JP3871677B2 - 免疫反応測定方法及びそれに用いる免疫反応測定用試薬キット - Google Patents

免疫反応測定方法及びそれに用いる免疫反応測定用試薬キット Download PDF

Info

Publication number
JP3871677B2
JP3871677B2 JP2003556805A JP2003556805A JP3871677B2 JP 3871677 B2 JP3871677 B2 JP 3871677B2 JP 2003556805 A JP2003556805 A JP 2003556805A JP 2003556805 A JP2003556805 A JP 2003556805A JP 3871677 B2 JP3871677 B2 JP 3871677B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phthalic acid
measuring
immune reaction
substance
antibody
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003556805A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2003056333A1 (ja
Inventor
明仁 亀井
紀子 権丈
達朗 河村
真人 平井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Publication of JPWO2003056333A1 publication Critical patent/JPWO2003056333A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3871677B2 publication Critical patent/JP3871677B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/536Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with immune complex formed in liquid phase
    • G01N33/537Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with immune complex formed in liquid phase with separation of immune complex from unbound antigen or antibody
    • G01N33/5375Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with immune complex formed in liquid phase with separation of immune complex from unbound antigen or antibody by changing the physical or chemical properties of the medium or immunochemicals, e.g. temperature, density, pH, partitioning
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/536Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with immune complex formed in liquid phase
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/536Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with immune complex formed in liquid phase
    • G01N33/537Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with immune complex formed in liquid phase with separation of immune complex from unbound antigen or antibody
    • G01N33/539Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with immune complex formed in liquid phase with separation of immune complex from unbound antigen or antibody involving precipitating reagent, e.g. ammonium sulfate
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/536Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with immune complex formed in liquid phase
    • G01N33/542Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with immune complex formed in liquid phase with steric inhibition or signal modification, e.g. fluorescent quenching

