JP3861467B2 - 懸垂式物品搬送装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、空間に保持された軌道を台車がホイストを懸垂して走行する懸垂式物品搬送システムに係り、特に、走行輪にかかる重量を軽減して、駆動効率を向上し、分岐部の機構等、軌道の構造を簡略化できるようにした懸垂式物品搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、物品輸送を必要とする多くの分野で、地上面積を有効に利用するために、空間に形成した軌道を無人で走行する台車による物品搬送システムが採用されている。
このような物品搬送システムには、空間に保持された軌道を台車がホイストを懸垂して走行する懸垂式物品搬送システムがある。
このような懸垂式物品搬送システムの一例を図4に示している
同図(A)は懸垂式物品搬送システムの軌道の横断面からみた台車及びホイストの正面面を示し、同図(B)は同図(A)のA−A断面からみた軌道の縦断面と台車及びホイストの概略横断面図である。
同図において、1は空間に構成された軌道構造部、2は自動で移動する台車、3は台車2から懸垂され、物品を搭載するホイストである。
【0003】
軌道構造部1は、構造物に架設したフレーム11に、軌道12が所定間隔で配設したサポータ13によって懸垂されて走行路を形成している。
14は台車2への電力供給用電源ラインであり、15は台車2の駆動機能であるリニア直流モータ(以下LDMと略称する)の地上側に配設される永久磁石である。
台車2は、軌道12上を走行する走行輪21を装着した走行輪構造体22の上部に駆動機能であるLDMの駆動部23が装着されている。
ホイスト3は、物品を搭載する容器31を懸垂したホイスト構造体32が夫々の走行輪構造体22に懸垂機構33で結合し、台車2に懸垂されている。
24は台車2に装着された集電機能であって、前述した電源ライン14から台車2に必要な電力を供給し、走行輪構造体22に収められた図示しない制御機能によって駆動部23に適切に電流を供給する。
即ち、この懸垂式物品搬送システムの条件に対応して予め設定された制御プログラムと、その他の信号供給手段によって、駆動部23に電流を供給するので、駆動部23のコイルに発生する磁力と永久磁石15との間に働く吸引力によって、台車は駆動される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、リニアモータで駆動される懸垂式の物品搬送システムでは、走行輪に駆動力を発生する必要がないから、当然、走行抵抗が極力小さいことが望まれる。従って、走行抵抗を小さくするために走行輪にかかる重量はできるだけ軽量化することが必要である。しかしながら、搬送する物品の重量や容積に対応した、ホイストと台車が必要であって、重量の軽量化にも限度がある。
又、走行路の傾斜部では、例えば、その重量を引き上げるための駆動力が必要となる。
本発明は従来のものの上記課題(問題点)を解決し、電気/磁気的な手段で走行輪にかかる重量の軽減化を図った懸垂式物品搬送装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に基づく懸垂式物品搬送装置は、空間に保持された軌道を走行輪を有する台車がリニア直流モータによって駆動され、ホイストを懸垂して走行する構成において、台車がリニア直流モータを構成する可動部と一体に駆動され、リニア直流モータの地上側に設置した永久磁石に加え、所定磁気力を発生する電磁石を併設し、台車の近接に対応して電磁石を励磁することにより、電磁石に発生する磁気力によって、走行輪にかかる懸垂荷重を軽減するようにしたことを特徴とする。
た、この電磁石は、軌道の少なくとも所定領域に設けても良い。
上記のような構成を採用することによって走行輪にかかる懸垂荷重が軽減される。
懸垂荷重を軽減することによって、走行抵抗を軽減し、軌道機構を軽便化できる。
上記の所定領域として軌道の分岐/合流部に電磁石を設けると、分岐/合流部の機構を簡略化することができる。また、傾斜部に設けると、傾斜部における重量の影響を軽減し、駆動が容易になる。
上記の台車には、電磁石の励磁によって吸引されるように構成した重量相殺機構を設けてもよい。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に基づく懸垂式物品搬送装置 ( システム )を図1乃至図3を参照して詳細に説明する。
【0007】
第1の実施の形態:
図1は第1の実施の形態の構成を示すもので、同図(A)と同図(B)によって、軌道及び台車の概要を示している。
即ち、同図(A)は懸垂式物品搬送システムの軌道の横断面からみた台車及びホイストの正面面を示し、同図(B)は同図(A)のA−A断面からみた軌道構造部の縦断面と台車及びホイストの横断面図である。
