JP2007159367A - モータ駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータの安定した駆動制御が可能なモータ駆動装置を提供する。
【解決手段】キャリア周波数設定部426は、レゾルバ30からの回転角度θに基づいて所定の制御タイミングごとにモータ回転数を演算して制御タイミング間の変化率を算出する。制御タイミングを規定する制御周期は、現在の制御タイミングを起点とし、PWM生成部422において実際に三角波信号のキャリア周波数の設定が完了するまでに要する期間に設定される。キャリア周波数設定部426は、算出されたモータ回転数の変化率が所定のしきい値を上回るとき、モータ回転数の上昇率が相対的に高く、急峻に上昇すると判定してキャリア周波数をインバータ保護周波数から通常周波数に切換えて設定する。これによれば、モータ回転数が所定値を超えた時点においては、制御安定性が確保される上限回転数が所定値を上回るため、交流モータM1の制御破綻が回避される。
【選択図】図3

Description

この発明は、安定した駆動制御が可能なモータ駆動装置に関するものである。
通常、電気自動車(EV:Electric Vehicle)やハイブリッド自動車(HV:Hybrid Vehicle)等の車両において、電気エネルギーによる駆動力は、高電圧の電池から供給される直流電力をインバータによって3相交流電力に変換し、これにより3相交流モータを回転させることにより得ている。また、車両の減速時には、逆に3相交流モータの回生発電により得られる回生エネルギーを電池に蓄電することにより、エネルギーを無駄なく利用して走行している。
このようなハイブリッド自動車または電気自動車においては、走行用のモータが通常回転時には、インバータの各スイッチング素子には交流電流が流れる。ところが、脱輪等によってモータの回転子がロックされて停止状態となった場合、または超低速回転速度状態となった場合には、特定のスイッチング素子に大きな直流電流が流れ、その素子の熱損失が急激に増加することになる。
このようなモータのロック時または超低速回転速度時におけるインバータの過負荷を防止する手段として、たとえば特許文献1は、モータの回転数が十分低いことに応じて、インバータの各スイッチング素子のオン/オフを制御するためのPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号のキャリア周波数を低減する技術を開示する。
詳細には、特許文献1に記載のモータの制御装置によれば、モータ回転数からモータがロックした判定されると、PWM信号のキャリア周波数は、通常運転時の周波数からより低い周波数へと低下される。このキャリア周波数の低下に伴なって、インバータのスイッチング素子におけるスイッチング周波数が低下するため、スイッチング素子の各々においてスイッチング損失が低減する。その結果、モータがロックされていても、インバータの各スイッチング素子に急激な発熱が生じるのが抑えられる。
特開平9−70195号公報 特開2000−134990号公報
さらに、上記のモータの制御装置においては、モータの回転数の検出値が再び所定値を超えたことに応じてモータがロックされていないと判定されると、インバータの保護必要性がないと判断して、キャリア周波数が元の通常運転時の周波数に戻される。
しかしながら、駆動輪が外力によってロックされた状態からスリップした場合のように、モータの回転数が急峻に上昇したときには、かかる回転数の検出値に基づいたキャリア周波数の切換えでは、モータの駆動制御に破綻を招く可能性がある。
これは、モータの駆動制御においては、一般に、キャリア周波数とモータ回転数との間に、あるキャリア周波数のPWM信号に対して制御の安定性が確保され得る上限回転数が存在するという関係が成り立つことに起因する。すなわち、モータの回転数が所定値以下のときには通常運転時よりも低いキャリア周波数であっても制御安定性が確保されるが、回転数が急峻に変動することによって当該キャリア周波数における上限回転数を大きく超えた場合には、制御が破綻する可能性が生じる。
このような制御破綻を回避するためには、回転数の急峻な変動に追従してキャリア周波数を直ちに増加させることによって、制御安定性が確保される上限回転数を引き上げることが必要とされる。しかしながら、上記のモータの制御装置では、モータの回転数の検出値に基づいてキャリア周波数を切換える構成とするため、急峻な回転数の変動に対応することができない。そのため、モータの駆動制御の安定性を確保することが困難とされる。
それゆえ、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、モータの安定した駆動制御が可能なモータ駆動装置を提供することである。
この発明によれば、モータ駆動装置は、電源と、複数のスイッチング素子のスイッチング動作により電源とモータとの間で電力変換を行なう駆動回路と、所定のキャリア周波数を有する信号を用いて各複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう制御装置とを備える。制御装置は、モータの回転数を検出するモータ回転数検出部と、回転数の検出値と回転数検出値の上昇率とに基づいてキャリア周波数を設定する周波数設定部とを含む。
上記のモータ駆動装置によれば、モータ回転数の検出値のみならず、その上昇率に基づいてキャリア周波数を設定することから、急峻な回転数変動においても安定したモータ制御を保つことができる。
好ましくは、周波数設定部は、上昇率が所定値を上回るとき、キャリア周波数を相対的に高い第1の周波数に設定する。
上記のモータ駆動装置によれば、モータ回転数の上昇率から急峻な回転数変動が予測されるときには、直ちにキャリア周波数を高い周波数に設定するため、モータの制御破綻を未然に防止することができる。
好ましくは、周波数設定部は、上昇率が所定値以下のときであって、かつ回転数検出値が所定のしきい値よりも低いとき、キャリア周波数を第1の周波数よりも低い第2の周波数に設定する。
