JP3354402B2 - 耐食性に優れた内燃機関のバルブシート用耐摩耗性焼結合金およびその製造方法 - Google Patents

耐食性に優れた内燃機関のバルブシート用耐摩耗性焼結合金およびその製造方法

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JP3354402B2 JP22076996A JP22076996A JP3354402B2 JP 3354402 B2 JP3354402 B2 JP 3354402B2 JP 22076996 A JP22076996 A JP 22076996A JP 22076996 A JP22076996 A JP 22076996A JP 3354402 B2 JP3354402 B2 JP 3354402B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に、内燃機関のバル
ブシートに好適な耐摩耗性焼結合金およびその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車エンジンの高性能化、高出力化に
対応するためバルブシート用焼結合金は高温耐摩耗性、
高温強度を求められ、本出願人も特許第1043124
号で登録された製法によるバルブシート用焼結合金等を
提供してきた。さらに、近年のより一層の高性能化、高
出力化、特に、希薄燃焼化による燃焼温度の高温化に対
応し、より高温耐摩耗性、高温強度に優れた特開昭62
−10244号や特開平7−233454号等に開示さ
れた焼結合金を開発してきた。しかし、これらの材料は
高温時の性能を向上させるため、基材成分中にCo等の
高価な元素を多用したため高価な材料となっている。
【0003】また、高温環境下の高性能内燃機関で有鉛
ガソリンを対象とした地区では酸化鉛のみならず、有鉛
ガソリン中に含まれる掃鉛剤(鉛成分を排気ガス中に効
果的に排出することを助ける成分および硫酸鉛、臭化
鉛、塩化鉛等の鉛化合物)のバルブおよびバルブシート
への付着による腐食摩耗が生じ、極端な耐久性の低下を
示す傾向が見られ、掃鉛剤や鉛化合物に対する耐食性も
求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、最近では、エ
ンジン設計技術の向上により特開昭62−10244号
や特開平7−233454号等に開示された材料等の如
く高性能かつ高価な材料でなくてもバルブシートとして
使用できるようになっている。特に、インテーク側のバ
ルブシートは環境温度がエギゾースト側よりも低いた
め、特開昭62−10244号や特開平7−23345
4号等に開示された材料等では品質過剰となっている。
また、最近の自動車開発は、より一層の高性能化を目指
す性能重視の自動車開発から、コストパフォーマンスの
高い、安価な自動車を開発する経済性重視の方向に変化
している。したがって、これからのバルブシート用焼結
合金としては、従来の過度の耐摩耗性を有するものでは
なく、適度な耐摩耗性を有し、かつ、安価であることが
求められるようになってきている。
【0005】また、内燃機関の燃料事情別にバルブシー
トの材料を使い分けることは生産ラインを煩雑にし、コ
ストアップの原因になるため、現在の自動車の国際商品
の性格上、仕向け地毎に異なる諸条件に対しても広範囲
に対応できるバルブシート材料が望まれる。
【0006】本発明は、上記の問題点を解決すべく、掃
鉛剤、鉛化合物への耐食性、適当な耐摩耗性を有し、従
来より安価な内燃機関用バルブシート用焼結合金および
その製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の内、第1発明の耐摩耗性焼結合金は、全体組成
が、重量比で、W:2.40〜5.61%、Ni:4.
49〜23.2%、Cr:0.75〜7.0%、Mo:
0.21〜2.2%、Si:0.015〜0.3%、
C:0.55〜2.0%、および残部Feおよび不可避
不純物からなり、その金属組織が、図1に示す金属組織
の模式図の如く、 マルテンサイト相と、 ソルバイ
ト相もしくはベイナイト相あるいはソルバイトとベイナ
イトの混合相と、 Niを含有するオーステナイト相
と、 Cr炭化物よりなる硬質相の核を有し、その核
を取り囲むNi、Crを含有するオーステナイト相もし
くはオーステナイトとフェライトの混合相、の上記〜
からなると共に、上記硬質相をのぞく基地にW炭化物
が均一に分散した組織を呈している。第2発明の焼結合
金は、第1発明合金に、さらに、重量比で、V:2.0
57%以下を含み、V炭化物が硬質相をのぞく基地中
に、さらに、均一に分散する組織を呈している。具体的
には、全体組成が、重量比で、W:2.40〜5.61
%、V:2.057%以下、Ni:4.49〜23.2
%、Cr:0.75〜7.0%、Mo:0.21〜2.
