JP3870029B2 - 記録装置及び方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の記録単位ごとに異なる符号化方法を用いて記録を行うことが可能な記録媒体に対して記録を行う記録装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
符号化技術の進歩に伴い、旧タイプの再生装置では正常な復号が不可能な新たな符号化技術が順次提案され、実用化されている。このような符号化技術の1つとして、MD(ミニディスク)への記録に用いるATRAC(Adaptive TRansform Acoustic Coding)3が知られている。このような新たな符号化技術を適用した結果、新たな符号化方法によって情報を記録したトラックと、以前の符号化方法によって情報を記録したトラックとを混在させて記録を行うことができる記録装置も製品化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、新たな符号化方法により記録したトラックは、旧タイプの再生装置では再生することができない。したがって、複数の符号化方法が選択可能な記録装置においては、ユーザが誤って、後で不都合を生じるような符号化方法を選択し、記録を行ってしまうおそれもある。たとえば、ユーザが意識的には利用する符号化方法について検討することなく、無意識に新たな符号化方法により家庭内の据置き式の記録装置で記録を行い、その後、外出先において、記録した記録媒体を新たな符号化方法に未対応のポータブルプレーヤ等で聴こうとしたときにはじめて再生できないことに気づくといった事態も考えられる。
【0004】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点に鑑み、記録装置又は方法において、記録媒体に異なる符号化方法による記録を混在させることにより後で生じるおそれのある不都合な事態を防止することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、第1の発明に係る記録装置は、所定の記録単位ごとに異なる符号化方法を用いて記録を行うことが可能な記録媒体に対し、所定の符号化方法を用いて記録を行う記録装置において、前記所定の符号化方法と、装置に装填されている前記記録媒体について既に使用されている符号化方法とを比較する比較手段と、この比較結果に基づいて所定の出力を行う出力手段とを具備することを特徴とする。
【0006】
ここで、記録媒体としては、所定の記録単位ごとに異なる符号化方法を用いて記録を行うことが可能なものであれば如何なる媒体でも用いることができるが、具体的にはMD(ミニディスク)、CD−R(CD-Recordable)、CD−RW(CD-ReWritable)等が該当する。異なる符号化方法としては、MDにおいて使用されているATRAC、ATRAC−MONO(アトラック−モノ)、ATRAC3−LP2(アトラック3−2倍長)、ATRAC3−LP4(アトラック3−4倍長)等を挙げることができる。CD−RやCD−RWにおいては、MP3(MPEG-1 Audio LayerIII)、WMA(Windows Media Audio)等を挙げることができる。また、非圧縮の場合も含まれる。所定の記録単位としては、たとえばMDの場合におけるトラックが該当する。
【0007】
所定の符号化方法としては、装置で使用可能な唯一又は複数の符号化方法、装置に初期値として設定されている符号化方法、選択可能な符号化方法からユーザが選択した符号化方法等が該当し、比較手段はいずれをも比較の対象とすることができる。記録媒体について既に使用されている符号化方法に関する情報は、たとえばその記録媒体から読み出して得ることができる。MDの場合は、UTOCのセクタ0において、トラックごとにそのトラックの記録に使用した符号化方法が記録されている。比較手段はこれを読み出して比較に使用することができる。比較手段による比較結果としては、所定の符号化方法と、装置に装填されている記録媒体について既に使用されているいずれかの符号化方法とが一致する旨や、既に使用されているすべての符号化方法が一致し、かつこの符号化方法と記録に用いる所定の符号化方法とが一致している旨等の比較結果を得ることができる。
【0008】
所定の出力の方法としては、たとえば表示画面への出力や、音声による出力が該当する。出力の内容としては、記録媒体に既に用いられている符号化方法とは異なる符号化方法により記録を行おうとしており、記録を行うと、旧タイプの機種では再生できない可能性がある旨の表示や、記録を行っても問題ない旨の表示や、単なる警告音等が該当する。
【0009】
この構成において、記録媒体を装置に装填し、この記録媒体に記録を行う際には、記録に使用される所定の符号化方法又は記録のためにユーザが選択した所定の符号化方法と、すでにその記録媒体について用いられている符号化方法が比較され、その比較結果に基づく所定の出力が行われる。