上記のモータ駆動装置によれば、モータ回転数が安定して所定のしきい値以下となると判定されたことに応じて、キャリア周波数を低減するから、モータの制御破綻を招くことなく、駆動回路の熱的保護を図ることができる。
好ましくは、モータ回転数検出部は、所定の制御タイミングごとに回転数を検出する。周波数設定部は、制御タイミング間の回転数検出値の変化率を演算する変化率演算部と、演算された変化率に基づいてキャリア周波数を変更する周波数切換え部とを含む。周波数切換え部は、演算された変化率が所定値を上回ることに応じて、キャリア周波数を第1のキャリア周波数に設定する。
上記のモータ駆動装置によれば、制御タイミング間のモータ回転数の変化率により、急峻な回転数変動を予測することができる。したがって、回転数の変動に関わらず、安定したモータ制御を保つことができる。
好ましくは、制御装置は、キャリア周波数の設定完了に要する期間に対応する所定の制御周期を有する。モータ回転数検出部は、制御周期で規定された制御タイミングごとに回転数を検出する。周波数設定部は、隣接する制御タイミング間の回転数検出値の変化率を演算する変化率演算部と、演算された変化率と現在の制御タイミングにおける回転数検出値とに基づいて、次回の制御タイミングにおいて検出され得る回転数の推定値を算出するモータ回転数推定部と、回転数推定値に基づいて、次回の制御タイミングにおけるキャリア周波数を切換える周波数切換え部とを含む。周波数切換え部は、回転数推定値が所定のしきい値以上となることに応じて、次回の制御タイミングにおいて前記キャリア周波数を前記第1のキャリア周波数に設定する。
上記のモータ駆動装置によれば、キャリア周波数の設定完了時点における回転数の推定値を求めることにより、急峻な回転数変動を予測することができる。したがって、回転数の変動に関わらず、安定したモータ制御を保つことができる。
好ましくは、モータ回転数検出部は、所定の制御周期で規定された制御タイミングごとに回転数を検出する。周波数設定部は、現在の制御タイミングにおける回転検出値が所定のしきい値以上となることに応じて、次回の制御タイミングにおいてキャリア周波数を第1のキャリア周波数に設定する。
上記のモータ駆動装置によれば、回転数検出値から直接的に急峻な回転数変動を判定することから、回転数の変化率や推定値などの演算処理を伴なわずにより短い制御周期でキャリア周波数を切換えることができる。
この発明によれば、モータ回転数の検出値のみならず、その上昇率に基づいてキャリア周波数を設定することから、急峻な回転数変動においても安定したモータ制御を保つことができる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
図1は、この発明の実施の形態によるモータ駆動装置の概略ブロック図である。
図1を参照して、モータ駆動装置100は、バッテリBと、電圧センサ10,13と、電流センサ24と、コンデンサC2と、昇圧コンバータ12と、インバータ14と、レゾルバ30と、制御装置40とを備える。
交流モータM1は、ハイブリッド自動車または電気自動車の駆動輪を駆動するためのトルクを発生するための駆動モータである。また、交流モータM1は、エンジンにて駆動される発電機の機能を持つように、そして、エンジンに対して電動機として動作し、たとえばエンジン始動を行ない得るようなモータである。
昇圧コンバータ12は、リアクトルL1と、NPNトランジスタQ1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。
リアクトルL1の一方端はバッテリBの電源ラインに接続され、他方端はNPNトランジスタQ1とNPNトランジスタQ2との中間点、すなわち、NPNトランジスタQ1のエミッタとNPNトランジスタQ2のコレクタとの間に接続される。
NPNトランジスタQ1,Q2は、電源ラインとアースラインとの間に直列に接続される。NPNトランジスタQ1のコレクタは電源ラインに接続され、NPNトランジスタQ2のエミッタはアースラインに接続される。また、各NPNトランジスタQ1,Q2のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側に電流を流すダイオードD1,D2がそれぞれ配されている。
インバータ14は、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とからなる。U相アーム15、V相アーム16およびW相アーム17は、電源ラインとアースラインとの間に並列に設けられる。
U相アーム15は、直列接続されたNPNトランジスタQ3,Q4からなる。V相アーム16は、直列接続されたNPNトランジスタQ5,Q6からなる。W相アーム17は、直列接続されたNPNトランジスタQ7,Q8からなる。また、各NPNトランジスタQ3〜Q8のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。
各相アームの中間点は、交流モータM1の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、交流モータM1は、3相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点に共通に接続されて構成される。U相コイルの他端がNPNトランジスタQ3,Q4の中間点に、V相コイルの他端がNPNトランジスタQ5,Q6の中間点に、W相コイルの他端がNPNトランジスタQ7,Q8の中間点にそれぞれ接続されている。
なお、昇圧コンバータ12およびインバータ14にそれぞれ含まれるスイッチング素子は、NPNトランジスタQ1〜Q8に限定されず、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET等の他のパワー素子で構成しても良い。
バッテリBは、ニッケル水素またはリチウムイオンなどの二次電池からなる。電圧センサ10は、バッテリBから出力される電圧Vbを検出し、検出した電圧Vbを制御装置40へ出力する。
