JP3569993B2 - オキサジアゾール重合体 - Google Patents

オキサジアゾール重合体 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、蛍光塗料、エレクトロルミネッセンス(以下ELと略す)素子等の発光材料あるいはEL素子、電子写真等の電荷輸送材料に関するもので、詳しくは新規なオキサジアゾールよりなる重合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその問題点】
近年、有機EL素子は、これまでにない高輝度な平面ディスプレイへの応用が示され研究開発が活発化している。有機EL素子は、有機膜を陽極と陰極で挟んだ構造をしており、この有機膜に用いられる材料に、低分子材料と高分子材料がある。高分子材料は低分子材料に比べ物理的な耐熱性に優れるため、長寿命のEL素子ができると考えられている。
高分子を用いた有機EL素子には2つのタイプがある。1つは、ブロウゲス(J.H.Burroughes)らによって発表されたπ共役系高分子を利用したもの(Nature,347,539(1990))、もう1つはEL素子に用いられる正孔輸送材料あるいは電子輸送材料に高分子材料を用いたものである(特開平4−212286)。後者の場合、EL発光は同時に混合された他の発光材料から見られ、高分子自身が発光するのではない。
【0003】
しかしいずれも実用化するために充分な条件を備えていない。例えば、前者では駆動電圧が高く輝度も低い、後者では用いた材料の正孔輸送能あるいは電子輸送能が低く、実用上充分な発光効率がないなどの問題点があった。
【0004】
正孔輸送性高分子の1つとしてポリビニルカルバゾール(以下PVC と略す)が知られている。このPVC を正孔輸送層として用いた例として特開平3−137186がある。PVC は高分子であるためにTgが高く、熱的な耐久性に優れている。しかし、このものは紫外線で劣化するうえに、トリアリールアミン系低分子化合物に比べ電荷移動度が低く素子にしたとき抵抗が高く効率が悪くなる欠点も有している。
一方、高い電荷輸送能を持つ低分子化合物としてN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル(以下TPDと略す)が報告されている(M.Stolka,J.F.Yanus and D.M.Pai,J.Phys.Chem.,88,4707(1984))。TPDはEL素子の正孔輸送材料として良い性能を持っているが、低分子であるため物理的な熱安定性に乏しく実用上満足のいくものではなかった。さらに、PVC に比べて電子輸送材料と相互作用を持ちやすく、同時に用いられる電子輸送材料の使用範囲が限定されてしまう欠点を有している。TPDを代表とするアリールアミン系の化合物と相互作用を持ちにくい電子輸送性化合物として、2−(4−ビフェニルイル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(以下PBDと略す)が報告されているが、これもまた実用上薄膜にしたときの安定性に不足していた(C.Adachi,T.Tsutsui,S.Saito,Appl.Phys.Lett.,55,15,1489(1989))。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
有機EL素子に用いられる電子輸送材料の特性としては、同時に用いられる正孔輸送材料あるいは/および発光材料とエキサイプレックスや電荷移動錯体等のコンプレックスを形成しないことが望まれる。加えて、薄膜状態での物理的、化学的安定性が高い必要がある。有機EL素子の電荷輸送層あるいは発光層に用いられる薄膜はアモルファス状態にあるものが多く、この薄膜のTgが低いとアモルファス状態から徐々に結晶化が進み、均一な状態を保つことができなくなる。結果として、電流が流れにくくなり最後には絶縁破壊を引き起こし素子が崩壊する。さらに、フルカラーディスプレイとする場合、可視領域全般の発光を取り出す必要があるので、電子輸送材料自身の発光が短波長(450nm以下)にある必要がある。
そこで、これらの問題を解決し、耐久性が高く、高発光効率な有機EL素子を見いだすべく鋭意検討した結果、側鎖にオキサジアゾール環を持つ高分子を用いた有機EL素子が上記問題点を解決することを見いだし本発明を完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(1)、(2)および(3)の各構成を有する。
(1)一般式
【化3】
Figure 0003569993
[式中、R 〜R はそれぞれ独立に水素、フッ素、アルキル基、ビニル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アルカノイルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリール基、シアノ基、アルカノイル基またはトリフルオロメチル基を示す。]で表されるオキサジアゾール誘導体からなる重合体であって分子量が5000から1000000の範囲にあることを特徴とする該重合体。
(2)一般式
【化4】
Figure 0003569993
[式中、R 〜R はそれぞれ独立に水素、フッ素、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アリール基、シアノ基またはトリフルオロメチル基を示す。]で表されるオキサジアゾール誘導体からなる重合体であって、分子量が5000から500000の範囲にあることを特徴とする該重合体。
