JP3868183B2 - 産業車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば大型の走行台車など、前後の複数箇所に車輪を有する産業車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の産業車両としては、たとえば図6に示されるような構成が提供されている。すなわち、車体50は、左右一対の前車輪53が設けられた前部車体51と、左右一対の後車輪54が前後の複数箇所に設けられた後部車体52とからなり、これら前部車体51と後部車体52とは、連結装置55を介して縦軸心56の周りに相対旋回自在に連結されるとともに、連結装置55の部分にはステアリング用のシリンダー装置57が設けられている。そして、前部車体51の上部に運転部58が設けられるとともに、後部車体52の上部に荷台部59が設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような多車輪車両において、前車輪53と最前位の後車輪54との車輪間距離Lが長い(たとえば4m位)場合、路面によっては、車長にほぼ等しい長さの走行距離に亘って接地できない車輪が発生し、所期の走行が円滑に行えないことになる。
【0004】
すなわち、図6の(a)において「イ」に示されるように、水平状面Aから登り傾斜面Bに入ったときには多くの後車輪54が接地できないことになり、また、図6の(b)において「ロ」に示されるように、登り傾斜面Bから水平状面Aに入ったときには前車輪53が接地できないことになり、そして、図6の(b)において「ハ」に示されるように、水平状面Aから下り傾斜面Cに入ったときには前車輪53が接地できないことになり、さらに、図6の(b)において「ニ」に示されるように、下り傾斜面Cから水平状面Aに入ったときには多くの後車輪54が接地できないことになる。なお、図6の(b)において「ロ」や「ハ」に示される状態から引き続いて走行されると、車体がシーソー状に動作されて、後位側の後車輪54が接地できないことになる。
【0005】
これに対しては、車体と車輪群との間に、それぞれ油圧シリンダー装置式のサスペンションを介在することで対応が可能であるが、低床荷台の場合、油圧シリンダー装置を配設する場所がないなど、容易に採用できない。
【0006】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、荷台部の形式や路面状況に関係なく、接地できない車輪を減少し得る産業車両を提供することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載の産業車両は、車体は、左右一対の前車輪と運転部を設けた前部車体と、左右一対の中間車輪を前後の二箇所に設けた中間部車体と、左右一対の後車輪を前後の複数箇所に設けるとともに荷台部を設けた後部車体とからなり、前部車体に対して中間部車体を、縦方向軸心の周りに相対旋回自在に連結するとともに旋回手段を設け、中間部車体に対して後部車体を、車幅方向軸心の周りに相対揺動自在に連結し、中間部車体の後端下部に横方向軸を介して左右一対のリンク体をシーソー揺動自在に取り付け、両リンク体の前後端部に左右方向の車輪軸を設けるとともに、各車輪軸の左右両端に前記中間車輪を設けて、後位の中間車輪を、中間部車体の後端から後方でかつ後部車体の前部両側方に位置させたことを特徴としたものである。
【0008】
したがって請求項1の発明によると、旋回手段を拘束状態にすることで、直進状の前後走行を安定して行える。また旋回手段を作動して、前部車体と中間部車体とを縦方向軸心の周りに正逆に相対旋回させることで、左旋回や右旋回しながらの前後走行を安定して行える。
【0009】
このような旋回を含む走行時において、水平状面から登り傾斜面に入ったとき、登り傾斜面から水平状面に入ったとき、水平状面から下り傾斜面に入ったとき、下り傾斜面から水平状面に入ったときなどには、中間部車体と後部車体とが車幅方向軸心の周りに相対揺動して屈曲することになり、これにより全ての車輪を接地状態として走行を行えることになる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、走行台車に採用した状態として図1〜図5に基づいて説明する。
【0011】
