JP3865224B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車両に装備される電動パワーステアリング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電動パワーステアリング装置は、ハンドルを通してステアリング軸にかかる操舵トルクおよび車速に応じてパワーアシスト電動機を駆動することにより適正な操舵補助力を発生させている。そして、このパワーアシスト電動機は車載コンピュータ(以下、「ECU」とする)により制御されている。具体的には、操舵トルク信号および車速信号に基づきパワーアシスト電動機へ供給するアシスト電流を制御することにより行われている。
【0003】
また、パワーアシスト電動機への電力の供給は、バッテリや充電発電機からECUを介して行われている。電力供給に際して、バッテリや充電発電機から入力される入力電圧をECU内の昇圧回路により昇圧してパワーアシスト電動機へ印加している。これは、高速走行中の急転舵時の即応性等の種々の理由によるものである。さらに、特開平8−127351号公報には、昇圧回路を用いる理由として小電流によりパワーアシスト電動機の小型化が可能となることが記載されている。
【0004】
しかし、入力電圧を昇圧する際には、昇圧回路に使用しているインダクタやスイッチング素子等が発熱して回路の故障等を生ずるおそれがあった。
【0005】
この問題に対し、特開平8−127351号公報には昇圧回路で使用している素子の温度を監視し、その温度が所定値以上になった場合に昇圧する出力電圧を下げることにより回路の故障等を防止することが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、使用している素子の温度が所定値以上になった場合に出力電圧を下げると、一時的にパワーアシスト電動機へ供給する電力が非常に小さくなる。これは操舵補助力に多大な影響を及ぼすことになる。従って、急激に出力電圧を下げることなく、常に適切な出力電圧を印加できることが望まれる。
【0007】
ここで、昇圧回路の発熱原因である素子について検討してみると、素子の一つにインダクタ側からパワーアシスト電動機側への一方向にのみ電流を流すためのダイオードが含まれている。このダイオードは昇圧した電圧を降下させないようにするために用いられている。なお、ダイオードの発熱は電流に比例する。
【0008】
そして、パワーアシスト電動機がさらに大きなトルクを必要とする場合には、昇圧回路に大電流が流れることになる。このような場合には、ダイオードが著しく発熱することになる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、ダイオードの発熱を抑制することにより常に適切な出力電圧をパワーアシスト電動機へ印加することが可能な昇圧回路を有する電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、昇圧用の第1スイッチとダイオードを介さずに電流を流すことが可能な第2スイッチとを設け、入力電圧やq軸アシスト電流に応じて第1スイッチのON動作時に第2スイッチをOFF動作させ、または第1スイッチのOFF動作時に第2スイッチをON動作させるように第1スイッチの動作と第2スイッチの動作とを同期制御することによりダイオードの発熱を抑制できることを思いつき、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の電動パワーステアリング装置における電動機制御手段は、アシスト電流検出手段とq軸アシスト電流算出手段と昇圧回路と昇圧回路制御手段とを有することを特徴とする。
【0012】
アシスト電流検出手段は、パワーアシスト電動機へ供給されるアシスト電流を検出する検出手段である。q軸アシスト電流算出手段は、アシスト電流を二相変換された等価な電流であるq軸アシスト電流を算出する算出手段である。
【0013】
昇圧回路は、インダクタと、第1スイッチと、ダイオードと、第2スイッチとからなる。ここで、インダクタは、エネルギーの蓄積および放出により電力供給源から入力される入力電圧を昇圧するためのものである。第1スイッチは、ON動作時にはエネルギーを蓄積し、OFF動作時にはエネルギーを放出する動作切替えを行うスイッチである。ダイオードは、インダクタ側からパワーアシスト電動機側への一方向にエネルギーの放出により発生した電流を流す素子である。第2スイッチは、ダイオードと並列に配置されており、ON動作時にはダイオードを介さずにエネルギーの放出により発生した電流を流し、OFF動作時にはダイオードを介して電流を流す動作切替えを行うスイッチである。
【0014】
昇圧回路制御手段は、q軸アシスト電流が所定値より大きい場合と小さい場合により制御動作が異なる。q軸アシスト電流が所定値より大きい場合には、第1スイッチと第2スイッチを同期制御する。この同期制御とは、第1スイッチのON動作時に第2スイッチをOFF動作させ、または第1スイッチのOFF動作時に第2スイッチをON動作させるようする制御である。また、q軸アシスト電流が小さい場合には、第1スイッチのON・OFF動作とは無関係に第2スイッチをOFF動作させるように制御する。
【0015】
これにより、同期制御を行う際には、電流がダイオードを通過しないで、ダイオードより消費電力の小さい第2スイッチを通過するので、ダイオードの発熱を抑制できる。特に、q軸アシスト電流が大きい場合には、ダイオードに大電流が流れるため、このような場合に同期制御を行うことにより発熱を抑制する効果が大きい。
【0016】
ここで、同期制御を行った場合でも電流を逆流させない理由について一例として図20〜図21を参照して具体的に説明する。
【0017】
図20は、入力電圧を昇圧する際、すなわち第1スイッチをON・OFF動作させるときのインダクタに流れる電流ILの変化を示す。図20に示すように、第1スイッチのON動作(Ts_on)時、すなわちエネルギーを蓄積している間は、インダクタに流れる電流が増加する。一方、第1スイッチのOFF動作(Ts_off)時、すなわちエネルギーを放出している間は、インダクタに流れる電流が減少する。そして、第1スイッチのON・OFF動作は所定の周期(PWM周期)で繰り返されている。この場合に同期制御を行うと、第1スイッチのOFF動作(Ts_off)時に第2スイッチがON動作するためインダクタに電流が流れていない時間(Tr)には電流が逆流することになる。すなわち、出力電圧が降下することになる。