昇圧コンバータ12は、バッテリBから供給された直流電圧を昇圧してコンデンサC2に供給する。より具体的には、昇圧コンバータ12は、制御装置40から信号PWMCを受けると、信号PWMCによってNPNトランジスタQ2がオンされた期間に応じて直流電圧を昇圧してコンデンサC2に供給する。
また、昇圧コンバータ12は、制御装置40から信号PWMCを受けると、コンデンサC2を介してインバータ14から供給された直流電圧を降圧してバッテリBへ供給する。
コンデンサC2は、昇圧コンバータ12から出力された直流電圧を平滑化し、平滑化した直流電圧をインバータ14へ供給する。
電圧センサ13は、コンデンサC2の両端の電圧Vm(すなわち、インバータ14の入力電圧に相当する。以下同じ。)を検出し、その検出した電圧Vmを制御装置40へ出力する。
インバータ14は、コンデンサC2から直流電圧が供給されると、制御装置40からの信号PWMIに基づいて直流電圧を交流電圧に変換して交流モータM1を駆動する。これにより、交流モータM1は、トルク指令値TRによって指定された要求トルクを発生するように駆動される。
また、インバータ14は、モータ駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、交流モータM1が発電した交流電圧を制御装置40からの信号PWMIに基づいて直流電圧に変換し、変換した直流電圧をコンデンサC2を介して昇圧コンバータ12へ供給する。
なお、ここで言う回生制動とは、ハイブリッド自動車または電気自動車を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合との回生発電を伴なう制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車速を減速(または加速を中止)させることを含む。
電流センサ24は、交流モータM1に流れるモータ電流Iv,Iwを検出し、その検出したモータ電流Iv,Iwを制御装置40へ出力する。なお、図1においては、電流センサ24は、2個しか示されていない。これは、交流モータM1が3相モータの場合、2つの相に流れるモータ電流Iv,Iwを検出すれば、その検出されたモータ電流Iv,Iwに基づいて残りの相に流れるモータ電流Iuを演算できるからである。したがって、3相の各々に流れるモータ電流Iu,Iv,Iwを独自に検出する場合、3個の電流センサ24を設けてもよい。
レゾルバ30は、交流モータM1の回転軸に取り付けられており、交流モータM1の回転子の回転角度θを検出して制御装置40へ出力する。
制御装置40は、外部に設けられたECU(Electric Control Unit)からトルク指令値TRを受け、電圧センサ13から出力電圧Vmを受け、電圧センサ10から直流電圧Vbを受け、電流センサ24からモータ電流Iv,Iwを受け、レゾルバ30から回転角度θを受ける。制御装置40は、出力電圧Vm、トルク指令値TR、モータ電流Iv,Iwおよび回転角度θに基づいて、後述する方法によりインバータ14が交流モータM1を駆動するときにインバータ14のNPNトランジスタQ3〜Q8をスイッチング制御するための信号PWMIを生成し、その生成した信号PWMIをインバータ14へ出力する。
また、制御装置40は、インバータ14が交流モータM1を駆動するとき、直流電圧Vb、出力電圧Vm、トルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて、後述する方法により昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をスイッチング制御するための信号PWMCを生成し、生成した信号PWMCを昇圧コンバータ12へ出力する。
さらに、制御装置40は、モータ駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、出力電圧Vm、トルク指令値TRおよびモータ電流Iv,Iwに基づいて、交流モータM1が発電した交流電圧を直流電圧に変換するための信号PWMIを生成し、その生成した信号PWMIをインバータ14へ出力する。この場合、インバータ14のNPNトランジスタQ3〜Q8は、信号PWMIによってスイッチング制御される。これにより、インバータ14は、交流モータM1が発電した交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12へ供給する。
さらに、制御装置40は、回生制動時、直流電圧Vb,出力電圧Vm、トルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて、インバータ14から供給された直流電圧を降圧するための信号PWMCを生成し、生成した信号PWMCを昇圧コンバータ12へ出力する。これにより、交流モータM1が発電した交流電圧は、直流電圧に変換され、降圧されてバッテリBに供給される。
図2は、図1における制御装置40の機能ブロック図である。
図2を参照して、制御装置40は、インバータ制御回路401と、コンバータ制御回路402とを含む。
インバータ制御回路401は、トルク指令値TR、モータ電流Iv,Iw、出力電圧Vmおよび回転角度θに基づいて、交流モータM1の駆動時、後述する方法によりインバータ14のNPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフするための信号PWMIを生成し、その生成した信号PWMIをインバータ14へ出力する。
また、インバータ制御回路401は、モータ駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、トルク指令値TR、モータ電流Iv,Iw、出力電圧Vmおよび回転角度θに基づいて、交流モータM1が発電した交流電圧を直流電圧に変換するための信号PWMIを生成してインバータ14へ出力する。
コンバータ制御回路402は、トルク指令値TR、直流電圧Vb、出力電圧Vmおよび回転角度θに基づいて、交流モータM1の駆動時、昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWMCを生成し、その生成した信号PWMCを昇圧コンバータ12へ出力する。