(3)前記第1項記載の高分子を有効成分とする薄膜をもちいてなる電界発光素子。
【0007】
本発明の構成と効果につき以下詳細に説明する。
上述した本発明の新規な重合体は、以下のようにして製造できる。すなわち、一般式
【化5】
Figure 0003569993
[式中、R 〜R はそれぞれ独立に水素、フッ素、アルキル基、ビニル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アルカノイルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリール基、シアノ基、アルカノイル基またはトリフルオロメチル基を示す。]で表されるビニルオキサジアゾールモノマーを重合開始剤または触媒の存在下に重合させることによって得られる。
【0008】
この重合方法の例としては、ラジカル重合あるいはアニオン重合などがあげられる。ラジカル重合に用いられる触媒としては、アゾイソブチロニトリル(AIBN)のようなアゾ系、過酸化ベンゾイルのような過酸化物系、テトラエチルチウラムジスルフィドのようなジチオカルバメート系などがあげられる。アニオン重合に用いられる触媒としては、ブチルリチウムあるいはナフタリンナトリウムのようは有機系、KNH のような無機系などがあげられる。
【0009】
本発明のオキサジアゾールモノマーに用いられるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基、ペリレニル基などの多環芳香族基、ピリジニル基、キノリル基、アクリジニル基、インドリル基、カルバゾリル基、キノキサリニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、チアジアゾリル基などの複素芳香族基があげられる。
本発明の高分子合成に用いられるオキサジアゾールモノマーの具体例としては、下記の化合物を挙げる事ができる。
【0010】
【化6】
Figure 0003569993
【化7】
Figure 0003569993
【化8】
Figure 0003569993
【化9】
Figure 0003569993
【化10】
Figure 0003569993
【化11】
Figure 0003569993
【0011】
【化12】
Figure 0003569993
【化13】
Figure 0003569993
【化14】
Figure 0003569993
【化15】
Figure 0003569993
【化16】
Figure 0003569993
【化17】
Figure 0003569993
【0012】
【化18】
Figure 0003569993
【化19】
Figure 0003569993
【化20】
Figure 0003569993
【化21】
Figure 0003569993
【化22】
Figure 0003569993
【化23】
Figure 0003569993
【0013】
これらの中で、ビニル基につく芳香環がベンゼン環であるものが特に好ましい。
本発明の共重合体の分子量は、特に制限はないが5000から1000000の範囲にあり、好ましくは5000から500000の範囲である。下限より小さい場合は薄膜状態での安定性に欠け、上限より大きい場合は溶媒に対する溶解度が低くなり取扱い難くなる。
【0014】
また、本発明の重合体は、モノマーの構造を変化させることによって、蛍光の色を紫色から青緑色に変化させることができる。例えば[化6]で示されるモノマーより得られた共重合体は紫色に発光し、[化13]で示されるモノマーより得られた共重合体は青緑色に発光する。すなわち本発明の重合体は、蛍光性があるのでディスプレイの発光材料の1成分としても好適である。
【0015】
本発明の高分子を用いたEL素子の構成は、各種の態様があるが、基本的には一対の電極(陽極と陰極)間に、前記高分子を挟持した構成とし、これに必要に応じて、発光層、正孔輸送層および電子輸送層を介在させればよい。
【0016】
また、本発明の素子においては、いずれも基板に支持されていることが好ましく、該基板に付いては特に制限はなく、従来EL素子に慣用されているもの、例えばガラス、透明プラスチック、石英などから成るものを用いることができる。
【0017】
本発明の高分子は、これらEL素子の電子輸送層として有用である。この電子輸送層は、例えば蒸着法、塗布法等の公知の方法によって薄膜化する事により形成することができる。好ましくはスピンコート、浸漬塗工などの塗布法が用いられる。また、該電子輸送層は、特に樹脂などの結着剤を必要とせず、溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法などにより薄膜化し形成することができるので工業的に有利である。
【0018】
このようにして形成された電子輸送層の薄膜の厚みについては特に制限はなく、適宜状況に応じて選ぶことができるが、通常2nmないし5000nmの範囲で選定される。下限以下であると膜に欠陥が生じやすく、上限以上であると効率が低下する。
【0019】
このEL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAuなどの金属、CuI、ITO、SnO 、ZnOなどの誘電性透明材料が挙げられる。
該陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより作製することができる。この電極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また、電極としてのシート抵抗は数百Ω/mm以下が好ましい。
さらに膜厚は材料にもよるが、通常10nmないし1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
【0020】
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、カルシウム、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム合金、リチウム合金、アルミニウム合金、アルミニウム/リチウム混合物、マグネシウム/銀混合物、インジウムなどが挙げられる。
該陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、電極としてのシート抵抗は数百Ω/mm以下が好ましく、膜厚は通常10nmないし1μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
【0021】
本発明のEL素子の構成は、前記したように各種の態様があるが、正孔輸送層を設けると発光効率が向上する。
【0022】
正孔輸送層に用いられる正孔輸送材料としては、電界を与えられた2個の電極間に配置されて陽極から正孔が注入された場合、該正孔を適切に発光層へ伝達しうる化合物であって、例えば、10 〜10 V/cmの電界印加時に、少なくとも10−6cm /V・秒以上の正孔移動度をもつものが好適である。このような正孔輸送材料については、前記の好ましい性質を有する物であれば特に制限はなく、従来、光導電材料において、正孔の電荷輸送材として慣用されているものやEL素子の正孔輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
【0023】
該正孔輸送材料としては、例えばカルバゾール誘導体(N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなど)、トリアリールアミン誘導体(N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TPD)、芳香族第3級アミンを主鎖あるいは側鎖に持つポリマー、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−4,4’−ジアミノビフェニルなど)、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニンなど)、ポリシランなどがあげられる。
【0024】
本発明の高分子を用いるEL素子の構成は、本発明の高分子自身が電子輸送能を有するために特に電子輸送層を設ける必要がなく工業的に有利となる。しかしながら、必要ならば電子輸送層を陽極と高分子層の間に設けてもよいし、他の電子輸送材料を高分子層に混合させても良い。このような電子輸送材料について特に制限はなく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いる事ができる。該電子輸送材料の好ましい例としては、
【0025】
【化24】
Figure 0003569993
【0026】
などのジフェニルキノン誘導体(電子写真学会誌、30,3(1991)などに記載のもの)、あるいは
【0027】
【化25】
Figure 0003569993
【化26】
Figure 0003569993
【0028】
などの化合物(J.Apply.Phys.,27,269(1988)などに記載のもの)や、オキサジアゾール誘導体(前記文献、Jpn.J.Appl.Phys.,27,L713(1988),Appl.Phys.Lett.,55,1489(1989)などに記載のもの)、チオフェン誘導体(特開平4−212286号公報などに記載のもの)、トリアゾール誘導体(Jpn.J.Appl.Phys.,32,L917(1993)などに記載のもの)、チアジアゾール誘導体(第43回高分子学会予稿集、III Pla007などに記載のもの)、オキシン誘導体の金属錯体(電子情報通信学会技術研究報告、92(311),43(1992)などに記載のもの)、キノキサリン誘導体のポリマー(Jpn.J.Appl.Phys.,33,L250(1994)などに記載のもの)、フェナントロリン誘導体(第43回高分子討論会予稿集、14J07などに記載のもの)などを挙げることができる。
【0029】
