JP3862416B2 - 光学素子の成形方法およびその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱されたガラス素材をプレスして得られる光学素子の成形方法、およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガラス素材を加熱してプレス成形する光学素子の成形方法において、ガラス素材の加熱には、その初期において、ヒータにより、型を加熱する方法が行われていたが、近年においては、成形サイクル短縮や型の耐久性向上のために、型の外にある加熱炉により加熱する方法や、型内にあるガラス素材を専用のヒータで加熱する方法などが行われてきており、それについて、様々な工夫がなされている。
【0003】
例えば、特開平7−237925号公報に記載の方法では、胴型の開口部付近にハロゲンランプを設置し、さらに、ガラス素材付近に設けた波長変換部材により加熱を行っている。また、特開平6−345466号公報に記載の方法では、成形素材加熱用ヒータを、胴型の開口部に対して、出入り可能に動作する構成にして、胴型内で成形素材の加熱を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、コストに対する要求がますます厳しくなってきており、更なる成形サイクル短縮や型の耐久性向上が望まれている一方で、レンズ形状の要求も拡大してきており、比較的口径の大きなレンズ成形に対するコストダウンも望まれている。
【0005】
前述のように、型の外にある加熱炉によりガラス素材を加熱する場合では、ガラス素材が高温でかつ軟化するため、プレス前にガラス素材が変形したり、ガラス素材を型内に搬送する搬送部材において、ガラス素材との接触部での変質やガラス融着が発生し易いなどの問題があり、この影響は、ガラス素材の容量が大きくなるほど、受け易かった。
【0006】
また、特開平7−237925号公報に記載の方法では、熱源となるハロゲンランプ自体が、ガラス素材から比較的離れたところにあるために、加熱効率が今一つであることと、さらに、この実施形態では、均一に加熱するために、胴型の開口部にハロゲンランプがあり、開口部の両側から加熱を行っているので、ガラス素材を型内に出し入れする搬送装置との干渉を考慮して、装置を設計しなければならず、装置が複雑になる問題などがあった。
【0007】
特開平6−345466号公報に記載の方法の場合は、胴型の中に成形素材加熱用ヒータが内蔵されているため、型構造が複雑になるだけでなく、成形素材加熱用ヒータと型加熱用ヒータとが近くにあって、互いに干渉し易いため、型加熱用ヒータに対して、成形素材加熱用ヒータを、常に高温に設定しておくことができず、加熱効率の向上には、自ずと限界があった。
【0008】
本発明は、上記事情に基づいてなされたもので、その第1の目的とするところは、ガラス素材を不用意に変形させたり、複雑な装置や型を用いることなく、ガラス素材の加熱効率を向上させることで、成形サイクルを短縮し、かつ、型の耐久性を向上した光学素子の成形方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の第2の目的とするところは、一段とガラス素材の加熱効率を向上させるとともに、冷却時に冷却効率を落とさずに、型の外周部の温度バラツキを抑えて成形でき、全体の成形サイクルを短縮し、しかも、成形精度の高い光学素子の成形方法を提供することにある。
【0010】
更に、本発明の第3の目的とするところは、比較的加熱時間のかかる容量の大きな光学素子の成形においても、上述のメリットを有効に達成できる光学素子の成形方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、上下一対の成形型を胴型内で同軸上に摺動可能に設置し、搬送手段により、胴型側部に設けられた開口部からガラス素材を下型の上に載置するとともに、前記ガラス素材を加熱、軟化した後、上下型間でプレス成形し、その後、成形品を上下型間に保持したまま、所定の温度まで冷却を行い、型を開いて前記搬送手段により、胴型内から成形品を搬出するようにした光学素子の成形方法において、前記ガラス素材の表面形状に倣った加熱面を有する加熱手段を、前記開口部から前記胴型内の上下一対の成形型の間に入れた後、前記加熱手段を下降もしくは前記下型を上昇させることにより、前記加熱手段の加熱面とガラス素材を近接させて前記ガラス素材を加熱することを特徴とする。
