JP3862524B2 - 液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および液体吐出ヘッドの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、ワープロ、ホストコンピュータなどの出力用端末としてのプリンタ、ビデオプリンタなどに用いられる液体吐出ヘッドや液体吐出装置、およびその液体吐出ヘッドの製造方法に関する。特に、本発明は、液体を吐出させるために利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換素子が形成された素子基板を有する液体吐出ヘッドや、その液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出記録装置、および液体吐出ヘッドの製造方法に関する。即ち、インクなどの記録用の液体を飛翔液滴として吐出口(オリフィス)から吐出させて、その液体を記録媒体に付着させることによって記録を行うために用いられる液体吐出ヘッドやその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱などのエネルギーをインクに与えることで、インクに急激な体積変化を伴う状態変化を生じさせ、このインクの状態変化に基づく作用力によって吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着させて画像形成を行うインクジェット記録方法、いわゆるバブルジェット記録方法が従来知られている。このバブルジェット記録方法を用いる記録装置には、米国特許第4,723,129号明細書に開示されているように、インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に連通するインク流路と、インク流路内に配された、インクを吐出するためのエネルギー発生手段としての電気熱変換体が一般に配されている。
【0003】
このような記録方法によれば、品位の高い画像を高速、低騒音で記録することができるともとに、この記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出口を高密度に配置することができるため、小型の装置で高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得ることができるという多くの優れた利点を有している。このため、このバブルジェット記録方法は、近年、プリンター、複写機、ファクシミリなどの多くのオフィス機器に利用されており、さらに、捺染装置などの産業用システムにまで利用されるようになってきている。
【0004】
このようなバブルジェット技術が多方面の製品に利用されるに従って、次のような様々な要求が近年さらに高まっている。
【0005】
例えば、エネルギー効率の向上の要求に対する検討としては、発熱体の保護膜の厚さを調整するといった発熱体の最適化が挙げられる。この手法は、発生した熱の液体への伝搬効率を向上させる点で効果がある。
【0006】
また、高画質な画像を得るために、インクの吐出スピードが速く、安定した気泡発生に基づく良好なインク吐出を行える液体吐出方法などを与えるための駆動条件が提案されたり、また、高速記録の観点から、吐出された液体の液流路内への充填(リフィル)速度の速い液体吐出ヘッドを得るために液流路の形状を改良したものも提案されたりしている。
【0007】
さらに、液体吐出の原理に立ち返り、従来では得られなかった、気泡を利用した新規な液体吐出方法およびそれに用いられるヘッドなどを提供すべく鋭意研究が行われ、特開平9-201966号公報などに開示された液体吐出方法およびそれに用いられるヘッドが提案されている。
【0008】
ここで、特開平9-201966号公報などに開示された従来の液体吐出方法およびそれに用いられるヘッドについて、図14〜図16を参照して説明する。図14は、従来の液体吐出ヘッドにおける吐出原理を説明するための図であり、図14(a)〜図14(d)のそれぞれは液流路方向に沿った断面図である。また、図15は、図14に示される液体吐出ヘッドを部分的に破断した斜視図である。図16は、図14に示される液体吐出ヘッドの変形例の断面図である。図14および図16に示される液体吐出ヘッドは、液体を吐出する際に気泡に基づく圧力の伝搬や方向や気泡の成長方向を制御して吐出力や吐出能率を向上させる最も基本となる構成のものである。
【0009】
以下の説明で用いる「上流」および「下流」とは、液体の供給源から気泡発生領域の上方を経て吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、またはこの構成上の方向に関しての表現として表わされている。
【0010】
また、気泡自体に関する「下流側」とは、主として液滴の吐出に直接作用するとされる気泡の吐出口側を代表する。より具体的には、気泡の中心に対して、上記流れ方向や上記構成上の方向に関する下流側、又は、発熱体の面積中心よりも下流側の領域で発生する気泡を意味する。(同様に、気泡自体に関する「上流側」とは気泡の中心に対して、上記流れ方向や上記構成上の方向に関する上流側、又は、発熱体の面積中心より上流側の領域で発生する気泡を意味する。)
さらに、「櫛歯」とは、可動部材の支点部が共通部材になっており、可動部材の自由端の前方が開放されている形状を意味する。
【0011】
図14に示される液体吐出ヘッドにおいて、素子基板501は、シリコン等の基板上に絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜または窒化シリコン膜を成膜し、その上に、発熱体502を構成する電気抵抗層および配線をパターニングしたものである。この配線から電気抵抗層に電圧を印加し、電気抵抗層に電流を流すことで発熱体502が発熱する。
【0012】
天板511は、各発熱体502に対応した複数の液流路503および各液流路503に液体を供給するための共通液室505を構成するためのもので、天井部分から各発熱体502の間に延びる流路側壁が一体的に設けられている。また、天板511には各液流路503を外部に連通させる吐出口504が複数形成されている。
【0013】
天板511はシリコン基板上にCVD等の公知の成膜方法により窒化シリコン、酸化シリコンなど、液流路503の側壁となる材料を堆積し、液流路503の部分をエッチングした後、天井部分を接合して形成することができる。
【0014】
素子基板501の、液流路503に対応する部分の上には、発熱体502に対面する板状の可動部材506が片持ち梁状に設けられ、かつ可動部材506の上流側の一端は台座507に固定されている。可動部材506は台座507により支持されることで、変位時の支点508を有する。また、可動部材506は公知の成膜方法によって上記のように液流路503及びその側壁を形成する段階で堆積膜をパターニングすることにより櫛歯形状に形成されており、窒化シリコンや酸化シリコンなどのシリコン系の材料からなる。
【0015】
この可動部材506は、液体の吐出動作によって共通液室505から可動部材506の上方を経て吐出口504側へ流れる大きな流れの上流側に支点508を持ち、この支点508に対して下流側に自由端509を持つように、発熱体502に面した位置に発熱体502を覆うような状態で発熱体502から15μm程度の距離を隔てて配されている。この発熱体502と可動部材506との間が気泡発生領域510となる。
【0016】
次に、上記のように構成された液体吐出ヘッドの動作について、図14(a)〜図14(d)を参照して説明する。
【0017】
まず、図14(a)において、気泡発生領域510および液流路503の内部にはインクが満たされている。
【0018】
次に、図14(b)において、発熱体502を発熱させることで可動部材506と発熱体502との間の気泡発生領域510の液体に熱が作用し、その液体に、米国特許第4,723,129号明細書などに記載されているような膜沸騰現象に基づいて気泡511を発生させる。気泡511の発生に基づく圧力と気泡511とは可動部材506に優先的に作用し、可動部材506は、図14(b)、図14(c)もしくは図15に示されるように支点508を中心に吐出口504側に大きく開くように変位する。可動部材506の変位もしくは変位した状態によって気泡511の発生に基づく圧力の伝搬や気泡511の先端部が幅を有しているため、気泡511の発泡パワーを吐出口504側へ導きやすくなり、液滴の吐出効率や吐出力または吐出速度などの根本的な向上を図ることができる。