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、試料中の被測定物質である抗原または抗体の含有量を測定することができる免疫反応測定方法及びそれに用いる免疫反応測定用試薬キットに関する。
【0002】
【背景技術】
医療分野では、様々な疾患の診断及び病状の経過を調べるために、ヒトの体液中に存在する各疾患に特徴的な蛋白質の含有量を測定することが広く行なわれている。これらの蛋白質の含有量測定には、主として、標的とする蛋白質を抗原として特異的に認識する抗体を用いた反応(抗原抗体反応)を利用した免疫反応測定方法が広く用いられている。現在では、免疫反応測定方法にも様々な原理を利用したものが開発されている。
【0003】
それらの中でも、抗原抗体反応によって生じる抗原抗体複合体の凝集体(以下、凝集複合体と称する)を検出する、免疫比朧法(以下、比朧法と略す)、免疫比濁法(以下、比濁法と略す)、スライド凝集法などの測定方法はよく知られたものである。これらの測定方法は、溶液中に抗原及び抗体が一様に分散された状態で行なうものであるため、「均一系の免疫反応測定方法」と総称される。
【0004】
抗原抗体反応では、凝集複合体の生成により反応系に濁りを生じる。凝集複合体の生成により反応系に生じる濁りの程度は、抗原の量及び抗体の量に依存する。このことに基づいて、比朧法および比濁法は、上述の反応系に生じる濁りの程度を光学的に測定し、その測定値から抗原の量または抗体の量を算出する方法である。
【0005】
比朧法は反応系で散乱された光量に基づいて、比濁法は反応系での散乱により減少した透過光量に基づいて反応系に生じる濁りの程度を測定する。一般的に、比朧法および比濁法のいずれの場合にも、同一の反応系で測定することができる。つまり、比朧法または比濁法のいずれか一方で測定できる反応系は、他の一方でも測定することができる。スライド凝集法は、凝集複合体の生成により、濁りが生じた反応系中の溶液をスライドグラス上などに採取し、目視などによって、反応系に生じた濁りの程度を判定する方法である。スライド凝集法には、比朧法、比濁法と同一の反応系を用いることができる。
【0006】
【非特許文献1】
Automated Immunoanalysis Part 1,Ritchie編、第67−112頁(1978)。
【0007】
【非特許文献2】
Fundamental Immunology,William E. Paul編、(1984)(邦訳 基礎免疫学、多田富雄監訳、第714−716頁(1987))。
【0008】
【発明の開示】
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の均一系の免疫反応測定方法では、抗原抗体反応を促進させ、微量成分を高感度に測定するために様々な添加剤を用いることが試みられている。よく知られている例としては、ポリエチレングリコール、デキストラン、ポリビニルピロリドンおよびポリ塩化ビニルなどの水溶性高分子を反応系中に混在させ、抗原抗体反応による凝集複合体の形成を促進させることによって、反応時間を短縮し、測定値を向上させることによって、測定感度を高くする方法が挙げられる。上記の水溶性高分子の中でもポリエチレングリコールが比較的低濃度で、反応時間を短縮し、測定値を向上させる効果が高いことが知られている。特に、平均分子量6,000のポリエチレングリコール(PEG)を反応系中で2〜6重量%濃度となるように添加する方法が広く用いられている。特に、平均分子量6,000のポリエチレングリコールを反応系中で4重量%濃度となるように添加する方法が、凝集複合体以外の非特異的な混濁が少なく、上記効果が高いとされている。
【0010】
水溶性高分子が抗原抗体反応を促進する効果は、一般に水溶性高分子の分子量が大きく且つ水溶性高分子が高濃度であるほど大きい傾向がある(非特許文献1を参照)。
【0011】
抗原抗体反応の測定を考えた場合、抗原抗体反応の程度(すなわち抗原の濃度)に依存した信号強度(すなわち測定値)が高い程、良好なS/N比を維持することができ、安定した測定を行なうことができる。しかし、抗原抗体反応を更に促進し、上記効果を得ようとして、従来通り、水溶性高分子をより高濃度あるいは、高分子量の水溶性高分子を反応系中に添加した場合、水溶性高分子を溶解した反応系中の溶液の粘性が増大する。このため、測定操作上の取り扱いが困難になるという不具合がある。従って、高い信号強度(すなわち測定値)が得られず、安定した測定を行なうことが困難な場合がある。
【0012】
本発明は上記事情に鑑み、容易に測定値の向上が可能で、高い測定感度が得られる免疫反応測定方法及びそれに用いる免疫反応測定用試薬キットを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の免疫反応測定方法は、試料中の被測定物質の含有量を測定する免疫反応測定方法であって、上記試料と、上記被測定物質に対して特異的に結合する特異結合物質と、フタル酸またはフタル酸の塩とを含む反応系を構築する工程Aと、上記反応系の光学特性を測定する工程Bとを含み、上記工程Aにおいて、上記反応系のpHが4.5〜5.5の範囲内に設定されており、上記被測定物質と上記特異結合物質との組み合わせは、抗原と抗体との組み合わせである。
【0014】
本発明の免疫反応測定方法によれば、反応系の光学特性の測定値を向上させることができる。また、本発明において用いるフタル酸またはフタル酸の塩は低分子物質であるため、反応系の粘性を増大させず、その測定操作上の取り扱いも容易となる。
【0015】
上記光学特性は、散乱光強度または透過光量であってもよい。
【0016】
上記工程Aでは、上記反応系がさらに緩衝剤を含む構成としてもよい。
【0018】
上記工程Aにおいて、上記反応系におけるフタル酸またはフタル酸の塩の濃度が0.2M以下であることが好ましい。
【0019】
上記フタル酸の塩は、フタル酸水素カリウムであることが好ましい。
【0020】
反応系がポリエチレングリコールを2〜6重量%含む構成としてもよい。
【0021】
上記被測定物質は、その内部に金属イオンを保持する構造を有する抗原であり、 上記特異結合物質は、上記金属イオンを保持していない上記抗原に特異的に結合する抗体である構成としてもよい。
【0022】
上記被測定物質は、ヒトC反応性蛋白質である構成としてもよい。
【0023】
上記被測定物質は、その内部に金属イオンを保持する構造を有する抗原であり、上記特異結合物質はポリクローナル抗体であり、上記工程Aでは、上記反応系がさらに上記金属イオンを含む構成としてもよい。
【0024】
上記被測定物質は、ヒトC反応性蛋白質である構成としてもよい。
【0025】
上記被測定物質は抗原であり、上記特異結合物質は、上記抗原の複数の結合部位に結合することが可能なモノクローナル抗体である構成としてもよい。
【0026】
上記被測定物質は、ヒトC反応性蛋白質である構成としてもよい。
【0027】
本発明の免疫反応測定用試薬キットは、試料中の被測定物質の含有量を測定するための免疫反応測定用試薬キットであって、上記被測定物質に対して特異的に結合する特異結合物質と、フタル酸またはフタル酸の塩とを含み、上記試料と、上記特異結合物質と、上記フタル酸または上記フタル酸の塩とを含む反応系が構築されたときに、上記反応系のpHが4.5〜5.5の範囲内になるように調整されており、上記被測定物質と上記特異結合物質との組み合わせは、抗原と抗体との組み合わせである。
【0028】
本発明の免疫反応測定用試薬キットによれば、反応系の光学特性の測定値を向上させることができる。また、本発明において用いるフタル酸またはフタル酸の塩は低分子物質であるため、反応系の粘性を増大させず、その測定操作上の取り扱いも容易となる。
【0030】
上記反応系での上記フタル酸または上記フタル酸の塩の濃度が0.2M以下となるように調製されていることが好ましい。
【0031】
上記フタル酸の塩は、フタル酸水素カリウムであることが好ましい。
【0032】
ポリエチレングリコールをさらに含み、上記反応系での上記ポリエチレングリコールの濃度が2〜6重量%の範囲内となるように調製されていてもよい。
【0033】
上記被測定物質は、その内部に金属イオンを保持する構造を有する抗原であり、上記特異結合物質は、金属イオンを保持していない上記抗原に特異的に結合する抗体である構成としてもよい。
【0034】
上記抗体は、抗ヒトC反応性蛋白質抗体であってもよい。
【0035】
金属イオンを供給する金属化合物をさらに含み、上記被測定物質は、その内部に金属イオンを保持する構造を有する抗原であり、上記抗原は、その内部に上記金属イオンを保持する構造を有し、上記特異結合物質は、ポリクローナル抗体である構成としてもよい。
【0036】
上記抗体は、抗ヒトC反応性蛋白質抗体であってもよい。
【0037】
上記被測定物質は、抗原であり、上記特異結合物質は、上記抗原の複数の結合部位に結合することが可能なモノクローナル抗体である構成としてもよい。
【0038】
上記モノクローナル抗体は、抗ヒトC反応性蛋白質抗体であってもよい。
【0039】
上記特異結合物質と、上記フタル酸または上記フタル酸の塩とが混合されていてもよい。
【0040】
【発明の効果】
本発明の免疫反応測定方法及び免疫反応測定用試薬キットによれば、免疫反応の反応系にフタル酸またはフタル酸の塩を存在させ、反応系のpHを酸性に設定したことにより、抗原抗体の結合による免疫反応の測定値を向上させることができ、また、これにより抗原過剰領域で生じる地帯現象を緩和することができる。
【0041】
【発明を実施するための最良の形態】
上述のように、試料中の被測定物質の含有量を測定する免疫反応測定方法では、被測定物質を伴う抗原抗体反応を起こし、反応後の反応系の光学特性の測定値から、被測定物質の量を算出する。
【0042】
本発明者らは、上述の測定の際に、高い測定値が得られる(すなわち、測定感度が高い)免疫反応測定方法および免疫反応測定用試薬キットを見出した。さらに、本発明者らが見出したこの免疫反応測定方法および免疫反応測定用試薬キットによれば、抗原過剰領域で生じる地帯現象(Zone Phenomenon)を緩和できることも見出した。
【0043】
以下に、図1を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図1は、本実施形態の免疫反応測定方法の各工程を表すフローチャートである。なお、本明細書中では、用語「測定値」は、特に記載がない限り信号強度と同じ意味であるものとする。
【0044】
まず、図1に示す工程St1で、被測定物質の含有量を測定しようとする試料と、被測定物質に対して特異的に結合する特異結合物質と、フタル酸またはフタル酸の塩とを含む反応系を構築する。このとき、上記反応系のpHが7未満に設定しておく。なお、被測定物質が抗原である場合、特異結合物質は抗体であり、被測定物質が抗体である場合、特異結合物質は抗原である。
【0045】
このことによって、被測定物質が試料中に含まれているときには、被測定物質と特異結合物質との抗原抗体反応による凝集複合体が生じる。被測定物質が試料中に含まれていないときには、被測定物質と特異結合物質との抗原抗体反応による凝集複合体が生じない。
【0046】
次に、図1に示す工程St2で、反応系の光学特性を測定する。このとき、上記工程St1で凝集複合体が生じる場合には、上記反応系に濁りが生じ、散乱光強度および透過光量などに変化が生じる。従って、散乱光強度または透過光量などを測定することによって、反応系の濁りの程度を見積もることができる。ここで上記反応系から特異結合物質が除かれているものを基準にしながら、上記反応系の光学的変化量、つまり散乱光強度または透過光量の変化量を測定することが好ましい。また、反応系から試料が除かれているものを基準としてもよい。
【0047】
以上の工程を実施することによって、抗原抗体反応によって生じる凝集複合体による反応系の光学特性の測定値を向上させることができる。従って、本実施形態の免疫反応測定方法によれば、高い測定感度で被測定物質の量を測定することができる。このような効果が得られる理由は現段階では不明であるが、本発明者らは以下に述べる理由があると推察している。この推察を図2を参照しながら説明する。
【0048】
フタル酸およびフタル酸の塩は、水溶液中ではいずれもフタル酸またはフタル酸イオンとして存在すると考えられる。フタル酸またはフタル酸イオンはいずれも極性を有し、水溶液中で水分子を引きつけやすい性質があると考えられる。従って、上記反応系中にフタル酸またはフタル酸の塩を添加することによって、水分子はフタル酸およびフタル酸イオンの周囲に集まると考えられる。このため、図2に示すように、抗体分子の周りに存在する水分子が著しく減少し、抗体分子の局所的な存在比率が増大する。従って、抗原と抗体との衝突が増加し、抗原抗体反応が促進されると考えられる。その結果、凝集複合体の形成も促進され、反応系の光学特性の測定値が向上するものと考えられる。
【0049】
上述のように、従来の水溶性高分子を添加する方法では、測定値を向上させ良好なS/N比を維持し安定した測定を行なうために、より高濃度あるいは高分子量の水溶性高分子を添加する必要がある。このため、溶液の粘性を増大させ、その分析操作上の取り扱いが困難になるという不具合がある。しかしながら、本実施形態において用いるフタル酸またはフタル酸の塩は低分子物質であるため、溶液の粘性を増大させず、その測定操作上の取り扱いも容易となる。
【0050】
さらに、本実施形態の免疫反応測定方法によれば、抗原が過剰量存在する場合に生じる地帯現象(Zone Phenomenon)を緩和できる。このことを以下に図3を参照しながら説明する。図3(a)および(b)は、均一系の免疫反応測定方法の反応系における抗原および抗体の反応の様子を模式的に示す図である。
【0051】
一般に、均一系の免疫反応測定方法では、地帯現象と呼ばれる現象が起こることが知られている。図3(a)に示すように、通常、均一系の免疫反応測定方法では、抗体と抗原とが交互に結合した巨大な分子鎖である凝集複合体が生じる。地帯現象とは、抗原と抗体とが最大量の凝集複合体を形成する当量域よりも、図3(b)に示すように、抗原が抗体に対して過剰に存在する場合に、凝集複合体が生じ難くなる現象のことである。多価抗体と2価以上の抗原との間の結合反応は、Heidelbergerらの格子説が有名であり、Fundamental Immunology,William E. Paul編、(1984)(邦訳 基礎免疫学、多田富雄監訳、第714−716頁(1987)、非特許文献2)にその詳細が記載されている。
【0052】
地帯現象が起こらない抗体および抗原の濃度領域では、図3(a)に示すように、抗体と抗原とが交互に結合した巨大な分子鎖である凝集複合体が生じる。このとき抗体濃度を一定とすると、この凝集複合体の量および大きさは、抗原濃度に依存して増加する。このため、この凝集複合体の量や大きさを光学的な変化量として測定することによって、抗原濃度を定量的に測定することができる。また、凝集複合体は、抗体及び抗原の濃度によっては、溶液中の濁りや凝集物として肉眼でも十分に確認が可能なものとなるため、目視などにより定性的な判定を行なうこともできる。
【0053】
しかしながら、実際の均一系の免疫反応測定方法においては、抗体を用いて抗原濃度を測定することが多い。また、抗原濃度が低い場合よりも高い場合に、測定値が重要な意味を持つことが多い。ところが、抗原が抗体に比べて過剰に存在する場合、図3(b)に示すように、抗体の結合部位が抗原により飽和された抗体の量が増加し、凝集複合体が生じ難くなる。従って、抗原抗体反応の結果を、抗原が低濃度の場合と抗原が過剰の場合との間で区別することが困難になる。このため、抗原濃度に依存した正しい定量および判定が行なえないおそれがある、あるいは、抗原濃度に依存した正しい定量および判定を行なうためには、測定濃度範囲が制限されるといった不具合が生じる。このように、抗原が過剰に存在することによって生じる地帯現象は、均一系の免疫反応測定方法での不具合の一因となることが多い。
