JP3864704B2 - 自動車の組立方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のバックドア組み付け方法を主眼とした自動車の組立方法に関し、特に車体後部のバックドア開口部を開閉するヒンジ開閉式のバックドアと、そのバックドアの一部であるハッチ開口部を開閉する同じくヒンジ開閉式のリアハッチとを備えた自動車の組立方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
例えば図9,10に示すように、車体後部のバックドア101が開閉可能となっているのに加えて、そのバックドア101の一部を形成することになるバックドアガラス(リアウインドガラス)がリアガラスハッチ(バックドアガラスハッチ)102として単独で開閉できるようになっているいわゆるワゴンタイプの自動車において、実質的にバックドアヒンジ103をバックドア101とリアガラスハッチ102とに共用化して、バックドア101およびリアガラスハッチ102共にバックドアヒンジ103を介して直接車体に支持させたものが実用に供されている。
【0003】
そして、上記のような構造を基本とした上で、リアハッチをガラス単独ではなく例えば金属製のリアハッチフレームにバックドアガラスをいわゆるはめ殺し構造にて装着したタイプのものとする一方、軽量化の観点からバックドアを樹脂製のものとする試みがなされている。
【0004】
このような場合、リアハッチフレームについては金属製のものであるが故に車体に装着した状態で塗装を施す必要があるのに対して、バックドアについては樹脂成形の段階で彩色を施すかもしくはバックドア単体の状態で予め塗装を施すようにすれば車体装着状態での塗装が必要でなくなり、したがって、リアハッチフレームについては車体装着状態のままで塗装ができ、且つ塗装完了後の艤装組み立ての段階でバックドアを後から車体に装着できるような構造もしくは工法が望ましい。すなわち、バックドアが予め塗装済みのものであることを前提とした上で、車体組み立て工程にて開閉体であるバックドアを上記リアハッチフレームとともに車体に装着してしまうと、車体の塗装に先立って塗装済みのバックドアを一旦取り外し、車体の塗装完了後に再度装着する必要があるからである。
【0005】
本発明は上記要請に即した自動車の組立方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、車体後部のバックドア開口部を開閉するヒンジ開閉式のバックドアと、バックドアの一部であるハッチ開口部を開閉する同じくヒンジ開閉式のハッチフレームを主要素とするリアハッチとを備え、上記バックドアとリアハッチとが両者に共通のバックドアヒンジを介して車体に取り付けられる構造の自動車の組立方法であること前提としている。
【0007】
その上で、上記バックドアヒンジは、車体側に固定されるヒンジフィメールと、このヒンジフィメールに対し共通のヒンジピンを介してそれぞれ独立して回転可能に並設されたバックドア側ヒンジメールおよびハッチ側ヒンジメールとを備えていて、上記バックドア側ヒンジメールにバックドアが、ハッチ側ヒンジメールにハッチフレームがそれぞれ連結されるようになっているとともに、上記バックドア側ヒンジメールが、ヒンジ側メール本体とバックドア側となるドア側分割片とに分割されていて、ヒンジ側メール本体とドア側分割片とがねじ部材により結合されるようになっている。
【0008】
そして、上記バックドアヒンジのハッチ側ヒンジメールとハッチフレームとを予め結合してそのバックドアヒンジをハッチフレームに付帯させておくとともに、上記バックドアヒンジのバックドア側ヒンジメールのうちドア側分割片とバックドアとを予め結合しておき、上記バックドアヒンジのヒンジフィメールを車体に結合することによりハッチフレームを車体に開閉可能に装着した後に、そのハッチフレームを含む車体に塗装を施し、塗装終了後に、ハッチフレームを車体に開閉可能に装着した状態でドア側分割片をバックドア側ヒンジメールのヒンジ側メール本体に結合することによりバックドアを車体に開閉可能に装着することを特徴とする。
【0009】
上記のリアハッチは、多くの場合にその主要素もしくは骨格となるハッチフレームにバックドアガラスが装着される。
【0014】