図1〜図3において、車体1は、左右一対の前車輪11が設けられた前部車体10と、左右一対の中間車輪21が前後の二箇所に設けられた中間部車体20と、左右一対の後車輪31が前後の四箇所(複数箇所)に設けられた後部車体30とから構成される。
【0012】
前部車体10に対して中間部車体20が、縦方向ピン2を利用した縦連結装置3を介して縦方向軸心4の周りに相対旋回自在に連結されるとともに、縦連結装置3の部分にはステアリング用のシリンダー装置(旋回手段の一例)5が設けられている。そして、前部車体10の上部に運転部12が設けられている。前車輪11は駆動車輪であり、その車輪軸13は、前部車体10に搭載されたエンジン14側に連動連結されている。なお、前部車体10側からは、後方へプロペラシャフト6が伸びている。
【0013】
中間部車体20の後端下部から左右一対のブラケット22が垂設され、これらブラケット22に横方向軸23を介してリンク体24の中間部が取り付けられ、以てリンク体24はシーソー揺動自在に構成される。そして両リンク体24の前後端部に左右方向の車輪軸25が設けられるとともに、各車輪軸25の左右両端に前記中間車輪21が設けられている。これにより後位の中間車輪21は、中間部車体20の後端から後方でかつ後部車体30の前部両側方に位置されることになる。
【0014】
中間部車体20に対して後部車体30が、横連結装置7を介して車幅方向軸心8の周りに相対揺動自在に連結されている。すなわち、中間部車体20の後端から後方へ連設されたブラケット26と、後部車体30の前端から前方へ連設されたブラケット32とが横方向ピン9により連結されることで、中間部車体20と後部車体30とが車幅方向軸心8の周りに相対揺動自在に連結される。
【0015】
後車輪31は、前述した中間車輪21と同様にして、後部車体30側に横方向軸33を介して取り付けられたリンク体34の前後端部または一端に、左右方向の車輪軸35を介して設けられている。
【0016】
後部車体30の上方には、荷台部36が昇降自在に設けられている。すなわち、後部車体30に対して荷台部36が四連リンク機構37を介して昇降自在に取付けられるとともに、後部車体30の複数箇所(または一箇所)には、荷台部36を昇降させるためのリフト用シリンダー装置(昇降手段の一例)38が設けられている。さらに後部車体30の複数箇所(または一箇所)には、上昇させた荷台部36のロックを行うための機械式のロック手段39が、駆動装置(図示せず。)により起立横倒自在に設けられている。
【0017】
なお荷台部36は、その前部が中間部車体20の上方のレベルに位置される長さに設定されている。また荷台部36の前端には、ストッパー体40が設けられている。45は支持枠で、被運搬物46の支持を行う支持台部45Aと、この支持台部45Aの両側から垂設された脚部45Bなどにより構成される。
【0018】
以下に、上記した実施の形態における作用を説明する。
走行台車においては、ロック手段39を横倒させたのち、リフト用シリンダー装置38の収縮動により、四連リンク機構37を介して荷台部36を下降させる。この状態で、被運搬物46を載置してなる(または空の)門型状の支持枠45内で後進走行させたのち停車させることによって、図4に示されるように、この荷台部36を支持台部45Aの下方に位置させる。
【0019】
次いで、リフト用シリンダー装置38群の伸展動により、図1〜図3に示されるように、四連リンク機構37を介して荷台部36を上昇させることで、荷台部36を支持台部45Aに下方から当接させて、図1〜図3の仮想線に示されるように、支持枠45を持ち上げ得る。そしてロック手段39を起立させて、荷台部36のロック、すなわち位置決めを行う。
【0020】
このような状態での走行によって、被運搬物46の運搬を行える。その際に、シリンダー装置5を拘束状態にすることで、直進状の前後走行を安定して行える。またシリンダー装置5を伸縮動させて、前部車体10と中間部車体20とを縦方向軸心4の周りに正逆に相対旋回させることで、走行台車を左旋回や右旋回しながらの前後走行を安定して行える。そして所定場所に停車させたのち上述とは逆動作を行うことにより、荷台部36を下降させて支持枠45を着地し得る。
【0021】
