JP3852574B2 - 信号復調装置及び信号復調方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、無線通信システムの信号復調装置及び信号復調方法に関し、特にバースト状に送信された信号を復調処理するバースト信号復調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のディジタル無線通信システム用復調器のキャリア再生手段として、例えば文献「バースト信号復調装置」(特開平3−165152,発明者:吉田)に記載されているような、“0π”変調信号を用いた復調方式が提案されている。
【0003】
従来のバースト信号復調装置の動作を図11に従って説明する。図11は、上記従来のバースト信号復調装置の構成図である。
まずバースト信号復調装置は、無線周波数帯のバースト信号をアンテナ1で受信する。当該受信信号は、図12に示すバーストフォーマットで構成され、キャリア信号再生用のプリアンブルとして設けられた“0π”変調信号と、所定の方式で変調処理された有意データとからなる。
ここで“0π”変調信号とは、1シンボル毎に±π[rad]の位相遷移を繰り返す信号であり、例えばQPSK変調方式の場合では“1100”パターンや、“1001”パターン等が該当する。
【0004】
周波数変換手段2は、周波数変換ローカル用発振器21によって生成される所定周波数のローカル信号を用いて無線周波数帯の受信信号を準同期検波処理し、無線周波数帯からベースバンド帯に周波数変換する。
ここで一般に、ローカル信号の周波数と受信信号の中心周波数は完全には一致していないためキャリア周波数偏差が生じ、ベースバンド帯に変換された受信信号のキャリア位相が変動する。
【0005】
キャリア周波数偏差Δf=0[Hz]の場合には、上記“0π”変調信号は、図13に示すように信号点Aと信号点Bとを1シンボル周期で交互に遷移する。ただし、図13においてキャリア位相θ(t)=θとする。
これに対し、前記の通りオーバサンプルデータ系列にキャリア周波数偏差が含まれている場合は、キャリア位相θ(t)は、下記式1で表されるとおり時間tと共に変動する。
θ(t)=2π(Δf/Rs)(t/T)+θ ・・・式1
但し、θは初期のキャリア位相、Rsはシンボルレート[baud]、Tをシンボル周期[sec]である。
式1より、1シンボル周期T当りのキャリア位相θ(t)の変化量は、2π(Δf/Rs)[rad/symbol]となる。
【0006】
A/D変換器3_1、3_2は、ベースバンド帯の受信信号の同相成分と直交成分とを、それぞれ別個に予め定められたサンプリング速度で標本化し、オーバサンプルデータ系列に変換する。当該A/D変換器3_1、3_2のサンプリング速度はシンボルレートのN倍に設定される。
【0007】
バースト検出手段7は、A/D変換器3_1、3_2から出力されるオーバサンプルデータ系列を常時監視し、前記バーストフォーマットを有する受信信号の到来を検出すると、バースト検出タイミング信号を出力する。また、該バースト検出タイミングから予め定められた前記”0π”変調信号のシンボル時間長を計測し、該”0π”変調信号の受信完了タイミングを示す、プリアンプル受信完了タイミング信号を生成して出力する。
【0008】
オーバサンプルデータ系列は、ナイキスト点データ抽出手段5のシンボルクロック再生手段50に入力される。該シンボルクロック再生手段50は、オーバサンプルデータ系列に基づいて受信信号中の“0π”変調信号の包絡線信号(エンベロープ)を検出し、当該包括線信号を、シンボル周波数成分を抽出するために生成された所定周波数の複素ローカル信号と乗算処理した後に、ローパスフィルタにより前記乗算結果から高周波成分を除去し両信号の相関値を算出する。さらに、当該相関値の逆正接を算出し、該相関値の示す位相角に基づいて再生シンボルクロック信号を生成する。
【0009】
