JP3858278B2 - 電界発光素子 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、トリフルオロメチル基で置換された芳香族基を有するオキサジアゾール誘導体を用いたEL素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、これまでにない高輝度な平面ディスプレイの候補として有機EL素子が注目され、その研究開発が活発化している。有機EL素子は有機発光層を2つの電極で挟んだ構造であり、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子とが発光層中で再結合して光を発する。有機EL素子に用いられる有機材料には低分子材料と高分子材料があり、どちらを用いても高輝度のEL素子ができることが知られている。
【0003】
このような有機EL素子には2つのタイプがある。1つは、タン(C.W.Tang)らによって発表された電荷輸送層中に蛍光色素を添加した有機EL素子(ジャーナルオブジアプライドフィジックス(J.Appl.Phys.),65,3610(1989))、もう1つは、蛍光色素を単独で用いた有機EL素子である(例えば、ジャパニーズジャーナルオブジアプライドフィジックス(Jpn.J.Appl.Phys.),27,L269(1988)に記載)。後者のEL素子では、蛍光色素が電荷の1つである正孔のみを輸送する正孔輸送層および/あるいは電子のみを輸送する電子輸送層と積層しているような場合に発光効率が向上することが示されている。
しかしいずれも実用化するための充分な条件を備えていない。例えば、前者では正孔輸送材料の薄膜状態での物理的な耐久性が乏しく、また、蛍光色素を添加するのに用いた電子輸送性のホスト材料自身が緑色に発光するため、青色の発光を得るのが困難であり、後者では用いた電子輸送材料の耐久性および電荷輸送能が低く、実用上充分な性能が出せないという問題点があった。
【0004】
電子輸送材料の1つとして2−(4−ビフェニルイル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)が知られている。このPBDを電子輸送層として用いた例として前記の有機EL素子(Jpn.J.Appl.Phys.,27,L269(1988))がある。しかし、PBDは結晶化を起こしやすいなど、薄膜形成後の安定性に乏しいことが指摘され、オキサジアゾール環を複数持つ化合物が開発された(日本化学会誌,11,1540(1991)、特開平6−145658、特開平6−92947、特開平5−152072、特開平5−202011、特開平6−136359)。しかしながら、これらにおいても実用上充分な耐久性を有していなかった。
【0005】
一方、結晶化が起こり難く薄膜の安定性を向上させた素子として正孔輸送性ポリマーなどの高分子媒体に発光材料および電子輸送材料を混合させた素子が報告されている。(特開平4−212286)。しかしながら、駆動電圧が高く、耐久性の向上も実用上十分でない。この原因として、これまで用いられてきた混合させる電子輸送材料は、正孔輸送性ポリマーに対して溶解度が低く、適量混合させることが困難であり、薄膜形成後、放置すると晶出するという問題点に加え、電子輸送能が低く、大量に必要なため膜の安定性が低下するなどの欠点が考えられる。
【0006】
有機EL素子に用いられる電子輸送材料の特性としては、同時に用いられる正孔輸送材料あるいは/および発光材料と励起錯体や電荷移動錯体等とのコンプレックスを形成しないことが望まれる。加えて、薄膜状態での物理的、化学的安定性が高い必要がある。有機EL素子の電荷輸送層あるいは発光層に用いられる薄膜はアモルファス状態にあるものが多く、この薄膜のガラス転移点(Tg)が低いとアモルファス状態から徐々に結晶化が進み、均一な状態を保つことができなくなる。結果として、電流が流れにくくなり最後には絶縁破壊を引き起こし素子が崩壊する。さらに、フルカラーディスプレイとする場合、可視領域全般の発光を取り出す必要があるので、電子輸送材料自身の発光が短波長(450nm以下)にある必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の問題点を解決する電子輸送材料および有機EL素子を見いだすべく鋭意検討した結果、本発明の電界発光素子に用いられるオキサジアゾール誘導体は、トリフルオロメチル基を有するため融点およびTgが高く、電子輸送性に優れ、蛍光色が青色から紫色と波長が短いので、有機EL素子の電子輸送材料として使用した場合、発光色を損ねることがなく、フルカラーディスプレー等の発光素子に適しており、また、本発明の有機EL素子は耐久性が高く、高発光効率であることを見いだし本発明を完成した。
