以下に説明する実施形態は、本発明の種々の実施形態の一つに過ぎない。本発明の実施形態は、下記実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外も含み得る。また、下記の実施形態は、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(1)実施形態1
(1.1)概要
図1は、本実施形態の電力変換システム100のシステム構成図である。
図1に示すように、電力変換システム100は、複数(N個;Nは2以上の整数であって、ここではN=3)の電力変換回路11~13と、処理装置2と、を備えている。処理装置2は、制御部20と、故障検知部21と、記憶部22と、通知部23と、を備えている。複数の電力変換回路11~13は、一対の第1端子と一対の第2端子との間に、電気的に並列接続されている。
本実施形態では、電力変換システム100は、直流電源8と中間バス9との間に電気的に接続されている。電力変換システム100において、一対の第1端子と一対の第2端子とのうちの一方は、直流電源8に電気的に接続される一対の電源側端子31,32であり、他方は、中間バス9に電気的に接続される一対のバス側端子41,42である。ここでは、一対の第1端子が一対の電源側端子31,32であり、一対の第2端子が一対のバス側端子41,42であるとする。
図1に示すように、複数の電力変換回路11~13に一対一に対応するように、複数の第1計測部51~53が設けられている。複数の第1計測部51~53の各々は、対応する電力変換回路11~13を流れる電流を計測する。より詳細には、複数の第1計測部51~53の各々は、対応する電力変換回路11~13と一対の第1端子(一対の電源側端子31,32)との間を流れる電流を計測する。
また、一対の第1端子(一対の電源側端子31,32)と直流電源8との間の電路には、第2計測部6が設けられている。第2計測部6は、一対の第1端子(一対の電源側端子31,32)を流れる電流を計測する。第2計測部6は、例えば、直流電源8と一体に設けられており、直流電源8が出力電流の大きさを調整するために用いられる電流センサである。
電力変換システム100において、複数の電力変換回路11~13の各々は、入力された電圧を所望の電圧に変換する。制御部20は、複数の第1計測部51~53の計測結果(計測値)を用いて、複数の電力変換回路11~13の動作を制御する。故障検知部21は、複数の第1計測部51~53の計測値と、第2計測部6の計測値とから、複数の第1計測部51~53、第2計測部6、及び複数の電力変換回路11~13の何れに故障が発生しているかを検知する。
本実施形態の電力変換システム100では、故障検知部21によって、複数の第1計測部51~53、第2計測部6、及び複数の電力変換回路11~13の何れに故障が発生しているかを特定している。このため、本実施形態の電力変換システム100では、制御部20が、故障検知部21で特定した故障箇所に応じた動作を、複数の電力変換回路11~13に行わせることが可能となる。
(1.2)詳細
本実施形態の電力変換システム100の構成について、図1,図2を用いて説明する。以下の説明では、複数の電力変換回路11~13の各々を区別しない場合、電力変換回路1といい、複数の第1計測部51~53の各々を区別しない場合、第1計測部5という。また、以下では、第1計測部5(第1計測部51~53)を第1電流計測部5(第1電流計測部51~53)といい、第2計測部6を第2電流計測部6という。なお、「端子」は、必ずしも、電線を接続するための部品として実体を有しなくてもよく、例えば電子部品のリードや、回路基板に含まれる導体の一部であってもよい。
図1に示すように、本実施形態の電力変換システム100は、複数(ここでは3つ)の電力変換回路11~13と、処理装置2と、報知装置230と、を備えている。処理装置2は、制御部20と、故障検知部21と、記憶部22と、通知部23と、を備えている。また、本実施形態の電力変換システム100は、一対の電源側端子31,32及び一対のバス側端子41,42を備えている。さらに、電力変換システム100には、複数(ここでは3つ)の第1電流計測部51~53、及び第2電流計測部6が設けられている。
一対の電源側端子31,32には、直流電源8が電気的に接続されている。一対の電源側端子31,32間には、直流電源8から直流電圧が入力される。以下、一対の電源側端子31,32間に入力される直流電圧を「入力電圧V1」という。ここでは、直流電源8として蓄電池を想定しているが、これに限られない。直流電源8は、太陽電池又は燃料電池等であってもよい。
一対のバス側端子41,42は、中間バス9に電気的に接続されている。中間バス9には、例えばインバータ回路(DC-ACインバータ回路)91が電気的に接続されている。このため、一対のバス側端子41,42から出力される直流電圧は、インバータ回路91に入力される。以下、一対のバス側端子41,42間から出力される電圧を「出力電圧V2」という。インバータ回路91は、例えば4つのスイッチング素子からなるフルブリッジ・インバータであり、電力変換システム100から出力される直流電圧を、交流電圧に変換する。インバータ回路91の出力する交流電圧は、負荷92に供給される。
負荷92は、交流電圧を受けて動作する機器又は電力系統等であり、ここでは電力系統である。負荷92が電力系統である場合、インバータ回路91は、電力系統の系統電圧の位相と同期した電流が流れるように制御される。
本実施形態の電力変換システム100は、インバータ回路91とともにパワーコンディショナを構成する。パワーコンディショナは、定常時、系統連系運転を行い、直流電源8から入力される直流電力を交流電力に変換し、電力系統へ出力する。また、パワーコンディショナは、電力系統の停電等の異常時には、解列器を開放し、電力系統から解列された状態で交流電力を出力する自立運転を行う。
本実施形態の電力変換システム100において、複数の電力変換回路1は、一対の電源側端子31,32と一対のバス側端子41,42との間に電気的に並列接続されている。複数の電力変換回路1は、出力電圧V2が安定するように、入力電圧V1を昇圧して出力する。ここで、「出力電圧V2が安定する」とは、出力電圧V2の電圧値が大幅に変動しないように出力電圧V2の電圧値の変動が抑制されている状態を意味し、出力電圧V2が一定の電圧に維持される状態だけでなく、出力電圧V2が一定の電圧を含むある範囲に収まる状態を含む。例えば、負荷92が電力系統であれば、電力変換回路1は、出力電圧V2が基準電圧以上となるように(つまり、出力電圧V2が系統電圧よりも高くなるように)入力電圧V1を昇圧する。基準電圧は、例えば300~330〔V〕である。
本実施形態では、複数の電力変換回路1の各々は、非絶縁式の昇圧型のDC-DCコンバータである。図2に示すように、電力変換回路1は、一対の入力端子T11,T12と、2つのコンデンサC1,C2と、インダクタL1と、ダイオードD1と、スイッチング素子Q1と、一対の出力端子T21,T22と、を備えている。
コンデンサC1は、一対の入力端子T11,T12間に電気的に接続されている。コンデンサC2は、一対の出力端子T21,T22間に電気的に接続されている。インダクタL1の第1端は、高電位側の入力端子T11に電気的に接続され、第2端はダイオードD1のアノードに電気的に接続されている。ダイオードD1のカソードは、高電位側の出力端子T21に電気的に接続されている。スイッチング素子Q1は、エンハンスメント型のnチャネルMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)からなる。スイッチング素子Q1のソースは、低電位側の入力端子T12および出力端子T22に電気的に接続されている。スイッチング素子Q1のドレインは、インダクタL1の第2端およびダイオードD1のアノードに電気的に接続されている。スイッチング素子Q1は、制御部20から与えられる制御信号によりオン/オフする。言い換えれば、スイッチング素子Q1は、制御部20により制御される。スイッチング素子Q1はMOSFETに限定されず、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)又はバイポーラトランジスタ等の、他の半導体スイッチ素子であってもよい。
