JP3852764B2 - 耐摩耗性焼結合金およびその製造方法 - Google Patents

耐摩耗性焼結合金およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温における耐摩耗性に優れた耐摩耗性焼結部材および製造方法に係り、主として内燃機関用のバルブシートに用いて好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用エンジンの高性能化、高出力化に対応するために、バルブシート用焼結合金には高温耐摩耗性、高温強度が求められ、本出願人も、特許第1043124号で登録された製法による耐摩耗性焼結合金(特公昭55−3624号)等を開発してきた。さらに、近年のより一層の高性能化、高出力化、特に、希薄燃焼化による燃焼温度の高温化に対応し、より高温耐摩耗性、高温強度に優れた特公平5−55593号および特開平7−233454号公報等で開示される耐摩耗性焼結合金を開発してきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の材料は、高温時の性能を向上させるために硬質相として高価なCo基のものを採用していることから、高価であるといった欠点があった。
【0004】
そこで本発明は、Co基の硬質相を用いることなく従来材と同等の耐摩耗性が発揮され得る耐摩耗性焼結部材およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
[本発明の第1の耐摩耗性焼結合金]
上記課題を解決するために本発明の第1の耐摩耗性焼結合金は、全体組成が、質量比で、Mo:1.25〜17.93%、Si:0.025〜3.0%、C:0.35〜0.95%と、Ni:0.025〜3.0%とCr:0.025〜3.0%のうち少なくとも1種以上、および残部:Feおよび不可避不純物からなり、基地がベイナイト組織もしくはベイナイトとマルテンサイトの混合組織であり、Mo珪化物の粒子群がNiおよびCrのうち少なくとも1種以上とFeとの合金基地中に分散する第1硬質相が前記基地中に分散する組織を呈するとともに、第1硬質相のMo珪化物の粒子群の外郭より内側の面積の合計が基地中に基地組織全体の面積に対する面積比で3〜30%存在する焼結合金で構成することを特徴とする。
【0006】
に本発明の第の耐摩耗性焼結合金の金属組織の模式図を示す。図2のように、本発明の第の耐摩耗性焼結合金は、Mo珪化物等が分散する硬質相をNiおよび/またはCrで強化したとともに、基地の組成をMo:0.8〜4.2質量%、C:0.35〜0.95質量%および残部:Feおよび不可避不純物とし、基地組織をベイナイト組織もしくはベイナイトとマルテンサイトの混合組織としたことで、基地の強度と耐摩耗性を向上させて、第1硬質相のみで耐摩耗性を確保したものである。
【0007】
第1の硬質相は、NiとCrのうち少なくとも1種以上とFeとの合金基地中に、Mo珪化物が分散したもので、一部にMo珪化物以外の、Mo,Fe,Cr,Niの複合珪化物や、これらの元素の金属間化合物が分散してもよい。Mo珪化物は硬く、耐摩耗性焼結部材の耐摩耗性を高める効果とともに、固体潤滑性を有し、相手材を攻撃して摩耗させる作用(相手攻撃性)が低い。第1硬質相の合金基地中に分散したMo珪化物の粒子群は、その粒子群の外郭より内側の面積の合計の面積比で3%未満であると耐摩耗性向上の効果に乏しい。また、第2硬質相を有さないことから第1硬質相の上限は、後述する第2の耐摩耗性焼結合金よりも高いが、その粒子群の外郭より内側の面積の合計の面積比で30%を超えると相手攻撃性が高まり相手材を摩耗させることとなる。
【0008】
また、基地組織は、強度が高く、マルテンサイトに次いで硬い、耐摩耗性に優れたベイナイトの単相組織、もしくは最も硬さの高い組織であるが相手攻撃性が高いマルテンサイトと、前述のベイナイトととの混合組織とすることでマルテンサイトの相手攻撃性を緩和し、適度の硬さとして耐摩耗性を向上させたベイナイトとマルテンサイトの混合組織で構成されている。本発明品基地はMoを含んでいるため、微細なMo炭化物が析出して、これも耐摩耗性を向上させている。
【0009】
[本発明の第2の耐摩耗性焼結合金]
第2の耐摩耗性焼結合金は、全体組成が、質量比で、Mo:1.01〜15.43%、Si:0.025〜2.5%、C:0.36〜1.67%、Cr:0.2〜7.5%および残部:Feおよび不可避不純物からなり、基地がベイナイト組織もしくはベイナイトとマルテンサイトの混合組織で、Mo珪化物の粒子群がFe基合金基地中に分散する第1硬質相と、Cr炭化物の粒子群よりなる核の周囲を前記基地組織よりもCr濃度の高いフェライト相またはフェライトとオーステナイトの混合相が取り囲む第2硬質相とが前記基地中に分散する組織を呈するとともに、基地中に、第1硬質相のMo珪化物の粒子群が面積比で5〜25%、第2硬質相のCr炭化物の粒子群の外郭より内側の面積の合計が、基地組織全体の面積に対する面積比で5〜30%存在する焼結合金で構成することを特徴とする。
【0010】
に本発明の第の耐摩耗性焼結合金の模式図を示す。図より、第の耐摩耗性焼結合金は、上述の第の耐摩耗性焼結合金に、さらにCr炭化物の粒子群よりなる核の周囲を前記基地組織よりもCr濃度の高いフェライト相またはフェライトとオーステナイトの混合相が取り囲む第2硬質相を分散させたもので、第2硬質相を分散させるため、第1硬質相の上限を面積比で25%に限定したものである。
【0012】
なお、第2焼結合金においては、全体組成で、さらに、Ni:0.025〜2.5質量%および追加としてのCr:0.025〜2.5質量%のうち少なくとも1種以上を上記第1硬質相に含有させ、第1硬質相の合金基地をNiおよびCrのうち少なくとも1種以上とFeと合金とすると好適である。第1硬質相の合金基地を強化して第1硬質相の耐摩耗性をより向上させることができる。また、第1硬質相の合金基地のNi,Crは、その周囲の基地に拡散して第1硬質相の基地への固着をより一層強化する働きも有する。
【0013】
第2硬質相は、Cr炭化物の粒子群よりなる核の周囲を前記基地組織よりもCr濃度の高いフェライト相またはフェライトとオーステナイトの混合相が取り囲むもので、第2硬質相のCr炭化物は硬質であり耐摩耗性に寄与するとともに、周囲の軟質な基地組織よりもCr濃度の高いフェライト相またはフェライトとオーステナイトの混合相は、Cr炭化物を強固に固着するとともに、例えばバルブシートとして用いる場合、相手材であるバルブの着座時に緩衝材として作用して相手材との衝撃を吸収する効果を有する。
