JP3863099B2 - バンパーおよびステイ、ステイにフランジを形成する電磁成形方法 - Google Patents

バンパーおよびステイ、ステイにフランジを形成する電磁成形方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特にステイとバンパー補強材との取付性が優れ、かつ車体衝突時のエネルギー吸収性能にも優れたバンパー (バンパーモジュール) およびステイ、ステイにフランジを形成する電磁成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車などの車体の前端 (フロント) および後端 (リア) に取り付けられているバンパーの内部には、強度補強材としてのバンパー補強材 (バンパーリインフォースメントあるいはバンパーアマチャアなどとも言う) が設けられている。
【0003】
このバンパー補強材は、周知の通り、バンパーと車体との間に、車体に対し略水平方向で車幅方向に対し平行に延在するように配置され、バンパーと車体間で、車体の前方や後方からの衝突、あるいは前方や後方への衝突に対し、車体用のエネルギー吸収部材を構成している。
【0004】
近年、これらバンパー補強材やバンパーステイに、車体軽量化のために、従来使用されていた鋼材に代わって、5000系、6000系、7000系等の高強度アルミニウム合金の押出中空形材などが使用され始めている。
【0005】
そして、このようなバンパー補強材の長手方向の形状は、自動車車体やバンパーのデザインに応じて選択される。近年では、長手方向全般に渡って直線状のバンパー補強材 (直線型バンパー補強材) に対し、後述する図13のような、両端部が、車体後方側へ曲げられた直線的または曲線的な湾曲部 (屈曲部) を有するか、あるいは両端部とともに長手方向全体が車体側へ湾曲しているバンパー補強材 (湾曲型バンパー補強材) が主流となっている。
【0006】
これらバンパー補強材の車体への取り付けは、フロントサイドメンバやリヤサイドメンバ等の車体前後方向の骨格部材の車体フレーム類 (車体メンバ類) に、バンパーステイなどの後面からの支持部材 (車体連結用部材) を介して行われる。
【0007】
但し、上記湾曲型バンパー補強材の湾曲後面 (接合面) へステイを取り付ける場合は、中間に接合部材を別途必要とする。例えば、図13に斜視図で示すように、中央の直線部10c と両端部分が車体後方に曲げられた湾曲部10a 、10b とを有するバンパー補強材1 の場合、ステイ25、25との中間に、接合部材26、26を介在させることを必要とする。即ち、中空矩形筒状の形材からなる2 本のアルミニウム合金ステイ25、25を、バンパー補強材1 の両湾曲部10a 、10b の各々の後面 (接合面)5aにおいて、車体前後 (車体長さ) 方向に支持する場合、中間に接合部材26、26を介在させる。
【0008】
この中間接合部材26は、例えば、図13の上下方向 (垂直方向) に軸方向 (長手方向) を有するアルミニウム合金押出形材である。中間接合部材26を、このような図の上下方向に軸方向を有するアルミニウム合金押出形材とすることで、左右の側方に張り出した傾斜前面フランジ27と、左右の側方に張り出した平行な (バンパー補強材1 の直線部に対し) 後面フランジ28とを一体的に有する。
【0009】
中間接合部材26において、上記傾斜前面フランジ27をバンパー補強材1 の湾曲部10a 、10b との接合用に、また、上記平行な後面フランジ28をステイ25前端部に溶接等で取り付けた平行な前面フランジ29との接合用に、各々用いる。そして更に、ステイ25後端部に溶接等で取り付けた平行な後面フランジ30と、サイドメンバ3 の前面端部に取り付けた平行な前面フランジとを接合することで、バンパー補強材1 が、中間接合部材26とステイ25を介して、車体側サイドメンバ3 に支持される。なお、これらフランジ同士の接合は、フランジ端部周囲をミグ、ティグあるいはスポットなどの溶融溶接を行うか、フランジ部にボルト、ナットなどの機械的な結合手段を取り付けて接合する。
【0010】
中間接合部材26を、図の上下方向に軸方向を有するアルミニウム合金押出形材とすることで、上記傾斜前面フランジ27を、図13のような直線的な傾斜形状だけでは無く、円弧状に湾曲させた曲線的な傾斜形状として押出することもでき、接合するバンパー補強材の後面の形状に応じて、接合面である上記傾斜前面フランジ27の形状を変えることができる。
【0011】
なお、この他、中間接合部材に、図13でいう中間接合部材26の後面にフランジ28を設けず、中間接合部材26の後端部を、ステイ25の前面側中空内に嵌合するものも提案されている (特許文献1 参照) 。これも、ステイを中間接合部材を介してバンパー補強材に接合している点では、図13と同じである。
【0012】
【特許文献1】
特開2000-209820 号公報(1〜2 頁、図1)
【0013】
一方、ステイを中間接合部材を介さずに直接湾曲型バンパー補強材に接合している例も従来から提案されてはいる。これらのステイは、丁度、図13の中間接合部材26のように、中空断面を有するステイ25端部に、バンパー補強材1 の湾曲部10a 、10b 後面の傾斜 (湾曲度) に合わせた、傾斜したフランジをステイ25と一体に設け、この傾斜フランジにおいて、湾曲部10a 、10b 後面と接合する (特許文献2 、3 、4 参照) 。
【0014】
【特許文献2】
特開平6-227333号公報(1〜2 頁、図1)
【特許文献3】
特開平11-208392 号公報(1〜2 頁、図1)
【特許文献4】
特開平11-208393 号公報(1〜2 頁、図1)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記図13や特許文献1 のように、中間接合部材を用いる場合、中間接合部材も含めて、部品点数や接合部が増すため、バンパー全体として、接合強度の低下と、これに伴う衝突エネルギー吸収性能の低下が問題となる。このため、接合強度を低下させないための接合方法を工夫する必要があり、中間接合部材の接合が、溶接にせよ機械的接合にせよ、より煩雑になるという現実的な問題を抱えている。