【0012】
これにより、加熱手段を胴型開口部の一方向から入れて、加熱手段の加熱面でガラス素材を覆うようにしても、加熱手段がガラス素材に直接触れることなく、胴型内でガラス素材に近接させ、加熱することができる。また、加熱源そのものをガラス素材近傍に位置することができる。
【0013】
また、本発明では、上述の構成からなる光学素子の成形方法において、更に、前記加熱手段と、前記下型と、前記ガラス素材の外周部に隙間を明けて設置されたリング部材とにより前記ガラス素材を囲んだ状態で、前記ガラス素材を加熱することを特徴とする。
【0014】
これにより、上述同様に、加熱手段をガラス素材に近接させ、加熱することができるだけでなく、リング部材および下型との隙間が保温材となり、加熱効率がさらに向上し、かつ、プレス成形時および冷却時においては、リング部材と上下の型が、互いに略閉塞空間をつくり、リング部材が型の温度を奪うことなく、ガラス周辺部を外気から遮断するために、ガラスの温度分布を均一に保つことができる。
【0015】
なお、加熱成形されるガラス素材が、厚みで8mm以上、外径で15mm以上の形状、または、容量で800mm3 以上のいずれかの、大型のものである場合において、加熱時間・型耐久・面精度のいずれも不利なガラス素材に上述の成形方法が有効である。
【0016】
また、本発明の好ましい実施の形態として、ガラス素材を加熱する際、加熱手段の温度を、前記ガラス素材の109 ポアズの粘度に相当する温度より100℃以上、高い温度に設定し、かつ、前記加熱手段の加熱面とガラス素材との最短の距離が3mm以下となるように近接させると、これにより、より加熱効率を向上することができる。
【0017】
また、本発明の上述の方法を実現する装置として、本発明では、上下一対の成形型胴型内で同軸上に摺動可能に設置されており、搬送手段により、胴型側部に設けられた開口部を通じてガラス素材を下型の上に載置し、加熱手段により前記ガラス素材を軟化した後、前記上下一対の成形型により上下型間でプレス成形し、その後、冷却手段により成形品を上下型間に保持したまま所定の温度まで冷却を行い、前記成形型を開いた後、前記搬送手段により胴型内から成形品を搬出する光学素子の成形装置において、前記加熱手段は、前記ガラス素材の表面形状に倣った加熱面を有しており前記胴型開口部の一方向から胴型内の上下一対の成形型間に配置され、駆動手段により前記加熱手段の加熱面と前記ガラス素材の表面が近接及び離反することを特徴とする
【0018】
これにより、加熱手段を胴型開口部の一方向から入れて、加熱手段の加熱面でガラス素材を覆うようにしていたとしても、加熱手段をガラス素材に直接触れさせることなく、ガラス素材に近接させて加熱し、また、加熱終了後にガラス素材より離反して、胴型外へ退避することができる。
【0019】
更に、本発明の上述の装置において、前記下型およびガラス素材の外周部には、隙間を明けてリング部材が設置されており、前記ガラス素材を加熱する際は、前記胴型開口部の一方向から胴型内の上下一対の成形型間に配置され、前記加熱手段と前記下型と前記リング部材とにより、前記ガラス素材を囲うことにより、加熱手段をガラス素材に近接させ、加熱することができると共に、リング部材および下型との隙間が保温材となり、加熱効率を更に向上し、かつ、プレス成形時および冷却時においては、リング部材と上下の型とが互いに略閉塞空間をつくり、このため、リング部材が型の温度を奪うことなく、ガラス周辺部を外気から遮断するので、ガラスの温度分布を均一に保つことができる。
【0020】
なお、リング部材の代わりに、あるいは、前記リング部材と共に、前記加熱手段の加熱面が、ガラス素材の側面外周を囲む形状となっていてもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図3の装置を参照して、具体的に説明する。本発明の第1の実施の形態は、図1に示されており、第2の実施の形態は、図2および図3に示されている。
【0022】
(第1の実施の形態)