【0014】
第2硬質相のCr炭化物の粒子群は、その粒子群の外郭より内側の面積の合計の面積比で3%未満であると耐摩耗性向上の効果に乏しく、粒子群の外郭より内側の面積の合計の面積比で30%を超えると相手攻撃性が高まり相手材を摩耗させることとなる。また、第2硬質相と共存するとき、第1硬質相のMo珪化物の粒子群がその粒子群の外郭より内側の面積の合計の面積比で25%を超えると、硬質相全体としての相手攻撃性が高まるので、粒子群の外郭より内側の面積の合計の面積比で25%を上限とした。なお、第2焼結合金においても、第1硬質相の機能を発揮するために、Mo珪化物の粒子群はその粒子群の外郭より内側の面積の合計の面積比で3%以上とした。
【0015】
上記第1または第2の耐摩耗性焼結合金の第1硬質相のMo珪化物の粒子群の硬さは、MHV600〜1400の範囲であるとさらに好適である。Mo珪化物の硬さが乏しいと耐摩耗性向上の効果が不十分となり、過度に硬くなると相手攻撃性が高まり、相手部品の摩耗を促進する。よって、Mo珪化物からなる第1硬質相の硬さはMHV600〜1400が適当である。
【0016】
[本発明の耐摩耗性焼結合金の各成分元素]
Mo:Moは、上記したMo珪化物を形成して、耐摩耗性に優れた第1硬質相の形成に寄与する。また、上記珪化物の形成の他、基地に固溶して基地を固溶強化するとともに、基地組織をベイナイト相またはベイナイトとマルテンサイトの混合相として、基地の耐摩耗性向上に寄与する。Mo量が乏しいと、基地の強化作用やMo珪化物析出量が乏しくなり耐摩耗性向上の効果が乏しく、過多なMo量は、Mo珪化物析出量が多くなったり、基地組織が硬くなり過ぎたりして相手攻撃性が高くなって相手材の摩耗が増加することとなる。そのため、Mo量は、本発明第の耐摩耗性焼結合金の場合1.25〜17.93質量%、第の耐摩耗性焼結合金の場合1.0〜15.43質量%が適当である。
【0017】
Si:Siは、Moと化合し、第1硬質相の硬質なMo珪化物を形成して耐摩耗性の向上に寄与する。Si量が乏しいと十分な量の珪化物が析出せず、過多なSi量は粉末が硬くなって圧縮性が損なわれるとともに、粉末表面に強固な酸化被膜が形成されて基地との固着性を損なう。そのため、Si量は、本発明第の耐摩耗性焼結合金の場合0.025〜3.0質量%、第の耐摩耗性焼結合金の場合0.025〜2.5質量%が適当である。
【0018】
Cr:Crは後述するNiとともに第1硬質相に選択的に与えられ、第の耐摩耗性焼結合金においては第2硬質相にも与えられる。
【0019】
第1硬質相におけるCrは、第1硬質相の合金基地を強化し、第1硬質相の硬さを向上させて耐摩耗性の向上に働くとともに、Mo珪化物の脱落を防止する働きを持つ。さらに、基地組織に拡散することにより基地組織との固着性を向上させる働きを持つ。これらの働きにより、耐摩耗性の向上に寄与する。第1硬質相として与えられるCrが乏しいと硬質相中で働く上記効果が不十分となり、Crが過多であると粉末が硬くなり圧縮性が損なわれるとともに、粉末表面に強固な酸化被膜が形成されて基地との固着性を損なう。よって、第1硬質相として与えられるCr量は、全体組成で、第の耐摩耗性焼結合金の場合0.025〜3.0質量%、第の耐摩耗性焼結合金の場合0.025〜2.5質量%が適当である。
【0020】
第2硬質相におけるCrは、Cr炭化物からなる硬質相を核とする第2硬質相を形成して耐摩耗性をさらに向上させる。また、第2硬質相から基地に拡散したCrは、硬質相と基地との結合を強固にするとともに、基地組織や第1硬質相のマトリックスをさらに強化し、焼入性をさらに向上させる働きがある。さらに、第2硬質相の周囲のCr濃度が高い部分はフェライトを形成し、バルブ着座時の衝撃を緩衝する効果、および摩擦摺動面でのCr炭化物等の硬質成分の脱落を防止する効果がある。第2硬質相として与えられるCr量が乏しいと硬質相中で働く上記効果が不十分となり、過多であると粉末が硬くなり圧縮性が損なわれるとともに、粉末表面に強固な酸化被膜が形成されて基地との固着性を損なう。よって第2硬質相として与えられるCr量は、全体組成で、0.2〜7.5質量%が適当である。
【0021】
よって、Cr量は、本発明の第の耐摩耗性焼結合金では、第1硬質相の形成元素として選択される場合において0.025〜3.0質量%、第の耐摩耗性焼結合金では、第1硬質相の形成元素として選択しない場合において0.2〜7.5質量%、第1硬質相の形成元素として選択される場合において0.225〜10質量%が適当である。
【0022】
Ni:Niは、上記のCrと選択的に使用され、第1硬質相の合金基地を強化し、第1硬質相の硬さを向上させて耐摩耗性の向上に働くとともに、Mo珪化物の脱落を防止する働きを持つ。さらに、基地組織に拡散することにより基地組織との固着性を向上させる働きを持つ。これらの働きにより、耐摩耗性の向上に寄与する。Niの含有量が乏しいと上記効果が不十分となり、過多であると粉末が硬くなり圧縮性が損なわれるとともに、マトリックスがオーステナイト化することにより耐摩耗性に悪影響を及ぼす。よって、Ni量は第1硬質相の形成元素として選択される場合において、第の耐摩耗性焼結合金の場合0.025〜3.0質量%、第の耐摩耗性焼結合金の場合、0.025〜2.5質量%が適当である。
【0023】
C:Cは基地の強化に働くとともに、耐摩耗性の向上に寄与する。また、第の耐摩耗性焼結合金においては、Cr炭化物を形成して耐摩耗性の向上に寄与する作用を有する。基地に含有するC量が0.35%未満では基地組織に耐摩耗性、強度ともに低いフェライトが残留するようになり、0.95%を超えると粒界にセメンタイトが析出し始めて強度が低下する。よって、基地に含有するC量は0.35〜0.95質量%とする。また、第2硬質相におけるCの含有量が、全体組成中で、0.01%未満では炭化物の形成が不十分となって耐摩耗性の向上が不十分になる。一方、Cの含有量が、全体組成中で、0.72%を超えると、形成する炭化物の量が増加して相手部品の摩耗を促進する。また、粉末が硬くなることにより圧縮性が低下し、基地強度が低下して耐摩耗性が低下する。よって、Cの含有量は第の耐摩耗性焼結合金の場合0.35〜0.95質量%、第の耐摩耗性焼結合金の場合0.36〜1.67質量%とした。