【0010】
第2の発明に係る記録装置は、第1発明において、前記出力手段は、前記比較手段が、前記所定の符号化方法と、装置に装填されている前記記録媒体について既に使用されている符号化方法とが一致しない旨の比較結果を得た場合のみ前記所定の出力を行うものであることを特徴とする。
【0011】
第3の発明に係る記録装置は、第1又は第2発明において、前記比較及び所定の出力は、使用すべき前記所定の符号化方法についての指示を受け入れた時点で行うことを特徴とする。
【0012】
第4の発明に係る記録装置は、第1又は第2の発明において、前記所定の出力は、前記記録媒体に対する記録の開始時に行うことを特徴とする。
【0013】
第5の発明に係る記録装置は、第1又は第2の発明において、前記所定の出力は、前記所定の符号化方法を用いた記録がなされた前記記録媒体が装置から取り出される際に、又は前記所定の符号化方法を用いた記録がなされた前記記録媒体にその記録に使用した前記所定の符号化方法に関する情報を書き込む時点で行うことを特徴とする。
【0014】
第6の発明に係る記録装置は、第1〜第5のいずれかの発明において、前記記録媒体は前記所定の記録単位ごとにその記録に使用される符号化方法に関する情報を記録することが可能な記録媒体であり、前記比較手段は、前記比較を、装置に装填されている前記記録媒体に記録されている前記符号化方法に関する情報を読み出し、これに基づいて行うことを特徴とする。
【0015】
第7の発明に係る記録装置は、第1〜第5のいずれかの発明において、装置に装填された前記記録媒体について使用されていた又は使用した符号化方法に関する情報をその記録媒体に対応させて記憶する手段を備え、前記比較手段は、前記比較を、前記記憶手段の記憶情報に基づいて行うものであることを特徴とする。
【0016】
この構成において、記憶手段は、装置に装填され記録が行われた各記録媒体について、その記憶媒体を識別する情報とともに、記録に使用した符号化方法の情報を順次記憶してゆく。そして、装置に装填された記録媒体について記録を行う際には、比較手段は、記録手段が記憶しているその記録媒体について過去に使用された符号化方法の情報に基づき、記録に使用される所定の符号化方法と、過去に使用された符号化方法との比較を行う。
【0017】
第8の発明に係る記録装置は、第1〜第7のいずれかの発明において、前記出力手段は、前記所定の符号化方法として、特定の符号化方法を使用する旨の指示があった場合のみ、前記所定の出力を行うものであることを特徴とする。
【0018】
ここで、特定の符号化方法とは、たとえばMDの場合におけるATRAC3−LP2やATRAC3−LP4が該当する。これらの符号化方法は、ATRACやATRAC−MONOにのみ対応する旧タイプの機種では再生することができないものである。
【0019】
第9の発明に係る記録装置は、第1〜第8のいずれかの発明において、未記録の前記記録媒体が装置に装填された場合には、前回の記録において使用した前記所定の符号化方法と、今回の記録のために設定されている前記所定の符号化方法とを比較し、この比較結果に基づき所定の出力を行う手段を有することを特徴とする。ここで、設定されている前記所定の符号化方法とは、たとえばデフォルトとして設定されている符号化方法や、ユーザが設定した符号化方法が該当する。
【0020】
未記録の記録媒体が装填された場合は、記録に使用する所定の符号化方法が適切であるか否かを、装填された記録媒体について既に使用されている符号化方法との比較により判定することはできない。そこで本第9発明では、前回の記録において使用した所定の符号化方法と比較するようにしている。
【0021】
第10の発明に係る記録装置は、所定の記録単位ごとに異なる符号化方法を用いて記録を行うことが可能な記録媒体に対し、所定の符号化方法を用いて記録を行う記録装置において、未記録の前記記録媒体が装置に装填された場合には、前回の記録において使用した前記所定の符号化方法と、今回の記録のために設定されている前記所定の符号化方法とを比較し、この比較結果に基づき所定の出力を行う手段を具備することを特徴とする。
【0022】
第11の発明に係る記録方法は、所定の記録単位ごとに異なる符号化方法を用いて記録を行うことが可能な記録媒体に対し、所定の符号化方法を用いて記録を行う記録方法において、前記所定の符号化方法と、これを用いて記録を行おうとしている前記記録媒体について既に使用されている符号化方法とを比較する工程と、この比較結果に基づいて所定の出力を行う工程とを具備することを特徴とする。
【0023】