図1において、成形型の外殻部を構成する胴型3は、基準面11上に設置されており、その中心軸上には、この胴型3を上下に貫通した状態で、貫通穴が形成されている。これらの貫通穴の内、上側の貫通穴には、円柱状に形成された上型部材1が、嵌合した状態で、上下方向に沿って摺動可能に挿入されており、上型部材1の下面中央には、成形面が形成されていて、これにより、ガラス素材6を押圧して、その表面に所望の形状を転写して、光学機能面を形成するのである。
【0023】
なお、上型部材1の上方には、ガラス素材6に印加するプレス圧を発生させるための駆動源(例えば、ピストン・シリンダ機構)12が配置されており、この駆動源12が作動して、上型部材1を下方に向けて押し出すことにより、ガラス素材6にプレス圧を印加するのである。また、上型部材1には、ヒータ7および成形面近傍の温度を測定するためのセンサー(図示せず)が設置されており、更にN2 ガス供給源(図示せず)よりN2噴出管(図示せず)を通して、上型部材1を冷却するようにしてある。
【0024】
一方、胴型3の下側の貫通穴には、円柱状に形成された下型部材2が嵌合した状態で、上下方向に沿って摺動可能に挿入されており、その下型部材2の上面中央には、成形面が形成されていて、これにより、ガラス素材6を押圧して、その表面に所望の形状を転写して、光学機能面を形成するのである。
【0025】
なお、下型部材2の下部には、同じく、駆動源(例えば、ピストン・シリンダ機構)13が配置されており、この駆動源13を作動して、基準面11に形成された貫通穴を介して、下型部材2の下面に当接されている。また、この駆動源はプレス変形動作が終了した後の冷却過程において、成形品の面形状が崩れることを防止するために、下型部材2を上方に押し上げて、成形品に所要の圧力を作用させる。また、下型部材2には、ヒータ8および成形面近傍の温度を測定するためのセンサー(図示せず)が設置されており、更にN2 ガス供給源(図示せず)よりN2噴出管(図示せず)を通して、下型部材2を冷却するようにしてある。
【0026】
胴型3の側面には、開口部10が形成されており、例えば、この開口部10の右側よりオートハンドなどの搬送部材(図示せず)を介して、成形型の内部へガラス素材6が供給され、また、成形の完了した成形品が成形型の内部から取り出される。また、この開口部10の左側からは、本発明に係わる加熱部材4が挿入され、ガラス素材6が加熱される。
【0027】
加熱部材4は、その加熱面4a近傍にヒータ9を内蔵し、これより、ガラス素材6を加熱すると共に、ガラス素材6の外周を覆うように外周部4bを備えている。また、加熱部材4は、支持部材5に設置された駆動源(例えば、ピストン・シリンダ機構)15に接続され、上下に移動可能であり、更に、支持部材5は、駆動源(例えば、ピストン・シリンダ機構)14に接続されていて、加熱部材4を胴型3の開口部10に対して出入り可能に構成している。
【0028】
なお、前述の上型部材1、下型部材2および加熱部材4に内設されたヒータ7〜9は、それぞれ独立した温度調節機(図示せず)に接続され、それぞれ、センサー(図示せず)により温度を検出して、これに基づいて、温度調節機を制御することで、付勢される。
【0029】
次に、上記のように構成された成形型を用いて、レンズを成形する手順について説明する。まず、駆動源12を引き込み動作させて、上型部材1を胴型3に対して上方にスライドさせ、下型部材2から逃がしておく。また、駆動源14と駆動源15についても、引き込み動作した状態におき、更に、加熱部材4は上昇したままで、胴型3の左外側で待機してある。
【0030】
この状態において、胴型3の開口部10の右側より、搬送部材を介して、ガラス素材6を下型部材2の成形面上に供給する。なお、上型部材1および下型部材2は、所定の成形条件に対応した温度に調整されている。ガラス素材6が下型部材2の成形面上に供給されると、まず駆動源14が駆動(押し出し動作)され、支持部材5を介して、加熱部材4を胴型3の開口部10左側より挿入する。
【0031】
次に、駆動源15の駆動(押し下げ動作)により、加熱部材4を押し下げ、加熱面4aがガラス素材6に対して所定の位置になるまで接近させ、そこで、ガラス素材6の加熱を行う(図1の状態)。この時、加熱部材4の外周部4bによって、ガラス素材6の側面部の加熱を行うが、このような加熱部材4の一連の動作で、外周部4bがガラス素材6に触れることがない。