【0024】
上記第の耐摩耗性焼結合金においては、第2硬質相に、全体組成中の質量比で、Mo:0.09〜0.15%、V:0.01〜0.66%およびW:0.05〜1.5%のうち少なくとも1種以上をさらに含有させると第2硬質相の耐摩耗性をより一層向上させることができる。
【0025】
Moの場合は、第2硬質相形成粉末中のCと炭化物を形成し、上記のCr炭化物とともに第2硬質相の核となって耐摩耗性の向上に寄与する。また、炭化物を形成しなかったMoは第2硬質相中に固溶し第2硬質相の高温硬さ、高温強度を向上させる働きをする。第2硬質相のMoは、全体組成で0.09質量%未満であると上記効果が不十分となり、0.15質量%を超えると析出する炭化物の量が増加して相手部品の摩耗を促進する。
【0026】
Vの場合は、第2硬質相形成粉末中のCと微細な炭化物を形成して耐摩耗性の向上に寄与する。また、上記炭化物は、Cr炭化物の粗大化を防止する効果を有し、これにより、相手部品の摩耗が抑制されて耐摩耗性も向上する。第2硬質相のVは、全体組成で0.01質量%未満であると上記効果が不十分となり、0.66質量%を超えると析出する炭化物の量が増加して相手部品の摩耗を促進する。
【0027】
Wの場合は、第2硬質相形成粉末中のCと微細な炭化物を形成して耐摩耗性の向上に寄与する。また、上記炭化物は、Cr炭化物の粗大化を防止する効果を有し、これにより、相手部品の摩耗が抑制されて耐摩耗性も向上する。第2硬質相のWは、全体組成で0.05質量%未満であると上記効果が不十分となり、1.5質量%を超えると析出する炭化物の量が増加して相手部品の摩耗を促進する。
【0028】
以上の本発明の耐摩耗性焼結合金は、Co基の硬質相を用いておらず安価であり、従来材と同等以上の耐摩耗性を有する。
【0029】
[耐摩耗性焼結合金の第の製造方法]
本発明の耐摩耗性焼結合金の第の製造方法は、質量比で、Mo:0.8〜4.2%、および残部:Feおよび不可避不純物からなる組成の基地形成合金粉末に、Si:0.5〜10%、Mo:10〜50%、Cr:0.5〜10%とNi:0.5〜10%のうち少なくとも1種、および残部:Feおよび不可避不純物からなる組成の第1硬質相形成粉末を5〜30%、および黒鉛粉末0.35〜0.95%を配合し混合した混合粉末を用い、所定形状に圧縮成形した後、焼結することを特徴とする。また、焼結条件としては、一般に用いられる、1100〜1200℃、および30分〜2時間が適当である。
【0030】
[耐摩耗性焼結合金の第の製造方法]
本発明の耐摩耗性焼結合金の第の製造方法は、質量比で、Mo:0.8〜4.2%、および残部:Feおよび不可避不純物からなる組成の基地形成合金粉末に、Si:0.5〜10%、Mo:10〜50%、所望により、さらに、Ni:0.5〜10%とCr:0.5〜10%の少なくとも1種以上、および残部Feおよび不可避不純物からなる第1硬質相形成粉末を5〜25%、Cr:4〜25%、C:0.25〜2.4%、所望により、さらに、Mo:0.3〜3.0%、V:0.2〜2.2%、W:1.0〜5.0%のうち1種または2種以上、および残部:Feおよび不可避不純物からなる第2硬質相形成粉末を5〜30%、および黒鉛粉末0.35〜0.95%を配合し混合した混合粉末を用い、所定形状に圧縮成形した後、焼結することを特徴とする。
【0031】
[耐摩耗性焼結部材の第の製造方法]
本発明の耐摩耗性焼結部材の第の製造方法は、上記第1および2の製造方法で用いた基地形成合金粉末に替えて、組成が、質量比で、Mo:0.8〜4.2%、および残部:Feおよび不可避不純物からなるFe−Mo系合金粉末に、Cr:2〜4%、Mo:0.2〜0.4%、V:0.2〜0.4%、および残部:Feおよび不可避不純物からなるFe−Cr系合金粉末を60%以下添加混合した基地形成混合粉末を用いることを特徴とする。
【0032】
以下、上記成分組成の数値限定の根拠について説明する。
[基地形成合金粉末(Fe−Mo系合金粉末)]
基地形成合金粉末(Fe−Mo系合金粉末)を用いた基地組織は、ベイナイトである。ベイナイトは硬さ、強度とも高い組織であり優れた耐摩耗性を持つ。また、本発明品基地はMoを含んでいるため、微細なMo炭化物が析出して、これも耐摩耗性を向上させている。上記基地形成合金粉末は第1硬質相の固着性にも優れ、本発明合金の基地を構成する。さらに、第2硬質相を含有する場合には、第2硬質相から拡散したCrが基地の焼入れ性を向上させて、その部分はマルテンサイトが生成してベイナイトとマルテンサイトの混合相が形成されて、一層の耐摩耗性の向上が得られる。
【0033】
Mo:Moは基地に固溶して基地を強化するとともに、基地組織の焼入れ性を改善する働きがあり、このような働きにより基地の強度と耐摩耗性の向上に寄与する。また、後述する第1硬質相形成粉末がFe−Mo系であり、基地形成粉末も同じくFe−Mo系であるため、第1硬質相形成粉末の基地への固着性が優れる。ただし、0.8質量%を下回ると基地強化が不充分になり、4.2質量%を超えて含有すると、粉末が固くなって圧縮性が損なう。よって、Moの含有量は0.8〜4.2質量%とした。
【0034】
[基地形成混合粉末]
基地形成混合粉末は、上記基地形成合金粉末として用いたFe−Mo系合金粉末にFe−Cr系合金粉末を最大60質量%添加混合した混合粉末である。Fe−Cr系合金粉末を用いた部分は容易に酸化被膜を形成するため耐凝着性が向上し、金属接触が多く起こるようなエンジンにおける耐摩耗性向上に有効である。
【0035】
Cr:Crは基地に固溶して基地を強化し、耐摩耗性を向上させるとともに、基地組織の焼入れ性を改善する元素である。Fe−Cr系合金粉末中に固溶して含有されるCr量は、Fe−Cr系合金粉末の重量に対して2質量%未満であると上記効果が不充分であり、4質量%を越えると粉末が固くなって圧縮性が損なわれるため、2〜4質量%とした。
【0036】
Mo,V:Mo,Vは基地に固溶して基地を強化し、強度を向上させる働きがある。Fe−Cr系合金粉末中に固溶して含有されるMo,Vの含有量は、Fe−Cr系合金粉末の重量に対してともに0.2質量%未満であるとその効果が不充分であり、ともに0.4質量%を超えると、粉末が固くなって圧縮性が損なわれる。よって、Mo,Vの含有量は、ともに0.2〜0.4質量%とした。