2%、Si:0.015〜0.3%、C:0.55〜
2.0%、および残部Feおよび不可避不純物からな
り、その金属組織が、図1の模式図の如く、 マルテ
ンサイト相と、 ソルバイト相もしくはベイナイト相
あるいはソルバイトとベイナイトの混合相と、 Ni
を含有するオーステナイト相と、 Cr炭化物よりな
る硬質相の核を有し、その核を取り囲むNi、Crを含
有するオーステナイト相もしくはオーステナイトとフェ
ライトの混合相、の上記〜からなると共に、上記硬
質相をのぞく基地にW炭化物およびV炭化物が均一に分
散した組織を呈している。なお、以上の各発明には、請
求項3のように、前記硬質相の核に、さらにMo炭化物
および/またはCr−Mo共晶炭化物が分散するものを
含む。
【0008】第3発明の焼結合金は、上記第1もしくは
第2発明の全体組成中に、さらに重量比でMn:0.7
62%以下およびS:0.438%以下を含み、硬質相
をのぞく基地中に、重量比で1.2%以下のMnS粒子
が分散している金属組織を呈する。第4発明の焼結合金
は、上記第1〜第3発明合金の何れかの焼結合金の気孔
中に、アクリル樹脂、鉛または鉛合金、銅または銅合金
の何れかが分散している。
【0009】また、上記第1発明の焼結合金の製造方法
としては、成分組成が、重量比で、W:3.5〜6.0
%、V:2.2%以下、および残部Feおよび不可避不
純物からなるFe基合金粉末に、Cr:25〜35%、
Mo:7〜11%、Si:0.5〜1.5%、C:1.
5〜3.0%、および残部Niおよび不可避不純物より
なるNi基合金粉末:3〜20%、Ni粉末:3〜10
%、および黒鉛粉末:0.5〜1.4%を配合し、混合
した混合粉末を用いることを要部としている。上記第2
発明の焼結合金の製造方法としては、上記第1発明の製
造方法におけるFe基合金粉末中に、さらに、重量比
で、V:2.2%以下を含むことを要部としている。
【0010】上記第3発明の焼結合金の製造方法として
は、上記第1もしくは第2発明の製造方法におけるFe
基合金粉末中に、さらに、重量比で、Mn:0.815
%以下、S:0.468%以下を含むことを要部として
いる。また、上記第3発明の焼結合金の他の製造方法と
しては、上記第1もしくは第2発明の製造方法における
混合粉末中に、重量比で1.2%以下のMnS粉末をさ
らに添加することを要部としている。上記第4発明の焼
結合金の製造方法としては、上記第1〜3発明の製造方
法における混合粉末を用いて成形し、焼結した焼結体の
気孔中に、アクリル樹脂、鉛または鉛合金、銅または銅
合金の何れかを含浸もしくは溶浸することを要部として
いる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の金属組織および各
成分について説明する。まず、耐食性を考えた場合、ス
テンレス鋼等のように耐食成分を多量に含有させること
が有効ではあるが、粉末の圧縮性を考えた場合、高合金
化は粉末が硬くなるため悪化し、そのため、機械的特性
および耐摩耗性が低下する。一方、合金成分を単味粉で
添加した場合、圧縮性の低下は生じないが、合金元素の
拡散が不均一となり耐食性の弱い部分から腐食が進行す
ることとなり、有効ではない。そこで、本発明では少量
の合金成分で、有鉛ガソリン中の掃鉛剤成分に対する耐
食性を得るため、Fe−WまたはFe−W−Vからなる
Fe基合金粉末をベースとして採用した。同時に、Wや
Vは、優れた炭化物生成元素であるため、これらの微細
な炭化物を基地中に分散することで、基地の耐摩耗性の
向上を図るよう指向した。
【0012】(Fe基合金粉末)以上の混合組織を得る
場合、Fe基合金粉末中に固溶されて与えられるWは、
添加された黒鉛と反応し基地中にW炭化物を形成する。
形成されたW炭化物は基地中に微細かつ均一に分散して
いるため基地の耐摩耗性向上に寄与する。また、炭化物
を形成しなかったWは基地中に拡散し、有鉛ガソリン中
に存在する掃鉛剤成分(H2SO4、HCl)に対する耐
食性を向上させる。このとき、W量が3.5%以下であ
るとほとんどが基地中に固溶し炭化物が析出せず耐摩耗
性向上に寄与しない。また、6.0%を超えると、Fe
基合金粉末が硬くなり、圧縮性、流動度等の粉末特性に
悪影響を及ぼし、ひいては機械的強度および耐摩耗性の
低下を生じる。このため、本発明(第5,6発明)では
Fe基合金粉末中のW量を3.5〜6.0%に限定し
た。
【0013】また、Vは、Wと共にFe基合金粉末中に
固溶されて与えられ、添加された黒鉛と反応し基地中に
V炭化物を形成する。形成されたV炭化物は基地中に分
散して基地の耐摩耗性向上に寄与する。また、炭化物を
形成しなかったVは基地中に拡散し、有鉛ガソリン中に
存在する掃鉛剤成分(H2SO4、HCl)に対する耐食
性を向上させる。このとき、V量が2.2%を超える
と、Fe基合金粉末が硬くなり、圧縮性、流動度等の粉
