JP3858118B2 - パネル固定具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はパネル固定具に関する。さらに詳しくは、一方向からの操作で床パネルなどが固定できるパネル固定具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、床パネルの床梁への固定構造については、図13〜図20に示すような構造が知られている。
【0003】
図13に示す構造は、固定金具aの固定部a1を床梁bの上フランジcの下面に当接させ、この固定金具aを床パネルpにあらかじめ組付けられているナットnにボルトmを螺着させてボルト締することにより床パネルpを床梁bに固定するものである。
【0004】
図14に示す構造は、固定金具aの固定部a1を床梁bの上フランジcの下面に当接させ、床パネルpにあらかじめ形成されている貫通孔hを利用してこの固定金具aをボルトmとナットnとによりボルト・ナット締めして固定し、床パネルpを床梁bに固定するものである。
【0005】
図15および図16に示す構造は、下端部がL字状に折り曲げられてフックeが形成された固定金具dを床パネルpに形成された貫通孔hにあらかじめ回転可能に取付けておいて、このフックeを床梁bの上フランジc側に回転させ、床梁bの上フランジcを床パネルpとフックeとにより挾み込むことにより、床パネルpを床梁bに固定するものである。
【0006】
図17〜図20に示す構造は、梁bの床パネルp,p相互の接続部に形成される目地qに対応する位置の適宜個所にスタッドボルトmを植え、そして床パネルp,pのこのスタッドボルトmの周囲に該当する上面部分を所定範囲削り取って段部r,rを形成し、この段部r,rに固定金具aを配設し、ついでこのスタッドボルトmにナットnを螺合させてこの固定金具aを締め付けて床パネルp,pを床梁bに固定するものである。
【0007】
しかしながら、前記各構造は以下に述べるような問題を有している。
【0008】
図13に示す構造では、床パネルpの下方からの作業が伴なうので作業性が悪い。また、床パネルpが二階や三階に取付けられる場合、高所作業となるので、作業者の安全対策を取らねばならず、作業能率の低下を招来する。さらに、床パネルpにナットnを埋設するために、床パネルpの製作が煩雑となるとともに、床パネルpのコスト上昇を招来する。
【0009】
図14に示す構造では、図13の構造と同様に、床パネルpの下方からの作業が伴うので作業性が悪い。また、床パネルpが二階や三階に取付けられる場合、高所作業となるので、作業者の安全対策を取らねばならず、作業能率の低下を招来する。さらに、ボルトmと床パネルpとの遊びが大きく、高い固定強度が得られない。
【0010】
図15および図16に示す構造では、床パネルpの仮敷きの前に床パネルpへ固定金具dを取付けなければならず、施工性が悪い。また、固定金具dの軸と床パネルpとの遊びが大きく、高い固定強度が得られない。
【0011】
図17〜図20に示す構造では、床パネルpに段部rを形成するために、床パネルpの製作が煩雑となるとともに、床パネルpのコスト上昇を招来する。また、スタッドボルトmと床パネルpとの遊びが大きく、高い固定強度が得られない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みなされたものであって、床パネルの製作を煩雑にすることなく、しかも一方向からの操作で床パネルなどが固定できるパネル固定具を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のパネル固定具は、上部に雄ねじが形成された軸部材と、前記軸部材の上端に設けられた吊り部材と、前記軸部材の下端に設けられた所定の角度で開閉自在なフックと、前記軸部材の雄ねじ部に装着されて床パネルと係止される係止部材と、前記雄ねじと螺合されるナットとを備えてなることを特徴とする。
【0014】
本発明のパネル固定具においては、前記吊り部材によりフックの開閉方向が確認できるようにされてなるのがさらに好ましい。
【0015】
また、本発明のパネル固定具においては、前記係止部材が固定されるパネルとの係止爪を有してなるのも好ましい。
【0016】
【作用】
床梁に割付けされた床パネルの透孔にパネル固定具を挿通し、フックの開閉方向を床梁の上フランジに向けてその先端部を床パネルの裏面から突出させると、フックが所定角度、例えば約90度に開く。その状態でパネル固定具を引き上げると、フックが床梁の上フランジと係止する。ついで、係止部材を床パネルに押し付けて係止させ、上部の雄ねじにナットを螺着して締め込むことにより床パネルの固定がなされる。このように、このパネル固定具によれば一方向からの作業により床パネルの固定がなされ、作業能率が向上する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施の形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施の形態のみに限定されるものではない。