【0016】
また、ステイ25 (中空形材) の端部自体をフランジ形状に加工して、ステイ25両端部に接合用フランジを一体に形成することは非常に困難である。したがって、現状では、前面フランジ29、後面フランジ30を別個に製作して、ステイ25の両端部に溶接接合して、フランジ付きステイを作成せざるを得ない。
【0017】
その上で、中間接合部材後面フランジ28とステイ前面フランジ29、サイドメンバ3 の前面フランジとステイ後面フランジ30とを、各々別個に、溶接や機械的な接合手段によって、接合せざるを得ない。
【0018】
この結果、バンパー補強材とステイとの互いの径が大きくなるほど、部品点数や接合部が増すごとに、特に、接合強度や継ぎ手強度の確保が難しいという問題がある。また、この接合強度や継ぎ手強度の確保のために、コストが高くなり、手間が煩雑となるという問題もある。
【0019】
一方、前記特許文献2 、3 、4 にように、ステイを中間接合部材を介さずに直接湾曲型バンパー補強材に接合できれば、上記種々の問題は解決される。しかし、その接合は、前記中間接合部材を用いる場合に比して、より困難となる。
【0020】
即ち、ステイを中間接合部材を介さずに直接湾曲型バンパー補強材に接合する場合、バンパー補強材の湾曲部の中空構造内とステイの中空構造内とに、互いにボルトを貫通させ、ステイの中空構造内に締結部 (ボルトの頭部とナット) を存在させて、バンパー補強材とステイとを固定せざるを得ない。この接合方式は特許文献2 、3 、4 に共通している。
【0021】
しかし、これら従来のステイの、バンパー補強材端部の湾曲部後面との接合方式は実用的ではないし、接続固定自体が不可能ですらある。先ず、互いに断面形状が閉断面な中空構造であるバンパー補強材とステイの内部に、ボルトを入れること自体が実質的に困難である。これは両端部が湾曲しているバンパー補強材の場合にはなおさらである。更に、ボルトを貫通させた上で、互いの中空構造内にボルトの頭部やナットを存在させること自体も、実質的に困難である。
【0022】
したがって、実際には、ステイ25をバンパー補強材1 に直接接合することはできず、前記図13で示したような、バンパー補強材の湾曲部後面の接合面形状に合わせた接合面形状を持つフランジ27を、その前面に有する中間接合部材26を別途必要とする。
【0023】
この点、バンパーにおいて、ステイ中空形材の軸方向 (長手方向) によりバンパー補強材を支持する態様において、バンパー補強材の後面の接合面形状に適合する、接合面形状のフランジを、アルミニウム合金ステイ中空形材の端部に一体的に形成できれば、前記した、バンパー補強材との結合の煩雑性や継ぎ手強度の確保の問題を解決することができる。
【0024】
したがって、本発明の目的は、ステイ中空形材の軸方向によりバンパー補強材を支持する態様において、バンパー補強材とステイとの結合の煩雑性や継ぎ手強度の確保の問題を解決し、バンパー補強材の後面の接合面形状に適合する、接合面形状のフランジを、アルミニウム合金ステイ中空形材の端部に一体的に形成したバンパーを提供しようとするものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明バンパー (バンパーモジュール) の要旨は、バンパー補強材がその後面側に接合されたステイを介して車体に取り付けられているバンパーであって、前記ステイが、アルミニウム合金中空材からなるとともに、このステイの軸方向を車体前後方向としてバンパー補強材を後面側から車体前後方向に支持するものであり、このステイ中空材の少なくともバンパー補強材側の端部には、バンパー補強材後面の接合面形状に適合する接合面形状を有する接合用フランジが、ステイ中空材の中空部内に挿入された通電コイルの磁場形成によるステイ中空材端部の拡径と、拡径したステイ中空材端部の金型への押圧とによる金型を用いた電磁成形によって、ステイ中空材と一体に形成され、この接合用フランジにおけるバンパー補強材後面との接合面が、前記金型に衝突する面とは反対の面となっていることである。また、上記ステイにフランジを形成する電磁成形方法の要旨は、アルミニウム合金からなるステイ中空材の少なくともバンパー補強材側の端部に、バンパー補強材後面の接合面形状に適合する接合面形状を有する接合用フランジが、ステイ中空材の中空部内に挿入された通電コイルの磁場形成によるステイ中空材端部の拡径と、拡径したステイ中空材端部の金型への押圧とによる金型を用いた電磁成形によって、ステイ中空材と一体に形成され、この接合用フランジにおけるバンパー補強材後面との接合面が、前記金型に衝突する面とは反対の面となっていることである。
【0026】
本発明においては、ステイ中空形材端部の電磁成形による拡径により、バンパー補強材後面の接合面形状に適合する接合面形状を有する接合用フランジを、ステイ中空形材と一体に形成する。
【0027】
これによって、バンパー補強材後面が直線状乃至平坦な形状を有している場合は勿論、バンパー補強材後面が曲面形状を有していても、また、バンパー補強材後面がバンパー補強材の長手方向に湾曲または傾斜した曲面 (車体後方側へ曲げられた直線的または曲線的な湾曲部) を有していても、更に、バンパー補強材後面が垂直方向に湾曲した円弧状曲面を有していても、これらの後面形状に適合する接合面形状を有する接合用フランジを、ステイ中空形材端部に有して、バンパー補強材とステイとの結合の煩雑性や継ぎ手強度の確保の問題を解決することが可能となる。
【0028】
また、本発明では、最低限、バンパー補強材との接合用フランジをステイ中空形材の前面側端部に有する。ただ、車体サイドメンバとの接合用フランジを、もう一方の端部に有し、この接合用フランジがステイ中空形材端部の電磁成形による拡径により一体に形成されていることで、フランジ形成やステイと車体サイドメンバとの接合も容易となる。
