JP2011091962A - 電流センサの異常判定装置および異常判定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】三相交流モータの各相電流のいずれかを検出する複数の相電流センサにそれぞれ対応する監視用の相電流センサを設けることなく、各相電流センサの異常を判定する。
【解決手段】駆動制御システムは、2つのインバータ、2つの交流モータ、各交流モータの各相電流をそれぞれ検出する4つの相電流センサ、各インバータを流れる直流電流の合計値を1箇所で検出する直流電流センサ、および、制御装置を備える。制御装置は、各インバータのスイッチング状態に基づいて各インバータを流れる直流電流に含まれる相電流成分を特定し、特定した相電流成分の合計値を相電流センサの検出値に基づいて算出し、直流電流算出値とする。制御装置は、直流電流の算出値と直流電流センサの検出値とが一致しない場合、直流電流の算出に用いられた相電流値を検出した電流センサの少なくともいずれかが異常であると判定する。
【選択図】図6
【解決手段】駆動制御システムは、2つのインバータ、2つの交流モータ、各交流モータの各相電流をそれぞれ検出する4つの相電流センサ、各インバータを流れる直流電流の合計値を1箇所で検出する直流電流センサ、および、制御装置を備える。制御装置は、各インバータのスイッチング状態に基づいて各インバータを流れる直流電流に含まれる相電流成分を特定し、特定した相電流成分の合計値を相電流センサの検出値に基づいて算出し、直流電流算出値とする。制御装置は、直流電流の算出値と直流電流センサの検出値とが一致しない場合、直流電流の算出に用いられた相電流値を検出した電流センサの少なくともいずれかが異常であると判定する。
【選択図】図6
Description
本発明は、電流センサの異常を判定する技術に関し、特に、多相の交流モータの相電流を検出する相電流センサの異常を判定する技術に関する。
電動車両(ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池車等の電気エネルギによって車両駆動力を発生する自動車)は、従来のエンジンに代えてあるいは加えて、直流電源とインバータとインバータによって駆動される多相の交流モータとを動力源とする自動車である。つまり、直流電源からの直流電圧をインバータによって交流電圧に変換し、その変換した交流電圧によりモータを回転することによって動力源を得るものである。
一般に、電動車両においては、インバータからモータに実際に供給される各相電流を複数の電流センサを用いて検出し、それらの電流センサの出力する電流検出値と要求されるトルクから算出した電流指令値とが一致するようにフィードバック制御が行なわれる。この相電流センサに異常が生じると、フィードバック制御が正常に機能せず、インバータに過度の負荷がかかるなどの問題が生じ得る。このような問題を回避するために、相電流センサの異常を判定するさまざまな技術が開発されている。
たとえば、特開2006−258738号公報(特許文献1)には、相電流センサに生じた異常を短期間に、かつ精度良く検出可能な技術が開示されている。この技術は、インバータによって駆動される3相交流モータを動力源とする車両において、交流モータに流れる相電流を検出する相電流センサとして、各相ごとに、制御用と監視用との2つの電流センサを二重に設け、制御用センサの検出値と監視用センサの検出値との電流差がしきい値を越えた場合に、制御用センサが異常であると判定する。この技術によれば、電流指令値と実電流との偏差に基づいて異常を検出する従来の異常検出手法に対して、電流センサに生じた異常を短期間に、かつ精度良く検出することができる。
しかしながら、特許文献1の技術では、交流モータの各相ごとに制御用と監視用との2つの電流センサを二重に設けているため、部品コストが増加するという問題が生じる。特に、複数の交流モータを備えるシステムでは、さらに交流モータの個数に応じて部品コストが増加することになる。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、多相の交流モータの各相電流のいずれかを検出する複数の相電流センサにそれぞれ対応する監視用の相電流センサを設けることなく、各相電流センサの異常を判定することができる、電流センサの異常判定装置および異常判定方法を提供することである。
この発明に係る異常判定装置は、多相の交流モータと交流モータを駆動するためのインバータとを備えたシステムに設けられる複数の電流センサの異常を判定する。インバータは、複数のスイッチング素子を備え、複数のスイッチング素子の動作によって直流電流を複数の相電流に変換して交流モータに供給する。複数の電流センサの各々は、複数の相電流のうちのいずれかを検出する相電流センサである。異常判定装置は、インバータを流れる直流電流を検出する直流電流センサと、複数のスイッチング素子の状態に基づいて複数の相電流のうちからインバータを流れる直流電流に含まれる相電流を特定し、特定された相電流に対応する相電流センサの検出値の合計値を算出する算出部と、算出部が算出した合計値と直流電流センサによる検出値とを比較した結果に基づいて、特定された相電流に対応する相電流センサの少なくともいずれかが異常であるか否かを判定する異常判定処理を行なう異常判定部とを含む。
好ましくは、異常判定部は、算出部が算出した合計値と直流電流センサによる検出値とが一致する場合、特定された相電流に対応する相電流センサのいずれもが正常であると判定し、算出部が算出した合計値と直流電流センサによる検出値とが一致しない場合、特定された相電流に対応する相電流センサの少なくともいずれかが異常であると判定する。
好ましくは、異常判定部は、異常判定処理として、あるいは、異常判定処理に加えて、算出部が算出した合計値と直流電流センサによる検出値とが一致するか否かの比較結果が変化したか否かを判断し、比較結果が変化した場合、比較結果の変化直前に合計値の算出に用いられるようになった相電流を検出した相電流センサ、あるいは、比較結果の変化直前に合計値の算出に用いられなくなった相電流を検出した相電流センサを、異常な相電流センサであると特定する。
