JP3862190B2 - 焼却炉のばいじん処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般廃棄物や産業廃棄物の焼却炉において、焼却炉から排出される廃棄物の内、ばいじんを一般廃棄物として処理できるようにするための中間処理を施す処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ばいじんは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)の改正法により特別管理一般廃棄物に指定され、厚生大臣の定める次に4つの方法の何れかによって中間処理を施さなければ一般廃棄物として埋め立て処分等をすることができない(厚生省告示第194号)。
(1)溶融固化,(2)セメント固化,(3)薬剤処理,(4)酸その他の溶媒による安定化。なお、ここで、ばいじんとは、電気集塵機やバグフィルタなどの処理集塵施設によって集められたものに限らず、ボイラーダストでの飛灰や溶融炉での飛灰なども含む意味で使用するものとする。
【0003】
ごみが千数百度という高温で焼却される際、ゴミ中の重金属の一部はその高温によって揮散(蒸発)するが、これらは飛灰とともに集塵機で捕集される。そのため、ばいじん中には重金属が多く含まれることになる。ばいじんを埋め立て処分する際、ばいじんに含まれる重金属が溶出しないようにするのが上記の中間処理の目的である。
【0004】
上記中間処理の内、薬剤処理法は設備面、維持管理面、技術の確立の面において優れている。
【0005】
中間処理されたばいじん中の鉛,カドミウム,六価クロム,砒素,水銀,及びセレンの重金属に関して溶出基準が定められており、処分するためにはその基準を満たさなければならない。
【0006】
又、この重金属の他に、ばいじん中に含まれる塩化水素を処理するために、排ガスライン中に消石灰を添加する。ばいじんを10%水溶液にした場合、通常の場合のpH値は9程度であるが、消石灰注入後の水溶液ではpH値は11〜13程度となる。中間処理された場合の中の鉛は、pH値が10程度のときに最も溶出しにくく、pH値がそれよりも高くなっても低くなって溶出し易くなることが知られている。消石灰をふくみアルカリ剤により排ガス処理を行う焼却施設で発生するばいじんは、その水溶液のpH値が高いため、鉛の溶出が著しい。
【0007】
一方、アルカリ剤による排ガス処理を行わない場合には、ばいじんの水溶液のpH値は6〜10程度を示すため、鉛及びカドミウムが溶出基準以上に検出される場合がある。そのため、薬剤処理法では、重金属が溶出しにくくなる重金属安定剤として液体キレートを添加すると共に、pH調整剤によるpH調整を行っている。
【0008】
法に定められた測定方法によれば、中間処理されたばいじんからの重金属の溶出量は、処理物を6時間かけて水に溶出させ、その上澄み液に酸処理及び溶媒抽出など処理を施した後、原子吸光分析により測定を行う。従って、このように長時間を要する分析結果をばいじんの処理装置にフィードバックさせても、時間遅れが大きすぎてばいじんの性状が変化してしまうおそれがあり、安定な中間処理を行うことができない。そのため、ばいじんの性状が変化しても重金属の溶出量が基準を越えないような過剰な一定量の液体キレート等の重金属安定剤を添加している。
【0009】
又、中間処理後のpH値を10付近へ設定することによって、重金属の溶出を規定範囲内に抑えることができる場合もある。その場合にも、ばいじん及びその処理物は固体であるため、そのpH値は容易に測定できない。そのため、現在は一定量のpH調整剤を注入している。
【0010】
図7は従来の焼却炉のばいじん処理装置において、ばいじんの分析を行う分析機構を説明するための概略ブロック図である。
【0011】
図7において、分析前処理機構10(二点鎖線で囲まれる部分)は、ばいじんサイロ21から分析用のばいじんを採取する採取部5と、採取したばいじんから一定量を計量する計量部8と、計量した一定量のばいじんを用いて、分析用の溶出水を生成する溶出容器7と、計量部8内で飛散するばいじんを集める集塵機9と、計量部8で排出される残余灰をばいじんサイロ21に回収するリターンコンベア11を備える。
【0012】