【0018】
本発明の一実施の形態の床パネル固定具Jを図1〜図4に示し、この床パネル固定具Jは、上部11に雄ねじ12が形成され下部13がIプレート状とされている軸部材10と、この軸部材10の下端部13aに折畳み可能に係合されているフック20と、この雄ねじ12に装着される係止部材30と、軸部材10の上端11aに下端が接合されている吊り部材40とを主要部としてなる。
【0019】
フック20は、図1〜図4に示すように、一端が閉じられた断面がU字状の溝型部材21とされ、その閉じられた端部22側が軸部材10のIプレート状とされている下端部13aを挾み込んで、その下端部13aにピン接合されている。この溝型部材21は軸部材10側に折畳まれたときに、その溝22内に軸部材10を収納できるように、内側が軸部材10の形状に対応した形状とされている。また、溝型部材21は閉じられている側が軸部材10にピン接合されているので、この溝型部材21が折畳まれた状態から倒されてほぼ水平になると、溝型部材21の閉じられている部分が軸部材10のIプレート状とされている下部13に当接してその回転が阻止され、その角度以上に下方に下がることがない。このため、この溝型部材21がフック20として機能することになる。なお、このフック20は自重により開閉自在とされているのが好ましい。
【0020】
係止部材30は下部係止部材31と上部係止板35とからなる。この下部係止部材31は、有底円筒状の胴32とこの胴32の上端から一体的に形成されている外形がほぼ四角形のフランジ33とからなる。そして、この胴32の底面32a中央には、軸部材10の上部11が挿通される円形の透孔34が形成されている。また、このフランジ33は、一対の角が、図4に示すように切り落され、そして一対の対向する側縁の一部は上方に折り曲げられて突出片33a,33aとされている。
【0021】
一方、上部係止板35は角が丸められた前記フランジ33と同サイズの四角形とされ、その対向する側縁の前記突出片33a,33aに対応する位置には前記突出片33a,33aと係合される一対の長方形の透孔36,36が形成されている。また、その中央部には軸部材10の上部11を挿通するための円形の透孔37が形成されている。
【0022】
そして、この上部係止板35は、長方形の透孔36,36に下部係止部材31のフランジ33に形成された突出片33a,33aを係合させた状態で、図4に示すように対角状に一対のビス1,1でビス留めされる。また、このビス留めされていない残りの対角に位置する角は、フランジ33の角を切り落として形成される斜辺に沿わせて下方に折り曲げられて、係止爪38とされている。これにより、上部係止板35と下部係止部材31とが係止部材30に一体化される。
【0023】
吊り部材40は、図5に示すように、帯板41の上下42,43を水平に折り曲げてコの字状に形成されたものとされ、その底面43aが軸部材10の上端面11aに、上面42aの向きをフック20の開く方向に一致させて接合されている。また、その垂直面44は軸部材10を吊り下げた際に、軸部材10のフックが床パネルPの下方で開くことができるに足る高さのものとされるとともに、図5(b)に示すように適宜切り込み45が設けられていて折り曲げやすくされ、そして上面42aはハンドリングが容易となるように垂直面44よりは幅広に形成されている。また、上面42aおよび垂直面44の大きさは、軸部材10の上部11に形成されている雄ねじ12と螺合されるナット2が挿通できる大きさとされている。
【0024】
次にかかる構成とされている床パネル固定具Jを用いた床パネルPの施工について説明する。
【0025】
(1)床パネルPの両端部の所定位置に上部51が大きくかつ下部52が小さくされている円形の段付き透孔50を形成する。この上部51の直径はその端部53に床パネル固定具Jの係止部材30を係止できる大きさとされ、その深さは床パネル固定具Jが床パネルPを固定した際に、軸部材10の上端11aが突出しない深さとされている(図9参照)。なお、この段付き透孔50の形成はあらかじめ工場にてなされる。
【0026】
(2)床パネルPを床パネル割付け図にしたがって床梁B上に割付ける(図6参照)。
【0027】
(3)床パネルPに形成されている透孔50に、ナット2および係止部材30が装着された床パネル固定具Jを挿通する(図7参照)。
【0028】
(4)吊り部材40の上面42aを保持しながら軸部材10を透孔50内を降下させる。
【0029】
(5)フック20を床パネルP裏面から突出させて開く(図8参照)。
【0030】
(6)吊り部材40を引き上げてフック20を床梁Bの上部フランジFに係止させ、ついで係止部材30を段付き透孔50の段部53に押し付けて係止爪38,38を段部53に食い込ませる(図9参照)。
【0031】
(7)ナット2を仮締めする(図9参照)。
【0032】
(8)フック20の床梁Bの上部フランジFとの係止状態を確認し、問題がなければナット2を本締めする(図10参照)。
【0033】