【0018】
このことから、電流を逆流させないで同期制御を行うには、インダクタに電流が流れていない時間(Tr)を0にすればよいことが分かる。すなわち、図21に示すように、インダクタに電流が流れている場合には、同期制御を行ったとしても逆流することがない。なお、Td_onは第2スイッチのON動作を、Td_offは第2スイッチのOFF動作を示す。
【0019】
次に、電流を逆流させないで同期制御を行った場合に、ダイオードの発熱を抑制できる理由について説明する。
【0020】
降圧用スイッチ103がOFF動作した場合は、電流が逆流しないので、電流はダイオードのアノード側からカソード側へ流れる。そして、第2スイッチがON動作した場合には、電流はダイオードを通らずに、第2スイッチを通ることになる。ここで、ダイオードの消費電力Pdと第2スイッチのON動作時の消費電力Pmを数1に示す。
【0021】
【数1】
Pd=(ダイオードの順方向電圧)*(電流)
Pm=(電流)2 *(第2スイッチのON抵抗)
一般に、ダイオードの消費電力Pdよりも第2スイッチのON動作時の消費電力Pmの方が小さい。従って、ダイオードの発熱よりも第2スイッチの発熱の方が小さいので、昇降圧回路全体として発熱を抑制することができる。
【0022】
また、本発明の電動パワーステアリング装置における電動機制御手段は、昇圧回路と昇圧回路制御手段とを有することを特徴とする。
【0023】
昇圧回路は、インダクタと、第1スイッチと、ダイオードと、第2スイッチとからなる。ここで、インダクタと、第1スイッチと、ダイオードと、第2スイッチは、上記記載と同一である。
【0024】
昇圧回路制御手段は、入力電圧が所定値より小さい場合と大きい場合により制御動作が異なる。入力電圧が所定値より小さい場合には、第1スイッチと第2スイッチを同期制御する。また、入力電圧が所定値より大きい場合には、第1スイッチのON・OFF動作とは無関係に第2スイッチをOFF動作させるように制御する。
【0025】
これにより、同期制御を行う際には、電流がダイオードを通過しないで、ダイオードより消費電力の小さい第2スイッチを通過するので、ダイオードの発熱を抑制できる。また、入力電圧が大きい場合には昇圧の割合が小さいため逆流のおそれがある。そこで、所定電圧以上の場合に同期制御を行うことにより逆流しないで確実に昇圧することできる。
【0026】
また、本発明の電動パワーステアリング装置における電動機制御手段は、昇圧回路と昇圧回路制御手段とを有することを特徴とする。
【0027】
昇圧回路は、インダクタと、第1スイッチと、ダイオードと、第2スイッチとからなる。ここで、インダクタと、第1スイッチと、ダイオードと、第2スイッチは、上記記載と同一である。
【0028】
昇圧回路制御手段は、第1スイッチのON・OFF動作時間(PWM周期)におけるON動作時間の割合が所定値より大きい場合と小さい場合により制御動作が異なる。所定値より大きい場合には、第1スイッチと第2スイッチを同期制御する。また、所定値より小さい場合には、第1スイッチのON・OFF動作とは無関係に第2スイッチをOFF動作させるように制御する。
【0029】
これにより、q軸アシスト電流や入力電圧に基づく場合よりもさらに広範囲に同期制御を行うことができるため、ダイオードの発熱をさらに抑制できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
次に、実施形態を挙げ、本発明の電動パワーステアリング装置をより詳しく説明する。
【0031】
(全体構成)
図1に示すように、本発明の電動パワーステアリング装置は、ECU16と、パワーアシスト電動機14と、位置検出装置15と、操舵トルク検出装置17と、車速検出装置11と、バッテリ12と、充電発電機13とからなる。なお、本実施形態ではパワーアシスト電動機14として三相ブラシレスモータを用いている。
【0032】
ECU16は、マイコン6と、昇降圧回路1と、昇降圧駆動回路2と、入力電圧検出回路4と、出力電圧検出回路3と、電動機駆動回路5と、アシスト電流検出回路7と、操舵トルク検出回路9とから構成される。
【0033】
まず、操舵トルク検出装置17によりステアリング軸にかかる操舵トルクが検出される。検出された操舵トルクに基づき、操舵トルク検出回路9により操舵トルク信号が生成される。操舵トルク検出装置7と操舵トルク検出回路9が操舵トルク検出手段である。また、車速検出手段である車速検出装置11により車両の速度を検出して車速信号が生成される。そして、操舵トルク信号と車速信号とに基づき三相ブラシレスモータ14に指令されるトルク値(以下「電動機トルク指令値」という)がマイコン6の電動機トルク指令値算出手段により算出される。さらに、算出された電動機トルク指令値に基づき三相ブラシレスモータ14に供給される電流に相当する出力信号がマイコン6の電動機制御手段により生成される。
【0034】
一方、電力供給源であるバッテリ12や充電発電機13から入力される入力電圧は昇降圧回路1により昇圧される。昇降圧回路1の制御は、マイコン6からの指令信号に基づき昇降圧駆動回路2により行われる。そして、昇圧された出力電圧と供給電流に相当する出力信号とに基づき電動機駆動回路5により三相ブラシレスモータ14に相電流が供給される。そして、三相ブラシレスモータ14が駆動し、操舵補助力を発生させる。
【0035】
なお、入力電圧検出回路4は昇降圧回路1に入力される電圧を検出し、出力電圧検出回路3は昇降圧回路1から出力される電圧を検出し、位置検出装置15は三相ブラシレスモータ14の位置信号を検出する。
【0036】
(マイコン6の電動機制御手段による電動機駆動回路5への出力信号の生成処理)
次に、マイコン6による電動機駆動回路5への出力信号の生成処理について、図2を参照して説明する。
【0037】
生成された電動機トルク指令値Tsがトルク電流変換部601に送られ、トルク電流指令値Riq*が出力される。このトルク電流指令値Riq*は、後述するq軸アシスト電流Iqfと比較部610にて比較される。その結果、q軸電流差ΔIq(=|Riq*−Iqf|)がある場合は、PI制御部602にて比例積分制御を受けて補正され、q軸アシスト電圧Vq*が出力される。