【0032】
上型部材1、下型部材2およびガラス素材6が所定の温度に到達すると、まず駆動源15の逆駆動(引き込み動作)により、加熱部材4が上昇し、次に、駆動源14の逆駆動(引き込み動作)により、加熱部材4が胴型3の左外側に退避する。その後、直ちに駆動源12を駆動(押し出し動作)させて、ガラス素材6の上面に上型部材1の成形面を当接させ、ガラス素材6にプレス圧を印加させて、押圧成形を行う。
【0033】
ガラスの成形動作が終了すると、冷却工程に移り、上型部材1と下型部材2は、それぞれのN2 噴出管を通して供給されるN2 ガスによって、その冷却を促進される。冷却開始後、数秒経過した後に、成形品の面形状が崩れないように、駆動源13を駆動(押し出し動作)させ、下型部材2を下方から押圧し、成形品に圧力を印加する。そして、所定の温度まで温度が低下した時に、駆動源13を逆駆動(引き込み動作)させて、下型部材2にかかる圧力を解除する。その後、駆動源12を逆駆動(引き込み動作)させて、上型部材1を上方に移動させ、成形品を、搬送部材を介して、胴型3の開口部10の右側より外部に取り出す。
【0034】
ここで、カメラに使用されるレンズを例に、更に詳細な説明を行う。ここではガラス素材に重クラウンガラス(屈折率:1.58、アッベ数:59.4、転移点:506℃)で、φ9.9mmのボール形状のものを使用し、両面とも凸非球面(近似R=14mm)で外径:φ13mm、中心肉厚:4.8mm、コバ肉厚:1.9mmの両凸レンズを成形する。
【0035】
まず、上型部材1および下型部材2の温度が470℃(1015.2ポアズ相当)の時にガラス素材6を投入し、700℃に加熱された加熱部材4を、前述のようにガラス素材6に近接させ、加熱を行う。この時、ガラス素材6と加熱面4aとの最短部の距離を2.5mmとした。この状態で、上型部材1および下型部材2の温度が580℃(109.0 ポアズ相当)になり、しかも、ガラス素材6の温度も580℃(109.0 ポアズ相当)になった時点で、上型部材1により、押圧成形し、型の成形面をガラス素材(ガラス塊)に転写した。
【0036】
次に、冷却を開始し、560℃(109.8 ポアズ相当)で、下型部材2によって、成形品に押圧力を加え、490℃(1013.5ポアズ相当)になった時点で、下型部材2への圧力も解除した。その後、470℃(1015.2ポアズ相当)で上型部材1を上昇させて、型を開き、成形品の取出しを行った。
【0037】
上記のような一連の動作により、レンズの成形を行ったところ、ガラス素材の加熱時間を60秒以下とすることができ、また、500ショット行った後で、成形した型を調べたが、問題になるような特別な異常は、存在しなかった。
【0038】
因みに、従来の方式では、ガラス素材の加熱時間に100秒以上かかっており、また、500ショット後の型を調べたら、下型の中心付近が変質しており、これが原因で、レンズの中央部にクモリが生じ、明らかに外観不良であった。
【0039】
(第2の実施の形態)
図2には、本発明の別の実施の形態が示されており、ここでは、胴型3の開口部10の中で、下型部材22の成形面外周に、下型部材22とは隙間を明けて、リング部材30が配置されている。そして、この構成を除いては、第1の実施の形態と、その構成がほぼ同様であるため、その重複する構成部分についての詳細な説明は、省略する。
【0040】
ここでの相異点は、リング部材30がある以外に、成形するガラス形状の違いと、加熱部材24の加熱面24aの形状が加熱時に中央部から外周部24bにかけて、ガラス素材26の表面とほぼ等間隔となる形状であることである。
【0041】
次に、上記のように構成された成形型により、レンズを成形する手順について説明するが、工程そのものも、やはり第1の実施の形態とほぼ同様であるので、その部分は説明を省略する。
【0042】
この実施の形態では、ガラス素材26が下型部材22の上に供給された後、加熱面24a近傍にヒータ29を内蔵した加熱部材24が、胴型3の中に挿入され、その加熱面24aがガラス素材26に近接して、加熱を始めるが、この時、加熱面24aと下型部材22の成形面とは、リング部材30により、保温された形となり、また、ガラス素材26は、ほぼ外気から遮断された形となるため、加熱効率が大きく向上するとともに、ガラス素材26の温度ムラもでき難くなり、均一な温度での加熱が可能となる。