末特性に悪影響を及ぼし、ひいては機械的強度および耐
摩耗性の低下を生じる。このため、本発明(第6発明)
ではFe基合金粉末中のV量を2.2%以下に限定し
た。
【0014】以上のFe−WまたはFe−W−VのFe
基合金粉末に、0.1〜1%のCを含有させると、Fe
基合金粉末中のWまたはVが炭化物を形成し、粉末の基
地中の合金成分量が低下し粉末の圧縮性が向上するので
好ましい。なお、Fe基合金粉末中のC量が0.1%に
満たないとFe合金粉末中に形成される炭化物の量が乏
しく、圧縮性の向上に寄与せず、1%を超えると形成さ
れる炭化物の量が多くなりすぎかえって圧縮性を損な
う。以上の合金基地は、通常の焼結を行うとベイナイト
相もしくはベイナイトとソルバイトの混合相となるが、
さらに耐摩耗性を向上させるため、Ni粉末を添加し
た。
【0015】(Ni粉末)Ni粉末は、焼結中に速やか
に基地中に拡散し、基地の焼入れ性を向上させて、基地
組織をマルテンサイト化すると共に、Niの拡散の遅い
Ni濃度の高い部分は靱性の高いオーステナイトとして
残留して、基地の強度、靱性の向上および耐摩耗性の向
上に寄与する。このとき、Niの濃度が低い部分は、ソ
ルバイトもしくはベイナイトあるいはソルバイトとベイ
ナイトの混合相として残留する。また、Niは掃鉛剤成
分に対する耐食性を有するため、基地の耐食性の向上に
も寄与する。このNiの添加形態としては、基地形成合
金粉末に部分拡散処理して与えてもよいが、上記Fe基
合金粉末に対するNiの拡散性が優れており、Ni粉末
の添加によっても十分拡散するため、高価なFe基合金
粉末へのNiの部分拡散処理は特に必要ない。Ni粉末
の添加量が3%未満では焼入れ性の向上にともなう強
度、耐摩耗性の向上に効果がなく、10%を超えるとN
i濃度の高いオーステナイト相の量が多くなりすぎ、全
体の硬さが低下すると共に、耐摩耗性が低下する。この
ため、本発明ではNi粉末の添加量を3〜10%とし
た。
【0016】(Ni基合金粉末)耐食性を確保した上で
耐摩耗性を向上させるため、掃鉛剤成分に対する耐食性
を有するNiを基とし、炭化物を形成するCr、Moを
含有するNi基合金粉末を硬質相形成のため添加した。
すなわち、硬質なCr炭化物、Mo炭化物、Cr−Mo
共晶炭化物等が析出する硬質相は、ピン留め効果でバル
ブが着座したときに発生する基地の塑性流動を抑制する
働きを示す。また、Ni基合金粉末のNi、Crは前記
Fe基合金粉末に拡散し、基地の焼入れ性を向上させ、
マルテンサイト化させて耐摩耗性を向上させると共に、
硬質相の周囲のNiの濃度の高い部分では、軟質な、白
色のオーステナイトまたはオーステナイトとフェライト
の混合相を形成し、バルブ着座時の衝撃を緩和すると共
に、硬質相の脱落を防ぐ効果がある。Ni基合金粉末の
添加量が3%以下では耐摩耗性向上に寄与せず、20%
を超えると圧縮性が低下して機械的特性が低下すると共
に、硬質相の量が多くなり、バルブに対する攻撃性が増
加してバルブを摩耗させる。このため、本発明ではNi
基合金粉末の添加量は3〜20%に限定した。
【0017】Ni基合金粉末中に固溶して与えられるC
rは、Ni基合金粉末中のCと反応し、硬く耐摩耗性に
優れたCr炭化物および後述するMoとの共晶炭化物を
形成する。また、基地に拡散することで基地の焼入れ性
を改善し、基地組織をマルテンサイト化して耐摩耗性を
向上させる。さらに、Cr濃度の高い硬質相の周囲にオ
ーステナイトまたはオーステナイトとフェライトの混合
相を形成し、バルブ着座時の衝撃を緩和すると共に、硬
質相の脱落を防止する。このとき、Cr量が25%未満
であると充分な炭化物を得られず、また35%を超える
と炭化物の量が多くなり相手攻撃性が高くなりバルブを
摩耗させる。このため、本発明ではNi基合金粉末中の
Cr量を25〜35%に限定した。
【0018】また、Ni基合金粉末中に固溶して与えら
れるMoは、Ni基合金粉末中のCと反応し、硬く耐摩
耗性に優れたMo炭化物およびCrとの共晶炭化物を形
成する。このとき、Mo量が7%未満であると充分な炭
化物が得られないため耐摩耗性に寄与せず、また11%
を超えると炭化物の量が多くなり相手攻撃性が高くなり
バルブを摩耗させる。このため、本発明ではNi基合金
粉末中のMo量を7〜11%に限定した。
【0019】SiもNi基合金粉末中に固溶して与えら
れ、脱酸剤として作用し、Ni基合金粉末とFe基合金
粉末の固着性を高める効果がある。ただし、Ni基合金
粉末中のSi量が0.5%以下であると、脱酸効果が不
十分で粉末の固着性を改善するには至らず、1.5%を
超えるとそれ以上の脱酸効果が望めず、Ni基合金粉末
自体が硬くなるため圧縮性が低下し、機械的強度、耐摩
耗性の低下の原因となる。このため、本発明ではNi基
合金粉末中のSi量を0.5〜1.5%とした。
【0020】なお、Ni基合金粉末に、Fe基合金粉末
に拡散しやすいCあるいはFeを少量含有させること
