JP3859179B2 - 吸収冷温水機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸収器と、再生器と、凝縮器と、蒸発器とを備えた吸収冷温水機に関する。
【0002】
【従来の技術】
吸収器と、再生器と、凝縮器と、蒸発器とを備えた吸収冷温水機において、冷水を冷凍負荷側へ供給するに際しては、再生器において吸収溶液が加熱されて冷媒が蒸発し、気相の冷媒は凝縮器で液相に凝縮する。凝縮された液相の冷媒は蒸発器において冷水から潜熱を奪って蒸発し、蒸発の結果として生成した気相の冷媒は、吸収器において吸収溶液内に吸収される。このサイクルを繰り返すことにより、冷水から熱を奪い、冷却された冷水を冷凍負荷へ供給するのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記再生器において気相とされた冷媒は、再生器と所定の距離をおいて隔離された凝縮器に配管内を通って給送され、液相に凝縮される。そのため、再生器と凝縮器とは隔離されていて両者の間に大きな空間が存在する。
【0004】
そして、このような大きな空間の存在は、吸収冷温水機全体の容積を大きくしてしまう原因となり、該吸収冷温水機のコンパクト化の障害要因の1つとなっている。
【0005】
本発明は、この様な従来技術の問題点に鑑みて提案されたもので、再生器を凝縮器に近接配設し再生器で気相冷媒が発生した直後に凝縮器に到達するようにして、両者間の空間を小さくし、吸収冷温水機全体の容積を小さくして、コンパクト化できる吸収冷温水機の提供を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の吸収冷温水機は、吸収器と、再生器と、凝縮器と、蒸発器とを備えた吸収冷温水機において、前記凝縮器(48)は、その内部を冷却水(CCW)が流過する凝縮部(60)と、前記吸収部より冷却水(CCW)が供給される冷却水用配管(62)とを有しており、前記再生器(46)は、その内部を加熱流体(CC−G−H)が流過する再生部(50)、該再生部(50)の上端に配置され且つ再生部(50)の外側表面に均一に吸収溶液(AS)を流過せしめる吸収溶液散布管(70)とを有し、前記凝縮部(60)及び再生部(50)は隣接して配置されている。(請求項1:図1)
【0007】
本発明の実施に際して、前記凝縮部及び再生部は全体が板状の部材により構成されているか、或いは、積層コイル状の部材により構成されているのが好ましい。但し、凝縮部及び再生部の形状が板状或いは積層コイル状に限定される趣旨ではない。例えば、複数段に亘ってプレートフィンを積層し、隣接する段のプレートフィンは相互にオフセットされている様な形状とすることも可能である。
【0008】
この様に構成すれば、再生部で気化した冷媒蒸気は隣接する凝縮部で直ちに液相冷媒に凝縮されるので、再生部から凝縮部に至る冷媒蒸気移動空間が殆ど不要となる。従って、吸収冷温水機の省スペース化、コンパクト化に大いに役立つのである。
【0009】
また、本発明の吸収冷温水機は、前記凝縮部(60)及び再生部(50)は複数の部材により構成されており、凝縮部(60)を構成する部材と再生部(50)を構成する部材とが交互に隣接する様に配置されている。(請求項2:図1)
【0010】
ここで、前記凝縮部及び再生部は全体が板状の部材により構成されているか、或いは、積層コイル状の部材により構成されているのが好ましい。換言すれば、前記凝縮部を構成する板状或いは積層コイル状の部材と、前記再生部を構成する板状或いは積層コイル状の部材とが、交互に隣接する様に配置されているのが好ましいのである。
【0011】
この様に構成すれば、再生部で発生した気相冷媒(冷媒蒸気)が凝縮部で凝縮して液相冷媒となる効率が上昇する。
【0012】
また、本発明の吸収冷温水機は、前記冷温水機が一重二重効用吸収冷温水機であり、前記再生器(46)は低温再生器若しくは排熱回収用再生器である。(請求項3)
【0013】
また、本発明の吸収冷温水機は、前記冷温水機が二重効用吸収冷温水機であり、前記再生器(46)は低温再生器である。(請求項4)