第12の発明に係る記録方法は、所定の記録単位ごとに異なる符号化方法を用いて記録を行うことが可能な記録媒体に対し、所定の符号化方法を用いて記録を行う記録方法において、未記録の前記記録媒体に対して記録を行う場合には、前回の記録において使用した前記所定の符号化方法と、今回の記録のために設定されている前記所定の符号化方法とを比較する工程と、この比較結果に基づき所定の出力を行う工程とを具備することを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態に係るMDプレーヤの構成を示すブロック図である。同図において、1は音声データが記録されている光磁気ディスク(MD)、2は光磁気ディスク1を回転駆動するスピンドルモータ、3は光磁気ディスク1にレーザ光を照射して記録又は再生を行うための光ピックアップである。光ピックアップ3は、記録時には記録トラックをキュリー温度まで加熱するための高レベルのレーザ出力を行い、再生時には磁気カー効果により反射光からデータを検出するための比較的低レベルのレーザ出力を行う。
【0025】
5は供給されるデータによって変調された磁界を光磁気ディスクに印加する磁気ヘッド、6はエンコード処理された記録データに応じて磁気ヘッド5に駆動信号を供給するヘッドドライバ、4は光ピックアップ3及び磁気ヘッド5をディスク1の半径方向に移動させる送りモータ、7は供給される情報の演算処理により再生RF信号、トラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FE、グルーブ情報すなわち光磁気ディスク1にプリグルーブとして記録されている絶対位置情報(ADIP)等を抽出するRFアンプである。
【0026】
8はディジタル信号処理回路であり、絶対位置情報(ADIP)としてのアドレス情報をデコードするADIPデコーダ、再生RF信号に含まれるATRACデータ、アドレス及びサブコードをデコードするEFMデコーダ、読み取ったATRACデータを一旦メモリ12に蓄積し、ATRACデコーダ部へ送るための管理を行うショックプルーフメモリコントローラ、ATRACデータをエンコードするATRACエンコーダ部を含む。
【0027】
9はマイコン等で構成されるシステムコントローラであり、ディジタル信号処理回路8に対し、光磁気ディスク(ミニディスク)1のアドレスサーチの指示、光ピックアップ3の制御の指示、ATRACデコード開始の指示等を行うほか、アドレス情報(ADIP)、アドレス情報(EFM)等を得る。また、ユーザによる再生、停止、記録、消去等の指示を操作部10を介して受け入れ、動作内容を表示部11に表示する。13はシステムコントローラ内の符号化方法判定部であり、装填された光磁気ディスク1に記録されているデータに使用されている符号化方法を検索して取得し、記録に使用する符号化方法との比較を行う。
【0028】
図2はMDに用いられているセクタフォーマットによるUTOCエリア・セクタ0のレイアウトを示す。同図に示すように、UTOCエリア・セクタ0には、記録した音楽データの管理情報や各トラックに関する情報が記録される。図中のP−TNOn(n=1〜255)はトラックnのスタートアドレスへのポインタであり、その値はトラック番号n(n=1〜255)のスタートアドレスを与えるバイト位置を、76×4+(P−TNOn)×8によって示す。P−TNOnで示される各バイト位置には、プログラムエリアに記録される各トラックnの音楽情報のスタートアドレス(Start adress)、エンドアドレス(End adress)、トラック・モード(Track mode)等の情報が記録される。各トラックnのトラック・モードの情報としては、そのトラックの記録に使用された符号化方法や著作権等の情報が記録される。
【0029】
MD1の記録時にはこのようなセクタ構成で、UTOCエリアのセクタ0に、各トラックnのアドレス情報等が記録される。再生時には、UTOCエリアのセクタ0に記録されている各トラックnのスタートアドレス及びエンドアドレスの情報並びにトラック・モード情報(符号化方法、著作権情報等)に基づき、MDプレーヤはデコーダを選択して音楽データを再生する。このような構成により、実際に音楽データが記録されているプログラムエリアを直接操作することなく、UTOCの内容を操作することによって簡単にトラックの移動、結合、及び削除を行うことができるようになっている。
【0030】
図3はMDプレーヤにおけるトラック・モード情報中の符号化方法の設定処理を示すフローチャートである。システムコントローラ9は、ステップ31において操作部10のキー操作等による記録モード設定開始の指示の有無を判定し、指示がないときはそのまま設定処理を抜ける。記録モード設定開始の指示を検出すると、表示部11の表示を記録モード設定用の画面に変更し、ステップ32及び33において、ユーザのキー操作等による記録モードすなわち符号化方法の選択指示を受け入れ、記録モード決定の指示があるまで順次各記録モードの表示を行う。記録モードとしては、ATRAC、ATRAC−MONO(アトラック−モノ)、ATRAC3−LP2(アトラック3−2倍長)、ATRAC3−LP4(アトラック3−4倍長)等が順次表示され、ユーザは所望の記録モードが表示されているときに記録モードの決定指示を与えることにより、記録モードを決定することができる。