好ましくは、異常判定部は、複数のスイッチング素子のいずれかの状態が変化する毎に異常判定処理を行なう。
好ましくは、システムは、搬送波と交流モータの各相にそれぞれ対応する複数の変調率指令値とを比較した結果でインバータを制御するパルス幅変調制御部を備える。異常判定部は、搬送波の周期の4分の1あるいは4分の3に応じたタイミングで、異常判定処理を行なう。
好ましくは、システムは、交流モータおよびインバータを複数備える。直流電流センサは、複数のインバータを流れる直流電流の合計値を1箇所で検出する。
好ましくは、システムは、交流モータと、インバータと、搬送波を用いてインバータを制御するパルス幅変調制御部とを、それぞれ複数備える。複数のパルス幅変調制御部でそれぞれ用いられる複数の搬送波の位相は、互いに同期する。異常判定部は、異常判定処理に加えて、複数の搬送波が極大あるいは極小となる時の直流電流センサによる検出値が零であるか否かに基づいて、直流電流センサが異常であるか否かを判定する。
好ましくは、多相の交流モータと交流モータを駆動するためのインバータとを備えたシステムに設けられる複数の電流センサの異常判定装置が行う異常判定方法である。インバータは、複数のスイッチング素子を備え、複数のスイッチング素子の動作によって直流電流を複数の相電流に変換して交流モータに供給する。複数の電流センサの各々は、複数の相電流のうちのいずれかを検出する相電流センサである。システムは、インバータを流れる直流電流を検出する直流電流センサをさらに備える。
異常判定方法は、複数のスイッチング素子の状態に基づいて複数の相電流のうちからインバータを流れる直流電流に含まれる相電流を特定し、特定された相電流に対応する相電流センサの検出値の合計値を算出するステップと、合計値と直流電流センサによる検出値とを比較した結果に基づいて、特定された相電流に対応する相電流センサの少なくともいずれかが異常であるか否かを判定するステップとを含む。
本発明によれば、多相の交流モータの各相電流のいずれかを検出する複数の相電流センサにそれぞれ対応する監視用の相電流センサを設けることなく、各相電流センサの異常を判定することができる。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰り返さない。
図1は、本発明の実施の形態に従う電流センサの異常判定装置が適用されるモータ駆動制御システムの全体構成図である。
図1を参照して、モータ駆動制御システム1は、直流電圧発生部10♯と、平滑コンデンサCN0と、駆動力発生部20#と、制御装置30とを備える。
直流電圧発生部10♯は、直流電源Bと、システムリレーSR1,SR2と、平滑コンデンサCN1と、コンバータ12とを含む。
直流電源Bは、代表的には、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池や電気二重層キャパシタ等の蓄電装置である。直流電源Bから出力される直流電圧Vbおよび直流電流Ibは、それぞれ、電圧センサ10および電流センサ11によって検出される。
システムリレーSR1は、直流電源Bの正極端子および電力線6の間に接続される。システムリレーSR2は、直流電源Bの負極端子およびアース線5の間に接続される。システムリレーSR1,SR2は、制御装置30からの信号SEによりオン/オフされる。
コンバータ12は、リアクトルL1と、電力用半導体スイッチング素子(以下、「電力用半導体スイッチング素子」を単に「スイッチング素子」と称する)Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。スイッチング素子Q1およびQ2は、電力線7およびアース線5の間に直列に接続される。スイッチング素子Q1,Q2に対しては、それぞれ逆並列ダイオードD1,D2が配置されている。リアクトルL1は、スイッチング素子Q1およびQ2の中間点と電力線6の間に接続される。
スイッチング素子Q1およびQ2は、制御装置30からのスイッチング制御信号S1およびS2によって制御される。コンバータ12の作動時、スイッチング素子Q1およびQ2は、周期的かつ相補的に(交互に)オンされる。
昇圧動作時には、コンバータ12は、直流電源Bから供給された直流電圧VLを直流電圧VH(以下「システム電圧」とも称する)へ昇圧する。この昇圧動作は、スイッチング素子Q2のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q1および逆並列ダイオードD1を介して、電力線7へ供給することにより行なわれる。
一方、降圧動作時には、コンバータ12は、直流電圧VHを直流電圧VLに降圧する。この降圧動作は、スイッチング素子Q1のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q2および逆並列ダイオードD2を介して、電力線6へ供給することにより行なわれる。これらの昇圧動作または降圧動作における電圧変換比(VHおよびVLの比)は、上記スイッチング周期に対するスイッチング素子Q1,Q2のオン期間比(デューティ比)により制御される。なお、スイッチング素子Q1およびQ2をオンおよびオフにそれぞれ固定すれば、VH=VL(電圧変換比=1.0)とすることもできる。
この発明の実施の形態において、スイッチング素子としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは、電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。
平滑コンデンサCN0は、電力線7およびアース線5の間に接続される。平滑コンデンサCN0は、コンバータ12からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ14A,14Bへ供給する。電圧センサ13は、平滑コンデンサCN0の両端の電圧、すなわち、システム電圧VHを検出し、その検出値を制御装置30へ出力する。