【0029】
更に、これらステイを、前記接合用フランジにおいて車体取り付け前に予めバンパー補強材に取り付けられている態様とすることで、バンパー補強材乃至ステイの、サイドメンバなどの車体との接合も容易となる。
【0030】
また、このような接合用フランジを設けたステイは、それ自体単体でも、既設の前記図13で示したような中間接合部材やステイ、あるいは衝突圧壊後など使用済の中間接合部材やステイ、などと取り代えて、容易にバンパー補強材に取り付けることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
図1 は、本発明バンパー( バンパーモジュール) の一実施態様を示し、パンパー補強材1a、ステイ2a、車体サイドメンバ3 からなる要部を示す斜視図である。図2 は図1 のステイ2aを示す斜視図である。
【0032】
図1 において、パンパー補強材1aは、矩形断面形状を有するアルミニウム合金押出中空形材からなる。4 、5 は略矩形断面を構成する二つの縦壁、6 、7 は略矩形断面を構成する二つ横壁である。各横壁4 、5 同士、各縦壁6 、7 同士は互いに略平行に配置されるとともに、各横壁と各縦壁同士は互いに略直角に交わる。また、8 は水平 (横方向) に配置された補強用の中リブ (壁) である。
【0033】
図1 において、2 本のステイ2a、2aは各々円管状のアルミニウム合金中空形材からなる。この2 本のステイ2a、2aは、バンパー補強材1aの車体後方側に傾斜した両端部10a 、10b の後面5a側に間隔を開けて各々配置され、接合面である後面5aに各々接合されている。ステイ2a、2aは、その管軸方向 (中空形材軸方向) を車体前後方向として、略水平方向に延在し、バンパー補強材1aをその後面5a側から車体前後方向に支持している。
【0034】
図2 にも示すように、このステイ2a、2aの両端部には、後述する電磁成形により、斜めに傾くとともに、略円形の輪郭を持った上で平らな接合面11a を有する前面フランジ11と、略垂直に立ち上がるとともに、略円形の輪郭を持った上で平らな接合面12a を有する後面フランジ12が、ステイ中空形材と一体に形成されている。前面フランジ11の接合面11a はバンパー補強材1a両端部の後面5aの傾斜乃至湾曲している接合面形状に適合する接合面形状とされ、後面フランジ12の接合面12a は、接合される車体の接合面、例えばサイドメンバ3 前端部の接合用のフランジ13接合面形状に適合する接合面形状とされている。
【0035】
これによって、ステイ2a、2aは、湾曲型バンパー補強材1aの両湾曲部10a 、10b の各々の後面 5a に、上記前面フランジ11がフランジ面11a で接合され、バンパー補強材1 を支持する。また、ステイ2a、2aの後面フランジ12の接合面12a は各々サイドメンバ3 前端部に溶接部16で溶接接合された、接合用のフランジ13の接合面と接合され、バンパー補強材1aがステイ2a、2aを介して車体側に支持される。
【0036】
なお、図1 では、湾曲型バンパー補強材の1a後面 5a と前面フランジ11とが、フランジ11縁部の溶融溶接部14によって溶接接合され、後面フランジ12とサイドメンバ3 のフランジ13との接合が、ボルト、ナットなどの機械的な結合手段15によって示されている。ただ、これらフランジの接合は、スポット、ティグ、ミグなどの溶接手段あるいはボルト、ナット、セルフピアシングリベットなどの機械的な結合手段が単独あるいは組み合わせて適宜選択できるし、この点が利点でもある。
【0037】
これらステイ中空形材両端部のフランジ11とフランジ12とは、各ステイ中空形材端部の電磁成形による拡径により、ステイ中空形材と一体に形成されている。即ち、図1 、2 に示すステイ2aのフランジ11とフランジ12とは、後述する通り、図11に示すステイ用アルミニウム合金中空形材17の端部17a 、17b と各々対応し、これら端部17a 、17b を電磁成形により拡径して、ステイ中空形材と一体に形成されている。
【0038】
なお、ステイ中空形材両端部のフランジ11とフランジ12とを、両方ともステイ端部の電磁成形により形成する必要は必ずしも無い。ただ、湾曲型バンパー補強材1a後面の種々の接合面形状に応じた、種々の接合面形状とする必要がある、ステイ2a前面のフランジ11は、少なくともステイ端部の電磁成形により形成する。また、後述する通り、ステイ端部の電磁成形によるフランジ形成は容易であり、ステイ2a後面のフランジ12も共に電磁成形することが好ましい。
【0039】
本発明では、アルミニウム合金からなるステイ中空形材端部の電磁成形による拡径のため、ステイ用中空形材は管状乃至中空筒状であることが好ましい。ステイ中空形材の成形される端部部分の断面形状が、矩形状や角筒など、小径の角部 (コーナー部) を有する場合には、電磁成形による拡径の際、拡径した角部両サイドの部分同士が重なり、衝突し合うため、フランジにしわが発生しやすく、また、割れに発展する可能性がある。
【0040】
この点、上記管状乃至中空筒状であるとは、コーナーR(角度) の小さい角部を有さない、閉断面である円形、楕円形、その他な不定形な円形などの中空形材だけではなく、開断面である C形や、コ形などの形材も含みうる。言い換えると、電磁成形されるステイ中空形材の断面形状の制約条件は、前記小径の角部を有さない以外にはなく、種々の断面形状が選択しうる。
【0041】
図3 は、上記図1 、2 の本発明バンパーとしての全体構造を示す正面図である。本発明バンパーの基本的な構成は、前記図13で示したような中間接合部材26を除き、一般的なバンパー構造をそのまま踏襲できるのが利点でもある。図3 において、先ず、20はバンパーカバー、9 は発泡フォーム材などで適宜構成する衝撃吸収材、1aは図1 のパンパー補強材、2aは図1 、2 のステイ、3 は図1 の車体サイドメンバーであり、これら部材が記載順に、車体前後方向 (図の左側が前) に順に配列、接合される。各部材の接合は図1 で記載した通りである。