電力変換回路1における一対の入力端子T11,T12は、電力変換システム100における一対の電源側端子31,32と、それぞれ電気的に接続されている。したがって、一対の入力端子T11,T12間には、直流電源8から直流電圧(入力電圧V1)が入力される。電力変換回路1における一対の出力端子T21,T22は、電力変換システム100における一対のバス側端子41,42と、それぞれ電気的に接続されている。電力変換回路1は、一対の入力端子T11,T12間に入力される直流電圧(入力電圧V1)を、所望の直流電圧(出力電圧V2)に変換し、変換後の直流電圧を一対の出力端子T21,T22から中間バス9(インバータ回路91)へ出力する。
複数の第1電流計測部51~53は、複数の電力変換回路11~13に一対一に対応して設けられている。詳しくは、第1電流計測部51が電力変換回路11に対応し、第1電流計測部52が電力変換回路12に対応し、第1電流計測部53が電力変換回路13に対応する。複数の第1電流計測部5の各々は、対応する電力変換回路1を流れる電流を検出する機能を有している。
複数の第1電流計測部5の各々は、図1に示すように、対応する電力変換回路1の高電位側の入力端子T11と、分岐点P1と、の間に設けられている。分岐点P1は、高電位側の電源側端子31から、この電力変換回路1に電流が流れる経路と他の電力変換回路1に流れる経路とに分岐する点である。すなわち、本実施形態では、複数の第1電流計測部5の各々は、高電位側の電源側端子31(あるいは分岐点P1)から対応する電力変換回路1へと流れ込む電流を、計測している。
第2電流計測部6は、図1に示すように、一対の電源側端子31,32と直流電源8との間に設けられている。第2電流計測部6は、一対の電源側端子31,32を流れる電流を検出する機能を有している。具体的には、第2電流計測部6は、直流電源8の高電位側の出力端子と、高電位側の電源側端子31と、の間に設けられている。すなわち、本実施形態では、第2電流計測部6は、直流電源8から高電位側の電源側端子31(あるいは分岐点P1)へと流れ込む電流を、計測している。
複数の第1電流計測部5及び第2電流計測部6の各々は、例えばカレントトランスを用いて構成され、計測値(電流の実効値)に応じた信号を、処理装置2に対して出力する。
処理装置2は、複数の第1電流計測部5、及び第2電流計測部6の計測結果(計測値)を取得し、取得した計測値を参照して、複数の電力変換回路1のスイッチング素子Q1を制御する。
処理装置2は、例えばマイコン(マイクロコンピュータ)やDSP(Digital Signal Processor)を主構成としており、メモリに記憶されているプログラムを実行することにより各種処理を実行する。処理装置2は、プログラムを実行することにより、制御部20及び故障検知部21の機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記憶されていてもよく、電気通信回線を通して提供されてもよく、記憶媒体に記憶されて提供されてもよい。
処理装置2の記憶部22は、例えばROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の半導体メモリであり、種々の情報を記憶する。
処理装置2の通知部23は、通信のためのインターフェースであり、報知装置230に、種々の情報を含む信号を送信するために用いられる。通知部23は、報知装置230に有線で接続されて報知装置230に対して有線で信号を送信してもよいし、例えば近距離無線通信等を用いて、報知装置230に対して無線で信号を送信してもよい。
制御部20は、複数の電力変換回路1の各々のスイッチング素子Q1に制御信号を与え、オン/オフを切り替えることで、複数の電力変換回路1の動作を制御する。この制御信号は、PWM(Pulse Width Modulation)信号である。なお、制御信号はPWM信号に限定されず、例えばPFM(Pulse Frequency Modulation)信号やPAM(Pulse Amplitude Modulation)信号であってもよい。
具体的には、制御部20は、出力電圧V2が目標電圧に近づき、かつ、複数の電力変換回路1の各々について、対応する第1電流計測部5の計測値が目標値に近づくよう制御している。複数の電力変換回路1について、上記の目標値は共通の値であってもよいし互いに異なる値であってもよい。例えば制御信号がPWM信号の場合、制御部20は、複数の電力変換回路1に与える制御信号のデューティを調整することにより、上記の制御を実現する。
故障検知部21は、複数の第1電流計測部5の計測値及び第2電流計測部6の計測値から、複数の電力変換回路1、複数の第1電流計測部5、及び第2電流計測部6の何れかに故障が発生しているか否かを検知する。また、故障検知部21は、複数の第1電流計測部5の計測値及び第2電流計測部6の計測値から、複数の電力変換回路1、複数の第1電流計測部5、及び第2電流計測部6の何れに故障が発生しているかを特定する。故障検知部21が故障の発生を検知する方法、及び複数の電力変換回路1、複数の第1電流計測部5、及び第2電流計測部6の何れに故障が発生しているかを特定する方法については、「(1.3)故障検知部の動作」の欄で説明する。
故障検知部21は、複数の電力変換回路1、複数の第1電流計測部5、及び第2電流計測部6の何れかに故障が発生していることを検知すると、制御部20に故障の発生を通知する。また、故障検知部21は、複数の電力変換回路1、複数の第1電流計測部5、及び第2電流計測部6のうちの何れに故障が発生しているか(すなわち、故障箇所)を、制御部20に通知する。また、故障検知部21は、通知部23を介して報知装置230に、複数の電力変換回路1、複数の第1電流計測部5、及び第2電流計測部6のうちの何れに故障が発生しているかを通知する。
制御部20は、故障検知部21から故障箇所の通知を受けると、故障箇所に応じて複数の電力変換回路1の動作を制御(変更)する。故障検知部21から故障箇所の通知を受け取った場合に、制御部20が複数の電力変換回路1の動作を制御(変更)する方法については、「(1.4)故障検知時の動作」の欄で説明する。
報知装置230は、例えば、ディスプレイ等のような視覚的に情報を表示する装置を備えている。報知装置230は、例えば、通知部23から受け取った信号に基づいて、故障箇所を示す文字情報を表示する。ただし、報知装置230の構成はこれに限られない。例えば、報知装置230は、複数の電力変換回路1、複数の第1電流計測部5、及び第2電流計測部6にそれぞれ対応付けられた複数の光源(例えばLED:Light Emitting Diode)を備え、故障箇所に対応した光源を点灯させてもよい。また、報知装置230は、視覚的に情報を表示する装置に限られず、例えば、音声又はブザー音によって聴覚的に情報を出力する装置であってもよい。
(1.3)故障検知部の動作
次に、故障検知部21が、故障の発生を検知する方法、及び故障箇所を特定する方法について、図3、図4のフローチャートを参照して説明する。なお、この欄の説明では、複数の電力変換回路1及び複数の第1電流計測部5の個数を、“N(Nは2以上の整数)”で表すこととする。また、適宜、N個の電力変換回路1を電力変換回路1n(nは、1~Nのうちの任意の整数)と記載して互いに区別し、N個の第1電流計測部5を第1電流計測部5n(nは、1~Nのうちの任意の整数)と記載して互いに区別する。