なお、図1(A)、(B)において、従来の技術で説明した符号と相当の機能要素は、図4と同一の符号を使用し、また、以下に述べる他の実施の形態と区別すべきものは、さらに符号Aを付して示しその詳細説明は省略する。
図1(A)、(B)において、1Aは空間に構成された本発明に基づいて構成した軌道構造部であって、2Aは上記軌道構造部1Aに対応して構成した、自動で移動する台車、3は台車2から懸垂され、物品を搭載するホイストである。
以降は、台車とホイストを総合して車両と称して説明する。
軌道構造部1Aにおいて、15AはLDMの地上側部材である永久磁石であって、16Aと17Aは、永久磁石15Aの両側部分に構成した電磁石である。
この電磁石16Aと17Aは、夫々の走行路に設置した図示しない車両の接近を検知するセンサの働きによって励磁されるように、地上の制御機能を構成している。
23Aは、本懸垂式物品搬送システムの必要特性と、上記の永久磁石15A及び、電磁石16Aと17Aの形状と特性に対応させて構成した、LDMの駆動部である。その他の構成は図4の従来のものと同等である。
【0008】
上記の構成において、車両の接近に従って、電磁石が励磁されると、車両のLDMの駆動部23Aに構成される磁性との対応で、車両の重量を相殺するように吸引力が働く。
従って、車両の走行抵抗を減少させると共に、電磁石に発生する磁気力は永久磁石に相加して、推進力をも強化する。
上記の説明では、台車は従来の技術で図4を参照して示した台車2と相当の形状と相当の機能を有していると説明したが、上記説明した電磁石の配置と特性とも対応させて、例えば、磁性材料で適切な形状と寸法に構成した被吸引材を形成させるようにしても良いことは当然である。
【0009】
第2の実施の形態:
第2の実施の形態を図2に示す。本実施の形態のものは、台車は従来の技術で図4を参照して示した軌道構造部1及び台車2と相当の形状、機能を有しているが、LDMの駆動部23に形成したコイルに供給する電流を、必要な吸引力が得られるように、増大させるようにしたものである。
即ち、本実施の形態のものでは、図2は機械的な図は図4と同様であるが、台車1Bに搭載するLDMの駆動部23Bは、上記目的に耐える機能を有するように構成し、軌道構造部1Bに設ける永久磁石15Bは、適切に垂直方向の吸引力を強化できるように永久磁石の形状特性を対応させると共に磁気力を強くしておく等の手段を講じることによって、本実施の形態を実現できる。
本方法によると、第1の実施の形態に示すような地上側に電磁石と電磁石の励磁機能を設ける必要がないが、組み合わせても良いことは当然である。
なお、図2では、図4の符号に対して、他の実施の形態と区別すべきものを、さらに符号Bを付して示してある。
【0010】
第3の実施の形態:
第3の実施の形態は、図1を参照して説明した第1の実施の形態の地上側設備に対して、前後2台の走行輪構造体の中間に、例えば、鋼板のような磁性材料で形成し、地上側に設けた電磁石の励磁によって吸引されるように構成した重量相殺用機構25cを装着した点に構成上の特徴がある。
図3において、台車2Cには3個の走行輪構造体22C1乃至22C3を設け、夫々の走行輪構造体22C1乃至22C3には、各1対の走行輪21C1乃至21C3が装着されている。両側の走行輪構造体22C1及び22C3には上部に駆動機能であるLDMの駆動部23Cが装着されている。
また、中央の走行輪構造体22C2には上部に重量相殺用機構25Cが装着されている。
さらに、走行輪構造体22C1乃至22C3は夫々懸垂機構33で物品を搭載する容器31を懸垂したホイスト構造体32に結合している。
上記の構造において、所定の電磁石に車両が接近すると第1の実施の形態と同様この電磁石を励磁して、車両の重量を相殺する。
従って、本実施の形態に示す台車構造によると、中央の走行輪構造体22C2に設けた重量相殺用機構25Cが電磁石によって吸引されるので、重力に対する抗力が得られる。
上記の説明では、重量相殺用機構25Cが装着されている中央の走行輪構造体22C2にも走行輪21C2を装着しているように図示したが、軌道条件等に対応して、この走行輪21C2を除いても良い。
【0011】
第4の実施の形態:
第4の実施の形態は、図示は省略するが、前述した第3の実施の形態が、前後2台の走行輪構造体にLDMの駆動部を装着してその中間の走行輪構造体に重量相殺用機構を装着したものであるのに対して、前後2台の走行輪構造体に重量相殺用機構を装着して、その中間の走行輪構造体に、走行路と対応して、この懸垂式物品搬送システムに対応させた、最適な方式のリニアモータの駆動機能を装着したものである。
本実施の形態によると、車両の重量配分に対応して、バランスした適切な重量軽減が図れる。
【0012】
上述の説明は本発明の技術思想を実現するための基本構成を示したものであって、懸垂式物品搬送装置の条件、即ち、駆動機構の構成と形状の他、搬送品の条件と、走行路の配設条件、軌道の構造と左右の軌道の間隙やホイストの懸垂機構等、求められる軌道と車両の構造に対応して適切に構成すれば良いことは当然である。