【0042】
図4 は、本発明バンパーの他の実施態様、特に、バンパー補強材1bが略円形断面形状 (円管状) の場合を斜視図で示す。図4 の場合、バンパー補強材1bの後面は、前記図1 のような平らな接合面形状ではなく、垂直方向に、略円形な曲線状乃至曲面状の接合面形状を有する。この場合には、バンパー補強材1bの後面の接合面形状に適合すべく、ステイ2bのフランジ11の接合面11a を曲線状乃至曲面状の接合面形状とする必要がある。ステイのこのような曲線状乃至曲面状の接合面形状も、後述する電磁成形によれば、簡便に製作できる利点がある。
【0043】
ここで、図4 に示すステイ2bは図1 の場合と同様に、略円管状のアルミニウム合金中空形材からなる。ただ、ステイ2bのフランジ11の接合面11a +11b は、図5 にも斜視図を示す通り、鞍型の曲面形状面を構成している。このような鞍型曲面形状であれば、上記略円形な曲線状乃至曲面状の接合面形状を有するバンパー補強材1bの後面接合面に適合できる。
【0044】
一方、ステイ2bのフランジ12の方は、サイドメンバ3 のフラットなフランジ13の接合面形状に適合させるため、図1 と同じく、略垂直に立ち上がって、外方向に広がる円形のフラットな形状となっている。これらステイ中空形材両端部のフランジとも、各ステイ中空形材端部の電磁成形による拡径により、ステイ中空形材と一体に形成されている。図4 におけるその他の構造は、前記図1 乃至図3 のバンパーと同じである。
【0045】
なお、図4 に示しているバンパー補強材1bはその長手方向に直線状である。したがって、ステイ2bの前面フランジ11も、バンパー補強材1b裏面の直線状接合面に応じて、後面フランジ12の接合面と平行方向で (車体幅方向に平行で) 、かつステイ2bから略垂直に立ち上がるフランジ接合面となっている。これに対し、バンパー補強材1bが前記両端湾曲型のものとなった場合には、前面フランジ11の接合面も、バンパー補強材1b両端部の長手方向( 水平方向) に傾斜乃至湾曲している接合面形状に適合する傾斜乃至湾曲接合面形状とされる。
【0046】
この鞍型フランジ11は、図5 (a) 、(b) に各々別方向から見た同じステイ2bの斜視図を示すように、2 つの長尺部11a と2 つの短尺部11b を各々円弧状の曲線で結ぶ鞍型曲面形状を有している。この鞍型曲面形状は、接合の相手方であるバンパー補強材後面の接合面形状が円形乃至円弧状である場合に、隙間なく適合乃至接合させることができ、言わば、管同士の継ぎ手を簡便に形成することができる。また、ステイ2bの後面フランジ12の方も、サイドメンバ3 のフラットなフランジ12の接合面形状に適合し、両フランジを隙間なく適合乃至接合させることができる。
【0047】
図5 (c) 、(d) に示す鞍型フランジ11とフラットなフランジ12は、図5 (a) 、(b) のそれと基本形状は同じであるが、各々のフランジの接合面11a や、接合面12a の裏面などに、フランジの補強用の突起乃至リブ18、19を設けている。図5 (c) では、突起乃至リブ18を放射状に設けた態様、図5(d)では、突起乃至リブ19を同心円状に設けた態様を、各々示している。このようなフランジの補強用の突起乃至リブ18、19も、後述する通り、フランジの電磁成形と同時に、また、形状も自由に設けることができる。
【0048】
本発明によれば、ステイとバンパー補強材乃至ステイとサイドメンバとの接合の自由度が大きく広がる。その結果、これまで基本的に矩形断面を有する中空形材からなっていたバンパー補強材やステイに代えて、管継ぎ手となる、管状の中空形材からなるバンパー補強材やステイをも使用することができる。このため、バンパー補強材やステイのデザインや設計上の自由度が大きく広がるとともに、衝突時のエネルギー吸収性能を高めるなどの断面形状の工夫も大いに可能となる利点がある。
【0049】
以下、図6、図7 に、特にステイのフランジ形状の他の態様を例示する。これらいずれの場合も、前記したステイのフランジ形状の態様と同様に、ステイ端部の電磁成形による一体形成が可能である。
【0050】
図6(a) 、(b) 、(c) は、特に、バンパー補強材1bが略B 形中空断面形状の場合を示す。図6(a) は斜視図、(b) は正面図、(c) は平面図 (右半分のみを示す) である。この図6 の場合も、バンパー補強材1cの後面壁5 は垂直方向に略半円形で対称な二つの曲面からなる、要はB の字の右辺の接合面形状を有する。この場合には、このバンパー補強材1cの後面の接合面形状に適合すべく、ステイ2cのフランジ11の接合面11a をB の字の右辺状の接合面形状とする。
【0051】
また、バンパー補強材1cは、図6(c) の通り、両端湾曲型であるので、ステイ2cのフランジ11乃至接合面11a も、バンパー補強材1b両端部の長手方向に傾斜している接合面形状に適合する傾斜形状とされる。
【0052】
一方、ステイ2cのフランジ12の方は、サイドメンバ (図示せず) のフラットなフランジの接合面形状に適合させるため、図1 と同じく、略垂直に立ち上がって、外方向に広がる円形のフラットな形状となっている。
【0053】
図7(a)、(b) 、(c) は、特に、バンパー補強材1dが略D 形中空断面形状の場合を示す。図7(a)は斜視図、(b) は正面図、(c) は平面図( 右半分のみを示す) である。この図7 では、バンパー補強材1dの後面壁5 は、垂直方向に、略半円形の辺 (円弧) を上下に有する直線部分からなる、要はD の字の右辺の接合面形状を有する。この場合には、このバンパー補強材1dの後面の接合面形状に適合すべく、ステイ2dのフランジ11の接合面11a をD の字の右辺状の接合面形状とする。
【0054】
