JP5237128B2 - アルミニウム合金製バンパーシステムの製造方法及びアルミニウム合金製バンパーシステム - Google Patents
アルミニウム合金製バンパーシステムの製造方法及びアルミニウム合金製バンパーシステム Download PDFInfo
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特許文献4には、バンパービーム等として用いられる7000系アルミニウム合金製押出材が記載されている。この押出材は、時効処理して得られる耐力の最高値の0.7倍以上の耐力を有するように過時効処理され、これにより衝突時に圧壊割れの発生が防止できる。
特許文献6には、アルミニウム合金製押出材からなるチャンネル形フレームに前後方向に貫通する穴を形成し、前記穴に熱処理型アルミニウム合金押出材からなる円筒補強部材を嵌入してこれを電磁成形により拡管し、前記穴の内周面に密着させて両者を接合することが記載されている。また、同文献には、電磁成形される前記円筒補強部材について、電磁成形をプレス焼き入れ後のT1処理材の状態で行い、電磁成形後に例えば200℃に加熱(例えば自動車の塗装工程のベークハードの加熱を利用)してT5状態とすることが記載されている。
しかし、この方法では、バンパーシステムを製造するためには2回の時効処理工程が必要であった。また、熱処理したT5,T7などの調質アルミニウム合金では成形性が低下することから、電磁成形によってバンパーステイを拡管してバンパービームに接合する場合、バンパービームとステイの接合力が弱いことが問題であった。
また、7000系アルミニウム合金押出材に行われる過時効処理とは、耐力の最高値σmax(7000)が得られる時効処理条件より高い温度又は長い時間時効処理を行うことであり、具体的には、処理温度T1℃で時効処理した場合にH1minでT1℃での耐力の最高値が得られるとすれば、T1℃×(H1+α)minの処理条件を施すこと、また、処理温度H2で時効処理した場合にT2℃でH2minでの耐力の最高値が得られたとすれば、(T2+β)℃×H2minの処理条件を施すことを意味する。ここで、α、βは正の値である。
なお、σmax(7000)の0.65〜0.95倍の耐力は、前記組成の7000系アルミニウム合金押出材で概ね230〜320N/mm2程度、σmax(6000)の0.85倍以上の耐力は、前記組成の6000系アルミニウム合金押出材で概ね160N/mm2程度以上に相当する。
また、電磁成形による拡管で接合と同時にバンパーステイの後端部にサイドメンバへの取付フランジを形成する場合、あるいはバンパービームとの接合前にバンパーステイの端部にバンパービーム又は/及びサイドメンバへの取付フランジを形成する場合にも、T1調質材は取付フランジに割れ等が生じるのが防止される。
表1に示す組成の7000系アルミニウム合金と6000系アルミニウム合金を造塊後、均質化処理し、ビレットとした。続いて7000系アルミニウム合金については、図1に示すバンパービームの断面形状(矩形輪郭が100mm×50mm、前壁1と後壁2の板厚が3mm、上壁3と下壁4の板厚が2mm)に押出成形し、6000系アルミニウム合金については、厚さ3.0mm、外径86mmのパイプ形状に押出成形した。この段階でいずれもT1調質である。
δ={(L−L0)/L0}×100(%)
次に、T1調質の前記7000系アルミニウム合金押出材(図1参照)を所定長さに切断し、バンパービームを模したバンパービーム供試体5とし、図4(a)に示すように、供試体5の前壁1及び後壁2に前後方向に貫通する穴6,7を開け、一方、T1調質の前記6000系アルミニウム合金押出材(実施例1で用いたもの)を所定長さに切断し、バンパーステイを模したバンパーステイ供試体8とし、この供試体8を穴6,7に嵌入して先端を突出させ、続いて供試体8を電磁成形により拡管する。これにより、図4(b)に示すように、バンパーステイ供試体8は穴6,7の内周面に密着し、前後壁1,2の前後において外径方向に張り出し、バンパービーム供試体5に接合され、接合体9が形成される。同時に後端に取付用フランジ10が形成されている。
一方、T1調質の前記7000系アルミニウム合金押出材と6000系アルミニウム合金押出材について、表2に示す種々の条件で人工時効硬化処理を施した後、各条件毎に押出材から押出方向に平行に、7000系についてはJIS5号試験片、6000系についてはJIS12号試験片を採取し、JISZ2241の規定に準拠して引張試験を行い、0.2%耐力を求めた。その結果を表2に合わせて示す。
6,7 穴
8 バンパーステイ供試体
9 接合体
Claims (6)
- 7000系アルミニウム合金押出材からなるバンパービームと6000系アルミニウム合金押出材からなるバンパーステイが接合されたバンパーシステムの製造方法であって、それぞれT1調質の前記バンパービームとバンパーステイとを接合してバンパーシステムを構成した後、このバンパーシステムを前記7000系アルミニウム合金押出材が過時効処理となる条件で人工時効硬化処理すること特徴とするアルミニウム合金製バンパーシステムの製造方法。
- 7000系アルミニウム合金押出材からなるバンパービームと6000系アルミニウム合金押出材からなるバンパーステイが接合されたバンパーシステムの製造方法であって、T1調質の前記バンパービームに前後方向に貫通する穴を形成し、T1調質の6000系アルミニウム合金押出材からなる管状のバンパーステイ素材を前記穴に嵌入し、電磁成形により前記バンパーステイ素材を拡管し、前記穴の内周面に密着させて前記バンパービームに接合し、得られたバンパーシステムを前記7000系アルミニウム合金押出材が過時効処理となる条件で人工時効硬化処理することを特徴とするアルミニウム合金製バンパーシステムの製造方法。
- 前記人工時効硬化処理を、前記7000系アルミニウム合金押出材の耐力が人工時効処理して得られる耐力の最高値の0.65〜0.95倍となり、前記6000系アルミニウム合金押出材の耐力が人工時効処理して得られる耐力の最高値の0.85〜1.00倍となる条件で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載されたアルミニウム合金製バンパーシステムの製造方法。
- 7000系アルミニウム合金押出材からなるバンパービームと6000系アルミニウム合金押出材からなるバンパーステイが接合されたバンパーシステムであって、接合後に前記7000系アルミニウム合金押出材が過時効処理となる条件で人工時効硬化処理されたものであることを特徴とするアルミニウム合金製バンパーシステム。
- 7000系アルミニウム合金押出材からなるバンパービームと6000系アルミニウム合金押出材からなるバンパーステイが接合されたバンパーシステムであって、前記バンパービームは前後方向に貫通する穴を有し、管状の前記バンパーステイが前記穴に嵌入され、かつ電磁成形により拡管して前記穴の内周面に密着し前記バンパービームに接合されており、接合後に前記7000系アルミニウム合金押出材が過時効処理となる条件で人工時効硬化処理されたものであることを特徴とするアルミニウム合金製バンパーシステム。
- 前記7000系アルミニウム合金押出材の耐力が人工時効処理して得られる耐力の最高値の0.65〜0.95倍であり、前記6000系アルミニウム合金押出材の耐力が人工時効処理して得られる耐力の最高値の0.85〜1.00倍であることを特徴とする請求項4又は5に記載されたアルミニウム合金製バンパーシステム。
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