また、本発明に用いる発光材料には、高分子学会編、高分子機能材料シリーズ”光機能材料”、共立出版(1991)、P236に記載されているような昼光蛍光材料、蛍光増白剤、レーザー色素、有機シンチレータ、各種の蛍光分析試薬などの公知の発光材料を用いることができるが、具体的には、アントラセン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、ルブレン、キナクリドンなどの多環縮合化合物、クオーターフェニルなどのオリゴフェニレン系化合物、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチル−5−フェニル−2−オキザゾリル)ベンゼン、1,4−ビス(5−フェニル−2−オキサゾリル)ベンゼン、2,5−ビス(5−タシャリー−ブチル−2−ベンズオキサゾリル)チオフェン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,6−ジフェニル−1,3,5−ヘキサトリエン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3,−ブタジエンなどの液体シンチレーション用シンチレータ、特開昭63−264692号公報記載のオキシン誘導体の金属錯体、クマリン染料、ジシアノメチレンピラン染料、ジシアノメチレンチオピラン染料、ポリメチン染料、オキソベンズアントラセン染料、キサンテン染料、カルボスチリル染料およびペリレン染料、独国特許2534713公報に記載のオキサジン系化合物、第40回応用物理学関係連合講演会講演予稿集、1146(1993)に記載のスチルベン誘導体および特開平4−363891号公報記載のオキサジアゾール系化合物が好ましい。
【0030】
次に、本発明の高分子を用いたEL素子を作製する好適な方法の例を次の素子について説明する。陽極/(本発明の高分子+正孔輸送材料+発光材料)層/陰極からなるEL素子の作製法について説明すると、まず適当な基板上に、所望の電極物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させ、陽極を作製したのち、この上に本発明の高分子、正孔輸送材料および発光材料からなる薄膜をスピンコートにより形成させ発光層を設ける。
【0031】
該高分子の薄膜化に、スピンコート法を採用する場合、この高分子を溶解する溶媒(例えば、THF、DMF、NMP、DMSO、トルエン、ベンゼン、クロロフォルム等)に溶かし、スピンナーを用いて基板を回転させながらその基板上に塗布する。次にこの高分子層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下、例えば蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより、所望のEL素子が得られる。
なお、このEL素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、発光層、陽極の順に作製することも可能である。
【0032】
このようにして得られたEL素子に、直流電圧を印加する場合には、電圧3〜40V程度を印加すると、発光が透明または半透明の電極側より観測できる。さらに、交流電圧を印加することによっても発光する。なお印加する交流の波形は任意でよい。
【0033】
【実施例】
次に本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明する。
実施例1(オキサジアゾールポリマーの合成)
2−フェニル−5−(4−スチリル)−1,3,4−オキサジアゾール1gをTHFに溶かし、−50℃まで冷却する。n−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液0.4mlを加え3時間撹拌した。少量のメタノールを加えた後、この溶液を室温まで戻しメタノール500ml中に滴下した。析出した固体をろ取し、10mlのTHFに溶解後、再びメタノール500ml中に滴下した。この操作を3回繰り返した後に得られた固体を減圧下にて乾燥し、本発明の重合体470mgを得た。このものは、紫外線の照射で紫色の蛍光を発した。また、重量平均分子量はポリスチレン換算のGPCより15,000と見積もられた。
H=NMR(CHCl
δ=4.33(t,2H),4.57(t,2H),5.89(q,1H),6.18(q,1H),6.48(q,1H),6.91(d,1H),6.96(q,1H),7.39(m,2H),7.58(d,1H),7.62(m,1H),7.85(m,1H),8.73(s,1H)
【0034】
実施例2(オキサジアゾールポリマーの合成)
実施例1で用いた2−フェニル−5−(4−スチリル)−1,3,4−オキサジアゾールを2−ナフチル−5−{4’−(P−スチリル)フェニル}−1,3,4−オキサジアゾールに置き換えた以外は同様の方法で合成した。このものは、紫外線の照射で青色の蛍光を発した。また、重量平均分子量はポリスチレン換算のGPCより20,000と見積もられた。
【0035】
実施例3
25mm×75mm×1.1mmのガラス基板上にITOを蒸着法にて50nmの厚さで製膜したもの(東京三容真空(株)製)を透明支持基板とした。
この透明支持基板を市販のスピンナー(協栄セミコンダクター(株)製)に固定し、実施例1で得られた重合体5重量部、クマリン6(Kodak社製)0.1重量部とTPD5重量部をトルエンに溶解したものを6000rpmで塗布した。その後、この基板を10−1Paの減圧下50℃にて乾燥後、市販の蒸着装置(真空機工(株)製)の基板ホルダーに固定し、真空槽を2×10−4Paまで減圧してから、グラファイト性のるつぼから、マグネシウムを1.2〜2.4nm/秒の蒸着速度で、同時にもう一方のるつぼから銀を0.1〜0.2nm/秒の蒸着速度で蒸着した。上記条件でマグネシウムと銀の混合金属電極を発光層の上に200nm積層蒸着して対向電極とし、素子を形成した。
ITO電極を陽極、マグネシウムと銀の混合電極を陰極として、得られた素子に、直流電圧を印加すると電流が流れ、緑色の発光を得た。電圧を10V印加すると、50mA/cm の電流が流れ、200cd/m の輝度が得られた。
