JP3597628B2 - 低損失酸化物磁性材料およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低損失酸化物磁性材料およびその製造方法に関し、特に、スイッチング電源用トランス等の磁心材料として好適に用いられる、およそ500kHz以上さらには2MHz以上にわたる高周波帯域で低電力損失を示すMn系フェライトについての提案である。
【0002】
【従来の技術】
スイッチング電源は、100k〜200kHz域の変換周波数で使われるのが一般的である。従って、スイッチング電源などに用いるノイズフィルターやトランス用磁心材料としては、従来から、低損失MnZnフェライトが用いられている。ところが、高度情報化社会における電子機器の小型化、高集積化、多機能化に伴い、近年では、上記部品の駆動周波数の高周波化の傾向が著しい。そのため、500kHz程度から数MHz以上にわたる高い周波数帯域でもなお低損失特性を示す高性能MnZnフェライトの開発に対する要求が高まっている。
【0003】
しかしながら、市販されている従来の電源用低損失MnZnフェライトは、500kHz,50mTにおける電力損失(鉄損)が250kW/m3程度であり、高周波用磁性材料としては鉄損が過大であるという致命的な欠点を残していた。
【0004】
これに対し従来、上記欠点を解消するために、MnZnフェライト中に含まれる微量添加成分(副成分)を工夫する改善提案が多くなされている。
例えば、MnZnフェライトの副成分としてSiO2、CaOおよびTa2O5 を複合添加することにより、高周波帯域でのMnZnフェライトの低損失化を図る技術が提案されている(特開平3−184307号公報参照)。しかしながら、この提案にかかるMnZnフェライトは、500kHz以上の高周波帯域において磁気特性の劣化が激しい。
【0005】
また、MnZnフェライトの副成分としてCaCO3 、SiO2、Ta2O5 およびTiO2を所定の組成範囲で添加することにより、高周波帯域でのMnZnフェライトの低損失化を図る技術が提案されている(特開平6−215920号公報参照)。しかしながら、2MHz,25mTにおける鉄損は 590〜2600kW/m3であり、実用に供するには十分な特性とはいえなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術の実情に鑑みて提案されたものであり、その主たる目的は、500kHz程度以上の高周波、さらには2MHz以上にわたる高周波帯域においてもなお低い鉄損を示す低損失酸化物磁性材料を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記低損失酸化物磁性材料を製造するのに適した方法を提案することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記目的にかかる酸化物磁性材料が室温付近からおよそ140℃の範囲で使用される電子機器に供されることを考慮し、従来既知であるMnZn系フェライトの主成分組成を種々検討した。その結果、500kHz以上の周波数帯域では、ZnOを6 mol %以下 ( ただし、6 mol %は除く )にすると低損失になること、特に、ZnOを全く含まないMn系フェライトは2MHzを超える高周波領域で最も鉄損が低減されること、を新たに見出した。さらに発明者らは、500kHz以上の周波数帯域における酸化物磁性材料の鉄損が、その材料の複素誘電率の大きさに依存して変化することに着目し、酸化物磁性材料の25℃(室温)における1MHzでの複素誘電率の大きさ(絶対値)が106以下であれば、2MHz、25mT、80℃における鉄損が500kW/m3以下となることを新たに見出した。
【0008】
本発明は、上述したような知見に基づいてなされたのであり、その要旨構成は以下のとおりである。