動作を開始すると、故障検知部21は、まず、計測部故障状態であるか否かの判定を行う。計測部故障状態は、複数の第1電流計測部51~5N及び第2電流計測部6のうちの何れかに故障が発生している状態である。
故障検知部21は、複数の第1電流計測部51~5Nから計測値I11~I1Nをそれぞれ取得し、第2電流計測部6から計測値I2を取得する(S1)。次に、故障検知部21は、複数の第1電流計測部51~5Nから取得した計測値I11~I1Nの合計値を求め、求めた合計値と第2電流計測部6の計測値I2との差分(絶対値)Idifを求める。また、故障検知部21は、求めた差分Idifが所定の判定閾値Ith以上であるか否かを判定する(S2)。ここで、判定閾値Ithは任意の大きさを有していてよいが、例えば、第2電流計測部6の計測値I2の大きさよりも小さな値に設定される。上記のように、第2電流計測部6は分岐点P1よりも直流電源8側の電路の電流を計測しており、複数の第1電流計測部51~5Nは、分岐点P1から分岐された複数の電力変換回路11~1Nを流れる電流をそれぞれ計測している。よって、複数の第1電流計測部51~5N及び第2電流計測部6の何れにも故障が発生していない場合、複数の第1電流計測部51~5Nの計測値I11~I1Nの合計値と、第2電流計測部6の計測値I2とは略等しくなり、差分Idifは略0となる。これに基づき、故障検知部21は、差分Idifが判定閾値Ith以上である場合(S2:Yes)には、複数の第1電流計測部51~5N及び第2電流計測部6の何れかに故障が発生している(計測部故障状態である)と検知する(S3)。
計測部故障状態である場合、故障検知部21は、複数の第1電流計測部51~5Nと第2電流計測部6のうちの、何れに故障が発生しているかを特定する。具体的には、故障検知部21は、複数の電力変換回路1n(nは、1~Nのうちの任意の整数)の各々について、対応する第1電流計測部5nの計測値I1nと目標値との差分(絶対値)Dnを求める。また、故障検知部21は、複数の電力変換回路1nの各々について、求めた差分Dnが所定の第1閾値Thn以上であるか否かを判定する。故障検知部21は、差分Dnが第1閾値Thn以上であるという条件を満たす電力変換回路1があれば、条件を満たした電力変換回路1に対応する第1電流計測部5を、故障が発生している被故障計測部であると検知する。なお、第1閾値Thnは、複数の電力変換回路1nで共通であってもよいし互いに異なっていてもよい。
より詳細には、故障検知部21は、計測部故障状態である場合、複数の電力変換回路1nの各々について、対応する第1電流計測部5nが被故障計測部であるか否かを順番に判定する。故障検知部21は、まず、判定順i(iは、1~Nの整数)が1番目(i=1)の電力変換回路11について(S4)、求めた差分D1が第1閾値Th1以上であるか否かを判定する(S5)。差分D1が第1閾値Th1未満の場合(S5:No)、故障検知部21は、1番目の電力変換回路11に対応する第1電流計測部51を、故障が発生していない正常計測部であると判定する(S6)。一方、差分D1が第1閾値Th1以上の場合(S5:Yes)、故障検知部21は、1番目の電力変換回路11に対応する第1電流計測部51を、故障が発生している被故障計測部であると判定する(S7)。故障検知部21は、処理装置2の記憶部22に、この第1電流計測部51が被故障計測部である旨を記憶させる(S8)。また、故障検知部21は、被故障計測部の数を示す被故障数FS(初期値は0)を1だけ増加させる(S9)。
上記のステップS6及びステップS9の何れかの後、故障検知部21は、判定順iを1だけ増加させ(S10)、判定順iが第1電流計測部5の個数Nを超えたか否かを判定する(S11)。判定順iが第1電流計測部5の個数Nを超えていなければ(S11:No)、故障検知部21はステップS5に戻り、次の電力変換回路1iについて、ステップS5~S9の動作を行う。一方、ステップS11において判定順iが第1電流計測部5の個数Nを超えていれば(S11:Yes)、故障検知部21は、全ての電力変換回路1nについて、第1電流計測部5nが被故障計測部であるか否かの判定が終了したと判断する。
続いて、故障検知部21は、被故障数FSが初期値よりも大きいか否かを判定する(S12)。被故障数FSが初期値よりも大きい場合(S12:Yes)、故障検知部21は、複数の第1電流計測部51~5Nの何れかに故障が発生していると判定する(S13)。また故障検知部21は、記憶部22から、何れの第1電流計測部5が被故障計測部であるかを読み出して、制御部20及び報知装置230に被故障計測部の通知を行い(S14)、動作を終了する。一方、被故障数FSが初期値のままの場合(S12:No)、故障検知部21は、第2電流計測部6に故障が発生していると判定し(S15)、制御部20及び報知装置230に、第2電流計測部6に故障が発生している旨の通知を行い(S14)、動作を終了する。
ステップS2に戻って、差分Idifが判定閾値Ith未満である場合(S2:No)、故障検知部21は、複数の第1電流計測部51~5N及び第2電流計測部6には故障が発生していない(計測部正常状態である)と判定する(S21)。計測部正常状態では、故障検知部21は、複数の電力変換回路1nに故障が発生しているか否かを判定する。
計測部正常状態である場合、故障検知部21は、複数の電力変換回路1nの各々について、対応する第1電流計測部5nの計測値I1nと目標値との差分(絶対値)Dnを求める。また、故障検知部21は、複数の電力変換回路1nの各々について、求めた差分Dnが所定の第2閾値Txn以上であるか否かを判定する。故障検知部21は、差分Dnが第2閾値Txn以上であるという条件を満たす電力変換回路1があれば、条件を満たした電力変換回路1を、故障が発生している被故障電力変換回路であると検知する。なお、第2閾値Txnは、複数の電力変換回路1nで共通であってもよいし互いに異なっていてもよい。また、複数の電力変換回路1nの各々において、第2閾値Txnは、第1閾値Thnと同じであってもよいし異なっていてもよい。
より詳細には、故障検知部21は、計測部正常状態である場合、複数の電力変換回路1nの各々について、被故障電力変換回路であるか否かを順番に検知する。故障検知部21は、まず、複数の電力変換回路1nの各々について、対応する第1電流計測部5nの計測値I1nと目標値との差分(絶対値)Dnを求める。そして、故障検知部21は、判定順j(iは、1~Nの整数)が1番目(j=1)の電力変換回路11について(S22)、求めた差分D1が第2閾値Tx1以上であるか否かを判定する(S23)。差分D1が第2閾値Tx1未満の場合(S23:No)、故障検知部21は、1番目の電力変換回路11を、故障が発生していない正常電力変換回路であると検知する(S24)。一方、差分D1が第2閾値Tx1以上の場合(S23:Yes)、故障検知部21は、1番目の電力変換回路11を、故障が発生している被故障電力変換回路であると判定する(S25)。故障検知部21は、処理装置2の記憶部22に、この電力変換回路11が被故障電力変換回路である旨を記憶させる(S26)。また、故障検知部21は、被故障電力変換回路の数を示す被故障数FC(初期値は0)を1だけ増加させる(S27)。
上記のステップS24及びステップS27の何れかの後、故障検知部21は、判定順jを1だけ増加させ(S28)、判定順jが電力変換回路1の個数Nを超えたか否かを判定する(S29)。判定順jが電力変換回路1の個数Nを超えていなければ(S29:No)、故障検知部21はステップS23に戻り、次の電力変換回路1jについて、ステップS23~S28の動作を行う。一方、ステップS29において判定順jが電力変換回路1の個数Nを超えていれば(S29:Yes)、故障検知部21は、全ての電力変換回路1nについて、被故障電力変換回路であるか否かの判定が終了したと判断する。