また、コンバータ制御回路402は、モータ駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、トルク指令値TR、直流電圧Vb、出力電圧Vmおよび回転角度θに基づいて、インバータ14からの直流電圧を降圧するための信号PWMCを生成し、その生成した信号PWMCを昇圧コンバータ12へ出力する。
このように、昇圧コンバータ12は、直流電圧を降圧するための信号PWMCにより電圧を降圧させることもできるので、双方向コンバータの機能を有するものである。
図3は、図2におけるインバータ制御回路401の機能ブロック図である。
図3を参照して、インバータ制御回路401は、電流指令変換部410と、減算器412,414と、PI制御部416,418と、2相/3相変換部420と、PWM(Pulse Width Modulation)生成部422と、3相/2相変換部424と、キャリア周波数設定部426とを含む。
3相/2相変換部424は、2個の電流センサ24,24からモータ電流Iv,Iwを受ける、そして、3相/2相変換部424は、モータ電流Iv,Iwに基づいてモータ電流Iu=−Iv−Iwを演算する。
さらに、3相/2相変換部424は、モータ電流Iu,Iv,Iwをレゾルバ30かららの回転角度θを用いて三相二相変換する。つまり、3相/2相変換部424は、交流モータM1の3相コイルの各相に流れる3相のモータ電流Iu,Iv,Iwを、回転角度θを用いてd軸およびq軸に流れる電流値Id,Iqに変換する。そして、3相/2相変換部424は、演算した電流値Idを減算器412へ出力し、演算した電流値Iqを減算器414へ出力する。
電流指令変換部410は、外部ECUからのトルク指令値TRを、トルク指令値TRによって指定された要求トルクを出力するための電流指令Id*,Iq*に変換し、その変換した電流指令Id*,Iq*を減算器412,414へそれぞれ出力する。
減算器412は、電流指令変換部410から電流指令Id*を受け、3相/2相変換部424から電流値Idを受ける。そして、減算器412は、電流指令Id*と電流値Idとの偏差(=Id*−Id)を演算し、その演算した偏差をPI制御部416へ出力する。また、減算器414は、電流指令変換部410から電流指令Iq*を受け、3相/2相変換部424から電流値Iqを受ける。そして、減算器414は、電流指令Iq*と電流値Iqとの偏差(=Iq*−Iq)を演算し、その演算した偏差をPI制御部418へ出力する。
PI制御部416,418は、それぞれ、偏差Id*−Id,Iq*−Iqに対してPI(比例・積分)ゲインを用いてモータ電流調整用の電圧操作量Vd,Vqを演算し、その演算した電圧操作量Vd,Vqを2相/3相変換部420へ出力する。
2相/3相変換部420は、PI制御部416,418からの電圧操作量Vd,Vqをレゾルバ30からの回転角度θを用いて二相三相変換する。つまり、2相/3相変換部420は、d軸およびq軸に印加する電圧操作量Vd,Vqを、回転角度θを用いて交流モータM1の3相コイルに印加する電圧操作量Vu,Vv,Vwに変換する。そして、2相/3相変換部420は、電圧操作量Vu,Vv,VwをPWM生成部422へ出力する。
PWM生成部422は、電圧操作量Vu,Vv,Vwと、電圧センサ13からの電圧Vmとに基づいて信号PWMIを生成し、その生成した信号PWMIをインバータ14へ出力する。
以上のように、インバータ制御回路401は、交流モータM1の要求トルク(トルク指令値TRに相当)を、交流モータM1のd軸成分とq軸成分との電流指令Id*,Iq*に変換し、実際の電流値Id,Iqがこれらの電流指令と一致するようにPI制御によってフィードバックをかける、いわゆる電流制御を採用する。
ここで、モータの電流制御として周知のPWM制御においては、インバータ14のNPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフするための信号PWMIは、搬送波信号である三角波信号と2相/3相変換部420から受けた電圧操作量Vu,Vv,Vwとが比較され、その比較結果に基づいて生成される。そして、NPNトランジスタQ3〜Q8は、生成された信号PWMIのキャリア周波数fcに基づいてオン/オフの切換えが制御される。すなわち、NPNトランジスタQ3〜Q8のスイッチング周波数は、信号PWMIのキャリア周波数fcに等しい。したがって、キャリア周波数fcを低減することは、スイッチング周波数の低減に繋がり、ひいてはNPNトランジスタQ3〜Q8のスイッチング損失を低減させることとなる。これは、NPNトランジスタQ3〜Q8における発熱の低減に有効である。
したがって、本発明の実施の形態によるモータ駆動装置は、上述した従来のモータ駆動装置と同様に、交流モータM1の回転数が低下し、交流モータM1が外力によりロックされていると判定されると、信号PWMIのキャリア周波数fcを低減させることにより、インバータ14のNPNトランジスタQ3〜Q8の保護を実現する。
具体的には、図3におけるキャリア周波数設定部426は、モータ回転数に応じて2種類のキャリア周波数fcのうちのいずれかを設定する。2種類のキャリア周波数fcは、一方が通常運転時のキャリア周波数(以下、通常周波数とも称する)fc_Hであり、他方がインバータ保護のためのキャリア周波数(以下、保護周波数とも称する)fc_Lである。通常周波数fc_Hは、交流モータM1およびインバータ14の効率(=(交流モータM1の軸出力)/(バッテリBからインバータ14への入力))が良好となる周波数(たとえば10kHz)に設定される。一方、インバータ保護周波数fc_Lは、通常周波数fc_Hよりも低い周波数であって、たとえば1.25kHzに設定される。