【0019】
以上説明したように、特開平9-201966号公報などに記載された技術は、液路中の可動部材の支点と自由端との位置関係を、吐出口側つまり下流側に可動部材の自由端が位置する関係にすることで、また可動部材を発熱体もしくは気泡発生領域に面して配置することで積極的に気泡を制御する技術である。
【0020】
図16に示される液体吐出ヘッドの素子基板601、発熱体602、液流路603、吐出口604、共通液室605および気泡発生領域609のそれぞれの構成は、図14に基づいて説明した液体吐出ヘッドと同様であり、それらの構成についての詳細な説明は省略する。
【0021】
図16に示される液体吐出ヘッドでは、片持ち梁状に形成された可動部材606の一端に段差部606aが設けられており、素子基板601上に可動部材606が直接固定されている。これにより、可動部材606は素子基板601上に保持され、可動部材606の支点607が構成されるともとに、この支点607に対して下流側に自由端608が構成されている。
【0022】
以上で説明したように、可動部材の固定部分に台座を設けたり、あるいは可動部材の固定部分に段差部を設けたりすることにより、可動部材と発熱部との間に1〜20μm程度のギャップが構成され、可動部材による液体吐出効率を向上させる効果が十分に引き出される。従って、上述したような吐出原理に基づく液体吐出ヘッドなどによると、発生する気泡とこれによって変位する可動部材との相乗効果を得ることができ、吐出口近傍の液体を効率よく吐出させることができるため、可動部材を用いていない従来のバブルジェット方式の吐出方法や液体吐出ヘッドなどと比較して液体の吐出効率が向上する。
【0023】
上記のように可動部材を有する液体吐出ヘッドでは、可動部材が気泡の圧力変化に伴って変位し、その変位の際に変位量に応じた応力が可動部材に加わる。この応力は特に可動部材の根元(支点)付近で可動部材に大きく働き、可動部材の耐久性に影響を与える。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように板状の可動部材を有した液体吐出ヘッドにおいて、可動部材の材料がSiNやセラミックであるため、その側部の縁にクラックやバリなどの欠陥があると、可動部材の耐久性が著しく低下する場合があった。例えば、可動部材の、特に発熱体より上流側の側部の縁が面取りなどされておらず、その縁が直角形状となっていると、可動部材の変位の際に縁に応力集中が生じてしまう。さらには、基板上に堆積膜を形成し、その堆積膜をパターニングして可動部材を形成しているため、可動部材の側部の縁にピンホールやクラックが生じることがある。
【0025】
また、可動部材を基板上に成膜法により形成しているので、可動部材の形状が、可動部材の材料層が上に成膜される下層の表面状態に影響される。その結果、上記のように可動部材の側部の縁の形状が可動部材の変位の際に応力集中しやすい形状になる場合がある。
【0026】
したがって、気泡発生領域で極端に大きな気泡が発生し、可動部材が極度に大きく変位した際には、可動部材の根元付近から可動部材が破断するという問題点があった。
【0027】
本発明の目的は、可動部材の急激な形状変化部を排除し、可動部材を均一な膜質の膜で構成して応力集中を緩和することが可能な構造にすることにより、可動部材の耐久性を向上させ、吐出特性が安定した信頼性の高い液体吐出ヘッドや液体吐出装置、およびそのような液体吐出ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、液体を吐出する吐出口と、前記吐出口と連通し、液体に気泡を発生させるための気泡発生領域を有する液流路と、基板上に設けられた、前記気泡発生領域内の液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子と、前記吐出エネルギー発生素子との間に間隙をおいて前記吐出エネルギー発生素子に対面し、前記液流路内の液体の流れ方向の上流側の端部が固定されると共に下流端が自由端となっている、前記基板上に成膜により形成された板状の可動部材とを有する液体吐出ヘッドにおいて、前記可動部材の側部の縁が面取りされていることを特徴とする。
【0031】
また、前記可動部材は、前記吐出エネルギー発生素子が設けられた素子基板上にフォトリソグラフィ技術により形成されたものであることが好ましい。
【0032】
さらに本発明は、液体を吐出する吐出口と、前記吐出口と連通し、液体に気泡を発生させるための気泡発生領域を有する液流路と、基板上に設けられた、前記気泡発生領域内の液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子と、前記吐出エネルギー発生素子との間に間隙をおいて前記吐出エネルギー発生素子に対面し、前記液流路内の液体の流れ方向の上流側の端部が固定されると共に下流端が自由端となっている、前記基板上に成膜により形成された板状の可動部材とを有する液体吐出ヘッドにおいて、前記基板の表面には、前記複数の可動部材に対応する領域の少なくとも一部および該領域の周辺に渡って延び、前記吐出エネルギー発生素子とそれぞれ電気的に接続された複数の電極層が形成されており、それぞれの前記電極層における前記液流路内の液体の流れ方向に対して直角な方向の幅よりも、前記可動部材における前記液流路内の液体の流れ方向に対して直角、かつ前記素子基板の表面と平行な方向の幅が小さくなっていることを特徴とする。
【0033】
また、前記可動部材の構成材料がセラミックであることが好ましい。
【0034】
さらに、前記可動部材の構成材料が窒化シリコンであることが好ましい。
【0035】
上記の通りの発明では、吐出エネルギー発生素子との間に間隙をおいてその素子と対面している成膜により形成された板状の可動部材の側部に直角または鋭角がなく、その側部の縁が曲面になっていたり、その縁が面取りされていることにより、液流路の気泡発生領域で吐出エネルギー発生素子により液体に気泡を発生させて可動部材を変位させることで吐出口から液体を吐出させる際や、可動部材が過度に変位した際に可動部材の側部における応力集中が緩和される。よって、このような液体吐出ヘッドでは可動部材の側部において急激な形状変化部がないので、可動部材の変位の際にその変位量に応じた応力が可動部材に加わっても、可動部材に亀裂が生じたり、可動部材が破断することが防止される。例えば、可動部材をフォトリソグラフィ技術により形成する場合、可動部材が、均一な膜質の膜で構成されて、応力集中を緩和することが可能な構造となる。その結果、可動部材の耐久性が向上するとともに液体吐出ヘッドの吐出特性が安定し、信頼性の高い液体吐出ヘッドが実現される。
【0036】
さらに、本発明の液体吐出装置は、上記の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから液体を吐出させるための駆動信号を供給する駆動信号供給手段とを有している。
【0039】
さらに、本発明は、液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子が表面に並列に複数設けられた素子基板と、前記吐出エネルギー発生素子がそれぞれ配置され、液体に気泡を発生させるための気泡発生領域を有する複数の液流路と、該液流路とそれぞれが連通して前記液流路内の液体を吐出する複数の吐出口と、前記複数の液流路を形成するために前記素子基板上に設けられた流路壁部材と、前記吐出エネルギー発生素子のそれぞれとの間に間隙をおいて複数の前記吐出エネルギー発生素子のそれぞれに対面するように前記素子基板上に複数設けられ、前記液流路内の液体の流れ方向の上流側の端部が固定されると共に下流端が自由端となっている板状の可動部材とを有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、前記素子基板上に前記複数の可動部材をフォトリソグラフィ技術により形成した後に、前記可動部材の側部の縁で先端が直角となるように突出している直角部、および該縁で先端が鋭角となるように突出している鋭角部を除去する後処理の工程を有する。