第1の遅延手段51は、シンボルクロック再生手段50による再生シンボルクロック信号の生成処理に要する所定時間だけ、前記オーバサンプルデータ系列に遅延を付加する。サンプラ52は、前記再生シンボルクロック信号に基づいて、第1の遅延手段51から出力された遅延付加後のオーバサンプルデータ系列からナイキスト点に最も近接するデータを抽出し、ナイキスト点データ系列として出力する。
ここで、第1の遅延手段51は“0π”変調信号を含むバーストフォーマット全体を遅延させるため、サンプラ52から出力されるナイキスト点データ系列にも“0π”変調信号に対応するナイキスト点データが含まれる。
【0010】
次にキャリア再生手段100は、サンプラ52から出力された“0π”変調信号のナイキスト点データに基づいて、受信信号のキャリア周波数及び位相を所望の精度で推定し、これに基づいて再生キャリア信号を生成する。
【0011】
以下で、当該キャリア再生手段100の再生キャリア信号生成処理について構成図14に従って説明する。
2分周器72は、前記再生シンボルクロック信号を入力して2分周処理して、−1と+1とを交互に繰返す逆変調用ローカル信号を生成する。逆変調手段71は、“0π”変調信号を含むナイキスト点データ系列の同相成分(I)及び直交成分(Q)各々に対し前記逆変調用ローカル信号を乗算して、ナイキスト点データ系列を逆変調処理する。
【0012】
ここで、前述の図13に示した通り、キャリア周波数偏差Δf=0[Hz]の“0π”変調信号が逆変調手段71に入力された場合、逆変調手段71から出力される逆変調信号は、信号点A若しくは信号点Bのいずれか一方が連続する信号となる。
しかし、前記受信信号にキャリア周波数偏差が付加されている場合には、逆変調手段71から出力される逆変調信号は、信号点A若しくは信号点Bのいずれか一点に留まることはなく、各ナイキスト点データ毎に原点を中心に回転していく。
【0013】
次に周波数変換手段73は、前記逆変調信号をフーリエ変換処理して周波数軸上のスペクトルを得る。実際にはフーリエ変換処理をハードウェアで実現することは困難であるため、予め定められた複数の特定周波数について離散フーリエ変換処理(以下DFT)を行うことでスペクトルを得る方法が広く適用されている。
特定周波数をf〜fの全n個とした場合、周波数変換手段73は、第1〜第nのDFT手段73_1〜73_nで構成される。
【0014】
DFT手段73_1において複素ローカル信号生成手段76は、当該第1のDFT手段73_1に割当てられた特定周波数f[Hz]の複素ローカル信号ck=exp(j2πfTi)(但し、Tはシンボル周期[sec]、i=0、1、2...)を生成する。
【0015】
複素ローカル信号生成手段76の動作について構成図X14に従って説明する。
まず、特定周波数f[Hz]より、複素ローカル信号ckの1シンボル毎の回転位相角(即ち、瞬時角周波数)Fは下記式2で与えられる。
=2π(f/R)[rad/symbol] ・・・式2
ただし、Rは受信信号のシンボルレート[baud]である。
複素ローカル信号生成手段76は、当該複素ローカル信号ckの1シンボル毎の回転位相角Fを「初期角周波数データ」として予め記憶している。
【0016】
加算器110は、初期角周波数データFと、後に詳細説明するキャリア補正データΔCを加算し、その結果を「合成角周波数データ」(=F+ΔC)として出力する。
積分手段85は、合成角周波数データを1シンボル周期Tに亘って積分処理し、その積分結果をモジュロ360[deg]で出力する。
なお、キャリア再生手段100が、”0π”変調信号に基づいて再生キャリア信号の生成処理を行っている状態では、キャリア補正データΔCは後述の通りゼロ固定となるため、積分手段85は初期角周波数データFのみを積分処理する。
【0017】
次にCOS・SIN変換手段87は、前記合成角周波数データの積分結果に基づき正弦値及び余弦値を算出した後、当該正弦値及び余弦値に基づいて複素ローカル信号ck=exp(j2πfTi)を生成する。
【0018】