駆動力発生部20#は、インバータ14A,14Bと、交流モータM1,M2とを備える。
インバータ14A,14Bの入力側は、それぞれ電力線7およびアース線5の間に、直流電圧発生部10♯に対して互いに並列に接続される。インバータ14A,14Bの出力側は、それぞれ交流モータM1,M2に接続される。なお、インバータ14A,14Bは基本的に同じ構造を有するため、以下の説明では主にインバータ14Aについて説明し、インバータ14Bについての説明は原則として繰り返さない。
インバータ14Aは、U相上下アーム15と、V相上下アーム16と、W相上下アーム17とから成る。各相上下アームは、電力線7およびアース線5の間に直列接続されたスイッチング素子Q3〜Q8から構成される。
たとえば、U相上下アーム15は、スイッチング素子Q3,Q4から成り、V相上下アーム16は、スイッチング素子Q5,Q6から成り、W相上下アーム17は、スイッチング素子Q7,Q8から成る。なお、以下においては、各相上下アームにおいて、電力線7の側のスイッチング素子Q3,Q5,Q7を「上アーム」とも記載し、アース線5の側のスイッチング素子Q4,Q6,Q8を「下アーム」とも記載する。
スイッチング素子Q3〜Q8のオン・オフは、制御装置30からのスイッチング制御信号S11〜S16によって制御される。インバータ14Aの作動時、各U相の上アームおよび下アームは、周期的かつ相補的に(交互に)オンされる。
スイッチング素子Q3〜Q8に対して、逆並列ダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。
交流モータM1,M2は、たとえば、電動車両(ハイブリッド自動車、電気自動車や燃料電池車等の電気エネルギによって車両駆動力を発生する自動車をいうものとする)の駆動輪を駆動するためのトルクを発生するための電動機である。
交流モータM1,M2は、どちらも、多相(本実施の形態では3相)の永久磁石型同期電動機である。交流モータM1の各相(U相,V相,W相)の3つのコイルの一端は、中性点に共通接続される。さらに、交流モータM1の各相コイルの他端は、それぞれインバータ14Aの各相上下アーム15〜17のスイッチング素子の中間点と接続されている。同様に、交流モータM2の各相(U,V,W相)の3つのコイルの一端は、中性点に共通接続される。交流モータM2の各相コイルの他端は、それぞれインバータ14Bの各相上下アーム15〜17のスイッチング素子の中間点と接続されている。
なお、交流モータM1,M2は、エンジンにて駆動される発電機の機能を持つものでもよく、電動機および発電機の機能を併せ持つものでもよい。さらに、交流モータM1,M2は、エンジンに対して電動機として動作し、たとえば、エンジン始動を行ない得るようなものとしてハイブリッド自動車に組み込まれるようにしてもよい。すなわち、本実施の形態において、「交流モータ」は、交流駆動の電動機、発電機および電動発電機(モータジェネレータ)を含むものである。
インバータ14Aは、交流モータM1のトルク指令値Trqcom1が正の場合には、スイッチング制御信号S11〜S16に応答したスイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作により、直流電圧発生部10♯から供給された直流電力を交流電力に変換して交流モータM1に供給する。これにより、交流モータM1は、トルク指令値Trqcom1によって指定された零または正のトルクを発生するように駆動される。
一方、モータ駆動制御システム1が搭載された電動車両の回生制動時には、交流モータM1のトルク指令値Trqcom1は負に設定される。この場合には、インバータ14Aは、スイッチング制御信号S11〜S16に応答したスイッチング動作により、交流モータM1が発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧(システム電圧)を平滑コンデンサCN0を介してコンバータ12へ供給する。なお、ここで言う回生制動とは、電動車両を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
インバータ14Bも、インバータ14Aと同様である。すなわち、インバータ14Bは、交流モータM2のトルク指令値Trqcom2が正の場合には、スイッチング制御信号S21〜S26に応答したスイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作により、直流電圧発生部10♯から供給された直流電力を交流電力に変換して交流モータM2に供給する。一方、回生制動時には、インバータ14は、スイッチング制御信号S11〜S16に応答したスイッチング動作により、交流モータM2が発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧を平滑コンデンサCN0を介してコンバータ12へ供給する。
回転角センサ(レゾルバ)25は、交流モータM1のロータの回転角θ1(交流モータM2側のレゾルバ25においては回転角θ2)を検出し、検出結果を制御装置30へ出力する。制御装置30は、回転角θ1、θ2に基づき交流モータM1,M2の回転速度および回転周波数を算出できる。
電流センサ18は、インバータ14AのU相から交流モータM1に流れる電流(U相電流)Iu1の値を検出し、検出結果をU相電流値(検出値)iu1として制御装置30へ出力する。電流センサ19は、インバータ14AのV相から交流モータM1に流れる電流(V相電流)Iv1の値を検出し、検出結果をV相電流値(検出値)iu1として制御装置30へ出力する。なお、3相電流Iu1,Iv1,Iw1の瞬時値の和は零であるので、W相電流Iw1の値は、U相電流値iu1およびV相電流値iv1から検出できる。すなわち、iw1=−(iu1+iw1)である。