そして、キャリア周波数設定部426は、図4に示す交流モータM1の出力特性において、モータ回転数が所定値R_limを下回る領域(図中の領域RG1に相当)にあるとき、交流モータM1がロックされていると判定し、キャリア周波数fcを通常周波数fc_Hからインバータ保護周波数fc_Lに切換えて設定する。これにより、NPNトランジスタQ3〜Q8におけるスイッチング損失が低減されて熱破壊が防止される。
やがて、モータ回転数が再び所定値R_lim以上となり、交流モータM1がロック状態から脱したと判定されると、キャリア周波数設定部426は、キャリア周波数fcをインバータ保護周波数fc_Lから元の通常周波数fc_Hに切換えて設定する。
このとき、車両の運転状態によっては、駆動輪が外力によってロックされた状態からスリップする場合が発生し得る。交流モータM1においては、モータ回転数が所定値R_limよりも低い回転数から所定値R_limを大きく超える回転数に急峻に変動することになる。
しかしながら、上述したようにモータ回転数の検出値が所定値R_lim以上となったことに応じてキャリア周波数fcをインバータ保護周波数fc_Lから通常周波数fc_Hに増加させる方法では、モータ回転数の急峻な変動にキャリア周波数fcを追従することができない。そのため、交流モータM1の駆動制御が破綻するという問題が起きてしまう。
図5は、交流モータM1の駆動制御の安定性を説明するための模式図である。
図5(a)を参照して、PWM制御では、所定の周波数の電圧操作量(図5では、u相の電圧操作量Vu1のみを例示する)と、所定のキャリア周波数fcの三角波信号ecとを比較して、インバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8のオン/オフする信号PWMIが生成される。なお、電圧操作量Vu1の周波数は、交流モータM1のモータ回転数に比例しており、モータ回転数が高くなるに従って増加する。そして、その生成された信号PWMIに基づいてインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8は、スイッチング制御され、交流モータM1が指令されたトルクを出力するように、交流モータM1の各相に流す電流(モータ駆動電流)を制御する。
このとき、電圧操作量Vu1を図5(a)のように正弦波状に変化させることによって、その周波数が電圧操作量Vu1の周波数に略一致した正弦波状のu相のモータ駆動電流Iu1が得られる。このようにして、各相のモータ駆動電流が制御され、交流モータM1からはトルク指令値TRに応じたトルクが出力される
ここで、図5(b)を参照して、モータ回転数が倍増したことによって電圧操作量Vu1が、その周波数が略2倍に増加した電圧操作量Vu2に変化した場合を考える。なお、三角波信号ecのキャリア周波数fcは、図5(a)におけるキャリア周波数と同じとする。
この場合、電圧操作量Vu2と三角波信号ecとを比較して得られる信号PWMIを用いて制御されたモータ駆動電流Iu2は、図5(b)に示すように、正弦波から大きく変動した出力波形となる。もしくは、図示は省略するが、モータ駆動電流Iu2が正弦波から大きく外れて過電流となる可能性も存在する。このようにモータ駆動電流Iu2の制御が不安定となることによって、交流モータM1から出力されるトルクにおいても、トルク指令値TRに対する変動が生じる。その結果、車両のドライバビリティを著しく低下させることになる。
すなわち、モータの駆動制御において、キャリア周波数fcとモータ回転数との間には、あるキャリア周波数のPWM信号に対して制御の安定性が確保され得る上限回転数が存在するため、モータ回転数がこの上限回転数を超えると、制御破綻が生じることとなる。なお、図4のモータ出力特性においては、所定値R_limが、キャリア周波数fcをインバータ保護周波数fc_Lに設定したときの上限回転数に相当する。したがって、交流モータM1の駆動制御の安定性を保つためには、モータ回転数がインバータ保護周波数fc_Lにおける上限回転数である所定値R_limを超えて急上昇したときにおいても、これに追従してキャリア周波数fcを直ちに増加させることが要求される。
そこで、本実施の形態によるモータ駆動装置は、キャリア周波数設定部426において、モータ回転数の検出値のみならず、モータ回転数の上昇率をも考慮してキャリア周波数fcを設定することを特徴的な構成とする。
すなわち、図4のモータ出力特性において、現時点にて検出されたモータ回転数が所定値R_limを下回る場合であっても、モータ回転数の上昇率が相対的に高ければ、すなわち、モータ回転数が急上昇すると判定されれば、非常に短い期間内にモータ回転数が所定値R_limを超えることが高い可能性で予測される。そこで、キャリア周波数設定部426は、この予測を基に、現時点において先行してキャリア周波数fcをインバータ保護周波数fc_Lから通常周波数fc_Hに切換える構成とする。これによれば、モータ回転数が実際に所定値R_limを超えた時点では、キャリア周波数fcが既に通常運転時の制御安定性が確保される周波数に設定されているため、制御破綻に陥ることがない。その結果、交流モータM1の安定した駆動制御が保持される。
以下に、本実施の形態のモータ駆動装置における具体的なキャリア周波数の設定方法について説明する。
図6は、キャリア周波数設定部426にて実行されるキャリア周波数fcの設定方法の一例を説明するための模式図である。
図6を参照して、キャリア周波数設定部426は、所定の制御タイミングごとにモータ回転数R(tn)を演算し、その演算されたモータ回転数R(tn)について制御タイミング間の変化率を算出する。そして、その算出した変化率に基づいてモータ回転数の上昇率が相対的に高いか否か、すなわち、モータ回転数が急峻に上昇するか否かを判定する。
なお、制御タイミングtn−2,tn−1,tn,・・・は、所定の制御周期Tによってそのタイミングが規定される。制御周期Tは、現在の制御タイミングtnを起点とし、PWM生成部422において、実際に三角波信号ecのキャリア周波数fcの設定が完了するまでに要する期間に設定されている。
詳細には、キャリア周波数設定部426は、レゾルバ30から回転角度θを受けると、所定の制御タイミングtnごとに、回転角度θの検出値を次式に代入してモータ回転数R(tn)を演算する。