【0054】
しかし、本実施形態の免疫反応測定方法によれば、抗原が抗体に比べて過剰に存在する場合に生じる地帯現象を緩和できる。これは、上述のように、上記反応系中にフタル酸またはフタル酸の塩を添加することによって、凝集複合体の形成が促進されるからである。
【0055】
また、本実施形態の免疫反応測定方法によれば、地帯現象が緩和されることによって、被測定物質の高濃度での測定値の落ちこみが軽減される。このため、被測定物質の含有量を正確に測定できる測定濃度範囲を広げることができる。
【0056】
次に、各工程について詳細に説明する。
【0057】
工程St1では、上述のように、被測定物質と、被測定物質に対して特異的に結合する特異結合物質と、フタル酸またはフタル酸の塩とを含む反応系を構築する。このとき、反応系にフタル酸およびフタル酸の塩の両方が含まれていてもよい。勿論、反応系にフタル酸またはフタル酸の塩のいずれか一方がまれていてもよい。
【0058】
また、工程St1では、反応系に含まれるフタル酸またはフタル酸の塩によって緩衝能が与えられ、反応系のpHが7未満に設定されることが好ましい。このことによって、反応系のpHを7未満に設定するために他の緩衝剤を添加することなく、上述した測定値向上の効果および地帯現象の緩和効果を効率的に発揮させることができる。なお、フタル酸またはフタル酸の塩により反応系に緩衝能が与えられるようにするためには、フタル酸またはフタル酸の塩の濃度が0.01M以上であることが好ましい。
【0059】
本実施形態の免疫反応測定方法において、工程St1で反応系のpHが4.5〜5.5の範囲内であることが好ましく、4.5〜5.3の範囲内であることがより好ましく、4.5〜5.0の範囲内であることがさらに好ましい。上記pH範囲では、上述の測定値向上効果が高くなり、また、地帯現象の緩和効果も高くなる。特に、反応系のpHが4.5に調整されていることが最も好ましい。
【0060】
本実施形態の免疫反応測定方法において、工程St1での反応系におけるフタル酸またはフタル酸の塩の濃度は、0.2M以下であることが好ましい。このことによって、上述の測定値向上効果がより高くなり、また、地帯現象の緩和効果もより高くなる。これらの効果をさらに高くするためには、反応系におけるフタル酸またはフタル酸の塩の濃度を0.1M以下とすることがより好ましく、特に上記効果を顕著に高くするためには、反応系におけるフタル酸またはフタル酸の塩の濃度をほぼ0.1Mとすることがさらに好ましい。
【0061】
また、工程St1において、反応系にさらに別の緩衝剤を添加してもよい。本実施形態の免疫反応測定方法で用いることが可能な緩衝剤は、当該分野で公知のものである。例えば、リン酸二水素一ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどからなるリン酸系の緩衝剤、酢酸ナトリウム、カコジル酸ナトリウム、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸、コハク酸などが挙げられる。緩衝剤を添加する場合、反応系に含まれるべき緩衝剤の量は、用いる緩衝剤の種類、被測定対象物を含む試料(検体)の量、及び反応系に対する被測定物質である抗原または抗体に対する抗体または抗原の供給方法などに応じて、適宜調整すればよい。
【0062】
本実施形態の免疫反応測定方法で用いられるフタル酸またはフタル酸の塩としては、フタル酸、無水フタル酸、フタル酸水素カリウム、フタル酸カリウム、フタル酸二ナトリウム、フタル酸アンモニウム、フタル酸銅(II)などが挙げられる。これらはいずれも市販されているものであり、容易に入手できる。これらを単独または組み合わせて使用することもできる。これらの中でも、本実施形態の免疫反応測定方法及び免疫反応測定用試薬キットで用いられるフタル酸の塩としては、水に対する溶解性が高く、また溶解時の水溶液のpHが4.0付近であるという観点から、フタル酸水素カリウムが特に好ましい。
【0063】
なお、フタル酸には、o−フタル酸、m−フタル酸およびp−フタル酸(テレフタル酸)の異性体がある。本実施形態では、o−フタル酸、m−フタル酸およびp−フタル酸の混合物を用いてもよい。また、水に対する溶解性が高いo−フタル酸を単独で用いることが最も好ましい。なお、フタル酸の塩を用いる場合もフタル酸と同様に、o−フタル酸、m−フタル酸およびp−フタル酸の塩の混合物を用いてもよい。また、水に対する溶解性が高いo−フタル酸の塩を単独で用いることが最も好ましい。
【0064】
また、本実施形態の免疫反応測定方法の反応系には、その用途などに応じて、上述の効果が得られる範囲で、当該分野で公知である他の任意の成分が付加され得る。例えば、比朧法、比濁法、スライド凝集法などの均一系の免疫反応測定法に適用する場合には、本発明の免疫反応測定方法の反応系にポリエチレングリコール(PEG)を付加し得る。その含有量は、非特異的凝集が少なく、測定感度向上の効果が高いという観点から、本実施形態においては、上記の反応系に対して2〜6重量%濃度であることが好ましく、4重量%濃度であることがさらに好ましい。
【0065】
また、抗原または抗体のそれぞれの自己凝集による非特異的混濁を低減するために、本実施形態の反応系にトゥイーン20、オクチルグルコシド、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、スクロースモノラウレート、CHAPSなどの界面活性剤を付加し得る。その含有量は、抗原抗体反応の阻害が少ないという観点から、本実施形態においては、反応系に対して0.3%(w/v)以下であることが好ましく、0.1%(w/v)以下であることがさらに好ましい。
【0066】
本実施形態の免疫反応測定方法の工程St2において、反応系の光学特性を測定するために適用される測定方法は特に限定されない。特に、地帯現象が起こりうる比朧法、比濁法、スライド凝集法などの均一系の免疫反応測定方法を用いれば、より高い効果が期待できる。また、自動測定機器による測定が普及している比朧法または比濁法を適用した場合、地帯現象の判定に要する工程を削減あるいは簡略化できるため特に好ましい。
【0067】
本実施形態の免疫反応測定方法において、抗原−抗体複合体が凝集複合体であることが好ましい。また、工程Bにおいて、凝集複合体に起因する光学的変化量を測定することにより、前記凝集複合体を検出することが好ましく、光学的変化量が、散乱光強度または透過光量の変化量であることがさらに好ましい。
【0068】
本実施形態の免疫反応測定方法は、代表的には、以下のようにして行なうことができる。フタル酸またはフタル酸の塩を、反応系のpHを酸性に、好ましくは、pHが4.5〜5.5に、より好ましくはpHが4.5に保たれるように緩衝剤が含まれた緩衝液に付加する。このとき、フタル酸またはフタル酸の塩の濃度は、抗原抗体反応時の濃度が0.2M以下、好ましくは0.1M以下、特に好ましくは0.1Mの濃度になるように付加する。なお、フタル酸またはフタル酸の塩が緩衝剤を兼ねていてもよい。被測定物質の含有量を測定したい試料(検体)と、特異結合物質を含有する溶液とを上記緩衝液に順次添加および混合することにより反応系を構築し、試料を基準として反応系の光学的変化量を測定する。
【0069】
なお、フタル酸またはフタル酸の塩を添加する方法、反応系のpHを酸性に保つために緩衝剤を添加する方法、及び反応系のpHを調整する方法は上記に限定されない。例えば、特異結合物質を含有する溶液中に、あらかじめ上記要件を満たすように、フタル酸またはフタル酸の塩を混合しておいてもよく、さらに緩衝剤を混合しておいてもよい。
【0070】
次に、本実施形態の免疫反応測定方法で用いる免疫反応測定用試薬キットを説明する。
【0071】
本実施形態の免疫反応測定用試薬キットは、被測定物質に対して特異的に結合する特異結合物質と、フタル酸またはフタル酸の塩と、被測定物質と、特異結合物質と、フタル酸またはフタル酸の塩とを含む反応系のpHを7未満に設定するための緩衝剤とを含むように調製されている。被測定物質と上記特異結合物質との組み合わせは、抗原と抗体との組み合わせである。
【0072】
本実施形態の免疫反応測定用試薬キットを、被測定物質の含有量を測定しようとする試料に添加することによって、図1に示す工程St1で、被測定物質の含有量を測定しようとする試料と、被測定物質に対して特異的に結合する特異結合物質と、フタル酸またはフタル酸の塩とを含む反応系を構築することができる。被測定物質が試料中に含まれているときには、被測定物質と特異結合物質との抗原抗体反応による凝集複合体が生じる。被測定物質が試料中に含まれていないときには、被測定物質と特異結合物質との抗原抗体反応による凝集複合体が生じない。
【0073】
従って、本実施形態の免疫反応測定用試薬キットを用いて図1に示す各工程を実施することによって、抗原抗体反応によって生じる凝集複合体による反応系の光学特性の測定値を向上させることができる。つまり、本実施形態の免疫反応測定用試薬キットによれば、高い測定感度で被測定物質の量を測定することができる。さらに本実施形態において用いるフタル酸またはフタル酸の塩は低分子物質であるため、溶液の粘性を増大させず、その測定操作上の取り扱いも容易となる。
【0074】
また、抗原が抗体に比べて過剰に存在する場合に生じる地帯現象も緩和できる。さらに、地帯現象が緩和されることによって、被測定物質の高濃度での測定値の落ちこみが軽減される。このため、被測定物質の含有量を正確に測定できる測定濃度範囲を広げることができる。
【0075】
ここで、本実施形態の免疫反応測定用試薬キットは、フタル酸とフタル酸の塩の両方を含んでいてもよい。また、フタル酸またはフタル酸の塩によって緩衝能が与えられ、上記工程St1の反応系のpHが7未満になるように調製されていることが好ましい。つまり、フタル酸またはフタル酸の塩が緩衝剤としても機能することが好ましい。
【0076】
また、本実施形態の免疫反応測定用試薬キットは、さらに別の緩衝剤を含んでいてもよい。このとき緩衝剤としては、当該分野で公知のものを用いることができる。例えば、リン酸二水素一ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどのリン酸塩からなるリン酸系の緩衝剤、酢酸ナトリウム、カコジル酸ナトリウム、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸、コハク酸などが挙げられる。この場合、緩衝剤の量は、用いる緩衝剤の種類、被測定対象物を含む試料(検体)の量、及び反応系に対する被測定物質である抗原または抗体に対する抗体または抗原の供給方法などに応じて、適宜調整すればよい。
【0077】
また、本実施形態の免疫反応測定用試薬キットは、上記工程St1で反応系のpHが4.5〜5.5の範囲内になるように調製されていることが好ましく、4.5〜5.3の範囲内になるように調製されていることがより好ましく、4.5〜5.0の範囲内になるように調製されていることがさらに好ましい。上記pH範囲では、上述の測定値向上効果が高くなり、また、地帯現象の緩和効果も高くなるからである。特に、反応系のpHがほぼ4.5になるように調整されていることが好ましい。
【0078】
本実施形態の免疫反応測定用試薬キットは、工程St1での反応系におけるフタル酸またはフタル酸の塩の濃度が0.2M以下となるように調製されていることが好ましい。このことによって、上述の測定値向上効果がより高くなり、また、地帯現象の緩和効果もより高くなる。これらの効果をさらに高くするためには、反応系におけるフタル酸またはフタル酸の塩の濃度が0.1M以下となるように調製されていることがより好ましく、特に上記効果を顕著に高くするためには、反応系におけるフタル酸またはフタル酸の塩の濃度がほぼ0.1Mとなるように調製されていることがさらに好ましい。
【0079】
本実施形態の測定用試薬キットに含まれるフタル酸またはフタル酸の塩としては、フタル酸、無水フタル酸、フタル酸水素カリウム、フタル酸カリウム、フタル酸二ナトリウム、フタル酸アンモニウム、フタル酸銅(II)などが挙げられる。これらはいずれも市販されているものであり、容易に入手できる。これらを単独または組み合わせて使用することもできる。これらの中でも、本実施形態の免疫反応測定方法及び免疫反応測定用試薬キットで用いられるフタル酸の塩としては、水に対する溶解性が高く、また溶解時の水溶液のpHが4.0付近であるという観点から、フタル酸水素カリウムが特に好ましい。
【0080】
なお、フタル酸には、o−フタル酸、m−フタル酸およびp−フタル酸(テレフタル酸)の異性体がある。本実施形態では、o−フタル酸、m−フタル酸およびp−フタル酸の混合物を用いてもよい。また、水に対する溶解性が高いo−フタル酸を単独で用いることが最も好ましい。なお、フタル酸の塩を用いる場合もフタル酸と同様に、o−フタル酸、m−フタル酸およびp−フタル酸の塩の混合物を用いてもよい。また、水に対する溶解性が高いo−フタル酸の塩を単独で用いることが最も好ましい。
【0081】
また、本実施形態の免疫反応測定用試薬キットには、その用途などに応じて、上述の効果が得られる範囲で、当該分野で公知である他の任意の成分が付加され得る。例えば、比朧法、比濁法、スライド凝集法などの均一系の免疫反応測定法に適用する場合には、本実施形態の免疫反応測定用試薬キットにポリエチレングリコール(PEG)を付加し得る。その付加される量は、非特異的凝集が少なく、測定感度向上の効果が高いという観点から、本実施形態では、上記の反応系において2〜6重量%濃度となる量であることが好ましく、4重量%濃度となる量であることがさらに好ましい。
【0082】
また、抗原または抗体の自己凝集による非特異的混濁を低減するために、本実施形態の免疫反応測定用試薬キットにトゥイーン20、オクチルグルコシド、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、スクロースモノラウレート、CHAPSなどの界面活性剤を付加してもよい。なお、本実施形態の免疫反応測定用試薬キットにおいて、それらが付加される量は、抗原抗体反応の阻害が少ないという観点から、反応系の0.3%(w/v)以下であることが好ましく、0.1%(w/v)以下であることがさらに好ましい。
【0083】
本実施形態の免疫反応測定用試薬キットが適用される測定系は特に限定されない。特に、地帯現象が起こりうる比朧法、比濁法、スライド凝集法などの均一系の免疫反応測定方法を用いれば、より高い効果が期待できる。また、自動測定機器による測定が普及している比朧法または比濁法と同様の測定方法を適用した場合、地帯現象の判定に要する工程を削減あるいは簡略化できるため特に好ましい。
【0084】
本実施形態の免疫反応測定用試薬キットは、代表的には、以下のようにして作製することができる。
【0085】
被測定物質(ここでは抗原とする)に特異的に結合する特異結合物質(ここでは抗体とする)を含む溶液と、フタル酸またはフタル酸の塩を含む溶液とをそれぞれ別に調製する場合は、次のようになる。
【0086】
フタル酸またはフタル酸の塩を含む溶液は、反応系のpHが7未満に保たれるように緩衝剤を用いて調製する。特に、pHが4.5〜5.5の範囲内になるように調製されていることが好ましく、4.5〜5.3の範囲内になるように調製されていることがより好ましく、4.5〜5.0の範囲内になるように調製されていることがさらに好ましい。特に、反応系のpHが4.5になるように調整されていることが最も好ましい。また、フタル酸またはフタル酸の反応系での濃度が0.2M以下、好ましくは0.1M以下、特に好ましくはほぼ0.1Mの濃度になるように、フタル酸またはフタル酸の塩および緩衝剤の量を調整し、これらを純水に溶解することにより作製する。
【0087】
なお、上記要件が満たされるのであれば、緩衝剤、フタル酸またはフタル酸の塩を、それぞれ別々の溶液中に溶解して調製してもよい。また、上記pH範囲を満たすのであれば、緩衝剤を添加せずにフタル酸またはフタル酸の塩が緩衝剤を兼ねる溶液としてもよい。
【0088】