電流センサ28は、インバータ14BのU相から交流モータM2に流れる電流(U相電流)Iu2の値を検出し、検出結果をU相電流値(検出値)iu2として制御装置30へ出力する。電流センサ29は、インバータ14BのV相から交流モータM2に流れる電流(V相電流)Iv2の値を検出し、検出結果をV相電流値iv2として制御装置30へ出力する。なお、3相電流Iu2,Iv2,Iw2の瞬時値の和は零であるので、W相電流Iw2の値(W相電流iw2)は、U相電流値iu2およびV相電流iv2から算出できる。
ところで、従来における電流センサには、制御用の電流を検出する制御用センサに加えて、制御用センサが異常であるか否かを判定するために用いられる電流を検出する異常判定用センサが含まれていた。そのため、たとえば、本実施の形態のように、2つの3相交流モータM1,M2を使用する際には、異常判定用センサが2(モータ数)×2(U相、V相)=4個も必要となり、コスト増大の要因となっていた。
これに対し、本実施の形態においては、異常判定用センサが大幅に削減されている。すなわち、本実施の形態では、電流センサ18,19,28,29には、いずれにも、制御用センサのみが設けられており、異常判定用センサは設けられていない。そして、新たな異常判定用センサとして、直流電圧発生部10♯と駆動力発生部20#との間を流れる直流電流Iの値を検出する電流センサ21が1つだけ設けられている。
電流センサ21は、アース線5における直流電圧発生部10♯と駆動力発生部20#との間の部分を流れる直流電流Iの値を検出し、その検出結果を直流電流値(検出値)iとして制御装置30へ出力する。この直流電流Iは、インバータ14Aから直流電圧発生部10♯へ流れる電流I1と、インバータ14Bから直流電圧発生部10♯へ流れる電流I2とを合わせた値となる。
このように、本実施の形態では、4つの電流センサ18,19,28,29のすべてにおいて異常判定用センサの設置を廃止し、代わりに1つの電流センサ21を設けている。したがって、全体として3個の異常判定用センサの削減が図られている。この点が本発明の特徴点の1つである。なお、電流センサの異常判定手法については後に詳述する。
制御装置30は、電子制御ユニット(ECU)であり、予め記憶されたプログラムを図示しないCPUで実行することによるソフトウェア処理および/または専用の電子回路によるハードウェア処理により、モータ駆動制御システム1の動作を制御する。
代表的な機能として、制御装置30は、他のECUから入力されたトルク指令値Trqcom1,Trqcom2、直流電圧Vb、直流電流Ib、システム電圧VH、相電流値iu1,iv1,iu2,iv2、回転角θ1,θ2等に基づいて、後述する制御方式により交流モータM1,M2がトルク指令値Trqcom1,Trqcom2に従ったトルクを出力するように、コンバータ12およびインバータ14A,14Bの動作を制御する。すなわち、コンバータ12およびインバータ14A,14Bを上記のように制御するためのスイッチング制御信号S1,S2,S11〜S16、S21〜S26を生成して、コンバータ12およびインバータ14A,14Bへ出力する。
制御装置30は、PWM制御によってインバータ14A,14Bを制御する。PWM制御では、電圧指令値(相変調率指令値)と搬送波(キャリア信号)との電圧比較に基づき、インバータ14A,14Bの各相のスイッチング素子のオン・オフを制御する。これにより、交流モータM1,M2の各相に疑似正弦波電圧としてのパルス幅変調電圧が印加される。キャリア信号は、所定周波数の三角波やのこぎり波によって構成することができる。
図2は、制御装置30の機能ブロック図である。図2に示すように、制御装置30は、PWM制御部100と、判定部200とを含む。なお、図4に示された各機能ブロックは、当該ブロックに相当する機能を有する回路(ハードウェア)を制御装置30に設けることによって実現されてもよいし、予め設定されたプログラムに従って制御装置30にソフトウェア処理を実行させることによって実現してもよい。
PWM制御部100は、交流モータM1用のPWM制御部100Aと、交流モータM2用のPWM制御部100Bとを含む。
PWM制御部100Aは、回転角θ1、トルク指令値Trqcom1、U相電流値iu1、V相電流値iv1に基づいて、PWM制御によって交流モータM1を制御するためのスイッチング制御信号S11〜S16を生成し、インバータ14Aに出力する。
具体的には、PWM制御部100Aは、電圧指令部110Aと、PWM変調部120Aと、回転周波数演算部130Aと、搬送波制御部140Aとを含む。
電圧指令部110Aは、電圧指令部110Aは、回転角θ1、トルク指令値Trqcom1、U相電流値iu1、V相電流値iv1に基づいて、各相に対する電圧指令値(変調率指令値)m1u,m1v,m1wを生成し、PWM変調部120Aに出力する。
たとえば、電圧指令部110Aは、予め作成されたテーブル等に従ってトルク指令値Trqcom1に応じたd軸電流指令値Idcom1およびq軸電流指令値Iqcom1を生成するとともに、回転角θ1を用いた座標変換(3相→2相)によってU相電流値iu1、V相電流値iv1に応じたd軸電流Idおよびq軸電流Iqを生成する。
そして、電圧指令部110Aは、d軸電流の指令値に対する偏差ΔId1(ΔId1=Idcom1−Id1)およびq軸電流の指令値に対する偏差ΔIq1(ΔIq1=Iqcom1−Iq1)を求め、各偏差ΔId1,ΔIq1のそれぞれについて所定ゲインによるPI(比例積分)演算を行なって制御偏差を求める。
さらに、電圧指令部110Aは、求めた制御偏差に応じたd軸電圧指令値Vd1♯およびq軸電圧指令値Vq1♯を生成し、回転角θ1を用いた座標変換(2相→3相)によってd軸電圧指令値Vd1♯およびq軸電圧指令値Vq1♯に応じた各相電圧指令値(相変調率指令値)m1u,m1v,m1wを生成する。生成された各相変調率指令値m1u,m1v,m1wは、PWM変調部120Aに出力される。
回転周波数演算部130Aは、交流モータM1の回転角θ1に基づいて、交流モータM1の回転周波数ωe1を演算し、搬送波制御部140Aに出力する。
搬送波制御部140Aは、回転周波数ωe1等に基づいて、搬送波周波数fc1を設定する。