続いて、故障検知部21は、被故障数FCが初期値よりも大きいか否かを判定する(S30)。被故障数FCが初期値よりも大きい場合(S30:Yes)、故障検知部21は、複数の電力変換回路11~1Nの何れかに故障が発生していると判定する(S31)。また故障検知部21は、記憶部22から、何れの電力変換回路が被故障電力変換回路であるかを読み出し、制御部20及び報知装置230に被故障電力変換回路の通知を行い(S14)、動作を終了する。一方、被故障数FCが初期値のままの場合(S30:No)、故障検知部21は、複数の第1電流計測部5、第2電流計測部6、及び複数の電力変換回路1の何れにも故障が発生していないと判定し(S32)、動作を終了する。
故障検知部21は、任意のタイミング(例えば一定周期)で上記の動作を行い、故障の発生の有無の判定及び故障箇所の特定を行う。
(1.4)故障検知時の動作
次に、故障検知部21から故障箇所の通知を受けた際の制御部20の動作について、図1に示す例を用いて説明する。制御部20は、通知された故障箇所に応じて、複数の電力変換回路1の動作を制御(変更)する。
(1.4.1)第1計測部の故障時
まず、制御部20が、故障検知部21から、複数の第1電流計測部51~53の何れかに故障が発生している(複数の第1電流計測部51~53のうちの何れかが被故障計測部である)旨の通知を受けた場合について、説明する。
制御部20は、故障検知部21から通知を受け取ると、被故障計測部の数(被故障数FS)を判定する。制御部20は、被故障数FSが2以上であれば、複数の電力変換回路1を正常に動作させるのに困難が生じる可能性があると判定して、例えば、全ての電力変換回路11~13の動作を停止させる。
一方、制御部20は、被故障数FSが1であれば、複数の電力変換回路11~13を正常に動作させることが可能と判定して、複数の電力変換回路11~13の動作を継続させる。このときに、制御部20が複数の電力変換回路11~13を動作させる方法について、以下に説明する。なお、以下では、複数の第1電流計測部51~53のうち、第1電流計測部51に故障が発生した場合について説明するが、第1電流計測部52又は第1電流計測部53に故障が発生した場合も同様である。
制御部20は、上記のように、複数の第1電流計測部51~53から計測値I11~I13を取得し、第2電流計測部6から計測値I2を取得している。ここで、制御部20は、第1電流計測部51が被故障計測部である旨の通知を故障検知部21から受けた場合、第1電流計測部51から取得した計測値I11は正しい値ではない(実際に電力変換回路11を流れる電流を反映していない)と判定する。そして、制御部20は、第2電流計測部6から取得した計測値I2及び残りの第1電流計測部52,53(正常計測部)から取得した計測値I12,I13を用いて、第1電流計測部51で計測されるべき電流の正しい値(演算値)を演算する。具体的には、制御部20は、第2電流計測部6から取得した計測値I2から、第1電流計測部52,53から取得した計測値I12,I13の合計値を差し引いた値(I2-(I12+I13))を、演算値とする。そして、制御部20は、被故障計測部(第1電流計測部51)に対応する電力変換回路11については、求めた演算値が目標値に近づくように、電力変換回路11の動作を制御する。なお、正常計測部である第1電流計測部52,53に対応する電力変換回路12,13については、対応する第1電流計測部52,53の計測値I12,I13が目標値に近づくように、制御部20が電力変換回路12,13の動作をそれぞれ制御すればよい。
上記のように、本実施形態では、被故障計測部の計測値I11に代えて、第2電流計測部6による計測値I2及び正常計測部である第1電流計測部52,53による計測値I12,I13から、演算値を算出している。そして、本実施形態では、求めた演算値を用いて、被故障計測部に対応する電力変換回路11の動作を継続させている。これにより、第1電流計測部5の何れかに故障が発生した場合でも、全ての電力変換回路11~13の動作を継続させることが可能となる。すなわち、電力変換システム100から、複数の第1電流計測部51~53に故障が発生していないときと同程度の電力を出力させることが可能となる。
また、本実施形態では、被故障計測部の個数(被故障数FS)が2個以上であれば、全ての電力変換回路11~13の動作を停止させている。ここで、被故障計測部の数が2以上であれば、第2電流計測部6の計測値I2及び残りの第1電流計測部5(正常計測部)による計測値のみからでは、被故障計測部で計測されるべき電流の値それぞれを正確に求めることはできない。つまり、2個以上の被故障計測部に対応する2個以上の電力変換回路を流れる電流の、合計値しか演算できない。したがって、2個以上の被故障計測部に対応する電力変換回路を流れる電流を求めるには、例えば、被故障計測部に対応する電力変換回路を流れる電流は互いに等しい、等の仮定が必要となる。このため、被故障計測部に対応する電力変換回路の動作が不安定になる等の、不具合が発生する可能性がある。これに対し、本実施形態のように、被故障計測部の個数(被故障数FS)が2個以上であれば、全ての電力変換回路11~13の動作を停止させることで、このような不具合の発生を抑制することが可能となる。
もちろん、第2電流計測部6の計測値及び正常計測部の計測値から、被故障計測部で計測されるべき値を正しく推定できる場合には、被故障計測部が2個以上であっても、複数の電力変換回路1の動作を継続させてもよい。例えば、複数の電力変換回路11~13が全て同じ構成であって、複数の電力変換回路11~13に同一の制御信号を送信することで複数の電力変換回路11~13に同一の動作を行わせる構成であれば、複数の電力変換回路11~13を流れる電流は略等しくなる。この場合、第2電流計測部6の計測値から正常計測部の計測値の合計値を差し引き、得られた値を等分することで、被故障計測部に対応する電力変換回路を流れる電流の値を推定することが可能である。
(1.4.2)第2計測部の故障時
次に、制御部20が、故障検知部21から、第2電流計測部6に故障が発生している旨の通知を受けた場合について、説明する。
上記のように、制御部20は、複数の第1電流計測部51~53から計測値I11~I13を取得し、第2電流計測部6から計測値I2を取得している。ここで、制御部20は、第2電流計測部6が被故障計測部である旨の通知を故障検知部21から受けた場合、第2電流計測部6から取得した計測値I2は正しい値ではない(実際に一対の電源側端子31,32を流れている電流を反映していない)と判定する。そして、制御部20は、複数の第1電流計測部51~53から取得した計測値I11~I13を用いて、第2電流計測部6で計測されるべき電流の正しい値(演算値)を演算する。具体的には、制御部20は、複数の第1電流計測部51~53から取得した計測値I11~I13の合計値を、演算値として求める。制御部20は、求めた演算値を、例えば直流電源8に送信し、直流電源8は、制御部20から受け取った演算値を用いて動作を継続する。
一方、故障検知部21は、複数の電力変換回路11~13については、複数の第1電流計測部51~53から取得した計測値I11~I13を用いて、動作を継続させる。
上記のように、本実施形態では、第2電流計測部6の計測値I2に代えて、複数の第1電流計測部51~53による計測値I11~I13から、演算値を求めている。そして、例えば、第2電流計測部6の計測値I2を用いて動作する直流電源8に演算値を送信する等のように、求めた演算値を用いて、複数の電力変換回路11~13の動作を継続させている。これにより、第2電流計測部6に故障が発生した場合でも、電力変換回路11~13の動作を継続させることが可能となる。すなわち、電力変換システム100から、第2電流計測部6に故障が発生していないときと同程度の電力を出力させることが可能となる。