したがって、請求項1に記載の発明では、バックドアヒンジの単一のヒンジピンに相互に独立したバックドア側ヒンジメールとハッチ側ヒンジメールとが並設されているために、バックドアおよびハッチフレームのいずれもが共通のヒンジピンを回転中心としてそれぞれに独立して開閉することが可能となる。
【0015】
また、バックドアヒンジをリアハッチのハッチフレームに予め付帯させておく一方、バックドアヒンジのバックドア側ヒンジメールのうちドア側分割片とバックドアとを予め結合しておくと、上記バックドアヒンジのヒンジフィメールを車体に結合することにより、バックドアよりも上方側に位置することになるハッチフレームがバックドアそのものよりも先に車体に装着される。この後、先に装着されたハッチフレームを開いた状態で、予めバックドア側に結合されているドア側分割片をバックドアヒンジのバックドア側ヒンジメールのうちヒンジ側メール本体に結合することにより、バックドアがハッチフレームと干渉することなく車体に開閉可能に装着される。
【0016】
さらに、請求項1に記載の発明では、車体およびハッチフレームが共に塗装前のいわゆるホワイトボデー状態にあり、他方、例えば樹脂材料にて形成されるバックドアには予め塗装が施されている場合を想定すると、車体にハッチフレームのみが装着されている状態でその車体を塗装ラインに流し、塗装を終えた車体に対し車両組立工程にてバックドアを組み付けるようにすれば、車体への塗装に際して少なくともバックドアの脱着作業は不要となることになる。すなわち、樹脂材料にて形成されるバックドアには予め塗装が施されていることを前提として、そのバックドアをハッチフレームとともに車体に装着してしまうと、車体への塗装に先立って一旦装着した塗装済みのバックドアを取り外さなければならないが、上記請求項1に記載の発明では、車体への塗装に際して少なくともバックドアの脱着作業は不要となることになる。
【0017】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、バックドアヒンジをバックドアとリアハッチのハッチフレームとに共用化することを前提として、ハッチフレームをバックドアヒンジを介して先に車体に装着した後に、そのハッチフレームを含む車体に塗装を施し、その塗装後であって且つハッチフレームを車体に開閉可能に装着した状態でのバックドアの装着に際してはドア側分割片をバックドア側ヒンジメールのヒンジ側メール本体に結合する組付手順としたため、例えばバックドア単体の状態でそのバックドアに所定の塗装が施されていて、且つハッチフレームのみを車体に装着した状態でその車体に塗装を施す必要がある場合に、塗装に先立ってバックドアを取り外す必要がなく、組付工数の削減の上できわめて好都合となる。
【0018】
また、バックドア側ヒンジメールがヒンジ側メール本体とドア側分割片とに分割されているため、その両者のねじ結合をもってバックドアをバックドアヒンジを介して車体に装着することができるようになり、バックドアと車体との間の隙間あるいは面差の調整等といった組付作業性が一段と良好なものとなる効果がある。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1〜3は本発明に係る自動車の組立方法のうち特にバックドア組み付け構造の好ましい実施の形態を示す図で、図1は車体1の後部のバックドア開口部2、バックドア3、リアハッチ11およびバックドアヒンジ4の相互関係を示す分解斜視図を、図2のそのバックドアヒンジ4付近の断面図を、図3はバックドアヒンジ4単体での詳細をそれぞれ示している。
【0021】
図1に示すように、車体1の後部のバックドア開口部2にこれを開閉するためのバックドア3が上部取付タイプで且つ内ヒンジ方式の左右一対のバックドアヒンジ4を介して装着される。バックドアヒンジ4は図2にも示すようにバックドア開口部2の上部のドリップチャンネル部5内にボルト6およびナット7を用いて固定されていて、バックドア3の閉状態ではバックドアヒンジ4はそのバックドア3によって隠蔽されて外部からは見えないようになっている。
【0022】
バックドア3はそのバックドア本体8の上部側にドアフレーム9が枠状に設けられていて、それらバックドア本体8とドアフレーム9とで囲まれた領域はハッチ開口部10として開口している。そして、このハッチ開口部10にはこれを上方から開閉するためのリアハッチ11が後述するようにバックドア3と共有することになるバックドアヒンジ4を介して装着される。