PWM変調部120Aは、搬送波制御部140Aによって設定された搬送波周波数fc1に従って搬送波(キャリア信号)C1を発生するとともに、電圧指令部110Aからの各相変調率指令値m1u,m1v,m1wとキャリア信号C1との電圧比較に従って、インバータ14Aのスイッチング制御信号S11〜S16を生成する。
図3に、各相変調率指令値m1u,m1v,m1wおよびキャリア信号C1と、スイッチング制御信号S11〜S16との関係を例示的に示す。
PWM変調部120Aは、図3に示すように、各相変調率指令値がキャリア信号C1よりも大きい場合には、対応する相の上アームをオンさせかつ下アームをオフさせるスイッチング制御信号を生成し、そうでない場合には、対応する相の下アームをオンさせかつ上アームをオフさせるスイッチング制御信号を生成する。
たとえば、図3に示す時刻t0では、U相変調率指令値m1uだけがキャリア信号C1よりも大きいため、U相についは、上アームQ3をオンさせかつ下側アームQ4をオフさせるスイッチング制御信号S11,S12が生成され、他のV相、W相については、下側アームQ6,Q8をオンさせかつ上アームQ5,Q6をオフされるスイッチング制御信号S14〜S16が生成される。
なお、図3には、スイッチング制御信号S11〜S16の組合せ(すなわちインバータ14Aのスイッチングの状態)と、インバータ14Aから直流電圧発生部10♯へ流れる電流I1との関係も示している。この点については後述する。
スイッチング制御信号S11〜S16は、インバータ14Aに出力される。スイッチング制御信号S11〜S16に従って、インバータ14Aのスイッチング状態(各相の上下アームのオン・オフ)が制御されることによって、交流モータM1の各相にパルス幅変調電圧が印加される。
図2に戻って、PWM制御部100Bは、回転角θ2、トルク指令値Trqcom2、U相電流値iu2、V相電流値iv2に基づいて、PWM制御によって交流モータM2を制御するためのスイッチング制御信号S21〜S26を生成し、インバータ14Bに出力する。PWM制御部100Bは、電圧指令部110Bと、PWM変調部120Bと、回転周波数演算部130Bと、搬送波制御部140Bとを含む。電圧指令部110B、PWM変調部120B、回転周波数演算部130B、搬送波制御部140Bは、それぞれ、上述した電圧指令部110A、PWM変調部120A、回転周波数演算部130A、搬送波制御部140Aと基本的に同じ機能を有するため、これらについての詳細な説明は繰り返さない。
判定部200は、スイッチング制御信号S11〜S16,S21〜S26、電流センサ18,19,28,29でそれぞれ検出された各相電流iu1,iv1,iu2,iv2、電流センサ21で検出された直流電流値iに基づいて、電流センサ18,19,28,29が異常であるか否かを判定する。この判定部200の機能が、本発明の特徴点である。
判定部200は、スイッチ状態認識部210と、相電流値検出部220と、直流電流値検出部230と、直流電流値算出部240と、比較部250と、異常判定部260とを含む。
スイッチ状態認識部210は、スイッチング制御信号S11〜S16,S21〜S26に基づいて、インバータ14A,14Bのスイッチング状態を認識する(図3参照)。なお、上述の図3でも説明したように、スイッチング制御信号S11〜S16,S21〜S26は、各相変調率指令値m1u,m1v,m1w,m2u,m2v,m2wとキャリア信号C1,C2との比較結果で決定される。そのため、スイッチ状態認識部210は、スイッチング制御信号S11〜S16,S21〜S26に代えて、各相変調率指令値m1u,m1v,m1w,m2u,m2v,m2wとキャリア信号C1,C2とに基づいて、インバータ14A,14Bのスイッチング状態を認識するようにしてもよい。
相電流値検出部220は、電流センサ18,19,28,29からの各相電流値iu1、iv1,iu2、iv2を取得(サンプリング)する。
直流電流値検出部230は、電流センサ21からの直流電流値iを取得(サンプリング)する。
なお、スイッチ状態認識部210によるスイッチング状態の認識、相電流値検出部220による各相電流値iu1、iv1,iu2、iv2の取得、直流電流値検出部230による直流電流値iの取得は、いずれも同じタイミングで行われる。
直流電流値算出部240は、スイッチ状態認識部210が認識したスイッチング状態に基づいて、相電流Iu1、Iv1,Iw1,Iu2、Iv2,Iw2のうちから直流電流Iに含まれる相電流成分を特定する。そして、特定された相電流成分の合計値を相電流値iu1、iv1,iu2、iv2の少なくともいずれかを用いて算出し、その算出結果を直流電流算出値Icalとする。
たとえば、図4には、インバータ14A,14Bのいずれにおいても、U相の上アームQ3がオン(下アームがオフ)され、V相、W相の上アームがオフ(下アームがオン)されている状態が示されている。この場合、電流I1に含まれる相電流成分はU相電流Iu1であり、電流I2に含まれる相電流成分はU相電流Iu2である。直流電流Iが電流I1と電流I2との合計であるから、直流電流値算出部240は、直流電流Iに含まれる相電流成分を、U相電流Iu1およびU相電流Iu2と特定する。そして、直流電流値算出部240は、U相電流値iu1(電流センサ18による検出値)と、U相電流値iu2(電流センサ28による検出値)とを合計した値を、直流電流算出値Icalとする。
図5に、各インバータ14A,14Bのスイッチング状態および直流電流算出値Icalの時間変化の一例を示する。なお、図5には、キャリア信号C1とキャリア信号C2とを同期させている場合を示している。
図5に示す例では、時刻b、時刻c、時刻eでそれぞれインバータ14AのU相、V相、W相の上アームがオフからオンに切り換えられる。この場合、電流I1に含まれる相電流成分は、時刻b以前は「零」、時刻b〜cの間は「Iu1」、時刻c〜eの間は「−Iw1」となり、時刻eで再び「零」となる。
一方、時刻a、時刻d、時刻fでそれぞれインバータ14BのV相、W相、U相の上アームがオフからオンに切り換えられいる。この場合、電流I2に含まれる相電流成分は、時刻a以前は「零」、時刻a〜dの間は「Iv2」、時刻d〜fの間は「−Iu2」となり、時刻fで再び「零」となる。