すなわち、本発明は融点およびTgが高い電子輸送材料として有用なオキサジアゾール誘導体を用いた、耐久性が高く、高発光効率の有機EL素子を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板上に、陽極および陰極により挟持された、少なくとも正孔輸送層、発光層および電子輸送層を有する電界発光素子において、該電子輸送層が一般式(1)で表され、発光波長が450nm以下である化合物を少なくとも1つ含有する電界発光素子である。
【化5】
[式中、Xは酸素あるいは硫黄を示し、Ar1およびAr2は、独立して、置換もしくは無置換のフェニル、ビフェニリル、ナフチル、ナフチルフェニル、アントラセニル、キノリル、または、ベンゾチエニルであり、Ar1とAr2のうち少なくとも一方にトリフルオロメチル基を有する。]
本発明は、さらに具体的には、電子輸送層が一般式(1−1)〜(1−18)および(1−20)〜(1−26)で表され、発光波長が450nm以下である化合物の群から選ばれる少なくとも1つを含有する、前記の電界発光素子である。
【化6】
【化7】
【化8】
【0009】
本発明の構成と効果につき以下に詳述する。上述した本発明で使用されるオキサジアゾール誘導体は、以下のようにして製造できる。まず、反応式1に従い、ヒドラジド誘導体を得る。
【化9】
[式中、Ar1およびAr2は置換もしくは無置換の芳香族基を示し、Ar1とA r2のうち少なくとも一方にトリフルオロメチル基を有する。]
この際の溶媒としては、ピリジン、ジメチルホルムアルデヒド(DMF)、ジメチルアニリン、トリエチルアミンなどの塩基性の溶媒を単独で用いるか、または塩基性の試薬の存在下にテトラヒドロフラン(THF)、エーテルなどのエーテル系、トルエン、キシレンなどの芳香族系、クロロフォルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系等の溶媒を用いる。
【0010】
次に、反応式2に従い、分子内環化脱水反応を行うことにより、オキサジアゾール誘導体を得ることができる。
【化10】
[式中、Xは酸素あるいは硫黄を示し、Ar1およびAr2は置換もしくは無置換の芳香族基を示し、Ar1とAr2のうち少なくとも一方にトリフルオロメチル基を有する。]
この際の溶媒としては、不活性な溶媒であるなら特に制限はない。好ましいものとしては、トルエン、キシレン等の芳香族系があげられる。必要ならば、触媒の存在下で上記反応を行うことが出来る。用いられる触媒としては、脱水触媒あるいは酸触媒等が挙げられる。
上記オキサジアゾール誘導体に用いられる芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基、ペリレニル基などの多環芳香族基、ピリジニル基、キノリル基、アクリジニル基、インドリル基、カルバゾリル基、キノキサリニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、チアジアゾリル基などの複素芳香族基があげられる。
上記オキサジアゾール誘導体の芳香族基に用いられる置換基としては例えば、炭素数1から6までのアルキル基、アルコキシル基、ジアルキルアミノ基、アルカノイル基、アルキルオキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基等が挙げられる。上記オキサジアゾール誘導体の具体例としては、下記の化合物を挙げる事ができる。
【0011】
【化11】
【0012】
【化12】
【0013】
【化13】
【0014】
これらのオキサジアゾール誘導体は、トリフルオロメチル基の導入により正孔輸送材料とエキサイプレックスあるいは電荷移動錯体などを形成し難く、EL素子としたときに発光効率を落とさない利点を有し、EL素子の電子輸送材料として有用である。また、薄膜状態における安定性がPBDに比べ増加しており、単独でも安定な電子輸送層を形成できる。これは、トリフルオロメチル基の導入により、オキサジアゾール誘導体の融点およびTgが上昇し、これらがPBDにくらべ高くなったことによる。さらに、トリフルオロメチル基の導入により、オキサジアゾール誘導体の分子全体が非対称な構造となるため、溶解性が高く、ポリビニルカルバゾールのような正孔輸送性高分子に混合して使用する場合に好都合となる。
さらに、これらのオキサジアゾール誘導体は、それ自身強い蛍光を示すのでEL素子の発光材料としても有用である。
【0015】
本発明のEL素子の構成は、各種の態様があるが、基本的には一対の電極(陽極と陰極)間に、前記オキサジアゾール誘導体を挟持した構成とし、これに必要に応じて、正孔輸送材料、発光材料および電子輸送材料を加えるか、もしくは別の層として正孔輸送層、発光層等を積層すればよい。構成の具体例としては、陽極/オキサジアゾール誘導体層/陰極、陽極/正孔輸送層/オキサジアゾール誘導体層/陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/オキサジアゾール誘導体層/陰極、陽極/正孔輸送材料+発光材料+オキサジアゾール誘導体層/陰極などがあげられる。