【0037】
また、基地形成混合粉末に占める、Fe−Cr系合金粉末の質量比は60%以下が好ましく、60質量%を超えると基地のMo鋼の部分が減少して耐摩耗性が低下する。また、マルテンサイト相が増大することにより加工性も低下する。
【0038】
[黒鉛粉末]
Cを基地を形成する合金粉末に固溶させて与えた場合、合金粉末が固くなって圧縮性が低下するので、黒鉛粉末の形態で添加する。黒鉛粉未の形態で添加されたCは、基地を強化するとともに、耐摩耗性を向上させる。Cの添加量が0.35質量%未満であると基地組織に耐摩耗性、強度ともに低いフェライトが残留するようになり、0.95質量%を超えると粒界にセメンタイトが析出し始めて強度が低下する。よって、添加する黒鉛は、予備混合粉の重量に対して0.35〜0.95質量%とした。
【0039】
[第1硬質相形成粉末]
第1硬質相形成粉末による第1硬質相は、Mo珪化物の粒子群がNiとCrのうち少なくとも1種以上とFeとの合金基地中に分散する形態を呈し、耐摩耗性の向上に寄与する。
【0040】
第1硬質相形成粉末中のMoは、主にSiと結合して硬質なMo珪化物を形成し、第1硬質相の核となって耐摩耗性の向上に寄与する。また、基地に拡散して第1硬質相を基地に強固に固着する働きも有する。Moの含有量が第1硬質相形成粉末の組成で10質量%未満であると、十分な量の珪化物が析出せず、50質量%を超えると形成される珪化物の量が増加して脆い硬質相となるため、使用時に一部が欠けて研摩粉として作用し、逆に摩耗を増大させてしまう。よって、Moの含有量は10〜50質量%とした。
【0041】
第1硬質相形成粉末中のSiは、上記のようにMoと結合して硬質なMo珪化物を形成し、第1硬質相の核となって耐摩耗性の向上に寄与する。第1硬質相形成粉末中のSiの含有量が、粉末の組成で0.5質量%未満であると、十分な量の珪化物が析出されず、10質量%を超えると粉末が硬くなって圧縮性が損なわれるとともに、粉末表面に強固な酸化被膜が形成されて基地との固着性を損なう。よって、Siの含有量は0.5〜10質量%とした。
【0042】
第1硬質相形成粉末中のCr,Niは、少なくとも一方が添加され、第1硬質相中のMo珪化物のマトリックスを強化し、第1硬質相の硬さの向上に働くとともに、Mo珪化物の脱落を防止する働きを持つ。さらに、基地組織に拡散することにより基地組織との固着性を向上させる働きを持つ。これらの働きにより、耐摩耗性の向上に寄与する。第1硬質相形成粉末中のCr,Niの含有量は、それぞれ粉末の組成で0.5質量%未満であると、上記効果が不十分となる。また、Crの場合は、10%を超えると粉末が硬くなり圧縮性が損なわれるとともに、粉末表面に強固な酸化被膜が形成されて基地との固着性を損なう。また、Niの場合は、10%を超えると粉末が硬くなり圧縮性が損なわれるとともに、マトリックスがオーステナイト化することにより耐摩耗性に悪影響を及ぼす。よって、第1硬質相形成粉末中のCr,Niの含有量はそれぞれ0.5〜10%とした。
【0043】
以上の組成を有する第1硬質相形成粉末は、添加量が混合粉全体の重量に対して5質量%未満であると、第1硬質相の形成量が不十分で耐摩耗性の向上に寄与しない。硬質相形成粉末として第1硬質相形成粉末のみを使用した本発明の第の耐摩耗性焼結合金の場合には、第1硬質相形成粉末の添加量が混合粉全体の重量に対して30質量%を超えると、硬質であるが靭性の乏しい相が増加することによる材料強度の低下および圧縮性の低下等の不具合が生じる。また、硬質相形成粉末として第1硬質相形成粉末に加えて、後述する第2硬質相形成粉末を使用した本発明の第の耐摩耗性焼結合金の場合には、2種の硬質相形成粉末の相乗効果により、第1硬質相形成粉末の添加量が混合粉全体の重量に対して25質量%を超えると、上述した不具合が生じる。
【0044】
[第2硬質相形成粉末]
第2硬質相形成粉末は、本発明の第焼結合金の基地組織中に、Cr炭化物の粒子群よりなる核の周囲を基地組織よりもCr濃度の高いフェライト相またはフェライトとオーステナイトの混合相が取り囲む第2硬質相を分散させるために使用する。
【0045】
第2硬質相形成粉末中のCrは、第2硬質相形成粉末中のCとCr炭化物を形成し、第2硬質相の核となって耐摩耗性の向上に寄与する。また、Crの一部は基地に拡散し、基地や第2硬質相の強化に働くことにより焼結合金全体の耐摩耗性向上に寄与する。さらに第2硬質相の周囲のCr濃度が高い部分では、フェライト相を形成し、バルブ着座時の衝撃を緩衝する効果に寄与する。第2硬質相形成粉末中のCrの含有量は、粉末の組成で4質量%未満であると、形成するCr炭化物の量が不十分で耐摩耗性に寄与しなくなる。また、25質量%を超えると、形成する炭化物の量が多くなるので、相手部品の摩耗を促進するようになるとともに、粉末の硬さが増大して圧縮性が損なわれる。また、フェライトとオーステナイトの混合相の量が増加することにより耐摩耗性も低下する。よって、第2硬質相形成粉末中のCrの含有量は4〜25質量%とした。
【0046】
第2硬質相形成粉末中のCは、上記CrとCr炭化物を形成し、第2硬質相の核となって耐摩耗性の向上に寄与する。Cの含有量は、粉末の組成で0.25質量%未満では炭化物の形成量が不十分で耐摩耗性の向上に寄与せず、2.4質量%を超えると、形成する炭化物の量が増加して相手部品の摩耗を促進するとともに、粉末の硬さが増大して圧縮性が低下する。よって、第2硬質相形成粉末中のCの含有量は0.25〜2.4質量%とした。
【0047】
上記の第2硬質相形成粉末に、さらに、質量比で、Mo:0.3〜3.0%、V:0.2〜2.2%およびW:1.0〜5.0の少なくとも1種以上を含有させると、第2硬質相の耐摩耗性向上の効果をさらに高めることができる。
【0048】
Moの場合は、第2硬質相形成粉末中のCと炭化物を形成し、上記のCr炭化物とともに第2硬質相の核となって耐摩耗性の向上に寄与する。また、炭化物を形成しなかったMoは第2硬質相中に固溶し第2硬質相の高温硬さ、高温強度を向上させる働きをする。第2硬質相形成粉末中のMoの含有量は、粉末の組成で0.3質量%未満であると上記効果が不十分となり、3質量%を超えると析出する炭化物の量が増加して相手部品の摩耗を促進する。
【0049】