(1) Fe2O3:52〜59mol%、MnO:残部からなる基本成分中に、副成分として、Si、Caの酸化物をSiO2、CaO換算でSiO2:0.005〜0.1wt%、CaO:0.01〜0.3wt%を含み、さらにBとPを重量比でB:30ppm以下、P:50ppm以下を含有する成分組成を有し、かつ、最終焼結体は;25℃、1MHzにおける複素誘電率の大きさが106以下、2MHz、25mT、80℃における鉄損が500kW/m3以下であることを特徴とする低損失酸化物磁性材料である。
(2) Fe2O3:50〜60mol%、ZnO:6 mol %以下 ( ただし、6 mol %は除く )、MnO:残部からなる基本成分中に、副成分として、Si、Caの酸化物をSiO2、CaO換算でSiO2:0.005〜0.1wt%、CaO:0.01〜0.3wt%を含み、さらにBとPを重量比でB:30ppm以下、P:50ppm以下を含有する成分組成を有し、かつ、最終焼結体は;25℃、1MHzにおける複素誘電率の大きさが106以下、2MHz、25mT、80℃における鉄損が500kW/m3以下であることを特徴とする低損失酸化物磁性材料である。
(3) なお、上記(1)または(2)に記載の低損失酸化物磁性材料においては、上記成分組成に加えて、さらにSb、Nb、TaおよびSnの群から選ばれるいずれか1種以上の元素の酸化物を、それぞれSb2O3、Nb2O5、Ta2O5およびSnO換算で、Sb2O3:0.005〜0.2wt%、Nb2O5:0.01〜0.1wt%、Ta2O5:0.01〜0.1wt%、SnO2:0.01〜0.5wt%を含むことが望ましい。
【0009】
そして、上記本発明にかかる低損失酸化物磁性材料の製造方法は、主要成分である酸化物原料を秤量して混合し、仮焼して得られたフェライト仮焼粉に添加成分を混合して粉砕し、次いで、造粒して成形したのち焼成することにより、上記(1) 〜(3) のいずれか1に記載の低損失酸化物磁性材料を製造するにあたり、仮焼温度を 875℃以上とし、焼成雰囲気中の酸素濃度を10体積%以下、焼成温度を1050〜1250℃に保持して焼成することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、高周波帯域における酸化物磁性材料の鉄損が、その材料の複素誘電率の大きさに依存して変化することに着目し、25℃、1MHz における酸化物磁性材料の複素誘電率の大きさを106 以下に制限した点に特徴がある。これにより、2MHz 、25mT、80℃における鉄損が 500kW/m3以下を示す、高周波帯域においても損失の少ない低損失酸化物磁性材料を提供することができる。
ここで、材料の複素誘電率の大きさを106 以下にすると低損失化を実現できるのは、高周波になると、酸化物磁性材料の誘電体としての性質のうち、誘電損失が大きくなり鉄損を増大させる大きな要因となるからと考えている。
【0011】
このように、酸化物磁性材料を誘電体として着目し、高周波での複素誘電率の大きさと鉄損との関係を示した例は従来技術にはなく、今回、発明者らが種々の実験により新たに見出した技術である。
【0012】
なお、酸化物磁性材料の誘電率は、比抵抗と同じく、主成分組成と主として粒界に析出して絶縁相を形成する微量添加物で決まり、また、焼成条件、特に焼成雰囲気酸素濃度によって大きく変化する。したがって、後述するように、適切な組成範囲にすると共に焼成条件の制御が重要となる。
【0013】
以下に、本発明における成分組成の限定理由を説明する。
Fe2O3:52〜59mol%、
MnO:残部、
または
Fe2O3:50〜60mol%、
ZnO:6 mol %以下 ( ただし、6 mol %は除く )、
MnO:残部
発明者らは、500kHz以上の周波数領域では、ZnOを6 mol %以下 ( ただし、6 mol %は除く )にすると低損失になること、特に、ZnOを全く含まないMn系フェライトは2MHzを超える高周波領域で最も鉄損が低減されること、を知見する一方で、Fe2O3は、上記限定範囲から逸脱すると、結晶磁気異方性定数の絶対値が増大することに起因して磁壁移動が妨害され、鉄損が大きくなりすぎることを考慮し、Fe2O3:52〜59mol%またはFe2O3:50〜60mol%に限定した。なお、より好ましい基本成分組成は、Fe2O3:53〜58mol%、MnO:残部からなる成分組成、またはFe2O3:53〜58mol%、ZnO:6 mol %以下 ( ただし、6 mol %は除く )、MnO:残部からなる成分組成であり、この範囲で特に低損失に顕著な材料が得られる。