そのため、電流I1の値と電流I2の値との合計値である直流電流算出値Icalは、時刻a以前は「零」、時刻a〜bの間は「iv2」、時刻b〜cの間は「iu1+iv2」、時刻c〜dの間は「−iw1+iv2」、時刻d〜eの間は「−iw1−iu2」、時刻e〜fの間は「−iu2」、時刻f以降は再び「零」となる。
図2に戻って、比較部250は、直流電流値算出部240で算出された直流電流算出値Icalと、直流電流値i(電流センサ21による検出値)とを比較し、比較結果を異常判定部260に出力する。
異常判定部260は、比較部250からの比較結果に基づいて、電流センサ18,19,28,29が異常であるか否かを判定する。
たとえば、異常判定部260は、直流電流算出値Icalと直流電流値iとが異なる場合は、直流電流算出値Icalの算出に用いられた電流値を検出した電流センサの少なくともいずれかが異常であると判定する。たとえば、上述の図4に示すスイッチング状態において直流電流算出値Ical(=iu1+iu2)と直流電流値iとが異なる場合、異常判定部260は、直流電流算出値Icalの算出に用いられた相電流値iu1,iu2を検出した電流センサ18,28の少なくともいずれかが異常であると判定する。
図6に、上述の判定部200の機能を実現するための制御処理手順を示す。図6に示すフローチャートの各ステップは、基本的には制御装置30によるソフトウェア処理によって実現されるが、制御装置30内に設けられた電子回路等によるハードウェア処理によって実現されてもよい。なお、図6の処理は、予め定められたサイクルタイムで繰り返し実行される。
ステップ(以下、ステップを「S」と略す)100にて、制御装置30は、電流センサの異常判定に用いる情報を取得(サンプリング)する。すなわち、制御装置30は、スイッチング制御信号S11〜S16,S21〜S26(スイッチング状態を示す情報)、電流センサ18,19,28,29からの各相電流値iu1、iv1,iu2、iv2、電流センサ21からの直流電流値iを同時に取得(サンプリング)する。
S100にて、制御装置30は、取得したスイッチング制御信号S11〜S16,S21〜S26に基づいて、各インバータ14A,14Bのスイッチング状態を認識する。
なお、S100、S110の処理は、上述の図2に示したスイッチ状態認識部210、相電流値検出部220、直流電流値検出部230の機能に相当する。
続くS120にて、制御装置30は、認識したスイッチング状態と取得した各相電流値iu1、iv1,iu2、iv2とに基づいて、直流電流算出値Icalを算出する。すなわち、制御装置30は、相電流Iu1、Iv1,Iw1,Iu2、Iv2,Iw2のうちから直流電流Iに含まれる相電流成分を特定し、特定した相電流成分の合計値を相電流値iu1、iv1,iu2、iv2に基づいて算出し、直流電流算出値Icalとする。この処理は、上述の図2に示した直流電流値算出部240の機能に相当する。
S130にて、制御装置30は、直流電流算出値Icalと取得した直流電流値iとが一致するか否かを判断する。直流電流算出値Icalと直流電流値iとが一致する場合(S130にてYES)、処理はS140に移される。そうでないと(S130にてNO)、処理はS150に移される。
S140にて、制御装置30は、直流電流算出値Icalの算出に用いられた相電流値を検出した電流センサの少なくともいずれかが異常であると判定する。S150にて、制御装置30は、直流電流算出値Icalの算出に用いられた相電流値を検出した電流センサのいずれもが正常であると判定する。
このように、本実施の形態においては、2つの交流モータにそれぞれ接続された2つのインバータのいずれかの相電流を検出する4つの相電流センサと、2つのインバータの合計電流を1箇所で検出する電流センサとを設け、2つのインバータのスイッチング状態と各相電流センサの出力結果とに基づいて2つのインバータの合計電流値を算出し、算出した合計電流値が合計電流のセンサによる検出値と一致しない場合に、合計電流値の算出に用いられた相電流値を検出した電流センサの少なくともいずれかが異常であることと判定する。これにより、4つの相電流センサのすべてにおいて異常判定用センサの設置を廃止することができ、全体として3個の異常判定用センサの削減が可能となる。
なお、本実施の形態は、2つの交流モータおよび2つのインバータを備えたモータ駆動制御システムに本発明を適用したが、交流モータおよびインバータの数量はこれに限らず1つであっても3つ以上であってもよい。特に、3つ以上の場合には、廃止可能な異常判定用センサの数量が増加することになるため、コスト削減効果がより大きくなる。
<変形例1>
上述の実施の形態においては、図6のS130〜S150の処理にて、直流電流算出値Icalと直流電流値iとが一致するか否かの判断結果に基づいて、直流電流算出値Icalの算出に用いられた相電流を検出したセンサの少なくともいずれかが異常であるか否かを判定した。この場合、対象となるセンサが複数存在する場合には、いずれのセンサが異常であるのかを特定することはできない。
上述の実施の形態においては、図6のS130〜S150の処理にて、直流電流算出値Icalと直流電流値iとが一致するか否かの判断結果に基づいて、直流電流算出値Icalの算出に用いられた相電流を検出したセンサの少なくともいずれかが異常であるか否かを判定した。この場合、対象となるセンサが複数存在する場合には、いずれのセンサが異常であるのかを特定することはできない。
そこで、上述の実施の形態で示した図6のS130〜S150の処理に代えてあるいは加えて、以下に示すように、異常判定結果の時間変化のパターンに応じて、異常な相電流センサを特定するようにしてもよい。
図7を参照して、異常な相電流センサの特定手法について説明する。図7は、上述の図5に示した例において、スイッチング状態の時間変化に対する異常判定結果の時間変化のパターンと、異常と特定される相電流センサとの関係を示している。