(1.4.3)電力変換回路の故障時
最後に、制御部20が、故障検知部21から、複数の電力変換回路11~13の何れかに故障が発生している(複数の電力変換回路11~13のうちの何れかが被故障電力変換回路である)旨の通知を受けた場合について、説明する。以下では、複数の電力変換回路11~13のうち、電力変換回路11に故障が発生した場合について説明するが、電力変換回路12又は電力変換回路13に故障が発生した場合も同様である。
故障検知部21から、電力変換回路11が被故障電力変換回路である旨の通知を受けた場合、制御部20は、電力変換回路11の動作を停止させる。その一方、制御部20は、電力変換回路12,13については、第1電流計測部51,52の計測値I12,I13を用いて、動作を継続させる。このように、本実施形態では、複数の電力変換回路11~13の何れかに故障が発生したと検知された場合、故障が発生したと検知された電力変換回路11の動作を停止させ、残りの電力変換回路12,13の動作を継続させる。これにより、電力変換回路11の動作を停止させる分だけ、電力変換システム100から出力可能な電力の最大値は減少するものの、電力変換システム100からの電力の出力を継続させることが可能となる。
なお、出力電力が定格電力よりも小さい状態で複数の電力変換回路11~13が動作しているときに、電力変換回路11の動作を停止させる場合、制御部20は、定格電力の範囲内で、残りの電力変換回路12,13の出力電力を増加させてもよい。例えば、複数の電力変換回路11~13の各々の定格電力が1000Wであって、それぞれが出力電力700W(すなわち、出力電力の合計が2100W)で動作している状態を想定する。この状態で、電力変換回路11を停止させる場合、制御部20は、制御信号を制御することで、電力変換回路12,13の出力電力を1000W(出力電力の合計が2000W)に増加させる。これにより、電力変換システム100から出力される電力の減少分を、抑えることができる。
(2)実施形態2
実施形態2の電力変換システム200について、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態の電力変換システム200のシステム構成図である。
本実施形態の電力変換システム200は、複数の電力変換回路11~13が、一対の第1端子と一対の第2端子との間で、いわゆる直列に接続されている点で、実施形態1の電力変換システム100と相違する。また、本実施形態の電力変換システム200は、複数の第1計測部51~53及び第2計測部6の代わりに、複数の第1計測部251~253及び第2計測部26が設けられている点で、実施形態1の電力変換システム100と相違する。複数の第1計測部251~253の各々は、対応する電力変換回路11~13の第1コンデンサ(ここでは、コンデンサC1)(図2参照)間の電圧をそれぞれ計測する。第2計測部26は、一対の第1端子(ここでは、一対の電源側端子31,32)間の電圧を計測する。本実施形態において、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付して適宜説明を省略する。また、以下では、第1計測部25(第1計測部251~253)を第1電圧計測部25(第1電圧計測部251~253)といい、第2計測部26を第2電圧計測部26という。
本実施形態の電力変換システム200では、複数の電力変換回路11~13がそれぞれ備えるコンデンサC1が、一対の電源側端子31,32間に電気的に直列接続されている。具体的には、高電位側の電源側端子31が、電力変換回路11の高電位側の入力端子T11に電気的に接続され、電力変換回路11の低電位側の入力端子T12が、電力変換回路12の高電位側の入力端子T11に電気的に接続されている。また、電力変換回路12の低電位側の入力端子T12が、電力変換回路13の高電位側の入力端子T11に電気的に接続され、電力変換回路13の低電位側の入力端子T12が、低電位側の電源側端子32に電気的に接続されている(図2及び図5参照)。また、複数の電力変換回路11~13がそれぞれ備えるコンデンサC2が、一対のバス側端子41,42間に電気的に直列接続されている。具体的には、高電位側のバス側端子41が、電力変換回路11の高電位側の出力端子T21に電気的に接続され、電力変換回路11の低電位側の出力端子T22が、電力変換回路12の高電位側の出力端子T21に電気的に接続されている。また、電力変換回路12の低電位側の出力端子T22が、電力変換回路13の高電位側の出力端子T21に電気的に接続され、電力変換回路13の低電位側の出力端子T22が、低電位側のバス側端子42に電気的に接続されている(図2及び図5参照)。
複数の電力変換回路1の各々は、一対の入力端子T11,T12を介して入力された電圧(入力電圧V1)を所望の電圧(出力電圧V2)に変換して、一対の出力端子T21,T22から出力する。すなわち、電力変換システム200では、一対の電源側端子31,32に入力された直流電圧が、複数の電力変換回路11~13がそれぞれ備えるコンデンサC1で分圧される。複数の電力変換回路11~13の各々は、コンデンサC1間の電圧を所望の電圧に変換して、コンデンサC2から出力する。電力変換システム200は、複数の電力変換回路11~13がそれぞれ備えるコンデンサC2の合成電圧を、一対のバス側端子41,42から中間バス9へ出力する。
複数の第1電圧計測部25の各々は、対応する電力変換回路1の第1コンデンサ(ここではコンデンサC1)の両端間に電気的に接続されている。複数の第1電圧計測部25の各々は、対応する電力変換回路1の第1コンデンサ間の電圧を計測する機能を有している。
第2電圧計測部26は、一対の第1端子(ここでは、一対の電源側端子31,32)間に電気的に接続されている。第2電圧計測部26は、一対の第1端子間の電圧を計測する機能を有している。
複数の第1電圧計測部25及び第2電圧計測部26の各々は、例えば一対の分圧抵抗を用いて構成され、計測値(電圧値)に応じた信号を、処理装置2に対して出力する。
処理装置2は、複数の第1電圧計測部25、及び第2電圧計測部26の計測結果(計測値)を取得し、取得した計測値を参照して、出力電圧V2が目標電圧に近づくよう、複数の電力変換回路1のスイッチング素子Q1を制御する。具体的には、処理装置2の制御部20は、出力電圧V2が目標電圧に近づき、かつ、複数の電力変換回路1の各々について、対応する第1電圧計測部25の計測値が目標値に近づくように、複数の電力変換回路1に与える制御信号のデューティを調整する。
故障検知部21は、第2電圧計測部26の計測値と、複数の第1電圧計測部251~253の計測値との差分を求める。故障検知部21は、求めた差分が判定閾値以上である場合には、複数の第1電圧計測部251~253及び第2電流計測部26の何れかに故障が発生している(計測部故障状態である)と検知する。
なお、制御部20、故障検知部21のその他の動作については、実施形態1と同様のため、詳しい説明は省略する。
本実施形態の電力変換システム200であっても、複数の電力変換回路1、複数の第1電圧計測部25、及び第2電圧計測部26のうちの何れに故障が発生しているかを検知することが可能となる。また、故障箇所に応じた制御を行うことが可能となる。
(3)変形例
以下に、上記実施形態の変形例に係る電力変換システムを列記する。なお、以下に説明する変形例の各構成は、上記実施形態で説明した各構成と適宜組み合わせて適用可能である。
実施形態1,2における処理装置2(制御部20及び/又は故障検知部21)と同様の機能は、故障検知方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。
