JP3856898B2 - ラインフィルタ用フェライトコアおよびその製造方法 - Google Patents

ラインフィルタ用フェライトコアおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透磁率が高く、その周波数特性が良好で広帯域に亘ってノイズ減衰率の高いラインフィルタ用フェライトコアと、これを製造する方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
ラインフィルタ用のフェライトコアでは、比較的高い周波数でしかも広帯域(0.5〜1000kHz 程度)で高透磁率が必要である。このような周波数帯域において透磁率の高いMn−Zn系フェライトは、例えば特開平6−204025号公報(BiおよびMo添加、100kHz および500kHz の初透磁率が9000以上および3000以上)に記載されている。また、特開平5−74623号公報(Mo添加)にも高透磁率Mn−Zn系フェライトが記載されている。
ところで、ラインフィルタ用のフェライトコアでは、透磁率の他、低周波域、例えば1kHzでの高いインダクタンスと、高周波域、例えば500kHzでの高いインピーダンスとが必要とされる。しかし、従来の高透磁率材料では、これら両者を満足することができなかった。
【0003】
また、Moを添加したMn−Zn系フェライトコアは、焼成時に特にMoが昇華ないし蒸発しやすいため、この量を見込んで、出発原料中の配合比率を設計値よりも多くする必要がある。しかし、Moを過剰に添加して実際に量産を行ったとき、透磁率の高いコアと低いコアとが混在し、特性ばらつきが生じてしまうことがわかった。
【0004】
なお、Znの蒸発による磁気特性の劣化を防ぐために、焼成体と同一組成のケースを用いたり、酸化亜鉛の成形体を同時に焼成する方法が、例えば特開平3−41708号公報に提案されている。しかし、このような方法を適用した場合、コスト高となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透磁率が高く、その周波数特性が良好で、低周波域でインダクタンスが高く、高周波域でインピーダンスが高く、このため広帯域に亘って高いノイズ減衰率を示し、しかも特性ばらつきが小さいラインフィルタ用フェライトコアを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(7)のいずれかの構成により達成される。
(1) MnO換算で13.5〜16重量%の酸化マンガンと、ZnO換算で14〜16重量%の酸化亜鉛と、酸化鉄(残部)との主成分と、
SiO 換算で50〜200ppm の酸化ケイ素と、CaO換算で100〜350ppm の酸化カルシウムと、Nb 換算で30〜150ppm の酸化ニオブと、MoO 換算で20〜200ppm の酸化モリブデンと、Bi 換算で100〜800ppm の酸化ビスマスとの副成分とを含有し、
CaO/MoO が0.5〜15であるラインフィルタ用フェライトコア。
(2) 主成分原料と副成分原料との混合物を成形して焼成したものであるラインフィルタ用フェライトコアであって、
主成分原料が、MnO換算で10〜20重量%の酸化マンガン原料と、ZnO換算で10〜20重量%の酸化亜鉛原料と、酸化鉄原料(残部)とからなり、
副成分原料が、SiO 換算で50〜200ppm の酸化ケイ素原料と、CaO換算で100〜350ppm の酸化カルシウム原料と、Nb 換算で50〜250ppm の酸化ニオブ原料と、MoO 換算で100〜400ppm の酸化モリブデン原料と、Bi 換算で100〜800ppm の酸化ビスマス原料とを含有し、
副成分原料中におけるCaO/MoO が0.6〜1.6である上記(1)のラインフィルタ用フェライトコア。
(3) 透磁率が100kHz で10000以上、500kHz で3000以上である上記(1)または(2)のラインフィルタ用フェライトコア。
(4) 主成分原料と副成分原料との混合物を成形し成形体とする工程と、
前記成形体を焼成する工程と、を有するラインフィルタ用フェライトコアを製造する方法であって、
前記主成分原料が、MnO換算で10〜20重量%の酸化マンガン原料と、ZnO換算で10〜20重量%の酸化亜鉛原料と、酸化鉄原料(残部)とからなり、
前記副成分原料が、SiO 換算で50〜200 ppm の酸化ケイ素原料と、CaO換算で100〜350 ppm の酸化カルシウム原料と、Nb 換算で50〜250 ppm の酸化ニオブ原料と、MoO 換算で100〜400 ppm の酸化モリブデン原料と、Bi 換算で100〜800 ppm の酸化ビスマス原料とを含有し、