Vの場合は、第2硬質相形成粉末中のCと微細な炭化物を形成して耐摩耗性の向上に寄与する。また、上記炭化物は、Cr炭化物の粗大化を防止する効果を有し、これにより、相手部品の摩耗が抑制されて耐摩耗性も向上する。第2硬質相形成粉末中のVの含有量は、粉末の組成で0.2質量%未満であると上記効果が不十分となり、2.2質量%を超えると析出する炭化物の量が増加して相手部品の摩耗を促進する。
【0050】
Wの場合は、第2硬質相形成粉末中のCと微細な炭化物を形成して耐摩耗性の向上に寄与する。また、上記炭化物は、Cr炭化物の粗大化を防止する効果を有し、これにより、相手部品の摩耗が抑制されて耐摩耗性も向上する。第2硬質相形成粉末中のWの含有量は、粉末の組成で1.0質量%未満であると上記効果が不十分となり、5.0質量%を超えると析出する炭化物の量が増加して相手部品の摩耗を促進する。
【0051】
以上の組成を有する第2硬質相形成粉末の添加量は、混合粉末全体の重量に対して5質量%未満であると、形成する硬質相の量が不十分で耐摩耗性に寄与せず、30質量%を超えて添加しても耐摩耗性のより一層の向上は得られないばかりでなく、軟質で基地組織よりもCr濃度の高いフェライト相の量が増加することによる材料強度の低下、圧縮性の低下等の不具合が生じる。よって、混合粉末全体の重量の5〜30質量%とした。
【0052】
[被削性改善物質]
上記の本発明の第1または2の耐摩耗性焼結合金の全体組成に、被削性改善物質を0.3〜2.0質量%追加して、基地中に分散させると好適である。被削性改善物質としては、鉛、二硫化モリブデン、硫化マンガン、窒化硼素、弗化カルシウム、メタ珪酸マグネシウム系鉱物のうちの1種もしくは2種以上が挙げられる。被削性改善物質を基地中に分散させることによって切削加工の際に切屑のブレーキングの起点となり、焼結合金の被削性を改善することができる。
【0053】
このような被削性改善物質は、鉛粉末、二硫化モリブデン粉末、硫化マンガン粉末、窒化硼素粉末、弗化カルシウム粉末、メタ珪酸マグネシウム系鉱物粉末のうち、1種もしくは2種以上からなる被削性改善物質粉末を、混合粉末に対して0.3〜2.0質量%添加することで得られる。被削性改善物質の含有量すなわち被削性改善物質粉末の添加量が、0.3質量%未満であるとその効果が不十分であり、2.0質量%を超えると焼結の進行が阻害されて焼結合金の強度が低下する。よって、被削性改善物質の含有量(被削性改善物質粉末の添加量)は0.3〜2.0質量%とした。
【0054】
[鉛、鉛合金、銅、銅合金、アクリル樹脂]
上記の耐摩耗性焼結合金の気孔中に、鉛、鉛合金、銅、銅合金、アクリル樹脂の1種を充填すると好適である。これらも被削性改善物質であり、特に、気孔を有する焼結合金を切削すると断続切削となるが、上記物質を気孔中に充填することによって連続切削となり、工具の刃先への衝撃が緩和される。また、鉛もしくは鉛合金は固体潤滑材としても機能する他、銅もしくは銅合金は熱伝導性が高いので熱のこもりを防止し、熱による刃先のダメージを軽減する機能があり、アクリル樹脂は切屑のチップブレーキングの起点となる機能がある。
【0055】
この被削性改善物質の充填は、上記の耐摩耗性焼結合金の製造方法により得られた耐摩耗性焼結合金の気孔中に、鉛、鉛合金、銅、銅合金、アクリル樹脂の1種を溶浸もしくは含浸することにより得られる。
【0056】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
[第1実施例]
表1に示す組成の基地形成粉末、第1硬質相形成粉末を用い、黒鉛粉末とともに表1に示す配合比で混合し、表2に示す全体組成の粉末(試料番号G01〜G51)を作製した。次いで、これら混合粉末を成形圧力6.5ton/cmで外径:50mm、内径:45mm、高さ:10mmのバルブシート形状に圧縮成形し、この成形体をアンモニア分解ガス雰囲気中1130℃で60分間焼結して焼結合金試料を得た。なお、試料番号G52の合金は、従来例で挙げた特公平5−55593号公報に開示される合金である。
【0057】
【表1】
Figure 0003852764
【0058】
【表2】
Figure 0003852764
【0059】
試料番号G01〜G52の試料について、Mo珪化物の粒子群の面積比の測定および簡易摩耗試験を行った結果を表3および図3〜図10に示す。なお、Mo珪化物の粒子群の面積率は、組織観察可能なように、断面をナイタールで腐食した試料について、Mo珪化物の粒子群の外郭より内側の面積の合計を画像解析装置(キーエンス社製)を用いて測定した(以下、単に面積比と略す)。また、簡易摩耗試験は、アルミ合金製ハウジングにバルブシート形状に加工した焼結合金試料を圧入嵌合し、バルブをモータ駆動による偏心カムの回転で上下ピストン運動させることにより、バルブのフェース面とバルブシートのシート面とを繰り返し衝突させる試験である。また、この試験での温度の設定は、バルブの傘をバーナーで加熱することにより行い、簡易的にエンジン室内での使用環境を模した試験とした。今回の試験では、偏心カムの回転数を2800rpm、バルブシート部分の試験温度を300℃、繰り返し時間を10時間に設定し、試験後のバルブシートおよびバルブの摩耗量を測定して評価を行った。
【0060】
【表3】
Figure 0003852764
【0061】
次に、表3および図〜図10を参照して上記試験結果を考察し、本発明の効果を明らかにする。図は、表3の試料番号G01〜G07を比較して基地形成粉末中のMo量の影響を示したものである。図4によると、Mo量の増加にともない耐摩耗性が向上し、Moが0.8質量%以上で、従来材(試料番号G52)よりも耐摩耗性が向上している。一方、Moが4.2質量%を超えると、粉末の圧縮性が低下する結果、強度が低下して耐摩耗性も低下することが判る。
【0062】
は、表3の試料番号G05、G08〜G13を比較して第1硬質相形成粉末中のMo量の影響を示したものである。図によると、Mo量の増加にともない耐摩耗性が向上し、Moが10質量%以上で、従来材(試料番号G52)よりも耐摩耗性が向上している。一方、Moが50質量%を超えると、形成されるMo珪化物の量が増加して脆い硬質相となるため、使用時に一部が欠けて研摩粉として作用し、逆に摩耗を増大させてしまうことが判る。
【0063】
