JP3863229B2 - 洗浄方法及びそれを用いた半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置等の電子材料、磁性材料、光学材料、セラミックスなど多くの製造プロセスにおいて、無機物または有機物を含む化合物の試料を洗浄する方法及び本洗浄方法を用いた製品の製造方法に係る。
【0002】
特に、半導体基板表面への微粒子の付着を防止あるいは低減させるのに適した洗浄方法及びそれ用いた半導体装置の製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
半導体ウェハ等の基板の表面に形成される集積回路は、近年ますます集積度が増加しており、それにつれてパターンの線幅が微細化してきている。次期64MDRAMにおいて最小加工寸法は0.3μmであり、その製造工程において、より微小な微粒子が製品の品質や歩留りの向上の障害になると考えられる。
【0004】
従来、基板表面を洗浄する手段として、アールシーエーレビュー31(1970年)第187頁から第206頁[RCA Review,31(1970)P.187〜206]で述べられているように、アンモニア水と過酸化水素水の混合水溶液を80℃程度に加熱し、これにウェハを浸漬する方法や、超純水中で、超音波を加える方法がある。
【0005】
また、レジスト37(図16)を除去しないでウェットエッチングによりSiO2膜39を除去する方法もあった。この方法は、図16に示すように、ポリSi膜38上にSiO2膜39、ポリSi膜40が形成され、フィンを形成する際、使用されていた。なお、この後は、レジスト37とSiO2膜39が除去され、ポリSi38、40上に図示しないSi3N4が形成され、1.5枚フィンが形成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記集積回路における集積度の高密度化により次期64MDRAMにおける最小加工寸法は0.3μmであり、それにつれて、洗浄の対象となる微粒子の大きさも微小化し、0.03μmの微粒子をも除去する必要があると考えられている。
【0007】
微粒子が微小化するにつれて大気中における存在数が増加し、現在(16MDRAM)対象となっている0.05μmの微粒子より0.03μmの微粒子は数倍多く存在する。また、微粒子が微小化するにつれて、基板に付着しやすくなると考えられ、微粒子の洗浄技術の必要性がますます高まっているといえる。
【0008】
しかし、超音波等機械的な力で基板から微粒子を除去する従来法では、微粒子が微小化するにつれて、その質量や表面積が小さくなるため、1個当たりに印加できる機械的な力は小さくなり除去しにくくなる。また、基板へのダメージも、半導体の集積度の向上に伴って問題になってきている。そのため従来法では、微小化した微粒子の除去は難しいと考えられる。
【0009】
例えば、フッ酸やフッ酸とフッ化アンモニウムの混合水溶液の場合、上記液中で見られる微粒子は、半導体ウェハ裏面に付着していた微粒子が離脱する等種々の要因で発生するものや、酸化膜をエッチングする際新たに発生するものがある。特に後者は、酸化膜をエッチングする際化学反応等により発生するSiを主成分とするものや、ドライエッチング等酸化膜エッチング工程以前に生じた反応生成物が基板に付着し、エッチングにより離脱したもの等を含む。これら後者の要因で発生する微粒子は、上記溶液及び半導体ウェハ裏面等を清浄にしても、基板への付着を防止することが極めて困難な微粒子である。
【0010】
また、上記の1.5枚フィンでは、SiO2膜39(図16)のウェットエッチング終了時にポリSi膜面38が露出するため、このポリSi膜面38に微粒子が付着する。具体的には製品上の微粒子付着数は0.9個/cm2以上であった。
【0011】
これらウエハに付着した微粒子は、半導体装置の製造工程において、製品の歩留りを低減させる主な要因の一つになっている。
【0012】