【0038】
また、磁化電流指令値Id*は、後述するd軸アシスト電流Idfと比較部609にて比較される。その結果、d軸電流差ΔId(=|Id*−Idf|)がある場合は、PI制御部603にて比例積分制御を受けて補正され、d軸アシスト電圧Vd*が出力される。ここで、q軸アシスト電圧Vq*とd軸アシスト電圧Vd*は、三相ブラシレスモータ14への指令値としての直交座標系の電圧である。
【0039】
そして、q軸アシスト電圧Vq*およびd軸アシスト電圧Vd*は、三相変換部(dq逆変換部)604にて三相の相電圧Vu、Vv、Vwに変換され、パルス幅変調部(PWM)605に出力される。パルス幅変調部605により出力されたパルス電流に基づき、電動機駆動回路5(図1に示す)が作動してU相、V相およびW相の各導線を介して三相ブラシレスモータ14を給電状態にする。
【0040】
この間、三相ブラシレスモータ14に接続された位置検出装置(回転角センサ)15(図1に示す)により検出された位置検出信号は、電気角演算回路612に出力される。そして、電気角演算回路612により、位置検出信号に基づき三相ブラシレスモータ14の電気角(角度)が算出され、電気信号として二相変換部(dq変換部)608に出力される。ここで、角度を括弧書きとしたのは、三相ブラシレスモータ14の電気角と実際の角度(あるいは回転角)との間には相関関係があり、電気角と角度とは三相ブラシレスモータ14の構成等により異なるが、互いに変換可能であるため、包括的な文言の角度の具体例として電気角を用いた。
【0041】
そして、アシスト電流検出手段であるアシスト電流検出回路7(図1に示す)により、電動機駆動回路5から三相ブラシレスモータ14に供給される相電流Iu、Iv、Iw(以下「アシスト電流」という)が検出され、アシスト電流信号が生成される。アシスト電流信号と電気角演算回路612から出力された電気信号とに基づき、q軸アシスト電流算出手段およびd軸アシスト電流算出手段である二相変換部(dq変換部)608にて二相の電流に変換される。変換される電流は、q軸アシスト電流Iqfおよびd軸アシスト電流Idfである。これらq軸アシスト電流Iqfおよびd軸アシスト電流Idfが、上述のとおり比較部609、610に出力されることで、フィードバックして三相ブラシレスモータ14の制御を行っている。
【0042】
(昇降圧回路1の基本動作)
次に、昇降圧回路1の動作について、図3を参照して説明する。
【0043】
第1スイッチ(以下「昇圧用スイッチ」という)102のON動作によりインダクタ101にてエネルギーが蓄積され、OFF動作によりエネルギーが放出される。この繰り返しによりダイオード104のカソード側に放出の際の高電圧が発生することで昇圧が可能となる。
【0044】
すなわち、昇圧用スイッチ102がON動作するとインダクタ101に短絡電流が流れ、昇圧用スイッチ102がOFF動作するとインダクタ101に流れる電流が遮断される。インダクタ101に流れる電流が遮断されると、この電流の遮断による磁束の変化を妨げるように、ダイオード104のカソード側に高電圧が繰り返し発生する。発生した電圧がコンデンサ105で平滑され、出力電圧Voが電動機駆動回路5に出力される。これを昇圧チョッパ方式といい、広く一般に知られている。なお、この場合の第2スイッチ(以下「降圧用スイッチ」という)103は通常OFF動作状態であるので、電流はダイオード104を通ることになる。なお、本実施形態においては、便宜上ダイオード104を図中に記載して説明しているが、これは昇圧スイッチング素子102にMOS−FETを使用することにより、MOS−FETに構成される寄生ダイオードでも同じであることの説明は省略する。
【0045】
ここで、昇圧用スイッチ102および降圧用スイッチ103のON・OFF動作は、マイコン6の昇降圧回路制御手段からの指令信号に基づき昇降圧回路駆動回路2により行われる。このマイコン6からの指令信号は、パルス波であって、所定周波数のデューティー値を示す信号である。一般に、昇圧用スイッチ102のデューティー値が大きい場合には昇圧割合が大きくなり、デューティー値が小さい場合には昇圧割合が小さくなる。
【0046】
なお、降圧用スイッチ103がON動作すると、入力電圧Vinと出力電圧Voの電圧が大きい方から小さい方へ電流が流れる。すなわち、入力電圧Vinが大きい場合には、電流がダイオードを介さずに降圧用スイッチ103を通じて、インダクタ101側からコンデンサ105側へ流れる。一方、入力電圧Vinが小さい場合には逆流することになる。通常は、入力電圧Vinが小さいので逆流することになる。
【0047】
次に、図4は、入力電圧Vinを昇圧する際、すなわち昇圧用スイッチ102をON・OFF動作させるときのインダクタ101に流れる電流ILの変化を示す。昇圧用スイッチ102のON動作(Ton)時、すなわちエネルギーを蓄積している間は、インダクタ101に流れる電流が増加する。一方、昇圧用スイッチ102のOFF動作(Toff)時、すなわちエネルギーを放出している間は、インダクタ101に流れる電流が減少する。
【0048】
次に昇降圧回路1の制御方法について具体的に説明する。
【0049】
(目標昇圧電圧の設定による制御)
本発明の特徴部分である昇降圧回路1の制御方法について説明する。
【0050】
まず、マイコン6の目標昇圧電圧設定手段により、出力電圧Voの目標値である目標昇圧電圧Vtが操舵状態に応じて設定される。目標昇圧電圧Vtは、例えば電動機トルク指令値Tsに基づき設定される。電動機トルク指令値Tsに基づき設定される目標昇圧電圧Vtを図5に示す。電動パワーステアリング装置において、ハンドルを急操舵する際は、三相ブラシレスモータ14の回転力(追従性)を引き出さなければならない。そのため、三相ブラシレスモータ14に印加する電圧はより高い電圧が必要となる。なお、ハンドルを急操舵する際には、電動機トルク指令値Tsは比較的小さい。また、ハンドルを据え切りする際は、三相ブラシレスモータ14のトルクが必要となり、大きい電流を流すが、この時にモータ14の回転力は必要としないため目標昇圧電圧Vtは小さく設定される。
【0051】