は、表3の試料番号G05、G14〜G20を比較して第1硬質相形成粉末中のSi量の影響を示したものである。図によると、Si量の増加にともない耐摩耗性が向上し、Siが0.5質量%以上で、従来材(試料番号G52)よりも耐摩耗性が向上している。一方、Siが10質量%を超えると、粉末が硬くなって圧縮性が損なわれるとともに、粉末表面に強固な酸化被膜が形成されて基地との固着性を損なうとともに、形成されるMo珪化物の量が増加して脆い硬質相となるため、逆に摩耗を増大させてしまうことが判る。
【0064】
は、表3の試料番号G21〜G29を比較して第1硬質相形成粉末中のCr量の影響を示したものである。図によると、Cr量の増加にともない耐摩耗性が向上し、Crが0.5質量%以上で、従来材(試料番号G52)よりも耐摩耗性が向上している。一方、Crが10質量%を超えると、粉末が硬くなり圧縮性が損なわれるとともに、粉末表面に強固な酸化被膜が形成されて基地との固着性を損なうため、逆に摩耗を増大させてしまうことが判る。
【0065】
は、表3の試料番号G21、G30〜G37を比較して第1硬質相形成粉末中のNi量の影響を示したものである。図によると、Ni量の増加にともない耐摩耗性が向上し、Niが0.5質量%以上で、従来材(試料番号G52)よりも耐摩耗性が向上している。一方、Niが10質量%を超えると、粉末が硬くなり圧縮性が損なわれるとともに、マトリックスがオーステナイト化したため、逆に摩耗を増大させてしまうことが判る。
【0066】
は、G05、G21、G25、G28、G33、G36、G38を比較したもので第1硬質相形成粉末中のCr,Niの含有量の影響を示している。図によると、第1硬質相にCrおよびNiのいずれも含まない試料G21に対し、第1硬質相にCrまたはNiを含有させた試料G25、G33およびG28、G36は、それぞれ耐摩耗性が向上し、第1硬質相にCrとNiを含有させたG05およびG38では一層の耐摩耗性向上の効果が確認された。
【0067】
は、表3の試料番号G05、G39〜G45を比較して第1硬質相形成粉末の添加量の影響を示したものである。図によると、第1硬質相形成粉末の増加にともない耐摩耗性が向上し、第1硬質相形成粉末が5.0質量%以上で、従来材(試料番号G52)よりも耐摩耗性が向上している。一方、第1硬質相形成粉末が30質量%を超えると、硬質であるが靭性の乏しい相が増加することにより、逆に摩耗を増大させてしまうことが判る。
【0068】
また、第1硬質相形成粉末の添加量が5.0質量%のとき、焼結後の試料の第1硬質相のMo珪化物群の面積比は3%で、第1硬質相形成粉末の添加量が30質量%のときMo珪化物群の面積比は30%であることから、第1硬質相のMo珪化物群の面積比としては、3〜30%の範囲で耐摩耗性向上の効果があることが確認された。
【0069】
10は、表3の試料番号G05,G46〜G51を比較することにより、黒鉛粉末の添加量の影響を示したものである。図10によると、黒鉛粉末の増加にともない耐摩耗性が向上し、黒鉛粉末が0.35質量%以上で、従来材(試料番号G52)よりも耐摩耗性が向上している。一方、黒鉛粉末が0.95質量%を超えると、粒界にセメンタイトが析出し始めて逆に摩耗を増大させてしまうことが判る。
【0070】
[第2実施例]
第1実施例で用いたMo含有量が3質量%で残部がFeおよび不可避不純物の基地形成合金粉末と、表4に示す組成の第1硬質相形成粉末および第2硬質相形成粉末を用意し、黒鉛粉末とともに表4に示す配合比で混合し、得られた混合粉末を第1実施例と同様の条件で成形および焼結して、表5に示す全体組成の試料番号G53〜G69の試料を作製し、第1実施例と同じ条件でMo珪化物群の面積比とCr炭化物群の面積比の測定および簡易摩耗試験を行った。その結果を表6および図11〜図14に示す。
【0071】
【表4】
Figure 0003852764
【0072】
【表5】
Figure 0003852764
【0073】
11は、表6の試料番号G53〜G58を比較することにより、第2硬質相形成粉末の添加量が10質量%の場合における、第1硬質相形成粉末の添加量の影響を示したものである。図11によると、第1硬質相形成粉末の増加にともない耐摩耗性が向上し、第1硬質相形成粉末が5.0質量%以上で、従来材(試料番号G52)よりも耐摩耗性が向上している。一方、第1硬質相形成粉末が25質量%を超えると、硬質であるが靭性の乏しい相が増加することにより、逆に摩耗を増大させてしまうことが判る。
【0074】
【表6】
Figure 0003852764
【0075】
また、第1硬質相形成粉末の添加量が5.0質量%のとき、焼結後の試料の第1硬質相のMo珪化物群の面積比は3%で、第1硬質相形成粉末の添加量が25質量%のときMo珪化物群の面積比は25%であることから、第1硬質相のMo珪化物群の面積比としては、3〜25%の範囲で耐摩耗性向上の効果があることが確認された。
【0076】
12は、図10に示した第1実施例(第2硬質相を含有しない場合)の試料番号G05、G39〜G45と、図12に示したG53〜G58(第2硬質相を含有する場合)の試料の合計摩耗量を比較したものである。図12より、第1硬質相に加えて第2硬質相を分散させると耐摩耗性が向上することが判る。ただし、その場合においては、相乗効果により第1硬質相形成粉末の添加量は、25質量%までが有効であることが判る。また、図〜図で、第2硬質相が共存しない場合、第1硬質相形成粉末中にCrおよび/またはNiを含有しないと耐摩耗性が低下することを明らかにしたが、第2硬質相が共存する場合、第1硬質相中に予めCrおよび/またはNiを含有させなくても耐摩耗性が良好であることが判る。これは、第2硬質相に含有されるCrが拡散して第1硬質相の基地を強化するためと考えられる。
【0077】
13は、表6の試料番号G59〜G65を比較することにより、第1硬質相の添加量が15質量%の場合における第2硬質相形成粉末の添加量の影響を示したものである。なお、比較のために第2硬質相形成粉末を添加していない試料番号G05の結果もプロットした。図13に示すように、従来材(G52)と比較すると、第2硬質相形成粉末の増加にともない耐摩耗性が大幅に向上している。一方、第2硬質相形成粉末が30質量%を超えると、軟質で基地組織よりもCr濃度の高いフェライト相の量が増加することにより、逆に摩耗を増大させてしまうことが判る。
【0078】
また、第2硬質相形成粉末の添加量が5.0質量%のとき、焼結後の試料の第2硬質相のCr炭化物群の面積比は3%で、第2硬質相形成粉末の添加量が30質量%のときCr炭化物群の面積比は30%であることから、第2硬質相のCr炭化物物群の面積比としては、3〜30%の範囲で耐摩耗性向上の効果があることが確認された。