そこで、本発明の目的は、半導体集積回路等の半導体装置を高歩留りで製造するために、半導体装置を洗浄する工程において、フッ酸及びフッ酸とフッ化アンモニウムの混合水溶液などの洗浄液中で、半導体装置の表面に微粒子が付着するのを防止するあるいは低減することが可能な、洗浄方法及びそれを用いた半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、微粒子が付着しやすい基板や膜を覆うように、微粒子との静電気反発力の大きな膜を形成することにより達成される。これにより、溶液中にある微粒子の基板表面への付着を防止することが可能となる。なお、シリコンよりも微粒子が吸着しやすい膜の洗浄に特に効果がある。具体的にはアルミニウム膜やポリシリコン膜に微粒子が付着しやすく、これらの膜に特に効果がある。
【0014】
図1に基板を特定の物質で被覆することにより静電気反発力が増加する概念図を示す。図1(a)は基板と微粒子間の静電気反発力が小さいため、微粒子が基板に付着している状態を示している。図1(b)は本発明の概念図、すなわち特定の物質を基板に被覆することにより静電気反発力が増加し、微粒子の付着を防止している状態を示している。
【0015】
次に、図2に、本発明の基本概念図を示す。図2(a)は、基板−微粒子間の距離とポテンシャルエネルギー(W)の関係を示したものであり、図2(b)は、基板1と微粒子2との間の表面電荷3により形成される電気二重層による静電気反発力、図2(c)は、基板1と微粒子2との間のvan der Waals力による引力を示す概念図である。図2(a)に示すように、液中では基板1と微粒子2との間のポテンシャルエネルギーWは、van der Waals力による引力(VA)と電気二重層による静電気反発力(VR)の2つのポテンシャルの和(W=VA+VR)であり、このポテンシャルの山を超えることにより基板に微粒子が付着すると考えられる。そこで、本発明は、このポテンシャルの山を高くして、基板への微粒子の付着を低減させるために基板の表面電位(実験的にはゼータ電位値として測定できる。)の絶対値を大きくし静電気反発力を高めることに着目してなされたものである。
【0016】
図3に基板への微粒子の付着数と微粒子のゼータ電位の関係を示す。図3において、5はフッ酸でエッチング処理したシリコン(Si)粒子(容積比でHF[市販のフッ酸濃度50%、以下同様]:H2O=1:99のフッ酸に浸漬後フィルタで捕集した微粒子。以降ベアSi粒子という。)、6は処理しないSi粒子、7はポリスチレン粒子である。粒子の種類によってゼータ電位が異なっており、また同じSi粒子でも表面状態によりゼータ電位の値が異なり、基板への微粒子の付着量が異なっている。したがって、ゼータ電位を制御することによって基板への微粒子の付着を防止あるいは低減することができると考えられる。
【0017】
また、基板と微粒子のゼータ電位は、一般的には負であるが、まれにアルミナ基板とアルミナ粒子の様に両者が正である場合もあり得る。本明細書では、ゼータ電位を制御するとは、その絶対値を大きくすることを意味する。
【0018】
なお、基板及び微粒子の帯電のメカニズム等については、例えば北原文雄「分散・乳化系の化学」(工学図書S54年)の第77から79頁において解説されている。
【0019】
本発明によれば、ゼータ電位を制御できる物質で基板を被覆することにより、溶液中の基板のゼータ電位の絶対値が大きくなり、液中の基板と微粒子との間の静電気反発力が増大する。その結果、微粒子と基板間のポテンシャルエネルギーが高くなり、基板への微粒子の付着を防止あるいは低減することが可能となる。
【0020】
また同時に、この洗浄法を用いることにより、高品質な半導体を、従来以上に高歩留りで製造することが可能となる。
【0021】
微粒子付着数のゼータ電位依存性を、図4に示す。ここでは、Si粒子を分散したフッ化アンモニウム/フッ酸のvol%比で20のフッ酸とフッ化アンモニウムの混合水溶液中にSiウェハを浸漬し、微粒子付着数を測定した。ゼ−タ電位は界面活性剤の添加量により制御している。ゼータ電位が−20mV付近では微粒子付着数は2〜8個/cm2と多く、かつばらつきが大きいが、ゼータ電位が−25mV以下になると微粒子付着数が2個/cm2以下と少なくなっている。すなわち本発明は、基板を特定の物質で被覆し基板のゼータ電位の絶対値を約25mV以上とすることにより達成される。上記微粒子付着数のゼータ電位依存性はフッ酸中の場合でも同様の傾向を示す。また、このゼータ電位のしきい値は、液中イオン濃度、液の組成等によって変化する。
【0022】
なお、微粒子の付着数が0.1個/cm2以下以下であると、極めて歩留まりが向上する。
【0023】