【0040】
さらに、前記後処理の工程では、前記可動部材の側部の縁が曲面になるように該縁を加工したり、前記可動部材の側部の縁が面取りされるように該縁を加工することが好ましい。
【0041】
さらに、前記後処理の工程が、前記可動部材をエッチング液に浸す工程や、前記可動部材の側部の縁にレーザー光を照射することにより前記縁を加工する工程であることが好ましい。
【0042】
さらに、本発明は、液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子が表面に並列に複数設けられた素子基板と、前記吐出エネルギー発生素子がそれぞれ配置され、液体に気泡を発生させるための気泡発生領域を有する複数の液流路と、該液流路とそれぞれが連通して前記液流路内の液体を吐出する複数の吐出口と、前記複数の液流路を形成するために前記素子基板上に設けられた複数の流路側壁と、前記吐出エネルギー発生素子のそれぞれとの間に間隙をおいて複数の前記吐出エネルギー発生素子のそれぞれに対面するように前記素子基板上に複数設けられ、前記液流路内の液体の流れ方向の上流側の端部が固定されると共に下流端が自由端となっている板状の可動部材と、前記複数の流路側壁の、前記素子基板側と反対側の面に接合された天板とを有し、前記素子基板の表面には、前記複数の可動部材に対応する領域の少なくとも一部および該領域の周辺に渡って延び、前記吐出エネルギー発生素子とそれぞれ電気的に接続された複数の電極層が形成されている液体吐出ヘッドの製造方法であって、前記素子基板の表面に複数の前記吐出エネルギー発生素子が設けられるとともに複数の前記電極層が形成された前記素子基板を用意する工程と、前記素子基板の表面に、前記気泡発生領域の空間に相当する型部材を形成する工程と、前記型部材を覆うように、前記可動部材を形成するための第1の材料層を積層する工程と、前記第1の材料層の表面に、前記第1の材料層に対して耐エッチング性を有する耐エッチング保護膜を積層する工程と、前記電極層における前記液流路内の液体の流れ方向に対して直角な方向の幅よりも、前記可動部材における前記液流路内の液体の流れ方向に対して直角、かつ前記素子基板の表面と平行な方向の幅が小さい形状の前記可動部材となるように前記耐エッチング保護膜をパターニングする工程と、パターニングされた前記耐エッチング保護膜を覆うように、前記流路側壁を形成するための第2の材料層を積層する工程と、前記第2の材料層の、前記液流路に対応する部分をエッチングにより除去し、前記流路側壁および前記液流路を形成する工程と、前記液流路を形成する工程後に前記型部材を除去し、前記可動部材を形成する工程とを有する。
【0043】
さらに、前記可動部材の材料として窒化シリコンを用いることが好ましい。
【0044】
さらに、上述した液体吐出ヘッドの製造方法において、前記可動部材の材料として窒化シリコンを、前記型部材の材料としてPSGを、前記耐エッチング保護膜の材料としてアルミニウムを用いることが好ましい。
【0045】
上記の通りの液体吐出ヘッドの製造方法では、複数の吐出エネルギー発生素子が設けられた素子基板上にフォトリソグラフィ技術により複数の板状の可動部材を形成した後に、該可動部材の側部の縁で突出している直角部や鋭角部を除去し、その縁を曲面にしたり、その縁を面取りすることにより、可動部材の側部の縁において急激な形状変化部が除去され、可動部材が、均一な膜質の膜で構成されて、応力集中を緩和することが可能な構造となる。この液体吐出ヘッドでは、液体の吐出動作で可動部材を変位させる際や、可動部材が過度に変位した際に可動部材の側部の縁における応力集中が緩和されるので、可動部材の変位量に応じた応力が可動部材に加わっても、可動部材に亀裂が生じたり、可動部材が破断することが防止される。その結果、可動部材の耐久性が向上し、吐出特性が安定した信頼性の高い液体吐出ヘッドの製造が可能となる。
【0046】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0047】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液体吐出ヘッドの基本的な構造を説明するための、液流路方向に沿った断面図である。本実施形態の液体吐出ヘッドは、図1に示すように、液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを発生してその熱エネルギーを液体に与える吐出エネルギー発生素子としての、複数個(図1では、1つのみ示す)の発熱体2が並列に設けられた素子基板1と、この素子基板1上に接合された天板3と、素子基板1および天板3の前端面に接合されたオリフィスプレート4とを有する。
【0048】
素子基板1は、シリコンなどの基板上に絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜または窒化シリコン膜を成膜し、その上に、発熱体2を構成する電気抵抗層および配線をパターニングしたものである。この配線から電気抵抗層に電圧を印加し、電気抵抗層に電流を流すことで発熱体2が発熱する。そして、この配線と電極抵抗層の上には、それらをインクから保護する保護膜が形成されており、さらにその保護膜の上にはインク消泡によるキャビテーションから保護する耐キャビテーション膜が形成されている。
【0049】
素子基板1の発熱体2側の面上に、各発熱体2に対応した複数の液流路7を形成するための流路側壁9、および各液流路7に供給する液体を一時的に保持する共通液室8を形成するための部材が形成されている。その部材や流路側壁9の、素子基板1側の面に天板3が接合されている。天板3や流路側壁9などはシリコン系の材料で構成されている。液流路7および共通液室8を形成するための部材は、シリコン基板である素子基板1上にCVDなどの公知の成膜方法により窒化シリコン、酸化シリコンなど、流路側壁9となる材料を堆積した後、液流路7の部分をエッチングして形成される。
【0050】
オリフィスプレート4には、各液流路7に対応し、それぞれの液流路7を介して共通液室8に連通する複数の吐出口5が形成されている。オリフィスプレート4もシリコン系の材料からなるものであり、例えば、吐出口5を形成したシリコン基板を10〜150μmの厚さに削ることにより形成される。なお、オリフィスプレート4は本発明に必ずしも必要な構成でなく、オリフィスプレート4を設ける代わりに、天板3の先端面にオリフィスプレート4の厚さ相当の壁を残し、この部分に吐出口5を形成することで吐出口付きの天板とすることもできる。
【0051】
さらに、この液体吐出ヘッドには、液流路7内に、発熱体2に対面して配置された片持梁状の可動部材6が設けられている。それぞれの可動部材6は、発熱体2に対向する平面部を有する板状のものであり、窒化シリコンや酸化シリコンなどのシリコン系の材料で素子基板1に対して成膜により形成された薄膜である。可動部材6の構成材料としてはセラミックを用いることができ、可動部材6の側部は、その側部の縁で急激な形状変化部がなくなるように後述するように処理されている。
【0052】
この可動部材6は、液体の吐出動作によって共通液室8から可動部材6を経て吐出口5側へ流れる大きな流れの上流側に支点6aを持ち、この支点6aに対して下流側に自由端6bを持つように、発熱体2に面した位置に自由端6bを発熱体2の中央付近に位置させて発熱体2から所定の距離を隔てて配されている。この発熱体2と可動部材6との間が気泡発生領域10となる。特に、可動部材6の側部に後述するように直角や鋭角がないように処理する部分は少なくとも発熱体より上流側である。
【0053】
上記構成に基づき、発熱体2を発熱させると、可動部材6と発熱体2との間の気泡発生領域10の液体に熱が作用し、これにより発熱体2上に膜沸騰現象に基づく気泡が発生して成長する。この気泡の成長に伴う圧力は可動部材6に優先的に作用し、可動部材6は図1に破線で示されるように、支点6aを中心に吐出口5側に大きく開くように変位する。可動部材6の変位もしくは変位した状態によって、気泡の発生に基づく圧力の伝播や気泡自身の成長が吐出口5側に導かれ、吐出口5から液体が吐出する。