また、本発明の素子は、いずれも基板に支持されていることが好ましく、この基板に付いては特に制限はなく、従来EL素子に慣用されているもの、例えばガラス、透明プラスチック、導電性高分子あるいは石英などから成るものを用いることができる。
【0016】
本発明で使用される各層は、例えば蒸着法、塗布法等の公知の方法によって、薄膜化する事により形成することができる。上記オキサジアゾール誘導体を用いた層は、薄膜状態の安定性が高いために特に樹脂などの結着剤を必要とせず、蒸着法などにより薄膜化し形成することができるので工業的に有利である。また、樹脂などの結着剤とオキサジアゾール誘導体とを混合して用いる場合にも、オキサジアゾール誘導体の溶解性が高いので、適量混合させることが可能である。さらに、オキサジアゾール誘導体は融点およびTgが高いので、オキサジアゾール誘導体を用いた層は、薄膜状態での物理的な耐久性に富む。また、化学的にも非常に安定なので水蒸気あるいは酸素等の影響を受けない。
このようにして形成された各層の薄膜の厚みについては特に制限はなく、適宜状況に応じて選ぶことができるが、通常2nmないし5000nmの範囲で選定される。
【0017】
本発明のEL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物またはこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAuなどの金属、CuI、ITO(インジウム−スズ酸化物)、SnO2、ZnOなどの誘電性透明材料が挙げられる。上記陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させて作製することができる。膜厚は、通常10nmないし1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。また、電極としてのシート抵抗は数百Ω/square以下が好ましい。
【0018】
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4.3eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物またはこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、カルシウム、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム合金、リチウム合金、アルミニウム合金、アルミニウム/リチウム混合物、マグネシウム/銀混合物、インジウムなどが挙げられる。上記陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させて作製することができる。膜厚は通常10nmないし1μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。また、電極としてのシート抵抗は数百Ω/square以下が好ましい。
陽極および陰極として用いる材料のうち少なくとも一方は素子の発光波長領域において十分透明であることが望ましい。具体的には10%以上の光透過率を有することが望ましい。
【0019】
本発明のEL素子の構成は、前記のように各種の態様があるが、正孔輸送層を設けると発光効率が向上する。
正孔輸送層に用いられる正孔輸送材料としては、電界を与えられた2個の電極間に配置されて陽極から正孔が注入された場合、この正孔を適切に発光層へ伝達しうる化合物であって、例えば、104〜106V/cmの電界印加時に、少なくとも10-6cm2/V・秒以上の正孔移動度をもつものが好適である。このような正孔輸送材料については、前記の好ましい性質を有する物質であれば特に制限はなく、従来、光導電材料において、正孔の電荷輸送材として慣用されている物質やEL素子の正孔輸送層に使用される公知の物質の中から任意の物質を選択して用いることができる。
【0020】
上記正孔輸送材料としては、例えばN−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TPD)、芳香族第3級アミンを主鎖あるいは側鎖に持つポリマー、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−4,4’−ジアミノビフェニルなどのトリアリールアミン誘導体、無金属、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン誘導体、ポリシランなどがあげられる。
【0021】