【発明の実施の形態】
先ず初めに、溶液中の静電気反発力の指標となる表面電位、即ちゼ−タ電位の測定法について述べる。
【0024】
ゼータ電位は、通常電気泳動法により求めることができる。電気泳動とは、液中に電場をかけたとき、表面電荷を持つ微粒子が移動する現象をいい、その微粒子の移動速度を測定することによって、移動速度と比例関係にある微粒子のゼータ電位を求めることができる。本発明では、この原理に基づいたペンケム社( Pen Kem Inc.)製レーザ ズィー ティエム モデル 501( LASER ZEE TM Model 501)により、微粒子のゼータ電位の測定を行った。
【0025】
本発明の効果を確認するために、レジスト材料の粒子、ポリスチレン粒子、Si粒子、SiO2粒子、Si3N4粒子及びFe粒子を用いた。これらの粒子を用いたのは、単に粒子径の揃ったものが容易に入手できるためであり、本発明の効果は、もちろんこれらの微粒子に限定されるものではない。
【0026】
レジスト粒子は、東京応化製 THMR−iP3100(主成分はメチル−3−メトキシプロピオネイトノボラック樹脂)のレジスト材料を塊状に固化させ、それを粉砕して平均粒子径(以下粒子径と略す。)1μmにしたものを用いた。ポリスチレン粒子は、ダウケミカル社(The Dow Chemical Company)製の スーパー モデファイド ユニフォーム ラテックス パーティクルズ(Surface modified Uniform Latex Particles)の粒子径1〜0.038μmのものを用いた。Si粒子、SiO2粒子、Si3N4粒子及びFe粒子は、高純度化学研究所製の粒子径1μmのものを用いた。Si粒子については、前処理しない場合と、容積比が、HF:H O=1:99のフッ酸中にて1分間エッチング処理した後実験に用いたベアSi粒子の場合とがある。
【0027】
ゼータ電位の値は、粒子径に依存しない実験結果を得ており、上記粒子径での測定データは、半導体ウェハのような平面状の物質や、0.05μm程度の超微粒子においてもそのまま用いることができると考えられる。したがって、本発明で用いるレジスト材料、Si3N4等で被覆した半導体ウェハのゼータ電位は、それぞれの粒子のゼータ電位から値を得ることができる。表1に、レジスト材料、Si3N4等のゼータ電位を示す。
【0028】
【表1】
【0029】
(実施例1)
本発明による微粒子の付着防止効果を、以下の手順により確認した。図5に示すように、0.038μmのポリスチレン粒子を液槽10の中で市販の50%フッ酸及び40%フッ化アンモニウムを用いた容積比HF:NH4F:H2O=1:5:19(HF2%,NH4F8%)混合水溶液に分散し(液中粒子濃度は5×105個/cm3に調製。)、6インチSiウェハ9を一定時間浸漬した。次いで、これを液槽10中より引き上げてスピンナー乾燥し、電子顕微鏡(SEM)により、ポリスチレン粒子付着数を測定した。浸漬時間とポリスチレン粒子付着数との関係を、図6及び図7に線11として示す。浸漬時間とともに、付着数は増加することが分かった。
【0030】
次に、レジスト材料を被覆したSiウェハを用いて、同様の条件でポリスチレン粒子の付着実験を行った。その結果を、図6に線12として示す。ほとんど付着は見られなかった。
【0031】
また、レジスト材料を被覆したSiウェハの代りに、Si3N4を被覆したSiウェハを用いて同様の実験を行った結果でも、ほとんどポリスチレン粒子の付着が見られなかった。これを図7に線13として示す。
【0032】
以上の結果より、レジスト材料やSi3N4を被覆することにより、Siウェハへの微粒子の付着数を格段に低減させることができた。
【0033】