上述したように、図5に示した例においては、図7にも示すように、直流電流算出値Icalは、時刻a以前は「零」であるが、時刻a〜bの間は「iv2」、時刻b〜cの間は「iu1+iv2」、時刻c〜dの間は「−iw1+iv2」、時刻d〜eの間は「−iw1−iu2」、時刻e〜fの間は「−iu2」、時刻f以降は「零」となる。
このように、時間の変化(スイッチング状態の変化)に伴なって直流電流算出値Icalの算出に用いられる相電流(相電流センサ)が変化する。この現象を利用して、制御装置30は、異常判定結果の時間変化のパターン(スイッチング状態の変化に対する異常判定結果の変化のパターン)に基づいて、いずれの相電流センサが異常であるのかを特定する。
図7には、異常判定結果の時間変化のパターンとして、パターン1〜4を記載している。
パターン1では、時刻a〜dで「異常」と検出され、時刻dで「異常」から「正常」に変化している。一方、直流電流算出値Icalは、時刻dの前後で「−iw1+iv2」から「−iw1−iu2」に変化している。したがって、時刻dで「異常」から「正常」に変化したのは、時刻d直前でインバータ14BのW相のスイッチング状態が変化して直流電流算出値Icalの算出に「iv2」(電流センサ29の検出値)が用いられなくなったために生じたものである。この場合、「iv2」を検出した電流センサ29が異常であると言える。そのため、制御装置30は、異常判定結果の時間変化がパターン1に合致する場合に、iv2の異常、すなわち電流センサ29が異常であると特定する。
同様に、異常判定結果の時間変化がパターン2、3、4に合致する場合には、それぞれiu1の異常(電流センサ18の異常)、iw1の異常(電流センサ19の異常)、iu2の異常(電流センサ28の異常)と特定すればよい。
このようにすれば、電流センサ18,19,28,29のうちから異常な相電流センサを特定することができる。
<変形例2>
上述の実施の形態において、図6に示した異常判定処理を行なうタイミングを、インバータ14A,14Bのいずれかのスイッチング素子のいずれかのスイッチング状態が変化した毎に行なうようにしてもよい。このようにすれば、キャリア信号の半周期ですべてのインバータの2相分の電流値の異常を判定することができる。
上述の実施の形態において、図6に示した異常判定処理を行なうタイミングを、インバータ14A,14Bのいずれかのスイッチング素子のいずれかのスイッチング状態が変化した毎に行なうようにしてもよい。このようにすれば、キャリア信号の半周期ですべてのインバータの2相分の電流値の異常を判定することができる。
上述の図5に示した例においては、キャリア信号C1,C2の半周期内に含まれる時刻a、時刻b、時刻c、時刻d、時刻e、時刻fでそれぞれスイッチング状態が変化するが、これらの6つのタイミングで異常判定を行なえば、キャリア信号C1,C2の半周期内にすべての相電流センサの異常判定を行なうことができる。
<変形例3>
上述の実施の形態において、キャリア信号C1とキャリア信号C2とを同期させるようにしてもよい。このようにすれば、キャリア信号C1,C2が山(極大)あるいは谷(極小)となった時に直流電流値iが零であるか否かを判断し、零でない場合には、電流センサ21が異常であることを検出することができる。
上述の実施の形態において、キャリア信号C1とキャリア信号C2とを同期させるようにしてもよい。このようにすれば、キャリア信号C1,C2が山(極大)あるいは谷(極小)となった時に直流電流値iが零であるか否かを判断し、零でない場合には、電流センサ21が異常であることを検出することができる。
すなわち、図5にも示したように、キャリア信号C1の山あるいは谷付近では電流I1は零となる。また、キャリア信号C2の山あるいは谷付近で電流I2は零となる。したがって、キャリア信号C1,C2を同期させると、キャリア信号C1が山あるいは谷となるタイミング(電流I1が零となるタイミング)とキャリア信号C2が山あるいは谷となるタイミング(電流I2が零となるタイミング)とが一致するため、このタイミングでは、直流電流Iは零である。それに関わらず、直流電流値iが零でない場合には、電流センサ21が異常であると言える。
そこで、キャリア信号C1とキャリア信号C2とを同期させた上で、制御装置30は、キャリア信号C1,C2が山あるいは谷となった時に直流電流値iが零であるか否かを判断し、直流電流値iが零でない場合に電流センサ21が異常であると判定する。
これにより、電流センサ18,19,28,29だけでなく、電流センサ21の異常判定も行なうことができる。
<変形例4>
上述の実施の形態において、図6に示した異常判定処理を行なうタイミングを、キャリア信号C1(あるいはキャリア信号C2)の周期の4分の1付近あるいは4分の3付近としてもよい。このようなタイミングでは、変動率指令値m1u,m1v,m1w,m2u,m2v,m2wのいずれかが50パーセントで無い限り電流I1あるいは電流I2がいずれかの相電流と一致するため、必ずいずれかの相電流センサの異常判定を行なうことができる。
上述の実施の形態において、図6に示した異常判定処理を行なうタイミングを、キャリア信号C1(あるいはキャリア信号C2)の周期の4分の1付近あるいは4分の3付近としてもよい。このようなタイミングでは、変動率指令値m1u,m1v,m1w,m2u,m2v,m2wのいずれかが50パーセントで無い限り電流I1あるいは電流I2がいずれかの相電流と一致するため、必ずいずれかの相電流センサの異常判定を行なうことができる。
たとえば、図8に示す状態では、キャリア信号C1,C2の周期の4分の1あるいは4分の3のタイミングで図6に示した異常判定処理を行なった場合、いずれのタイミングにおいても、電流I1はU相電流Iu1、電流I2はV相電流Iv2となるため、必ずU相電流Iu1を検出する電流センサ18およびV相電流Iv2を検出する電流センサ29の異常判定を行なうことができる。