【0014】
SiO2: 0.005〜0.1 wt%
CaO:0.01〜0.3 wt%
SiO2とCaOは、いずれも結晶粒成長を抑制するとともに比抵抗を高めることを通じて低損失化に寄与する、低損失フェライトに通常必須とされる添加成分であり、異常組織を生じない範囲内で好適な量を添加すればよい。
しかしながら、SiO2の添加含有量が過剰になると焼結フェライトの異常粒成長を招き、CaOの添加含有量が過剰になると粒度分布が広がる。一方、SiO2またはCaOの添加含有量が極めて少なくなると電気抵抗の低下によって渦電流損失が上昇し、高周波域での損失がかえって上昇する。従って、本発明では、SiO2とCaOの添加含有量をそれぞれ上記範囲に限定した。
【0015】
B:30ppm 以下
P:50ppm 以下
本発明にかかる酸化物磁性材料は、主要酸化物原料や微量添加物中に存在する種々の不純物元素を含み、そのなかでも特に、鉄損に悪影響を及ぼす重要な不純物としてBとPがある。そこで、本発明では、Bを30ppm 以下、Pを50ppm 以下に限定することで、酸化物磁性材料の500kHz以上での低損失化を図っている。
【0016】
以上述べたように、主成分組成とSiO2, CaO, B,P の含有量を限定することにより、低損失な材料が得られる。これに加えて、Sb2O3, Nb2O5, Ta2O5, SnO2 の少なくともいずれか一種を含有させることによって、一層の低損失化が可能である。次に、これらの成分含有量の限定理由を述べる。
【0017】
Sb2O3 : 0.005〜0.2 wt%
Sb2O3 は、SiO2またはCaOとの共存下で、酸化物磁性材料の低損失化に寄与する添加成分であり、それの低損失化に寄与する詳細なメカニズムについては明らかではない。しかしながら、Sb2O3 の添加含有量が極めて少ないとその添加効果が得られず、一方、Sb2O3 の添加含有量が過剰になると高周波損失が過度に上昇する。従って、本発明では、Sb2O3 の添加含有量を上記範囲に限定した。
【0018】
Nb2O5 :0.01〜0.1 wt%
Ta2O5 :0.01〜0.1 wt%
Nb2O5 とTa2O5 は、好適な添加含有量では、その他の成分とバランスした適度な粒成長効果を発揮するとともに、粒界抵抗を上昇させる効果がある。さらに、Nb2O5 とTa2O5 は、添加成分が過剰に結晶粒に固溶するのを防止して高周波帯域での磁壁移動を促進し、高周波損失の低減に寄与する。しかしながら、Nb2O5 またはTa2O5 の添加含有量が極めて少ないとこれらの添加効果が不十分となり、一方、添加含有量が過剰になると異常組織の形成や比抵抗の低下を伴って損失が上昇する。従って、本発明では、Nb2O5 とTa2O5 の添加含有量を上記範囲に限定した。
【0019】
SnO2:0.01〜0.5 wt%
SnO2の添加は、粒界電位の低下を促進し、焼結体の誘電性や導電性に好影響を及ぼし、高周波磁場中での低損失化作用が発現するものと考えている。しかしながら、SnO2の添加含有量が極めて少ないと添加効果がなく、一方、添加含有量が過剰になると損失が増大するので、本発明では、SnO2の添加含有量を上記範囲に限定した。
【0020】
以上説明したような主成分または副成分を含有する本発明にかかるMn系フェライトは、通常、主要酸化物原料を所定の最終組成になるように混合して仮焼し、次いで、得られたフェライト仮焼粉に添加成分を混合して粉砕し、その後、造粒して圧縮成形したのち焼成することにより製造される。特に、本発明では、材料の複素誘電率の大きさを106 以下にするために、仮焼温度を 875℃以上とし、焼成雰囲気中の酸素濃度を10体積%以下、焼成温度を1050〜1250℃に保持して焼成する点に特徴がある。これにより、得られる焼結体の25℃(室温)における1MHzでの複素誘電率の大きさ(絶対値)が106 以下であれば、2MHz、25mT、80℃における鉄損が500kW/m3以下となる低損失な酸化物磁性材料を提供することができる。