【0043】
上型部材21、下型部材22およびガラス素材26が、所定の温度に到達すると、第1の実施の形態と同様に、加熱部材24が胴型3の左外側に退避する。
【0044】
その後、押圧動作が行われるが、プレス成形終了状態においては、図3に示すように、上型部材21と下型部材22の成形面は、リング部材30により、保温された形となり、また、ガラス素材26(成形品26′)は、ほぼ外気から遮断された形となるため、型やガラスの外周部が冷えて、ガラス素材26の外周部がプレス成形し辛くなるようなこともなくなる。
【0045】
さらに、冷却工程へと移るが、この時も、上型部材21、下型部材22、リング部材30および成形品26′の位置関係は、ほぼ変わらないため、プレス成形工程と同様に、外周部が冷え易くなることもなく、冷却および冷却中の下型部材22による押圧動作が行われ、成形品26′が取出される。よって、冷却中の成形品に温度ムラも発生しないため、面精度の優れた成形品が得られる。なお、リング部材30は、ヒータが内蔵されている訳けではなく、また、直接に上型部材21、下型部材22に接している訳けでもないので、冷却効率を悪化させることもない。以上の製造工程で、より成形サイクルが短く、かつ面精度の優れた成形品が得られる。
【0046】
ここで、第1の実施の形態と同様に、カメラに使用されるレンズを例に更に詳細な説明を行うことにする。即ち、ガラス素材に、ランタン系ガラス(屈折率:1.68、アッベ数:54.9、転移点:562℃)で、外径:φ21mm、厚み:10.5mm、上面側中心部の曲率半径14mm、下面側中心部の曲率半径38mmの溶融ガラス塊(ゴブ)を下型で受けて、この際に得られたものを使用し、下面側凸R=45mm、上面側凹非球面(近似R=16mm)で、外径φ=28.0mm、中心肉厚=1.5mm、外周肉厚=4.2mmの凹メニスカスレンズを成形する。
【0047】
まず、上型部材21および下型部材22の温度が、530℃(1014.9ポアズ相当)の時、ガラス素材26を投入し、800℃に加熱された加熱部材24を、前述のように、ガラス素材26に近接させ、加熱を行う。この時、ガラス素材6の上面と加熱面4aとの距離を2mmとし、下型部材22および加熱部材24の外周部24bとリング部材30との径方向の隙間を片側:1.5mmとした。
【0048】
この状態で、上型部材21および下型部材22の温度が625℃(109.0 ポアズ相当)になり、しかも、ガラス素材6の温度が680℃(106.5 ポアズ相当)になった時点で、上型部材21により、押圧成形し、型の成形面をガラス素材の界面に転写した。この時、上型部材21と下型部材22の外形は、同寸法としてあるため、上型部材21は、やはり、隙間を片側:1.5mm空けて、リング部材30の中に入った状態となっている。
【0049】
次に、この状態のまま、冷却を開始し、610℃(109.6 ポアズ相当)で、下型部材22により成形品に押圧力を加え、540℃(1014.1ポアズ相当)になった時点で、下型部材22の圧力も解除した。その後、530℃(1014.9ポアズ相当)で、上型部材21を上昇させ、型を開き、成形品の取出しを行った。
【0050】
上記のような一連の動作により、レンズの成形を行ったところ、ガラス素材の加熱時間が大幅に短縮され、110秒以下となり、また、500ショット、成形を行った後に、成形した型を調べたが、特に問題となる異常はなかった。また、通常、比較的口径の大きな成形品は、冷却の際に、外周部に温度分布のバラつきが生じ易く、面精度が出にくい傾向があるが、今回の成形品は、面精度も良好であり、アス面やクセの程度も、ニュートン縞で0.5本以内の差であった。
【0051】
因みに、従来の方式では、ガラス素材の加熱時間に240秒以上もかかっており、また、500ショット後の型を調べたら、下型の中心付近の変質および外周付近の型の摩耗がかなり発生しており、これが原因で、レンズの外観不良や離型性の悪化などが生じていた。また、成形品の面精度については、アス面やクセがニュートン縞で2本以上発生し、良好な成形品が得られなかった。
【0052】
このように、比較的口径の大きなレンズほど、そのガラス素材の加熱に時間がかかるようになり、また、面精度も出しづらくなるため、本発明の製造方法およびその装置を適用した場合の効果も、充分大きくなる。