特異結合物質を含む溶液は、上述のフタル酸またはフタル酸の塩を含む溶液と混合したときに、反応系が上記要件を満たすのであれば、任意の組成であってよい。
【0089】
また、特異結合物質と、上記フタル酸または上記フタル酸の塩とを予め混合しておいてもよい。その場合は、上記で示した要件を満たすように、調製したフタル酸またはフタル酸の塩を含む溶液で、特異結合物質を含む溶液を、透析あるいはゲルろ過して低分子成分を置換すればよい。
【0090】
本実施形態の免疫反応測定方法及び免疫反応測定用試薬キットの被測定物質である抗原または抗体は、特に限定されず、一般に抗原抗体反応を利用して測定できる物質であればいずれでもよい。例えば、蛋白質、核酸、脂質、細菌、ウィルス、ハプテンなどが挙げられる。この中で、蛋白質は抗原抗体反応を用いた臨床検査上の主たる測定対象であるため、被測定物質が蛋白質である場合、本実施形態の免疫反応測定方法及び免疫反応測定用試薬キットは非常に適している。蛋白質として例えば、LH(黄体形成ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)、hCG(絨毛性性腺刺激ホルモン)などのホルモンや、各種免疫グロブリンクラスやサブクラス、補体成分、各種感染症のマーカー、CRP、アルブミン、リウマチ因子、血液型抗原などが挙げられる。この中で、被測定物質としてヒトアルブミンまたはヒトC反応性蛋白質(以下、ヒトCRPと略す)を測定する必要がある場合、特に本実施形態の免疫反応測定方法及び免疫反応測定用試薬キット好適に利用することができる。
【0091】
フタル酸及びフタル酸の塩はキレート作用を持っており、反応系に存在するCa2+やFe3+などの二価及び三価の金属イオンを効率的に奪う性質がある。このため、抗原がその内部に金属イオンを保持する構造を有している場合、抗原に特異的に結合する抗体は、金属イオンが脱離した状態の抗原にも特異的に結合することが好ましい。このようにすると、抗原が、金属イオンの脱離により分子構造に変化を生じる物質であっても、測定を行なうことができる。
【0092】
また、抗原がその内部に金属イオンを保持する構造を有し、金属イオンの脱離により抗原の分子構造に変化が生じる場合、抗原が保持している金属イオンと同じ金属イオンを反応系に添加し、反応系に上記金属イオンが存在するようにしてもよい。このことによって、反応系において金属イオンの脱離による抗原の分子構造の変化が抑制され、抗原に抗体が結合可能となり、測定を行なうことができる。
【0093】
このとき、添加する金属イオンの量は、使用するフタル酸またはフタル酸の塩のキレート能、その濃度、抗原が持つ金属イオンの保持能などに基づき設定すればよい。
【0094】
金属イオンを保持することが可能な分子構造を有する抗原としては、CRPが挙げられる。CRPは、Ca2+の有無によって構造変化を生じる。このため、例えば、本実施形態の免疫反応測定方法及び免疫反応測定用試薬キットで用いる抗原がヒトCRPであり、抗体としてCa2+を未保持のヒトCRPに結合しない抗体を含むヤギ抗ヒトCRPポリクローナル抗体を、さらに、フタル酸またはフタル酸の塩としてフタル酸を用いた場合には、0.02Mのフタル酸に対して、0.02MのCa2+を反応系に添加することが好ましい。
【0095】
また、抗原が、少なくとも1種類の抗体に対して複数の結合部位を持つ物質である場合、抗体は抗原の複数の結合部位に結合するモノクローナル抗体であることが好ましい。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞株により産生される。ハイブリドーマ細胞株は、抗体を産生するB細胞と骨髄腫瘍細胞(ミエローマ細胞)を細胞融合することにより得られた抗体産生能と強い増殖能を併せ持つ融合細胞集団より一つの細胞のみを分離し、増殖させることによって確立されるものである。このため、産生される抗体の性状は同じである。また、ハイブリドーマ細胞株は増殖能が強く、凍結保存が可能であるため、適切な管理をしていれば尽きることがなく、ハイブリドーマ細胞株を培養液あるいは腹腔中で培養し、精製することにより、永久に同じ性状の抗体を得続けることができる。
【0096】
一方、ポリクローナル抗体は、動物に抗原を投与し、血液中に抗原に結合する抗体を多量に出現させ、この血液の全部あるいは一部を採取し、精製することにより得られる。このため、その性質は動物の個体差、生育環境、状態などに依存する。従って、同一性状の抗体を得続けることが困難である。
【0097】
つまり、モノクローナル抗体を使用することにより、常に同じ性状の抗体を使用することが可能となり、試薬としての抗体の供給が安定する。その結果、本実施形態の免疫反応測定方法及び免疫反応測定用試薬キットによる免疫反応測定結果の安定化を図ることができる。
【0098】
本実施形態の免疫反応測定方法及び免疫反応測定用試薬キットに用いられる抗体は特に限定されず、抗原と特異結合するものであれば、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDのいずれのクラスの抗体であってもよい。この中でも、IgG抗体が好ましい。これは、IgG抗体が非特異的な反応を生じにくい性質があり、また比較的市販されているものも多いため入手も容易だからである。また、抗体の由来動物種も、特に限定されないが、ウサギ、ヤギ、マウス由来の抗体が比較的入手も容易であり、使用例も多いため好ましい。
【0099】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0100】
(実施例1)
以下で、ヒトアルブミンを被測定物質とした場合の免疫反応測定用試薬キットの構成方法を示す。本実施例では、スライド凝集法、比濁法及び比朧法による測定に使用することが可能な、抗体溶液及びフタル酸またはフタル酸の塩を含む緩衝液からなる免疫反応測定用試薬キットの作製方法について述べる。
【0101】
以下に示した緩衝液などの調製には、Milli−Q SP TOC(Millipore製)でろ過した純水を使用した。また、以下で特に記載の無い塩、緩衝剤などの試薬は、いずれも和光純薬工業製のものを入手し、ポリエチレングリコール6,000、trans−アコニット酸は1級試薬を、それ以外のものは特級試薬を使用した。
【0102】
まず、抗体溶液の調製を行なった。ウサギ抗ヒトアルブミンポリクローナル抗体は、ヒトアルブミン(和光純薬工業製)を免疫したウサギより採取した抗血清より、プロテインAカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。カラムに充填したプロテインA固定化ゲルは、アマシャム・ファルマシア製のものを使用した。精製に用いた平衡化緩衝液には、1.5Mグリシン、3.0M NaCl、pH8.9の組成のものを使用し、溶出緩衝液には、0.1Mクエン酸、pH4.0の組成のものを使用した。
【0103】
精製は次のようにして行なった。カラムに充填したゲル容量の5倍の平衡化緩衝液を流してカラムを平衡化した後、カラム全結合容量の10〜20%の抗体を含む抗血清を平衡化緩衝液で容量を2倍に希釈してカラムに流し、血清中の抗体をプロテインAに結合させた。続いて、平衡化緩衝液をプロテインAに吸着しない血清成分がカラムより出てこなくなるまで流し、カラムを洗浄した。続いて、カラムに溶出緩衝液を流し、プロテインAに結合した抗体を溶出した。溶出した抗体分画を分画分子量1万の透析チューブに入れ、約100倍容量の0.05M 3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(Dojin製、以下モプスと略称する)、0.15M NaCl、0.04重量% NaN3、pH7.4の組成の緩衝液で数回透析して、緩衝液成分を置換した。続いて、抗体濃度を280nmの吸光度測定により推定し、透析で用いたものと同じ緩衝液で調整して抗体濃度を3.0mg/mlとし、これを抗体溶液とした。なお抗体濃度は、特にこれに限定されるものではない。作製した抗体溶液は室温でも保存することができるが、抗体の変性防止の点からは、より低温保存が好ましく、4℃で保存することがより好ましい。
【0104】
フタル酸またはフタル酸の塩を含む緩衝液の調製は次のようにして行なった。なお、フタル酸またはフタル酸の塩として、それぞれフタル酸およびフタル酸水素カリウムを使用し、各物質による緩衝液をそれぞれ構成した。
【0105】
フタル酸水素カリウムを用いた緩衝液の構成方法は次のように行なった。最終濃度で、フタル酸水素カリウムを0.05M、ポリエチレングリコール6,000を4重量%になるように計量し、それぞれを調製目的体積の約90%の純水に溶解した。これにNaOH水溶液を添加してpHを4.5に調整し、純水で調製目的体積に調整した。作製した緩衝液は室温保存した。
【0106】
フタル酸を用いた緩衝液の構成方法は次のように行なった。最終濃度で、フタル酸を0.03M、ポリエチレングリコール6,000を4重量%になるように計量し、それぞれを調製目的体積の約90%の純水に溶解した。これにNaOH水溶液を添加してpHを4.5に調整し、純水で調製目的体積に調整した。作製した緩衝液は室温保存した。
【0107】
以上のように構成したフタル酸またはフタル酸の塩を含む緩衝液の少なくとも一方を抗体溶液と組み合わせることにより、免疫反応測定用試薬キットを構成することができる。
【0108】
(実施例2)
次に、ヒトCRPを被測定物質とした場合の免疫反応測定用試薬キットの構成方法を示す。ヒトCRPは、同一の構造を持つ5個のサブユニットからなる構造を持つため、1種類の抗体に対して複数の結合部位を持つ物質である。このため、1種類の抗CRPモノクローナル抗体を使用することによっても、均一系の免疫反応測定に使用される免疫反応測定用試薬キットを作製することができる。モノクローナル抗体の種類は2種類以上であってもよい。
【0109】
このため本実施例では、ポリクローナル抗体溶液とモノクローナル抗体溶液をそれぞれ用いた2種類の抗体溶液と、フタル酸またはフタル酸の塩を含む緩衝液とからなる免疫反応測定用試薬キットを作製した。
【0110】
まず、ポリクローナル抗体溶液の調製方法を示す。
【0111】
ヤギ抗ヒトCRPポリクローナル抗体を、ヒトCRPを免疫したヤギより採取した抗血清から、プロテインGカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。カラムに充填したプロテインG固定化ゲルには、アマシャム・ファルマシア製のものを使用した。精製に用いた平衡化緩衝液には、0.02M Na2HPO4−NaH2PO4、pH7.0の組成のものを使用し、溶出緩衝液には、0.1Mグリシン、pH2.7の組成のものを使用した。カラムクロマトグラフィーによる精製法、透析による緩衝液の置換方法については、実施例1と同様の方法を用いた。続いて、抗体濃度を280nmの吸光度測定により推定し、透析で用いたものと同じ緩衝液で調整して抗体濃度を1.0mg/mlとし、これをポリクローナル抗体溶液とした。
【0112】
ヒトCRPはCa2+の保持の有無によって構造変化を生じる。このため、免疫反応測定用試薬キットを構成する抗体溶液にCa2+を未保持のヒトCRPに対して結合しない抗体が含まれる場合、フタル酸またはフタル酸の塩によるキレート作用により、Ca2+を未保持のヒトCRPが増加し、抗原抗体反応の反応率の低下が生じる可能性がある。ここでは、ポリクローナル抗体溶液を調製したため、Ca2+を未保持のヒトCRPに対して結合しない抗体がポリクローナル抗体溶液に含まれる。従って、以下に示すフタル酸またはフタル酸の塩を含む緩衝液の調製では、ヒトCRPの構造を保つために、緩衝液にCa2+を添加した。
【0113】
具体的には、フタル酸またはフタル酸の塩を含む緩衝液の調製を次のように行なった。なお、フタル酸またはフタル酸の塩として、本実施例ではフタル酸を使用した。
【0114】
最終濃度で、フタル酸を0.02M、CaCl2を0.02M、ポリエチレングリコール6,000を4重量%になるように計量し、それぞれを調製目的体積の約90%の純水に溶解した。得られた溶液にNaOH水溶液を添加してpHを4.5に調整し、純水で目的体積に調整することにより緩衝液を得た。得られた緩衝液を室温保存した。
【0115】
次に、モノクローナル抗体溶液の調製方法を示す。
【0116】
モノクローナル抗体としては、反応系へのキレート剤(例えば、0.02Mのフタル酸またはエチレンジアミン四酢酸など)の添加によってもヒトCRPに対する結合能力を喪失しない、すなわち、Ca2+を保持していないヒトCRPとも特異的に結合する抗体を用いた。具体的には、モノクローナル抗体溶液を次のように調製した。
【0117】
本実施例で用いたマウス抗ヒトCRPモノクローナル抗体は、次のようにして得られた。まず、マウス抗ヒトCRPモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞(工業技術院生命工学工業技術研究所受託番号FERM BP−6620号)をマウス腹腔内に注入し、増殖させることにより腹水を得た。得られた腹水より、実施例1と同様のカラムクロマトグラフィー法を用いて精製することによってマウス抗ヒトCRPモノクローナル抗体試料を得た。
【0118】
腹水は、具体的には次のようにして得られた。腹水の産生には、リタイアしたメスのBALB/cマウスを用いた。マウスの腹腔内に0.5〜1mlのプリスタンを注入し、約7日後に下記細胞懸濁液を0.5〜1ml注入した後、腹水産生の見られたマウスより順に腹水を採取した。ここで、腹腔内に注入したハイブリドーマ細胞懸濁液は、RPMI1640培地(SIGMA製)に5〜15体積%のウシ胎児血清を混合した培地を用いた培養により増殖させたものを、RPMI1640培地で遠心洗浄し、1×106〜107cells/mlの濃度になるようにRPMI1640培地に再懸濁することによって得られた。
【0119】
次に、カラムクロマトグラフィーによる精製を終えたマウス抗ヒトCRPモノクローナル抗体試料を、分画分子量1万の透析チューブに入れ、約100倍容量の0.04重量%NaN3を含むPBS緩衝液(8g/l NaCl、0.2g/l KCl、1.15g/l Na2HPO4・12H2O、0.2g/l KH2PO4、pH7.4)で数回透析して、緩衝液成分を置換した。続いて、抗体濃度を280nmの吸光度測定により推定し、透析で用いたものと同じ緩衝液で調整して抗体濃度を1.0mg/mlとし、これをモノクローナル抗体溶液とした。
【0120】
フタル酸またはフタル酸の塩を含む緩衝液の調製は次のようにして行なった。フタル酸またはフタル酸の塩には、フタル酸水素カリウムを使用して緩衝液を構成した。なお、本実施例のモノクローナル抗体溶液の抗体は、ヒトCRPのCa2+保持の有無による構造変化の影響を受けないため、緩衝液にはCa2+を添加しなかった。
【0121】
フタル酸水素カリウムを用いた緩衝液の構成方法は次のように行なった。最終濃度で、フタル酸水素カリウムを0.05M、ポリエチレングリコール6,000を4重量%になるように計量し、それぞれを調製目的体積の約90%の純水に溶解した。得られた溶液にNaOH水溶液を添加してpHを4.5に調整し、純水で調製目的体積に調整することにより緩衝液を得た。得られた緩衝液を室温保存した。
【0122】
なお、上述のように作製した各抗体溶液の濃度は、特にこれらに限定されるものではない。また、作製した各抗体溶液は室温でも保存することができるが、抗体の変性防止の点からは、より低温保存が好ましく、4℃で保存することがより好ましい。
【0123】
以上のように構成したフタル酸またはフタル酸の塩を含む緩衝液を抗体溶液と組み合わせることにより、免疫反応測定用試薬キットを構成することができる。
【0124】
実施例1及び2で構成した試薬の使用方法は、反応系を構築するために、抗原を含む試料(検体)、抗体溶液、フタル酸またはフタル酸の塩を含む緩衝液を混合して使用する。混合方法は任意の方法によればよい。混合する比率は、必要とする抗原濃度の測定範囲に応じて決定することができる。混合により構築された反応系では抗原抗体反応が生じ、凝集複合体が生成する。凝集複合体による反応系の濁りの程度を、散乱光強度の変化量などを測定することによって見積もり、その結果に基づいて検体中の抗原濃度を知ることができる。