R(tn)={(θn−θn−1)/(tn−tn−1)}・K (1)
ただし、θn:現在の制御タイミングtnにおける回転角度,θn−1:前回の制御タイミングtn−1における回転角度,R(tn):現在の制御タイミングtnにおけるモータ回転数,K:回転角度からモータ回転数への変換係数である。
次に、キャリア周波数設定部426は、前回の制御タイミングtn−1におけるモータ回転数R(tn−1)と現在の制御タイミングtnにおけるモータ回転数R(tn)とを次式に代入して、隣接する制御タイミング間のモータ回転数R(tn)の変化率dR(tn)/dtを算出する。なお、算出されたモータ回転数の変化率dR(tn)/dtは、図6に示すモータ回転数の時間的変化において、隣接する制御タイミングtn−1,tn間の傾きに相当する。
dR(tn)/dt={R(tn)−R(tn−1)}/(tn−tn−1) (2)
そして、キャリア周波数設定部426は、算出されたモータ回転数の変化率dR(tn)/dtが所定のしきい値を上回るとき、モータ回転数の上昇率が相対的に高い、すなわちモータ回転数が急上昇すると判定する。図6においては、モータ回転数は現在の制御タイミングtnから短い期間内に所定値R_limを超えることが予測される。したがって、キャリア周波数設定部426は、キャリア周波数fcを現状のインバータ保護周波数fc_Lから通常周波数fc_Hに切換えて設定する。設定されたキャリア周波数fc(=fc_H)は、PWM生成部422へ出力される。
これによれば、モータ回転数が所定値R_limを超えたタイミングにおいては、キャリア周波数fcが通常周波数fc_Hに設定されているため、図5(b)で述べたような交流モータM1の制御破綻が回避される。その結果、交流モータM1は、モータ回転数の急峻な変動に関わらず、安定した制御が確保される。
図7は、キャリア周波数設定部426にて実行されるキャリア周波数fcの設定方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図7を参照して、キャリア周波数設定部426は、レゾルバ30から回転角度θが入力されると(ステップS01)、上記式(1)を用いて現在の制御タイミングtnにおけるモータ回転数R(tn)を算出する(ステップS02)。
続いて、キャリア周波数設定部426は、上記式(2)に従い、隣接する制御タイミング間のモータ回転数の変化率dR(tn)/dtを算出する(ステップS03)。そして、キャリア周波数設定部426は、算出されたモータ回転数の変化率dR(tn)/dtが所定のしきい値R_stdを上回るか否かを判定する(ステップS04)。
このとき、モータ回転数の変化率dR(tn)/dtがしきい値R_stdを上回ると判定されたことに応じて、キャリア周波数設定部426は、キャリア周波数fcを直ちに通常周波数fc_Hに設定する(ステップS05)。
一方、ステップS04においてモータ回転数の変化率dR(tn)/dtがしきい値R_std以下であると判定されたときには、キャリア周波数設定部426は、さらに、現在の制御タイミングにおけるモータ回転数R(tn)が所定値R_limより低いか否かを判定する(ステップS06)。そして、モータ回転数R(tn)が所定値R_limより低いと判定されたとき、キャリア周波数設定部426は、交流モータM1がロック状態にあると判断し、キャリア周波数fcをインバータ保護周波数fc_Lに設定する(ステップS07)。これに対して、モータ回転数R(tn)が所定値R_lim以上であると判定されたときには、キャリア周波数設定部426は、キャリア周波数fcを通常周波数fc_Hに設定する(ステップS05)。
ステップS05,S07にて設定されたキャリア周波数fcは、PWM生成部422へ出力される。PWM生成部422は、設定されたキャリア周波数fcの信号PWMIを生成し、その生成した信号PWMIをインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する(ステップS08)。
以上のように、モータ回転数の変化率dR(tn)/dtが所定のしきい値R_stdを超える場合には、モータ回転数R(tn)によらず、直ちにキャリア周波数fcを相対的に高い通常周波数fc_Hに設定することにより、交流モータM1の制御安定性が確保される上限回転数を上げることができる。そのため、モータ回転数の急峻な変動にも対応することができ、制御破綻を未然に防止することができる。
なお、図6および図7では、隣接する制御タイミングtn−1,tn間のモータ回転数の変化率dR(tn)/dtに基づいてキャリア周波数fcを設定する構成としたが、数回前の制御タイミング(たとえばtn−4)と現在の制御タイミングtnとの間のモータ回転数の変化率dR(tn)/dtに基づいてキャリア周波数fcを設定する構成としても同様の効果を得ることができる。
[変更例1]
図8は、キャリア周波数設定部426にて実行されるキャリア周波数fcの設定方法の他の例を説明するための模式図である。
図8を参照して、キャリア周波数設定部426は、上述した方法に従って制御タイミング間のモータ回転数の変化率dR(tn)/dtを演算すると、その演算されたモータ回転数の変化率dR(tn)/dtを用いて、次回の制御タイミングtn+1におけるモータ回転数の推定値(以下、推定モータ回転数とも称する)R(tn+1)を算出する。そして、キャリア周波数設定部426は、その算出した推定モータ回転数R(tn+1)に基づいてモータ回転数の上昇率が相対的に高いか否か、すなわち、モータ回転数が急峻に上昇するか否かを判定する。
詳細には、キャリア周波数設定部426は、レゾルバ30から回転角度θを受けると、回転角度θに基づいて現在の制御タイミングtnにおけるモータ回転数R(tn)を演算する。そして、演算されたモータ回転数R(tn)に基づいて隣接する制御タイミング間のモータ回転数の変化率dR(tn)/dtを算出する。これらの演算は、図6にて説明したのと同様の手順で行なわれる。
