JP3869927B2 - 板金加工機の原点位置決め方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ワークの加工に先立って行なわれるワークの原点位置決めを行なう板金加工機の原点位置決め方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9を参照するに、従来より板金加工機においてワークWの原点位置決めを行なうには、サーボモータ101により前後(図9中上下方向)移動自在のプッシング軸103の先端にバネ105を介して取り付けられているプッシャー107で、ワークWを前方(図9中上方向)へ押してセンサー109が装着されたピンゲージ111に当接させ、このワークWをセンサー113付きのグリッパ115で把持することにより行なわれている。
【0003】
あるいは、図10に示されているように、バキュームパッド117等の吸着パッドでワークWを吸着し、バキュームパッド117を移動させてワークWをセンサー109付きのピンゲージ111に当接させ、このワークWをセンサー113付きのグリッパ115で把持することにより行なわれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の図9に示されているプッシャー107を用いた場合には、ワークWが薄くて細長い場合にワークWが反って原点セット精度が低下したり、腰折れて原点セットできなくなる場合がある。
【0005】
また、前述の図10に示されているバキュームパッド117を用いた場合には、ワークWの吸着位置に穴や打ち抜きがあった場合には吸着できず原点セットができないという問題がある。
【0006】
この発明の目的は、以上のような従来の技術に着目してなされたものであり、ワークの板厚や形状等にかかわらず常に精度の高い原点設定を行なうことのできる板金加工機の原点位置決め方法およびその装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1による発明の板金加工機の原点位置決め方法は、板金加工機によるワークの加工に先立ってワークの原点位置を位置決めする板金加工機の原点位置決め方法において、前記ワークに形成されている直交する切欠きの基準面の近傍を把持手段により把持し、この把持手段を一軸方向および一軸方向に直交した他軸方向へ移動させて、前記ワークに形成されている直交する切欠きの基準面を基準部材に当接させること、を特徴とするものである。
【0008】
従って、把持手段によりワークにおける基準面の近傍を把持し、把持手段を一軸方向および他軸方向へ移動させてワークに形成されている直交する切欠きの基準面を基準部材に当接させ、ワークの原点設定を行なう。
【0009】
請求項2による発明の板金加工機の原点位置決め装置は、板金加工機によるワークの加工に先立ってワークの原点位置を位置決めする板金加工機の原点位置決め装置であって、前記ワークに形成されている直交する切欠きの基準面近傍を把持する把持手段と、この把持手段を一軸方向および一軸方向に直交した他軸方向へ移動せしめる移動手段と、前記把持手段の移動によりワークに形成されている直交する切欠きの基準面を当接せしめてワークの原点位置決めを行なうための基準部材と、を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
従って、把持手段によりワークにおける基準面の近傍を把持し、移動手段により前記把持手段を一軸方向および他軸方向へ移動させて、ワークに形成されている直交する切欠きの基準面を基準部材に当接させて、ワークの原点位置決めを行なう。
【0011】
請求項3による発明の板金加工機の原点位置決め装置は、請求項2の板金加工機の原点位置決め装置において、前記把持手段と前記移動手段と前記基準部材が一体のユニットとして設けられていること、を特徴とするものである。
【0012】
従って、ワークを把持している把持手段を移動手段により移動させると、ワークはユニットに固定的に設けられている基準部材に対して移動することになる。
【0013】
請求項4による発明の板金加工機の原点位置決め装置は、請求項3の板金加工機の原点位置決め装置における前記ユニットが、一軸方向に一対設けられていること、を特徴とするものである。
【0014】