図9に、キャリア周期の4分の1あるいは4分の3のタイミングで異常判定を行なった場合の異常判定可能な相の時間変化の一例を示す。図9に示すように、キャリア周期の4分の1あるいは4分の3のタイミングで異常判定を行なうと、変調率が50パーセントでない限り、時刻t1〜時刻t2までの間、すなわち各相電流の周期(交流モータの回転周期に相当)の3分の2の短い期間で、U相、W相の2相分の異常判定が可能である。2相分の異常判定ができれば、U相電流+V相電流+W相電流=0より、すべての相電流センサの異常判定を完了させることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 モータ駆動制御システム、5 アース線、6,7 電力線、10# 直流電圧発生部、10 電圧センサ、11 電流センサ、12 コンバータ、13 電圧センサ、14A,14B インバータ、15 U相上下アーム、16 V相上下アーム、17 W相上下アーム、18,19,21,28,29 電流センサ、20# 駆動力発生部、25 レゾルバ、30 制御装置、100,100A,100B PWM制御部、110A,110B 電圧指令部、120A,120B PWM変調部、130A,130B 回転周波数演算部、140A,140B 搬送波制御部、200 判定部、210 スイッチ状態認識部、220 相電流値検出部、230 直流電流値検出部、240 直流電流値算出部、250 比較部、260 異常判定部、B 直流電源、CN0 平滑コンデンサ、CN1 平滑コンデンサ、D1〜D8 逆並列ダイオード、L1 リアクトル、M1 交流モータ、M1,M2 交流モータ、Q1〜Q8 スイッチング素子、SR1,SR2 システムリレー。
Claims (8)
- 多相の交流モータと前記交流モータを駆動するためのインバータとを備えたシステムに設けられる複数の電流センサの異常判定装置であって、前記インバータは、複数のスイッチング素子を備え、前記複数のスイッチング素子の動作によって直流電流を複数の相電流に変換して前記交流モータに供給し、前記複数の電流センサの各々は、前記複数の相電流のうちのいずれかを検出する相電流センサであり、
前記異常判定装置は、
前記インバータを流れる直流電流を検出する直流電流センサと、
前記複数のスイッチング素子の状態に基づいて前記複数の相電流のうちから前記インバータを流れる直流電流に含まれる相電流を特定し、特定された相電流に対応する相電流センサの検出値の合計値を算出する算出部と、
前記算出部が算出した合計値と前記直流電流センサによる検出値とを比較した結果に基づいて、前記特定された相電流に対応する相電流センサの少なくともいずれかが異常であるか否かを判定する異常判定処理を行なう異常判定部とを含む、電流センサの異常判定装置。 - 前記異常判定部は、前記算出部が算出した合計値と前記直流電流センサによる検出値とが一致する場合、前記特定された相電流に対応する相電流センサのいずれもが正常であると判定し、前記算出部が算出した合計値と前記直流電流センサによる検出値とが一致しない場合、前記特定された相電流に対応する相電流センサの少なくともいずれかが異常であると判定する、請求項1に記載の電流センサの異常判定装置。
- 前記異常判定部は、前記異常判定処理として、あるいは、前記異常判定処理に加えて、前記算出部が算出した合計値と前記直流電流センサによる検出値とが一致するか否かの比較結果が変化したか否かを判断し、前記比較結果が変化した場合、前記比較結果の変化直前に前記合計値の算出に用いられるようになった相電流を検出した相電流センサ、あるいは、前記比較結果の変化直前に前記合計値の算出に用いられなくなった相電流を検出した相電流センサを、異常な相電流センサであると特定する、請求項1または2に記載の電流センサの異常判定装置。
- 前記異常判定部は、前記複数のスイッチング素子のいずれかの状態が変化する毎に前記異常判定処理を行なう、請求項1に記載の電流センサの異常判定装置。
- 前記システムは、搬送波と前記交流モータの各相にそれぞれ対応する複数の変調率指令値とを比較した結果で前記インバータを制御するパルス幅変調制御部を備え、
前記異常判定部は、前記搬送波の周期の4分の1あるいは4分の3に応じたタイミングで、前記異常判定処理を行なう、請求項1に記載の電流センサの異常判定装置。 - 前記システムは、前記交流モータおよび前記インバータを複数備え、
前記直流電流センサは、複数の前記インバータを流れる直流電流の合計値を1箇所で検出する、請求項1に記載の電流センサの異常判定装置。 - 前記システムは、前記交流モータと、前記インバータと、搬送波を用いて前記インバータを制御するパルス幅変調制御部とを、それぞれ複数備え、
複数の前記パルス幅変調制御部でそれぞれ用いられる複数の前記搬送波の位相は、互いに同期し、
前記異常判定部は、前記異常判定処理に加えて、複数の前記搬送波が極大あるいは極小となる時の前記直流電流センサによる検出値が零であるか否かに基づいて、前記直流電流センサが異常であるか否かを判定する、請求項1に記載の電流センサの異常判定装置。 - 多相の交流モータと前記交流モータを駆動するためのインバータとを備えたシステムに設けられる複数の電流センサの異常判定装置が行う異常判定方法であって、前記インバータは、複数のスイッチング素子を備え、前記複数のスイッチング素子の動作によって直流電流を複数の相電流に変換して前記交流モータに供給し、前記複数の電流センサの各々は、前記複数の相電流のうちのいずれかを検出する相電流センサであり、前記システムは、前記インバータを流れる直流電流を検出する直流電流センサをさらに備え、
前記異常判定方法は、
前記複数のスイッチング素子の状態に基づいて前記複数の相電流のうちから前記インバータを流れる直流電流に含まれる相電流を特定し、特定された相電流に対応する相電流センサの検出値の合計値を算出するステップと、
前記合計値と前記直流電流センサによる検出値とを比較した結果に基づいて、前記特定された相電流に対応する相電流センサの少なくともいずれかが異常であるか否かを判定するステップとを含む、電流センサの異常判定方法。
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