一態様に係る故障検知方法は、複数の電力変換回路1と、複数の電力変換回路1の動作を制御する制御部20と、を備えた電力変換システム100で用いられる。故障検知方法は、複数の第1計測部5の計測値と、複数の第2計測部6の計測値とから、複数の第1計測部5、第2計測部6、及び複数の電力変換回路1の何れに故障が発生しているかを検知する。ここにおいて、複数の電力変換回路1は、一対の第1端子(一対の電源側端子31,32)と一対の第2端子(一対のバス側端子41,42)との間に電気的に並列接続され、入力された電圧を所望の電圧に変換する。また、複数の第1計測部5は、複数の電力変換回路1に一対一に対応するように設けられて対応する電力変換回路1を流れる電流をそれぞれ計測する。第2計測部6は、一対の第1端子を流れる電流を計測する。
一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、故障検知処理を実行させるためのプログラムである。プログラムは、複数の電力変換回路1と、複数の電力変換回路1の動作を制御する制御部20と、を備えた電力変換システム100で用いられる。故障検知処理は、複数の第1計測部5の計測値と、第2計測部6の計測値とから、複数の第1計測部5、第2計測部6、及び複数の電力変換回路1の何れに故障が発生しているかを検知する処理である。ここにおいて、複数の電力変換回路1は、一対の第1端子(一対の電源側端子31,32)と一対の第2端子(一対のバス側端子41,42)との間に電気的に並列接続され、入力された電圧を所望の電圧に変換する。また、複数の第1計測部5は、複数の電力変換回路1に一対一に対応するように設けられて対応する電力変換回路1を流れる電流をそれぞれ計測する。第2計測部6は、一対の第1端子を流れる電流を計測する。
一態様に係る故障検知方法は、複数の電力変換回路1と、複数の電力変換回路1の動作を制御する制御部20と、を備えた電力変換システム200で用いられる。故障検知方法は、複数の第1計測部25の計測値と、第2計測部26の計測値とから、複数の第1計測部25、第2計測部26、及び複数の電力変換回路1の何れに故障が発生しているかを検知する。ここにおいて、複数の電力変換回路1では、各々が備える第1コンデンサ(コンデンサC1)が一対の第1端子(一対の電源側端子31,32)間に電気的に直列接続されている。複数の電力変換回路1では、各々が備える第2コンデンサ(コンデンサC2)が一対の第2端子(一対のバス側端子41,42)間に電気的に直列接続されている。複数の電力変換回路1は、第1及び第2コンデンサの一方を介して入力された電圧を所望の電圧に変換して第1及び第2コンデンサの他方から出力する。複数の第1計測部25は、複数の電力変換回路1に一対一に対応するように設けられて対応する電力変換回路1の第1コンデンサ間の電圧をそれぞれ計測する。第2計測部26は、一対の第1端子間の電圧を計測する。
一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、故障検知処理を実行させるためのプログラムである。プログラムは、複数の電力変換回路1と、複数の電力変換回路1の動作を制御する制御部20と、を備えた電力変換システム200で用いられる。故障検知処理は、複数の第1計測部25の計測値と、第2計測部26の計測値とから、複数の第1計測部25、第2計測部26、及び複数の電力変換回路1の何れに故障が発生しているかを検知する処理である。ここにおいて、複数の電力変換回路1では、各々が備える第1コンデンサ(コンデンサC1)が一対の第1端子(一対の電源側端子31,32)間に電気的に直列接続されている。複数の電力変換回路1では、各々が備える第2コンデンサ(コンデンサC2)が一対の第2端子(一対のバス側端子41,42)間に電気的に直列接続されている。複数の電力変換回路1は、第1及び第2コンデンサの一方を介して入力された電圧を所望の電圧に変換して第1及び第2コンデンサの他方から出力する。複数の第1計測部25は、複数の電力変換回路1に一対一に対応するように設けられて対応する電力変換回路1の第1コンデンサ間の電圧をそれぞれ計測する。第2計測部26は、一対の第1端子間の電圧を計測する。
ここで、制御部20、制御方法及び/又は故障検知部21、故障検知方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、制御部20、制御方法及び/又は故障検知部21又は故障検知方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよい。また、プログラムは、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
また、実施形態1,2の処理装置2は、1つの装置で実現されているが、この構成に限定されない。電力変換システム100、200の制御部20、故障検知部21、通知部23の機能のうちの少なくとも1つの機能が、2つ以上のシステムに分散して設けられてもよい。また、制御部20、故障検知部21、通知部23の各々の機能が、複数の装置に分散して設けられていてもよい。例えば、電力変換システム100のある特定の機能が、複数のシステムに分散して設けられてもよい。また、電力変換システム100の少なくとも一部の機能は、例えば、クラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されてもよい。
制御部20は、複数の第1計測部51~53(251~253)の何れかが被故障計測部であると検知された場合、被故障計測部に対応する電力変換回路1の動作を停止させ、残りの電力変換回路1の動作を継続させてもよい。例えば、第1電流計測部51が被故障計測部であると故障検知部21によって検知された場合、制御部20は、第1電流計測部51に対応する電力変換回路11の動作を停止させ、残りの電力変換回路12,13の動作を継続させてもよい。この場合、被故障計測部に対応する電力変換回路1の動作を停止させる分だけ、電力変換システム100から出力可能な電力の最大値は減少するものの、電力変換システム100からの電力の出力を継続させることが可能となる。
制御部20は、複数の電力変換回路1、複数の第1計測部51~53(251~253)、第2計測部6(26)のうちの何れかで故障が発生していると検知されると、全ての電力変換回路11~13の動作を停止させてもよい。この場合、故障が発生した可能性のある装置(第1計測部5(25)、第2計測部6(26)、電力変換回路1の何れか)を含むシステムの動作が、全て停止されるので、安全性を向上させることが可能となる。
電力変換回路1の回路構成は、図2の構成に限られない。例えば、電力変換回路1は、図6に示すように、双方向チョッパ回路で構成されていてもよい。この電力変換回路1は、図2の回路において、ダイオードD1の代わりにスイッチング素子Q2を備えている。スイッチング素子Q2は、エンハンスメント型のnチャネルMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)からなる。具体的には、この電力変換回路1は、2つのコンデンサC1,C2と、インダクタL1と、2つのスイッチング素子Q1,Q2とを備えている。コンデンサC1は、一対の第1接続端子T11,T12間に電気的に接続されている。コンデンサC2は、一対の第2接続端子T21,T22間に電気的に接続されている。インダクタL1の第1端は、高電位側の第1接続端子T11に電気的に接続され、第2端はスイッチング素子Q1のドレインおよびスイッチング素子Q2のソースに電気的に接続されている。スイッチング素子Q1のソースは、低電位側の第1接続端子T12および第2接続端子T22に電気的に接続されている。この電力変換回路1は、制御部20がスイッチング素子Q1,Q2を制御することにより、一対の第1接続端子T11,T12間に入力される直流電圧を変換して一対の第2接続端子T21,T22間に出力する機能を有する。また、この電力変換回路1は、さらに、一対の第2接続端子T21,T22間に入力される直流電圧を変換して一対の第1接続端子T11,T12間に出力する機能も有する。したがって、この電力変換回路1を備えた電力変換システム100では、直流電源8としての蓄電池の充電および放電を行うことが可能である。