例えば、各図には、リニア直流モータ駆動部はその中央部を支承するように図示しているが、必ずしも中央部で支承する必要はなく、図3には、各リニア直流モータ駆動部と重量相殺用機構の寸法を等しく記したが、第4の実施の形態に記した条件の場合も含めて、必要機能に対応して、地上部に構成する電磁石及び永久磁石の形状寸法や配置と対応させて適切な寸法に構成すれば良い。
このように、走行輪の配置と構造、リニアモータの各要素機能の配置と構造、本発明に基づいて走行路に配設した電磁石の配置と構造及び対応する車両側処機能の配置と構造、電源集電機能の配置と構成、ホイストの懸垂手段と台車との関係、等は、いずれも、実施の形態で説明した状況にこだわらず、対象懸垂式無人搬送システムの条件に対応して、適切、任意に実現するようにすれば良い。
【0013】
さらに、上記した本発明に基づく荷重軽減用の電磁石は、軌道の条件に対応して、軌道全線に設けても良いし、分岐路のように、走行輪にかかる重量を軽減したい箇所、傾斜部等、重力に逆らって過大な仕事をする必要のある箇所、等、任意適切に効果的に使用することができる。
【0014】
【発明の効果】
本発明にかかる懸垂式物品搬送装置は、上述したような構成にしたので、次のような優れた効果を有する。
(1)台車の走行輪にかかる重量を軽減して走行抵抗を減少することができる。
(2)また、リニア直流モータの推力をも増大できる。
(3)さらに、電磁石を分岐路、傾斜部等、重力に逆らって過大な仕事をする必要のある箇所に設けることによって、上記の効果を、より、有効に発揮できる。
(4)なお、台車に重量相殺機構を設けた場合には、この重量相殺機構が電磁石により吸引されることにより、走行輪にかかる重量をより効果的に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく懸垂式物品搬送システムの第1の実施の形態の説明図であって、同図(A)は懸垂式物品搬送システムの軌道構造部の横断面と台車及びホイスト(以下車両と略称する)の正面を示し、同図(B)は同図(A)のA−A断面からみた軌道構造部の縦断面と車両の横断面を示す概要図である。
【図2】本発明に基づく懸垂式物品搬送システムの第2の実施の形態の説明図であって、同図(A)は懸垂式物品搬送システムの軌道構造部の横断面と台車及びホイスト(以下車両と略称する)の正面を示し、同図(B)は同図(A)のA−A断面からみた軌道構造部の縦断面と車両の横断面を示す概要図である。
【図3】本発明に基づく懸垂式物品搬送システムの第3の実施の形態の説明図であって、同図(A)は懸垂式物品搬送システムの軌道構造部の横断面と台車及びホイスト(以下車両と略称する)の正面を示し、同図(B)は同図(A)のA−A断面からみた軌道構造部の縦断面と車両の横断面を示す概要図である。
【図4】従来の懸垂式物品搬送システムに用いられる軌道と車両構造の説明図であって、同図(A)は懸垂式物品搬送システムの軌道構造部の横断面と車両の正面を示し、同図(B)は同図(A)のA−A断面からみた軌道構造部の縦断面と車両の横断面を示す概要図である。
【符号の説明】
1、1A、1B、1C:軌道構造部
2、2A、2B、2C:台車
3:ホイスト
11:フレーム
12:軌道
13:サポータ
14:電源ライン
15、15A、15B、15C:永久磁石
16A、17A、16C、17C:電磁石
21、21C1、21C2、21C3:走行輪
22、22C1、22C2、22C3:走行輪構造体
23、23A、23B、23C:リニア直流モータ駆動部
24:集電機能
25:重量相殺用機構
32:ホイスト構造体
33:懸垂機構

Claims (5)

  1. 空間に保持された軌道を走行輪を有する台車がリニア直流モータによって駆動され、ホイストを懸垂して走行する懸垂式物品搬送装置において、
    前記台車が前記リニア直流モータを構成する可動部と一体に駆動され、
    前記リニア直流モータの地上側に設置した永久磁石に加え、所定磁気力を発生する電磁石が併設され、
    前記台車の接近に対応して前記電磁石を励磁することにより、前記電磁石に発生する磁気力によって、前記走行輪にかかる懸垂荷重を軽減するようにしたことを特徴とする懸垂式物品搬送装置。
  2. 前記電磁石は、前記軌道の少なくとも所定領域に設けられていることを特徴とする請求項1記載の懸垂式物品搬送装置。
  3. 前記所定領域は、前記軌道の分岐部を含むことを特徴とする請求項2記載の懸垂式物品搬送装置。
  4. 前記所定領域は、前記軌道の傾斜部を含むことを特徴とする請求項2記載の懸垂式物品搬送装置。
  5. 前記台車には、前記電磁石の励磁によって吸引されるように構成した重量相殺機構が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4記載の懸垂式物品搬送装置。
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