【0054】
つまり、気泡発生領域10上に、液流路7内の液体の流れの上流側(共通液室8側)に支点6aを持ち下流側(吐出口5側)に自由端6bを持つ可動部材6を設けることによって、気泡の圧力伝播方向が下流側へ導かれ、気泡の圧力が直接的に効率よく吐出に寄与することになる。そして、気泡の成長方向自体も圧力伝播方向と同様に下流方向に導かれ、上流より下流で大きく成長する。このように、気泡の成長方向自体を可動部材によって制御し、気泡の圧力伝播方向を制御することで、吐出効率や吐出力または吐出速度などの根本的な吐出特性を向上させることができる。
【0055】
一方、気泡が消泡工程に入ると、可動部材6の弾性力との相乗効果で気泡は急速に消泡し、可動部材6も最終的には図1に実線で示した初期位置に復帰する。このとき、気泡発生領域10での気泡の収縮体積を補うため、また、吐出された液体の体積分を補うために、上流側すなわち共通液室8側から液体が流れ込み、液流路7への液体の充填(リフィル)が行われるが、この液体のリフィルは、可動部材6の復帰作用に伴って効率よく合理的かつ安定して行われる。
【0056】
このような本実施形態の液体吐出ヘッドでは、上述したように素子基板1がシリコン基板で構成され、天板3、流路側壁9、オリフィスプレート4および可動部材6がシリコン系の材料で構成され、それぞれの部材の材料にシリコンが含まれている。これにより、それぞれの部品の線膨張率の違いにより発生する応力が抑制される。これにより、液体吐出ヘッドの機械的特性が向上し、吐出特性が安定すると共に、信頼性の高い液体吐出ヘッドが実現される。
【0057】
図2は、本実施形態の液体吐出ヘッドに複数ある可動部材の側部の形状を示す斜視図および断面図であり、図2(a)は、可動部材の斜視図であり、図2(b)は図2(a)におけるA−A’線断面図である。本実施形態では、図2に示すように複数の可動部材6の支点部が共通部材になっており、複数の可動部材6を含んだ部材が櫛歯状になっている。
【0058】
前述のように可動部材6は気泡の圧力変化に伴って変位し、その変位量に応じた応力が可動部材6に加わる。この応力は特に可動部材6の支点(根元)6a付近で可動部材6に大きく働き、可動部材6の側部の縁にバリやクラックなどの欠陥があると、可動部材6の耐久性が著しく低下する場合があった。具体的には可動部材6が根元付近から破断するという問題があった。このため本発明では、可動部材6の側部の縁に鋭角部分やバリ、クラックなどの欠陥部分がなく、さらには可動部材6の変位時に可動部材6に欠陥が発生しがたい構成になっている。
【0059】
本実施形態では、そのような可動部材6の形状の一例として、図2(a)および図2(b)に示すように、可動部材6の形成後の後処理で可動部材6の両側面の形状を曲面(R部)11にし、可動部材6の全ての縁16が滑らかな曲面になっている。フォトリソグラフィ技術によって可動部材6を形成した直後では、可動部材6の側部の縁で先端が直角となるように突出している直角部や、その縁で先端が鋭角となるように突出している鋭角部が形成されている。可動部材6の両側面を曲面11にする後処理の工程によって、それら直角部や鋭角部が除去され、可動部材6の側部の縁で急激な形状変化部がなくなっている。これにより、可動部材6が、均一な膜質の膜で構成されて、応力集中を緩和することが可能な構造となっている。
【0060】
具体的には、可動部材6の側部の縁を加工する工程としては、エッチング液を用いたウェットエッチングによる後処理を行うことにより可動部材6の端面にR部を形成する。ここでのウェットエッチングは、パターニングなどのような不必要な領域を除去するといったものではなく、可動部材6の側部の縁に生じた鋭角部分やバリなどの除去のために行われる軽いエッチングであるため、可動部材6をエッチングする時間的割合(エッチングレート)が小さいエッチング液を用いるか、または短時間のエッチングとなる。そのため、可動部材6の寸法が後処理工程の前の所望の寸法から大きく変わることはない。また、可動部材6のパターニング時に、この後処理でエッチングされる幅、長さ、厚さを予め見込んで可動部材6を形成しておくことも可能である。
【0061】
図3は、図2に示した可動部材6の後処理に用いたエッチング液よりもエッチングレートの低いエッチング液を用いるか、またはエッチング時間を短くした場合に形成される可動部材の断面図である。図3に示される可動部材6では、図2に示した場合と比較すると、可動部材6でエッチングされる領域が小さいため、可動部材16のそれぞれの縁16に形成される曲面が図2の場合よりも小さくなっている。よって、必要以外の領域のエッチングが最小限で済み、上述したような可動部材6のパターン時の寸法補正も必要なくなる。さらには、図2の場合よりも短時間で後処理工程が完了する。このような後処理は、図2に示す可動部材6の側部の縁に生じたバリやクラックが小さい場合に用いることが望ましい。
【0062】
上述したような可動部材6の後処理によって、可動部材6に生じた鋭角部分やバリなどの欠陥部分を除去し、可動部材6の表面を滑らかにすることにより、可動部材6の耐久性および信頼性が向上する。
【0063】
図4は、可動部材6の側部の形状の他の例を示す斜視図および断面図であり、図4(a)は可動部材6の斜視図、図4(b)は図4(a)のA−A’線断面図である。図4(a)および図4(b)に示される例では、可動部材6のそれぞれの縁16が面取りされ、縁16において隣り合う面同士の成す角度が鈍角になっている。よって、この例では、可動部材6の縁16において、先端部の角度が直角となるように突出した直角部や、先端部の角度が鋭角となるように突出した鋭角部が形成されていない。これにより、可動部材6の変位時に応力が可動部材6の側部の縁に集中することが防止されている。可動部材6の縁16の形状をこのようにする場合、可動部材6の後処理はレーザ加工などの物理的な加工を行い、可動部材6のエッジの面取りを施している。
【0064】
このように本実施形態の液体吐出ヘッドでは、可動部材6の側部の縁が曲面になっていたり、その縁が面取りされていることにより、可動部材6を変位させて吐出口5からインクを吐出させる際や、可動部材6が過度に変位した際に可動部材6の側部の縁における応力集中が緩和される。よって、このような液体吐出ヘッドでは可動部材6の側部の縁において急激な形状変化部がないので、可動部材6の変位の際にその変位量に応じた応力が可動部材6に加わっても、可動部材6に亀裂が生じたり、可動部材6が破断することが防止される。その結果、可動部材6の耐久性が向上するとともに液体吐出ヘッドの吐出特性が安定し、信頼性の高い液体吐出ヘッドが実現される。
【0065】
図5は、可動部材の寸法と素子基板上の電極層の寸法との関係について説明するための断面図である。図5(a)は、液流路が延びる方向に対して垂直な方向の断面図であって、図5(b)のA−A’線断面図である。また、図5(b)は、液流路方向に沿った断面図であって、図5(a)のB−B’線断面図である。
【0066】
本実施形態の液体吐出ヘッドでは、図5(a)および図5(b)に示すように、素子基板1の表層には、液流路7の流路方向に延びるヒータ層21がそれぞれの液流路7ごとに形成されている。ヒータ層21の表面およびその周囲に、ヒータ層21と同様に液流路7の流路方向に延びる電極層22がそれぞれの液流路7ごとに形成されている。ヒータ層21の、可動部材6の自由端5b近傍の部分の表面には電極層22が形成されておらず、ヒータ層21のその部分が、図1に示した発熱体2となる。したがって、素子基板1の表面には、複数の可動部材6に対応する領域の一部およびその領域の周辺に渡って延びる複数の電極層22が形成されている。それぞれの電極層22は、その電極層22に対応するヒータ層21の発熱体2と電気的に接続されており、この電極層22を通して発熱体2に電圧が印加され、発熱体2に電流が流される。これらヒータ層21や電極層22の表面全体、および素子基板1の表面全体に保護膜23が形成され、ヒータ層21や電極層22が保護膜23によって覆われている。この保護膜23の表面に可動部材6が形成され、可動部材6の側部の縁が全て曲面になっている。
【0067】