で、両粉末の固着性を向上させることも可能である。C
は、Ni基合金粉末中に固溶され、Cr、Moと反応し
て硬質な炭化物を形成することによる耐摩耗性向上のた
めに与えられる。また、Cは黒鉛粉末として与えられ、
基地中のW、V炭化物の析出および基地のマルテンサイ
ト化、ベイナイト化の基地強化に寄与する。Ni基合金
粉末中に固溶されて与えられるC量は、1.5%未満で
あると析出する炭化物の量が少なくなり、耐摩耗性向上
の効果が乏しく、一方、3.0%を超えると析出する炭
化物の量が多くなりすぎ、バルブ攻撃性が高まるほか、
粉末が硬くなるため圧縮性が低下し、成形体密度が低下
する結果、強度も低下する。このため、本発明ではNi
基合金粉末中のC量を1.5〜3.0%にした。
【0021】(黒鉛粉末)黒鉛粉末として添加されるC
量が0.5%未満であると、W、V炭化物の析出量が少
なくなると共に、基地中に固溶されるC量が少なく、基
地の強化および耐摩耗性の向上に寄与せず、一方、1.
4%を超えると、基地中にCが過飽和に固溶され、靱性
の低下および被削性の低下が生じると共に、焼結時に液
相が発生しやすくなり、寸法制度が損なわれる。このた
め、本発明では黒鉛粉末として添加するC量を0.5〜
1.4%とした。
【0022】(MnS粒子またはMn,S)被削性改善
を望む場合には、第3発明の如くMnS粒子を組織中に
均一かつ微細に分散させることが効果的である。すなわ
ち、MnS粒子は、チップブレーカー作用を持つため被
削性向上に効果があると共に、加工時に工具刃面に付着
して刃先を保護し、工具の寿命を向上させる。MnS粒
子を基地中に分散させる方法としては、MnS粉末を配
合する方法が簡便であり、有効である。ただし、MnS
粉は焼結を阻害するため、Fe基合金粉末粉末中にMn
とSの状態で添加し、焼結時に反応させ基地中に微細に
分散させることがより好ましい。基地中に分散するMn
S粒子の量は、MnS粉添加による場合も、Fe基合金
粉末中に固溶して反応生成させる場合も、何れも1.2
0%を超えると機械的性質および耐摩耗性が低下するた
め、MnS粉添加の場合、MnS粉の添加量の上限を
1.2%、Fe基合金粉末の形で与える場合、Fe基合
金粉末中のMnおよびSの量をMn:0.85%以下、
S:0.486%以下とした。
【0023】(アクリル樹脂等)被削性を向上させる場
合は、焼結体の気孔中にアクリル樹脂、鉛または鉛合
金、銅または銅合金を含浸あるいは溶浸することが効果
的である。アクリル樹脂、鉛または鉛合金、銅または銅
合金を気孔中に存在させると、切削時の切削形態が断続
切削から連続切削になり、工具に与える衝撃を減少させ
て工具刃先の損傷を防止し、被削性を向上させることが
できる。また、鉛または鉛合金、銅または銅合金は軟質
であるため、工具刃面に付着して工具の刃先を保護し、
被削性および工具の寿命を向上させると共に、使用時に
バルブシートとバルブフェイス面の間で固体潤滑剤とし
て作用し、双方の摩耗を減少させる働きがある。しか
も、銅または銅合金は熱伝導率が高く、切削時に刃先で
発生する熱を外部へ逃がし、刃先部の熱のこもりを防止
して刃先部のダメージを軽減する効果がある。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに説明す
る。実施例では、表1に示す成分組成からなるFe基合
金粉末(粉末番号1〜20)を用いると共に、硬質層形
成粉末、Ni粉末、黒鉛粉末、MnS粉末および成形潤
滑剤(ステアリン酸亜鉛)を用いて、表2に列記した割
合で配合し、その各配合物を30分間混合した後、成形
圧6.5ton/cm で成形した。
【0025】そして、以上の各成形体をアンモニア分解
ガス雰囲気中1175℃で60分間焼結することによ
り、表4の本発明合金1〜32(試料番号1〜32)と
何れかの成分が本発明から外れた比較合金1〜12(試
料番号1〜12まで)を得た。
【0026】なお、本発明合金19〜21は、焼結後、
さらに気孔中にアクリル樹脂、Pb、Cuの含浸または
溶浸を施した。また、従来合金として表3の如く特許第
1043124号に記載のバルブシート用従来合金を同
一条件で処理することにより、表4の比較合金13を得
た。
【0027】使用したFe基合金粉末の成分組成
【表1】
【0028】本発明合金(1〜32)と比較合金(1〜
12)の配合比
【表2】
【0029】比較合金(13)の配合比
【表3】
【0030】本発明合金(1〜32)と比較合金(1〜
13)の全体組成
【表4】
【0031】以上の焼結合金に対して見掛け硬さ試験、
圧環強さ試験、被削性試験、耐摩耗性試験および耐食性
を行った。その結果を表5に一覧表示した。なお、被削
性試験は卓上ボール盤を使用し、回転部自重および追加
の重りのみの荷重で、ドリルで試料に穴をあけ、その加
工数を比較する試験であり、今回の試験では荷重は1.
