JP3868022B2 - N−クロロこはく酸イミドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩素化剤として有用なN−クロロこはく酸イミドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
N−クロロこはく酸イミドは塩素化剤等として広く使用されている。このN−クロロこはく酸イミドは、こはく酸イミドを塩素化して製造するが、その製造方法として塩素化するために次亜塩素酸塩を用いる方法と、塩素ガスを直接導入する方法が知られている。
【0003】
N−クロロこはく酸イミドの製造方法の一つである次亜塩素酸塩を用いる方法には、次亜塩素酸t−ブチルを用いる方法(J.Am.Chem.Soc.,76,3856,(1954))があるが、この製造方法では収率が悪いという欠点があった。そこで、酢酸溶媒中で反応させることによりN−クロロこはく酸イミドの収得率を高める方法(中国文献(Huaxue Shiji,(1989)11(1),58)、US特許77−861582号参照)や、酢酸の代わりに無機塩を用いて収率よくN−クロロこはく酸イミドを得る方法(特開平4-282362号公報参照) などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、最近の傾向として、次亜塩素酸ナトリウムと水溶化した有機物が反応して人体に有害なトリハロメタン等が発生する可能性が見られるため、環境問題の観点から使用されなくなってきている。従って、N−クロロこはく酸イミドを得るために、直接塩素ガスを導入することにより、こはく酸イミドをN−クロロ化するというもう一つの製造方法を用いる必要に迫られている。
【0005】
しかし、古くから知られている塩素ガスを直接導入させる方法(J.Chem.Soc.,121,2169,(1922))は、収率が極めて悪い。そこで、pH3以下の水溶液中で塩素を導入し反応途中で無機塩基を加えるという方法(特開平6-56772 号公報参照)が提案され、該方法を用いると高収率でN−クロロこはく酸イミドを得ることができるとされている。
【0006】
しかしながらこの方法においては、塩素ガスの導入量に対して、高濃度の無機塩基の水溶液を数回に分けて反応溶液に導入するという形になるため反応のコントロールが非常に難しい。
【0007】
そこで、アルカリ域にpHを持っていくと、こはく酸イミドにN−クロロ化反応を起こさせて生成したN−クロロこはく酸イミドは、アルカリ溶液に溶解しやすいため、収率が低下してしまう。
【0008】
本発明の目的は、上記の課題を解決するため、直接塩素ガスを吹き込んで、こはく酸イミドをN−クロロ化反応させる際に、目的生成物であるN−クロロこはく酸イミドを高収率に、かつ効率よく製造できる方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明にかかる製造方法は以下の式〔II〕
【0010】
【化2】
で示される反応式に従って、こはく酸イミドを原料として、窒素(N)についている水素をアルコール共存下で、アルカリと塩素ガスによってN−クロロ化反応を行い、N−クロロこはく酸イミドを製造した。
【0011】
この反応で用いるアルカリとしては特に限定はされないが、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが例示される。
アルコールとしては、特に限定はされないが、たとえばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリンなどが例示される。
【0012】
本発明の反応に関してアルカリ及び塩素ガスの使用量は、こはく酸イミドに対して等モル〜極小過剰量とし、反応終了後、溶液中にアルカリがほとんど残存しないように仕込むのが好ましい。これは、溶液中に残存アルカリが多ければ、生成したN−クロロこはく酸イミドが溶解し易くなり、また、溶液中に残存次亜塩素酸塩が多ければ、生成したN−クロロこはく酸イミドが分解しやすくなるという不都合を防ぐためである。なお、アルカリと比べて塩素のみを大過剰使用しても収率に大きな影響は出ないが、塩素ガスにより発泡してしまうため、行わない方が好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明による、式〔I〕で示されるN−クロロこはく酸イミドは、こはく酸イミドを原料とし、5〜10℃に冷却下、3〜7wt%のアルコールを共存させたアルカリ水溶液中に、塩素ガスを導入して、N−クロロ化反応させることにより合成されたものを水で洗浄・濾過・乾燥することで高収率で得られる。
【0014】
すなわち、アルコールを共存させることによって、塩素ガスの導入による溶液の発泡を防止し、その結果、反応が促進され収率が良くなる。
【0015】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
冷却管、塩素導入管、温度計を付けた100ml 三口フラスコに、20%水酸化ナトリウム水溶液20.0g(100mmol)とエタノール2ml を入れ、攪拌した。
【0016】
これに、こはく酸イミド9.6g(97mmol)を加えた水溶液を氷浴で5 〜10℃に冷却したものに、塩素ガス7.0g(99mmol)を0.5 〜1 時間程度で導入後、1 時間その状態で攪拌した。
反応終了後、吸引濾過してその濾過物を20mlの水で洗浄後、残った濾過物を減圧乾燥して、N−クロロこはく酸イミドを11.0g(収率85%) 得ることができた。
【0017】
生成物の融点(m.p.) 測定、IRスペクトルの測定、元素分析を行ったところ、以下のような結果になったため、生成物がN−クロロこはく酸イミドであることを確認した。
m.p.148 〜149 ℃/斜方晶系構造
IR(KBr) 3480,3000,2950,2925,2475,1820,1735,1725,1710,1425,1310,1240,1200,1163,1000,960,815,570,545,480cm-1
【0018】
(実施例2〜4)上記実施例1と同じくアルコールとしてエタノールを用いて、表1に示すように加えるアルカリ(20%水酸化ナトリウム水溶液)および塩素ガスの使用量をどちらか一つ、あるいは両方とも倍増させた条件で、実施例1と同様の操作を行うとN−クロロこはく酸イミドを 4.4g(36%)〜 9.0g(70%)得ることができた。
【0019】
これにより、過剰のアルカリや塩素ガスはN−クロロこはく酸イミドの収率を下げることが確認できた。
【0020】
(実施例5〜16)上記実施例1〜4の中で最も収率の良かった実施例1と同じ割合で、こはく酸イミド、アルカリ、塩素ガスを使用する条件で、アルコールの種類をエタノールに代えて、表1に示したようなアルコール(メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリチレングリコール(分子量:300と600)、グリセリン)に変更する以外、実施例1と同様の操作で行うとN−クロロこはく酸イミドを 8.3g(64%) 〜10.5g(81%) 得ることができた。
【0021】
(比較例1)上記実施例1および実施例5〜16においてアルコールを使用しない以外実施例1および実施例5〜16と同様の操作で行うと反応途中に塩素ガスによる発泡が見られたが、N−クロロこはく酸イミドを5.8g(45%)得ることができた。
【0022】
上記の実施例と比較例を見比べると、こはく酸イミド、アルカリ、塩素ガスの使用量が同じで、同じ操作を行うとアルコールが存在することによって、アルコールの種類にかかわらず、収率はかなり増加するだけでなく、塩素ガスによる発泡も抑えられるため余分な手間が掛からずに済む。
【0023】
以上の実施例および比較例を以下の表1および表2に示した。
なお表1において、
TEGはトリエチレングリコール
PEG-300はポリエチレングリコール(分子量:300)
PEG-600はポリエチレングリコール(分子量:600)をそれぞれ表す。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【発明の効果】
本発明方法により、アルカリ溶液に溶解しやすいN−クロロこはく酸イミドを溶液中に極力溶解・残存させずに、アルコールを添加することによって反応の際、発泡を抑制させることで、簡便高収率に製造することができる。
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