そして、本実施形態の液体吐出ヘッドでは、素子基板1上にフォトリソグラフィ技術により可動部材6を形成する際に可動部材6の側部の縁に鋭角部が形成されないようにするために、図5(a)に示すようにそれぞれの電極層22における液流路7内の液体の流れ方向に対して直角な方向の幅W1よりも、可動部材6における液流路7内の液体の流れ方向に対して直角、かつ素子基板1の表面と平行な方向の幅W2が小さくなっている。このように電極層22の幅W1よりも可動部材6の幅W2を小さくすることにより、後述するように素子基板1上に堆積膜を形成して素子基板1上に可動部材6を作り込む途中の段階で可動部材6の側部の素子基板1側の縁に鋭角部が形成されることを防止できる。
【0068】
図6は、図5に示した液体吐出ヘッドに対する比較例を示す断面図である。図6に示される比較例では、可動部材6の側部の縁にある鋭角部やバリを除去する後処理が施されておらず、図6(a)に示されるようにそれぞれの電極層22における液流路7内の液体の流れ方向に対して直角な方向の幅W3よりも、可動部材6における液流路7内の液体の流れ方向に対して直角、かつ素子基板1の表面と平行な方向の幅W4が大きくなっている。このように電極層22の幅W3よりも可動部材6の幅W4が大きくなっていると、素子基板1上に堆積膜を積層して可動部材6を形成する際に、図6(a)に示すように可動部材6の側部の素子基板1側の縁に鋭角部17が形成されてしまうことがある。したがって本実施形態の液体吐出ヘッドでは、可動部材6の側部の縁に鋭角部17が形成されないように、図5(a)に示したように電極層22の幅W1よりも可動部材6の幅W2を小さくしている。
【0069】
次に、本実施形態の液体吐出ヘッドの製造方法について説明する。図7および図8は、本実施形態の液体吐出ヘッドの製造方法について説明するための図である。図7および図8に示される図(a)〜図(i)が、液流路が延びる方向に対して垂直な方向の断面図であり、図7および図8に示される図(a’)〜図(i’)が、液流路方向に沿った断面図である。本実施形態の液体吐出ヘッドは、図7に示される図(a)および図(a’)から、図8に示される図(i)および図(i’)の工程を経て製造される。
【0070】
まず、図7の(a)および(a’)において、素子基板1の発熱体2側の面全体に、CVD法によって温度350℃の条件でPSG(phospho silicate glass)膜101を形成する。このPSG膜101の膜厚は、図1に示した可動部材6と発熱体2とのギャップに相当し、PSG膜101の膜厚を1〜20μmにする。これにより、液体吐出ヘッドの液流路全体のバランス上、可動部材6の効果が顕著にあらわれる。次に、PSG膜101をパターニングするために、PSG膜101の表面に、スピンコートなどによりレジストを塗布した後、フォトリソグラフィーとして露光および現像を行い、そのレジストの、可動部材6が固定される部分に相当する部分を除去する。
【0071】
そして、図7の(b)および(b’)において、PSG膜101の、前記レジストで覆われていない部分を、バッファードフッ酸によるウェットエッチングによって除去する。その後、PSG膜101の表面に残っている前記レジストを、酸素プラズマによるプラズマアッシング、あるいは素子基板1をレジスト除去剤に浸すことによって除去する。これにより、PSG膜101の一部が素子基板1の表面に残され、そのPSG膜101の一部が、気泡発生領域10の空間に相当する型部材となる。このような工程を経て、素子基板1の表面に、気泡発生領域10の空間に相当する型部材が作り込まれる。
【0072】
次に、図7の(c)および(c’)において、素子基板1およびPSG膜101の表面に、プラズマCVD法により温度400℃の条件で、第1の材料層として、アンモニアとシランガスを原料とする、厚さ1〜10μmのSiN膜102を形成する。このSiN膜102の一部が可動部材6となる。SiN膜102の組成としては、Si34が最も良いとされるが、可動部材2の効果を得るためには、Siを1としてNの比率が1〜1.5の範囲であっても良い。このSiN膜は、半導体プロセスで一般的に使用され、耐アルカリ性、化学的安定性、および耐インク性を有している。SiN膜102の一部が可動部材2となるため、この膜の材質が、可動部材2として最適な物性値を得られる構造および組成であれば、この膜の製造方法は限定されない。例えば、SiN膜102の形成方法として、前述したプラズマCVD法の代わりに、常圧CVD、LPCVD、バイアスECRCVD、マイクロ波CVD、あるいはスパッタ法、塗装方法などを用いてもよい。また、SiN膜においても、その応力、剛性、ヤング率などの物理的特性や、耐アルカリ性、耐酸性などの化学的特性を、その用途に応じて向上させるために、段階的に組成比を変えて多層膜化してもよい。あるいは、段階的に不純物を添加して多層膜化したり、単層で不純物を添加してもよい。
【0073】
次に、図7の(d)および(d’)において、SiN膜102の表面に耐エッチング保護膜103を形成する。耐エッチング保護膜103として、スパッタリング法によって厚さ2μmのAl膜を形成した。この耐エッチング保護膜103によって、次の工程で流路側壁9を形成するためにエッチングを行う際に、可動部材6となるSiN膜102へのダメージが防止される。ここでは、可動部材6と流路側壁9とがほぼ同一の材料で形成される場合、流路側壁9の形成時のエッチングで可動部材6もエッチングされてしまうので、その可動部材6の、エッチングによるダメージを防止する必要が生じるので、可動部材6となるSiN膜102の、素子基板1側と反対側の面に耐エッチング保護膜103を形成する。
【0074】
次に、SiN膜102および耐エッチング保護膜103を所定の形状にするために、耐エッチング保護膜103の表面にレジストをスピンコートなどにより塗布し、フォトリソグラフィーによりパターニングを行う。
【0075】
その後、図7の(e)および(e’)において、CF4ガスなどを使用したドライエッチング、あるいはリアクティブイオンエッチング法などによってSiN膜102および耐エッチング保護膜103のエッチングを行い、SiN膜102および耐エッチング保護膜103を可動部材6の形状にする。これにより、可動部材6が成膜およびパターニングにより素子基板1の表面に作り込まれる。
【0076】
この工程では、図5に基づいて説明したように電極層22の幅W1よりも可動部材6の幅W2が小さくなっているため、SiN膜102の素子基板1側の縁で、図6に示したような鋭角部17が形成されることがない。ここでは、耐エッチング保護膜103およびSiN膜102を同時にパターニングしたが、耐エッチング保護膜103のみを可動部材6の形状にパターニングし、後の工程でSiN膜102をパターニングしてもよい。
【0077】
次に、図8の(f)および(f’)において、耐エッチング保護膜103、PSG膜101および素子基板1の表面に、第2の材料層として、厚さ20〜40μmのSiN膜104を形成する。SiN膜104を高速で形成したい場合には、マイクロウェーブCVD法を用いる。このSiN膜104が、最終的に流路側壁9となる。SiN膜104は、通常、半導体の製造工程で求められるような膜の特性、例えばピンホール密度や、膜の緻密さには左右されない。SiN膜104は、流路側壁9としての耐インク特性や、機械的強度を満たすものであればよく、SiN膜104の高速成形によってSiN膜104のピンホール密度が、多少、高くなっても問題はない。
【0078】
また、ここではSiN膜を用いたが、流路側壁9の材料としてSiN膜に限定されることはなく、不純物を含んだSiN膜や、組成を変えたSiN膜など、機械的特性および耐インク性を有するものであればよく、ダイヤモンド膜、水素化アモルファスカーボン膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)、アルミナ系、ジルコニア系などの無機膜でもよい。
【0079】