【0125】
混合により、緩衝剤、フタル酸またはフタル酸の塩、ポリエチレングリコール6,000などの添加剤の濃度が初期濃度より希釈されるが、希釈された濃度と初期濃度との差が10%程度までなら、得られる測定結果は、初期濃度から予想される測定結果とは大差がなく多大な影響を受けない。また、希釈による濃度変化を回避するために、混合時に試薬中の各物質の濃度が目的濃度になるように、抗体溶液およびフタル酸またはフタル酸の塩を含む緩衝液を調製しておいてもよい。
【0126】
なお、実施例1及び2では示さなかったが、抗体をラテックス、金コロイド、磁気微粒子などの微粒子担体に固定化してもよく、また、抗体に酵素、色素、蛍光物質、発光物質などを標識してもよい。
【0127】
抗体溶液の調製に用いる緩衝剤及び抗体溶液のpHは、上述の組成及びpHに限定されない。例えば、一液系の試薬を構成する場合は、抗体溶液にフタル酸またはフタル酸の塩を含ませる。このため、反応系のpHを7未満に維持するために、フタル酸またはフタル酸の塩を含む酸性緩衝液で透析を行なえばよい。
【0128】
実施例1及び2では、pH調整にNaOHを使用したが、KOH、LiOH、NH4OH、Ca(OH)2、Mg(OH)2などの水酸化物を使用してもよい。
【0129】
また、実施例1及び2では、フタル酸またはフタル酸の塩を含む緩衝液の調製にフタル酸水素カリウムおよびフタル酸を使用したが、他のフタル酸またはフタル酸の塩であってもよく、例えば、無水フタル酸、フタル酸カリウム、フタル酸二ナトリウム、フタル酸アンモニウム、フタル酸銅(II)などのいずれかを用いてもよい。また、これらを組み合わせて使用することもでき、その場合のpH調整は、純水に溶解したときのpHが、調整目的とするpHよりアルカリ側の場合、HClなどを利用し、調整目的とするpHより酸性側の場合、上記で示した水酸化物などを利用して行えばよい。また、上記で例示したフタル酸またはフタル酸の塩の混合比を調整して行なってもよい。
【0130】
また、実施例1及び2では、フタル酸またはフタル酸の塩を含む緩衝液の主たる緩衝能がフタル酸またはフタル酸の塩によって付与された場合の作製方法を示した。しかし、緩衝液に添加されるフタル酸またはフタル酸の塩の濃度は特に限定されるものではない。また、フタル酸またはフタル酸の塩を含む緩衝液の主たる緩衝能が他の緩衝剤によって付与されてもよく、フタル酸またはフタル酸の塩と他の緩衝剤とを協調させて緩衝能が付与されてもよい。
【0131】
(実施例3)
本実施例では、本発明によるフタル酸またはフタル酸の塩を含む酸性反応系での抗原測定に対する効果を、免疫反応測定方法で一般的に使用されている中性反応系での抗原測定と対比して示す。対比は、ヒトアルブミンを比朧法により測定して行なった。フタル酸またはフタル酸の塩を含む酸性反応系を構成するための試薬は、実施例1で構成したものを用いた。
【0132】
以下、実施例1で作製したフタル酸水素カリウムを用いた緩衝液をフタル酸水素カリウム緩衝液と称し、フタル酸を用いた緩衝液をフタル酸緩衝液と称する。
【0133】
また、比較例として、中性反応系を構成するための緩衝液の構成にはモプスを使用し、0.05Mモプス、4重量%ポリエチレングリコール6,000、pH7.4の組成のものと、0.03Mモプス、4重量%ポリエチレングリコール6,000、pH7.4の組成のものとを用意した。以下、それぞれ、0.05Mモプス緩衝液及び0.03Mモプス緩衝液と称する。各緩衝液は室温で保存した。
【0134】
抗原に用いたヒトアルブミン(和光純薬工業製)と、0.05Mモプス、0.04重量%NaN3、pH7.4の組成の緩衝液とを用いて、ヒトアルブミン濃度がそれぞれ0、5、10、20、30、50、70、100、200、300、500mg/dlであるヒトアルブミン溶液を作製した。ヒトアルブミン溶液は使用時まで4℃で保存した。
【0135】
測定には、分光蛍光光度計(島津製作所製、型番RF−5300PC)を使用した。分光蛍光光度計の試料室に、恒温水槽(TAITEC製、商品名COOLNIT BATH EL−15)に接続された恒温セルホルダ(島津製作所製、型番206−15440)を配置し、温度を25℃に保った水を恒温水槽内で循環させて、測定時の石英セル内の温度を一定に保てるようにした。分光蛍光光度計の測定条件は、励起、蛍光波長を共に670nmとし、蛍光側、励起側共にバンド幅を3nmに、感度は高感度に設定した。
【0136】
測定は次のようにして行なった。2.87mlの各緩衝液に0.1mlの実施例1で調製した抗体溶液を添加して攪拌混合した後、各混合液に各濃度のヒトアルブミン溶液0.03mlをそれぞれ加え攪拌混合した。反応系におけるウサギ抗ヒトアルブミンポリクローナル抗体は約0.10mg/ml、ヒトアルブミン濃度は測定に使用したヒトアルブミン溶液の濃度に0.01を乗じたものになる。これを蛍光分析用の石英セルに移し、分光蛍光光度計に設置し、T型熱電対(RSコンポーネンツより入手、型番219−4696)を石英セル内に浸漬し、ヒトアルブミンを混合後2分間経過した時点からタイムコース測定で、0.04秒間隔で300秒間測定した。測定中の石英セル内の温度は、T型熱電対をデジタルマルチサーモメータ(アドバンテスト製、型番TR2114)に接続してモニタした。石英セルの汚れが測定に与える影響を除くために、各反応の測定前にセル中に純水を入れて測定した値を用いて補正した。測定により得られた200〜300秒の間の各測定値の平均値を求め、これを各濃度のヒトアルブミン溶液に対する測定値とした。各緩衝液、抗体溶液、各濃度のヒトアルブミン溶液の混合による反応系のpHへの影響を見るために、測定終了後、pH計で、反応系の混合液のpH測定を行なった。
【0137】
次に測定結果を述べる。各測定に使用した各緩衝液、抗体溶液、各濃度のヒトアルブミン溶液からなる反応系の混合液のpHは、緩衝液のpHとほぼ同じであった。また、熱電対測定によって得られた各測定中のセル内の温度は25.5±1℃に保たれていた。
【0138】
図4は0.05Mフタル酸水素カリウム緩衝液による反応系と、0.05Mモプス緩衝液による反応系に対して、それぞれ500mg/dlまでの各ヒトアルブミン溶液を加えて測定した結果をプロットしたものである。縦軸は散乱光強度を表し、横軸は測定に使用したヒトアルブミン溶液の濃度で示す。散乱光強度が大きいほど、反応系の濁りの程度(濁度)が高いことを示し、抗原抗体反応による凝集複合体が多く形成されたことを示している。なお、プロットされた各値は、各緩衝液について、得られた各濃度のヒトアルブミン溶液の測定値からヒトアルブミン濃度が0mg/dlの測定値を差し引いたものである。
【0139】
図4に示すように、0.05Mモプス緩衝液を用いて測定した場合よりも、0.05Mフタル酸水素カリウム緩衝液を用いて測定した場合の方が明らかに高い測定値を示した。また、0.05Mモプス緩衝液を用いた場合は、50mg/dl付近に測定値のピークが現れ、ヒトアルブミンが高濃度となるにつれて地帯現象により、測定値は大きく減少を示した。しかし、0.05Mフタル酸水素カリウム緩衝液を用いた場合は、70〜100mg/dl付近に測定値のピークを持ち、ヒトアルブミンが高濃度となっても、地帯現象による測定値の減少が抑えられていた。
【0140】
図5は0.03Mフタル酸緩衝液を用いた反応系と、0.03Mモプス緩衝液を用いた反応系とに対して、それぞれ500mg/dlまでの各濃度のヒトアルブミン溶液を加えて測定した結果をプロットしたものである。縦軸は散乱光強度を表し、横軸は測定に使用したヒトアルブミン溶液の濃度で示す。なお、プロットされた各値は、各緩衝液について、得られた各濃度のヒトアルブミン溶液の測定値から、ヒトアルブミン濃度が0mg/dlの測定値を差し引いたものである。
【0141】
図5に示すように、0.03Mモプス緩衝液を用いて抗原抗体反応を測定した場合よりも、0.03Mフタル酸緩衝液を用いて測定した場合の方が、明らかに高い測定値を示した。また、0.03Mモプス緩衝液を用いた場合は、50mg/dl付近を測定値のピークとして、ヒトアルブミンが高濃度となるにつれて地帯現象により、測定値は大きく減少を示した。しかし、0.03Mフタル酸緩衝液を用いた場合は、70〜100mg/dl付近に測定値のピークを持ち、ヒトアルブミンが高濃度となっても、地帯現象による測定値の減少が抑えられていた。
【0142】
以上の結果からわかるように、本発明の免疫反応測定方法および免疫反応測定用試薬キットによれば、従来の免疫反応測定方法および免疫反応測定用試薬キットよりも高い測定値が得られることが確認できた。また、従来の免疫反応測定方法および免疫反応測定用試薬キットよりも地帯現象を緩和させ得ることも確認できた。
【0143】
臨床検査では、糖尿病性腎症の早期診断マーカーとして、尿中に排泄される微量なヒトアルブミンが測定対象となっており、0.1〜20mg/dlの範囲を定量領域としている免疫反応測定方法および免疫反応測定用試薬キットが多い(新・糖尿病性腎症 発症予防と進展防止のために、繁田幸雄、海津嘉蔵 編集、第131頁(1992)参照のこと)。比朧法による従来の測定方法及びそれに用いられる試薬キットによれば、地帯現象を緩和するためには、均一系の免疫反応が平衡反応であることを利用し、反応系として構築される中性緩衝液中の抗体濃度を増すか、あるいは、中性緩衝液の希釈などにより抗原濃度を低下させることにより解決する必要がある。
【0144】
しかし、本発明の免疫反応測定方法及び免疫反応測定用試薬キットを適用すれば、抗体濃度が低く、且つ、抗原濃度が高い場合にも地帯現象を緩和できる。このため、例えば、本実施例での測定結果をもとにすると、20mg/dlの測定値以上を陽性値とする判定領域を設けることにより、0.05Mフタル酸水素カリウム緩衝液あるいは、0.03Mフタル酸緩衝液により構成した反応系では、500mg/dlまでの広範囲を測定範囲とすることが可能である。しかし、比較例の中性緩衝液系では、120〜130mg/dl程度までが限界である。
【0145】
以上示したように、本発明の免疫反応測定方法及び免疫反応測定用試薬キットによれば、従来の中性緩衝液系での測定に比べても、より広い濃度範囲のヒトアルブミンを地帯現象の影響を考えることなく測定することができる。
【0146】
(実施例4)
次に、フタル酸またはフタル酸の塩としてフタル酸水素カリウムを用いた本発明の免疫反応測定方法及び免疫反応測定用試薬キットによる測定値のpH依存性を、比朧法により調べた内容について示す。被測定物質としてはヒトアルブミンを用いた。ヒトアルブミン溶液の調製は、実施例3と同様の方法により行い、濃度が0、5、10、20、30、50、70、100、200、300、500mg/dlのものを用意した。抗体溶液は、実施例1と同じのものを用いた。
【0147】
測定値のpH依存性を調べるための反応系を構成する緩衝液として、0.05Mフタル酸水素カリウム及び4重量%ポリエチレングリコール6,000を含む溶液のpHを4.0、4.5、5.0、5.5、6.0にそれぞれ調整した0.05Mフタル酸水素カリウム緩衝液を用意した。
【0148】
比較例としては、0.05Mモプス及び4重量%ポリエチレングリコール6,000を含む溶液のpHを7.4に調整した0.05Mモプス緩衝液を用いた。装置及び測定法は、実施例3と同様である。
【0149】
結果について述べる。各測定に使用した各緩衝液、抗体溶液、各濃度のヒトアルブミン溶液からなる反応系の混合液のpHは、緩衝液のpHと同一であった。また、測定中の石英セル内の温度は25.5±1℃に保たれていた。
【0150】
得られた結果を図6に示す。図6は各pHの0.05Mフタル酸水素カリウム緩衝液により構築した反応系に対して、それぞれ500mg/dlまでの各ヒトアルブミン溶液を加えて測定した結果をプロットしたものである。縦軸は散乱光強度を表し、横軸は測定に使用したヒトアルブミン溶液の濃度で示す。なお、プロットされた各値は、各緩衝液について、得られた各濃度のヒトアルブミン溶液の測定値からヒトアルブミン濃度が0mg/dlの測定値を差し引いたものである。グラフの見方は図4と同様である。
【0151】
pH4.5〜5.5までの0.05Mフタル酸水素カリウム緩衝液で反応系を構成して測定した場合、比較例である0.05Mモプス緩衝液で反応系を構成して測定した結果を上まわる測定値を示し、さらに、抗原が高濃度となるにつれて生じる地帯現象を緩和する効果が見られた。その効果はpH4.5の0.05Mフタル酸水素カリウム緩衝液で反応系を構成した場合に最大となった。また、図6の結果から、pH4.5〜5.3、さらに好ましくはpH4.5〜5.0の0.05Mフタル酸水素カリウム緩衝液で反応系を構成すれば、測定値の向上および地帯現象の緩和の効果が非常に安定して得られると考えられた。
【0152】
pHが6.0の0.05Mフタル酸水素カリウム緩衝液で反応系を構築した場合には、測定値は0.05Mモプス緩衝液により反応系を構築した場合を下まわった。また、測定値曲線は0.05Mモプス緩衝液により反応系を構築した場合と同様の形状を示し、抗原が高濃度となるにつれて生じる地帯現象を緩和する効果は見られなかった。
【0153】
pHが4.0の0.05Mフタル酸水素カリウム緩衝液で反応系を構成した場合には、100mg/dlまでのヒトアルブミンを反応系に加えて測定した値は、0.05Mモプス緩衝液により反応系を構成した場合を下まわった。しかし、200mg/dl以上のヒトアルブミンを反応系に加えて測定した値は、0.05Mモプス緩衝液により反応系を構成した場合を上まわり、抗原が高濃度となるにつれて生じる地帯現象を緩和する効果が見られた。
【0154】
以上の結果より、フタル酸またはフタル酸の塩を用いた免疫反応測定法では、pH4.5〜5.5に、より好ましくはpH4.5〜5.3に、さらに好ましくはpH4.5〜5.0に反応系のpHを設定することが好ましいことがわかった。また、反応系のpHを4.5に設定することにより、最大の効果を得られることがわかった。
【0155】
また同様に、フタル酸またはフタル酸の塩を用いた免疫反応測定用試薬キットでは、pH4.5〜5.5に、より好ましくはpH4.5〜5.3に、さらに好ましくはpH4.5〜5.0に反応系のpHが設定されるように調製されていることが好ましいことがわかった。また、反応系のpHが4.5に設定されるように調製されているときに、最大の効果が得られることがわかった。
【0156】
(実施例5)
次に、フタル酸またはフタル酸の塩としてフタル酸水素カリウムを用いた本発明の免疫反応測定方法及び免疫反応測定用試薬キットによる測定値のフタル酸またはフタル酸の塩の濃度に対する依存性を、比朧法により調べた内容について示す。被測定物質としてはヒトアルブミンを用いた。ヒトアルブミン溶液の調製は、実施例3と同様の方法により行ない、濃度が0、5、10、20、30、50、70、100、200、300、500mg/dlのものを用意した。抗体溶液は、実施例1と同様のものを用いた。
【0157】
測定値のフタル酸またはフタル酸の塩の濃度に対する依存性を調べるための反応系を構築する緩衝液として、フタル酸水素カリウム濃度がそれぞれ、0.01、0.025、0.05、0.1、0.2、0.3Mで、4重量%ポリエチレングリコール6,000を含むpH4.5の各フタル酸水素カリウム緩衝液を用意した。
【0158】
比較例としては、0.05Mモプス及び4重量%ポリエチレングリコール6,000を含む溶液のpHを7.4に調整した0.05Mモプス緩衝液を用いた。装置及び測定法は、実施例3と同様である。
【0159】
結果について述べる。各測定に使用した各緩衝液、抗体溶液、各濃度のヒトアルブミン溶液からなる混合液のpHは、0.01Mフタル酸水素カリウム緩衝液を使用した場合がpH4.7、0.025Mフタル酸水素カリウム緩衝液を使用した場合がpH4.6であり、他の濃度のフタル酸水素カリウム緩衝液を使用した場合はpH4.5であった。また、測定中の石英セル内の温度は25.5±1℃に保たれていた。