電力変換回路1は、直流電圧を直流電圧に変換するいわゆるDC-DCコンバータに限られない。電力変換回路1は、直流電圧を交流電圧に変換するいわゆるDC-ACインバータであってもよい。この場合、例えば、一対のバス側端子41,42に、電力系統等の交流の負荷92が電気的に接続される。
一対の第1端子が、一対のバス側端子41,42であって、一対の第2端子が、一対の電源側端子31,32であってもよい。一具体例では、実施形態1の電力変換回路100において、複数の第1電流計測部5の各々は、対応する電力変換回路1の一対の出力端子T21,T22と一対のバス側端子41,42との間の電路に設けられ、第2電流計測部6は、一対のバス側端子41,42に設けられる。この場合、複数の第1電流計測部5の各々は、対応する電力変換回路1の一対の出力端子T21,T22を流れる電流を計測し、第2計測部6は、一対のバス側端子41,42を流れる電流を計測する。別の具体例では、実施形態2の電力変換装置200において、複数の第1電圧計測部25の各々は、対応する電力変換回路1の一対の出力端子T21,T22の間に設けられ、第2電圧計測部26は、一対のバス側端子41,42の間に設けられる。この場合、複数の第1電圧計測部25の各々は、対応する電力変換回路1の一対の出力端子T21,T22間の電圧を計測し、第2電圧計測部26は、一対のバス側端子41,42間の電圧を計測する。
さらに、複数の第1電流計測部5の各々が、対応する電力変換回路1の一対の入力端子T11,T12を流れる電流を計測し、第2電流計測部6が、一対のバス側端子41,42を流れる電流を計測してもよい。この場合、故障検知部21は、第2電流計測部6で計測された計測値と、入力電圧V1と出力電圧V2との比(V2/V1)との積から、一対の電源側端子31,32を流れる電流の値を換算する。そして、故障検知部21は、換算された値と、複数の第1電流計測部5の計測値の合計値との差分から、第1電流計測部5又は第2電流計測部6での故障の発生を検知する。
同様に、複数の第1電圧計測部25の各々が、対応する電力変換回路1の一対の入力端子T11,T12間の電圧を計測し、第2電圧計測部6が、一対のバス側端子41,42間の電圧を計測してもよい。そして、故障検知部21が、一対の電源側端子31,32間の電圧を換算してもよい。逆に、複数の第1電流計測部5の各々が、対応する電力変換回路1の一対の出力端子T21,T22を流れる電流を計測し、第2電流計測部6が、一対の電源側端子31,32を流れる電流を計測してもよい。そして、故障検知部21が、一対の電源側端子41,42を流れる電流を換算してもよい。また、複数の第1電圧計測部25の各々が、対応する電力変換回路1の一対の出力端子T21,T22間の電圧を計測し、第2電圧計測部6が、一対の電源側端子31,32間の電圧を計測してもよい。そして、故障検知部21が、一対のバス側端子41,42間の電圧を換算してもよい。
電力変換回路1及び対応する第1計測部5(25)の数は、3つに限られない。電力変換回路1及び対応する第1計測部5の数は、2つ又は4つ以上であってもよい。
複数の電力変換回路1、複数の第1計測部5、及び処理装置2は、一つの筐体内に収納されていてもよい。例えば、1つの電力変換回路1と対応する第1計測部5とを収容するサブ筐体が、一つの筐体内に複数収納されていてもよい。
第2計測部6は、電力変換回路1が収容される筐体内に一緒に収容されていてもよいし、別の筐体内に収容されていてもよいし、直流電源8を収容する筐体内に収容されていてもよい。
第1計測部5(25)及び第2計測部6(26)の故障は、計測部から計測値が出力されない状態には限られない。例えば、第1計測部5(25)及び第2計測部6(26)の故障は、計測部から計測値が出力されるが、その計測値が適切でない状態も含む。
ステップS4~S11において、故障検知部21は、複数の第1計測部5の故障の判定を順番に行っているが、同時に行ってもよい。同様に、ステップS22~S29において、故障検知部21は、複数の電力変換回路1の故障の判定を順番に行っているが、同時に行ってもよい。
制御部20は、複数の電力変換回路1の各々について、第1計測部5(25)の計測値が目標値に近づくように各電力変換回路1の動作を制御しているが、これに限られない。制御部20は、複数の第1計測部5(25)の計測値同士が互いに近づき、複数の第1計測部5の計測値の合計値が目標値に近づくように、各電力変換回路1の動作を制御してもよい。この場合、故障検知部21は、複数の第1計測部5(25)の計測値同士の差が所定の閾値を超えたか否かに基づいて、複数の第1計測部5(25)又は複数の電力変換回路1の何れに故障が発生しているかを判定してもよい。
負荷92は、交流電圧を受けて動作する機器又は電力系統に限られず、直流電圧を受けて動作する機器であってもよい。この場合、インバータ回路91は不要である。
報知装置230は、処理装置2と一体であってもよい。
実施形態1において、制御部20は、出力電圧V2が目標電圧に近づき、かつ、複数の電力変換回路1の各々について、対応する第1電流計測部5の計測値が目標値に近づくよう制御しているが、これに限られない。例えば制御部20は、一対のバス側端子41,42を流れる電流(出力電流)が目標電流に近づき、かつ、複数の電力変換回路1の各々について、対応する第1電流計測部5の計測値が目標値に近づくよう制御してもよい。同様に、実施形態2において、制御部20は、出力電圧V2が目標電圧に近づき、かつ、複数の電力変換回路1の各々について、対応する第1電圧計測部25の計測値が目標値に近づくよう制御しているが、これに限られない。例えば制御部20は、一対のバス側端子41,42を流れる電流(出力電流)が目標電流に近づき、かつ、複数の電力変換回路1の各々について、対応する第1電圧計測部25の計測値が目標値に近づくよう制御してもよい。
(4)利点
以上説明したように、第1の態様に係る電力変換システム(100)は、複数の電力変換回路(1)と、制御部(20)と、故障検知部(21)と、を備える。複数の電力変換回路(1)は、一対の第1端子(電源側端子31,32)と一対の第2端子(バス側端子41,42)との間に電気的に並列接続され、入力された電圧を所望の電圧に変換する。制御部(20)は、複数の電力変換回路(1)の動作を制御する。故障検知部(21)は、複数の第1計測部(第1電流計測部5)の計測値と、第2計測部(第2電流計測部6)の計測値とから、複数の第1計測部(5)、第2計測部(6)、及び複数の電力変換回路(1)の何れに故障が発生しているかを検知する。複数の第1計測部(5)は、複数の電力変換回路(1)に一対一に対応するように設けられて対応する電力変換回路(1)を流れる電流をそれぞれ計測する。第2計測部(6)は、一対の第1端子を流れる電流を計測する。
第1の態様によれば、故障検知部(21)によって、複数の第1計測部(5)、第2計測部(6)、及び複数の電力変換回路(1)の何れに故障が発生しているかが特定される。このため、制御部(20)は、故障検知部(21)で特定した故障箇所に応じた動作を、複数の電力変換回路(1)に行わせることが可能となる。