また、バンパー補強材1dは、図7 (c) の通り、両端湾曲型であるので、ステイ2dのフランジ11乃至接合面11a も、バンパー補強材1d両端部の長手方向に傾斜している接合面形状に適合する傾斜形状とされる。一方、ステイ2dのフランジ12の方は、図6 と同じく、略垂直に立ち上がって、外方向に広がる円形のフラットな形状となっている。
【0055】
図8 に、本発明における、日型断面バンパー補強材1 裏面接合面 (縦壁)5の垂直方向 (縦方向) の種々の形状に適応した、ステイ2 の前面フランジ11の垂直方向 (縦方向) の形状の態様を整理して例示する。図8 (a) は裏面接合面5 がフラット、(b) は裏面接合面5 が湾曲 (円弧状) 、(c) は裏面接合面5 がB 型、(d) は裏面接合面5 が上部がフラット、下部が円弧状の非対称型、(e) は(a) と同じ裏面接合面5 がフラット、を各々模式的に示す、バンパー補強材とステイとの正面図である。
【0056】
図8 (a) では、フラットな裏面接合面5 に適応して、ステイ2 の前面フランジ11が後面フランジ12と同じフラット (垂直方向) な形状である。図8(b)では、湾曲している裏面接合面5 に適応して、ステイ2 の前面フランジ11が湾曲している。図8(c)では、B 型右辺状に湾曲している裏面接合面5 に適応して、ステイ2 の前面フランジ11が湾曲している。図8(d)では、上部がフラット、下部が円弧状の非対称型の裏面接合面5 に適応して、ステイ2 の前面フランジ11が上部がフラット、下部が円弧状の非対称型となっている。また、図8(e)では、図8 (a) と同じく、フラットな裏面接合面5 に適応して、ステイ2 の前面フランジ11は後面フランジ12と同じフラットな形状であるが、図8 (a) 〜(d) の水平に配置されたステイ2 に対し、図8(e)のステイ2 は、車体形状に応じて、後面側に立ち上がる上下に傾斜した配置となっている。
【0057】
更に、図9 に、本発明における、日型断面バンパー補強材1 の裏面接合面の長手方向 (軸方向、車体幅方向) の種々の形状に適応した、ステイ2 の前面フランジ11の水平方向 (横方向、車体幅方向) の形状の態様を整理して例示する。図9 (a) はバンパー補強材1 の両端部10a 、10b のみが車体後方へ向けて湾曲、(b) はバンパー補強材1 全体が車体後方へ向けて湾曲、(c) 、(d) は(a) と同じくバンパー補強材1 の両端部10a 、10b のみが車体後方へ湾曲した例を各々模式的に示す、平面図である。
【0058】
図9 (a) では、バンパー補強材1 の湾曲した裏面接合面5 に適応して、ステイ2 の前面フランジ11が車体後方へ向けて湾曲している。図9(b)も、湾曲している裏面接合面5 に適応して、ステイ2 の前面フランジ11が車体後方へ向けて湾曲している。図9(c)では、図9 (a) のような湾曲した裏面接合面5 ではなく、直線状の裏面接合面5 にステイ2 を接合する例を示し、ステイ2 の前面フランジ11は水平方向 (横方向、車体幅方向) にフラットである。図9(d)では、湾曲している裏面接合面5 に適応して、ステイ2 の前面フランジ11が車体後方へ向けて湾曲しているとともに、図9 (a) 〜(c) のバンパー補強材1 に対し略直角に配置されたステイ2 に対し、図9(d)のステイ2 は、これまでの車体前後方向に平行な配置ではなく、車体形状に応じて、バンパー補強材1 に対し、車体幅方向に傾斜させた配置となっている。
【0059】
このように、本発明では、ステイ2 の前面フランジ11の接合面形状を、バンパー補強材1 の裏面接合面5 の垂直方向、水平方向の形状に、適宜適応した形状とすることができる自由度がある。言い換えると、適宜適応した形状の前面フランジ11を、ステイ2 の端部に、ステイ2 と一体に、電磁成形により製作できる。このため、上記した図8(e)のステイ2 や図9(d)のステイ2 のように、ステイ2 自体の配置方向や、上記した図9(a)〜(c) のように、バンパー補強材1 の裏面へのステイ2 の設置位置を自由に選択できるようになる。
【0060】
次に、前記図4 、5 に示した鞍型曲面を有する前面フランジ11を含め、実際に、バンパー補強材後面の接合面形状に適合する接合面形状を有するフランジをステイ中空形材端部に一体に形成する電磁成形方法について、 10 11 12を用いて、以下に説明する。
【0061】
10は、ステイ端部の電磁成形前の中空形材 (素管)17 を示す斜視図である。先ず、電磁成形前の、フランジが成形される中空形材17の端部17a の切り口形状は、必要フランジ形状に応じて形成する。即ち、 10に示す、中空形材17の端部17a の切り口形状は、図1 、2 に示した左側のステイ2aの前面フランジ11のように、車体後方側に傾斜したバンパー補強材後面5aの接合面形状に適合させる形状とするため、斜めの (図の下方から上方への傾きを有する) 切り口形状となっている。また、これに対し、傾斜方向が逆 (対称) となる図1 、2 の右側のステイ2aのフランジ11のような場合には、図示はしないが、中空形材17の端部17a の切り口形状は、前記と逆の (対称の) 方向の斜めの切り口形状とする。
【0062】
更に、前記図8(e)のような上下方向に傾斜した配置となっているステイ2 も、前面フランジ11の上下方向の傾斜に合わせた、上下方向に斜めの切り口形状とする。なお、ステイ中空形材から垂直に立ち上がるような、前記後面フランジ12や前面フランジ11の場合には、ステイ中空形材の軸 (長手) 方向に直角な (フラットな) 切り口形状とする。
【0063】
11 12は、上記 10の中空形材17の端部17a を、前記図4 、5 に示した鞍型曲面を有する前面フランジ11に、電磁成形により成形する態様を示す斜視図である。なお、前記図4 、5 に示した前面フランジ11とは、鞍型曲面を有する接合面形状は同じであるが、前記図4 、5 に示した前面フランジ11がフラットであるのに対し、 12の前面フランジ11は傾斜している点が相違する。
【0064】