前記副成分原料中におけるCaO/MoO が0.6〜1.6であるラインフィルタ用フェライトコアの製造方法。
(5) 前記成形体をセッターに複数積載して焼成する上記(4)のラインフィルタ用フェライトコアの製造方法。
(6) 上記(4)または(5)の方法により得られるラインフィルタ用フェライトコアであって、
MnO換算で13.5〜16重量%の酸化マンガンと、ZnO換算で14〜16重量%の酸化亜鉛と、酸化鉄(残部)との主成分と、
SiO 換算で50〜200 ppm の酸化ケイ素と、CaO換算で100〜350 ppm の酸化カルシウムと、Nb 換算で30〜150 ppm の酸化ニオブと、MoO 換算で20〜200 ppm の酸化モリブデンと、Bi 換算で100〜800 ppm の酸化ビスマスとの副成分とを含有し、
CaO/MoO が0.5〜15であるラインフィルタ用フェライトコア。
(7) 透磁率が100 kHz で10000以上、500 kHz で3000以上である上記(6)のラインフィルタ用フェライトコア。
【0007】
【作用および効果】
本発明のラインフィルタ用フェライトコアは、添加物として酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化ニオブ、酸化モリブデンおよび酸化ビスマスを所定量含有するため、特に周波数100〜500kHz において透磁率が高く、その周波数特性が良好であり、周波数100〜500kHz でのインピーダンスが高くなる。また、0.5〜100kHzでのインダクタンスが高くなる。このため、0.5〜1000kHz 程度の周波数で使用されるラインフィルタに適用したときに、良好なノイズ減衰特性を示し、小型化および巻線数の減少が可能となる。
【0008】
しかも、本発明では、量産する際の特性ばらつき、特に透磁率およびその周波数特性のばらつきを小さくすることができる。
【0009】
Mn−Znフェライトコアの量産に際しては、成形体をセッターに多数積載してプッシャー炉で焼成する。このとき、セッター上に積載する位置によってコアの特性が異なるが、この特性差はコアの組成、特にMo含有量に起因する。具体的には、ひとつのセッター上にある成形体群の中心付近に位置する成形体では、Moの昇華ないし蒸発する量が少なく、一方、成形体群の表面付近に位置する成形体ではMoの昇華ないし蒸発する量が多くなり、この結果がコア組成に反映される。
【0010】
本発明者らは、このような知見に基づき、各種の実験を重ねた結果、Moの昇華ないし蒸発する量が成形体中のCa量と相関しており、出発原料中のMo量に対するCa量の比率を所定範囲とすることによりMoの昇華ないし蒸発が抑えられ、所定量のMo量となり、広帯域ノイズ抑制特性が向上することを見いだした。これにより、セッター上の成形体群の表面付近に位置する成形体においてMoの昇華ないし蒸発が抑えられ、セッター上の積載位置による特性ばらつき、特に透磁率およびその周波数特性のばらつきが抑えられる。また、本発明ではMoの昇華ないし蒸発が抑えられることから、1個のコアについても、コア中心付近とコア表面付近との組成ずれを抑えることができる。
【0011】
MoO3 は、蒸気圧が0.1気圧となる温度が約1200℃と低いため、フェライト焼成時に昇華ないし蒸発する量が多くなると考えられる。この点から、酸化モリブデン以外の化合物についても、フェライトの焼成温度付近での蒸気圧が高いものについては、酸化モリブデンと同様に酸化カルシウム添加量との比率を制御することにより、特性ばらつきを小さくすることが可能と考えられる。
【0012】
上記した特開平6−204025号公報の実施例では、SiO2 、CaO、Bi23 、MoO3 は添加しているが、Nb25 は添加しておらず、また、MoO3 とCaOとの比率については言及されていない。このため、同公報の記載にしたがっても、高透磁率でその周波数特性が良好で、低周波でのインダクタンスが高く、高周波でのインピーダンスが高いフェライトコアを、ばらつきなく安定して提供することはできない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
【0014】
本発明のラインフィルタ用フェライトコアは、主成分原料と副成分原料との混合物を成形して焼成することにより製造される。
【0015】