なお、レジスト材料としては感光性樹脂等が挙げられ、具体的には、ノボラック樹脂、環化天然ゴム、環化合成ゴム、ポリケイ皮酸ビニル、ポリメチルイソプロペニルケトン、ポリビニルフェノール、感光性ポリイミド、ポリビニル−p−アジドベンゾエート、ポリメタクリロイルオキシベンザルアセトフェノン、ポリビニルシンナミリデンアセテート、ポリメタクリル酸メチル、4,4’−ジアジドジフェニルスルフィド、ポリ−4−ビニルフェノール、3,3’−ジアジドジフェニルスルホン、クロロメチル化ポリスチレン、2,4−ジクロロ安息香酸誘導体を結合したスチレン化ポリマー、塩素化スチレン系ポリマー、メタクリル酸ヘキサフルオロブチル重合体、メタクリル酸テトラフルオロプロピル重合体、ナフトキノンジアジド化合物、メタクリル酸メチル−アクリルニトリル共重合体、ポリメタクリル酸グリシジル、ポリ2−メチル−1ペンテンスルホン、ヨウ素化ポリスチレン、ポリα−シアノアクリレート、ポリメタクリル酸ヘキサフルオロブチル、ポリメタクリル酸ジメチルテトラフルオロプロピル、ポリメタクリル酸トリクロロエチル、ポリトリフルオロエチル−α−クロロアクリレート、側鎖にマレイン酸メチルを導入したポリメタクリル酸エステル、塩素化ポリメチルスルホン、ノボラック樹脂−ベンゾキノンジアジド、トリクロロエチルメタクリレート重合体、トリフルオロエチルクロロアクリレート重合体、ポリメタクリレート、エチルアクリレート共重合体、スルホン共重合体等が挙げられる。特に、ノボラック樹脂、環化天然ゴム、環化合成ゴム、ポリケイ皮酸ビニルが、フッ酸に耐性があるため優れている。また、感光剤としては、o−ナフトキノンジアジド化合物、ビスアジド化合物、増感剤、α−ナフトキノンジアジド化合物、4−アジドカルコン等が挙げられる。この増感剤としては、例えばアミンやアミドなどが挙げられる。また、微粒子付着防止の効果がある膜として、この他有機膜でも良く、特に有機膜を構成する有機材料が極性基を有していたり、分子内に水酸基(−OH)、エステル結合(−COO−)、酸アミド(−CONH−)、エーテル結合(−O−)を有するものでも良い。具体的には、2ーアミノエタノールや2−プロパノールが挙げられる。また、この膜は、紫外線照射等の表面処理により静電気反発力を生じるようになったものでも良い。
【0034】
さらに、本実施例では、洗浄液として、フッ酸とフッ化アンモニウムの混合溶液を用いたが、(A)フッ酸、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、有機酸の何れかを含む酸性溶液、(B)前記(A)の酸性溶液と過酸化水素水、フッ化アンモニウム等を含む酸性溶液、(C)アンモニア水、アミン等のいずれか1種類以上を含むアルカリ性溶液、(D)前記(C)のアルカリ性溶液と過酸化水素水、フッ化アンモニウム等を含むアルカリ性溶液、(E)前記(A)あるいは(B)と、前記(C)あるいは(D)とを含む混合液、または前記(A)、(B)、(C)、(D)を含む混合液、(F)水(超純水)等の中性溶液でも良い。酸性溶液としては特にpHが1〜4の間にあるとき、特にフッ化アンモニウムを用いた場合に微粒子付着の防止効果が優れている。また、この洗浄液に、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、2−アミノエタノールや2−プロパノール等の有機溶剤等の添加剤を添加しても良い。
【0035】
さらに、被覆される材料は、Si、ポリSi等各種半導体装置に用いられる材料の他、金属、合金、セラミックス等、無機物や有機物であってもよい。また、被覆される材料は、平板のみならず、球形、ブロック状等、または様々な複雑な形状を有するものであっても良い。さらに、大きさに関しては、超微粒子等微小なものから大きなものまでどのような大きさのものであっても良い。
【0036】
(実施例2)
次に、市販の50%フッ酸及び40%フッ化アンモニウムを用いて、容積比でHF:NH4F:H2O=1:5:35(HF1.25%,NH4F5%)のフッ酸とフッ化アンモニウムの混合水溶液を調製して粒子径1μmのSi粒子を分散させ(粒子濃度は5×107個/cm3に調製)、実施例1と同様に6インチSiウェハ9へのSi粒子の付着実験を行った。なお、微粒子付着数は、異物検査装置(テンコール インスツルメント社(TENCOR INSTURUMENTS Inc.)製のサーフスキャン 3000(Surfscan 3000)測定粒子径0.3μm以上)を用いて測定した。その結果を、図8に線14として示す。この結果より、浸漬時間と共に付着数が増加することが分かった。
【0037】
更に、Si3N4を被覆したSiウェハを用いて、同様の条件でSi粒子の付着実験を行った。その結果を、図8に線15で示す。この実験の結果から、Si粒子の付着がほとんど見られなかったことがわかる。
【0038】
(実施例3)