8kg、使用ドリルはφ3mm超硬ドリル、試料の厚さ
を5mmに設定した。耐摩耗性試験はアルミ合金製ハウ
ジングにバルブシート形状に加工した焼結合金を圧入嵌
合し、バルブをモータ駆動による偏心カムの回転で上下
ピストン運動させることにより、バルブフェイスとシー
ト面を繰り返し衝突させ、これを一定時間行い、そのと
きに発生するバルブシートとバルブフェイス面の摩耗量
を測定することで評価を行った。試験時にはバルブの傘
をバーナーで加熱することにより温度を制御する。な
お、今回の試験では偏心カムの回転数を3000rp
m、バルブシート部分の試験温度を250℃、繰り返し
時間を10時間に設定した。耐食性はPb化合物の混合
粉を腐食剤として使用し、この中に試料を設置し、大気
中雰囲気で加熱、300℃で5時間保持した後に試料最
表面に発生した腐食層の厚さを測定することで評価を行
った。
【0032】本発明合金(1〜32)と比較合金(1〜
13)の評価
【表5】
【0033】以上の表5の評価からは次のことが分か
る。なお、図2〜図9は前記評価の内、図2〜図6は耐
摩耗性(摩耗量)と耐食性(腐食深さ)についてグラフ
化し、図7〜図8はさらに被削性(加工孔数)をも含め
てグラフ化した。△印はバルブ、○印はバルブシート、
□印はバルブとバルブシートの合計の摩耗量をプロット
し、従来合金(比較13)もバルブとバルブシートの合
計の摩耗量で図示した。また、図9は焼結合金の気孔中
にアクリル樹脂、Pb、Cuの含浸した場合の被削性
(加工孔数)を示している。なお、図中、例えば、本発
明合金1は発明1と、比較合金1は比較1と表示してい
る。
【0034】本発明合金1,2,11,32および比較
合金1,2,3の比較により、Fe基合金粉末中のW量
を変化させたとき、その影響を調べると以下のようにな
る。Fe基合金粉末中のW量が増加するにつれて、図2
に示す如くバルブシート摩耗量(μm)が減少し、3.
5〜6%で安定した摩耗量を示し、6%を超えると摩耗
量が増加している。一方、バルブの摩耗量は、W量の増
加にしたがい6%までは若干の増加傾向は見られるが、
概して安定しており、W量が6%を超えると、急激に摩
耗している。バルブシートとバルブの合計の摩耗量は、
3.5〜6%で安定して低くなっている。このときの摩
耗量は、比較合金13の従来合金よりも低い値となって
いる。これは、W量の増加にしたがい、基地中のW炭化
物の量が増加した結果、バルブシートの摩耗は減少する
が、バルブに対する攻撃性が増加するためバルブの摩耗
量が若干ではあるが増加傾向を示し、6%を超えると、
バルブ攻撃性の増加にバルブが耐えられなくなり、一気
に摩耗が進行するためと考えられる。また、基地形成合
金粉末中に固溶するW量が6%を超えると合金粉末自体
の硬さが高くなり、圧縮性が低下した結果、基地強度が
低下したことと、バルブ摩耗により発生した摩耗粉が研
磨粒子として作用したことにより、バルブシート自体の
摩耗量も増加する。したがって、W量が6%以上では合
計摩耗量が増大する。耐食性はFe基合金粉末中のW量
の増加にしたがい、基地に固溶するW量が増加した結
果、腐食深さが減少しており、良好な耐食性を示してい
る。以上のことから、Fe基合金粉末中のW量は、3.