第2の態様に係る電力変換システム(200)は、複数の電力変換回路(1)と、制御部(20)と、故障検知部(21)と、を備える。複数の電力変換回路(1)では、各々が備える第1コンデンサ(コンデンサC1)が一対の第1端子(電源側端子31,32)間に電気的に直列接続される。複数の電力変換回路(1)は、各々が備える第2コンデンサ(コンデンサC2)が一対の第2端子(バス側端子41,42)間に電気的に直列接続される。複数の電力変換回路(1)は、第1コンデンサ及び第2コンデンサの一方を介して入力された電圧を所望の電圧に変換して第1コンデンサ及び第2コンデンサの他方から出力する。制御部(20)は、複数の電力変換回路(1)の動作を制御する。故障検知部(21)は、複数の第1計測部(第1電圧計測部25)の計測値と、第2計測部(第2電圧計測部26)の計測値と、から、複数の第1計測部(25)、第2計測部(26)、及び複数の電力変換回路(1)の何れに故障が発生しているかを検知する。複数の第1計測部25は、複数の電力変換回路(1)に一対一に対応するように設けられて対応する電力変換回路(1)の第1コンデンサ(C1)間の電圧をそれぞれ計測する。第2計測部(26)は、一対の第1端子間の電圧を計測する。
第2の態様によれば、故障検知部(21)によって、複数の第1計測部(5)、第2計測部(6)、及び複数の電力変換回路(1)の何れに故障が発生しているかが特定される。このため、制御部(20)は、故障検知部(21)で特定した故障箇所に応じた動作を、複数の電力変換回路(1)に行わせることが可能となる。
第3の態様に係る電力変換システム(100;200)では、第1又は第2の態様において、以下のように構成される。すなわち、故障検知部(21)は、複数の第1計測部(5;25)の計測値の合計値と第2計測部(6;26)の計測値との差が、所定の判定閾値以上であると、計測部故障状態であると検知する。計測部故障状態は、複数の第1計測部(5;25)及び第2計測部(6;26)のうちの何れかに故障が発生している状態である。
第3の態様によれば、複数の第1計測部(5;25)及び第2計測部(6;26)のうちの何れかに故障が発生していることを検知できる。これにより、制御部(20)は、複数の第1計測部(5;25)及び第2計測部(6;26)のうちの何れかで故障が発生したことに応じた動作を、複数の電力変換回路(1)に行わせることが可能となる。
第4の態様に係る電力変換システム(100;200)では、第3の態様において、制御部(20)は、複数の電力変換回路(1)の各々について、対応する第1計測部(5;25)の計測値が目標値に近づくよう制御している。故障検知部(21)は、計測部故障状態であって、かつ、複数の第1計測部(5;25)の何れかが、計測値と目標値との差分が閾値以上であるという条件を満たす場合、条件を満たす第1計測部(5;25)を、故障が発生している被故障計測部であると検知する。
第4の態様によれば、第1計測部(5;25)での故障の発生を検知することが可能となり、故障が発生している第1計測部(5;25)を特定することが可能となる。これにより、制御部(20)は、故障が発生している第1計測部(5;25)に応じた動作を、複数の電力変換回路(1)に行わせることが可能となる。
第5の態様に係る電力変換システム(100;200)では、第4の態様において、制御部(20)は、複数の電力変換回路(1)のうち、被故障計測部に対応する電力変換回路(1)の動作を停止させ、残りの電力変換回路(1)の動作を継続させる。
第5の態様によれば、何れかの第1計測部(5;25)で故障が発生した場合でも、電力変換システム(100;200)からの電力の出力を継続させることが可能となる。
第6の態様に係る電力変換システム(100;200)では、第4又は第5の態様において、制御部(20)は、被故障計測部の個数が2個以上の場合、全ての複数の電力変換回路(1)の動作を停止させる。
第6の態様によれば、故障が発生した可能性のある第1計測部(5;25)を含むシステムの動作が、全て停止されるので、安全性を向上させることが可能となる。
第7の態様に係る電力変換システム(100;200)では、第4の態様において、以下のように動作する。すなわち、制御部(20)は、被故障計測部の計測値に代えて、第2計測部(6;26)による計測値及び被故障計測部以外の第1計測部(5;25)による計測値から演算された値を用いて、被故障計測部に対応する電力変換回路(1)の動作を継続させる。
第7の態様によれば、第1計測部(5;25)の何れかに故障が発生した場合でも、全ての電力変換回路(1)の動作を継続させることが可能となる。すなわち、電力変換システム(100;200)から、複数の第1計測部(5)に故障が発生していないときと同程度の電力を出力させることが可能となる。
第8の態様に係る電力変換システム(100;200)では、第4の態様において、以下のように動作する。すなわち、故障検知部(21)は、計測部故障状態であって、かつ、複数の第1計測部(5;25)の何れもが上記の条件を満たさない場合、第2計測部(6;26)を、故障が発生している被故障計測部であると検知する。
第8の態様によれば、第2計測部(6;26)に故障が発生していることを検知することが可能となる。これにより、制御部(20)は、第2計測部(6;26)に故障が発生していることに応じた動作を、複数の電力変換回路(1)に行わせることが可能となる。
第9の態様に係る電力変換システム(100;200)では、第8の態様において、以下のように動作する。すなわち、制御部(20)は、第2計測部(6;26)の計測値に代えて、複数の第1計測部(5;25)による計測値から演算された値を用いて、複数の電力変換回路(1)の動作を継続させる。
第9の態様によれば、第2計測部(5;25)に故障が発生した場合でも、複数の電力変換回路(1)の動作を継続させることが可能となる。
第10の態様に係る電力変換システム(100;200)では、第3の態様において、制御部(20)は、複数の電力変換回路(1)の各々について、対応する第1計測部(5;25)の計測値が目標値に近づくよう制御している。故障検知部(21)は、計測部故障状態ではない場合、以下のように動作する。すなわち、故障検知部(21)は、複数の第1計測部(5;25)の何れかが計測値と目標値との差分が閾値以上であるという条件を満たす場合、条件を満たす第1計測部(5;25)に対応する電力変換回路(1)を、被故障電力変換回路であると検知する。被故障電力変換回路は、故障が発生している電力変換回路である。
第10の態様によれば、電力変換回路(1)での故障の発生を検知することが可能となり、故障が発生している電力変換回路(1)を特定することが可能となる。これにより、制御部(20)は、故障が発生している電力変換回路(1)に応じた動作を、複数の電力変換回路(1)に行わせることが可能となる。
第11の態様に係る電力変換システム(100;200)では、第10の態様において、制御部(20)は、複数の電力変換回路(1)のうち、被故障電力変換回路の動作を停止させ、残りの電力変換回路の動作を継続させる。
第11の態様によれば、出力可能な電力の最大値は減少するものの、電力変換システム(100;200)からの電力の出力を継続させることが可能となる。
第12の態様に係る電力変換システム(100;200)では、第1又は第2の態様において、制御部(20)は、故障検知部(21)で故障の発生が検知されると、全ての複数の電力変換回路の動作を停止させる。
第12の態様によれば、故障が発生した可能性のある装置(第1計測部(5;25)、第2計測部(6;26)、電力変換回路(1)の何れか)を含むシステムの動作が、全て停止されるので、安全性を向上させることが可能となる。
第13の態様に係る電力変換システム(100;200)は、第1~第12の何れかの態様において、故障検知部(21)で検知された故障箇所を通知する通知部(23)を、さらに備える。
第13の態様によれば、故障箇所が通知されるので、外部の機器又は使用者に、故障箇所に応じた対処を促すことが可能となる。