【0023】
そして、リアハッチ11はリアガラス開口部(バックドアガラス開口部)12が開口形成されたハッチフレーム13を中心として形成されていて、上記リアガラス開口部12にはリアウインドガラス(バックドアガラス)14が装着される。
【0024】
すなわち、図2に示すように、バックドア3に形成されたハッチ開口部10を覆うようにその上方からリアハッチ11がかぶせられるも、バックドア3とリアハッチ11は左右一対のバックドアヒンジ4を共有していて、両者はバックドアヒンジ4のヒンジピンを回転中心としてそれぞれ開閉可能となっている。
【0025】
上記バックドアヒンジ4は、図3,4に示すように車体1側に固定されることになる略コ字状のヒンジフィメール15に軸線が車幅方向を指向することになる単一のヒンジピン16を横架するとともに、そのヒンジピン16に対してバックドア側ヒンジメール17とハッチ側ヒンジメール18とをそれぞれ独立して回転可能となるように並設したもので、さらにバックドア側ヒンジメール17はヒンジ側メール本体17aとドア側分割片17bとに分割された構造となっている。なお、互いに同一軸線上にさえあれば、バックドア側ヒンジメール17のヒンジピンとハッチ側ヒンジメール18のヒンジピンとが相互に独立していてもよい。
【0026】
また、上記バックドア側ヒンジメール17のヒンジ側メール本体17aにはスタッドボルト19が、ドア側分割片17bには複数の取付穴20がそれぞれ形成されていて、それらヒンジ側メール本体17aとドア側分割片17bとはスタッドボルト19とナット21とを介して着脱可能に結合されるようになっている。なお、取付穴20はボルト19に対してその直径に余裕を持たせてあり、組付時に微調整が可能となっている。
【0027】
そして、図2に示すようにハッチフレーム13側に予め固定されたウエルドボルト22とナット23とをもってリアハッチ11がハッチ側ヒンジメール18に連結される一方、上記のようにヒンジ側メール本体17aとドア側分割片17bとから構成されたバックドア側ヒンジメール17にボルト24によりバックドア3が連結されるようになっている。これにより、バックドア3とリアハッチ11とはバックドアヒンジ4およびその回転中心であるヒンジピン16を共有していながらも、リアハッチ11はそれ単独で開閉可能であるとともに、バックドア3は閉状態にあるリアハッチ11を伴いながら開閉することができるようになっている。
【0028】
ここで、上記バックドア3およびリアハッチ11の取付手順の一例について説明する。ただし、車体1およびリアハッチ11のハッチフレーム13はそのハッチフレーム13が車体1に装着された状態で塗装が施されるのに対して、バックドア3そのものは例えば樹脂製のものであって予め塗装が施されているものとする。
【0029】
図5,6に示すように塗装前の車体1を組み立てる車体組立工程において、ハッチ側ヒンジメール18をウエルドボルト22とナット23とをもってリアハッチ11のハッチフレーム13に固定して(図5,6の工順S1)、バックドアヒンジ4を予めハッチフレーム13に付帯させておく。ただし、バックドアヒンジ4にはハッチ側ヒンジメール18とともにバックドア側ヒンジメール17のヒンジ側メール本体17aが付帯しているものの、そのヒンジ側メール本体17aに対してドア側分割片17bは連結されていない(図3参照)。そして、ボルト6とナット7とをもってバックドアヒンジ4のヒンジフィメール15を車体1のドリップチャンネル部5に固定して(図5,6の工順S2)、車体1に対してハッチフレーム13をバックドアヒン4ジを介して開閉可能に装着する。ただし、この段階ではハッチフレーム13にリアガラス14は装着されていない。
【0030】
このようにハッチフレーム13のみが装着された車体1を例えば前処理、下塗り、中塗りおよび上塗り等の各工程を含む塗装工程に供給して、所定塗色の塗装を施す。
【0031】