5〜6%の範囲で耐摩耗性および耐食性ともに良好であ
ることが判る。
【0035】本発明合金3〜6,11,31および比較
合金4を比較して、Fe基合金粉末中のV量を変化させ
たときの影響を調べると、次のようになる。なお、本発
明合金3〜6,11,31は請求項1,2に関し、その
内、本発明合金3はFe基合金中のV量が0%のもので
あり、請求項1に対応している。Fe基合金粉末中のV
量が2%までは図3に示す如くバルブシート摩耗量は減
少傾向を示し、2%を超えると摩耗量が増加している。
一方、バルブ摩耗量はV量の増加にしたがい若干の増加
傾向を示すが安定しており、2%を超えると、増加傾向
が増大し急激に摩耗が進行している。バルブシートとバ
ルブの合計摩耗量は、V量が2%までは減少し、2.2
%では摩耗量がやや増加し、2.2%を超えると急激に
摩耗量が大きくなっている。これは、V量の増加にした
がい基地中のV炭化物が増加し、バルブシートの耐摩耗
性を向上させるが、バルブ攻撃性が高まるため、2%を
超えるとバルブが耐えられなくなって摩耗量が増加し、
バルブ摩耗の影響および粉末の圧縮性低下にともなう基
地強度の低下の影響でバルブシート摩耗量も増加するた
めと考えられる。また、耐食性は、V量の増加にしたが
って腐食深さが減少しており、耐食性の向上を示してい
る。以上のことから、Fe基合金粉末中のV量は、2.
2%以下で良好な耐摩耗性と耐食性を示すことが判る。
【0036】本発明合金8,11,27〜29および比
較合金7,8を比較すると、Ni基合金粉末の添加によ
り、バルブシートの摩耗量は図4に示す如く減少し、5
〜20%で安定した値を示している。一方、バルブ摩耗
量は、Ni基合金粉末の添加量の増加にしたがい徐々に
増加し、20%を超えると急激に摩耗量が増加してい
る。これにより、合計の摩耗量は、Ni基合金粉末:3
〜20%の添加により比較合金13(従来合金)よりも
低く、ほぼ一定の値を示すが、20%を超えると急激に
摩耗量が増大している。これは、Ni基合金粉末の添加
により、硬質な金属間化合物からなる硬質相が形成され
ると共に、硬質相周囲に軟質なオーステナイトまたはオ
ーステナイトとフェライトの混合相が形成され、金属間
化合物による耐摩耗性の向上、オーステナイトまたはオ
ーステナイトとフェライトの混合相による金属間化合物
の脱落防止およびバルブ着座時の衝撃緩和の効果により
摩耗量が減少するが、過剰なNi基合金粉末の添加は、
金属間化合物の量が増加するためバルブ攻撃性が高まる
こと、および、オーステナイトまたはオーステナイトと
フェライトの混合相が増加することによる基地強度の低
下と相まって、耐摩耗性の急激な低下が生じるからと考
えられる。一方、耐食性は、Ni基合金粉末の添加量に
よらずほぼ一定であり、比較合金13(従来合金)より
も低い良好な値を示す。以上のことから、Ni基合金粉
末の添加量は、3〜20%の範囲で耐摩耗性に大きな効
果があることが判る。
【0037】本発明合金7,11,30および比較合金
5,6を比較すると、3〜6%のNi粉末の添加によ
り、基地組織がマルテンサイト化され、バルブシート摩
耗量は図5に示す如く低減している。一方、バルブ摩耗
量はNi粉末の添加量の増加にしたがい若干の増加傾向
を示し、Ni粉末の添加量が6%を超えると、基地によ
る攻撃性が高まりバルブ摩耗量が大きくなっている。合
計摩耗量は、Ni粉末の添加量が3%未満では基地の強
度が低く摩耗が大きく、3〜10%で安定した低い値を
示し、6%を超えると摩耗量が次第に大きくなってい
る。また、耐食性はNi粉末の添加量によらずほぼ一定
の値を示している。以上のことから、Ni粉末の添加量
は3〜10%の範囲で耐摩耗性の向上に効果があること
が判る。
【0038】本発明合金9,10,11,25,26お
よび比較合金9,10を比較すると、バルブシート摩耗
量は、図6に示す如く黒鉛粉末の添加量が1.4%まで
は、添加量の増加にしたがい摩耗量が徐々に減少し、
1.4%を超えるとバルブシート摩耗量が増加してい
る。一方、バルブ摩耗量は、黒鉛粉末添加量の増加にし
たがい徐々に増加し、1.4%を超えると摩耗の増加傾
向が大きくなっている。これにより、合計摩耗量は0.