次に、バッテリ12や充電発電機13から入力される入力電圧Vinを設定された目標昇圧電圧Vtまで昇圧することができる昇圧用スイッチ102のデューティー値(以下「昇圧デューティー値」という)の指令信号が生成される。ここで、入力電圧Vinは車両の状態(電気負荷の変動等)により変動することは周知である。従って、マイコン6は、変動する入力電圧Vinと設定された目標昇圧電圧Vtに基づき昇圧デューティー値の指令信号を決定する。なお、昇圧デューティー値とは1周期における昇圧用スイッチ102のON動作時間の割合を意味する。
【0052】
ここで、入力電圧Vin、目標昇圧電圧Vtおよび昇圧デューティー値との関係について説明する。
【0053】
昇圧用スイッチ102のON動作時のインダクタ101から流れる電流変化率Iaを数2に示す。Lはインダクタ101のインダクタンス値である。
【0054】
【数2】
Ia=di/dt=Vin/L
また、昇圧用スイッチ102のOFF動作時のインダクタ101から流れる電流変化率Ibを数3に示す。
【0055】
【数3】
Ib=di/dt=(Vo−Vin)/L
そして、昇圧用スイッチ102のON動作時間TonとOFF動作時間Toffが等しい場合には、Ia=Ibとなる。すなわち、数4に示すようになる。
【0056】
【数4】
Ia*Ton=Ib*Toff
Vin*Ton=(Vo−Vin)*Toff
ここで、入力電圧Vinを10V、目標昇圧電圧Vtを25Vの場合の昇圧デューティー値を算出すると、数5のようになる。なお、Ton+Toff=1とする。また、ダイオード104による電圧降下分および配線抵抗による損失は考慮しないものとする。
【0057】
【数5】
Ton={(25−10)/10}*(1−Ton)
Ton=0.6=60%
従って、この場合には昇圧デューティー値60%の指令信号が生成される。つまり、昇圧用スイッチ102の駆動周波数およびインダクタンスLの値が固定の場合には、入力電圧Vinと目標昇圧電圧Vtにより昇圧デューティー値は一義的に定まることになる。この関係をマップ表にしたものを図7に示す。
【0058】
次に、マイコン6により生成された指令信号が昇降圧駆動回路2に出力される。出力された信号に基づき昇降圧駆動回路2により昇圧用スイッチ102および降圧用スイッチ103が駆動する。
【0059】
このように昇降圧回路1を制御することにより、以下の効果を有する。
【0060】
電動機トルク指令値Tsが大きい場合には、昇降圧回路1に大電流が流れるおそれがある。このような場合に、マイコン6の目標昇圧電圧設定手段は目標昇圧電圧Vtを小さく設定することできる。そのため、昇降圧回路1には大電流が流れず、インダクタ101、昇圧用スイッチ102や降圧用スイッチ103等の発熱を抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態では電動機トルク指令値Tsに基づき目標昇圧電圧Vtを設定したが、q軸アシスト電流Iqfに基づき設定してもよい。その際の目標昇圧電圧Vtを図6に示す。q軸アシスト電流Iqfが大きい程、目標昇圧電圧Vtは小さく設定される。q軸アシスト電流Iqfが大きい場合には、昇降圧回路1に大電流が流れているおそれがある。このような場合に目標昇圧電圧Vtを小さく設定することができる。そのため、昇降圧回路1には大電流が流れなくなり、インダクタ101、昇圧用スイッチ102や降圧用スイッチ103等の発熱を抑制することができる。
【0062】
また、マイコン6は、電動機トルク指令値Tsに基づき得られた目標昇圧電圧Vtとq軸アシスト電流Iqfに基づき得られた目標昇圧電圧Vtのうち、小さい方を目標昇圧電圧Vtとして設定してもよい。
【0063】
なお、図5および図6に示す電動機トルク指令値Ts若しくはq軸アシスト電流Iqfに基づく目標昇圧電圧Vtの対応をより細分化したり、マップ間を補間したりすることもできる。これにより、より快適な操舵性を実現できる。
【0064】
また、入力電圧Vinと目標昇圧電圧Vtと昇圧デューティー値との関係を示す図7のようなマップ表を予め設定しておく必要は必ずしもないが、マップ表を用いることによりマイコン6による昇圧デューティー値の算出時間が短縮できる。なお、マップ間の補間やマップ数についてはより細分化することもできる。
【0065】
また、目標昇圧電圧Vtが変更され、その変化率が所定値以上となった場合に、ソフトウエアにより昇圧する際の応答性を鈍化させるか、若しくはハードウエアにより昇圧の変化を徐変させるとよい。このようにすることで、操舵補助力を急変させないため、違和感なく快適にハンドル操舵可能となる。
【0066】
また、指令信号の周波数は可聴周波数以外の値とすることで、騒音が防止できる。
【0067】
(昇圧デューティー値の設定による制御)
本発明の特徴部分である昇降圧回路1の制御方法について説明する。
【0068】
まず、マイコン6により、出力電圧Voの目標値である目標昇圧電圧Vtが電動機トルク指令値Tsに基づき設定される。次に、バッテリ12や充電発電機13から入力される入力電圧Vinを設定された目標昇圧電圧Vtまで昇圧することができる昇圧デューティー値ががマイコン6の基準デューティー値算出手段により算出される。入力電圧Vinと目標昇圧電圧Vtと昇圧デューティー値の関係を図7に示す。この昇圧デューティー値を基準昇圧デューティー値とする。
【0069】
一方、マイコン6のq軸デューティー値算出手段によりq軸アシスト電流Iqfに応じてq軸昇圧デューティー値が算出される。この関係を図8に示す。
【0070】
そして、マイコン6のデューティー値比較判定手段によりq軸昇圧デューティー値と基準昇圧デューティー値のうち小さい方が判定される。判定された昇圧デューティー値を最大デューティー値Tmaxとする。また、目標昇圧電圧Vtに制御するデューティー値を指令信号として指令デューティー値設定手段により生成される。生成された指令信号が昇降圧駆動回路2に出力される。出力された信号に基づき昇降圧駆動回路2により昇圧用スイッチ102および降圧用スイッチ103が駆動する。
【0071】
このように昇圧デューティー値の最大値を制限することでインダクタ101に過剰な電流を流すことがなく、発熱を抑制できる。なお、図5、図7および図8に示すマップ間の補間やマップ数についてはより細分化することもできる。
【0072】