【0036】
実施例4
実施例3と同様にして発光層を得た後、これを蒸着装置の基板ホルダーに固定し、真空槽を2×10−4Paまで減圧してから、Alqを0.2nm/秒の蒸着速度で20nmの厚さに蒸着した。さらに、実施例3と同条件でマグネシウムと銀の混合金属電極を発光層の上に200nm積層蒸着して対向電極とし、素子を形成した。
ITO電極を陽極、マグネシウムと銀の混合電極を陰極として、得られた素子に、直流電圧を印加すると電流が流れ、緑色の発光を得た。電圧を9.5V印加すると、80mA/cm の電流が流れ、900cd/m の輝度が得られた。
【0037】
実施例5
実施例4で用いたTPDをN−フェニルカルバゾールに代えた以外は同様にして素子を形成した。
ITO電極を陽極、マグネシウムと銀の混合電極を陰極として、得られた素子に、直流電圧を印加すると電流が流れ、緑色の発光を得た。電圧を11V印加すると、100mA/cm の電流が流れ、100cd/m の輝度が得られた。
【0038】
実施例6
25mm×75mm×1.1mmのガラス基板上にITOを蒸着法にて50nmの厚さで製膜したものを透明支持基板とした。この透明支持基板を市販のスピンナーに固定し、PVCzのトルエン溶液を6000rpmで塗布した。この上に、実施例1で得られた重合体10重量部とクマリン6の0.1重量部をジクロロエタンに溶解したものを6000rpmで塗布した。
その後、この基板を10−1Paの減圧下50℃にて乾燥後、蒸着装置の基板ホルダーに固定し、真空槽を2×10−4Paまで減圧してから、グラファイト性のるつぼから、マグネシウムを1.2〜2.4nm/秒の蒸着速度で、同時にもう一方のるつぼから銀を0.1〜0.2nm/秒の蒸着速度で蒸着した。
上記条件でマグネシウムと銀の混合金属電極を発光層の上に200nm積層蒸着して対向電極とし、素子を形成した。
ITO電極を陽極、マグネシウムと銀の混合電極を陰極として、得られた素子に、直流電圧を印加すると電流が流れ、緑色の発光を得た。電圧を8V印加すると、40mA/cm の電流が流れ、600cd/m の輝度が得られた。
【0039】
実施例7
実施例3で用いたオキサジアゾールポリマーを実施例2で得られたポリマーに代えた以外は同様にして素子を形成した。
ITO電極を陽極、マグネシウムと銀の混合電極を陰極として、得られた素子に、直流電圧を印加すると電流が流れ、緑色の発光を得た。電圧を10V印加すると、100mA/cm の電流が流れ、280cd/m の輝度が得られた。
【0040】
実施例8
実施例7で得られた素子に、直流電圧を7V印加すると50cd/m の輝度が得られた。この状態で定電流駆動を続けると、100時間後の輝度は35cd/m であった。
【0041】
比較例1
25mm×75mm×1.1mmのガラス基板上にITOを蒸着法にて50nmの厚さで製膜したものを透明支持基板とした。この透明支持基板を蒸着装置の基板ホルダーに固定し、真空槽を2×10−4Paまで減圧してから、TPD、PBDおよびクマリン6を同時に5:5:0.1の混合比になるように蒸着した。さらに、実施例3と同条件でマグネシウムと銀の混合金属電極を発光層の上に200nm積層蒸着して対向電極とし、素子を形成した。
ITO電極を陽極、マグネシウムと銀の混合電極を陰極として、得られた素子に、直流電圧を印加すると電流が流れ、緑色の発光を得た。この素子に、11Vの電圧を印加すると50cd/m の輝度が得られた。この状態で定電流駆動を続けると、7時間後の輝度は0.5cd/m であった。また、100時間後には発光が認められなかった。
【0042】
【発明の効果】
本発明の高分子は、電子輸送性に優れるオキサジアゾール部を有しているのでEL素子の電子輸送材料として適している。さらに、Tgが高く、それ自身結着性が強いため、特に樹脂を必要とせず基板に対して強固に付着し、安定に薄膜状態を維持することができる。これらを用いることにより、フルカラーディスプレー等の高効率で耐久性の高い本発明の発光素子が作成できる。

Claims (3)

  1. 一般式
    Figure 0003569993
    [式中、R 〜R はそれぞれ独立に水素、フッ素、アルキル基、ビニル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アルカノイルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリール基、シアノ基、アルカノイル基またはトリフルオロメチル基を示すか、あるいは/およびRが隣接する場合において芳香環が縮合していても良い。]で表されるオキサジアゾール誘導体からなる重合体であって分子量が5000〜1000000の範囲にあることを特徴とする該重合体。
  2. 一般式
    Figure 0003569993
    [式中、R 〜R はそれぞれ独立に水素、フッ素、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アリール基、シアノ基またはトリフルオロメチル基を示す。]で表されるオキサジアゾール誘導体からなる重合体であって分子量が5000〜500000の範囲にあることを特徴とする該重合体。
  3. 請求項第1項記載の高分子を有効成分とする薄膜をもちいてなる電界発光素子。
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