上記のように塗装を終えた車体1は、主として艤装部品の組み付けを目的とした車両組立工程に供給されて各種艤装部品が装着されることになるが、この段階でバックドア3を組み付ける。すなわち、図7,8に示すように、バックドア側ヒンジメール17を構成することになるヒンジ側メール本体17aとドア側分割片17bとを予め分離させておき、このドア側分割片17bをボルト24にてバックドア3側に予め固定しておく(図7,8の工順S3)。そして、同図に示すように先に車体1に装着されているハッチフレーム13とバックドア3とが干渉しないようにハッチフレーム13を開状態に保ちながら、バックドア側ヒンジメール17のドア側分割片17bをスタッドボルト19とナット21とをもってヒンジ側メール本体17aに固定する(図7,8の工順S4)。以上により、リアハッチ11のハッチフレーム13のほかバックドア3がバックドアヒンジ4を介して車体1に開閉可能に装着されることになる。また、車体1とバックドア3との間の隙間の調整はヒンジ側メール本体17aとドア側分割片17bとの相対位置を微調整することにより行われる。
【0032】
したがって、塗装前のハッチフレーム13を車体1に装着する際に既に塗装が施されているバックドア3までも一緒に車体1に装着してしまうと、車体1の塗装に先立ってバックドア3を一旦取り外した上で車体1の塗装完了後に再度組み付ける必要があるが、上記工法では余分なバックドア3の脱着作業を省略できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態を示す図で、バックドア開口部、バックドアヒンジ、バックドアおよびハッチフレーム等の相互関係を示す分解斜視図。
【図2】図1におけるバックドアヒンジ取付部付近の拡大断面図。
【図3】バックドアヒンジ単体での分解斜視図。
【図4】図3に示すバックドアヒンジの側面説明図。
【図5】車体に対するハッチフレームの組付手順を示す斜視図。
【図6】図5のバックドアヒンジ取付位置相当部での要部断面図。
【図7】車体のバックドア開口部に対するバックドアの組付手順を示す斜視図。
【図8】図7のバックドアヒンジ取付位置相当部での要部断面図。
【図9】従来のバックドアおよびリアガラスハッチの組み付け構造の一例を示す自動車の後部側面図。
【図10】図9のバックドアヒンジ取付位置相当部での拡大断面図。
【符号の説明】
1…車体
2…バックドア開口部
3…バックドア
4…バックドアヒンジ
6…ボルト
7…ナット
8…バックドア本体
10…ハッチ開口部
11…リアハッチ
13…ハッチフレーム
15…ヒンジフィメール
16…ヒンジピン
17…バックドア側ヒンジメール
17a…ヒンジ側メール本体
17b…ドア側分割片
18…ハッチ側ヒンジメール
19…スタッドボルト
21…ナット
Claims (1)
- 車体後部のバックドア開口部を開閉するヒンジ開閉式のバックドアと、バックドアの一部であるハッチ開口部を開閉する同じくヒンジ開閉式のハッチフレームを主要素とするリアハッチとを備え、上記バックドアとリアハッチとが両者に共通のバックドアヒンジを介して車体に取り付けられる構造の自動車の組立方法であって、
上記バックドアヒンジは、車体側に固定されるヒンジフィメールと、このヒンジフィメールに対し共通のヒンジピンを介してそれぞれ独立して回転可能に並設されたバックドア側ヒンジメールおよびハッチ側ヒンジメールとを備えていて、
上記バックドア側ヒンジメールにバックドアが、ハッチ側ヒンジメールにハッチフレームがそれぞれ連結されるようになっているとともに、
上記バックドア側ヒンジメールが、ヒンジ側メール本体とバックドア側となるドア側分割片とに分割されていて、ヒンジ側メール本体とドア側分割片とがねじ部材により結合されるようになっていて、
上記バックドアヒンジのハッチ側ヒンジメールとハッチフレームとを予め結合してそのバックドアヒンジをハッチフレームに付帯させておくとともに、上記バックドアヒンジのバックドア側ヒンジメールのうちドア側分割片とバックドアとを予め結合しておき、
上記バックドアヒンジのヒンジフィメールを車体に結合することによりハッチフレームを車体に開閉可能に装着した後に、そのハッチフレームを含む車体に塗装を施し、
塗装終了後に、ハッチフレームを車体に開閉可能に装着した状態でドア側分割片をバックドア側ヒンジメールのヒンジ側メール本体に結合することによりバックドアを車体に開閉可能に装着することを特徴とする自動車の組立方法。
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