次に、SiN膜104を所定の形状にするために、SiN膜104の表面にレジストをスピンコートなどにより塗布し、フォトリソグラフィーによりパターニングを行う。その後、CF4ガスなどを使用したドライエッチング、あるいはリアクティブイオンエッチングを行い、図8の(g)および(g’)に示すように、SiN膜104を流路側壁9の形状にする。あるいは、より高速なエッチング性を重視すると、ICP(誘導結合プラズマ)エッチング法が、厚いSiN膜104のエッチングに最も適している。このような工程を経て、素子基板1の表面に流路側壁9が作り込まれる。そして、SiN膜104のエッチングを行った後、酸素プラズマによるプラズマアッシング、あるいは、素子基板1をレジスト除去剤に浸すことによって、SiN膜104上に残ったレジストを除去する。
【0080】
次に、図8の(h)および(h’)に示すように、SiN膜102上の耐エッチング保護膜103をウェットエッチングまたはドライエッチングによって除去する。ここでは、それらの方法に限定されず、耐エッチング保護膜103のみを除去することができれば、どのような方法でもよい。あるいは、耐エッチング保護膜103が可動部材6の特性に悪影響を及ぼさなく、かつ、耐エッチング保護膜103が、耐インク性の高いTa膜などであれば、耐エッチング保護膜103を除去する必要はない。
【0081】
次に、図8の(i)および(i’)に示すように、バッファードフッ酸によってSiN膜102の下層のPSG膜101を除去する。これにより、素子基板1上に残ったSiN膜102からなる可動部材6が素子基板1上に複数作り込まれる。
【0082】
この後、前述の後処理によって可動部材6の側部の縁に生じた直角部または鋭角部を除去することで、図5に示したように可動部材6の側部の縁が全て曲面になった液体吐出ヘッドが製造される。具体的には、SiN膜をエッチングする液体によって、上記の工程で形成した可動部材6をウェットエッチングするか、もしくはレーザ加工などを行う。これにより可動部材6の表面が滑らかになるか、C面加工で側部がなくなり、変位時にクラックなどの欠陥が入りにくく、可動部材6の耐久性が向上する。
【0083】
上記のような液体吐出ヘッドの製造方法では、素子基板1上に可動部材6および流路側壁9を直接作り込むので、それらの部材を別々に作製した後に液体吐出ヘッドを組み立てる場合と比較して、組み立ての工程がなくなり、製造工程が簡略化される。また、可動部材6を接着剤などによって接着させることがないので、接着剤によって液流路7の内部の液体が汚染されることがない。さらに、組み立ての際に、素子基板1の表面に傷がつくことがなく、可動部材6を貼り付ける時にごみが生じるということもない。そして、フォトリソグラフィーやエッチングなど半導体の製造工程を経てそれぞれの部材が形成されるので、高い精度で、かつ、高密度に可動部材6や流路側壁9を形成することができる。
【0084】
(第2の実施の形態)
図9は、本発明の第2の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法により作製される液体吐出ヘッドの構成について説明するための断面図である。本実施形態の液体吐出ヘッドは、第1の実施形態と比較して、素子基板上の電極層の幅が可動部材の幅よりも小さくなっている点が主に異なっており、以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。図9では、第1の実施形態と同一のものには同一の符号を付してある。
【0085】
本実施形態の液体吐出ヘッドでは、図9に示すようにそれぞれの電極層22における液流路7内の液体の流れ方向に対して直角な方向の幅W5よりも、可動部材6における液流路7内の液体の流れ方向に対して直角、かつ素子基板1の表面と平行な方向の幅W6が大きくなっている。このような液体吐出ヘッドを製造する際にも、以下に説明するように、可動部材6の側部の縁に形成された直角部や鋭角部を確実に除去することで、可動部材6の耐久性を向上させることができる。
【0086】
次に、図9に示した液体吐出ヘッドの製造方法について説明する。図10および図11は、図9に示した液体吐出ヘッドの製造方法について説明するための図である。図10および図11に示される図(a)〜図(i)が、液流路が延びる方向に対して垂直な方向の断面図であり、図10および図11に示される図(a’)〜図(i’)が、液流路方向に沿った断面図である。本実施形態の液体吐出ヘッドは、図10に示される図(a)および図(a’)から、図11に示される図(i)および図(i’)の工程を経て製造される。
【0087】
本実施形態の液体吐出ヘッドの製造方法は、第1の実施形態において図7および図8に基づいて説明した製造方法とほぼ同じであり、以下では製造方法の概略を説明する。
【0088】
まず、図10の(a)および(a’)において、素子基板1の発熱体2側の面全体に、CVD法によって膜厚1〜20μmのPSG(phospho silicate glass)膜101を形成する。次に、PSG膜101をパターニングするために、PSG膜101の表面に、スピンコートなどによりレジストを塗布した後、フォトリソグラフィーとして露光および現像を行い、そのレジストの、可動部材6が固定される部分に相当する部分を除去する。
【0089】
そして、図10の(b)および(b’)において、PSG膜101の、前記レジストで覆われていない部分を、バッファードフッ酸によるウェットエッチングによって除去する。その後、PSG膜101の表面に残っている前記レジストを、酸素プラズマによるプラズマアッシング、あるいは素子基板1をレジスト除去剤に浸すことによって除去する。これにより、PSG膜101の一部が素子基板1の表面に残され、そのPSG膜101の一部が、気泡発生領域10の空間に相当する型部材となる。
【0090】
次に、図10の(c)および(c’)において、素子基板1およびPSG膜101の表面に、プラズマCVD法により温度400℃の条件で、第1の材料層として、アンモニアとシランガスを原料とする、厚さ1〜10μmのSiN膜102を形成する。このSiN膜102の一部が可動部材6となる。
【0091】
次に、図10の(d)および(d’)において、SiN膜102の表面に耐エッチング保護膜103を形成する。耐エッチング保護膜103として、スパッタリング法によって厚さ2μmのAl膜を形成した。
【0092】
次に、SiN膜102および耐エッチング保護膜103を所定の形状にするために、耐エッチング保護膜103の表面にレジストをスピンコートなどにより塗布し、フォトリソグラフィーによりパターニングを行う。
【0093】
その後、図10の(e)および(e’)において、CF4ガスなどを使用したドライエッチング、あるいはリアクティブイオンエッチング法などによってSiN膜102および耐エッチング保護膜103のエッチングを行い、SiN膜102および耐エッチング保護膜103を可動部材6の形状にする。これにより、素子基板1の表面に可動部材6が作り込まれる。
【0094】
次に、図11の(f)および(f’)において、耐エッチング保護膜103、PSG膜101および素子基板1の表面に、第2の材料層として、厚さ20〜40μmのSiN膜104を形成する。このSiN膜104が、最終的に流路側壁9となる。SiN膜104は、通常、半導体の製造工程で求められるような膜の特性、例えばピンホール密度や、膜の緻密さには左右されない。
【0095】
次に、SiN膜104を所定の形状にするために、SiN膜104の表面にレジストをスピンコートなどにより塗布し、フォトリソグラフィーによりパターニングを行う。その後、CF4ガスなどを使用したドライエッチング、あるいはリアクティブイオンエッチングを行い、図11の(g)および(g’)に示すように、SiN膜104を流路側壁9の形状にする。このような工程を経て、素子基板1の表面に流路側壁9が作り込まれる。そして、SiN膜104のエッチングを行った後、酸素プラズマによるプラズマアッシング、あるいは、素子基板1をレジスト除去剤に浸すことによって、SiN膜104上に残ったレジストを除去する。
【0096】
次に、図11の(h)および(h’)に示すように、SiN膜102上の耐エッチング保護膜103をウェットエッチングまたはドライエッチングによって除去する。
【0097】
次に、図11の(i)および(i’)に示すように、バッファードフッ酸によってSiN膜102の下層のPSG膜101を除去する。これにより、素子基板1上に残ったSiN膜102からなる可動部材6が素子基板1上に複数作り込まれる。
【0098】