【0053】
なお、本発明の上述の実施の形態では、加熱手段の加熱面とガラス素材を近接させるために、加熱手段を下降させているが、場合によっては、下型部材の方を上昇させる構成にしてもよい。また、これらの実施の形態では、加熱手段の加熱面がガラス素材の側面外周を囲む形状となるものについて説明しているが、特にこの形状に限定するものではなく、加熱面がガラス素材に近接した状態で、加熱されていればよく、例えば、上面が凹面形状のガラス素材の場合は、加熱面がそれに対応した凸面形状をしている加熱手段などが適用できること、勿論である。
【0054】
さらに、本発明の実施の形態では、説明の簡便のために、1個取りの成形装置の例で説明しているが、勿論、その成形型の個数に制限はなく、1個の成形装置で、例えば、同時に4個取りするように、装置を構成するなどの変形は、その具体策として、当然、行われるものである。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、胴型開口部の一方向から胴型内に対して出入り可能に構成しかつ加熱面近傍に加熱源を設置した加熱手段を、胴型内に入れた後、加熱手段の加熱面とガラス素材を近接させて、ガラスを加熱するようにしたために、胴型側面から加熱部材を入れる場合でも、加熱面で、ガラス素材の側面を覆う際に、加熱手段が直接、ガラス素材に触れることがなく、ガラス素材に近接させ、加熱することができ、また、加熱源そのものも、ガラス素材近傍に位置することができる。よって、加熱部材が変質したり、ガラスが変形・融着するようなこともなく、加熱効率を上げることができる。これにより、成形サイクルが短縮され、ガラスに対する型の耐久性も向上するなど、多くの効果が得られる。
【0056】
また、本発明によれば、更に、下型およびガラス素材の外周部に隙間を明けて設置されるリング部材とともに、ガラス素材を囲んで、ガラスを加熱し、プレス成形時および冷却時、前記リング部材が、上下型および成形品外周部に隙間を明けた状態で、位置したまま、成形するようにしたため、加熱手段をガラス素材に近接させ、加熱できる効果を得るだけでなく、リング部材により、加熱効率がさらに向上し、また、プレス成形時および冷却時においても、リング部材により、上下型の成形面およびガラスの外周部の温度低下とバラツキを防ぐことができ、ガラスの温度分布を均一に保つことができるため、プレス時にガラス外周部が冷えて、割れたり、型と擦れるようなこともなくなり、また、面精度の優れた成形品が得られるなど、コスト、精度の両方でも、優れた効果が得られる。
【0057】
また、本発明では、胴型開口部の一方向から胴型内に対して出入り可能に構成しかつ加熱面近傍に加熱源を設置した加熱手段と、加熱手段の加熱面とガラス素材を近接・離反させるための手段とを装備したため、胴型側面から加熱部材を入れる場合でも、前記加熱手段が、ガラス素材の側面を覆うような加熱面の形状を有することで、ガラス素材に直接触れることなく、ガラス素材に近接させて加熱し、加熱終了後には、ガラス素材より離反して胴型外へ退避することができる。
【0058】
また、加熱時には、加熱源そのものがガラス素材近傍に位置するようになり、上述の本発明の成形方法における効果を達成すると共に、加熱部材を一方向から入れられるため、加熱部材の形状も簡素になり、また、ガラスの搬送部材の、胴型に対する出入りと干渉するようなこともないため、装置の設計が簡素化される効果が大きい。
【0059】
この場合、更に、下型およびガラス素材の外周部に隙間を明けて設置されるリング部材にて、ガラス素材を囲むようにして加熱する手段を有し、プレス成形時および冷却時においては、リング部材が上下型および成形品の外周部の隙間を明けた位置に設置されることにより、一段とガラス素材の加熱効率を高め、冷却時に冷却効率を落とさずに、型およびガラスの外周部の温度低下とバラツキを抑えることができる。
【0060】
また、加熱手段の加熱面を、ガラス素材の側面外周を囲む形状とすることで、ガラス素材の側面外周部も加熱できるとともに、ガラス素材全体を外気からほぼ遮断することができるので、より加熱効率が向上するとともに、ガラス素材全体を均一に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る、光学素子の成形方法を実施する装置の構成を示した正面断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る、光学素子の成形方法を実施する装置の構成を示した正面断面図である。