ここで、計量部8は微量切り出しが可能な振動フィーダ式計量機を用いることによって、秤量精度の向上を図っている。この振動フィーダ式計量機は、受入ホッパ81と振動フィーダ式の定量機82を備え、計量ホッパ83及びホッパ84、85は、計量排出と残余排出で移動する。又、分析サンプルとして正量したばいじんは計量ホッパ83、及びホッパ85を介して溶出容器7に排出され、正量前後の残余したばいじんは計量ホッパ83及びホッパ84を介してリターンコンベア11に排出される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来、薬剤処理では、薬剤の投入量を定めるために、各焼却場のばいじんを人為的に採取して環境分析業者にサンプルを送付し分析を依頼している。そして、得られた分析結果を用いて、安定化薬剤等の薬剤の投入量を、ばいじん中に含まれる重金属の最大濃度に対応できるように過剰投入し、安定化処理後の処理物から溶出する重金属の溶出濃度が規定値を越えないようにしている。
【0014】
しかしながら、ばいじん中の重金属の採取及び分析は年1回程度であるため、連続的に運転されるごみ焼却場のばいじん中に含まれる重金属の濃度が急激に上昇したとしても、投入する薬剤量は一定であるため、その時点の処理物の溶出濃度は規定値を越える事態が懸念されている。
【0015】
そのため、常時、無人で連続してばいじん中の重金属の溶出濃度をモニタリングし、この分析結果に基づいて安定化処理を行うことができる、自動ばいじん処理装置が求められている。
【0016】
このような、自動ばいじん処理装置には種々の解決すべき課題があり、従来実現が困難であった。例えば、ばいじんには組成として、SiやCa等の塩基度が高いものが多く含まれており、これらは吸湿度が高いため、粉体移送や計量の自動化が困難である。又、ばいじん中の重金属の溶出濃度を測定するために、サンプリングしたばいじんの一定量を計量する必要があり、定量化のために秤量精度を向上させるには微量切り出しが可能な振動フィーダ式計量機等を必要とするが、この振動フィーダ式計量機では、灰の付着や飛散により計量機のメンテナンスの経費が高くなり、安定した運転が困難であるという問題がある。さらに、従来の計量機では、計量灰と計量前後の残余灰を切り換えて排出するため複雑な切替排出機構が必要であり、装置が大型化するとうい問題がある。
【0017】
又、外部環境に対するばいじんの影響を低減するには、密閉系のネジ式微量切り出し計量機が適しているが、この計量機では、排出粉体の固まり具合が異なり、ばらつきが大きくなるという問題がある。
【0018】
そこで、本発明は前記した従来の焼却炉のばいじん処理装置の持つ問題点を解決し、無人による自動連続運転を行うことができる焼却炉のばいじん処理を提供することを目的とするものであり、この無人による自動連続運転を達成するためのより詳細な目的として、切替排出機構を要さず小型の計量機に好適なばいじん処理を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の焼却炉のばいじん処理方法は、装置採取部によって分析用のばいじんを採取し、この採取部で採取したばいじんから一定量を定量部によって秤量し、秤量した秤量灰を溶出容器で溶出し、この溶出容器中の溶出水の一部を分析部によって分析し、秤量灰を溶出した溶出容器内に採取したばいじんの残余灰を排出する。これによって、採取したばいじんの秤量灰と残余灰の全てを溶出容器から溶出水と共に排出する。本発明のばいじん処理方法によれば、切替排出機構が不要であるため、小型の計量機に好適である。
本発明の焼却炉のばいじん処理方法による装置は、一定量のばいじんを求める計量機において、計量灰の排出の後、残余灰の排出を同一排出口から排出することによって、切替排出機構を必要としない計量機を構成とすることができ、上記計量機及びばいじんが灰状態にある部分を機密構造とすることによって、付着灰や飛散灰を軽減させることができる。
【0021】
本発明の焼却炉のばいじん処理方法によるばいじん処理装置は、上記構成を達成するためのばいじんの分析機構として、分析用のばいじんを採取する採取部と、採取部からのばいじんの一定量を秤量する定量部と、秤量した灰を溶出する溶出容器と、溶出容器中の溶出水を分析する分析部とを含み、少なくとも採取部と定量部を密閉状態とする構成とし、同一の排出口を通して計量灰と残余灰を溶出容器内に排出し、溶出容器は計量灰と残余灰を溶出水と共に排出を行う構成とする。
【0022】
採取部は、固化処理等のためにばいじんを蓄積しているばいじんサイロ等の設備から分析用にばいじんを採取して分析部に移送を行う構成部分であり、空気輸送式サンプラーや循環ポンプ式サンプラー等を用いることができる。
【0023】
定量部は、採取部で採取したばいじんから一定量の灰を秤量する構成部分であり、秤量した灰を溶出する溶出容器に排出する。
【0024】