【0014】
また、本発明の吸収冷温水機は、単効用吸収冷温水機である。(請求項5)
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1において、再生器46と、凝縮器48とが一体になった部材が、全体を符号80で示されている。
再生器46は、複数の(全体が例えば板状に構成された)再生部50(図1では3個設けられている)により構成され、その内部空間50−I(図4参照)には、加熱流体が流過している。この加熱流体は、温水或いは高温蒸気等、加熱源として利用可能な液体、気体であれば、特に限定は無い。
【0016】
再生部50の上端には吸収溶液散布管70が配置されている。この散布管70は、稀吸収溶液AS−Sを再生部50の表面に均一に流過せしめている。そして吸収溶液ASは、再生部50の表面を流過している際に、(加熱流体供給口54から供給されて)再生部内部空間50−I(図4参照)を流れる加熱流体である気相冷媒CC−G(CC−G−H:以下、加熱流体として用いられている気相冷媒CC−Gには添字「−H」を付して、再生器から凝縮器へ移動する段階の気相冷媒CC−Gと区別して表現する)の顕熱或いは気化熱により加熱される。
【0017】
加熱の結果、吸収溶液中の冷媒(例えば水)が気化して、気相冷媒CC−Gとして吸収溶液ASから分離する。一方、加熱流体として作用した気相冷媒CC−G−Hは顕熱及び気化熱を奪われて、液相冷媒となって加熱流体排出口56から出る。なお、加熱流体として用いられた気相冷媒CC−G−Hが気化熱を奪われて凝縮した液相冷媒には、添字「−H」を付して、液相冷媒CC−L−Hと表現する。凝縮器で凝縮した液相冷媒CC−Lと区別するためである。
【0018】
一方、凝縮器48は、例えば全体が板状の部材により構成された凝縮部60を有し、該凝縮部60の内部空間60−I(図4参照)には、冷却水配管62を介して供給される冷却水CCWが流過している。そして、再生器46の再生部50と凝縮器48の凝縮部60とは、特に図3で明確に示されている様に、相互に隣接して配置されており、両者の間隔は比較的短い距離となっている。
【0019】
再び図1及び図2において、再生器46と凝縮器48との間にはじゃま板67が介装されており、該じゃま板67は、冷媒蒸気の流れにより吸収溶液が連行されてしまうことを防止するための部材である。
【0020】
再生器46と凝縮器48との下方には溶液集液機構68が設けられており、該溶液集液機構68は、気相冷媒CC−Gの分だけ濃度が上昇して下方に流過する濃(吸収)溶液AS−Cを収集(集液)している。そして、集液された濃溶液AS−Cは、濃溶液ラインL−Pを介して、図1、2では図示しない吸収器へ送られている。
【0021】
特に図2で明確に示されている様に、凝縮部60の下方には、気相冷媒CC−Gが凝縮した液相冷媒CC−Lを収集し貯留するための液相冷媒集液機構69が設けられている。そして、液相冷媒集液機構69で集液された液相冷媒CC−Lは、図示しない液相冷媒ラインにより、図1、2では図示しない蒸発器へ送られる。
【0022】
次に図4を主として参照しつつ、図1−4の実施形態を説明する。
吸収溶液散布管70(図1、2)から滴下された稀吸収溶液AS−Sが再生部50の表面を均一に流過する際に、稀吸収溶液AS−S内に混合している冷媒(液相)は、再生部内部空間50−Iを流れる気相冷媒CC−G−Hから気化熱を奪い、蒸発して気相冷媒CC−Gとなる。発生した気相冷媒CC−Gは、隣接する凝縮部60と直ちに接触して凝縮し、液相冷媒CC−Lとなる。
ここで、気相冷媒CC−Gが発生した直後に凝縮するので、気相冷媒CC−Gが移動する空間を確保する必要は無い。
【0023】
そして、気相冷媒CC−Gが隣接する凝縮部60まで移動する際に稀溶液AS−Sを連行したり、或いは、凝縮部60の表面から液相冷媒CC−Lを連行して、図1、2で示す部材80の外部に漏出してしまう事態は、じゃま板67により防止される。
【0024】
なお、図1−4で示す再生器46は、吸収冷温水機が一重二重効用吸収冷温水機である場合には低温再生器若しくは排熱回収用再生器であり、二重効用吸収冷温水機である場合には低温再生器である。