この後、第1の実施形態で説明した後処理を可動部材6に対して行い、可動部材6の側部の縁に生じた直角部または鋭角部を除去することにより、図9に示したように可動部材6の側部の縁が全て曲面になった液体吐出ヘッドが製造される。具体的には、SiN膜をエッチングする液体によって、上記工程で形成した可動部材6をウェットエッチングするか、もしくはレーザ加工などを行う。これにより可動部材6の表面が滑らかになるか、C面加工で縁がなくなり、変位時にクラックなどの欠陥が入りにくく、可動部材6の耐久性が向上する。
【0099】
[液体吐出装置]
図12は、上述した第1または第2の実施形態による液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出装置を示す斜視図である。ここでは、特に吐出液体としてインクを用いた液体吐出装置IJRAを用いて説明する。図12に示すように、液体吐出装置IJRAに備えられたキャリッジHCは、インクを収容する液体容器90と液体吐出ヘッド200とが着脱可能なヘッドカートリッジ202を搭載している。また、液体吐出装置IJRAには被記録媒体搬送手段が備えられており、その被記録媒体搬送手段で搬送される記録紙などの被記録媒体150の幅方向(矢印a,b方向)に、キャリッジHCが往復運動する。液体吐出装置IJRAでは、不図示の駆動信号供給手段からキャリッジHC上の液体吐出ヘッド200に駆動信号が供給されると、この駆動信号に応じて液体吐出ヘッド200から被記録媒体150に対して記録液体が吐出される。
【0100】
さらに、液体吐出装置IJRAは、被記録媒体搬送手段およびキャリッジHCを駆動するための駆動源としてのモータ111、モータ111からの動力をキャリッジHCに伝えるためのギア112,113、およびキャリッジ軸85a,85bなどを有している。この液体吐出装置IJRAによって、各種の被記録媒体に対して液体を吐出させることで良好な画像の記録物を得ることができた。
【0101】
図13は、本発明の液体吐出ヘッドを適用したインク吐出記録装置を動作させるための装置全体のブロック図である。
【0102】
図13に示すように、記録装置は、ホストコンピュータ300より印字情報を制御信号401として受ける。印字情報は記録装置内部の入出力インターフェイス301に一時保存されると同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、ヘッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU302に入力される。CPU302は、ROM303に保存されている制御プログラムに基づき、CPU302に入力されたデータをRAM304などの周辺ユニットを用いて処理し、印字するデータ(画像データ)に変換する。
【0103】
また、CPU302は、前記画像データを記録用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに同期して記録用紙および液体吐出ヘッド200を移動させる駆動用モータ306を駆動するための駆動データを作る。画像データがヘッドドライバ307を介して液体吐出ヘッド200に伝達されると共に、モータ駆動データがモータドライバ305を介して駆動用モータ306に伝達される。これにより、液体吐出ヘッド200および駆動用モータ306がそれぞれ、制御されたタイミングで駆動されることで画像が形成される。
【0104】
上述のような記録装置に適用でき、インクなどの液体の付与が行われる被録媒体としては、各種の紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板などに用いられるプラスチック材、布帛、アルミニウムや銅などの金属板、牛皮、豚皮、人工皮革などの皮革材、木、合板などの木材、竹材、タイルなどのプラスチック材、スポンジなどの三次元構造体などを対象とすることができる。
【0105】
また、上述の記録装置として、各種の紙やOHPシートなどに対して記録を行うプリンタ装置、コンパクトディスクなどのプラスチック材に記録を行うプラスチック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装置、皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行う木材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミックス用記録装置、スポンジなどの三次元網状構造体に対して記録を行う記録装置、また布帛に記録を行う捺染装置などをも含むものである。
【0106】
また、これらの液体吐出装置に用いる吐出液としては、それぞれの被記録媒体や記録条件に合わせた液体を用いればよい。
【0107】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の液体吐出ヘッドによれば、吐出エネルギー発生素子との間に間隙をおいてその素子と対面している板状の可動部材の側部の縁が面取りされていることにより、可動部材の変位量に応じた応力が可動部材に加わっても、可動部材に亀裂が生じたり、可動部材が破断することが防止され、可動部材の耐久性が向上する。その結果、液体吐出ヘッドの吐出特性が安定し、信頼性の高い液体吐出ヘッドが実現される。
【0108】
また、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法によれば、複数の吐出エネルギー発生素子が設けられた素子基板上にフォトリソグラフィ技術により複数の板状の可動部材を形成した後に、該可動部材の側部の縁で突出している直角部や鋭角部を除去し、その側部の縁を曲面にしたり、その縁を面取りすることにより、可動部材の耐久性が向上した液体吐出ヘッドを製造することができ、吐出特性が安定し、信頼性の高い液体吐出ヘッドの製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液体吐出ヘッドの基本的な構造を説明するための、液流路方向に沿った断面図である。
【図2】図1に示した液体吐出ヘッドに複数ある可動部材の側部の形状を示す斜視図および断面図である。
【図3】図2に示した可動部材の後処理に用いたエッチング液よりもエッチングレートの低いエッチング液を用いるか、またはエッチング時間を短くした場合に形成される可動部材の断面図である。
【図4】可動部材の側部の形状の他の例を示す斜視図および断面図である。
【図5】可動部材の寸法と素子基板上の電極層の寸法との関係について説明するための断面図である。
【図6】図5に示した液体吐出ヘッドに対する比較例を示す断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法について説明するための断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法について説明するための断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法により作製される液体吐出ヘッドの構成について説明するための断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法について説明するための断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法について説明するための断面図である。
【図12】本発明の液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出装置を示す斜視図である。
【図13】本発明の液体吐出ヘッドを適用したインク吐出記録装置を動作させるための装置全体のブロック図である。
【図14】従来の液体吐出ヘッドにおける吐出原理を説明するための図である。
【図15】図14に示される液体吐出ヘッドを部分的に破断した斜視図である。
【図16】図14に示される液体吐出ヘッドの変形例の断面図である。
【符号の説明】
1 素子基板
2 発熱体
3 天板
4 オリフィスプレート
5 吐出口
6 可動部材
6a 支点
6b 自由端
7 液流路
8 共通液室
9 流路側壁
10 気泡発生領域
11 曲面(R部)