溶出容器は、ばいじんから溶出する重金属の濃度やPアルカリ度の分析を行うための定量水を溜める容器であり、定量部で秤量した一定量の灰を含む溶出水の上澄み液を用いて分析を行い、分析後は溶出容器内に定量部に残る残余灰も投入し、計量灰と残余灰を溶出水と共に排出する。
【0025】
分析部は、溶出容器中の溶出水に含まれる重金属の濃度やPアルカリ度又はカルシウム溶出量を分析する構成部分であり、重金属の分析には原子吸光光度計やICP(誘導結合プラズマ)装置を用いることによって、鉛、カドミウム、6価クロム、砒素、水銀、及びセレン等の重金属を測定することができる。Pアルカリ度の測定には、自動滴定装置が用いられる。ばいじん処理装置は、分析部の分析結果に基づいて、ばいじんを安定化させるための薬剤を添加し、重金属の溶出を抑えた状態でばいじんの排出処理を行う。
【0026】
添加する薬剤としては、例えば、ばいじんの処理物のpH値を重金属が溶出しにくい値とするためのpH調整剤や、重金属の溶出を抑える重金属安定剤を用いることができる。pH調整剤として、硫酸バンド、ポリ鉄、塩化第2鉄等の水溶液を用いることができ、又、重金属安定剤として、液体キレート、無機系処理剤を用いることができる。pH調整剤の添加指標として、Pアルカリ度が用いられる。
【0027】
上記構成の焼却炉のばいじん処理装置によれば、採取部はばいじんサイロ等から移送経路を通ってばいじんを分析用に採取し、定量部は採取したばいじんから一定量を秤量して溶出容器中に投入する。溶出容器中には一定量の水が注入されており、ばいじんを投入することによって、ばいじんに含まれる重金属が溶出水中に溶出する。この溶出水中の溶出される重金属の濃度やPアルカリ度やカルシウム量を分析することによって、薬剤処理で添加する薬剤の量を適量に制御することができる。
【0028】
ばいじんの分析に用いた計量灰、及び採取したばいじんの内で計量後に残った残余灰を同一の排出口を通して溶出容器内に排出する。溶出容器は計量灰と残余灰を溶出水と共に排出を行う。この計量灰と残余灰を同一の排出口を通して溶出容器内に排出する構成により、切替排出機構を用いることなく計量灰と残余灰の排出を行うことができる。又、上記構成、及び少なくとも採取部と定量部を密閉状態とする構成によって、ばいじんの移送経路を簡素化して付着灰や飛散灰を軽減することができる。計量灰と残余灰を溶出水と共に排出し、プラントの終端で汚染水を回収する構成とすることによって、残余灰を粉体搬送装置で回収する構成と比較して、回収に要する費用を軽減し、設備を簡略化することができる。
【0029】
又、ばいじんの付着や飛散を軽減するための構成の一態様として、ばいじんの移送経路を加熱してばいじんの湿気を除去するヒーティング機構や、空気等の乾燥気体を吹き付けてばいじんの付着を防止するドライエアー機構を設けることもできる。
【0030】
本発明の焼却炉のばいじん処理装置は、上記構成を達成するためのばいじんの他の分析機構として、分析用のばいじんをサンプリングする採取部と、採取部からのばいじんの一定量を秤量する定量部と、秤量した一定量のばいじんを計量する計量部と、計量灰を溶出する溶出容器と、溶出容器中の溶出水を分析する分析部と、分析部の分析結果に基づいて薬剤の投入量を制御する制御部を含むばいじんの分析機構を備えた構成とし、計量値及び定量溶出水量から得られる溶出水の希釈濃度に基づいて分析結果の補正を行う構成とする。
【0031】
上記構成のばいじん処理装置は、前記した構成のばいじん処理装置が備える採取部、定量部、溶出容器、及び分析部に加えて、計量部と制御部を備える。
計量部は、定量部で秤量したばいじんの質量を計量する構成部分であり、精密な秤に載せて排出した灰の量を減量式で秤量する構成を用いることができる。
制御部は、計量部で計量したばいじんの計量値と溶出容器の定量溶出水量から溶出水の希釈濃度を算出し、あらかじめ求めておいた重金属溶出濃度あるいはPアルカリ度と溶出水の希釈濃度との関係から、重金属溶出濃度あるいはPアルカリ度の補正を行い、この補正した値に基づいて薬剤の添加量を制御する。
【0032】
このような簡易な構成によって、定量部の定量精度を高くすることなく、ばいじんの重金属溶出濃度やPアルカリ度の測定精度を高めることができ、薬剤添加の制御精度を高めることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の焼却炉のばいじん処理装置の概略を説明するためのブロック図である。
図1において、焼却炉のばいじん処理装置1は、ばいじんに薬剤を添加して廃棄物処理を行うばいじん処理機構2と、ばいじん処理機構2で添加する薬剤の量を調節するためにばいじんの溶出量やカルシウム量の検出を行う分析前処理機構3を備える。