【0079】
14は、表6の試料番号G60、G66〜G69を比較することにより、第2硬質相形成粉末中へのMo、V、Wの含有の影響を示したものである。図14より、第2硬質相中にMo、V、Wのうち一種以上を含有させることにより、含有させない場合(G60)よりも耐摩耗性の向上が図れることが判る。
【0080】
[第3実施例]
第1および第2実施例で基地形成合金粉末として用いた、組成が、質量比で、Mo:3%および残部:Feおよび不可避不純物のFe−Mo合金粉末を用意するとともに、組成が、重量比で、Cr:3%、Mo:0.3%、V:0.3%、Feおよび不可避不純物のFe−Cr系合金粉末を用意し、さらに、第2実施例で用いた、組成が、質量比で、Mo:35%、Si:1.5%および残部:Feおよび不可避不純物の第1硬質相形成粉末と、組成が、質量比でCr:12%、C:1.5%および残部:Feおよび不可避不純物の第2硬質相形成粉末と、黒鉛粉末を用意し、これらの粉末を表7に示す配合比で混合し、得られた混合粉末を第1実施例と同様の条件で成形および焼結して、表8に示す全体組成の試料番号G70〜G75の試料を作製し、第1実施例と同じ条件で簡易摩耗試験を行った。その結果を表9および図15に示す。
【0081】
【表7】
Figure 0003852764
【0082】
【表8】
Figure 0003852764
【0083】
【表9】
Figure 0003852764
【0084】
15は、基地としてFe−Mo合金粉末にFe−Cr系合金粉末を添加する場合のFe−Cr系合金粉末の添加量の影響を示したもので、比較のため、Fe−Cr系合金粉末を用いない実施例2のG56の結果もプロットした。図15に示すように、基地にFe−Cr系合金を添加することにより、その添加量が60質量%までは、耐摩耗性改善に効果があることが判る。ただし、60質量%を超えると、従来材と同等の摩耗量となるため、耐摩耗性改善のためのFe−Cr系合金粉末の使用は60質量%以下に止めるべきである。
【0085】
[第実施例]
第2実施例で作製した試料番号G60の混合粉末に、被削性改善物質粉末をさらに混合して第1実施例と同じ条件で成形、焼結して試料番号G79〜G85の試料を得た。第3実施形態における基地形成粉末(Fe-3Mo合金粉末)、第1硬質相形成粉末(Fe-35Mo-1.5Si-3.5Cr-3Ni合金粉末)、第2硬質相形成粉末(Fe-12Cr-1.5C合金粉末)、黒鉛粉末、および各種被削性改善物質粉末の種類および配合比を表10に、焼結合金試料の全体組成を表12に示す。また、試料番号G74,75の焼結合金の気孔には、アクリル樹脂または鉛を充填した。これら焼結合金試料について第1実施例と同じ条件で簡易摩耗試験を行った。また、第3実施例では、被削性試験も行った。被削性試験は、卓上ボール盤を使用して一定の荷重でドリルで試料に穴をあけ、その可能な加工数を比較する試験であり、今回の試験では荷重は1.3kg、使用ドリルはφ3超硬ドリル、試料の厚さを5mmに設定して行った。その結果を表13および図16,図17に示す。
【0086】
【表10
Figure 0003852764
【0087】
【表11
Figure 0003852764
【0088】
【表12
Figure 0003852764
【0089】
16は、被削性改善物質粉末(MoS粉末)の添加量の影響を示したものである。なお、比較のために被削性改善物質粉末を用いていない試料番号G60の結果もプロットした。図16に示すように、被削性改善物質粉末を添加した焼結合金試料では、試料番号G60に比べて加工孔数が多く、しかも被削性改善物質粉末の添加量の増加にともなって増加し、被削性が向上することが判る。ただし、被削性改善物質粉末の添加量が2.0質量%を超える試料番号G85では、焼結の進行が阻害されて焼結合金の強度が低下した結果、それに伴って摩耗の急激な進行が認められる。
【0090】
17は、被削性改善物質粉末の添加量を一定(1質量%)としたときに、被削性改善物質の種類の影響を示したものである。図17に示すように、被削性改善物質としてMoSに変えてMnS、BN、Pb、CaFおよびMgSiOを用いても同様に被削性改善の効果があることが確認された。また、被削性改善手法として、アクリル樹脂、Pbを気孔中に充填することも効果があることが確認された。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、Fe基の基地組織中に特定の組織からなる第1硬質相を適当な割合で分散させたので、Co基の硬質相を用いることなく従来材と同等以上の耐摩耗性が発揮される耐摩耗性焼結合金を得ることができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の耐摩耗性焼結合金の金属組織を模式的に表す図である。
【図2】本発明に係る第2の耐摩耗性焼結合金の金属組織を模式的に表す図である。
【図】本発明の第1実施例において、基地形成粉末中のMo量と摩耗量との関係を示す線図である。
【図】本発明の第1実施例において、第1硬質相形成粉末中のMo量と摩耗量との関係を示す線図である。
【図】本発明の第1実施例において、第1硬質相形成粉末中のSi量と摩耗量との関係を示す線図である。
【図】本発明の第1実施例において、第1硬質相形成粉末中のCr量と摩耗量との関係を示す線図である。
【図】本発明の第1実施例において、第1硬質相形成粉末中のNi量と摩耗量との関係を示す線図である。
【図】本発明の第1実施例において、第1硬質相形成粉末中の追加成分の量と摩耗量との関係を示す線図である。
【図】本発明の第1実施例において、第1硬質相形成粉末の量と摩耗量との関係を示す線図である。
【図10】本発明の第1実施例において、黒鉛粉末の量と摩耗量との関係を示す線図である。
【図11】本発明の第2実施例において、第1硬質相形成粉末の量と摩耗量との関係を示す線図である。
【図12】本発明の第2実施例において、第1硬質相形成粉末の量と摩耗量との関係を示す線図である。
【図13】本発明の第2実施例において、第2硬質相形成粉末の量と摩耗量との関係を示す線図である。
【図14】本発明の第2実施例において、第2硬質相形成粉末中の追加成分の量と摩耗量との関係を示す線図である。