先ず、 11において、上記 10のアルミニウム合金中空形材17を、水平に配置され、二つの上型23a 、23b と、二つの下型23c 、23d とに分割 (四つ割り) されているた金型23内にセットする。この際、拡管成形される中空形材端部17a を、形成するフランジ11の大きさに相当する長さ分を、金型23の成形面24内に突出させる。
【0065】
金型23の成形面24は、鞍型前面フランジ11の接合面形状と傾斜度に対応した表面形状と傾斜面とを有している。この金型23の成形面24は、前面フランジ11の接合面形状に適宜対応した形状とする。例えば、図2 のような傾斜前面フランジ11であれば、金型23の成形面24を傾斜させるとともに、平面的な成形面とする。また、前記図5 (c) 、(d) に示したフランジの補強用の突起乃至リブ18、19を設ける場合には、これらの突起乃至リブ18、19に対応した、突起乃至リブ形状の凹凸を金型23の成形面24に設けることで、形成できる。
【0066】
ここで、21は押さえ板 (突き当て板) であり、電磁成形中に、電磁力によって中空形材17の軸方向に荷重がかかるため、中空形材17の位置がずれて (図の右方向に) 、フランジの寸法精度や形状精度に悪影響を及ぼさないよう、中空形材17を他端17b 側で固定している。
【0067】
しかる後に、図11に示すように、中空形材端部17a 側 (図の左方) から、通電コイル22を中空形材17の中空部内に挿入する。この通電コイル22の中空部内挿入長さも、形成するフランジ11の大きさに相当する中空形材17の長さとする。そして、図示しない衝撃電流発生装置に高電圧で蓄荷電されている電気エネルギーを数十kJ( 数百μF 、数十kV) 、通電コイル22に瞬時に投入し、極めて短時間の強力な磁場を中空形材端部17a 側に形成する。これにより、図11に矢印で示す周囲方向に、中空形材端部17a を拡径する。そして、拡径した中空形材端部17a を強い力で鞍型状の成形面24に押圧し、図12に示すように、鞍型曲面を有する前面フランジ11を、中空形材17の端部に一体に形成する。
【0068】
中空形材17の更に他の端部17b に、例えば、略垂直に立ち上がって、外方向に広がる円形のフラットな形状の後面フランジ12を形成するには、これに対応した成形面を有する金型を準備して、上記中空形材端部17a の電磁成形と同じ要領で電磁成形する。
【0069】
ここで、中空形材17の両端部17a 、17b を同時にあるいは順次電磁成形し、前面フランジ11と後面フランジ12とを同時にあるいは順次電磁成形しても良い。この場合、上記各成形面を、中空形材17の両端部17a 、17b に相当する位置の両端側に有するような金型を準備し、中空形材端部17a 、17b の両側から、2 個の通電コイル22を、中空形材17の中空部内に各々挿入し、上記した方法と同じ要領で電磁成形する。
【0070】
以上のように、電磁成形で形成された鞍型前面フランジ11や後面フランジ12の接合面は、 12で言う、鞍型フランジ11の表面であり、金型に衝突 (接触) する面とは反対の面となる。このため、金型との接触により発生しやすい、きず、凹凸、シワなどが無い、この種接合面として必要な平滑な曲面となっている。また、フランジの寸法精度や形状精度も予め設計したフランジ形状に対し、各部の寸法誤差が小さい。
【0071】
なお、この電磁成形において、比較的厚肉乃至大口径のアルミニウム合金中空形材17の端部を拡管成形する場合、一回のみの電磁成形によって、所定形状のフランジを形成するためには、前記投入電気エネルギー量はできるだけ大きく、例えば8kJ 以上とすることが好ましい。この投入電気エネルギー量が、8kJ 未満では、特に、上記3mm 以上の比較的厚肉乃至50mmΦ以上の内径大口径のアルミニウム合金中空形材の場合に、通電コイルへの投入電気エネルギー量が小さいため、寸法精度や形状精度を満足するようなフランジが形成できない可能性がある。
【0072】
成形後の中空形材17には、形成したフランジの後面側に、略平行な拡径部やテーパ状の拡径部を形成しても良い。フランジ11の後面側に、このような拡径部を形成するとともに、この拡径部を加工硬化させることで、フランジの板厚減少による強度低下分をより補償し、継ぎ手強度をより保証することができる。この拡径部の設け方は、金型の貫通孔 (接合面) とアルミニウム合金管の外径とのクリアランスの調整により、簡便に制御できる。
【0073】
ここで、電磁成形自体は、高電圧で蓄荷電されている電気エネルギー (電荷) を、通電コイルに瞬時に投入し (放電させ) 、極めて短時間の強力な磁場を形成することにより、この磁場内におかれたワーク (被加工物、アルミニウム合金中空形材17の端部) が磁場の反発力 (フレミングの左手の法則に従ったLorentz 力) によって強い拡張力や収縮力を受けて、高速で塑性変形 (中空形材17の端部が拡管) することを利用して、金型等を利用して、ワークを所定形状に、塑性加工乃至成形する技術である。
【0074】
この電磁成形は、導電性が高く、かつ渦電流が発生しやすい金属の板、管などの金属部材を成形対象とし、板の成形、管の拡管、管の縮管、管の端部などの成形に有望とされて来た。特にアルミニウム合金は、電気の良導体であり、この電磁成形に適した材料とされる。
【0075】
次に、バンパー補強材に適用するアルミニウム合金材について説明する。本発明では、バンパー補強材は鋼製であっても良いが、車体軽量化のためには、アルミニウム合金材が好ましい。この場合、車体軽量化条件を満たすためにも、好ましくは280MPa以上の高耐力アルミニウム合金であることが好ましい。アルミニウム合金の耐力が例えば280MPa以上と高いことによって、壁厚みが5mm 以下の薄い場合であっても、バンパー補強材の圧壊強度を上げることができる。
【0076】