【0031】
ステップ33において、記録モード決定の指示があったことを検出すると、さらにステップ34において、記録媒体すなわちMD1がプレーヤに装填されているか否かを判定し、装填されていない場合はそのまま設定処理を抜ける。ステップ34において、MD1が装填されていると判定した場合は、ステップ35において、決定された記録モードは装填されている記録媒体で既に使用されているか否かを判定する。この判定は、MD1から読み出してあるUTOCエリアのセクタ0に記録されている各トラックのトラック・モード情報中の符号化方法のうちに、決定された記録モードに合致するものがあるか否かを検索することにより行う。
【0032】
ステップ35において、決定された記録モードに合致するものが存在せず、その記録モードは使用されていないと判定した場合はそのまま設定処理を抜ける。合致する記録モードが存在し、使用されていると判定した場合は、ステップ36において、「新たなモードで記録します。」、「このモードに対応していない機器では再生できません。」等の表示を行い、設定処理を終了する。
【0033】
ここで、ステップ33で決定した記録モードが、装填されているMD1において使用されていない場合は、その記録モードはMD1で既に使用されている記録モードより新しい記録モードである場合も考えられる。その場合、決定した記録モードで記録を行うと、その記録部分については、その記録モードに対応していない機器によっては再生できないことになる。しかし、本設定処理によれば、ステップ36においてその旨を表示するようにしているため、ユーザにその旨の注意を促すことができる。ユーザはこの表示に基づいて、記録モードの選択をやり直す等の措置を講ずることができる。
【0034】
図4はMDプレーヤにおける記録開始処理を示すフローチャートである。この処理では、システムコントローラ9は、ステップ41において操作部10のキー操作等による記録開始の指示の有無を判定し、指示がないときはそのまま記録開始処理を抜ける。記録開始の指示を検出すると、ステップ42において、記録媒体すなわちMD1がプレーヤに装填されているか否かを判定し、装填されていない場合はそのまま記録開始処理を抜ける。
【0035】
ステップ42において、MD1が装填されていると判定した場合は、ステップ43において、既に設定され、記録に使用される記録モードは装填されている記録媒体で使用されているか否かを判定する。この判定は、MD1から読み出してあるUTOCエリアのセクタ0に記録されている各トラックのトラック・モード情報中の符号化方法のうちに、設定されている記録モードに合致するものがあるか否かを検索することにより行う。
【0036】
ステップ43において、設定されている記録モードに合致する符号化方法が存在し、その記録モードはMD1において既に使用されていると判定した場合はステップ45へ進む。合致する符号化方法が存在せず、設定されている記録モードが使用されていないと判定した場合は、ステップ44において、「新たなモードで記録します。」、「このモードに対応していない機器では再生できません。」等の表示を行い、ステップ45へ進む。ステップ45では、設定されている記録モードによる符号化方法で記録を開始し、記録開始処理を抜ける。
【0037】
ここで、既に設定されている記録モードが、装填されているMD1において使用されていない場合は、その記録モードはMD1で既に使用されている記録モードより新しい記録モードである場合が考えられる。その場合、設定されている記録モードで記録を行うと、その記録部分については、その記録モードに対応していない機器によっては再生できないことになる。しかし、本記録開始処理によれば、ステップ44においてその旨を表示するようにしているため、ユーザにその旨の注意を促すことができる。ユーザはこの表示を見たことにより、MD1の記録を終了した後、ステップ45の記録で使用した記録モードに対応していない機器によってMD1の再生を試みることを回避することができる。
【0038】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、適宜変形して実施することができる。たとえば、上述実施形態では、図3のステップ36や図4のステップ44の警告表示は記録モードの決定の指示や記録開始の指示があった時点で行うようにしているが、この代わりに、決定された記録モードを用いた記録がなされたMDがMDプレーヤから取り出される際に、又は決定された記録モードを用いた記録がなされたMDにその記録に使用した記録モードに関する情報を書き込む時点で行うようにしてもよい。
【0039】
これによれば、ユーザは、記録を終えたMDをMDプレーヤから取り出すときや、記録に使用した記録モードがMDに書き込まれるときに、警告表示に基づいて、旧タイプの機種では再生できない記録モードにより記録を行った等の認識や確認を行うことができる。
【0040】