5〜1.4%の間で低い値で安定している。これは、黒
鉛粉末添加量が増加することで基地中の炭化物量が増加
し、そのためバルブシート摩耗量は減少するが、バルブ
攻撃性が高くなるため、バルブの摩耗は徐々に増大し
て、黒鉛粉末添加量が1.4%を超えるとバルブの摩耗
の影響でバルブシートも摩耗するため、急激に合計摩耗
量が増加するからと考えられる。また、耐食性は、黒鉛
粉末添加量が1.4%までは黒鉛粉末の添加量の増加に
したがい若干の増加傾向を示してはいるが、良好な耐食
性を示している。以上のことから、黒鉛粉末添加量は
0.5〜1.4%の範囲で耐摩耗性に大きな効果がある
ことが判る。
【0039】発明合金11〜13,15,17,22,
23および比較合金11により、Fe基合金粉末中にM
nとSを固溶させて与えたときのMnS量の影響(図
7)、および発明合金11,14,16,18,24お
よび比較合金12により、MnS粉末を添加して与えた
ときのMnS量の影響(図8)が判る。すなわち、Mn
SをFe基合金粉末中にMnとSを固溶させて与えた場
合も、MnS粉末を添加して与えた場合も共に、全体組
成中のMnS量が1.2%まではバルブシート摩耗量が
徐々に増加し、1.2%を超えると基地の強度が低下し
た結果、摩耗量が増大している。また、耐食性は、どち
らの場合も比較合金13(従来合金)よりも低い良好な
値を示している。MnSの添加形態から見ると、Mnと
SをFe基合金粉末中に固溶させて与えた場合は、Mn
S粉末を添加して与えた場合よりも摩耗量が低く、Mn
S量の増加による摩耗量の増加率も低くなっている。こ
れは、MnS粉末を添加して与えた場合、MnS粉末が
基地粉末の焼結による拡散・結合を阻害し、基地強度が
低下するからである。そのため、耐食性もMnS粉末添
加の場合、問題ない範囲ではあるが若干低下する傾向が
見られる。一方、被削性はどちらの場合でもMnS量の
増加にしたがい改善されているが、Fe基合金粉末に固
溶させて与えた場合の方が、基地中に均一に分散するた
め同じMnS量でも被削性改善効果が大きくなってい
る。以上のことから、添加形態によらずMnSにより被
削性は改善されるが、全体組成中のMnS量が1.2%
を超えると耐摩耗性が急激に悪化する。このため、Mn
Sの添加量の上限を1.2%とした。また、添加形態は
MnS粉末を添加してもよいが、Fe基合金粉末中にM
nとSを固溶させて与えた方が、効果が高いことが判
る。
【0040】また、発明合金17,20,21,22と
比較合金13を比べると、被削性はFe基合金中にMn
とSを固溶させて全体組成中で0.9%のMnSを分散
させた焼結合金は、従来合金よりも耐摩耗性および耐食
性において優れ、被削性でやや劣っているが、図9に示
す如くその焼結合金にアクリル樹脂、Pb、Cuを含浸
または溶浸することで耐摩耗性、耐食性を損なうことな
く被削性をより向上させることが可能であることが判
る。
【0041】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
のバルブシート用耐摩耗性焼結合金およびその製造方法
によれば、Co等の高価な元素を使用しないため安価で
あり、内燃機関のバルブシート用焼結合金として実用に
十分な耐摩耗性を有しており、さらに、掃鉛剤成分、P
b化合物に対する優れた耐食性を有する焼結合金が得ら
れる。特に、請求項4,5およびその製造方法の場合は
さらに被削性をも改善した優れた焼結合金となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の焼結合金の金属組織の模式図である。
【図2】本発明の実施例において、基地形成合金粉末中
のW量を変化させたときの摩耗量と腐食深さの評価結果
を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例において、基地形成合金粉末中
のV量を変化させたときの摩耗量と腐食深さの評価結果
を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例において、硬質相形成粉末の添
加量を変化させたときの摩耗量と腐食深さの評価結果を
示すグラフである。
【図5】本発明の実施例において、Ni粉末の添加量を
変化させたときの摩耗量と腐食深さの評価結果を示すグ
ラフである。
【図6】本発明の実施例において、黒鉛粉末の量を変化
させたときの摩耗量と腐食深さの評価結果を示すグラフ
である。
【図7】本発明の実施例において、全体組成中のMnS
量を変化させたときの摩耗量と腐食深さおよび加工孔数
の評価結果を示すグラフである。
【図8】本発明の実施例において、MnS粉末の添加量
を変化させたときの摩耗量と腐食深さおよび加工孔数の
評価結果を示すグラフである。
【図9】本発明の実施例において、焼結合金にアクリル
樹脂、Pb、Cuを含浸した場合の加工孔数の評価結果
を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B22F 3/26 B22F 3/26 G (56)参考文献 特開 昭59−16592(JP,A) 特開 平5−171376(JP,A) 特開 平5−239602(JP,A) 特開 平5−132743(JP,A) 特開 平5−43998(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 304 C22C 33/02 103 C22C 38/44 F01L 3/02 B22F 3/26

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全体組成が、重量比で、W:2.40〜
    5.61%、Ni:4.49〜23.2%、Cr:0.