【図3】同じく、プレス動作のほぼ終了した、成形型付近を示した正面断面図である。
【符号の説明】
1、21 上型部材
2、22 下型部材
3 胴型
4 加熱部材
4a、24a 加熱面
4b、24b 外周部
5 支持部材
6、26 ガラス素材
26′ 成形品
7、8、9 ヒータ
10 開口部
11 基準面
12、13、14、15 駆動源
30 リング部材

Claims (5)

  1. 上下一対の成形型を胴型内で同軸上に摺動可能に設置し、搬送手段により、胴型側部に設けられた開口部からガラス素材を下型の上に載置するとともに、前記ガラス素材を加熱、軟化した後、上下型間でプレス成形し、その後、成形品を上下型間に保持したまま、所定の温度まで冷却を行い、型を開いて前記搬送手段により、胴型内から成形品を搬出するようにした光学素子の成形方法において、前記ガラス素材の表面形状に倣った加熱面を有する加熱手段を、前記開口部から前記胴型内の上下一対の成形型の間に入れた後、前記加熱手段を下降もしくは前記下型を上昇させることにより、前記加熱手段の加熱面とガラス素材を近接させて前記ガラス素材を加熱することを特徴とする光学素子の成形方法。
  2. 上下一対の成形型を胴型内で同軸上に摺動可能に設置し、搬送手段により、胴型側部に設けられた開口部からガラス素材を下型の上に載置するとともに、前記ガラス素材を加熱、軟化した後、上下型間でプレス成形し、その後、成形品を上下型間に保持したまま、所定の温度まで冷却を行い、型を開いて前記搬送手段により、胴型内から成形品を搬出するようにした光学素子の成形方法において、加熱面の近傍に加熱源が設置された加熱手段を、前記開口部から前記胴型内の上下一対の成形型の間に入れた後、前記加熱手段を下降もしくは前記下型を上昇させることにより、前記加熱手段の加熱面とガラス素材を近接させ、前記加熱手段と、前記下型と、前記ガラス素材の外周部に隙間を明けて設置されたリング部材とにより、前記ガラス素材を囲んだ状態で、前記ガラス素材を加熱することを特徴とする光学素子の成形方法。
  3. 上下一対の成形型が胴型内で同軸上に摺動可能に設置されており、搬送手段により、胴型側部に設けられた開口部を通じてガラス素材を下型の上に載置し、加熱手段により前記ガラス素材を軟化した後、前記上下一対の成形型により上下型間でプレス成形し、その後、冷却手段により成形品を上下型間に保持したまま所定の温度まで冷却を行い、前記成形型を開いた後、前記搬送手段により胴型内から成形品を搬出する光学素子の成形装置において、前記加熱手段は、前記ガラス素材の表面形状に倣った加熱面を有しており、前記加熱手段を胴型開口部の一方向から胴型内に対して出入り可能にさせるための駆動手段と、前記加熱手段の加熱面前記ガラス素材の表面近接及び離反させるための駆動手段を備えることを特徴とする光学素子の成形装置。
  4. 上下一対の成形型が胴型内で同軸上に摺動可能に設置されており、搬送手段により、胴型側部に設けられた開口部を通じてガラス素材を下型の上に載置し、加熱手段により前記ガラス素材を軟化した後、前記上下一対の成形型により上下型間でプレス成形し、その後、冷却手段により成形品を上下型間に保持したまま所定の温度まで冷却を行い、前記成形型を開いた後、前記搬送手段により胴型内から成形品を搬出する光学素子の成形装置において、前記加熱手段を胴型開口部の一方向から胴型内に対して出入り可能にさせるための駆動手段を備えており前記加熱手段には加熱面近傍に加熱源が設置されており、前記下型およびガラス素材の外周部には隙間を明けてリング部材が設置されており、前記ガラス素材を加熱する際に、前記加熱手段と前記下型と前記リング部材が前記ガラス素材を囲むようにしたことを特徴とする光学素子の成形装置。
  5. 前記加熱手段の加熱面が、ガラス素材の側面外周を囲む形状となっていることを特徴とする請求項3あるいは4に記載の光学素子の成形装置。
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