【0160】
得られた結果を図7に示す。図7は、約pH4.5の各濃度のフタル酸水素カリウム緩衝液により構築した反応系に対して、それぞれ500mg/dlまでの各ヒトアルブミン溶液を加えて測定した結果をプロットしたものである。縦軸は散乱光強度を表し、横軸は測定に使用したヒトアルブミン溶液の濃度で示す。なお、プロットされた各値は、各緩衝液について、得られた各濃度のヒトアルブミン溶液の測定値からヒトアルブミン濃度が0mg/dlの測定値を差し引いたものである。グラフの見方は図4と同様である。
【0161】
フタル酸水素カリウム濃度が0.2M以下のフタル酸水素カリウム緩衝液により反応系を構築した場合、比較例である0.05Mモプス緩衝液により反応系を構築した場合を上まわる測定値を示し、測定値の向上効果が確認できた。また、抗原が高濃度となるにつれて生じる地帯現象を緩和する効果も見られた。地帯現象を緩和する効果は、0.1M以下の濃度のフタル酸水素カリウム緩衝液で反応系を構築した場合に特に高かった。0.1M以下の濃度のフタル酸水素カリウム緩衝液で反応系を構築した場合、測定値向上効果は大差無かったが、地帯現象を緩和する効果は、0.1Mフタル酸水素カリウム緩衝液により反応系を構築した場合で最大となった。
【0162】
0.3Mフタル酸水素カリウム緩衝液により反応系を構成した場合は、ヒトアルブミン濃度が100mg/dlまでの測定値は、比較例である0.05Mモプス緩衝液により反応系を構成した場合を下まわった。しかし、ヒトアルブミン濃度が200mg/dl以上の測定値では、比較例を上まわり、ヒトアルブミンが高濃度となるにつれて生じる地帯現象を緩和する効果が見られた。
【0163】
以上の結果から、本発明のフタル酸またはフタル酸の塩を用いた免疫反応測定法では、一般的な中性緩衝液を上まわる効果を得るためには、フタル酸水素カリウム濃度が0.2M以下に設定されることが適していることがわかった。特に、フタル酸水素カリウム濃度を0.1M以下とすることがより好ましく、フタル酸水素カリウム濃度を0.1Mとすることが最も好ましいことがわかった。
【0164】
また同様に、本発明のフタル酸またはフタル酸の塩を用いた免疫反応測定用試薬キットでは、フタル酸水素カリウム濃度が0.2M以下に設定されるように調製されていることが好ましいことがわかった。特に、フタル酸水素カリウム濃度を0.1M以下に設定されるように調製されていることがより好ましく、フタル酸水素カリウム濃度を0.1Mに設定されるように調製されていることが最も好ましいことがわかった。
【0165】
(実施例6)
次に、フタル酸またはフタル酸の塩を他の緩衝剤と混合して使用した場合の本発明の免疫反応測定方法及び免疫反応測定用試薬キットによる測定値を、比朧法により調べた内容について示す。
【0166】
被測定物質としてはヒトアルブミンを用いた。ヒトアルブミン溶液の調製は、実施例3と同様の方法により行い、濃度が0、5、10、20、30、50、70、100、200、300、500mg/dlのものを用意した。抗体溶液は、実施例1と同様のものを用いた。
【0167】
フタル酸またはフタル酸の塩としては、フタル酸を用いた。これらと共存させる緩衝剤には、コハク酸を使用し、0.1Mコハク酸、0.02Mフタル酸、4重量%ポリエチレングリコール6,000、pH4.5の組成のコハク酸フタル酸混合緩衝液を構成した。また、フタル酸またはフタル酸の塩が存在しない場合の比較例として、0.12Mコハク酸、4重量%ポリエチレングリコール6,000、pH4.5の組成のコハク酸緩衝液を調製して用いた。
【0168】
結果について述べる。各測定に使用した各緩衝液、抗体溶液、各濃度のヒトアルブミン溶液からなる混合液のpHは、緩衝液のpHとほぼ同じであった。また、測定中の石英セル内の温度は25.5±1℃に保たれていた。
【0169】
得られた結果を図8に示す。図8は上記コハク酸フタル酸混合緩衝液及びコハク酸緩衝液によりそれぞれ構成した反応系に対して、それぞれ500mg/dlまでの各ヒトアルブミン溶液を加えて測定した結果をプロットしたものである。縦軸は散乱光強度を表し、横軸は測定に使用したヒトアルブミン溶液の濃度を示す。なお、プロットされた各値は、各緩衝液について、得られた各濃度のヒトアルブミン溶液の測定値からヒトアルブミン濃度が0mg/dlの測定値を差し引いたものである。グラフの見方は図4と同様である。
【0170】
結果は、コハク酸フタル酸混合緩衝液を用いた場合、比較例であるコハク酸緩衝液を用いた場合よりも、測定値が向上しており、効果があることが確認できた。また、抗原が高濃度となるにつれて生じる地帯現象を緩和する効果も見られた。
【0171】
以上の結果により、本発明の免疫反応測定方法及び免疫反応測定用試薬キットにおいて、フタル酸またはフタル酸の塩を他の緩衝剤と共存させて使用した場合でも、測定値向上効果および地帯現象を緩和する効果を奏することが確認できた。
【0172】
(実施例7)
次に、実施例2で作製したヤギ抗ヒトCRPポリクローナル抗体溶液を用いて、本発明によるヒトCRP測定に対する効果を、従来の免疫反応測定方法で一般的に使用されている中性反応系でのヒトCRP測定と対比した結果について示す。
【0173】
測定に用いた各濃度のヒトCRP溶液の調製は、精製ヒトCRP(Chemicon International製、Lot No.21042246)を、0.05Mモプス、0.04重量%NaN3、pH7.4の組成の緩衝液で希釈して調製した。ヒトCRP溶液の濃度は、0、10、20、30、50、70、100、200mg/dlのものを用意した。
【0174】
抗体溶液としては、実施例2で作製したヤギ抗ヒトCRPポリクローナル抗体溶液を使用した。
【0175】
フタル酸またはフタル酸の塩を含む緩衝液として、実施例2で作製したフタル酸緩衝液(0.02Mフタル酸、0.02MCaCl2、4重量%ポリエチレングリコール6,000、pH4.5)を用いた。
【0176】
また、フタル酸またはフタル酸の塩が存在しない場合の比較例として、0.05Mモプス及び4重量%ポリエチレングリコール6,000を含む溶液のpHを7.4に調整した0.05Mモプス緩衝液を用いた。
【0177】
測定装置は自作のものを使用し、次のように構成した。光源は270Hzで変調した波長680nmの出射出力15mW半導体レーザーポインタ(キコー技研製、型番MLXS−D−12−680−35)とし、検出器は、可視赤外精密測光用シリコンフォトダイオード(浜松フォトニクス製、型番S2387−66R)とした。セルは厚さ0.1cmの光学ガラス板を張り合わせ、容量約200μlの正四角柱形に構成した。各配置は、光源より0.5cmのところに、その一面が光源と垂直になるようにセルを配置し、検出器は、光源と90°の角度を成す方向で、セルより5.5cm離れた場所に配置し、検出器に迷光が入射しないように、検出器とセルとの間には遮光筒を設けた。検出器により検知された光量に依存した電流信号は、電流電圧変換回路(106V/A)およびオペアンプによる増幅回路を経て100倍の電圧信号に増幅した後、ロックインアンプ(エヌエフ回路設計ブロック製、型番5610B)を通して位相敏感検波し、GPIB制御によりコンピュータに取り込めるようにした。
【0178】
各緩衝液について、各濃度のヒトCRPに対する測定は次のようにして行なった。反応系の混合比は、緩衝液が178μl、ヒトCRP溶液が9μl、抗体溶液が7μlとした。反応系におけるヤギ抗ヒトCRPポリクローナル抗体の最終濃度は約0.036mg/ml、ヒトCRPの最終濃度は、測定に使用したヒトCRP溶液の濃度に0.046を乗じたものになる。
【0179】
まず、セル内に緩衝液とヒトCRP溶液とを上記容量で攪拌混合した。続いて、抗体溶液を上記容量で加えて攪拌混合し、抗原抗体反応を生じさせた。散乱光の測定は、抗体溶液を加える10秒前から開始し、0.5秒間隔で300秒間継続した。測定値は電圧値として得られた。セルの汚れが測定に与える影響は、各反応の測定前にセル中に純水を入れて測定した値を用いて補正することにより除いた。得られた各時間における測定値の200〜300秒の間の平均値を求め、これを各濃度のヒトCRP溶液における測定値とした。また、抗体溶液を加えるまでの10秒間の測定値より、抗原による自己凝集が生じたと判断できた場合は、それらの平均値を上記で求めた各濃度のヒトCRP溶液における測定値から差し引いた。測定は室温(約20℃)で行なった。
【0180】
結果について示す。図9は各緩衝液について100mg/dlまでの各ヒトCRP溶液を加えて測定した結果をプロットしたものである。縦軸は測定された電圧値を表し、横軸は測定に使用したヒトCRP溶液の濃度で示した。測定電圧値が高い程、検出器に入射した散乱光が多いことを表しており、反応系の濁度が高い、すなわち、抗原抗体反応による凝集複合体が多く形成されたことを示している。なお、プロットされた各値は、得られた各濃度のヒトCRP溶液の測定値からヒトCRP濃度が0mg/dlの測定値を差し引いたものである。
【0181】
図9に示すように、比較例であるモプス緩衝液を用いて測定した場合に比べて、実施例2で作製した、ヤギ抗ヒトCRPポリクローナル抗体溶液、並びに0.02MCaCl2及びフタル酸を含む緩衝液から構成される試薬を用いて測定した場合の方が、各濃度のヒトCRP溶液の測定において高い測定値を示すことが確認できた。
【0182】
(実施例8)
次に、実施例2で作製したマウス抗ヒトCRPモノクローナル抗体溶液を用いて、本発明によるヒトCRP測定に対する効果を、従来の免疫反応測定方法で一般的に使用されている中性反応系でのヒトCRP測定と対比した結果について示す。
【0183】
測定に用いた各濃度のヒトCRP溶液の調製は、実施例7と同様の方法を用いた。ヒトCRP溶液の濃度は0、10、20、30、50、70、100mg/dlのものを用意した。
【0184】
抗体溶液としては、実施例2で作製したマウス抗ヒトCRPモノクローナル抗体溶液を使用した。
【0185】
フタル酸またはフタル酸の塩を含む緩衝液として、実施例2で作製したフタル酸水素カリウム緩衝液(0.05Mフタル酸水素カリウム、4重量%ポリエチレングリコール6,000、pH4.5)を用いた。
【0186】
フタル酸またはフタル酸の塩が存在しない場合の比較例として、0.05Mモプス及び4重量%ポリエチレングリコール6,000を含む溶液のpHを7.4に調整した0.05Mモプス緩衝液を用いた。
【0187】
測定には、実施例7で述べたものと同じ構成の装置および測定条件を用いた。また、測定方法および測定データの処理方法などに関してもすべて実施例7で述べたものと同じ方法を用いた。従って、反応系におけるマウス抗ヒトCRPモノクローナル抗体の最終濃度は約0.036mg/ml、ヒトCRPの最終濃度は、測定に使用したヒトCRP溶液の濃度に0.046を乗じたものになる。
【0188】
結果について示す。図10は、フタル酸またはフタル酸の塩にフタル酸水素カリウムを用いて実施例2で構成した0.05Mフタル酸水素カリウム緩衝液と、比較例である0.05Mモプス緩衝液について、100mg/dlまでの各ヒトCRP溶液を加えて測定した結果をプロットしたものである。縦軸は測定された電圧値を表し、横軸は測定に使用したヒトCRP溶液の濃度を示す。なお、プロットされた各値は、得られた各濃度のヒトCRP溶液の測定値からヒトCRP濃度が0mg/dlの測定値を差し引いたものである。グラフの見方は図9と同様である。
【0189】
図10から、比較例である0.05Mモプス緩衝液を用いてヒトCRP測定を行なった場合には、10mg/dlのヒトCRP溶液の測定では、0mg/dlのヒトCRP溶液の測定値との間に十分な測定値差が得られず、実質的にヒトCRPの濃度差を測定することができなかった。一方、0.05Mフタル酸水素カリウム緩衝液で測定した場合、各濃度のヒトCRP溶液測定において明らかに高い測定値を示し、10mg/dlのヒトCRP溶液の測定においても、0mg/dlのヒトCRP溶液の測定値との間に十分な測定値差を得ることができた。つまり、ヒトCRPの濃度差を測定することが可能となった。
【0190】
以上の実施例7及び8で示したように、本発明の免疫反応測定方法及びそれに用いる免疫反応測定用試薬キットが、ヒトCRP測定に対しても測定値の向上効果を持つことが確認できた。
【0191】
以上説明したように、本発明の免疫反応測定方法及び免疫反応測定用試薬キットによれば、免疫反応の反応系にフタル酸またはフタル酸の塩を存在させ、反応系のpHを酸性に設定したことにより、抗原抗体の結合による免疫反応の測定値を向上させることができ、また、これにより抗原過剰領域で生じる地帯現象を緩和することができる。
【0192】
従来の水溶性高分子を添加する方法では、測定値を向上させ良好なS/N比を維持し安定した測定を行なうために、より高濃度あるいは高分子量の水溶性高分子を添加する必要がある。このため、溶液の粘性を増大させ、その分析操作上の取り扱いが困難になるという不具合がある。しかしながら、本発明において用いるフタル酸またはフタル酸の塩は低分子物質であるため、溶液の粘性を増大させず、その分析操作上の取り扱いも容易となる。
【0193】
また、本実施形態の免疫反応測定方法及び免疫反応測定用試薬キットによれば、地帯現象が緩和されることによって、被測定物質の高濃度での測定値の落ちこみが軽減される。このため、被測定物質の含有量を正確に測定できる測定濃度範囲を広げることができる。
【0194】
【産業上の利用可能性】
以上説明したように、本発明により、容易に測定値の向上が可能な免疫反応測定方法及びそれに用いる免疫反応測定用試薬キットを提供することができる。さらに、抗原過剰領域で生じる地帯現象を緩和することが可能な免疫反応測定方法及びそれに用いる免疫反応測定用試薬キットも提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の1つの実施形態の免疫反応測定方法の各工程を表すフローチャートである。
【図2】 図2は、本発明の反応機構に対する本発明者らの推察を説明する模式図である。
【図3】 図3(a)および(b)は、均一系の免疫反応測定方法の反応系における抗原および抗体の反応の様子を模式的に示す図である。
【図4】 図4は、本発明の一実施例におけるフタル酸水素カリウムを含む免疫反応測定用試薬キットを用いた免疫反応測定方法と比較例について、比朧法によるヒトアルブミン測定を行なった結果を示すグラフである。
【図5】 図5は、本発明の一実施例におけるフタル酸を含む免疫反応測定用試薬キットを用いた免疫反応測定方法と比較例について、比朧法によるヒトアルブミン測定を行なった結果を示すグラフである。
【図6】 図6は、本発明の他の実施例におけるフタル酸水素カリウムを含む免疫反応測定用試薬キットを用いた免疫反応測定方法について、比朧法によるヒトアルブミン測定におけるpH依存性を調べた結果を示すグラフである。
【図7】 図7は、本発明のさらに他の実施例におけるフタル酸水素カリウムを含む免疫反応測定用試薬キットを用いた免疫反応測定方法について、比朧法によるヒトアルブミン測定におけるフタル酸水素カリウム濃度依存性を調べた結果を示すグラフである。
【図8】 図8は、本発明のさらに他の実施例におけるフタル酸と他の緩衝剤とを含む免疫反応測定用試薬キットを用いた免疫反応測定方法と比較例について、比朧法によるヒトアルブミン測定を行なった結果を示すグラフである。
【図9】 図9は、本発明のさらに他の実施例におけるヤギ抗ヒトCRPポリクローナル抗体とフタル酸とを含む免疫反応測定用試薬キットを用いた免疫反応測定方法と比較例について、比朧法によるヒトCRP測定を行なった結果を示すグラフである。
【図10】 図10は、本発明のさらに他の実施例におけるマウス抗ヒトCRPモノクローナル抗体とフタル酸水素カリウムとを含む免疫反応測定用試薬キットを用いた免疫反応測定方法と比較例について、比朧法によるヒトCRP測定を行なった結果を示すグラフである。