    75〜7.0%、Mo:0.21〜2.2%、Si:
    0.015〜0.3%、C:0.55〜2.0%、およ
    び残部Feおよび不可避不純物からなり、その金属組織
    が、 マルテンサイト相と、 ソルバイト相もしくはベイナイト相あるいはソルバ
    イトとベイナイトの混合相と、 Niを含有するオーステナイト相と、 Cr炭化物よりなる硬質相の核を有し、その核を取
    り囲むNi、Crを含有するオーステナイト相もしくは
    オーステナイトとフェライトの混合相、 上記〜からなると共に、上記硬質相をのぞく基地に
    W炭化物が均一に分散した組織を呈していることを特徴
    とする耐食性に優れた内燃機関のバルブシート用耐摩耗
    性焼結合金。
  2. 【請求項2】 全体組成が、重量比で、W:2.40〜
    5.61%、V:2.057%以下、Ni:4.49〜
    23.2%、Cr:0.75〜7.0%、Mo:0.2
    1〜2.2%、Si:0.015〜0.3%、C:0.
    55〜2.0%、および残部Feおよび不可避不純物か
    らなり、その金属組織が、 マルテンサイト相と、 ソルバイト相もしくはベイナイト相あるいはソルバ
    イトとベイナイトの混合相と、 Niを含有するオーステナイト相と、 Cr炭化物よりなる硬質相の核を有し、その核を取
    り囲むNi、Crを含有するオーステナイト相もしくは
    オーステナイトとフェライトの混合相、 上記〜からなると共に、上記硬質相をのぞく基地に
    W炭化物およびV炭化物が均一に分散した組織を呈して
    いることを特徴とする耐食性に優れた内燃機関のバルブ
    シート用耐摩耗性焼結合金。
  3. 【請求項3】 前記硬質相の核に、さらにMo炭化物お
    よび/またはCr−Mo共晶炭化物が分散することを特
    徴とする請求項1または2に記載の耐食性に優 れた内燃
    機関のバルブシート用耐摩耗性焼結合金。
  4. 【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載の耐摩
    耗性焼結合金において、全体組成中に、さらに重量比で
    Mn:0.762%以下およびS:0.438%以下を
    含み、前記硬質相をのぞく基地中に、重量比で1.2%
    以下のMnS粒子が分散している金属組織を呈する耐食
    性に優れた内燃機関のバルブシート用耐摩耗性焼結合
    金。
  5. 【請求項5】 請求項1〜に記載の耐摩耗性焼結合金
    において、前記焼結合金の気孔中に、アクリル樹脂、鉛
    または鉛合金、銅または銅合金の何れかが分散している
    耐食性に優れた内燃機関のバルブシート用耐摩耗性焼結
    合金。
  6. 【請求項6】 重量比で、W:3.5〜6.0%、およ
    び残部Feおよび不可避不純物からなるFe基合金粉末
    に、 重量比で、Cr:25〜35%、Mo:7〜11%、S
    i:0.5〜1.5%、C:1.5〜3.0%、および
    残部Niおよび不可避不純物よりなるNi基合金粉末:
    3〜20%、Ni粉末:3〜10%、および黒鉛粉末:
    0.5〜1.4%を配合した混合粉末を用いる、ことを
    特徴とする請求項1に記載の耐食性に優れた内燃機関の
    バルブシート用耐摩耗性焼結合金の製造方法。
  7. 【請求項7】 重量比で、W:3.5〜6.0%、V:
    2.2%以下、および残部Feおよび不可避不純物から
    なるFe基合金粉末に、 重量比で、Cr:25〜35%、Mo:7〜11%、S
    i:0.5〜1.5%、C:1.5〜3.0%、および
    残部Niおよび不可避不純物よりなるNi基合金粉末:
    3〜20%、Ni粉末:3〜10%、および黒鉛粉末:
    0.5〜1.4%を配合した混合粉末を用いる、ことを
    特徴とする請求項2に記載の耐食性に優れた内燃機関の
    バルブシート用耐摩耗性焼結合金の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項もしくはに記載のFe基合金
    粉末中に、さらに、重量比で、Mn:0.815%以
    下、S:0.468%以下を含むFe基合金粉末を用い
    る、請求項に記載の耐食性に優れた内燃機関のバルブ
    シート用耐摩耗性焼結合金の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項もしくは7に記載の混合粉末
    に、重量比で、1.2%以下のMnS粉末をさらに添加
    する、請求項に記載の耐食性に優れた内燃機関のバル
    ブシート用耐摩耗性焼結合金の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項の何れかに記載の混合粉
    末を用いて成形し、焼結した焼結体の気孔中に、アクリ
    ル樹脂、鉛または鉛合金、銅または銅合金の何れかを含
    浸もしくは溶浸する、請求項に記載の耐食性に優れた
    内燃機関のバルブシート用耐摩耗性焼結合金の製造方
    法。
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