主成分原料としては、MnO換算で13.5〜16重量%の酸化マンガン原料と、ZnO換算で14〜16重量%の酸化亜鉛原料と、酸化鉄原料(主成分原料の残部)とを用いる。主成分原料の組成が上記範囲を外れると、高透磁率が得られなくなる。
【0016】
主成分原料としては、通常の酸化鉄原料、酸化マンガン原料および酸化亜鉛原料、すなわち、酸化物または焼成により酸化物となる各種化合物を用いればよい。
【0017】
副成分原料は、酸化ケイ素原料と、酸化カルシウム原料と、酸化ニオブ原料と、酸化モリブデン原料と、酸化ビスマス原料とを含有する。これら各原料としては、各金属の酸化物または焼成により酸化物となる化合物を用いればよいが、酸化ケイ素原料としてはSiO2 が好ましく、酸化カルシウム原料としてはCaCO3 が好ましく、酸化ニオブ原料としてはNb25 が好ましく、酸化ビスマス原料としてはBi23 が好ましく、酸化モリブデン原料としてはMoO3 が好ましい。
【0018】
酸化ケイ素原料の含有量は、SiO2 換算で50〜200ppm である。含有量が少なすぎると透磁率が低くなり、多すぎると焼成時に異常粒成長が生じ、透磁率が低くなり、いずれにせよ所望のインピーダンスとインダクタンスが得られない。
【0019】
酸化カルシウム原料の含有量は、CaO換算で100〜350ppm である。含有量が少なすぎると500kHz 程度の高周波での透磁率が低くなり、多すぎると100kHz 程度の中周波域での透磁率が低くなり、いずれにせよ所望のインピーダンスとインダクタンスが得られない。
【0020】
酸化ニオブ原料の含有量は、Nb25 換算で50〜250ppm である。含有量が少なすぎても多すぎても透磁率が低くなり、いずれにせよ所望のインピーダンスとインダクタンスが得られない。
【0021】
酸化モリブデン原料の含有量は、MoO3 換算で100〜400ppm である。含有量が少なすぎると焼成時に異常粒成長が生じ、透磁率が低くなり、一方、含有量が多すぎると、焼成時のMoの昇華ないし蒸発する量が多くなるため、多数の成形体を同時に焼成したときの特性ばらつきが大きくなってしまい、いずれにせよ所望のインピーダンスとインダクタンスが得られない。
【0022】
酸化ビスマス原料の含有量は、Bi23 換算で100〜800ppm である。含有量が少なすぎても多すぎても透磁率が低くなってしまい、いずれにせよ所望のインピーダンスとインダクタンスが得られない。
【0023】
なお、副成分原料の含有量は、主成分原料に対する比率である。
【0024】
副成分原料中において、酸化モリブデンに対する酸化カルシウムの比率は、CaO/MoO3 に換算して0.6〜1.6、好ましくは0.7〜1.5である。この比率が小さすぎると、焼成時にMoの昇華ないし蒸発する量が多くなり、多数の成形体を同時に焼成する際に特性のばらつき、特に透磁率およびその周波数特性のばらつきが大きくなってしまう。一方、この比率が大きすぎると、100kHz 程度の低周波での透磁率が低くなってしまい、いずれにせよ所望のインピーダンスとインダクタンスが得られない。
【0025】
なお、本発明のフェライトコア中には、上記した副成分の他、例えば酸化インジウム、酸化バナジウム、酸化タンタル等の1種以上が含有されていてもよい。これらの含有量は、それぞれIn23 、V25 、Ta25 等に換算して合計0〜3000ppm 程度であることが好ましい。
【0026】
そして、まず、上記主成分原料を、850〜950℃程度で5分間〜2時間程度仮焼する。仮焼は、噴霧焙焼により行ってもよい。得られた仮焼体に、副成分原料を添加し、粉砕することにより混合する。酸化カルシウムや二酸化ケイ素またはこれらの原料化合物は、仮焼の前および/または後に添加すればよい。混合後、適当なバインダー、例えばポリビニルアルコールを少量、例えば0.1〜1.0重量%加え、スプレードライヤー等にて80〜200μm程度の径の顆粒とし、成形する。
【0027】
次いで、成形体を焼成する。焼成の際には、例えば、酸素濃度を制御した雰囲気下において、焼結温度まで50〜300℃/hr程度の昇温速度で徐熱し、通常、1250℃以上、特に、1300〜1400℃の範囲の所定温度に4〜5時間程度保持することによって焼結を完了させる。焼結完了後は、酸素濃度を制御した雰囲気中で、降温速度50〜300℃/hr程度で冷却することが好ましい。
【0028】