Claims (24)

  1. 試料中の被測定物質の含有量を測定する免疫反応測定方法であって、
    上記試料と、上記被測定物質に対して特異的に結合する特異結合物質と、フタル酸またはフタル酸の塩とを含む反応系を構築する工程Aと、
    上記反応系の光学特性を測定する工程Bとを含み、
    上記工程Aにおいて、上記反応系のpHが4.5〜5.5の範囲内に設定されており、
    上記被測定物質と上記特異結合物質との組み合わせは、抗原と抗体との組み合わせであることを特徴とする免疫反応測定方法。
  2. 請求項1に記載の免疫反応測定方法において、
    上記光学特性は、散乱光強度または透過光量であることを特徴とする免疫反応測定方法。
  3. 請求項1または2に記載の免疫反応測定方法において、
    上記工程Aでは、上記反応系がさらに緩衝剤を含むことを特徴とする免疫反応測定方法。
  4. 請求項1からのいずれか1つに記載の免疫反応測定方法において、
    上記工程Aにおいて、上記反応系におけるフタル酸またはフタル酸の塩の濃度が0.2M以下であることを特徴とする免疫反応測定方法。
  5. 請求項1からのいずれか1つに記載の免疫反応測定方法において、
    上記フタル酸の塩は、フタル酸水素カリウムであることを特徴とする免疫反応測定方法。
  6. 請求項1からのいずれか1つに記載の免疫反応測定方法において、
    反応系がポリエチレングリコールを2〜6重量%含むことを特徴とする免疫反応測定方法。
  7. 請求項1に記載の免疫反応測定方法において、
    上記被測定物質は、その内部に金属イオンを保持する構造を有する抗原であり、
    上記特異結合物質は、上記金属イオンを保持していない上記抗原に特異的に結合する抗体であることを特徴とする免疫反応測定方法。
  8. 請求項に記載の免疫反応測定方法において、
    上記被測定物質は、ヒトC反応性蛋白質であることを特徴とする免疫反応測定方法。
  9. 請求項1に記載の免疫反応測定方法において、
    上記被測定物質は、その内部に金属イオンを保持する構造を有する抗原であり、
    上記特異結合物質は、ポリクローナル抗体であり、
    上記工程Aでは、上記反応系がさらに上記金属イオンを含むことを特徴とする免疫反応測定方法。
  10. 請求項に記載の免疫反応測定方法において、
    上記被測定物質は、ヒトC反応性蛋白質であることを特徴とする免疫反応測定方法。
  11. 請求項1に記載の免疫反応測定方法において、
    上記被測定物質は抗原であり、
    上記特異結合物質は、上記抗原の複数の結合部位に結合することが可能なモノクローナル抗体であることを特徴とする免疫反応測定方法。
  12. 請求項1に記載の免疫反応測定方法において、
    上記被測定物質は、ヒトC反応性蛋白質であることを特徴とする免疫反応測定方法。
  13. 試料中の被測定物質の含有量を測定するための免疫反応測定用試薬キットであって、
    上記被測定物質に対して特異的に結合する特異結合物質と、
    フタル酸またはフタル酸の塩とを含み、
    上記試料と、上記特異結合物質と、上記フタル酸または上記フタル酸の塩とを含む反応系が構築されたときに、上記反応系のpHが4.5〜5.5の範囲内になるように調整されており、
    上記被測定物質と上記特異結合物質との組み合わせは、抗原と抗体との組み合わせであることを特徴とする免疫反応測定用試薬キット。
  14. 請求項1に記載の免疫反応測定用試薬キットにおいて、
    さらに緩衝剤を含むことを特徴とする免疫反応測定用試薬キット。
  15. 請求項13または14に記載の免疫反応測定用試薬キットにおいて、
    上記反応系での上記フタル酸または上記フタル酸の塩の濃度が0.2M以下となるように調製されていることを特徴とする免疫反応測定用試薬キット。
  16. 請求項1から1のいずれか1つに記載の免疫反応測定用試薬キットにおいて、
    上記フタル酸の塩は、フタル酸水素カリウムであることを特徴とする免疫反応測定用試薬キット。
  17. 請求項1から1のいずれか1つに記載の免疫反応測定用試薬キットにおいて、
    ポリエチレングリコールをさらに含み、
    上記反応系での上記ポリエチレングリコールの濃度が2〜6重量%の範囲内となるように調製されていることを特徴とする免疫反応測定用試薬キット。
  18. 請求項1に記載の免疫反応測定用試薬キットにおいて、
    上記被測定物質は、その内部に金属イオンを保持する構造を有する抗原であり、
    上記特異結合物質は、金属イオンを保持していない上記抗原に特異的に結合する抗体であることを特徴とする免疫反応測定用試薬キット。
  19. 請求項18に記載の免疫反応測定用試薬キットにおいて、
    上記抗体は、抗ヒトC反応性蛋白質抗体であることを特徴とする免疫反応測定用試薬キット。
  20. 請求項1に記載の免疫反応測定用試薬キットにおいて、
    金属イオンを供給する金属化合物をさらに含み、
    上記被測定物質は、その内部に金属イオンを保持する構造を有する抗原であり、
    上記抗原は、その内部に上記金属イオンを保持する構造を有し、
    上記特異結合物質は、ポリクローナル抗体であることを特徴とする免疫反応測定方法。
  21. 請求項2に記載の免疫反応測定用試薬キットにおいて、
    上記抗体は、抗ヒトC反応性蛋白質抗体であることを特徴とする免疫反応測定用試薬キット。
  22. 請求項1に記載の免疫反応測定用試薬キットにおいて、
    上記被測定物質は、抗原であり、
    上記特異結合物質は、上記抗原の複数の結合部位に結合することが可能なモノクローナル抗体であることを特徴とする免疫反応測定方法。
  23. 請求項2に記載の免疫反応測定用試薬キットにおいて、
    上記モノクローナル抗体は、抗ヒトC反応性蛋白質抗体であることを特徴とする免疫反応測定用試薬キット。
  24. 請求項1に記載の免疫反応測定用試薬キットにおいて、
    上記特異結合物質と、上記フタル酸または上記フタル酸の塩とが混合されていることを特徴とする免疫反応測定用試薬キット。
JP2003556805A 2001-12-27 2002-12-27 免疫反応測定方法及びそれに用いる免疫反応測定用試薬キット Expired - Fee Related JP3871677B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001396381 2001-12-27
JP2001396381 2001-12-27
PCT/JP2002/013871 WO2003056333A1 (fr) 2001-12-27 2002-12-27 Methode de dosage immunologique et trousse de reactif de dosage immunologique destinee a etre utilisee dans ladite methode