次に、実施例2と同じフッ酸とフッ化アンモニウムの混合水溶液を調製して、粒子径1μmのベアSi粒子を分散させ(粒子濃度は5×107個/cm3に調製)、同様に6インチSiウェハ9への付着実験を行った。その結果を、図9に線16で示す。この結果から、浸漬時間と共にベアSi粒子の付着数が増加することが分かった。
【0039】
次に、レジスト材料を被覆したSiウェハを用いて、同様の条件でベアSi粒子の付着実験を行い、得られた結果を図9に線17で示す。この結果から、レジスト材料を被覆したSiウェハへのベアSi粒子の付着は、ほとんど見られなかった。
【0040】
(実施例4)
次に、実施例2と同じフッ酸とフッ化アンモニウムの混合水溶液を調製して粒子径1μmのSiO2粒子を分散させ(粒子濃度は5×107個/cm3に調製)、同様に6インチSiウェハ9への付着実験を行った。その結果を、図10に線18で示す。この結果より、浸漬時間と共にSiO2粒子の付着数が増加することが分かった。
【0041】
次に、レジスト材料を被覆したSiウェハを用いて、上記と同様の条件で付着実験を行った。その結果を、同じく図10に線19として示す。この実験の結果から、レジスト材料を被覆したSiウェハへのSiO2粒子の付着は、ほとんど見られなかった。
【0042】
(実施例5)
次に、実施例2と同じフッ酸とフッ化アンモニウムの混合水溶液を調製して粒子径1μmのFe粒子を分散させ(粒子濃度は5×107個/cm3に調製)、同様に6インチSiウェハ9への付着実験を行った。その結果を図11に線20として示す。この結果より、浸漬時間と共にFe粒子の付着数は増加することが分かった。
【0043】
次に、レジスト材料を被覆したSiウェハを用いて、上記と同様の条件でFe粒子の付着実験を行った。得られた結果を、同じく図11に線21で示す。この実験の結果から、レジスト材料を被覆したSiウェハへのFe粒子の付着はほとんど見られなかった。
【0044】
(実施例6)
半導体製造ラインで製造されている従来製品から発生する微粒子の付着防止について、実施例2と同様の実験を行った。ここで、実験に用いた従来製品はスタック型フィン構造を有する半導体素子(ティ エマ 他、 アイ イー ディーエム テクニカル ダイジェスト,pp592〜594,1988(T.Ema et al.,IEDM Tech.Dig.,pp592〜594,1988参照))が形成されたウェハ(以下、半導体製品ウェハと略す)である。図12に、従来製品のフィン構造キャパシタ部の断面図を示す。
【0045】
実験は、図13に示すオーバーフロータイプのエッチング槽29を用い、このエッチング槽29に、実施例2と同様に調製した混合水溶液30を満たした状態で行った。図13に示すように、液循環系34の配管には循環ポンプ35が設置され、そのポンプから流れた溶液をフィルタ36で清浄化された水溶液が、再びエッチング槽29に入るように構成されている。図12に示した半導体製品ウェハ31と微粒子付着数測定用のウェハとして自然酸化膜付きSiウェハ及び全面にSi3N4(膜厚0.03μm)またはレジスト材料(膜厚1μm)の膜を均一に形成したSiウェハなどの微粒子付着数測定用のウエハ32を、それぞれウェハカセット33に装着し、10分間浸漬した。その後、微粒子付着数測定用の各ウェハ32をエッチング槽29から引上げ、水洗した後スピンナにより乾燥して、異物検査装置で各Siウェハ32に付着した微粒子数を測定した。その結果を、表2に示す。
【0046】
この表からわかるように、自然酸化膜付きウェハに対して、ウェハ全面にSi3N4またはレジスト材料の膜を均一に形成したSiウェハ上への付着微粒子数は、一桁以上少なかった。
【0047】
【表2】
【0048】
(実施例7)
実施例6と同様に、半導体製品ウェハを用いて実験を行った。ただし、フッ酸とフッ化アンモニウムの混合水溶液は市販の50%フッ酸及び40%フッ化アンモニウムを用いて容積比でHF:NH4F:H2O=1:5:19の組成のものとした。実験の結果を、表3に示す。
【0049】
この表に示されるように、実施例6と同様に、自然酸化膜付きウェハに対して、Siウェハ全面にSi3N4またはレジスト材料の均一な膜を形成したSiウェハ上への微粒子付着数は少なかった。
【0050】
【表3】
【0051】
(実施例8)