ここで、本実施形態の代表的なマイコン6の処理について図9のフローチャートを用いて説明する。
【0073】
入力電圧検出回路4により検出された入力電圧Vinを読み込む(ステップS1)。一方、操舵トルク信号および車速信号に基づき電動機トルク指令値Tsを算出する(ステップS2)。そして、アシスト電流検出回路7の出力信号および電気角演算回路612の電気信号に基づき二相変換部(dq変換部)608により二相の電流に変換された電流の一方であるq軸アシスト電流Iqfを算出する(ステップS3)。続いて、算出した電動機トルク指令値Tsに基づき目標昇圧電圧Vtを設定する(ステップS4)。入力電圧Vinおよび目標昇圧電圧Vtに基づき基準昇圧デューティー値を算出する。また、q軸アシスト電流Iqfに基づき昇圧デューティー値を算出する。そして、そのうち小さい方を最大デューティー値Tmaxとして設定する(ステップS5)。そして、出力電圧検出回路3により検出された出力電圧Voを読み込む(ステップS6)。
【0074】
続いて、出力電圧Voと目標昇圧電圧Vtを比較し、一致すれば処理は終了し、現在の昇圧の状態が維持される(ステップS7:Y)。しかし、異なる場合、すなわち目標昇圧電圧が変更された場合は、変更された目標昇圧電圧Vtが出力電圧Voより大きいか小さいかにより処理が異なるため、その比較を行う(ステップ8)。変更された目標昇圧電圧Vtが出力電圧Voより大きい場合(ステップS8:Y)、現在指令されている昇圧デューティー値Tcを所定値減少させる(ステップS10)。一方、変更された目標昇圧電圧Vtが出力電圧Voより小さい場合(ステップS8:N)、昇圧デューティー値Tcを所定値増加させる(ステップS9)。そして、変更された昇圧デューティー値Tcと算出された最大デューティー値Tmaxと比較し、一致するならば処理は終了し、その昇圧デューティー値Tcにより昇圧される(ステップS11)。一致しなければ、出力電圧Voと目標昇圧電圧Vtが一致するかを比較し、一致するならばこの場合も処理は終了し、その目標昇圧電圧Vtに基づき昇圧される(ステップS12)。しかし、一致しなければ、ステップS8に戻り、昇圧デューティー値の変更処理を行う。
【0075】
(三相ブラシレスモータ14の発電時における降圧処理の制御)
本発明の特徴部分である昇降圧回路1の制御方法について説明する。
【0076】
三相ブラシレスモータ14は、車両および操舵状態によっては逆起電力を発生する状態(発電状態)になることがある。そこで、発電状態になった場合、図3に示した降圧用スイッチ103をON動作させることで、回生エネルギーとしてバッテリ12へ戻すことができる。発電状態は、目標昇圧電圧Vtと出力電圧Voを発電検出手段により比較して判定される。すなわち、出力電圧Voが目標昇圧電圧Vtより所定値超えた場合を発電状態と判定する。
【0077】
パワーアシスト電動機が発電する場合には、昇圧された電圧を平滑するために用いているコンデンサ105(図3に示す)に発電された電圧がかかることになる。このような場合に、降圧用スイッチ103をON動作させることで、コンデンサ105に発電された電圧がかからなくなるため、コンデンサ105の耐圧を必要以上に上げることがなくない。そのため、コンデンサ104を小型化できる。ただし、降圧用スイッチ103のON動作は、昇圧用スイッチ102のOFF動作時に行う必要がある。昇圧用スイッチ102と降圧用スイッチ103が同時にON動作すると、コンデンサ105に蓄えられている三相ブラシレスモータ14に印加する電圧が短絡状態になり、ハンドル操舵に違和感を生じさせる。また、発電状態の場合には、昇圧用スイッチ102に過大な電流が流れることになり、昇降圧回路1が故障する原因となるためである。この動作は、マイコン6により同時にON動作することを禁止することができる。なお、ハードウエアにより同時にON動作することを禁止することも可能であり、マイコン6が誤動作した場合にも故障を防止することができる。
【0078】
(周波数の設定による制御)
本発明の特徴部分である昇降圧回路1の制御方法について説明する。
【0079】
まず、マイコン6の周波数信号設定手段により、昇圧用スイッチ102を駆動する周波数fが電動機トルク指令値Tsに基づき設定される。電動機トルク指令値Tsに基づき設定される周波数fを図12に示す。この周波数fは、昇圧用スイッチ102のON動作時間(Ton)とOFF動作時間(Toff)の和(PWM周期)の逆数である。次に、入力電圧Vinを所定の電圧まで昇圧することができる昇圧デューディー値が算出される。そして、設定された周波数fと算出された昇圧デューティー値に基づき指令信号が生成される。生成された指令信号が昇降圧回路制御手段により昇降圧駆動回路2に出力される。出力された信号に基づき昇降圧駆動回路2により昇圧用スイッチ102および降圧用スイッチ103を駆動し、入力電圧Vinが昇圧される。
【0080】
従って、電動機トルク指令値Tsが大きい場合には、周波数fを高く設定することができる。そのため、昇降圧回路1には大電流が流れず、インダクタ101の発熱を抑制することができる。その際には、出力電圧Voを下げることがないため、適切な操舵補助力を得ることができ操作性を維持できる。また、インダクタ101の発熱を抑制できるので、インダクタ101の小型化が可能となる。
【0081】
ここで、周波数fの変更によりインダクタ101の発熱が抑制できる理由について図10および図11を参照して説明する。
【0082】
図10は、インダクタ101に流れる電流ILに対するインダクタンスLの関係であるインダクタ101の直流重畳特性の代表例を示す。図10に示すように、ある電流値以上の場合にはインダクタンスLが低下する領域がある。この領域を特性飽和領域という。
【0083】
そして、図11に、インダクタ101に流れる電流ILについて、昇圧用スイッチ102のON・OFF動作の周波数fが20kHz(周期=50μs)の場合を実線aにより、40kHz(周期=25μs)の場合を破線bにより示す。ここで、周波数が20kHzの場合の昇圧用スイッチ102のON動作をT1onと、OFF動作をT1offとし、周波数fが40kHzの場合の昇圧用スイッチ102のON動作をT2onと、OFF動作をT2offとする。
【0084】