(9)吊り部材40を適宜折り曲げて透孔50の上部51においてナット2の側方に収納する(図11参照)。これにより、床パネル固定具Jによる床パネルPの床梁Bへの固定が完了する。
【0034】
このように、この実施の形態によれば、床パネルPの上からの床パネル固定具Jを挿通し、それをナット締めするだけの簡単な作業のみで床パネルPの床梁Bへの固定がなし得る。また、この床パネル固定具Jを使用するための床パネルPへの加工は、段付き透孔50の形成のみであるため、この床パネル固定具Jを使用することによる床パネルPの加工工程の増加はほとんどない。したがって、この実施の形態の床パネル固定具Jを使用することによる床パネルのコスト上昇もほとんどない。
【0035】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明はかかる実施の形態のみに限定されるものではない。例えば、図12に示すように、外壁パネルWの固定にも適用できる。
【0036】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、床パネルの上からの床パネル固定具を挿通し、それをナット締めするだけの簡単な作業のみで床パネルの床梁への固定がなし得るという優れた効果が得られる。また、この床パネル固定具を使用するための床パネルへの加工は、段付き透孔の形成のみであるため、この床パネル固定具を使用することによる床パネルの加工工程および製造コストの増加はほとんどないという効果も得られる。したがって、トータルコストおよび施工期間が著しく低減されるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の床パネル固定具の斜視図である。
【図2】同正面図である。
【図3】同側面図である。
【図4】同平面図である。
【図5】同床パネル固定具に用いられている吊り部材を示す図であって、同(a)は平面図、同(b)は正面図、同(c)は側面図を示す。
【図6】同床パネル固定具を用いて床パネルを固定する手順を示す説明図であって、床パネルを床梁に割付けしている状態を示す。
【図7】同床パネル固定具を用いて床パネルを固定する手順を示す説明図であって、床パネル固定具を床パネルに設けられた透孔に挿通している状態を示す。
【図8】同床パネル固定具を用いて床パネルを固定する手順を示す説明図であって、床パネル固定具の先端を床パネル裏面から突出させ、フックを開いた状態を示す。
【図9】同床パネル固定具を用いて床パネルを固定する手順を示す説明図であって、床パネル固定具を引き上げてフックを床梁の上フランジに係止させた状態を示す。
【図10】同床パネル固定具を用いて床パネルを固定する手順を示す説明図であって、ナットを本締めしている状態を示す。
【図11】同床パネル固定具を用いて床パネルを固定する手順を示す説明図であって、吊り部材を折り曲げてナット側方に収納している状態を示す。
【図12】本発明の他の実施の形態の概略図であって、壁パネルを固定している状態を示す。
【図13】従来の床パネル固定構造の一例を示す概略図である。
【図14】従来の床パネル固定構造の他の例を示す概略図である。
【図15】従来の床パネル固定構造の他の例における施工手順を示す説明図であって、フックが装着されたた床パネルを床梁に載置した状態を示す。
【図16】同説明図であって、フックを床梁の上フランジに係止した状態を示す。
【図17】従来の床パネル固定構造のさらに他の例における施工手順を示す説明図であって、床梁の床パネルの目地部にスタッドボルトを植設した状態を示す。
【図18】同説明図であって、床梁に床パネルを割付けた状態を示す。
【図19】同説明図であって、スタッドボルトに固定金具を装着した状態を示す。
【図20】同説明図であって、固定金具をナット締めした状態を示す。
【符号の説明】
1 ビス
2 ナット
10 軸部材
11 上部
12 雄ねじ
13 下部
20 フック
21 溝型部材
23 溝
30 係止部材
31 下部係止部材
35 上部係止板
38 係止爪
40 吊り部材
41 帯板
50 段付き透孔
J 床パネル固定具
P 床パネル
B 床梁
F 上フランジ
Claims (3)
- 上部に雄ねじが形成された軸部材と、前記軸部材の上端に設けられた吊り部材と、前記軸部材の下端に設けられた所定の角度で開閉自在なフックと、前記軸部材の雄ねじ部に装着されて床パネルと係止される係止部材と、前記雄ねじと螺合されるナットとを備えてなることを特徴とするパネル固定具。
- 前記吊り部材によりフックの開閉方向が確認できるようにされてなることを特徴とする請求項1記載のパネル固定具。
- 前記係止部材が固定されるパネルとの係止爪を有してなることを特徴とする請求項1記載のパネル固定具。
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- 1996-12-24 JP JP35613296A patent/JP3858118B2/ja not_active Expired - Fee Related
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