複素乗算手段75は、前記逆変調手段71から出力された逆変調信号と、前記複素ローカル信号ckとを複素乗算処理する。平均化手段77は、複素乗算手段75から出力された複素乗算結果を、プリアンブルである“0π”変調信号に相当するシンボル時間だけ平均化処理し特定周波数fに関する相関値Γとして出力する。
【0019】
以上、特定周波数fが割当てられたDFT手段73_1による相関値Γの算出処理について説明したが、他のDFT手段73_2〜73_nも、これと同様に各特定周波数f〜fに関する相関値Γ〜Γをそれぞれ算出する。
【0020】
最大相関値検出手段78は、各相関値Γ〜Γそれぞれについて、下記式3(若しくは式4)に基づき、各相関値Γ〜Γの評価値V〜Vを算出する。
=|Γ ・・・式3
=|Γ| ・・・式4
但し、l=1,2,・・・,nである。
最大相関値検出手段78は、各相関値の評価値V〜Vから最大値max(V)を検出し、該最大値max(V)を特定する最大値検出情報k(∈{1,2,・・・,n})と、対応する相関値Γとを出力する。
【0021】
ここで、最大値検出情報kに対応したDFT手段から出力される複素ローカル信号ckに対応する特定周波数fが、上記受信信号に付加されたキャリア周波数偏差に最も近い周波数成分となる。そこでローカル信号選択手段79は、n個の複素ローカル信号ck〜ckから、最大値検出情報kに対応する複素ローカル信号ckを選択して出力する。
【0022】
次に移相手段105は、前記選択された複素ローカル信号ckと相関値Γとを複素乗算処理することにより複素ローカル信号ckを移相処理して、キャリア周波数偏差を除去し、再生同相キャリア成分及び再生直交キャリア成分からなる再生キャリア信号を生成する。
【0023】
一方、前記ナイキスト点データ系列は、第2の遅延手段11によって前記再生キャリア信号を生成に必要な所定時間の遅延が付加されて、周波数偏差・位相誤差補正手段12に対して出力される。周波数偏差・位相誤差補正手段12は、前記キャリア再生手段100から出力された再生キャリア信号と、前記第2の遅延手段11によって遅延が付加されたナイキスト点データ系列とを複素乗算処理することによりキャリア位相を補正し、ナイキスト点データ系列に含まれたキャリア周波数偏差を補償する。
【0024】
このように、第2の遅延手段11により再生キャリア信号生成に要する時間だけナイキスト点データ系列に遅延を付加しているため、周波数偏差・位相誤差補正手段12の出力には、キャリア周波数偏差が補償された“0π”変調信号のナイキスト点データが含まれる。
【0025】
バーストフォーマット内の“0π”変調信号に基づいて、再生キャリア信号が安定的に生成開始されると、当該キャリア再生手段100は新たなナイキスト点データに基づく相関値の算出処理等は行わず、既に算出済の複素ローカル信号ck及び相関値Γに基づいて再生キャリア信号の生成を継続する。
なお以下では、キャリア再生手段100が“0π”変調信号に基づき複素ローカル信号ck及び相関値Γを算出し、再生キャリア信号を生成するまでの動作状態を「初期キャリア状態」と呼び、一方、キャリア再生手段100が既に算出済の複素ローカル信号ck及び相関値Γに基づいて再生キャリア信号の生成を継続している状態を「キャリアホールド状態」と呼ぶ。
【0026】
キャリアホールド状態において、周波数偏差・移送誤差補正手段12から出力されたナイキスト点データ系列は、再生キャリア信号に基づいてキャリア周波数偏差が補正されるが、実際には前記図12に示すユーザデータ受信中に受信信号の周波数変動が生じ、キャリア周波数偏差が変動する場合がある。このような場合に”0π”変調信号に基づき生成された再生キャリア信号を固定的に用いてキャリア周波数偏差の補正を行うと、ユーザデータの復調処理が正常に行われずビット誤り特性が劣化する。
【0027】
そこで、キャリア追従手段13は、再生キャリア信号生成後ユーザデータ受信中(即ち、キャリアホールド状態)において、キャリア周波数偏差の変動を観測して、当該変動量を補正するよう再生キャリア信号の周波数を制御する。