まず、周波数fが20kHzの場合には、昇圧用スイッチ102のON動作(T1on)時にインダクタ101に流れる電流が増加して特性飽和領域に達するため、インダクタンスLが減少する。その結果、インダクタ101に流れる電流はさらに増加し、インダクタ101の発熱を引き起こす。周波数fが40kHzの場合には、インダクタ101に流れる電流が特性飽和領域に達しないため、インダクタ101の発熱を抑制できる。このように、周波数fを高くすることによりインダクタ101の発熱を抑制できる。
【0085】
また、本実施形態では電動機トルク指令値Tsに基づき周波数fを設定したが、q軸アシスト電流Iqfに基づき設定してもよい。その際の周波数fを図13に示す。q軸アシスト電流Iqfが大きい程、周波数fが高く設定される。この場合には、昇降圧回路1に大電流が流れるおそれがあるためインダクタ101の発熱を引き起こす。従って、周波数fを高くすることにより、出力電圧Voを下げることがなくインダクタ101の発熱を抑制できる。
【0086】
また、インダクタ101の温度TLをインダクタ温度監視手段により検出して、その温度に基づき周波数fを設定してもよい。ここで、この場合に用いられる昇降圧回路1を図17に示す。図3に示す昇降圧回路1と同一のものは同一符号を示す。昇降圧回路1は、さらに、サーミスタ等の温度センサ107を有する。温度センサ107はインダクタ101の近傍に設置される。そして、検出された温度がマイコン6に入力され、温度演算処理される。インダクタ101の温度TLに適切な周波数fを図14に示す。インダクタ101の温度TLが高い程、周波数fが高く設定される。
【0087】
ここで、この場合のマイコン6の処理について図18のフローチャートを用いて説明する。
【0088】
まず、周波数fの初期値を設定する(ステップS31)。例えば、20kHzと設定する。次に、温度センサ107により検出されたインダクタ101の温度TLを読み込む(ステップS32)。その温度TLが条件式「−40≦TL≦85」を満たすか否かを判定する(ステップS33)。条件式を満たす場合には、周波数fは初期値のまま維持される。すなわち、周波数20kHzで駆動する。条件式を満たさない場合には、インダクタ101の温度TLに応じて図14の表に基づき周波数f1を算出する(ステップS34)。周波数fとして周波数f1が再設定される(ステップS35)。
【0089】
従って、インダクタ101の過昇温状態をマイコン6にて判定することで、出力電圧Voを下げることなくインダクタ101の発熱を抑制できる。
【0090】
また、昇圧用スイッチ102の温度Tcまたは降圧用スイッチ103の温度Tdを素子温度監視手段により検出して、その温度に基づき周波数fを設定してもよい。昇圧用スイッチ102や降圧用スイッチは、ON・OFF動作が激しいと発熱を起こすことになる。すなわち、周波数fが高いと発熱する。ここで、この場合に用いられる昇降圧回路1を図17に示す。昇降圧回路1は、さらに、温度センサ106、107を有する。温度センサ106は、昇圧用スイッチ102の近傍に設置される。温度センサ108は、降圧用スイッチ103の近傍に設置される。そして、検出された温度がマイコン6に入力され、温度演算処理される。昇圧用スイッチ102の温度Tcに適切な周波数fを図15に示す。また、降圧用スイッチ103の温度Tdに適切な周波数fを図16に示す。スイッチの温度が高い程、周波数fが低く設定される。従って、スイッチング損失を低減することができる。
【0091】
ここで、昇圧用スイッチ102の温度Tcに基づき周波数fが設定される場合のマイコン6の処理について図19のフローチャートを用いて説明する。
【0092】
まず、周波数fの初期値を設定する(ステップS41)。例えば、20kHzと設定する。次に、温度センサ106により検出された昇圧用スイッチ102の温度Tcを読み込む(ステップS42)。その温度Tcが条件式「−40≦Tc≦120」を満たすか否かを判定する(ステップS43)。条件を満たす場合には、周波数fは初期値のまま維持される。すなわち、周波数20kHzで駆動する。条件式を満たさない場合には、昇圧用スイッチ102の検出温度Tcに応じて図15の表に基づき周波数f1を算出する(ステップS44)。算出された周波数f1が初期値f以下の場合は、周波数fは初期値のまま維持される(ステップS45)。そうでなければ、周波数fとして周波数f1が再設定される(ステップS46)。
【0093】
従って、昇圧用スイッチ102および降圧用スイッチ103の過昇温状態をマイコン6にて判定することで、出力電圧Voを下げることなくインダクタ101の発熱を抑制できる。
【0094】
また、周波数fは可聴周波数以外の値とすることで、騒音が防止できる。
【0095】
なお、周波数fを高くしすぎると制御が困難となるため、周波数fの上限値を定めておき、それ以下の範囲で変更するようにするとよい。その際には、目標昇圧電圧Vtの設定や昇圧デューティー値の設定等により発熱を抑制するとよい。
【0096】
(昇圧用スイッチ102の動作と降圧用スイッチ103の動作の同期制御)
本発明の特徴部分である昇降圧回路1の制御方法について説明する。
【0097】
本実施形態の制御方法は、降圧用スイッチ103を積極的にON動作させることに特徴がある。すなわち、q軸アシスト電流Iqfが所定値より大きい場合には、昇圧用スイッチ102の動作と降圧用スイッチ103の動作を同期制御する。この同期制御とは、昇圧用スイッチ102のON動作時に降圧用スイッチ103をOFF動作させ、または昇圧用スイッチ102のOFF動作時に降圧用スイッチ103をON動作させるようする制御である。また、q軸アシスト電流Iqfが所定値より小さい場合には、昇圧用スイッチ102のON・OFF動作とは無関係に降圧用スイッチ103をOFF動作させるように制御する。そして、マイコン6により、昇降圧回路1の昇圧用スイッチ102および降圧用スイッチ103をこのように動作させるための指令信号が生成される。生成された指令信号が昇降圧駆動回路2に出力される。出力された信号に基づき昇降圧駆動回路2により昇圧用スイッチ102および降圧用スイッチ103を駆動し、入力電圧Vinが昇圧される。
【0098】