このような旋回を含む前後走行時において、図5の(a)において「ホ」に示されるように、水平状面Aから登り傾斜面Bに入ったときには、中間部車体20と後部車体30とが、車幅方向軸心8の周りに相対揺動して逆への字状に屈曲することになり、これにより全ての車輪11,21,31を接地させて走行を行えることになる。また、図5の(b)において「ヘ」に示されるように、登り傾斜面Bから水平状面Aに入ったときには、中間部車体20と後部車体30とが、車幅方向軸心8の周りに相対揺動してへの字状に屈曲することになり、これにより全ての車輪11,21,31を接地させて走行を行えることになる。
【0022】
そして、図5の(b)において「ト」に示されるように、水平状面Aから下り傾斜面Cに入ったときには、中間部車体20と後部車体30とが、車幅方向軸心8の周りに相対揺動してへの字状に屈曲することになり、これにより全ての車輪11,21,31を接地させて走行を行えることになる。さらに、図5の(b)において「チ」に示されるように、下り傾斜面Cから水平状面Aに入ったときには、中間部車体20と後部車体30とが、車幅方向軸心8の周りに相対揺動して逆への字状に屈曲することになり、これにより全ての車輪11,21,31を接地させて走行を行えることになる。
【0023】
したがって、荷台部36の形式(低床や高床)や路面状況に関係なく、長い走行距離に亘って接地できない車輪を無くし得、以て所期の走行を常に安定して円滑に行えることになる。
【0024】
上記した実施の形態では、荷台部36が昇降自在に設けられているが、この荷台部36は後部車体30に固定された形式であってもよい。
上記した実施の形態では、支持枠45を介して被運搬物46の運搬を行う形式が示されているが、これは荷台部36に被運搬物46を直接状に載置させる形式であってもよい。
【0025】
上記した実施の形態では、産業車両として荷役用の走行台車が示されているが、これは別形式の荷役車両や作業車両なども同様に走行し得るものである。
【0026】
【発明の効果】
上記した本発明の請求項1によると、旋回手段を拘束状態にすることで、直進状の前後走行を安定して行うことができ、また旋回手段を作動して、前部車体と中間部車体とを縦方向軸心の周りに正逆に相対旋回させることで、左旋回や右旋回しながらの前後走行を安定して行うことができる。
【0027】
このような旋回を含む走行時において、水平状面から登り傾斜面に入ったとき、登り傾斜面から水平状面に入ったとき、水平状面から下り傾斜面に入ったとき、下り傾斜面から水平状面に入ったときなどには、中間部車体と後部車体とが車幅方向軸心の周りに相対揺動して屈曲することになり、これにより全ての車輪を接地状として走行を行うことができる。したがって、荷台部の形式(低床や高床)や路面状況に関係なく、長い走行距離に亘って接地できない車輪を無くすることができ、以て所期の走行を常に安定して円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示し、産業車両の側面図である。
【図2】同産業車両の平面図である。
【図3】同産業車両における荷台部上昇時の背面図である。
【図4】同産業車両における荷台部下降時の背面図である。
【図5】同産業車両における走行状態を説明する概略側面図である。
【図6】従来例を示し、産業車両における走行状態を説明する概略側面図である。
【符号の説明】
1 車体
3 縦連結装置
4 縦方向軸心
5 シリンダー装置(旋回手段)
7 横連結装置
8 車幅方向軸心
10 前部車体
11 前車輪
12 運転部
20 中間部車体
21 中間車輪
24 リンク体
30 後部車体
31 後車輪
36 荷台部
37 四連リンク機構
38 リフト用シリンダー装置(昇降手段)
39 ロック手段
45 支持枠
46 被運搬物
A 水平状面
B 登り傾斜面
C 下り傾斜面
Claims (1)
- 車体は、左右一対の前車輪と運転部を設けた前部車体と、左右一対の中間車輪を前後の二箇所に設けた中間部車体と、左右一対の後車輪を前後の複数箇所に設けるとともに荷台部を設けた後部車体とからなり、前部車体に対して中間部車体を、縦方向軸心の周りに相対旋回自在に連結するとともに旋回手段を設け、中間部車体に対して後部車体を、車幅方向軸心の周りに相対揺動自在に連結し、中間部車体の後端下部に横方向軸を介して左右一対のリンク体をシーソー揺動自在に取り付け、両リンク体の前後端部に左右方向の車輪軸を設けるとともに、各車輪軸の左右両端に前記中間車輪を設けて、後位の中間車輪を、中間部車体の後端から後方でかつ後部車体の前部両側方に位置させたことを特徴とする産業車両。
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