さらに、キャリア周波数設定部426は、演算されたモータ回転数R(tn)とモータ回転数の変化率dR(tn)/dtとを用いて、次回の制御タイミングtn+1における推定モータ回転数R(tn+1)を算出する。
R(tn+1)=dR(tn)/dt×T+R(tn)
=[{R(tn)−R(tn−1)}/T]×T+R(tn)
=2R(tn)−R(tn−1) (3)
ただし、T:制御周期、すなわち(tn−tn−1)である。
すなわち、式(3)によれば、現在の制御タイミングtnにおけるモータ回転数R(tn)と前回の制御タイミングにおけるモータ回転数R(tn−1)とから、次回の制御タイミングtn+1における推定モータ回転数R(tn+1)が得られる。
そして、キャリア周波数設定部426は、その算出された推定モータ回転数R(tn+1)が所定値R_limを越えたことに応じて、モータ回転数の上昇率が相対的に高い、すなわちモータ回転数が急峻に上昇すると判定する。図8の場合では、現在の制御タイミングtnでは、モータ回転数R(tn)がインバータ保護周波数fc_Lにおける上限回転数である所定値R_limを下回っており、制御安定性が得られているが、次回の制御タイミングtn+1では、モータ回転数R(tn+1)が所定値R_limを超えることが予測される。したがって、キャリア周波数設定部426は、キャリア周波数fcを現状のインバータ保護周波数fc_Lから通常周波数fc_Hに切換えて設定する。設定されたキャリア周波数fc(=fc_H)は、PWM生成部422へ出力される。
これによれば、次回の制御タイミングtn+1ではキャリア周波数fcが通常周波数fc_Hに設定されているため、モータ回転数R(tn+1)が予測通り所定値R_limを越えた場合であっても、図5(b)で述べたような交流モータM1の制御破綻が回避される。その結果、交流モータM1は、モータ回転数の急峻な変動に関わらず、安定した制御が確保される。
図9は、キャリア周波数設定部426にて実行されるキャリア周波数fcの設定方法の他の例を説明するためのフローチャートである。なお、図9のフローチャートは、図7のフローチャートにおけるステップS03,S04を、ステップS030,S040に変更したものである。したがって、重複するステップについての詳細な説明は繰り返さない。
図9を参照して、キャリア周波数設定部426は、ステップS02で得られた現在の制御タイミングtnにおけるモータ回転数R(tn)と、前回の制御タイミングtn−1におけるモータ回転数R(tn−1)とを式(3)に代入して、次回の制御タイミングtn+1における推定モータ回転数R(tn+1)を算出する(ステップS030)。
そして、キャリア周波数設定部426は、推定モータ回転数R(tn+1)が所定値R_lim以上であるか否かを判定する(ステップS040)。
このとき、推定モータ回転数R(tn+1)が所定値R_lim以上であると判定されたことに応じて、キャリア周波数設定部426は、キャリア周波数fcを直ちに通常周波数fc_Hに設定する(ステップS05)。
一方、ステップS040において推定モータ回転数R(tn+1)が所定値R_limよりも低いと判定されたときには、キャリア周波数設定部426は、さらに、現在の制御タイミングにおけるモータ回転数R(tn)が所定値R_limより低いか否かを判定する(ステップS06)。そして、モータ回転数R(tn)が所定値R_limより低いと判定されたとき、キャリア周波数設定部426は、交流モータM1がロック状態にあると判断し、キャリア周波数fcをインバータ保護周波数fc_Lに設定する(ステップS07)。これに対して、モータ回転数R(tn)が所定値R_lim以上であると判定されたときには、キャリア周波数設定部426は、キャリア周波数fcを通常周波数fc_Hに設定する(ステップS05)。
以上のように、推定モータ回転数R(tn+1)が所定値R_lim以上となる場合には、直ちにキャリア周波数fcを相対的に高い通常周波数fc_Hに設定することにより、交流モータM1の制御安定性が確保される上限回転数を上げることができる。そのため、モータ回転数の急峻な変動にも対応することができ、制御破綻を未然に防止することができる。
[変更例2]
上述した2つの例では、モータ回転数の変化率dR(tn)/dt、または推定モータ回転数R(tn+1)を演算し、その演算結果に基づいてモータ回転数の急峻な変動を予測する構成とした。これによれば、モータ回転数が所定値R_limを超えるのに先立ってキャリア周波数fcがインバータ保護周波数fc_Lから通常周波数fc_Hに切換えられるため、モータ回転数がインバータ保護周波数fc_Lにおける上限回転数を超えることによって起こり得る交流モータM1の制御破綻を未然に防止することができる。
さらに、本変更例に示すように、回転角度θから演算されたモータ回転数の瞬時値から、直接的にキャリア周波数fcを設定する構成とすることによっても、モータ回転数の急峻な変動に対応することができる。
すなわち、本変更例によるキャリア周波数設定部426は、現在の制御タイミングtnにおけるモータ回転数R(tn)が所定値R_limを超えたことに応じて、直ちにキャリア周波数fcをインバータ保護周波数fc_Lから通常周波数fc_Hに切換える構成とする。
これによれば、キャリア周波数設定部426は、演算に要する負荷が上記の2つの例に対して軽減される分、キャリア周波数fcの設定完了までに要する制御周期Tをより短くすることが可能となる。したがって、本変更例によれば、上記の2つの例に対して、モータ回転数の急峻な変動を予測する手段は伴なわないものの、より早いタイミングでキャリア周波数fcの切換えを行なうことができる。その結果、キャリア周波数の急峻な変動にも対応することが可能となる。
図10は、キャリア周波数設定部426にて実行されるキャリア周波数fcの設定方法の他の例を説明するためのフローチャートである。なお、図10のフローチャートは、図7のフローチャートのステップS03,S04,S06を、ステップS041に変更したものである。したがって、重複するステップについての詳細な説明は省略する。