しかし、降圧用スイッチ103がON動作すると、通常は電流が逆流することになる。そこで、電流が逆流しない状態を判断して同期制御を行わなければならない。なお、同期制御を行った場合でも電流を逆流させない状態についは上述したとおりである。すなわち、q軸アシスト電流Iqfが所定値より大きい場合には、逆流させないで同期制御を行うことができる。また、図22に、q軸アシスト電流Iqfが最大時のインダクタ101に流れる電流ILの変化を示す。この状態においても、同期制御を行った場合に、逆流しないで昇降圧回路1の発熱を抑制することができることは明らかである。
【0099】
また、本実施形態ではq軸アシスト電流Iqfに基づき同期制御を行うこととしたが、入力電圧Vinに基づき行ってもよい。すなわち、入力電圧Vinが所定電圧以上の場合に同期制御を行う。入力電圧Vinが大きい場合には昇圧の割合が小さいため逆流のおそれがある。そのため、逆流しない場合にのみ同期制御を行い、確実に昇圧すると共に昇降圧回路1の発熱を抑制することができる。
【0100】
また、昇圧用スイッチ102のON・OFF動作時間(PWM周期)におけるON動作(Ts_on)時間の割合が所定値より大きい場合に、同期制御を行う。従って、上述の入力電圧Vinやq軸アシスト電流Iqfに基づく場合よりもより広範囲に同期制御を行うことができるため、昇降圧回路1の発熱をさらに抑制でできる。
【0101】
ここで、本実施形態のマイコン6の処理の一例について図23のフローチャートを用いて説明する。
【0102】
入力電圧検出回路4により検出された入力電圧Vinを読み込む(ステップS41)。一方、操舵トルク信号および車速信号に基づき電動機トルク指令値Tsを算出する(ステップS42)。算出した電動機トルク指令値Tsに基づき昇圧用スイッチ102のデューティー値を算出する(ステップS43)。続いて、アシスト電流検出回路7の出力信号および電気角演算回路612の電気信号に基づき二相変換部(dq変換部)608により二相の電流に変換された電流の一方であるq軸アシスト電流Iqfを算出する(ステップS44)。
【0103】
続いて、入力電圧Vinが16V以下であるかを判定する(ステップS45)。この条件を満たす場合は、さらに、q軸アシスト電流Iqfが35A以上であるかを判定する(ステップS46)。この条件も満たす場合には、同期制御を開始する条件が整ったと判断し、同期制御を開始する(ステップS48)。入力電圧Vinが16V以下でない場合(ステップS45:N)およびq軸アシスト電流Iqfが35A以上でない場合(ステップS46:N)には、算出された昇圧用スイッチ102のデューティー値が所定値より大きいかを判定する(ステップS47)。この所定値とは、入力電圧Vinやq軸アシスト電流Iqfに基づき設定されたデューティー値に相当するものである。この関係を図24に示す。例えば、入力電圧が8Vであって、q軸アシスト電流Iqfが25A以上の場合の所定値は60となる。その判定の結果、この条件を満たす場合(ステップS47:Y)には、同期制御を開始する(ステップS48)。そうでない場合には、同期制御を停止して、処理を終了する(ステップS49)。
【0104】
図25は、入力電圧Vinとq軸アシスト電流IqfとステップS47の比較対象である所定値(デューティー値に相当)との関係を示す。実線は、同期制御を行った場合にでも電流が逆流しない状態を示す。領域aは、入力電圧Vinが16V以下であって、q軸アシスト電流Iqfが35A以上の場合である。すなわち、図23のステップS45およびS46の条件を満たす場合に相当する領域である。
【0105】
なお、図24に示すマップ表のマップ間の補間やマップ数についてはより細分化することもできる。
【0106】
【発明の効果】
本発明の電動パワーステアリング装置によれば、昇降圧回路に使用しているダイオード104の発熱を抑制することにより常に適切な出力電圧をパワーアシスト電動機へ印加することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電動パワーステアリング装置の全体構成を示す図である。
【図2】マイコンによる電動機駆動回路への出力信号の生成処理を示すブロック図である。
【図3】本発明の昇降圧回路を示す電気回路図である。
【図4】昇圧用スイッチのON・OFF動作時にインダクタに流れる電流の変化を示す図である。
【図5】電動機トルク指令値に基づく目標昇圧電圧を示す表である。
【図6】q軸アシスト電流に基づく目標昇圧電圧を示す表である。
【図7】入力電圧と目標昇圧電圧に対する最大デューティー値を示す表である。
【図8】q軸アシスト電流に基づく最大デューディー値を示す表である。
【図9】昇圧デューディー値の設定による制御方法におけるマイコンの処理を示すフローチャートである。
【図10】インダクタの直流重畳特性を示す図である。
【図11】周波数の設定による制御方法における昇圧用スイッチのON・OFF動作時にインダクタに流れる電流の変化を示す図である。
【図12】電動機トルク指令値に基づく周波数を示す表である。
【図13】q軸アシスト電流に基づく周波数を示す表である。
【図14】インダクタの温度に基づく周波数を示す表である。
【図15】昇圧用スイッチの温度に基づく周波数を示す表である。
【図16】降圧用スイッチの温度に基づく周波数を示す表である。
【図17】昇降圧回路を示す電気回路図である。
【図18】周波数の設定による制御方法におけるマイコンの処理を示すフローチャートである。
【図19】周波数の設定による制御方法における他のマイコンの処理を示すフローチャートである。
【図20】昇圧用スイッチのON・OFF動作時にインダクタに流れる電流の変化を示す図である。
【図21】昇圧用スイッチのON・OFF動作時にインダクタに流れる電流の変化を示す図である。
【図22】昇圧用スイッチのON・OFF動作時にインダクタに流れる電流の変化を示す図である。
【図23】同期制御方法におけるマイコンの処理を示すフローチャートである。
【図24】入力電圧とq軸アシスト電流に基づく所定値を示す図である。
【図25】入力電圧とq軸アシスト電流と所定値との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 ・・・ 昇降圧回路
2 ・・・ 昇降圧駆動回路
5 ・・・ 電動機駆動回路
6 ・・・ マイコン
7 ・・・ アシスト電流検出回路
9 ・・・ 操舵トルク検出回路
12 ・・・ バッテリ
13 ・・・ 充電発電機
14 ・・・ 三相ブラシレスモータ
16 ・・・ ECU