これらのバンパー補強材としての要求特性を満足するアルミニウム合金としては、通常、この種構造部材用途に汎用される、AA乃至JIS 5000系、6000系、7000系等の耐力の比較的高い汎用合金であって、調質されたアルミニウム合金から選択して用いられる。ただ、この中でも、特に、Al-Zn-Mg系、あるいは Al-Zn-Mg-Cu系の7000系のアルミニウム合金押出形材であって、T5、T6、T7などの調質 (特に人工時効処理された) アルミニウム合金押出形材が好ましい。
【0077】
また、本発明におけるバンパー補強材の形状は、バンパー (バンパーモジュール) の一貫として、略水平に車体の幅方向に延在して、車体の前面や後面に取り付けられる。この点、本発明バンパー補強材の長手方向の形状自体は、前記した通り、車体設計に応じて適宜選択される。この点、直線型であっても、前記湾曲型バンパー補強材であっても良い。また、湾曲型も、両端に直線的なあるいは曲線的な湾曲部 (屈曲部) を有していても良く、また、全体が湾曲していても良い。これらバンパー補強材の長手方向の形状に応じて乃至形状に関わらず、ステイのフランジ形状を適応させられる点も、本発明の利点でもある。
【0078】
バンパー補強材の中空断面形状は、この断面形状とアルミニウム合金の耐力より定まる前記バンパー補強材の所望の圧壊強度を得るために適宜選択可能である。即ち、前記した通り、本発明では、これらバンパー補強材やステイのデザインや設計上の自由度が大きく広がるとともに、衝突時のエネルギー吸収性能を高めるなどの断面形状の工夫も大いに可能となる利点があり、バンパー補強材の基本的な断面形状や構造は、前記した例示断面形状や構造以外にも適宜選択可能である。例えば、図4 の円管状や図6 、7 、8 などに示した曲面断面形状など、従来であれば、ステイを介しての車体との接合が難しく、採用できないようなバンパー補強材の断面形状でも、ステイ側の接合フランジ形状をこれに適応させて電磁成形できるので、衝突時のエネルギー吸収性や圧壊強度などの性能面から自由に選択できる大きな利点がある。
【0079】
また、通常の矩形断面形状として、略口形の断面形状を基本に、図1 に例示した略日形断面形状や、同様に、口形断面形状に対し、所望の中リブを横方向や縦方向に設けた補強構造として、田形、目形などの断面形状が適宜選択可能である。これら中空構造を基に縦壁や横壁を円弧状などの曲線状とする、あるいは縦壁を衝突荷重方向F(図1 に示す) に対し上下方向に張り出したような応用形状からも、適宜選択される。なお、バンパー補強材の長手方向に渡る断面形状も、ステイ側の接合フランジ形状をこれに適応させて電磁成形できるので、必ずしも同一でなくとも部分的あるいは順次断面形状が変化するような中空形状が、車体の設計側から自由に選択できる利点がある。
【0080】
一方、ステイの材質、断面形状、耐力などの実施態様を以下に説明する。ステイの材質について、バンパー補強材とともに、ステイもアルミニウム合金製とすれば、バンパー補強材の側のみをアルミニウム合金製としてステイの方を鋼製とするタイプよりも、更に軽量化が期待できる。また、アルミニウム合金と鋼との異材の接合による、接触腐食 (電食) 回避のための絶縁などの対策が不要である利点がある。
【0081】
ステイ用のアルミニウム合金は、薄肉化条件を満たすために、耐力が200MPa以上であることが好ましい。ステイ用のアルミニウム合金材の耐力が、例えば200MPa未満のように、小さ過ぎると、4mm 以下の壁厚みを前提にすると、前記車体前後方向の圧壊強度が不足しやすい。
【0082】
これらのステイとしての要求特性を満足するアルミニウム合金としては、通常、この種構造部材用途に汎用される、AA乃至JIS 5000系、6000系、7000系等の耐力の比較的高い汎用合金であって、調質アルミニウム合金から選択して用いられる。ただ、この中でも、特に、6000系や7000系のアルミニウム合金押出形材であって、280MPa以上の耐力となるように、O 、T4、T5、T6、T7などの要求性能を出すための適宜調質 (熱処理) されたアルミニウム合金材が好ましい。
【0083】
ここで、ステイ中空材の断面形状は、エネルギー吸収部材としての車体使用部位や使用態様によって選択されるが、前記したように、各フランジを電磁成形にて成形可能な断面形状とする必要がある。
【0084】
また、ステイ中空材の表面の一部に、衝突荷重付加時に圧壊の起点となる、凸部、凹部、孔などの変形部を、プレス加工乃至機械加工、あるいは、電磁成形により設け、ステイの軸方向のエネルギー吸収性能を高めても良い。
【0085】
本発明におけるステイ乃至バンパー補強材用のアルミニウム合金押出中空形材の製造自体は鋳造、均質化熱処理、熱間押出、調質熱処理等を、主要工程とする常法により適宜製造される。このような押出による形材を使用することにより、設計、デザイン上、断面が複雑な形状の場合であっても、容易に、かつ効率的に製造することが可能となる。ただ、必ずしも押出形材でなくとも、可能であれば、アルミニウム合金板を所定中空形状に成形後に接合部を溶接して、中空材としても良い。
【0086】
また、本発明において、ステイを車体取り付け前に予めバンパー補強材に取り付け、一体化したステイ付バンパー補強材としておくことにより、ステイを介して、車体サイドメンバーなどに取り付けることが、極めて容易かつ簡便となる。なお、本発明で言うステイ付バンパー補強材とは、上記のように車体取り付け前に予め一体化しておく意味である。
【0087】
従来のバンパーであれば、これまでは、自動車製造乃至修理側で、バンパー補強材へのステイの取り付け、サイドメンバーへのステイの取り付け、の2 つの工程を必要としている。そして、バンパー補強材およびサイドメンバーとステイとの各々の接続、固定も、溶接やリベットを主とする接合が必要となるため、非常に煩雑なものとなる。これに対し、バンパー補強材とステイとを予め一体化することにより、自動車製造乃至修理側では、前記サイドメンバーへのステイの取り付け工程のみでセット可能である。
【0088】