【0021】
ここで、仮焼温度を 875℃以上とする理由は、仮焼温度がこれ以下であると、本焼成時の焼結,粒成長が均一に行われず、焼結体内で誘電特性がばらつき、局所的に複素誘電率が106 を超える可能性があるためである。
焼成温度を1050〜1250℃かつ焼成雰囲気中の酸素濃度を10体積%以下とするのは、複素誘電率を106 以下に制御すると同時に単一の結晶相からなる、結晶粒度の比較的均一な焼結体を形成するためである。
【0022】
なお、本発明にかかるフェライトは、上記方法以外に、共沈法や噴霧焙焼法によるフェライト原料を使用することにより仮焼工程を省略し、製造することができる。また、副成分は、混合時および/または粉砕時に添加されるが、主成分原料中に不純物として含まれる場合には、当該量を添加量から減ずる。さらに、主成分原料や副成分原料は、酸化物のみならず、例えば、しゅう酸塩や炭酸塩、有機金属化合物などのように最終的に酸化物の形態をとる物質であれば特に限定されない。
【0023】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
(1)まず、表1に示す種々の目標成分組成となるように、 Fe2O3と MnO( Mn3O4を使用)をボールミルにて湿式混合し、その後、大気中 900℃で仮焼し、SiO2と CaO( CaCO3を使用)を添加配合したのちボールミルで湿式粉砕することによりフェライト粉末を得た。
(2)上記(1) で得られたフェライト粉末に、バインダーとして 0.6wt%のPVAを添加混合して造粒し、その後、成形圧力 1.2ton/cm2 でリング状に成形し、 1150℃にて焼成することにより、31mm(外径)×19mm(内径)×8mm(高さ)の焼結体を作製した。このときの焼成雰囲気中の酸素濃度は、20.6体積%以下の範囲で変化させ、複素誘電率が変化するように焼成条件を調節した。
【0024】
このようにして作製した試料に絶縁テープを1層巻き、1次/2次巻線を施した後、2MHz,25mTにおける鉄損を測定した。また、試料に電極を取付けて、インピーダンスアナライザを用いて複素誘電率を測定した。その結果、80℃における鉄損および1MHz,25℃(室温)での複素誘電率の大きさを、成分組成と共に表1および表2に示す。表1は、本発明の適合例を示し、表2は組成が本発明の限定範囲を逸脱する比較例を示す。
【0025】
表2に示す結果から明らかなように、比較例1〜8は微量添加物が限定範囲外のため、誘電率は制御されたが鉄損が上昇したものである。比較例9〜13は、焼成条件が不適切で複素誘電率が過大となったため、鉄損が上昇した例である。比較例14〜19は、主成分組成が不適切のため、添加物,焼成条件等をどのように制御しても低鉄損とならない例を示す。
この点、本発明の適合例は、500kHz程度以上の高周波帯域で、特に2MHz,25mTにおいて、500kW/m3以下の低損失を達成していることがわかった。
【0026】
(実施例2)
(1)モル比率で Fe2O3:MnO:ZnO=55:42:3となるように Fe2O3、MnO(Mn3O4を使用) およびZnOをボールミルにて湿式混合し、その後、大気中 900℃で仮焼し、SiO2、CaO( CaCO3を使用)、Sb2O3 、Nb2O5 、Ta2O5 およびSnO2のなかから選ばれるいずれか1種以上を添加配合したのちボールミルで湿式粉砕することによりフェライト粉末を得た。なお、B:4ppm 、P:3ppm に制御した。
(2)上記(1) で得られたフェライト粉末に、バインダーとして 0.6wt%のPVAを添加混合して造粒し、その後、成形圧力 1.2ton/cm2 でリング状に成形し、焼成温度1000〜1275℃、酸素濃度20.6体積%以下の範囲にて焼成することにより、概略寸法が31mm(外径)×19mm(内径)×8mm(高さ)の焼結体を作製した。
【0027】
