課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記技術課題を解決するための具体的手段は、次のようなものである。すなわち、請求項1に記載する気密用間仕切ランナーは、下方に開口する断面コ字形の長尺の溝形に形成されたランナー本体と、該ランナー本体と同一の全長を有する一定幅の平板を前記ランナー本体の上板部と同一平面上において前記ランナー本体の両側又は片側に突出させて一体的に設けた突出板部と、該突出板部の下面の略全面に設けられた弾性気密シートと、該突出板部の長さ方向両端部近傍であって、前記ランナー本体との結合部に隣接する位置に設けられた貫通孔とを具備することを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載する間仕切壁の上部の気密構造は、請求項1記載の気密用間仕切ランナーを前記天井野縁の下面の所定位置に配置し、前記気密用間仕切ランナーの前記弾性気密シートの下面に天井ボードの上面端部を密着させて取り付けたことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る気密用間仕切ランナー及び該気密用間仕切ランナーを使用した間仕切壁の上部の気密構造について図面に基づいて説明する。本発明の第1の実施形態に係る気密用間仕切ランナー1は、図1に示すように、下方に開口する断面コ字形の長尺の溝形に形成されたランナー本体2と、該ランナー本体2と同一の全長を有する一定幅の平板を前記ランナー本体2の上板部3と同一平面上において前記ランナー本体2の両側に突出させて一体的に設けた突出板部4と、該突出板部4の下面の略全面に設けられた弾性気密シート5とを具備するものである。以下更に詳細に説明する。
【0011】
前記気密用間仕切ランナー1のランナー本体2は、図2に示すように、使用時に天井野縁8に密着する上面を構成する上板部3と、該上板部3の幅方向両端において該上板部3に対して直角下方に設けられた左右の側板部6とによりコ字形の断面形状を有する長尺の溝形に形成されている。そして、前記上板部3と左右の前記側板部6とにより囲まれる部分が溝部7であり、該溝部7には間仕切スタッド9の上端部が嵌合されて固定される。したがって、前記溝部7の幅、すなわち、左右の前記側板部6の内側面同士の距離は、前記間仕切スタッド9の幅と同一となっている。
【0012】
前記気密用間仕切ランナー1の突出板部4は、前記ランナー本体2の両側に突出して一体的に設けられた一定幅の平板であって、前記ランナー本体2の上板部3と同一平面上に位置し、前記ランナー本体2の全長と同一の全長を有している。ここで、前記突出板部4の幅Wは、間仕切ボード10の厚さT1よりも長いことが望ましい。その理由は、図2に示すように、前記天井ボード11を、その端面が前記間仕切ボード10の上部側面に当接するように取り付ける場合においては、前記突出板部4の幅を、前記間仕切ボード10の上端面の幅、すなわち前記間仕切ボード10の厚さT1よりも長くしなければ、前記突出板部4の下面に設けられた弾性気密シート5の下面に天井ボード11の上面端部12を密着させることができず、気密性を確保することができないからである。一方、図3に示すように、前記間仕切ボード10を、その上端面が前記天井ボード11の端部下面に当接するように取り付ける場合には、前記突出板部4の幅について、そのような制限を受けることがなく任意の長さとすることができる。
【0013】
図1に示すように、前記気密用間仕切ランナー1の弾性気密シート5は、弾性を有するシート状の気密部材であり、その材質としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂の発泡体などが好適である。そして、前記弾性気密シート5は、これらの合成樹脂発泡体などを前記突出板部4の下面と略同一形状の薄いシート状に形成した後、前記突出板部4の下面に接着剤などにより貼り付けられることにより前記突出板部4の下面の略全面に設けられる。なお、前記弾性気密シート5の材質は上記のものに限定されるものではなく、弾性及び気密性を有し、任意の外形のシート状に形成することができるものであれば使用することができる。
【0014】
また、本実施形態においては、前記気密用間仕切ランナー1の前記突出板部4に貫通孔13が設けられている。該貫通孔13は、前記突出板部4の長さ方向両端部近傍であって、前記ランナー本体2との結合部、すなわち前記突出板部4における前記ランナー本体2の側板部6の上端との結合部に隣接する位置に設けられる。前記貫通孔13は、前記気密用間仕切ランナー1を前記天井野縁8の下面に取り付ける際に取付位置を確認するために設けられるものである。なお、前記貫通孔13において気密欠損が生じることを防止するため、前記貫通孔13の周囲における前記突出板部4の上面には視認性を害さない透明の気密シート(図示せず)が貼り付けられ、気密性が確保されている。前記透明の気密シートとしてはポリエチレンシートなどを使用することができる。
【0015】