従って、前記把持手段と前記移動手段と前記基準部材を備えたユニットは、一軸方向に一対設けられており、この一対のユニットによりワークの原点位置決めを行なう。
【0015】
請求項5による発明の板金加工機の原点位置決め装置は、請求項3又は4の板金加工機の原点位置決め装置において、前記ユニットを、パスラインに対して出没せしめる昇降手段が設けられていること、を特徴とするものである。
【0016】
従って、ワークの原点位置決めを行なう場合には、昇降手段によりユニットをパスラインよりも上に突出させ、ワークの加工を行なう場合にはユニットをパスラインよりも下へ移動させる。
【0017】
請求項6による発明の板金加工機の原点位置決め装置は、請求項3、4又は5の板金加工機の原点位置決め装置において、前記ユニットが、一軸方向に移動・位置決め自在であること、を特徴とするものである。
【0018】
従って、ユニットは、ワークの大きさや形状に対応して一軸方向に移動・位置決めしてワークの原点位置決めを行なう。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図8には、板金加工機として例えば曲げ加工機1にワークWを供給するための搬入テーブル3が示されている。この搬入テーブル3の一軸方向であるX軸方向の中央部分には、ワークをクランプして一軸方向に直交した他軸方向であるY軸方向へ移動させ曲げ加工機1に搬入するマニピュレータ5がY軸方向へ移動自在に設けられている。
【0021】
搬入テーブル3のY軸方向中央部分には、ワークWをクランプして搬入テーブル3上に引き込む一対の引き込みグリッパ7がX軸方向に移動自在に設けられている。また、搬入テーブル3における所定位置には、ワークWの原点位置決めを行なうための一対の位置決めユニット9がX軸方向に移動・位置決め自在に設けられている。
【0022】
上記構成により、引き込みグリッパ7にクランプされたワークは搬入テーブル3上に引き込まれ、位置決めユニット9によりワークの原点位置決めを行なう。原点位置決めされたワークは、マニピュレータ5にクランプされてY軸方向へ移動し、曲げ加工機1の所定位置に位置決めされて曲げ加工が行なわれる。
【0023】
図1から図5を参照するに、前記各位置決めユニット9は、搬入テーブル3においてX軸方向へ移動・位置決め自在の本体ベースプレート11と、ワークWをクランプすべく上クランパ13とクランプ用シリンダ15からなる把持手段としての引き寄せクランパ17、この引き寄せクランパ17を作動させるクランプ用シリンダ15、ワークWをクランプした引き寄せクランパ17をX軸方向へ移動させるための移動手段としてのX方向引き寄せ用シリンダ19、引き寄せクランパ17をY軸方向へ移動させるための移動手段としてのY方向引き寄せ用シリンダ21、各位置決めユニット9全体を昇降させるための昇降手段としての昇降用シリンダ23、さらにワークWを突き当てる基準部材であるピンゲージ25、等を有している。
【0024】
図5を参照するに、搬入テーブル3の内部においてX軸方向へ設けられている梁部材27上には、位置決めガイドレール29がX軸方向へ延伸して設けられている。この位置決めガイドレール29にはX軸方向へ移動自在の位置決めガイド31に設けられており、この位置決めガイド31に前記本体ベースプレート11が設けられている。これにより、位置決めユニット9が搬入テーブル3に対してX軸方向に移動・位置決め自在となっている。
【0025】
図1、図3および図5を併せて参照するに、この本体ベースプレート11の上にはZ軸方向ガイドレール33が鉛直上方へ立設されている。このZ軸方向ガイドレール33に沿って上下動自在に設けられているZ軸方向LMガイド35には、昇降フレーム37のY軸方向に延びる一面37Yが取り付けられており、X軸方向に延びる他面37Xの端部には前記昇降用シリンダ23のピストンロッド39が取り付けられている。また、X軸方向へ延びる他面37Xの図3中左端部にはX方向引き寄せ用シリンダ19が設けられている。
【0026】
図4を参照するに、前記他面37Xの図3中左端部にはX軸方向ガイドレール41が水平に取り付けられており、このX軸方向ガイドレール41にはX軸方向リニアガイド43がX軸方向に移動自在に設けられている。このX軸方向リニアガイド43にはブロック45を介してプレート47が水平に設けられており、このプレート47の上面にはY軸方向ガイドレール49がY軸方向に設けられている。このY軸方向ガイドレール49にはY軸方向リニアガイド51がY軸方向へ移動自在に設けられており、このY軸方向リニアガイド51の上面には断面L字状の支持部材53が設けられている。