また、上述においては、図3のステップ35や図4のステップ43におけるユーザが決定した記録モードとMDプレーヤに装填されたMDの記録モードとの比較を、MDに記録されている記録モードに関する情報を読み出し、これに基づいて行うようにしている。しかしこの代わりに、MDプレーやに装填されたMDについて使用されていた又は使用した記録モードに関する情報をそのMDに対応させて記憶する手段を設け、ユーザが決定した記録モードとMDプレーヤに装填されたMDの記録モードとの比較を、前記記憶手段の記憶情報に基づいて行うようにしてもよい。
【0041】
この場合、MDプレーヤは、記録を行うごとに、記録を行ったMDについて、そのMDを識別する情報とともに、記録に使用した記録モードの情報を順次記憶手段により記憶する。このようにして過去に記憶した各MDについての記録モードに関する情報に基づき、MDプレーヤに装填されたMDについて記録を行う際には、記憶手段が記憶しているそのMDについて過去に使用された記録モードの情報と、ユーザが決定した記録モードとを比較する。
【0042】
このとき、記憶手段が記憶する各MDを区別するための情報としては、UTOC0におけるファースト・トラック番号(First TNO)及びラスト・トラック番号(Last TNO)並びにMDの記録済み総時間を組み合わせたものを用いることができる。これをキーとして、記憶手段が記憶している各MDに関する情報のうち、記録を行おうとしているMDに対応する情報を特定することができる。なお、記録媒体がCDの場合も、同様の情報により、高い確実性でディスクの同一性を判別することができる。
【0043】
これによれば、MDから記録モードに関する情報を読み出すことなく、また、MDに記録モードに関する情報が記録されていない場合でも、ユーザが選択した記録モードと、装置に装填されているMDについて既に使用されている記録モードとの比較を行うことができる。
【0044】
また、上述においては、図3のステップ36では、ユーザが決定した記録モードが、装填されたMDで使用されていない場合はすべて表示を行うようにしているが、この代わりに、決定した記録モードが特定のものである場合のみ、表示を行うようにしてもよい。特定の記録モードとは、たとえばATRAC3−LP2やATRAC3−LP4である。これらの記録モードは、ATRACやATRAC−MONOにのみ対応する旧タイプの機種では再生することができない。したがって、かかる旧タイプの機種では再生できないような記録モードの使用が決定された場合は、その旨を表示し、ユーザに注意を促すことができる。また、特定の記録モードが決定されなかった場合は何ら表示を行わないため、ユーザは不要な確認等を行う必要なく記録を行うことができる。
【0045】
また、上述においては、MDプレーヤに装填されているMDの記録モードと、ユーザにより決定された記録モードとを比較しているが、未記録のMDがMDプレーヤに装填された場合には、MDプレーヤにおける前回の記録において使用した記録モードと、決定された記録モードとを比較し、この比較結果に基づき所定の表示を行うようにしてもよい。未記録のMDが装填された場合は、記録に使用する記録モードが適切であるか否かを、装填されたMDについて既に使用されている記録モードとの比較により判定することはできないからである。前回の記録において使用した記録モードと一致しない場合は、今回の記録のためにユーザが決定した記録モードは、ユーザが意図していない記録モードである可能性もある。このような可能性を、ユーザは、適切な所定の表示により知ることができる。
【0046】
また、上述においては、ユーザが決定した記録モードを対象としているが、この代わりに、デフォルトとして設定されている記録モードを対象として比較を行うようにしてもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、記録に使用される所定の符号化方法と、装置に装填されている記録媒体について既に使用されている符号化方法とを比較し、この比較結果に基づいて所定の出力を行うようにしたため、ユーザはこの出力結果を考慮して、たとえば記録前であれば記録をそのまま続行するか、記録を断念するか、又は可能な場合には他の符号化方法を選択することができ、記録後であればその記録媒体を再生する際には再生装置の選択に注意を要することを認識することができる。したがって、記録媒体に対し異なる2以上の符号化方法で記録を行うことにより後で生じるおそれがある不都合、たとえば旧タイプの機種では再生できない符号化方法で記録した後、旧タイプの機種で再生を試みたときに再生できないことにはじめて気が付くといった不都合を回避することができる。
【0048】