すなわち、図4に示すように、前記天井野縁8の下面における前記気密用間仕切ランナー1の取付位置には、前記ランナー本体2の幅と略同一の幅で2本の墨14(基準線)が打たれており、前記気密用間仕切ランナー1は、2本の前記墨14に前記ランナー本体2の左右の側板部6の位置を合わせることにより前記天井野縁8の下面の正確な位置に取り付けられる。しかし、本実施形態に係る気密用間仕切ランナー1においては、従来の間仕切ランナーとは異なり、前記突出板部4が設けられているため、前記突出板部4が邪魔になり、そのままでは2本の前記墨14に合わせて前記気密用間仕切ランナー1の位置決めを行うことが非常に困難である。そこで、前記貫通孔13を上述の通りの位置に設けたことにより、図5に示すように、前記貫通孔13を通して前記墨14の位置を確認することができ、前記気密用間仕切ランナー1を正確な位置に取り付けることができる。
【0016】
次に、本発明の第1の実施形態に係る気密用間仕切ランナー1を使用した間仕切壁の上部の気密構造15について説明する。該間仕切壁の上部の気密構造15は、当該気密構造15を示す斜視図である図6及び断面図である図2に示すように、前記気密用間仕切ランナー1を前記天井野縁8の下面の所定位置に配置し、前記気密用間仕切ランナー1の前記弾性気密シート5の下面に天井ボード11の上面端部12を密着させて取り付けたものである。以下更に詳細に説明する。
【0017】
前記天井野縁8の下面の所定位置、すなわち、間仕切壁が配置される位置の上部の位置には、前記気密用間仕切ランナー1が配置され、取り付けられる。この際、前述の通り、前記貫通孔13を利用して前記天井野縁8の下面に描かれた前記墨14を基準に前記気密用間仕切ランナー1を正確な位置に配置する。前記気密用間仕切ランナー1の取り付けは、ビスなどの固定具(図示せず)を用いて行う。
【0018】
そして、前記気密用間仕切ランナー1のランナー本体2の内側に形成された溝部7に垂直部材である間仕切スタッド9が嵌合するとともにビスなどの固定具(図示せず)によって固定され、間仕切壁16の内部の枠体が構成され、前記気密用間仕切ランナー1のランナー本体2の両側の側面部6及び前記間仕切スタッド9の両側の側面には間仕切ボード10が取り付けられ、間仕切壁16が構成される。また、前記間仕切壁16との接続部以外における前記天井野縁8の下面には、天井ボード11が取り付けられ、天井下地が構成される。
【0019】
本実施形態においては、図2に示すように、前記天井ボード11は、その端面を前記間仕切ボード10の上部側面に当接させ、その上面端部12を前記気密用間仕切ランナー1の前記弾性気密シート5の下面に密着させて取り付けられる。ここで、前記天井ボード11は、前記天井ボード11の上面に沿った気密面を構成して建物の天井部における気密性を確保するため、その上面に気密シート17が一体的に貼り付けられ、気密性を有するものとされている。前記気密シート17は、気密性を有する薄いシート状部材であって、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂を薄いシート状に形成したものを使用することができる。なお、前記天井ボード11と前記間仕切ボード10との配置の関係については、図3に示すように、前記間仕切ボード10を、その上端面が前記天井ボード11の端部下面に当接するように取り付けることも可能である。この場合においても、前記天井ボード11の上面端部12は前記気密用間仕切ランナー1の前記弾性気密シート5の下面に密着させて取り付けられる。
【0020】
以上のようにして前記気密用間仕切ランナー1の前記弾性気密シート5の下面に前記天井ボード11の上面端部12を密着させて取り付けたことにより、前記天井ボード11の上面に貼り付けられた前記気密シート17によって形成された気密面と前記気密用間仕切ランナー1の前記弾性気密シート5とが隙間なく密着することとなり、間仕切壁16の上部における気密性を確保することができる。
【0021】
次に、本発明の第2の実施形態に係る気密用間仕切ランナー1について説明する。本発明の第2の実施形態に係る気密用間仕切ランナー1は、図7に示すように、下方に開口する断面コ字形の長尺の溝形に形成されたランナー本体2と、該ランナー本体2と同一の全長を有する一定幅の平板を前記ランナー本体2の上板部3と同一平面上において前記ランナー本体2の片側に突出させて一体的に設けた突出板部4と、該突出板部4の下面の略全面に設けられた弾性気密シート5とを具備するものである。すなわち、前記第1の実施形態に係る気密用間仕切ランナー1の突出板部4を片側のみとしたものに等しい。
【0022】