【0034】
ばいじん処理機構2は、焼却炉(図示しない)から粉体搬送されるばいじんをばいじんサイロ21に集めて集積させ、固化装置22において薬剤及び水を添加して重金属を安定化させる廃棄物処理を行い、灰ピット27に廃棄する。
【0035】
添加する薬剤としては重金属安定剤25やpH調整剤26があり、重金属安定剤25として液体キレート、無機系処理剤を用いることができ、pH調整剤26として硫酸バンド、ポリ鉄、塩化第2鉄等の水溶液を用いることができ、それぞれポンプ23,24を通して添加量の調節が行われる。
【0036】
分析前処理機構3は、採取計量部4と分析部31と制御部32を備える。採取計量部4は、ばいじんサイロ21から分析用のばいじんを採取する採取部5と、採取したばいじんから一定量を秤量し、秤量したばいじんの質量を計量する計量部6と、計量後のばいじんを用いて分析用の溶出水を生成し排出を行う溶出排出部7とを含む。溶出排出部7の溶出容器は、所定量の水に計量したばいじんを投入してばいじんの溶出水を生成する容器である。分析部31は、この溶出容器7内の溶出水を分析して、溶出した重金属の濃度やPアルカリ度を求め、制御部32は採取,計量,分析を行い、分析結果に基づいて薬剤の添加量を制御する。制御部32の制御信号はポンプ23,24に送られ、重金属安定剤25やpH調整剤26の添加量の調整が行われる。
【0037】
なお、溶出容器7内には、計量されたばいじんに加えて、計量機内に残っている残余ばいじんを加え、溶出水と共に排出する。
【0038】
なお、採取部5は固化処理等のためにばいじんを蓄積しているばいじんサイロ等の設備から分析用にばいじんを採取して分析部に移送を行う構成部分であり、空気輸送式サンプラーや循環ポンプ式サンプラー等を用いることができる。
【0039】
又、ばいじんの移送経路に、移送経路を加熱してばいじんの湿気を除去するヒーティング機構や、空気等の乾燥気体を吹き付けてばいじんの付着を防止すドライエアー機構を設けることもできる。
【0040】
図2は、本発明の焼却炉のばいじん処理装置の採取計量部4の構成を説明するための図である。
図2において、採取計量部4は、採取部5と計量部6と溶出排出部7とを含む。
【0041】
採取部5は、ばいじんサイロ21から分析用のばいじんを採取する機構であり、図示する構成では図1の循環ポンプ52又は図2の空気式サンプラーによってばいじんサイロ21との間で間欠循環や採取を行ってばいじんの経路を形成し、ホッパ51内にばいじんを採取する。
【0042】
計量部6は、一定量のばいじんを秤量し、秤量したばいじんの正確な量を計量する機構である。一定量のばいじんを秤量する部分は、ホッパ51からばいじんを受ける秤量ホッパ61と、該秤量ホッパ61内に溜められたばいじんから所定量のばいじんを排出秤量する秤量機62を備える。秤量機62は、精密な秤に載せて排出した灰の量を減量式で秤量する構成を用いることができる。
【0043】
ばいじんを計量する部分は、秤量機62で秤量したばいじんを受け、ばいじんの質量を計量する計量ホッパ63と、計量ホッパ63内のばいじんを受けて、溶出排出部7に排出する排出ホッパ64を備える。計量ホッパ63で秤量したばいじんの質量を計量することによって、秤量機62において高い定量精度を要することなく、ばいじんの排出量から溶出水の分析値の濃度補正を行うことができる。
【0044】
排出ホッパ64は、計量したばいじんを受けると共に、この計量操作の後、秤量ホッパ61に残っているばいじんの残余灰を受け、両ばいじんを溶出排出部7に排出する。
【0045】
又、秤量機62は高い定量精度を要しないため、簡易な構成のネジ式排出機を用いることができ、小型で廉価の秤量機の選択が可能となる。
【0046】
さらに、計量部6を密閉容器内に収納する構成とすることによって、外部への灰の飛散を防止することができる。
【0047】
溶出排出部7は、所定量の水を溜め、所定量の水内に計量部6で計量したばいじんを投入して溶出水を生成する溶出容器71と、該溶出水を攪拌する攪拌機72と、溶出水を排出する排出バルブ73を備える。溶出容器71内で生成される溶出水は、水量が所定量に設定され、又投入されるばいじんの量は計量部6で正確に計量されるため、その希釈率を正確に求めることができる。
【0048】
希釈された溶出水は分析部31で分析され、溶出するばいじんの重金属の濃度やPアルカリ度の測定が行われる。
次に、本発明の焼却炉のばいじん処理装置の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。
【0049】
ばいじんを図示しないばいじんの移送経路を経て、ばいじんサイロ21内にサンプリングしておく(ステップS1)。採取部5は、ばいじんサイロ21からばいじんをホッパ51に採取し(ステップS2)、採取したばいじんを秤量ホッパ61に受け、秤量機62により所定量のばいじんを秤量する(ステップS3)。
計量ホッパ63は、排出機構によって排出されたばいじんの質量を秤量機62によって計量する。これによって、排出にばらつきがある場合にも、正確なばいじんの量を知ることができる(ステップS4)。
【0050】
計量ホッパ63で排出したばいじんを、排出ホッパ64を通して溶出容器71内に排出する(ステップS5)。溶出容器71内には、所定量の水が溜められており、投入されたばいじんを攪拌機72で攪拌して溶出水を生成する。溶出水には、ばいじん中に含まれる重金属が溶出し、その溶出濃度はばいじん中に含まれる重金属量に対応したものとなる。このとき、溶出容器71内の水の量を所定量とし、投入するばいじんの量を計量機で計量することによって、正確な希釈率を求めることができる(ステップS6)。分析部31はこの溶出水を取り出して分析し、溶出した重金属の濃度やPアルカリ度を求める(ステップS7)。この後、ステップS20で希釈率に基づいて濃度補正を行った後、 ステップS8,9でばいじんを安定化させるための処理を行い、ステップS10,11,12でばいじんの排出処理を行う。なお、ステップS20については、図6のフローチャートを用いて説明する。
ばいじんの安定化処理において、ばいじんからの重金属の溶出特性は、溶出水の希釈率によって異なることが明らかになり、ばいじんを安定化させるために添加する重金属安定剤やpH調整剤等の薬剤は、分析濃度を基準としてその添加量を調節している。従って、希釈率が変化した場合には、前記ステップS7で測定した重金属の濃度やPアルカリ度を、その希釈率に応じて補正する必要がある。
そこで、希釈率に基づいて重金属濃度やPアルカリ度の補正処理を行い(ステップS20)、補正した濃度やPアルカリ度に基づいて薬剤の添加量を制御し(ステップS8)、固化処理を行う(ステップS9)。
【0051】
又、ばいじんの排出処理では、秤量の後に秤量ホッパ61内に残っている残余灰を排出ホッパ64を通して溶出容器71内に排出する。これによって、溶出容器71内には採取されたばいじんが全て投入されることになる(ステップS10)。このばいじんが投入された溶出容器72を洗浄処理し(ステップS11)、溶出容器内の液体を排出バルブ73を通して排出する。これによって、採取されたばいじんは洗浄水と共に排出される(ステップS12)。
【0052】
上記処理を所定の周期で繰り返したり、設定時間毎に行い、得られた重金属濃度やPアルカリ度に基づいて重金属安定剤やpH調整剤の添加量の調整を行うことによって、ばいじん処理の自動化及び無人化を行うことができる。
【0053】
図4は、溶出水の希釈率と溶出する重金属の濃度及びPアルカリ度との関係を示す図である。なお、図4では、重金属として鉛(Pb)の例を示している。本出願人は、溶出水の希釈率と溶出する重金属の濃度及び溶出水のPアルカリ度との図4に示すような所定の特性関係があることを確認し、一定量の溶出水に投入したばいじん量が変化して希釈率が変化しても、測定した重金属濃度やPアルカリ度に所定の比率で濃度補正することによって、適正濃度を求めることを特徴としている。
【0054】
本発明ではこの関係を用いて重金属濃度やPアルカリ度の補正率を求めて、重金属濃度やPアルカリ度の補正を行っている。なお、Pアルカリ度は、JIS規格K0101の用水試験で規定されたものであり、Pアルカリ度を自動的に測定する自動適定装置が市販されている。
【0055】
図5は、図4に示す関係を用いた補正を説明するための図であり、図6はこの補正を説明するフローチャートである。なお、図5ではPbの濃度補正について説明しているが、Pアルカリ度についても同様に補正することができる。又、図6のフローチャートは、図3のフローチャートのステップS20に対応するものである。
【0056】
ばいじんの固化処理に用いる薬剤の添加量は、濃度補正を行った後の濃度に応じて調整し、その濃度は溶出水の希釈率に応じて変化する。
希釈率は、一定量の定量水に投入されるばいじんの量で定まるものであり、計量されたばいじん量に重量誤差が含まれる場合には、溶出水の希釈率が異なることになる。そのため、一定量の溶出水に投入したばいじん量がばらつくと希釈率が変化するため、測定した重金属濃度やPアルカリ度に基準希釈率との差異が生じることになる。本発明では、溶出水の希釈率の差から得られる所定の比率を用いて濃度補正を行い、適正濃度を求めるものである。
【0057】
図5は、ばいじん量に誤差が含まれない場合の溶出水の基準希釈率をaとし、重量誤差によってこの希釈率aからずれた場合について、重金属濃度やPアルカリ度の濃度補正を行う例を示している。
【0058】
溶出水の希釈率は、溶出容器に注入されている水量と、投入されるばいじんの計量値から算出される。ここで、溶出容器に注入されている水量は一定量であるため、ばいじんの計量値に応じて希釈率は変化することになる。図5では、基準計量値の場合の基準希釈率をaとし、計量偏差を含む場合の希釈率をamとしている(ステップS21)。
【0059】
この希釈率amに対する重金属濃度は、図5の特性からbmとなる。希釈率に対する濃度の補正率は特性曲線の傾きkで表すことができる。この傾きkを用いることによって、濃度補正を行うことができる。図5において、希釈率amと基準希釈率aとの差を求め(ステップS22)、この差に傾きkを乗じることによって、濃度の補正量k×(am−a)を求めることができる(ステップS23)。
【0060】
求めた濃度補正量k×(am−a)により測定濃度bmを補正することによって、補正濃度pb(=bm−k×(am−a))を求めることができる(ステップS24)。
【0061】
これによって、一定量の溶出水に投入したばいじん量が変化し、希釈率が変化しても、測定した重金属濃度やPアルカリ度に所定の比率で濃度補正することによって、適正濃度を求めることができる。
【0062】
なお、上記補正演算は一例であって、他の演算により補正を行うこともできる。
又、上記補正演算は、上記関係をデータとして格納しておき、算出希釈率に応じて補正率あるいは補正値を読み出す構成とすることも、又、上記関係を関係式として格納しておき、算出希釈率に応じて演算を行う構成とすることもできる。
又、上記補正演算は、分析部31で行う構成とすることも、制御部32で行う構成とすることもできる。
【0063】
さらに、希釈率amについては、計量部6で求める構成とすることもできる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の焼却炉のばいじん処理方法によれば、無人による自動連続運転を行うことができる。また、分析用に採取したばいじんの計量灰と残余灰とを、切替排出機構を要することなく処理することができ、小型の計量機に好適である。
また、本発明の態様の効果として、ばいじんの移送経路において付着灰や飛散灰を軽減することができ、また、ばいじんの分析及び薬剤処理のための構成をより簡易なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の焼却炉のばいじん処理方法による装置の概略を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の焼却炉のばいじん処理方法による装置の採取計量部4の構成を説明するための図である。
【図3】本発明の焼却炉のばいじん処理方法による装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】溶出水の希釈率と溶出する重金属の濃度及びPアルカリ度との関係を示す図である。
【図5】本発明のばいじん処理方法による装置の補正処理を説明するための図である。
【図6】本発明のばいじん処理方法による装置の補正処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】従来の焼却炉のばいじん処理装置において、ばいじんの分析を行う分析機構を説明するための概略ブロック図である。
Claims (1)
- 採取部によって分析用のばいじんを採取し、
前記採取部で採取したばいじんから一定量を定量部によって秤量し、
前記秤量した秤量灰を溶出容器で溶出し、
前記溶出容器中の溶出水の一部を分析部によって分析し、
前記秤量灰を溶出した溶出容器内に前記採取したばいじんの残余灰を排出し、
前記採取したばいじんの秤量灰と残余灰とを溶出容器から溶出水と共に排出することを特徴とする、焼却炉のばいじん処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00746898A JP3862190B2 (ja) | 1998-01-19 | 1998-01-19 | 焼却炉のばいじん処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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