【0025】
また、図1−4で示す実施形態では板状の部材で構成されている再生部50及び凝縮部60を、図5で示すように、積層コイル状の部材により構成することも可能である。
【0026】
図1−3においては、再生部50及び凝縮部60は板状の部材として表現されているが、それに限定されるものでは無い。図5は、再生部50及び凝縮部60を板状の部材ではなく、積層コイル状の部材により構成された実施形態を示している。
【0027】
ここで、「積層コイル状」なる文言は、再生部50及び凝縮部60を、図6で示す様な従来の伝熱機構を有する機構(複数の横方向管状部材H−50,60を有する機構)において、横方向管状部材H−50,60間のピッチpを出来る限り小さくして、隣接する横方向管状部材H−50,60同士が接触する様な形態を意味している。
【0028】
また図7は、図1−4で示す再生器と凝縮器とを一体にした部材80の別の形態を示している。全体を符号80Aで示す図7の実施形態においても、再生部50A及び凝縮部60Aが、プレートフィンをオフセットさせた形態で構成されている。図7の実施形態でも、その他の構成及び作用効果が図1−4で示す実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。
【0029】
【発明の効果】
以上説明した本発明の作用効果を以下に列挙する。
(1) 再生器・凝縮器における気相冷媒移動空間のスペースを省略することが出来る。
(2) 上記(1)の結果として、吸収冷温水機自体のコンパクト化が推進される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態を示す斜視図。
【図2】図1の実施形態を裏側から見た斜視図。
【図3】図1のZ方向矢視図。
【図4】図1の符号Eで示す箇所の部分拡大断面図。
【図5】蒸発部、吸収部のその他の形態を示す部分斜視図。
【図6】従来の従来の伝熱機構を示す部分斜視図。
【図7】別の構成の再生部、凝縮部を有する実施形態を示す斜視図。
【符号の説明】
CC−L・・・液相冷媒
CC−L−H・・・加熱流体として用いられた気相冷媒が凝縮した液相冷媒
CC−G・・・気相冷媒
CC−G−H・・・加熱流体として使用される気相冷媒
CCW・・・冷却水
38・・・吸収溶液散布管
40・・・吸収溶液供給管
AS・・・吸収溶液
AS−S・・・稀溶液
AS−C・・・濃溶液
46・・・再生器
48・・・凝縮器
50、50A・・・再生部
50−I・・・再生部内部空間
60、60A・・・凝縮部
60−I・・・凝縮部内部空間
62・・・冷却水配管
70・・・吸収溶液散布管

Claims (5)

  1. 吸収器と、再生器と、凝縮器と、蒸発器とを備えた吸収冷温水機において、前記凝縮器(48)は、その内部を冷却水(CCW)が流過する凝縮部(60)と、前記吸収部より冷却水(CCW)が供給される冷却水用配管(62)とを有しており、前記再生器(46)は、その内部を加熱流体(CC−G−H)が流過する再生部(50)、該再生部(50)の上端に配置され且つ再生部(50)の外側表面に均一に吸収溶液(AS)を流過せしめる吸収溶液散布管(70)とを有し、前記凝縮部(60)及び再生部(50)は隣接して配置されていることを特徴とする吸収冷温水機。
  2. 前記凝縮部(60)及び再生部(50)は複数の部材により構成されており、凝縮部(60)を構成する部材と再生部(50)を構成する部材とが交互に隣接する様に配置されている請求項1の吸収冷温水機。
  3. 前記冷温水機は一重二重効用吸収冷温水機であり、前記再生器(50)は低温再生器或いは排熱回収用再生器である請求項1、2のいずれかの吸収冷温水機。
  4. 前記冷温水機は二重効用吸収冷温水機であり、前記再生器(50)は低温再生器である請求項1、2のいずれかの吸収冷温水機。
  5. 前記吸収冷温水機は単効用吸収冷温水機である請求項1、2のいずれかの吸収冷温水機。
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