フィン構造のキャパシタ部を有する半導体製品ウェハの製造方法を、図14と図15を用いて説明する。図14の22に示す半導体基板にトランジスタを形成した後、SiO2膜46上にSi3N4膜(膜厚0.05〜0.1μm)23を成長させる。次いで、SiO2膜24(膜厚約0.1μm)、ポリSi膜25、SiO2膜26(膜厚約0.1μm)を順次成長させ、コンタクトホール(口径約0.5μm)27を形成する。この後、ポリSi膜28を全面に成長させる〔図14(a)〕。次に、パターン状のレジスト37を形成した後〔図14(b)〕、このレジストをマスクとし、Si3N4膜23をストッパーとして、ポリSi膜25、SiO2膜26をドライエッチングによりパターニングする〔図14(c)〕。以上の工程は、前記ティー エマ 他の文献に示されている。
【0052】
従来は、図14(c)までの工程の後、特開平4−30464に記述されるように、図14(d)に示す如く、レジスト37を除去し、次いでウェットエッチングによりSiO2膜24と26を除去し、フィン構造を形成していた〔図14(e)〕。
【0053】
これに対し、本発明では、図14の(a)〜(c)までと同様の工程を経た図15(c)に示すような状態で、レジスト37を残したままSiO2膜24と26をエッチング除去する。図14に示したような、レジストを除去した後にエッチングを行う製造方法の場合には、露出したポリSi面28に微粒子が付着した。しかし、図15に示すような、レジスト37を残したままエッチングする製造方法の場合、レジスト面37への微粒子付着が少なく、かつ、SiO2膜24をエッチング後に露出するSi3N4膜23への微粒子付着も少なかった。
【0054】
このため、製品上の微粒子付着数(半導体素子面上の0.3μm以上の微粒子を、日本ケー・エル・エー製モデルKLA−2111外観検査装置にて測定)は、従来の方法によれば平均0.9個/cm2であったのに対して、本発明の方法では0.2個/cm2以下であった。この結果を、表4に示す。
【0055】
ここで、図15に示すレジスト37が被覆されていないポリSi面25とポリSi面28の向き合った面への微粒子付着に関して、以下に述べる。
【0056】
図14及び図15に示す半導体製品ウェハの、ウェットエッチング中に発生する微粒子の大きさの大半は、0.1μm以上である。一方、図15に示すレジスト37が塗布されていないポリSi面25とポリSi面28の、向き合った面の間隔が約0.1μmである。したがって、上記大きさの微粒子が入り込めないため、ポリSi面25とポリSi面28間への微粒子付着は問題にならない。
【0057】
したがって、本実施例は、エッチング終了時に微粒子が付着しにくいSi3N4面を露出させる点に特徴があり、レジスト面との併用により製品への微粒子付着低減に効果があるものである。なお、本実施例でウエットエッチングに用いた溶液は、洗浄液としての役割をも果たすが、これとは別に、ウエットエッチングを行った後に、ウエットエッチングに使用した溶液とは別の洗浄液にウエハーを浸しても良い。
【0058】
【表4】
【0059】
(実施例9)
ここで、図14に示したような工程を経て製造された従来の半導体製品ウェハと、本発明による図15に示したような工程を経て製造された半導体製品ウェハとを用いて、フッ酸とフッ化アンモニウムの混合水溶液による酸化膜エッチング処理を、1枚ずつ行った。なお、微粒子付着数は、実施例8と同様にして測定した。
【0060】
表5に示されるように、本発明による半導体製品ウェハの微粒子付着数は少なかった。
【0061】
【表5】
【0062】
(実施例10)
図13に示すオーバーフロータイプのエッチング槽中に入れた実施例2で用いた混合水溶液中に、図12に示したものと同様の半導体製品ウェハを10分間浸漬した後、微粒子付着数を測定した。なお、微粒子付着数は、実施例8と同様にして測定した。
【0063】
次に、図12に示した半導体製品ウェハを用いて、このウエハの周辺部から5mmを除いた全面に、陰イオン界面活性剤を塗布した後、同様の実験を行った。
【0064】
表6に示されるように、陰イオン界面活性剤を塗布した半導体製品ウェハへの微粒子の付着は、ほとんど見られなかった。
【0065】
【表6】
【0066】
(実施例11)