このような焼成に際しては、少なくとも昇温時1000℃以上の温度から温度保持工程まで、より好ましくは1000℃以上の温度範囲において、酸素分圧を25%以上、特に30%以上、さらには30〜100%とすることが好ましい。一般に、透磁率を高めるために比較的大粒径の結晶粒を得ようとする場合、高い焼成温度で長い保持時間を与えればよい。しかし、高温かつ長時間の焼成を行うと、焼成炉の寿命が短くなったり、生産性が低下したりする。しかし、酸化ビスマスと酸化モリブデンと酸化ニオブとを併用する組成系では、上記のような酸素焼成を行うことにより、比較的低温かつ短時間で焼成した場合でも100〜500kHz における透磁率を高め、低周波域でのインダクタンスと高周波域でのインピーダンスとを高めることができる。また、低温かつ短時間の焼成では、MoやBiの昇華ないし蒸発が抑えられるので、透磁率のばらつきもより少なくなる。
【0029】
焼成は、通常、プッシャー炉で行う。プッシャー炉では、複数の成形体が積載されたセッターが連続して炉内に導入され、連続焼成が可能である。セッターの寸法は特に限定されないが、通常、一辺が250〜300mm程度である。セッターひとつあたりの成形体の積載個数は、セッターや成形体の寸法によっても異なるが、通常、1段あたり50〜500個程度、積層段数は1〜8程度、合計数は50〜2400個程度、総積載重量は2〜6kg程度である。本発明では、このように多数の成形体をセッターに積載して焼成した場合でも、セッター上の位置の違いによって生じる組成ずれを抑えることができる。
【0030】
上記した出発原料を用いたとき、焼成後の組成(コア組成)は、通常、以下のようになる。主成分は、MnO換算で13.5〜16重量%の酸化マンガンと、ZnO換算で14〜16重量%の酸化亜鉛を含み、残部が酸化鉄である。また、副成分は、SiO2 換算で50〜200ppm の酸化ケイ素と、CaO換算で100〜350ppm の酸化カルシウムと、Nb25 換算で30〜150ppm の酸化ニオブと、MoO3 換算で20〜200ppm 、好ましくは20〜100ppmの酸化モリブデンと、Bi23 換算で100〜800ppm の酸化ビスマスとを含む。そして、このような組成により、例えば1kHz程度の低周波域でのインダクタンスと、例えば500kHz程度の高周波域でのインピーダンスがともに高い値となり、広帯域でのノイズ抑制が有効に行われる。なお、コア中の副成分が副成分原料の添加量よりも多くなることがあるが、これは、副成分構成元素、特にSi、Caが主成分原料中に不純物として含まれることが多いためである。また、コア中の副成分が副成分原料の添加量よりも少なくなることがあるが、これは、副成分構成元素、特にMo、Biが焼成時に昇華ないし蒸発することがあるためである。
【0031】
なお、コア組成中のCaO/MoO3は0.5〜15、特に3〜8が好ましい。
【0032】
本発明のフェライトコアの平均結晶粒径は、5〜50μm であることが好ましい。平均結晶粒径が大きすぎても小さすぎてもμiの高周波特性が低下してしまう。なお、平均結晶粒径は、鏡面研摩面を酸エッチング後、光学顕微鏡にて観察される多結晶体を円換算した場合の直径の平均として求めればよい。
【0033】
上記のように成形体をセッターに積載して多数同時に焼成することにより製造した場合でも、本発明のフェライトコアは、初透磁率を100kHz で10000以上とすることが容易であり、11000以上、12000にも及ぶ値とすることもできる。また、500kHz では3000以上とすることが容易であり、3500以上にも及ぶ値とすることもできる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0035】
主成分原料であるMnO(14.3重量%)、ZnO(15.4重量%)およびFe23 (残部)と、副成分原料であるSiO2 (50ppm )、Bi23 (300ppm )、Nb25 、MoO3 およびCaCO3 との混合物を調製した。Nb25 、MoO3 およびCaCO3 (CaO換算)の添加量と、MoO3 添加量に対するCaCO3 添加量(CaO換算)の比とを、表1に示す。
【0036】
具体的には、主成分原料としてMn34、ZnOおよびFe23を混合し、混合物を900℃で30分間仮焼した。得られた仮焼体に、副成分原料を表1に示す比率で添加し、粉砕混合した。この粉砕後の混合物にバインダを加え、スプレードライヤーにて平均粒径150μm に顆粒化し、成形した。次いで、酸素分圧を制御した雰囲気中で成形体を昇温し、1350℃にて4時間保持して焼結した。その後、酸素分圧を制御した雰囲気で冷却し、図に示される形状のコアサンプルを得た。長さの単位はmmである。焼成にはプッシャー炉を用いた。成形体はセッターひとつあたり540個積載した。積載パターンは、1段とした。