更に、本発明において、このような接合用フランジを設けたステイは、バンパー補強材とのセットでは不要で、取り替え用など、ステイそれ自体が単体として必要となった場合でも有用である。前記図13で示したような、車体に既設の中間接合部材やステイが、例えば、衝突圧壊後や耐用年数使用済みなどとなって取り替える必要がある場合に、これら中間接合部材やステイのみと取り代えて、容易にバンパー補強材とサイドメンバーとに取り付けることができる。
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、ステイ中空材の軸方向によりバンパー補強材を支持する態様において、バンパー補強材とステイとの結合の煩雑性や継ぎ手強度の確保の問題を解決したバンパーモジュールを提供することができる。このため、バンパーモジュールへのアルミニウム合金材の用途を一層拡大するものであり、工業的な価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明バンパー要部の一実施態様を示す斜視図である。
【図2】図1 におけるステイを示す平面図である。
【図3】本発明バンパーの一実施態様を示す正面図である。
【図4】本発明バンパー要部の他の実施態様を示す斜視図である。
【図5】図4におけるステイとこのステイの変形例を各々示す斜視図である。
【図6】本発明バンパー要部の他の実施態様を示し、図6(a) は斜視図、図6(b) は正面図、図6(c) は平面図である。
【図7】本発明バンパー要部の他の実施態様を示し、図6(a) は斜視図、図6(b) は正面図、図6(c) は平面図である。
【図8】本発明バンパー要部の態様の変形例を各々模式的に示す正面図である。
【図9】本発明バンパー要部の態様の他の変形例を各々模式的に示す平面図である。
【図10】本発明に係るステイ用電磁成形素材の一実施態様を示す斜視図である。
【図11】本発明に係るステイの電磁成形方法を示す斜視図である。
【図12】本発明に係るステイの電磁成形方法を示す斜視図である。
【図13】従来におけるバンパー要部の一態様を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:バンパー補強材、2:ステイ、3:サイドメンバ、4:前面縦壁、
5:後面縦壁 (接合面) 、6 、7:横壁、8:中間壁、9:アブソーバ、
10: バンパー補強材端部、11、12、13: フランジ、14、16: 溶接接合部、
15: 機械的締結手段、17: ステイ用中空形材、18、19: 補強用リブ、
20: バンパーカバー、21: 固定板、22: コイル、23: 金型、24: 成形面

Claims (11)

  1. バンパー補強材がその後面側に接合されたステイを介して車体に取り付けられているバンパーであって、前記ステイが、アルミニウム合金中空材からなるとともに、このステイの軸方向を車体前後方向としてバンパー補強材を後面側から車体前後方向に支持するものであり、このステイ中空材の少なくともバンパー補強材側の端部には、バンパー補強材後面の接合面形状に適合する接合面形状を有する接合用フランジが、ステイ中空材の中空部内に挿入された通電コイルの磁場形成によるステイ中空材端部の拡径と、拡径したステイ中空材端部の金型への押圧とによる金型を用いた電磁成形によって、ステイ中空材と一体に形成され、この接合用フランジにおけるバンパー補強材後面との接合面が、前記金型に衝突する面とは反対の面となっていることを特徴とするバンパー。
  2. 前記バンパー補強材後面の接合面が曲面形状を有し、前記ステイの接合用フランジが、この曲面形状に適合する接合面形状を有して、バンパー補強材後面に接合されている請求項1に記載のバンパー。
  3. 前記バンパー補強材後面の接合面が円弧状曲面を有している請求項2に記載のバンパー。
  4. 前記バンパー補強材後面がバンパー補強材の長手方向に湾曲または傾斜した接合面形状を有し、前記ステイの接合用フランジが、このバンパー補強材後面の接合面形状に適合する接合面形状を有して、バンパー補強材後面に接合されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載のバンパー。
  5. 前記ステイの接合用フランジが、前記バンパー補強材の長手方向の直線部後面に接合されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載のバンパー。
  6. 前記ステイ中空材の車体サイドメンバ側の端部に、車体サイドメンバとの接合用フランジが、ステイ中空材端部の電磁成形による拡径により、ステイ中空材と一体に形成されている請求項1乃至5のいずれか1項に記載のバンパー。
  7. 前記バンパー補強材がアルミニウム合金材からなる請求項1乃至6のいずれか1項に記載のバンパー。
  8. 前記バンパー補強材およびステイがアルミニウム合金押出中空形材からなる請求項1乃至7のいずれか1項に記載のバンパー。
  9. 前記ステイが前記接合用フランジにおいて車体取り付け前に予めバンパー補強材に取り付けられている1乃至8のいずれか1項に記載のバンパー。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項の態様でバンパー補強材に取り付けられるものであるステイ。
  11. 請求項10に記載のステイにフランジを形成する電磁成形方法であって、アルミニウム合金からなるステイ中空材の少なくともバンパー補強材側の端部に、バンパー補強材後面の接合面形状に適合する接合面形状を有する接合用フランジが、ステイ中空材の中空部内に挿入された通電コイルの磁場形成によるステイ中空材端部の拡径と、拡径したステイ中空材端部の金型への押圧とによる金型を用いた電磁成形によって、ステイ中空材と一体に形成され、この接合用フランジにおけるバンパー補強材後面との接合面が、前記金型に衝突する面とは反対の面となっている、ステイにフランジを形成する電磁成形方法。
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