このようにして作製した試料について実施例1と同様の方法で鉄損および複素誘電率を測定した。その結果、80℃における鉄損および1MHz,25℃(室温)での複素誘電率の大きさを、成分組成と共に表3および表4に示す。表3は、本発明の適合例を示し、表4は組成が本発明の限定範囲を逸脱する比較例を示す。
【0028】
表2に示す結果から明らかなように、比較例1,2はSiO2含有量が、そして比較例3,4はCaO 含有量が限定範囲外のため、鉄損が過大となっている。比較例 5, 7, 9, 11は、Sb2O3, Nb2O5, Ta2O5, SnO2 の添加量が少なすぎるため、特性改善にほとんど効果がない例であり、比較例 6, 8, 10, 12 は、添加量が過大で異常粒成長等を生じたので特性が劣化した例である。
また、比較例13〜16は、焼成温度あるいは焼成酸素濃度が不適当のため複素誘電率も制御不能となり、鉄損が上昇した例である。
この点、本発明の適合例は、500kHz程度以上の高周波帯域で、特に2MHz,25mTにおいて、500kW/m3以下の低損失を達成していることがわかった。
【0029】
また、図1に、適合例11と比較例12の試料および従来の市販材の80℃における鉄損の周波数依存性を示す。この図に示す結果から明らかなように、本発明材は、特に 0.5MHz以上から3MHzを超える広い周波数帯域において、低損失を達成していることがわかった。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、適切な成分組成範囲にすると共に複素誘電率の大きさを制限することにより、 500kHz から2MHz以上にわたる高周波数帯域で低損失な酸化物磁性材料を得ることができる。これにより、本材料を高周波トランスの磁心等に使用すれば、電源等の高効率化や小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適合例、比較例および市販材の鉄損の周波数依存性を示す図である。
Claims (4)
- Fe2O3:52〜59mol%、MnO:残部からなる基本成分中に、副成分として、Si、Caの酸化物をSiO2、CaO換算でSiO2:0.005〜0.1wt%、CaO:0.01〜0.3wt%を含み、さらにBとPを重量比でB:30ppm以下、P:50ppm以下を含有する成分組成を有し、かつ、最終焼結体は;25℃、1MHzにおける複素誘電率の大きさが106以下、2MHz、25mT、80℃における鉄損が500kW/m3以下であることを特徴とする低損失酸化物磁性材料。
- Fe2O3:50〜60mol%、ZnO:6 mol %以下 ( ただし、6 mol %は除く )、MnO:残部からなる基本成分中に、副成分として、Si、Caの酸化物をSiO2、CaO換算でSiO2:0.005〜0.1wt%、CaO:0.01〜0.3wt%を含み、さらにBとPを重量比でB:30ppm以下、P:50ppm以下を含有する成分組成を有し、かつ、最終焼結体は;25℃、1MHzにおける複素誘電率の大きさが106以下、2MHz、25mT、80℃における鉄損が500kW/m3以下であることを特徴とする低損失酸化物磁性材料。
- 上記成分組成に加えて、さらにSb、Nb、TaおよびSnの群から選ばれるいずれか1種以上の元素の酸化物を、それぞれSb2O3、Nb2O5、Ta2O5およびSnO換算で、Sb2O3:0.005〜0.2wt%、Nb2O5:0.01〜0.1wt%、Ta2O5:0.01〜0.1wt%、SnO2:0.01〜0.5wt%を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の低損失酸化物磁性材料。
- 主要成分である酸化物原料を秤量して混合し、仮焼して得られたフェライト仮焼粉に添加成分を混合して粉砕し、次いで、造粒して成形したのち焼成することにより、請求項1〜3のいずれか1に記載の低損失酸化物磁性材料を製造するにあたり、仮焼温度を875℃以上とし、焼成雰囲気中の酸素濃度を10体積%以下、焼成温度を1050〜1250℃に保持して焼成することを特徴とする低損失酸化物磁性材料の製造方法。
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