図10を参照して、キャリア周波数設定部426は、ステップS02で得られた現在の制御タイミングtnにおけるモータ回転数R(tn)が所定値R_lim以上となるか否かを判定する(ステップS041)。このとき、モータ回転数R(tn)が所定値R_lim以上となると判定されたことに応じて、キャリア周波数設定部426は、キャリア周波数fcを直ちに通常周波数fc_Hに設定する(ステップS05)。
一方、ステップS041においてモータ回転数R(tn)が所定値R_limを下回ると判定されたときには、キャリア周波数設定部426は、交流モータM1がロック状態にあると判断し、キャリア周波数fcをインバータ保護周波数fc_Lに設定する(ステップS07)。
以上のように、この発明の実施の形態によれば、モータ回転数の検出値のみならず、モータ回転数の上昇率が高いことに応じてキャリア周波数を切換える構成とすることから、モータ回転数が急峻に変動して現在のキャリア周波数における上限回転数を超えた時点では、上限回転数も追従して上昇している。そのため、交流モータの制御破綻を未然に防止することができる。結果として、交流モータの駆動制御の安定性が確保される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、車両に搭載されたモータ駆動装置に適用することができる。
この発明の実施の形態による二次電池の制御装置を備えるモータ駆動装置の概略ブロック図である。 図1における制御装置の機能ブロック図である。 図2におけるインバータ制御回路の機能ブロック図である。 交流モータの出力特性とキャリア周波数との関係を示す図である。 交流モータM1の駆動制御の安定性を説明するための模式図である。 キャリア周波数設定部にて実行されるキャリア周波数fcの設定方法の一例を説明するための模式図である。 キャリア周波数設定部にて実行されるキャリア周波数fcの設定方法の一例を説明するためのフローチャートである。 キャリア周波数設定部にて実行されるキャリア周波数fcの設定方法の他の例を説明するための模式図である。 キャリア周波数設定部にて実行されるキャリア周波数fcの設定方法の他の例を説明するためのフローチャートである。 キャリア周波数設定部にて実行されるキャリア周波数fcの設定方法の他の例を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
10,13 電圧センサ、12 昇圧コンバータ、14 インバータ、15 U相アーム、16 V相アーム、17 W相アーム、24 電流センサ、30 レゾルバ、40 制御装置、401 インバータ制御回路、402 コンバータ制御回路、410 電流指令変換部、412,414 減算器、416,418 PI制御部、420 2相/3相変換部、422 PWM生成部、424 3相/2相変換部、426 キャリア周波数設定部、Q1〜Q8 NPNトランジスタ、D1〜D8 ダイオード、C1,C2 コンデンサ、B バッテリ、M1 交流モータ。

Claims (6)

  1. 電源と、
    複数のスイッチング素子のスイッチング動作により前記電源とモータとの間で電力変換を行なう駆動回路と、
    所定のキャリア周波数を有する信号を用いて各前記複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう制御装置とを備え、
    前記制御装置は、
    前記モータの回転数を検出するモータ回転数検出部と、
    前記回転数の検出値と前記回転数検出値の上昇率とに基づいて前記キャリア周波数を設定する周波数設定部とを含む、モータ駆動装置。
  2. 前記周波数設定部は、前記上昇率が所定値を上回るとき、前記キャリア周波数を相対的に高い第1の周波数に設定する、請求項1に記載のモータ駆動装置。
  3. 前記周波数設定部は、前記上昇率が前記所定値以下のときであって、かつ前記回転数検出値が所定のしきい値よりも低いとき、前記キャリア周波数を前記第1の周波数よりも低い第2の周波数に設定する、請求項2に記載のモータ駆動装置。
  4. 前記モータ回転数検出部は、所定の制御タイミングごとに前記回転数を検出し、
    前記周波数設定部は、
    前記制御タイミング間の前記回転数検出値の変化率を演算する変化率演算部と、
    演算された前記変化率に基づいて前記キャリア周波数を変更する周波数切換え部とを含み、
    前記周波数切換え部は、演算された前記変化率が前記所定値を上回ることに応じて、前記キャリア周波数を前記第1のキャリア周波数に設定する、請求項3に記載のモータ駆動装置。
  5. 前記制御装置は、前記キャリア周波数の設定完了に要する期間に対応する所定の制御周期を有し、
    前記モータ回転数検出部は、前記制御周期で規定された制御タイミングごとに前記回転数を検出し、
    前記周波数設定部は、
    隣接する前記制御タイミング間の前記回転数検出値の変化率を演算する変化率演算部と、
    演算された前記変化率と現在の前記制御タイミングにおける前記回転数検出値とに基づいて、次回の前記制御タイミングにおいて検出され得る前記回転数の推定値を算出するモータ回転数推定部と、
    前記回転数推定値に基づいて、前記次回の制御タイミングにおけるキャリア周波数を切換える周波数切換え部とを含み、
    前記周波数切換え部は、前記回転数推定値が前記所定のしきい値以上となることに応じて、前記次回の制御タイミングにおいて前記キャリア周波数を前記第1のキャリア周波数に設定する、請求項3に記載のモータ駆動装置。
  6. 前記モータ回転数検出部は、所定の制御周期で規定された制御タイミングごとに前記回転数を検出し、
    前記周波数設定部は、現在の前記制御タイミングにおける前記回転検出値が前記所定のしきい値以上となることに応じて、次回の前記制御タイミングにおいて前記キャリア周波数を前記第1のキャリア周波数に設定する、請求項3に記載のモータ駆動装置。
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