【0037】
各サンプルのコア内の平均組成を蛍光X線により測定した。得られたコアについてSi含有量(SiO2換算)、Nb含有量(Nb25 換算)、Bi含有量(Bi23 換算)、Mo含有量(MoO3 換算)およびCa含有量(CaO換算)を測定した。
【0038】
なお、コアの主成分の組成比は主成分原料の組成比と同等であった。
【0039】
各サンプルについて、1kHzでのインタクタンスLと、500kHzでのインピーダンス|Z|を測定した。測定条件は以下のとおりである。
電流 0.5mA
巻数 10ターン
温度 23℃
結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0003856898
【0041】
表1に示される結果から本発明の組成サンプルNo.1〜3では、1kHzのインダクタンスは比較例の最低レベルの30%程度以上向上し、500kHzのインピーダンスは比較例の最低レベルの50%程度以上向上し、1kHzのインダクタンス、500kHzのインピーダンスともきわめて高い値が得られることがわかる。これに対し、NbやCa添加しないサンプルは1kHzのインダクタンス、500kHzのインピーダンスともきわめて低い。また、Caの少ないNo.4では1kHzのインダクタンスは良好であるが、500kHzのインピーダンスがきわめて小さくなってしまう。そして、Caの多いNo.5では500kHzのインピーダンスは向上するが、1kHzのインダクタンスがきわめて小さくなってしまう。この結果、ラインフィルタのコモンモードチョークコイルに用いたところ、本発明のサンプル1〜3では、0.5〜1000kHzにおいて、比較例4〜7に比較して格段と高いノイズ抑制効果を示した。
【0042】
実施例2
主成分原料であるMnO(14.3重量%)、ZnO(15.4重量%)およびFe23 (残部)と、副成分原料であるSiO2 (50ppm )、Bi23 (300ppm )、Nb25 、MoO3 およびCaCO3 との混合物を調製した。Nb25 、MoO3 およびCaCO3 (CaO換算)の添加量と、MoO3 添加量に対するCaCO3 添加量(CaO換算)の比とを、表2に示す。
【0043】
具体的には、主成分原料としてMn34、ZnOおよびFe23を混合し、混合物を900℃で30分間仮焼した。得られた仮焼体に、副成分原料を表1に示す比率で添加し、粉砕、混合した。この粉砕後の混合物にバインダを加え、スプレードライヤーにて平均粒径150μm に顆粒化し、成形した。次いで、酸素分圧を制御した雰囲気中で成形体を昇温し、1350℃にて4時間保持して焼結した。その後、酸素分圧を制御した雰囲気で冷却し、外径31mm、内径19mm、高さ8mmのトロイダル状のコアサンプルを得た。焼成にはプッシャー炉を用いた。成形体はセッターひとつあたり343個積載した。積載パターンは、1段あたり7個×7個とし、段数は7段とした。
【0044】
各サンプルの組成を蛍光X線により測定した。内側コアと外側コアとについてMo含有量(MoO3 換算)およびCa含有量(CaO換算)を測定し、また、外側コアのMo含有量に対する内側コアのMo含有量の比率を算出した。これらの結果を表1に示す。表2において内側コアとは、セッター上の成形体群の中心にあった成形体に相当するコアであり、外側コアとは、成形体群の最も外側にあった成形体に相当するコアである。
【0045】
なお、コアの主成分の組成比は主成分原料の組成比と同等であり、Si含有量(SiO2 換算)は100〜130ppm であり、Nb含有量(Nb25 換算)は80〜120ppm であり、Bi含有量(Bi23 換算)は250〜300ppm であった。
【0046】
各サンプルについて、周波数100kHz および500kHz (いずれも25℃)での初透磁率μiを測定した。結果を表2に示す。また、
100×{(外側コアのμi)−(内側コアのμi)}/内側コアのμi
を算出した。この結果を、「外側−内側」として表1に示す。なお、初透磁率の測定にはLCRメーターを用いた。
【0047】
【表2】
Figure 0003856898
【0048】
表2に示される結果から、本発明の効果が、すなわち副成分原料中のCaO/MoOを規制することによる効果が明らかである。すなわち、Nb25 を所定量含有し、かつCaO/MoO3 が所定範囲内にある本発明サンプルでは、100kHz および500kHz のいずれにおいてもμiが高く、しかも、内側コアと外側コアとのμiの差が小さい。