また第2の発明によれば、記録に使用される所定の符号化方法と、装置に装填されている記録媒体について既に使用されている符号化方法とが一致しない旨の比較結果を得た場合のみ所定の出力を行うようにしたため、装填した記録媒体に既に使用されている符号化方法と一致する符号化方法で記録しようとしており、かつそのことを認識しているユーザに対しては、比較結果については何ら表示等が行われない。したがって、ユーザは不要な出力についての不要な確認等に煩わされることなく、記録を行うことができる。
【0049】
また第3の発明によれば、前記比較及び所定の出力は、使用すべき所定の符号化方法についての指示を受け入れた時点で行うようにしたため、ユーザは、記録を行うために使用したい符号化方法を装置に指示したときに前記所定の出力の内容を知ることができる。したがって、その符号化方法による記録が行われる前に、その所定の出力に基づき、記録の中止、符号化方法の変更等の措置を講ずることができる。
【0050】
また第4の発明によれば、前記所定の出力は、記録媒体に対する記録の開始時に行うようにしたため、ユーザは、その適切な出力の内容に基づいて、符号化方法を変更したり、記録後に、記録した記録媒体を、記録に使用した符号化方法に対応していない再生装置で再生しようと試みるのを回避することができる。
【0051】
また第5の発明によれば、前記所定の出力は、所定の符号化方法を用いた記録がなされた記録媒体が装置から取り出される際に、又は所定の符号化方法を用いた記録がなされた記録媒体にその記録に使用した所定の符号化方法に関する情報を書き込む時点で行うようにしたため、ユーザは、記録を終えた記録媒体を装置から取り出すときや、記録に使用した符号化方法が記録媒体に書き込まれるときに、前記所定の出力に基づいて、旧タイプの機種では再生できない符号化方法により記録を行ったこと等の認識や確認を行うことができる。
【0052】
また第6の発明によれば、前記比較を、装置に装填されている記録媒体に記録されている符号化方法に関する情報を読み出し、これに基づいて行うようにしたため、記録に使用する所定の符号化方法と、装置に装填されている記録媒体について既に使用されている符号化方法との比較を、確実かつ容易に行うことができる。
【0053】
また第7の発明によれば、装置に装填された記録媒体について使用されていた又は使用した符号化方法に関する情報をその記録媒体に対応させて記憶する手段を備え、前記比較を、前記記憶手段の記憶情報に基づいて行うようにしたため、記録媒体から符号化方法に関する情報を読み出すことなく、また、記録媒体に符号化方法に関する情報が記録されていない場合でも、記録に使用する所定の符号化方法と、装置に装填されている記録媒体について既に使用されている符号化方法との比較を行うことができる。
【0054】
また第8の発明によれば、所定の符号化方法として、特定の符号化方法を使用する旨の指示があった場合のみ、所定の出力を行うようにしたため、特定の符号化方法として旧タイプの機種では再生できないような符号化方法の使用が指示された等の場合は、その旨を出力することによりユーザに注意を促すことができる。また、特定の符号化方法が指示されなかった場合は何ら出力を行わないため、ユーザは不要な確認等を行う必要なく記録を行うことができる。
【0055】
また第9及び第10の発明によれば、未記録の記録媒体が装置に装填された場合には、前回の記録において使用した所定の符号化方法と、今回の記録のために設定されている所定の符号化方法とを比較し、この比較結果に基づき所定の出力を行うようにしたため、ユーザは、意図していない符号化方法で記録しようとしていること等を事前に知ることができる。すなわち、前回の記録において使用した符号化方法と一致しない場合は、今回の記録のために設定されている所定の符号化方法は、ユーザが意図していない符号化方法である可能性もあるが、このような可能性を、ユーザは、適切な所定の出力により知り、適切な対応をとることができる。
【0056】
また第11の発明によれば、所定の符号化方法と、これを用いて記録を行おうとしている記録媒体について既に使用されている符号化方法とを比較し、この比較結果に基づいて所定の出力を行うよういしたため、第1発明の場合と同様に、記録媒体に対し異なる2以上の符号化方法で記録を行うことにより後で生じるおそれがある不都合を回避することができる。
【0057】
また、第12の発明によれば、未記録の前記記録媒体に対して記録を行う場合には、前回の記録において使用した前記所定の符号化方法と、今回の記録のために設定されている前記所定の符号化方法とを比較し、この比較結果に基づき所定の出力を行うようにしたため、第10発明の場合と同様に、ユーザは、意図していない符号化方法で記録しようとしていること等を事前に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るMDプレーやの構成を示すブロック図である。
【図2】MDに用いられているセクタフォーマットによるUTOCエリア・セクタ0のレイアウトを示す図である。
【図3】図1のMDプレーヤにおけるトラック・モード情報中の符号化方法の設定処理を示すフローチャートである。