本発明のEL素子の電子輸送層に用いられる電子輸送材料については特に制限はなく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いる事ができる。この電子輸送材料の好ましい例としては、式(2)で表される化合物などのジフェニルキノン誘導体(電子写真学会誌、30,3(1991)などに記載のもの)、あるいは式(3)、式(4)で表される化合物など(J.Apply.Phys.,27,269(1988)などに記載のもの)や、オキサジアゾール誘導体(前記文献、Jpn.J.Appl.Phys.,27,L713(1988), アプライドフィジック スレター(Appl.Phys.Lett.),55,1489(1989)などに記載のもの)、チオフェン 誘導体(特開平4−212286号公報などに記載のもの)、トリアゾール誘導体(Jpn.J.Appl.Phys.,32,L917(1993)などに記載のもの)、チアジアゾール誘導体(第43回高分子学会予稿集、IIIP1a007などに記載のもの)、オキシ ン誘導体の金属錯体(電子情報通信学会技術研究報告、92(311),43(1992)などに記載のもの)、キノキサリン誘導体のポリマー(Jpn.J.Appl.Phys.,33,L250(1994)などに記載のもの)、フェナントロリン誘導体(第43回高分子討論会予稿集、14J07などに記載のもの)などを挙げることができ、単独もしくは複数を組み合わせて使用することができる。
【0022】
【化14】
【0023】
本発明に用いる発光材料には、高分子学会編 高分子機能材料シリーズ”光機能材料”、共立出版(1991)、P236 に記載されているような昼光蛍光材料、蛍光増白剤、レーザー色素、有機シンチレータ、各種の蛍光分析試薬などの公知の発光材料を用いることができるが、具体的には、アントラセン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、ルブレン、キナクリドンなどの多環縮合化合物、クオーターフェニルなどのオリゴフェニレン系化合物、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチル−5−フェニル−2−オキザゾリル)ベンゼン、1,4−ビス(5−フェニル−2−オキサゾリル)ベンゼン、2,5−ビス(5−タシャリー−ブチル−2−ベンズオキサゾリル)チオフェン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,6−ジフェニル−1,3,5−ヘキサトリエン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3,−ブタジエンなどの液体シンチレーション用シンチレータ、特開昭63-264692 号公報記載のオキシン誘導体の金属錯体、クマリン染料、ジシアノメチレンピラン染料、ジシアノメチレンチオピラン染料、ポリメチン染料、オキソベンズアントラセン染料、キサンテン染料、カルボスチリル染料およびペリレン染料、独国特許2534713 号公報に記載のオキサジン系化合物、第40回応用物理学関係連合講演会講演予稿集、1146(1993)に記載のスチルベン誘導体および特開平4-363891号公報記載のオキサジアゾール系化合物が好ましい。
【0024】
本発明のEL素子の好適な作製方法を、陽極/該オキサジアゾール誘導体層/陰極からなるEL素子の例によって説明する。まず適当な基板上に、陽極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させ、陽極を作製したのち、この上にオキサジアゾール誘導体の薄膜を形成させる。薄膜化の方法としては、例えば、浸せき塗工法、スピンコート法、キャスト法、蒸着法などがあるが、均質な膜が得られやすく、不純物が混ざり難くかつピンホールが生成しにくいなどの点から蒸着法が好ましい。
【0025】
次に、このオキサジアゾール誘導体層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下、例えば蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより、所望のEL素子が得られる。なお、このEL素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、該オキサジアゾール誘導体層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られたEL素子に、直流電圧を印加する場合には、3〜40V程度の直流電圧を印加すると、発光が透明または半透明の電極側より観測できる。また、交流電圧を印加することによっても発光する。なお印加する交流の波形は任意でよい。
【0026】
【実施例】
次に本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明する。
実施例1 式(1−10)で表されるオキサジアゾール誘導体の合成