101 ・・・ インダクタ
102 ・・・ 昇圧用スイッチ(昇圧MOS)
103 ・・・ 降圧用スイッチ(降圧MOS)
104 ・・・ ダイオード
105 ・・・ コンデンサ
106、107、108 ・・・ 温度センサ

Claims (3)

  1. 操舵力を補助するパワーアシスト電動機と、ステアリング軸にかかる操舵トルクを検出して操舵トルク信号を生成する操舵トルク検出手段と、車両の速度を検出して車速信号を生成する車速検出手段と、該操舵トルク信号および該車速信号に基づき該パワーアシスト電動機が要するトルクの指令値を算出する電動機トルク指令値算出手段と、該電動機トルク指令値に基づき該パワーアシスト電動機を制御する電動機制御手段と、該電動機制御手段を介して該パワーアシスト電動機へ駆動用電力を供給する電力供給源を有する電動パワーステアリング装置において、
    前記電動機制御手段はアシスト電流検出手段とq軸アシスト電流算出手段と昇圧回路と昇圧回路制御手段とからなり、
    前記アシスト電流検出手段は前記パワーアシスト電動機へ供給されるアシスト電流を検出し、
    前記q軸アシスト電流算出手段は該アシスト電流を二相変換された等価な電流であるq軸アシスト電流を算出し、
    前記昇圧回路は、
    エネルギーの蓄積および放出により前記電力供給源から入力される入力電圧を昇圧するインダクタと、
    ON動作時には該エネルギーを蓄積し、OFF動作時には該エネルギーを放出する動作切替えを行う第1スイッチと、
    該インダクタ側から前記パワーアシスト電動機側への一方向に該エネルギーの放出により発生した電流を流すダイオードと、
    該ダイオードと並列に配置され、ON動作時には該ダイオードを介さずに該エネルギーの放出により発生した電流を流し、OFF動作時には該ダイオードを介して該電流を流す動作切替えを行う第2スイッチとを有し、
    前記昇圧回路制御手段は、
    前記q軸アシスト電流が所定値より大きい場合に、該第1スイッチのON動作時に該第2スイッチをOFF動作させ、または該第1スイッチのOFF動作時に該第2スイッチをON動作させるように該第1スイッチの動作と該第2スイッチの動作とを同期制御し、前記q軸アシスト電流が所定値より小さい場合に該第2スイッチをOFF動作させるように制御することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 操舵力を補助するパワーアシスト電動機と、ステアリング軸にかかる操舵トルクを検出して操舵トルク信号を生成する操舵トルク検出手段と、車両の速度を検出して車速信号を生成する車速検出手段と、該操舵トルク信号および該車速信号に基づき該パワーアシスト電動機が要するトルクの指令値を算出する電動機トルク指令値算出手段と、該電動機トルク指令値に基づき該パワーアシスト電動機を制御する電動機制御手段と、該電動機制御手段を介して該パワーアシスト電動機へ駆動用電力を供給する電力供給源を有する電動パワーステアリング装置において、
    前記電動機制御手段は昇圧回路と昇圧回路制御手段とを有し、
    該昇圧回路は、
    エネルギーの蓄積および放出により前記電力供給源から入力される入力電圧を昇圧するインダクタと、
    ON動作時には該エネルギーを蓄積し、OFF動作時には該エネルギーを放出する動作切替えを行う第1スイッチと、
    該インダクタ側から前記パワーアシスト電動機側への一方向に該エネルギーの放出により発生した電流を流すダイオードと、
    該ダイオードと並列に配置され、ON動作時には該ダイオードを介さずに該エネルギーの放出により発生した電流を流し、OFF動作時には該ダイオードを介して該電流を流す動作切替えを行う第2スイッチとからなり、
    前記昇圧回路制御手段は、
    前記入力電圧が所定値より小さい場合に、該第1スイッチのON動作時に該第2スイッチをOFF動作させ、または該第1スイッチのOFF動作時に該第2スイッチをON動作させるように該第1スイッチの動作と該第2スイッチの動作とを同期制御し、前記入力電圧が所定値より大きい場合に該第2スイッチをOFF動作させるように制御することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  3. 操舵力を補助するパワーアシスト電動機と、ステアリング軸にかかる操舵トルクを検出して操舵トルク信号を生成する操舵トルク検出手段と、車両の速度を検出して車速信号を生成する車速検出手段と、該操舵トルク信号および該車速信号に基づき該パワーアシスト電動機が要するトルクの指令値を算出する電動機トルク指令値算出手段と、該電動機トルク指令値に基づき該パワーアシスト電動機を制御する電動機制御手段と、該電動機制御手段を介して該パワーアシスト電動機へ駆動用電力を供給する電力供給源を有する電動パワーステアリング装置において、
    前記電動機制御手段は昇圧回路と昇圧回路制御手段とを有し、
    前記昇圧回路は、
    エネルギーの蓄積および放出により前記電力供給源から入力される入力電圧を昇圧するインダクタと、
    ON動作時には該エネルギーを蓄積し、OFF動作時には該エネルギーを放出する動作切替えを行う第1スイッチと、
    該インダクタ側から前記パワーアシスト電動機側への一方向に該エネルギーの放出により発生した電流を流すダイオードと、
    該ダイオードと並列に配置され、ON動作時には該ダイオードを介さずに該エネルギーの放出により発生した電流を流し、OFF動作時には該ダイオードを介して該電流を流す動作切替えを行う第2スイッチとからなり、
    前記昇圧回路制御手段は、
    前記第1スイッチのON・OFF動作時間におけるON動作時間の割合が所定値より大きい場合に、該第1スイッチのON動作時に該第2スイッチをOFF動作させ、または該第1スイッチのOFF動作時に該第2スイッチをON動作させるように該第1スイッチの動作と該第2スイッチの動作とを同期制御し、前記ON動作時間の割合が所定値より小さい場合に該第2スイッチをOFF動作させるように制御することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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