【0027】
図1および図3を併せて参照するに、前記プレート47には前記Y方向引き寄せ用シリンダ21が設けられており、そのピストンロッド55の先端は前記支持部材53に取り付けられている。
【0028】
一方、図4を参照するに、前記支持部材53にはウェブ57がX軸方向へ垂直に取り付けられており、このウェブ57の上端には前記上クランパ13が取り付けられている。また、ウェブ57の下端部には、リブプレート59に補強された下フランジ61がX軸方向へ水平に設けられている。
【0029】
図2を併せて参照するに、この下フランジ61には、前記クランプ用シリンダ15が上向きに取り付けられており、そのピストンロッド63の先端には下クランパ65が設けられている。
【0030】
図1および図6を参照するに、前記下クランパ65との協働でワークWをクランプする前述の上クランパ13の中央部には切欠き67が設けられており、ワークWをクランプしてピンゲージ25に当接させる際に、ピンゲージ25との干渉を回避している。
【0031】
図7(A)、(B)を参照するに、このピンゲージ25はX方向およびY方向に対応できるものである。すなわち、ピンゲージ本体69の一面にはX軸方向突当面71が設けられており、このX軸方向突当面71に直交する面にはY軸方向突当面73が設けられている。また、X軸方向突当面71の下方にはX軸センサープレート75が設けられ、Y軸方向突当面73の下方にはY軸センサープレート77が設けられている。
【0032】
従って、図7(B)に示すように、ワークWに形成してある直交する切欠きの一方の辺がX軸方向突当面71に突き当てられるとこれをX軸センサープレート75が感知する。同様にしてワークWの直交する切欠きの他方の辺がY軸方向突当面73に突き当てられるとこれをY軸センサープレート77が感知する。
【0033】
次に、ワークWの原点位置決めの動作について説明する。
【0034】
まず、一対の位置決めユニット9をX軸方向へ移動させて所定位置に位置決めし、昇降用シリンダ23により位置決めユニット9を上昇させて上クランパ13およびピンゲージ25がパスラインPLよりも上方へ突出するようにする。
【0035】
引き込みグリッパ7により把持されたワークWを搬入テーブル3上に搬入し、クランプ用シリンダ15により下クランパ65を上昇させて、上クランパ13との協働で、図6,図7に示すように、ワークWに形成してある直交する切欠きの基準面近傍をクランプする。
【0036】
Y方向引き寄せ用シリンダ21により引き寄せクランパ17をY軸方向へ引き寄せてワークWをピンゲージ25のY軸方向突当面73に当接させ、また図6に示されているようにワークWに直交する切欠きが設けられているので、X方向引き寄せ用シリンダ19により引き寄せクランパ17をX軸方向へ引き寄せてピンゲージ25のX軸方向突当面71に当接させて、ワークWの原点位置決めを行なう。
【0037】
このようにして原点位置決めされたワークWは、マニピュレータ5にクランプされて、曲げ加工機1の所定位置に搬入・位置決めされて曲げ加工が行なわれる。
【0038】
以上の結果から、薄いワークWや穴明きワークWでも高精度な原点設定を確実に行なうことができる。
【0039】
なお、この発明は前述の実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。すなわち、前述の実施の形態においては、板金加工機として曲げ加工機1を採用した場合について説明したが、その他の板金加工機でもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明による板金加工機の原点位置決め方法では、把持手段によりワークに形成されている直交する切欠きの基準面の近傍を把持し、把持手段を一軸方向および他軸方向へ移動させてワークに形成されている直交する切欠きの基準面を基準部材に当接させるので、ワークの原点位置決めを高精度で確実に行なうことができる。
【0041】
請求項2の発明による板金加工機の原点位置決め装置では、把持手段によりワークに形成されている直交する切欠きの基準面の近傍を把持し、移動手段により前記把持手段を一軸方向および他軸方向へ移動させ、ワークに形成されている直交する切欠きの基準面を基準部材に当接させて、ワークの原点位置決めを行なうので、薄いワークや穴明きを有するワークでも形状にかかわらず高精度で確実な原点設定を行なうことができる。