【0049】
これに対し、CaO/MoO3 が小さすぎるサンプルNo. 2、3では、内側コアと外側コアとのμiの差が大きくなっている。また、Caを添加していないサンプルNo. 1では、焼成によりMoO3 量が著しく減少したため内側コアと外側コアとのμiの差が比較的小さくなっているが、μiそのものは著しく低くなっている。また、CaO/MoO3 が大きすぎるサンプルNo. 7では、100kHz での透磁率が低くなっている。また、Nb25 を添加しなかったサンプルNo. 6では、μiが低い上に内側コアと外側コアとのμiの差が大きくなっている。
【0050】
なお、コア1個あたりの表面付近と中心付近との組成差も、本発明サンプルでは小さくなっていた。
【0051】
以上の実施例の結果から、本発明の効果が明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 インピーダンスおよびインダクタンスを測定するコア形状を示す図である。

Claims (7)

  1. MnO換算で13.5〜16重量%の酸化マンガンと、ZnO換算で14〜16重量%の酸化亜鉛と、酸化鉄(残部)との主成分と、
    SiO 換算で50〜200ppm の酸化ケイ素と、CaO換算で100〜350ppm の酸化カルシウムと、Nb 換算で30〜150ppm の酸化ニオブと、MoO 換算で20〜200ppm の酸化モリブデンと、Bi 換算で100〜800ppm の酸化ビスマスとの副成分とを含有し、
    CaO/MoO が0.5〜15であるラインフィルタ用フェライトコア。
  2. 主成分原料と副成分原料との混合物を成形して焼成したものであるラインフィルタ用フェライトコアであって、
    主成分原料が、MnO換算で10〜20重量%の酸化マンガン原料と、ZnO換算で10〜20重量%の酸化亜鉛原料と、酸化鉄原料(残部)とからなり、
    副成分原料が、SiO 換算で50〜200ppm の酸化ケイ素原料と、CaO換算で100〜350ppm の酸化カルシウム原料と、Nb 換算で50〜250ppm の酸化ニオブ原料と、MoO 換算で100〜400ppm の酸化モリブデン原料と、Bi 換算で100〜800ppm の酸化ビスマス原料とを含有し、
    副成分原料中におけるCaO/MoO が0.6〜1.6である請求項1のラインフィルタ用フェライトコア。
  3. 透磁率が100kHz で10000以上、500kHz で3000以上である請求項1または2のラインフィルタ用フェライトコア。
  4. 主成分原料と副成分原料との混合物を成形し成形体とする工程と、
    前記成形体を焼成する工程と、を有するラインフィルタ用フェライトコアを製造する方法であって、
    前記主成分原料が、MnO換算で10〜20重量%の酸化マンガン原料と、ZnO換算で10〜20重量%の酸化亜鉛原料と、酸化鉄原料(残部)とからなり、
    前記副成分原料が、SiO 換算で50〜200 ppm の酸化ケイ素原料と、CaO換算で100〜350 ppm の酸化カルシウム原料と、Nb 換算で50〜250 ppm の酸化ニオブ原料と、MoO 換算で100〜400 ppm の酸化モリブデン原料と、Bi 換算で100〜800 ppm の酸化ビスマス原料とを含有し、
    前記副成分原料中におけるCaO/MoO が0.6〜1.6であるラインフィルタ用フェライトコアの製造方法。
  5. 前記成形体をセッターに複数積載して焼成する請求項4のラインフィルタ用フェライトコアの製造方法。
  6. 請求項4または5の方法により得られるラインフィルタ用フェライトコアであって、
    MnO換算で13.5〜16重量%の酸化マンガンと、ZnO換算で14〜16重量%の酸化亜鉛と、酸化鉄(残部)との主成分と、
    SiO 換算で50〜200 ppm の酸化ケイ素と、CaO換算で100〜350 ppm の酸化カルシウムと、Nb 換算で30〜150 ppm の酸化ニオブと、MoO 換算で20〜200 ppm の酸化モリブデンと、Bi 換算で100〜800 ppm の酸化ビスマスとの副成分とを含有し、
    CaO/MoO が0.5〜15であるラインフィルタ用フェライトコア。
  7. 透磁率が100 kHz で10000以上、500 kHz で3000以上である請求項6のラインフィルタ用フェライトコア。
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