本発明を実施するための洗浄システムの一例を、図17に示す。図17において、洗浄液またはエッチング液調合部41で調合された洗浄液またはエッチング液と、静電気反発力を有する物質貯蔵部42から供給される静電気反発力を有する物質を、被覆装置43で半導体製品ウェハに被覆し、Siウェハ搬送系44から洗浄槽45に運ばれる半導体製品ウェハの洗浄に用いられる。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、洗浄液またはエッチング液中における微粒子の付着を防止及び低減することができるため、半導体装置、薄膜デバイス、ディスク等のエレクトロニクス部品の歩留りを高めることができ、低コストで上記製品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板を特定の物質で被覆し、静電気反発力により基板に微粒子が付着しにくくなる概念図である。
【図2】本発明に係る基板−微粒子間の距離とポテンシャルエネルギーの関係を示す図である。
【図3】微粒子のゼータ電位と微粒子付着数の関係を示す図である。
【図4】微粒子のゼータ電位と微粒子付着数の関係を示す図である。
【図5】微粒子を分散させたフッ酸とフッ化アンモニウムの混合水溶液に6インチSiウエハを浸漬して取り出す工程図である。
【図6】ウェハの浸漬時間と微粒子付着数との関係を示すグラフである。
【図7】ウェハの浸漬時間と微粒子付着数との関係を示すグラフである。
【図8】ウェハの浸漬時間と微粒子付着数との関係を示すグラフである。
【図9】ウェハの浸漬時間と微粒子付着数との関係を示すグラフである。
【図10】ウェハの浸漬時間と微粒子付着数との関係を示すグラフである。
【図11】ウェハの浸漬時間と微粒子付着数との関係を示すグラフである。
【図12】従来の半導体製品ウェハのフィン構造キャパシタ部の断面図である。
【図13】各種ウエハをフッ酸とフッ化アンモニウムの混合水溶液に浸漬して取り出す工程図である。
【図14】従来法によって製造される半導体製品ウェハのフィン構造キャパシタ部の各製造工程の断面図である。
【図15】本発明によって製造される半導体製品ウェハのフィン構造キャパシタ部の各製造工程の断面図である。
【図16】従来の半導体製品ウェハのフィン構造キャパシタ部の断面図である。
【図17】本発明に係る洗浄システムの一例を示す図である。
【符号の説明】
1…基板、2…微粒子、3…表面電荷、4…静電気反発力を有する物質、5…ベアSi粒子、6…Si粒子、7…ポリスチレン粒子、8…Al2O3粒子、9…6インチSiウェハ、10…液槽、11…Siウェハの場合、12…Siウェハにレジスト材料を被覆したウェハの場合、13…SiウェハにSi3N4を被覆したウェハの場合、14…Siウェハの場合、15…Siウェハにレジスト材料を被覆したウェハの場合、16…Siウェハの場合、17…Siウェハにレジスト材料を被覆したウェハの場合、18…Siウェハの場合、19…Siウェハにレジスト材料を被覆したウェハの場合、20…Siウェハの場合、21…Siウェハにレジスト材料を被覆したウェハの場合、22…半導体基板、23…Si3N4膜、24…SiO2膜、25…ポリSi膜、26…SiO2膜,27…コンタクトホール,28…ポリSi膜,29…エッチング槽、30…エッチング液、31…半導体製品ウェハ、32…自然酸化膜付きウェハ及びSiウェハ全面にSi3N4またはレジスト材料の均一な膜を形成したウェハ、33…ウェハカセット、34…液循環系、35…循環ポンプ、36…フィルタ、37…レジスト、38…ポリSi膜、39…SiO2膜、40…ポリSi膜、41…洗浄液またはエッチング液調合部、42…静電反発力を有する物質貯蔵部、43…静電反発力を有する物質被覆装置、44…Siウェハ搬送系、45…洗浄槽、46…SiO2膜。
Claims (9)
- 半導体基体上に、単結晶シリコンと同等または単結晶シリコンよりも洗浄液中に含まれる微粒子に付着されやすい材料からなる第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜を覆うように、前記洗浄液中における半導体基体のゼータ電位の絶対値が25mV以上となるような第2の膜を形成する工程と、
前記第2の膜が形成された前記半導体基体を、前記洗浄液を用いて洗浄する工程とを有することを特徴とする半導体装置の洗浄方法。 - 半導体基体上にアルミニウム膜を形成する工程と、
前記アルミニウム膜が露出しないように、洗浄液中における前記半導体基体のゼータ電位の絶対値が25mV以上となるような第2の膜を形成する工程と、