【図15】本発明の第3実施例において、基地形成混合粉末中のFe−Cr系合金粉末の添加量と摩耗量との関係を示す線図である。
【図16】本発明の第実施例において、被削性改善物資粉末の添加量と摩耗量との関係を示す線図である。
【図17】本発明の第実施例において、被削性改善物資粉末の種類と摩耗量との関係を示す線図である。

Claims (13)

  1. 全体組成が、質量比で、Mo:1.25〜17.93%、Si:0.025〜3.0%、C:0.35〜0.95%と、Cr:0.025〜3.0とNi:0.025〜3.0%の少なくとも1種以上、および残部:Feおよび不可避不純物よりなり、
    基地組織がベイナイト組織もしくはベイナイトとマルテンサイトの混合組織であり、
    前記基地組織中に、Mo珪化物の粒子群がNiとCrのうち少なくとも1種以上とFeとの合金基地中に分散する第1硬質相が分散するとともに、前記第1硬質相中のMo珪化物の粒子群の外郭より内側の面積の合計が、基地組織全体の面積に対する面積比で、3〜30%分散する組織を呈することを特徴とする耐摩耗性焼結合金。
  2. 全体組成が、質量比で、Mo:1.01〜15.43%、Si:0.025〜2.5%、C:0.36〜1.67%、Cr:0.2〜7.5%および残部:Feおよび不可避不純物からなり、
    基地組織がベイナイト組織もしくはベイナイトとマルテンサイトの混合組織であり、Mo珪化物の粒子群がFe基合金基地中に分散する第1硬質相と、
    Cr炭化物の粒子群よりなる核の周囲を前記基地組織よりもCr濃度の高いフェライト相またはフェライトとオーステナイトの混合相が取り囲む第2硬質相とが前記基地組織中に分散する組織を呈するとともに、
    前記基地組織中に、前記第1硬質相中のMo珪化物の粒子群の外郭より内側の面積の合計が、基地組織全体の面積に対する面積比で3〜25%、前記第2硬質相のCr炭化物の粒子群の外郭より内側の面積の合計が、基地組織全体の面積に対する面積比で3〜30%存在することを特徴とする耐摩耗性焼結合金。
  3. 全体組成中に、さらに、Ni:0.025〜2.5%および追加としてのCr:0.025〜2.5%のうち少なくとも1種以上を全体組成中に含有するとともに、前記第1硬質相の合金基地がNiとCrのうち少なくとも1種以上とFeとの合金基地であり、前記Mo珪化物の粒子群が前記合金基地中に分散することを特徴とする請求項2に記載の耐摩耗性焼結合金。
  4. 全体組成中に、さらに、質量比で、V:0.01〜0.66%、W:0.05〜1.5%、および、追加としてのMo:0.09〜0.15%、のうち少なくとも1種以上を含有し、
    前記第2硬質相中の核にMo炭化物、V炭化物、W炭化物のうち少なくとも1種以上がさらに分布することを特徴とする請求項2または3に記載の耐摩耗性焼結合金。
  5. 鉛、硫化マンガン、二硫化モリブデン、窒化硼素、弗化カルシウム、メタ珪酸マグネシウム系鉱物のうちの1種もしくは2種以上からなる被削性改善物質0.3〜2.0質量%が、さらに前記全体組成に追加されるとともに、前記基地中に被削性改善物質が分散することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐摩耗性焼結合金。
  6. 前記耐摩耗性焼結合金の気孔中に、鉛、鉛合金、銅、銅合金およびアクリル樹脂のうちの1種が充填されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の耐摩耗性焼結合金。
  7. 組成が、質量比で、Mo:0.8〜4.2%、および残部:Feおよび不可避不純物からなる基地形成合金粉末に、
    Si:0.5〜10%、Mo:10〜50%と、さらに、Cr:0.5〜10%とNi:0.5〜10%のうち少なくとも1種、および残部:Feおよび不可避不純物からなる第1硬質相形成粉末を5〜30%、
    および黒鉛粉末0.35〜0.95%を配合し混合した混合粉末を用い、
    所定形状に圧縮成形した後、焼結することを特徴とする耐摩耗性焼結合金の製造方法。
  8. 組成が、質量比で、Mo:0.8〜4.2%、および残部:Feおよび不可避不純物からなる基地形成合金粉末に、
    Si:0.5〜10%、Mo:10〜50%、および残部Feおよび不可避不純物からなる第1硬質相形成粉末を5〜25%、
    Cr:4〜25%、C:0.25〜2.4%および残部:Feおよび不可避不純物からなる第2硬質相形成粉末を5〜30%、
    および黒鉛粉末0.35〜0.95%を配合し混合した混合粉末を用い、
    所定形状に圧縮成形した後、焼結することを特徴とする耐摩耗性焼結合金の製造方法。
  9. 前記第1硬質相形成粉末中に、さらに、質量比で、Ni:0.5〜10%とCr:0.5〜10%のうち少なくとも1種以上を含有することを特徴とする請求項に記載の耐摩耗性焼結合金の製造方法。
  10. 前記第2硬質相形成粉末が、さらに、質量比で、Mo:0.3〜3.0%、V:0.2〜2.2%およびW:1.0〜5.0の少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項またはに記載の耐摩耗性焼結合金の製造方法。
  11. 前記基地形成合金粉末に替えて、組成が、質量比で、Mo:0.8〜4.2%、および残部:Feおよび不可避不純物からなるFe−Mo系合金粉末に、Cr:2〜4%、Mo:0.2〜0.4%、V:0.2〜0.4%、および残部:Feおよび不可避不純物からなるFe−Cr系合金粉末を60%以下添加混合した基地形成混合粉末を用いることを特徴とする請求項10のいずれかに記載の耐摩耗性焼結合金の製造方法。
  12. 前記混合粉末中に、さらに、質量比で、0.3〜2.0%の鉛粉末、硫化マンガン粉末、二硫化モリブデン粉末、窒化硼素粉末、弗化カルシウム粉末、メタ珪酸マグネシウム系鉱物粉末のうち1種、もしくは2種以上からなる被削性改善物質粉末を配合したことを特徴とする請求項11のいずれかに記載の耐摩耗性焼結合金の製造方法。
  13. 請求項12のいずれかに記載の製造方法により得られた焼結合金中に、鉛、鉛合金、銅、銅合金およびアクリル樹脂のうち1種を含浸もしくは溶浸することを特徴とする耐摩耗性焼結合金の製造方法。
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