16 縁
17 鋭角部
21 ヒータ層
22 電極層
23 保護膜
90 液体容器
85a、85b キャリッジ軸
101 PSG膜
102、104 SiN膜
103 耐エッチング保護膜
111 モータ
112、113 ギア
150 被記録媒体
200 液体吐出ヘッド
202 ヘッドカートリッジ

Claims (14)

  1. 液体を吐出する吐出口と、
    前記吐出口と連通し、液体に気泡を発生させるための気泡発生領域を有する液流路と、
    基板上に設けられた、前記気泡発生領域内の液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子と、
    前記吐出エネルギー発生素子との間に間隙をおいて前記吐出エネルギー発生素子に対面し、前記液流路内の液体の流れ方向の上流側の端部が固定されると共に下流端が自由端となっている、前記基板上に成膜により形成された板状の可動部材とを有する液体吐出ヘッドにおいて、
    前記可動部材の側部の縁が面取りされていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記可動部材は、前記吐出エネルギー発生素子が設けられた素子基板上にフォトリソグラフィ技術により形成されたものである請求項に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 液体を吐出する吐出口と、
    前記吐出口と連通し、液体に気泡を発生させるための気泡発生領域を有する液流路と、
    基板上に設けられた、前記気泡発生領域内の液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子と、
    前記吐出エネルギー発生素子との間に間隙をおいて前記吐出エネルギー発生素子に対面し、前記液流路内の液体の流れ方向の上流側の端部が固定されると共に下流端が自由端となっている、前記基板上に成膜により形成された板状の可動部材とを有する液体吐出ヘッドにおいて、
    前記基板の表面には、前記複数の可動部材に対応する領域の少なくとも一部および該領域の周辺に渡って延び、前記吐出エネルギー発生素子とそれぞれ電気的に接続された複数の電極層が形成されており、
    それぞれの前記電極層における前記液流路内の液体の流れ方向に対して直角な方向の幅よりも、前記可動部材における前記液流路内の液体の流れ方向に対して直角、かつ前記素子基板の表面と平行な方向の幅が小さくなっていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  4. 前記可動部材の構成材料がセラミックである請求項1〜のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記可動部材の構成材料が窒化シリコンである請求項1〜のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドと、
    該液体吐出ヘッドから液体を吐出させるための駆動信号を供給する駆動信号供給手段とを有する液体吐出装置。
  7. 液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子が表面に並列に複数設けられた素子基板と、前記吐出エネルギー発生素子がそれぞれ配置され、液体に気泡を発生させるための気泡発生領域を有する複数の液流路と、該液流路とそれぞれが連通して前記液流路内の液体を吐出する複数の吐出口と、前記複数の液流路を形成するために前記素子基板上に設けられた流路壁部材と、前記吐出エネルギー発生素子のそれぞれとの間に間隙をおいて複数の前記吐出エネルギー発生素子のそれぞれに対面するように前記素子基板上に複数設けられ、前記液流路内の液体の流れ方向の上流側の端部が固定されると共に下流端が自由端となっている板状の可動部材とを有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記素子基板上に前記複数の可動部材をフォトリソグラフィ技術により形成した後に、前記可動部材の側部の縁で先端が直角となるように突出している直角部、および該縁で先端が鋭角となるように突出している鋭角部を除去する後処理の工程を有する液体吐出ヘッドの製造方法。
  8. 前記後処理の工程では、前記可動部材の側部の縁が曲面になるように該縁を加工する請求項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  9. 前記後処理の工程では、前記可動部材の側部の縁が面取りされるように該縁を加工する請求項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  10. 前記後処理の工程が、前記可動部材をエッチング液に浸す工程である請求項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  11. 前記後処理の工程が、前記可動部材の側部の縁にレーザー光を照射することにより前記縁を加工する工程である請求項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  12. 液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子が表面に並列に複数設けられた素子基板と、前記吐出エネルギー発生素子がそれぞれ配置され、液体に気泡を発生させるための気泡発生領域を有する複数の液流路と、該液流路とそれぞれが連通して前記液流路内の液体を吐出する複数の吐出口と、前記複数の液流路を形成するために前記素子基板上に設けられた複数の流路側壁と、前記吐出エネルギー発生素子のそれぞれとの間に間隙をおいて複数の前記吐出エネルギー発生素子のそれぞれに対面するように前記素子基板上に複数設けられ、前記液流路内の液体の流れ方向の上流側の端部が固定されると共に下流端が自由端となっている板状の可動部材と、前記複数の流路側壁の、前記素子基板側と反対側の面に接合された天板とを有し、
    前記素子基板の表面には、前記複数の可動部材に対応する領域の少なくとも一部および該領域の周辺に渡って延び、前記吐出エネルギー発生素子とそれぞれ電気的に接続された複数の電極層が形成されている液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記素子基板の表面に複数の前記吐出エネルギー発生素子が設けられるとともに複数の前記電極層が形成された前記素子基板を用意する工程と、
    前記素子基板の表面に、前記気泡発生領域の空間に相当する型部材を形成する工程と、
    前記型部材を覆うように、前記可動部材を形成するための第1の材料層を積層する工程と、
    前記第1の材料層の表面に、前記第1の材料層に対して耐エッチング性を有する耐エッチング保護膜を積層する工程と、
    前記電極層における前記液流路内の液体の流れ方向に対して直角な方向の幅よりも、前記可動部材における前記液流路内の液体の流れ方向に対して直角、かつ前記素子基板の表面と平行な方向の幅が小さい形状の前記可動部材となるように前記耐エッチング保護膜をパターニングする工程と、
    パターニングされた前記耐エッチング保護膜を覆うように、前記流路側壁を形成するための第2の材料層を積層する工程と、
    前記第2の材料層の、前記液流路に対応する部分をエッチングにより除去し、前記流路側壁および前記液流路を形成する工程と、
    前記液流路を形成する工程後に前記型部材を除去し、前記可動部材を形成する工程とを有する液体吐出ヘッドの製造方法。
  13. 前記可動部材の材料として窒化シリコンを用いる請求項7〜12のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  14. 前記可動部材の材料として窒化シリコンを、前記型部材の材料としてPSGを、前記耐エッチング保護膜の材料としてアルミニウムを用いる請求項13に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
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