【0042】
請求項3の発明による板金加工機の原点位置決め装置では、ワークを把持している把持手段を移動させると、ユニットに固定的に設けられている基準部材に対して移動することになるので、確実に原点位置決めを行なうことができる。
【0043】
請求項4の発明による板金加工機の原点位置決め装置では、前記把持手段と前記移動手段と前記基準部材を備えたユニットは、一軸方向に一対設けられており、この一対のユニットによりワークの原点位置決めを行なうので、ワークの大きさに応じてユニット間隔を調整することにより、確実に原点位置決めを行なうことができる。
【0044】
請求項5の発明による板金加工機の原点位置決め装置では、ワークの原点位置決めを行なう場合にはユニットをパスラインよりも上に突出させ、ワークの加工を行なう場合にはユニットをパスラインよりも下へ移動させるので、必要な位置で確実に原点位置決めを行なうことができると共に加工の際に邪魔にならないようにすることができる。
【0045】
請求項6の発明による板金加工機の原点位置決め装置では、ユニットは、ワークの大きさや形状に対応して一軸方向に移動・位置決めしてワークの原点位置決めを行なうので、必要な位置で原点位置決めを行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る板金加工機の原点位置決め装置を示す平面図である。
【図2】図1中II方向から見た正面図である。
【図3】図1中III−III位置から見た断面図である。
【図4】図2中IV―IV位置から見た断面図である。
【図5】図1中V方向から見た側面図である。
【図6】引き寄せクランパによりクランプされたワークをピンゲージに当接させて原点位置決めを行なっている状態を示す説明図である。
【図7】(A)(B)は、ピンゲージを示す正面図および平面図である。
【図8】この発明に係る板金加工機の原点位置決め装置を備えた搬入テーブルを示す平面図である。
【図9】従来における板金加工機の原点位置決め方法を示す平面図である。
【図10】従来における板金加工機の別の原点位置決め方法を示す平面図である。
【符号の説明】
1 曲げ加工機(板金加工機)
9 位置決めユニット(ユニット)
17 引き寄せクランパ(把持手段)
19 X方向引き寄せ用シリンダ(移動手段)
21 Y方向引き寄せ用シリンダ(移動手段)
23 昇降用シリンダ(昇降手段)
25 ピンゲージ(基準部材)
W ワーク
PL パスライン
Claims (6)
- 板金加工機によるワークの加工に先立ってワークの原点位置を位置決めする板金加工機の原点位置決め方法において、前記ワークに形成されている直交する切欠きの基準面の近傍を把持手段により把持し、この把持手段を一軸方向および一軸方向に直交した他軸方向へ移動させて、前記ワークに形成されている直交する切欠きの基準面を基準部材に当接させること、を特徴とする板金加工機の原点位置決め方法。
- 板金加工機によるワークの加工に先立ってワークの原点位置を位置決めする板金加工機の原点位置決め装置であって、前記ワークに形成されている直交する切欠きの基準面近傍を把持する把持手段と、この把持手段を一軸方向および一軸方向に直交した他軸方向へ移動せしめる移動手段と、前記把持手段の移動によりワークに形成されている直交する切欠きの基準面を当接せしめてワークの原点位置決めを行なうための基準部材と、を備えていることを特徴とする板金加工機の原点位置決め装置。
- 前記把持手段と前記移動手段と前記基準部材が一体のユニットとして設けられていること、を特徴とする請求項2記載の板金加工機の原点位置決め装置。
- 前記ユニットが、一軸方向に一対設けられていること、を特徴とする請求項3記載の板金加工機の原点位置決め装置。
- 前記ユニットを、パスラインに対して出没せしめる昇降手段が設けられていること、を特徴とする請求項3又は4記載の板金加工機の原点位置決め装置。
- 前記ユニットが、一軸方向に移動・位置決め自在であること、を特徴とする請求項3、4又は5記載の板金加工機の原点位置決め装置。
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