【図4】図1のMDプレーヤにおける記録開始処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1:光磁気ディスク(MD)、2:スピンドルモータ、3:光ピックアップ、4:送りモータ、5:磁気ヘッド、6:ヘッドドライバ、7:RFアンプ、8:ディジタル信号処理回路、9:システムコントローラ、10:操作部、11:表示部、12:メモリ、13:符号化方法判定部。

Claims (12)

  1. 所定の記録単位ごとに異なる符号化方法を用いて記録を行うことが可能な記録媒体に対し、所定の符号化方法を用いて記録を行う記録装置において、
    前記所定の符号化方法と、装置に装填されている前記記録媒体について既に使用されている符号化方法とを比較する比較手段と、この比較結果に基づいて所定の出力を行う出力手段とを具備することを特徴とする記録装置。
  2. 前記出力手段は、前記比較手段が、前記所定の符号化方法と、装置に装填されている前記記録媒体について既に使用されている符号化方法とが一致しない旨の比較結果を得た場合のみ前記所定の出力を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記比較及び所定の出力は、使用すべき前記所定の符号化方法についての指示を受け入れた時点で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
  4. 前記所定の出力は、前記記録媒体に対する記録の開始時に行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
  5. 前記所定の出力は、前記所定の符号化方法を用いた記録がなされた前記記録媒体が装置から取り出される際に、又は前記所定の符号化方法を用いた記録がなされた前記記録媒体にその記録に使用した前記所定の符号化方法に関する情報を書き込む時点で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
  6. 前記記録媒体は前記所定の記録単位ごとにその記録に使用される符号化方法に関する情報を記録することが可能な記録媒体であり、前記比較手段は、前記比較を、装置に装填されている前記記録媒体に記録されている前記符号化方法に関する情報を読み出し、これに基づいて行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の記録装置。
  7. 装置に装填された前記記録媒体について使用されていた又は使用した符号化方法に関する情報をその記録媒体に対応させて記憶する手段を備え、前記比較手段は、前記比較を、前記記憶手段の記憶情報に基づいて行うものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の記録装置。
  8. 前記出力手段は、前記所定の符号化方法として、特定の符号化方法を使用する旨の指示があった場合のみ、前記所定の出力を行うものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の記録装置。
  9. 未記録の前記記録媒体が装置に装填された場合には、前回の記録において使用した前記所定の符号化方法と、今回の記録のために設定されている前記所定の符号化方法とを比較し、この比較結果に基づき所定の出力を行う手段を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の記録装置。
  10. 所定の記録単位ごとに異なる符号化方法を用いて記録を行うことが可能な記録媒体に対し、所定の符号化方法を用いて記録を行う記録装置において、
    未記録の前記記録媒体が装置に装填された場合には、前回の記録において使用した前記所定の符号化方法と、今回の記録のために設定されている前記所定の符号化方法とを比較し、この比較結果に基づき所定の出力を行う手段を有することを特徴とする記録装置。
  11. 所定の記録単位ごとに異なる符号化方法を用いて記録を行うことが可能な記録媒体に対し、所定の符号化方法を用いて記録を行う記録方法において、
    前記所定の符号化方法と、これを用いて記録を行おうとしている前記記録媒体について既に使用されている符号化方法とを比較する工程と、この比較結果に基づいて所定の出力を行う工程とを具備することを特徴とする記録方法。
  12. 所定の記録単位ごとに異なる符号化方法を用いて記録を行うことが可能な記録媒体に対し、所定の符号化方法を用いて記録を行う記録方法において、
    未記録の前記記録媒体に対して記録を行う場合には、前回の記録において使用した前記所定の符号化方法と、今回の記録のために設定されている前記所定の符号化方法とを比較する工程と、この比較結果に基づき所定の出力を行う工程とを具備することを特徴とする記録方法。
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