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2003056333A1 JPWO2003056333A1 (ja) 2005-05-12
JP3871677B2 true JP3871677B2 (ja) 2007-01-24

Family

ID=19189082

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003556805A Expired - Fee Related JP3871677B2 (ja) 2001-12-27 2002-12-27 免疫反応測定方法及びそれに用いる免疫反応測定用試薬キット

Country Status (6)

Country Link
US (1) US7056682B2 (ja)
EP (1) EP1369689B1 (ja)
JP (1) JP3871677B2 (ja)
CN (1) CN1247996C (ja)
DE (1) DE60225788T2 (ja)
WO (1) WO2003056333A1 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB9425138D0 (en) * 1994-12-12 1995-02-08 Dynal As Isolation of nucleic acid
US20030087324A1 (en) * 1998-02-26 2003-05-08 Yukio Toyoda Monoclonal antibody for immunologically analyzing or concentrating endocrine disruptor or its degradation product and utilization of the same
JP2005538929A (ja) 2002-01-16 2005-12-22 ダイナル バイオテック エイエスエイ 単一サンプルからの核酸及びタンパク質の単離方法
GB0229287D0 (en) * 2002-12-16 2003-01-22 Dna Res Innovations Ltd Polyfunctional reagents
US7314893B2 (en) 2005-06-06 2008-01-01 Arkema Inc. Acrylic copolymers with improved low temperature performance
JP4231104B2 (ja) * 2006-09-26 2009-02-25 パナソニック株式会社 免疫センサ及びそれを用いた測定方法
CN101957363A (zh) * 2010-09-13 2011-01-26 南京卡博生物科技有限公司 胶乳免疫比浊检测用样本处理液
CN104155456B (zh) * 2014-08-22 2016-11-02 山东博科生物产业有限公司 一种稳定性强的肌钙蛋白检测试剂盒
LU100795B1 (en) * 2018-05-14 2019-11-14 Diatron MI PLC Immunoassay for whole blood samples
CN109738348A (zh) * 2019-01-28 2019-05-10 大连医科大学 基于颗粒计数的免疫凝集反应强度定量分析方法
CN111323574A (zh) * 2020-02-26 2020-06-23 量准(上海)医疗器械有限公司 一种基于等离子光学纳米孔增强免疫比浊的含量测定方法

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57182169A (en) * 1981-05-02 1982-11-09 Mitsubishi Chem Ind Ltd Measuring method for antigen-antibody reaction
JP2691575B2 (ja) 1988-08-26 1997-12-17 第一化学薬品株式会社 免疫反応の測定方法
US5272258A (en) 1989-06-29 1993-12-21 Rush-Presbyterian-St. Luke's Medical Center Monoclonal antibodies to C-reactive protein
JPH04505857A (ja) * 1989-06-27 1992-10-15 ラッシュ―プレズビティリアン―セント ルークス メディカル センター C反応性蛋白質に対するモノクローナル抗体
US5314804A (en) * 1992-03-24 1994-05-24 Serim Research Corporation Test for Helicobacter pylori
JPH0682450A (ja) 1992-09-04 1994-03-22 Eiken Chem Co Ltd 免疫学的測定試薬
US5358852A (en) * 1992-12-21 1994-10-25 Eastman Kodak Company Use of calcium in immunoassay for measurement of C-reactive protein
JP3333569B2 (ja) 1993-01-14 2002-10-15 協和メデックス株式会社 免疫測定方法
WO1998028623A1 (en) * 1996-12-20 1998-07-02 Gamera Bioscience Corporation An affinity binding-based system for detecting particulates in a fluid
JP3334558B2 (ja) * 1997-04-23 2002-10-15 富士レビオ株式会社 酵素免疫測定方法及び試験片
JPH10332694A (ja) 1997-06-03 1998-12-18 Sanyo Chem Ind Ltd 免疫学的測定法
JP3886639B2 (ja) 1998-06-01 2007-02-28 栄研化学株式会社 免疫学的凝集反応試薬およびこれを用いたプロゾーン現象の抑制方法
US6617123B1 (en) * 2000-06-29 2003-09-09 Jack V. Smith Method for detection of 4-hydroxybutyric acid and its precursor(s) in fluids
US7172804B2 (en) * 2001-07-17 2007-02-06 Northwestern University Film-immobilized capture particles
US7939283B2 (en) * 2001-11-01 2011-05-10 Fisher Scientific Company L.L.C. Analyte binding turbidity assay

Also Published As

Publication number Publication date
WO2003056333A1 (fr) 2003-07-10
CN1247996C (zh) 2006-03-29
JPWO2003056333A1 (ja) 2005-05-12
EP1369689A4 (en) 2005-09-28
US7056682B2 (en) 2006-06-06
EP1369689B1 (en) 2008-03-26
DE60225788T2 (de) 2008-07-17
CN1507564A (zh) 2004-06-23
EP1369689A1 (en) 2003-12-10
US20040121417A1 (en) 2004-06-24
DE60225788D1 (de) 2008-05-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1396724B1 (en) Method of assay by immunoreaction and reagent for use in the immunoreaction assay
AU2016203292B2 (en) Monoclonal antibody, and immunoassay using same
WO2010058860A1 (ja) 試料中のc反応性蛋白質の測定方法及び測定試薬
JP3871677B2 (ja) 免疫反応測定方法及びそれに用いる免疫反応測定用試薬キット
JP6991968B2 (ja) 抗ヒトヘモグロビンモノクローナル抗体若しくは抗体キット、抗ヒトヘモグロビンモノクローナル抗体固定化不溶性担体粒子、及びこれらを用いた測定試薬若しくは測定方法
JP5786188B2 (ja) 試料中のc反応性蛋白質の測定試薬、測定方法及び測定範囲の拡大方法
KR20210073546A (ko) 류신 리치 α2 글리코 단백질의 면역 측정 방법 및 측정 시약
JP3513075B2 (ja) 免疫測定法及びそのための試薬
JP4512492B2 (ja) 免疫反応測定方法およびそれに用いる免疫反応測定用試薬
JP2006343214A (ja) 免疫反応測定方法及びそれに用いる免疫反応測定用試薬
US20060281132A1 (en) Method of immunoreaction measurement and, for use therein, reagent, kit and optical cell
JP5177677B2 (ja) 抗原およびその抗原に対する抗体を測定する方法、並びにそれに用いる測定用試薬
JPH04329357A (ja) 免疫学的測定方法
JP3048306B2 (ja) フィブリン分解産物及び/又はフィブリノーゲン分解産物測定試薬及びその定量方法
JP2002303630A (ja) ラテックス免疫比濁測定法及びそれに用いるキット
EP3919903A1 (en) Method for immunological analysis of free aim in biological sample, and measurement kit
JPH11344493A (ja) 免疫的測定法
JP2004177402A (ja) 特異結合反応測定方法、それに用いる試薬キットおよび特異結合反応測定装置
JP2004020369A (ja) 免疫反応測定キット及びそれを用いた免疫反応測定方法
JP2678273B2 (ja) 免疫定量法
JP2007225417A (ja) ヒトアルブミン測定用抗体試薬
JP2541826B2 (ja) 免疫定量法
JP2004012170A (ja) 免疫学的測定法および測定用キット
JP2002318233A (ja) 測定対象物質の比濁法測定試薬及び測定対象物質の比濁法測定方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060210

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061003

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061017

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3871677

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091027

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101027

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111027

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121027

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131027

Year of fee payment: 7

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees