JP3861515B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真機等に使用される静電荷像現像用トナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、省エネルギー、コピー速度の高速化の観点から、低温で定着するトナーが強く要望されている。低温定着トナーを実現させるためには、トナーバインダーの軟化点を下げることが考えられるが、軟化点を下げるとトナーの固結がおこり、保存性が悪化する。この関係を打破するためにカプセルトナーが提案されている。すなわち芯粒子として軟化点の低いバインダーポリマーを使用し、殻材料としてガラス転移点の高いポリマーを使用することによって、両方の性能を両立させるものである。しかしながら、従来知られているカプセル化法では、上記両性能を十分両立させることはできなかった。
【0003】
公開特許公報、昭57−45558には、重合によって形成された粒子に乳化重合によって形成された微小粒子を被覆する方法が記載されている。被覆層形成の方法として、無機塩を加える方法、pHを変化させる方法が記載されているが、被覆層形成中、及び形成後の加熱に関しては記載されていない。加熱処理がない場合は付着した粒子が容易に脱落してしまい、機械的強度が劣り実写の安定性がなかった。
【0004】
公表特許公報 昭63−501040及び公表特許公報 平1−500621には、懸濁重合で得られた粒子表面のそれぞれ10〜91%及び1〜10%を微粒子で被覆する方法が記載されている。その目的は、表面のぼつぼつしたトナー粒子を用いることにより、写真ドラムへの吸着性が抑制され、また転写工程後のトナー除去を容易にすることにあり、カプセル化によりトナー固結性と定着性の両立を図ったものではなかった。従って、91%より多くの微粒子を付着させることでは、上記トナー除去性の目的を達成できないので、それは記載されていない。公開特許公報 平10−26842および公開特許公報 平10−123748には、重合粒子を凝集または会合させて得られた芯粒子の表面に微粒子を付着させ加熱する方法が記載されているが、凝集または会合粒子の表面は平滑でなく、その表面には微粒子が均一に付着しなかった。また凝集または会合粒子を加熱して表面を平滑にした後、微粒子を付着させることは、工程数が多くなり、平滑化に時間がかかり好ましくなかった。また機械強度にも問題があった。凝集、会合によって、芯粒子を形成させる方法は、芯粒子の軟化点を下げることが製造上難しく、芯粒子の軟化点を下げ、それをTgの高い殻微粒子で被覆する構造が特徴のトナーには適していなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、トナーの固結性(保存性)と低温定着性が両立するトナーを作ることである。さらには、表面に隆起がなく、平滑で、機械的強度が十分なトナーを作ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討をした結果、芯粒子を粉砕法でもなく、乳化粒子の凝集、会合法でもなく、懸濁重合法で作り、その後、芯粒子の表面を一定割合以上乳化微粒子で被覆した後、特定条件で加熱することによって、実質的に表面に隆起のない平滑なトナーが得られ、このトナーにおいて、上記目的が達成されることを見いだした。
【0007】
すなわち本発明は、懸濁重合で得られた、着色剤含有ポリマー粒子のスラリーと、乳化重合またはソープフリー乳化重合で得られた平均粒径0.01μm〜0.2μmの微粒子の水性分散液とを攪拌することにより、ポリマー粒子の表面の95%以上を微粒子で被覆させた後、ポリマー粒子のガラス転移点以上で微粒子の軟化点未満の温度に加熱することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
懸濁重合で得られるポリマー粒子としては、すでに重合トナーとして公知のものが用いられる。原料となるビニル系モノマーとしては、ビニル芳香族系モノマー、(メタ)アクリルエステル系モノマー、(メタ)アクリル酸モノマー、ビニルエーテル系モノマー等があげられる。具体例としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o,m,p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、ジビニルベンゼン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等があげられる。
【0009】
これらのモノマーは、単独で使用しても良く、又、二種類以上を共重合させても良い。
これらのモノマーのうち、スチレン系モノマーや(メタ)アクリルエステル系のモノマーを使用することが好ましい。
これらモノマーの重合時使用量(共重合比)は下記ガラス転移点(Tg)が適当な温度になるように決められる。
特に好ましくは、スチレンを50重量%以上共重合させることである。また、ゼータ電位調節などの目的で(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、などを10重量%以下の量で共重合させることも好適である。
【0010】
該ポリマー粒子のガラス転移点(Tg)は、好ましくは60℃以下、さらに、好ましくは55℃以下であり、特に好ましくは50℃以下、20℃以上である。軟化点は、好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下、特に好ましくは100℃以下、60℃以上である。
ガラス転移点(Tg)および軟化点は、Tgの高いスチレンモノマーとTgの低い(メタ)アクリル酸エステルの共重合比で調節することができる。
軟化点およびガラス転移点(Tg)に関しては高すぎると定着性が悪くなり、また低すぎると粒子製造がむずかしくなったり、定着強度が悪くなるので好ましくない。懸濁重合は、上記条件のポリマー粒子を形成するために特に好適であり、乳化重合粒子などを凝集または会合して得られた芯粒子では、好適に軟化点、ガラス転移点の低いものが得にくく、また表面の平滑な芯粒子が得られにくいので好ましくない。
【0011】
分子量分布は特に限定はないが、好ましくは分子量10万以上の成分を有し、分子量ピーク5000以上、7万以下である。ゲル成分を有し、テトラヒドロフランに不溶分があってもよい。特に黒トナーにおいては、定着ローラーに対するホットオフセットを防止するためにゲル成分は有用である。好ましくは、ゲル成分を5〜60重量%含有するポリマーである。重量平均分子量は好ましくは1万以上10万以下であり、特に好ましくは、1.5万以上5万以下である。分子量の調節は重合温度、重合開始剤の量、連鎖移動剤の量などによって可能である。
【0012】
該ポリマー粒子の平均粒径は好ましくは2〜10μm、特に好ましくは3〜6μmである。
粉砕分級法で芯粒子を得る方法は、乾式で分級を行なった後再度、水中に分散させ微粒子を付着するので工程が多くなり好ましくない。また表面に隆起があるのでカプセル化が十分にできない。
【0013】
上記ビニル系モノマーにラジカル重合開始剤を溶解させ、さらに着色剤を加え、必要であれば添加剤を加え、高速回転式分散機を用いて水中に分散させ、加熱することにより所定のポリマー粒子を得る。この時、水中に、例えば、ポリビニルアルコールなどの水溶性モノマーまたはリン酸カルシウムなどの分散安定剤を加えることが望ましい。
【0014】
トナーに含有せしめる着色剤としては、公知のものを含む広い範囲から選択でき、例えば、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハイザイエロー、クロムイエロー、ローズベンガル、トリアリールメタン系染料、モノアゾ系又はジスアゾ系染顔料等をあげることができる。また、磁性体粉末を着色剤として使用することもできる。
【0015】
これらの着色剤はフルカラー現像に用いられる、青、赤、黄等のカラートナーに含有せしめても良く、この場合は相当する色調を有する染顔料からなる着色剤を用いる。
着色剤の含有量は、通常重合性単量体100部に対して3〜50重量部とするのが好ましい。
【0016】
以上の重合性単量体及び着色剤等の他、本発明における重合性組成物中には、添加剤として、例えば重合体の物性を改善する架橋剤、反応性プレポリマー、低分子量ポリオレフィン、エステルワックスなどの加熱ローラ定着におけるオフセット防止用の離型剤、定着性改良剤を加えることができる。また、電荷制御剤その他を必要に応じて含有せしめることができる。
【0017】
これら着色剤等の添加物を、重合性単量体に分散させる方法としては、前述の高速回転式分散機を使用することができる。また、公知のボールミル、サンドグラインダーミル等を使用してもよい。
更に、分散安定剤として、ポリエステルのアマイドアミン塩、側鎖がポリエステルのポリアミン等を使用してもよい。
【0018】
本発明において上記単量体の重合のための重合開始剤としては、通常のものが通常の温度範囲で用いられる。その具体例としては、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレート等をあげることができる。
上記懸濁重合で得られたポリマー粒子(芯粒子)に対し、乳化重合またはソープフリー乳化重合で得られた微粒子を水中で付着させる。
【0019】
乳化重合法で使用される乳化剤としては、従来の乳化剤を使用し得る。乳化重合または、ソープフリー乳化重合法で使用される重合開始剤としては、従来の水溶性開始剤、例えば、過硫酸塩、過酸化水素、ヒドロペルオキシド等が用いられる。また、過酸化物と還元性物質を組み合わせたレドックス系開始剤を使用しても良い。さらに、硫酸銅に代表されるような、重合促進剤をあわせて使用しても良い。
【0020】
該微粒子の平均粒径は好ましくは、0.01μm〜1.0μmであり、特に好ましくは0.03μm〜0.3μmである。平均粒径が、小さすぎるとトナー固結性(保存性)の向上効果が期待できず、また大きすぎるとトナー表面の平滑性を上げるのがむずかしくなり、品質が低下するので好ましくない。
該微粒子のガラス転移点(Tg)は、60℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは、60℃以上90℃以下であり、特に好ましくは、65℃以上80℃以下である。ガラス転移点が低すぎると、トナー固結性(保存性)が劣り好ましくなく、高すぎると定着性が悪くなる。
【0021】
該微粒子製造に好適に用いることのできるビニル化合物としては、特に限定はないが、例えばビニル芳香族系モノマー、(メタ)アクリルエステル系モノマー、(メタ)アクリル酸モノマー、ビニルエーテル系モノマー等があげられる。具体例としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o,m,p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、ジビニルベンゼン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等があげられる。
【0022】
これらのモノマーは、単独で使用しても良く、又、二種類以上を共重合させても良い。
これらのモノマーのうち、スチレン系モノマーや(メタ)アクリルエステル系のモノマーを使用することが好ましい。
これらのモノマーの共重合比はガラス転移点(Tg)が、上記好ましい範囲にはいるように決められる。
特に好ましくは、スチレンまたはメチルメタクリレートを50重量%以上共重合させることであり、また、ゼータ電位調節などの目的で(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートなどを10重量%以下の量で共重合させることも好適である。
【0023】
殻材を形成する上記微粒子には、帯電制御剤を含有させることが好ましい。帯電制御剤としては、アミド系化合物、フッ素原子含有化合物、フェノール化合物、含ホウ素化合物、金属を含有する塩または錯体が挙げられるが、好ましくは重合温度で、特に好ましくは室温(25℃)で上記ビニル化合物に溶解するものがあげられる。
【0024】
帯電制御剤の殻材用微粒子を形成するビニル化合物への添加量は、ビニル化合物100部に対して、0.5〜20重量部が好ましく、より好ましくは、1〜10重量部である。帯電制御剤の含有量が少なすぎると帯電性の向上効果が期待できず、また過剰であるとモノマーが重合する途中で系外に析出する為、トナーの品質が低下するので好ましくない。
【0025】
懸濁重合て得られたポリマー粒子に対して乳化重合またはソープフリー乳化重合で得られた微粒子を付着させるためには、媒質である水のpHを調節したり、撹拌条件を調節するが、さらに本発明は、微粒子付着後に該ポリマー粒子(芯粒子)のTg以上の温度に系を加熱することを特徴とする。加熱温度は、好ましくはポリマー粒子(芯粒子)のTgより2℃以上、特に5℃以上高いことが好ましい。また、殻材である微粒子の軟化点より低いことが好ましい。
【0026】
具体的には好ましくは、40〜95℃、さらに好ましくは、45〜90℃、特に好ましくは、50〜80℃である。
加熱しない場合、表面に付着された微粒子が製造中に取れやすく、また均一に被覆することが難しい。さらにトナー複写中も機械的強度が劣り、微粒子が取れやすい。公開特許公報 平10−2682には、付着微粒子をTg以上、分解点以下で加熱して融合させる方法(一般にTg〜180℃)が記されている。しかしながら、付着微粒子の軟化点以上で加熱することは、トナー粒子同士の融合が起こるので好ましくない。ポリマー粒子(芯粒子)のガラス転移温度以上で加熱すれば、十分に表面は平滑になり、上記した問題は起こらず、また微粒子の軟化点以下で加熱すれば過度の加熱による、融合の問題も起こらない。
【0027】
ポリマー粒子(芯粒子)は、その表面積の95%以上が微粒子で被覆されている必要がある。好ましくは99%以上、特に好ましくは100%である。被覆率が低い場合は、軟化点の低いポリマー粒子(芯粒子)がトナー表面にでるため、固結性が劣り、また平滑なトナー表面が得られないので好ましくない。
ポリマー粒子(芯粒子)の重量に対する付着される微粒子の重量は、上記被覆率になれば特に限定はないが、好ましくは、0.03倍以上、さらに好ましくは、0.05倍以上、特に好ましくは、0.08倍以上で0.3倍以下である。必ずしも1層で表面を覆う必要はないが、必要以上に付着させることは、定着性が悪くなるので好ましくない。
【0028】
ポリマー粒子のガラス転移点以上で加熱して、実質的に隆起のない表面とすることが必要である。実質的に隆起のない表面とは、走査型電子顕微鏡で5000倍でトナー粒子の表面を見たときに、微粒子に起因する凹凸が見えないことを示す。公表特許公報 昭63−501040には被覆率を91%以下にして表面に隆起を有するトナーが記載されているが、その目的は、写真ドラムからのトナー除去性であり、実際は隆起のある表面では、強度が劣り、また流動性も悪く使用できない。
本発明のトナーは、黒トナーまたはカラートナーに有用である。また、非磁性1成分トナー、磁性1成分トナー、2成分トナーにも有用である。また負帯電トナー、正帯電トナーの両方に有用である。
【0029】
【実施例】
以下、合成例、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例によりなんら制限されるものではない。尚、実施例中単に部とあるのは、重量部を意味するものとする。
【0030】
合成例1 微粒子の製造
エチルメタクリレート2.67部に、帯電制御剤として、4,4′−メチレンビス〔2−〔N−(4−クロロフェニル)アミド〕−3−ヒドロキシナフタレン〕を0.133部溶解させたものと、水150部を300mlのガラスフラスコ(冷却管、攪拌機、N2 ガス導入管をそなえたもの)に導入した。この混合物を撹拌下で70℃に加温した。N2 雰囲気下、この中に、過硫酸カリウム0.20部、チオ硫酸ナトリウム0.19部、硫酸銅0.012部を添加した。
70℃で5時間反応を継続したところ、平均粒径0.095μmの微粒子状ポリマーを得た。
【0031】
合成例2 微粒子の製造
スチレン4部に、実施例1で使用した帯電制御剤0.4部溶解させたものと、ドデシル硫酸ナトリウム0.2部、水35部を合成例1と同様のガラスフラスコに導入した。この混合物を撹拌下で80℃に加温し、N2 雰囲気にした。この中に、過硫酸カリウム0.04部を添加した。80℃で5時間反応を継続した後、ドデシル硫酸ナトリウム0.3部、ジビニルベンゼン0.1部、スチレン4部、水35部を添加し、過硫酸カリウム0.04部を添加し80℃で5時間反応を継続したところ、平均粒径0.17μmの微粒子状ポリマーを得た。
【0032】
合成例3 微粒子の製造
エチルメタクリレートの代りに、メチルメタクリレートを使用し、ジビニルベンゼン0.1部を添加した他は、合成例1と同様に反応を行ったところ、平均粒径0.07μmの微粒子状ポリマーを得た。
【0033】
合成例4 ポリマー粒子(芯粒子)の製造
スチレン29.2部、2−エチルヘキシルアクリレート10.8部、ディスパロン(楠本化成製 DA−703−50 ドライアップ品)0.6部、カーボンブラック(三菱化学製MA−100)2.3部、スチレンアクリル系樹脂(Mw=2万)6部をサンドグラインダーミルで10時間処理し、カーボンブラックを分散させた。これに、アゾビスイソブチロニトリル1.6部を溶解させた。この混合液をリン酸三カルシウムを5%含む水200部に投入し、ホモミキサーで8000rpm3分処理した。
【0034】
処理液を500mlガラスフラスコ(冷却管、攪拌機、N2 ガス導入管をそなえたもの)に導入した。N2 雰囲気下、80℃に加温し、反応を9時間継続したところ、平均粒径8.3μmのポリマー粒子(芯粒子)を得た。
重量平均分子量は3.2万、ガラス転移点(Tg)は46℃であった。
【0035】
合成例5 ポリマー粒子(芯粒子)の製造
スチレン32.0部、2−エチルヘキシルアクリレート8.0部を用いる以外は合成例4と同様にしてポリマー粒子(芯粒子)を得た。重量平均分子量2.5万、ガラス転移点(Tg)は58℃であった。
合成例6 ポリマー粒子(芯粒子)の製造
スチレン34部、2−エチルヘキシルアクリレート6.4部を用いる以外は合成例4と同様にしてポリマー粒子(芯粒子)を得た。重量平均分子量2.5万、ガラス転移点(Tg)は65℃であった。
【0036】
合成例7 ポリマー粒子(芯粒子)の製造
ドデシルベンゼンスルホン酸0.4部、脱イオン水(ワックスエマルション中の水分を含む)397.9部を90℃に昇温し、その後、下記のモノマー類、開始剤などを添加し、7時間乳化重合を行った。
スチレン 60部
アクリル酸ブチル 40部
アクリル酸 3部
トリクロロブロモメタン 1部
2%過酸化水素水溶液 43.4部
2%アスコルビン酸水溶液 43.4部
【0037】
重合反応終了後冷却し、乳白色の樹脂エマルジョンを得た。
得られたエマルジョンの平均粒子径は100nm、重合体の重量平均分子量は5.3万であった。又、得られた樹脂のTgは50℃であった。
上記樹脂エマルジョン(オリエント化学社製)120部(固形分として)
荷電制御剤ボントロンS−34 5部
カーボンブラックMA−100(三菱化学社製) 7部
以上の混合物をディスパーザーで分散撹拌しながら30〜40℃に2時間保持し、その後、更に撹拌しながら70℃で3時間保持し、更に95℃に昇温して3時間保持した。その後、濾過、水洗、乾燥することによりポリマー粒子(芯粒子)を得た。
【0038】
実施例1
合成例4(懸濁重合)で製造したポリマー粒子(芯粒子)のスラリー170gに合成例1で製造した微粒子のポリマー液を150部添加し、塩化水素酸を系のpHが1.0になるまで添加した後、50℃5時間撹拌を行った。放冷後濾過水洗を行った後、真空乾燥を行ったところ、表面に微粒子が付着しさらに上記50℃の加熱により表面がなめらかになったトナーを得た。表面に微粒子に起因する凸凹がないことはSEM(加速電圧10kV、倍率5000倍)で確認した。このトナー40部に疎水性シリカ0.12部を添加し、表面にアクリルコートしたフェライトキャリア(平均粒径100μm)960部を混合、撹拌して、現像剤を作成した。この時のトナーの帯電量をブローオフ法で測定したところ、−29.5μC/gであった。
固結性、流動性は、ともに良好であった。
次いで、この現像剤を、セレンを感光体とする複写機で、実写したところ、鮮明なコピーが得られた。実写中の機械的強度は充分であった。
【0039】
実施例2〜4、比較例1〜4
実施例1と同様に、カプセル化操作を行い、トナー性能を検討した。結果を次表にまとめる。
固結性:50℃で5時間放置後トナーの固結を目視観察
良好:固結なし
不良:固結あり
定着性:画像を指で強くこすりとれない定着時ローラー
温度の下限で判断
良好:130℃以下
やや不良:130〜150℃
不良:150℃以上
表面平滑性:SEM(加速電圧10kV、倍率5000倍)で測定し、目視で判断
良好:全く微粒子が見えない
不良:微粒子が表面に見えるまたは、ポリマー粒子(芯粒子)が見える(付着していない部分がある。)
機械強度:トナーをレシプロシェーカーで振盪後粒径測定
良好:粒径分布不変
不良:平均粒径5μm以下の粒子数増大または平均粒径増大
【0040】
【表1】
【0041】
被覆率が95%より小さい時(比較例1)、加熱温度がポリマー粒子のTgより低い時(比較例2)、又はポリマー粒子(芯粒子)を凝集粒子にした場合(比較例4)は固結性と定着性の両立が得られなかった。また、ポリマー粒子のTgを65℃とした場合(比較例3)は定着性がやや悪かった。
【0042】
【発明の効果】
本発明のトナーは固結性と定着性の両立した性能が得られ、強度的にも問題がない。
Claims (7)
- 懸濁重合で得られた、着色剤含有ポリマー粒子のスラリーと、乳化重合またはソープフリー乳化重合で得られた平均粒径0.01μm〜0.2μmの微粒子の水性分散液とを攪拌することにより、ポリマー粒子の表面の95%以上を微粒子で被覆させた後、ポリマー粒子のガラス転移点以上で微粒子の軟化点未満の温度に加熱することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
- ポリマー粒子の表面の99%以上が微粒子で被覆されている請求項1記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- ポリマー粒子に対し微粒子を重量比で0.05以上で被覆させる請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- ポリマー粒子のガラス転移点が20℃以上、60℃以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 微粒子のガラス転移点が60℃以上、90℃以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 微粒子中に帯電制御剤を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 加熱温度を40〜95℃とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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