前記第2の膜が形成された前記半導体基体を、前記洗浄液を用いて洗浄する工程とを有することを特徴とする半導体装置の洗浄方法。 - 半導体基体上にポリシリコン膜を形成する工程と、
前記ポリシリコン膜が露出しないように、洗浄液中における前記半導体基体のゼータ電位の絶対値が25mV以上となるような第2の膜を形成する工程と、
前記第2の膜が形成された前記半導体基体を、前記洗浄液を用いて洗浄する工程とを有することを特徴とする半導体装置の洗浄方法。 - 半導体ウエハ上に、単結晶シリコンと同等または単結晶シリコンよりも洗浄液中に含まれる微粒子に付着されやすい材料からなる第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜が露出しないように、レジスト、Si3N4、有機膜の少なくとも何れか一つからなる第2の膜を形成する工程と、
前記第2の膜が形成された前記半導体ウエハを、前記洗浄液を用いて洗浄する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 半導体ウエハ上にアルミニウム膜を形成する工程と、
前記アルミニウム膜が露出しないように、レジスト、Si3N4、有機膜の少なくとも何れか一つからなる第2の膜を形成する工程と、
前記第2の膜が形成された前記半導体ウエハを、洗浄液を用いて洗浄する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 半導体ウエハ上に、単結晶シリコンと同等または単結晶シリコンよりも洗浄液中に含まれる微粒子に付着されやすい材料からなる第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜が露出しないように有機膜を形成する工程と、
前記有機膜が形成された前記半導体ウエハを、前記洗浄液を用いて洗浄する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 洗浄液中におけるゼータ電位の絶対値が25mV以上の膜が形成された半導体ウエハを、(A)フッ酸、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、有機酸の何れかを含む酸性溶液、または(B)前記酸性溶液と過酸化水素水、フッ化アンモニウムとを含む酸性溶液、または(C)アンモニア水、アミンのいずれか1種類以上を含むアルカリ性溶液、または(D)それら1種類以上のアルカリ性溶液と過酸化水素水、フッ化アンモニウムを含むアルカリ性溶液、または(E)前記(A)あるいは(B)と、前記(C)あるいは(D)との混合液、または前記(A)、(B)、(C)、(D)の混合液、または(F)中性溶液である前記洗浄液に、浸漬させて洗浄する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 半導体ウエハ上に洗浄液中におけるゼータ電位の絶対値が25mV以上となるような膜を形成し、前記半導体ウエハを、pH1から4の前記洗浄液を用いて洗浄することを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 半導体基体上に、単結晶シリコンと同等または単結晶シリコンよりもエッチング液中に含まれる微粒子に付着されやすい材料からなる第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜上に、前記エッチング液中における前記半導体基体のゼータ電位の絶対値が25mV以上となるような第2の膜を形成する工程と、
前記第2の膜上に、第3の膜と第4の膜を形成する工程と、
前記第4の膜上に、所望の形状を有するレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜をマスクとし、前記第2の膜をストッパーとして、前記第3の膜と第4の膜をドライエッチングする工程と、
前記レジスト膜が形成された状態で前記半導体基体を前記エッチング液に浸漬させて前記第3の膜のエッチングを行う工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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