この第2の実施形態に係る気密用間仕切ランナー1は、前記間仕切壁16の厚さT2を通常よりも厚くする場合に使用する気密用間仕切ランナー1である。すなわち、本実施形態に係る気密用間仕切ランナー1は、使用の際には、図8に示すように、前記気密用間仕切ランナー1を左右対称に2個並列的に密着させて使用する。これにより、前記突出板部4を両側に備え、且つ、前記第1の実施形態に係る気密用間仕切ランナー1の2倍の横幅を有する気密用間仕切ランナー1とすることができる。2個の前記気密用間仕切ランナー1の結合は、前記気密用間仕切ランナー1のランナー本体2の密着する側面同士を気密テープ18により結合することにより行っている。なお、2個の前記気密用間仕切ランナー1の結合は、この結合方法に限定されるものではなく、ビスなどの固定具により結合する方法や、その他のこの分野で公知のすべての方法を用いることができる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る気密用間仕切ランナーによれば、前記突出板部の下面に設けられた弾性気密シートの下面に天井ボードの上面端部を密着させるのみで間仕切壁の上部における気密性を確保することができるので、従来の間仕切ランナーの取付位置への気密シートの配置及び該気密シートと天井ボードとの隙間を塞ぐための気密テープの貼付け作業が不要となり、間仕切壁の上部の気密性を確保するための施工手順を簡略化することができ、作業工数を削減するとともに、作業を容易化して施工ミスを減少させることができる。そしてさらに、上述の効果に加えて、前記突出板部の長さ方向両端部近傍であって、前記ランナー本体との結合部に隣接する位置に貫通孔を設けたことにより、該貫通孔を通して天井野縁の下面の墨の位置を確認することができ、前記気密用間仕切ランナーを正確な位置に取り付けることができる。
【0025】
本発明の請求項2に係る間仕切壁の上部の気密構造によれば、請求項1記載の気密用間仕切ランナーを前記天井野縁の下面の所定位置に配置し、前記気密用間仕切ランナーの前記弾性気密シートの下面に天井ボードの上面端部を密着させて取り付けたことにより、前記天井ボードの上面に形成された気密面と前記気密用間仕切ランナーの前記弾性気密シートとの間で気密性が確保されるので、簡易な施工手順で間仕切壁の上部の気密性を確保することができ、作業工数を削減するとともに、作業を容易化して施工ミスを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る気密用間仕切ランナーを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る間仕切壁の上部の気密構造を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る間仕切壁の上部の気密構造の別の例を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る気密用間仕切ランナーを天井野縁に取り付ける際の状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る気密用間仕切ランナーを天井野縁に取り付ける際の状態を示す平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る間仕切壁の上部の気密構造を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る気密用間仕切ランナーを示す斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る気密用間仕切ランナーの使用時の状態を示す斜視図である。
【図9】従来例に係る間仕切ランナーを示す斜視図である。
【図10】従来例に係る間仕切壁の上部の気密構造を示す斜視図である。
【図11】従来例に係る間仕切壁の上部の気密構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 気密用間仕切ランナー
2 ランナー本体
3 ランナー本体の上板部
4 突出板部
5 弾性気密シート
6 ランナー本体の側板部
7 溝部
8 天井野縁
9 間仕切スタッド
10 間仕切ボード
11 天井ボード
12 天井ボードの上面端部
13 貫通孔
14 墨
15 間仕切壁の上部の気密構造
16 間仕切壁
17 天井ボードの上面の気密シート
18 気密テープ
W 突出板部の幅
T1 間仕切ボードの厚さ
T2 間仕切壁の厚さ
Claims (2)
- 下方に開口する断面コ字形の長尺の溝形に形成されたランナー本体と、該ランナー本体と同一の全長を有する一定幅の平板を前記ランナー本体の上板部と同一平面上において前記ランナー本体の両側又は片側に突出させて一体的に設けた突出板部と、該突出板部の下面の略全面に設けられた弾性気密シートと、該突出板部の長さ方向両端部近傍であって、前記ランナー本体との結合部に隣接する位置に設けられた貫通孔とを具備することを特徴とする気密用間仕切ランナー。
- 請求項1記載の気密用間仕切ランナーを前記天井野縁の下面の所定位置に配置し、前記気密用間仕切ランナーの前記弾性気密シートの下面に天井ボードの上面端部を密着させて取り付けたことを特徴とする間仕切壁の上部の気密構造。
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