ベンゾイックヒドラジド1.36gとピリジン10mlのTHF20ml溶液にm−トリフルオロメチルベンゾイルクロライド2.09gを5℃で滴下した。5時間撹拌後、1N塩酸を加え中和した。析出した固体をろ取し、水洗後乾燥させた。
得られた固体と微量のトルエンスルホン酸のトルエン懸濁液を水抜き管をつけて10時間環流した。冷却後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え撹拌した。トルエン層を水洗し、乾燥後濃縮した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、アルコールから再結晶し、最後に減圧下昇華させ目的の化合物を2.32g得た。構造をNMRにて確認した。蛍光波長は349nmであった。
1H NMRデータ(数値はppm値を表す)
8.39(s,1H),8.36(d,1H),8.17(m,2H),7.83(d,1H),7.80(t,1H),7.56(m,3H)
【0027】
実施例2 式(1−11)で表されるオキサジアゾール誘導体の合成
実施例1で用いたベンゾイックヒドラジドをp−フェニルベンゾイックヒドラジドに代えた以外は実施例1に準拠して化23で表されるオキサジアゾール誘導体を合成した。構造をNMRにて確認した。蛍光波長は365nmであった。
1H NMRデータ(数値はppm値を表す)
8.41(s,1H),8.37(d,1H),8.24(d,2H),7.80(m,3H),7.69(m,3H),7.51(t,2H),7.43(m,1H)
【0028】
実施例3 式(1−13)で表されるオキサジアゾール誘導体の合成
実施例1で用いたベンゾイックヒドラジドを2−ナフトイックヒドラジドに代えた以外は実施例1に準拠して化25で表されるオキサジアゾール誘導体を合成した。構造をNMRにて確認した。蛍光波長は368nmであった。
1H NMRデータ(数値はppm値を表す)
8.67(s,1H),8.45(s,1H),8.41(d,1H),8.23(q,1H),8.02(m,2H),7.93(m,1H),7.85(d,1H),7.72(t,1H),7.62(m,2H)
【0029】
実施例4 式(1−6)で表されるオキサジアゾール誘導体の合成
実施例1で用いたm−トリフルオロメチルベンゾイルクロライドをp−トリフルオロメチルフェニルベンゾイルクロライドに、ベンゾイックヒドラジドを1−ナフトイックヒドラジドに代えた以外は実施例1に準拠して化18で表されるオキサジアゾール誘導体を合成した。
【0030】
実施例5
25mm×75mm×1.1mmのガラス基板上にITOを蒸着法にて50nmの厚さで製膜したもの(東京三容真空(株)製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(真空機工(株)製)の基板ホルダーに固定し、石英製のるつぼにTPDをいれ、別のるつぼに1,3−ジ(9−アンスリル)−2−(9−カルバゾリルメチル)−プロパン(AnCz)をいれ、もう1つのるつぼに式(1−11)で表される化合物を入れて真空槽を1×10-4Paまで減圧した。
TPD入りのるつぼを加熱し、膜厚50nmになるように蒸着した。次に、この上にAnCz入りのるつぼを加熱して、膜厚50nmになるように蒸着した。最後に、式(1−11)で表される化合物を入れたるつぼを加熱して膜厚50nmになるように蒸着した。蒸着速度は0.1〜0.2nm/秒であった。
その後真空槽を2×10-4Paまで減圧してから、グラファイト性のるつぼから、マグネシウムを1.2〜2.4nm/秒の蒸着速度で、同時にもう一方のるつぼから銀を0.1〜0.2nm/秒の蒸着速度で蒸着した。上記条件でマグネシウムと銀の混合金属電極を発光層の上に200nm積層蒸着して対向電極とし、素子を形成した。
ITO電極を陽極、マグネシウムと銀の混合電極を陰極として、得られた素子に、直流電圧11Vを印加すると100mA/cm2の電流が流れ、3700cd/m2の緑色の発光が得られた。この素子は、2時間駆動後も安定に発光した。
【0031】
比較例1
実施例10で用いたオキサジアゾール誘導体をPBDに代えた以外は実施例5に準拠して素子を作成した。得られた素子に、直流電圧16Vを印加すると50mA/cm2の電流が流れ、900cd/m2の緑色の発光を得た。この素子は、5分駆動後に非発光部位が生じ、発光輝度が約1/3に低下した。
【0032】
【発明の効果】
本発明の電界発光素子に用いられるオキサジアゾール誘導体は、トリフルオロメチル基を有するため融点およびTgが高く、電子輸送性に優れている。そのため、本発明のEL素子は、発光効率が高く、耐久性に富む。また、本発明の電界発光素子に用いられるオキサジアゾール誘導体は、蛍光色が青色から紫色の範囲にあるので、有機EL素子の電子輸送材料として使用した場合、発光色を損ねることがなく、フルカラーディスプレー等の発光素子に適している。
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