なお、以下ではキャリア周波数偏差の変動により、前記キャリア再生手段100及び周波数偏差・移送誤差補正手段12によって除去されなかったキャリア周波数偏差若しくはキャリア位相誤差を、以下では「キャリア残留周波数偏差」と呼ぶ。
【0028】
キャリア追従手段13は、例えばコスタスループ等の2次PLLによって構成される。キャリアホールド状態において、キャリア追従手段13は、周波数偏差・移送誤差補正手段12から出力されたキャリア周波数偏差補正後のナイキスト点データ系列に基づいて、キャリア残留周波数偏差を検出し、当該キャリア残留周波数偏差を除去するために適切な位相補正量であるキャリア補正データΔC(i=1,2,3...)を算出して、前記キャリア再生手段100に出力する。
キャリア再生手段100において、最大値検出情報kによって特定されたDFT手段73_kの複素ローカル信号生成手段76は、前記キャリア補正データΔCに従い追従補正後の合成角周波数データ(F+ΔC)に基づいて複素ローカル信号ckを生成する。
【0029】
なお、キャリア再生手段100が再生キャリア信号の生成を行う初期キャリア状態では、キャリア追従手段13はキャリア残留周波数偏差の検出処理を行わず、上記キャリア補正データΔCはゼロ固定とされる。
【0030】
データ判定手段14は、前記周波数偏差・位相誤差補正手段12から出力されたキャリア周波数偏差及びキャリア位相誤差補正後のナイキスト点データ系列を、所定の復調方式に基づいて判定処理し{0,1}の復調データ系列を出力する。例えば、QPSK変調方式の場合には各ナイキスト点データの正負で判定処理し、また16QAM変調方式の場合には、ナイキスト点データの同相成分及び直交成分をそれぞれ所定の3つのしきい値と比較判定処理する。
【0031】
以上の通り従来のバースト信号復調装置では、初期キャリア状態においてキャリア再生手段100が”0π”変調信号に基づいて再生キャリア信号の生成を行い、キャリアホールド状態においてキャリア追従手段13がキャリア残留周波数偏差を検出して前記再生キャリア信号の周波数を補正することにより、受信信号のキャリア周波数変動を除去する。従って、ベースバンド帯の受信信号にキャリア周波数偏差が含まれている場合であっても、周波数偏差・位相誤差補正手段12によってキャリア周波数偏差が補正されて、復調データ系列のビット誤り率特性が改善される。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のバースト信号復調装置では、キャリア再生手段100のキャリア周波数偏差推定精度の制約により、初期キャリア状態からキャリアホールド状態への遷移時にキャリア残留周波数偏差が大きくなることが予想される場合には、キャリア追従手段13の2次PLLの周波数帯域幅を予め広く設定し周波数検出特性を高める必要がある。しかし2次PLLの周波数帯域幅を広くすると、受信信号のCN比が劣化した場合には、キャリアスリップが頻繁に発生し、復調データ系列のビット誤り率特性がかえって劣化してしまうといった課題があった。
【0033】
これに対し、キャリア再生手段100のキャリア周波数偏差推定精度を向上させることによりキャリア残留周波数偏差をできるだけ小さく抑圧する方法が考えられる。しかし、キャリア再生手段100のキャリア周波数偏差推定精度を向上させるためには、周波数変換手段73を構成するDFT手段の数nを増やす必要がある。
例えば、周波数変換処理後の受信信号に生じるキャリア周波数偏差の範囲が±Δf[Hz]、要求されるキャリア周波数偏差推定精度をfSTEP[Hz]とすると、必要となるDFT手段の数nの数は最低で2Δf/fSTEPとなるが、キャリア周波数偏差推定精度の向上のためfSTEP[Hz]を小さくすると、DFT手段の数nが増大し回路規模が大きくなるといった課題があった。
【0034】
一方、例えば「M相PSKのための多重開ループ型AFC」(久保、村上、藤野、電子情報通信学会技術報告、SAT95-92、1996/02)に記載された遅延型検波型のキャリア再生手段によれば、複数のDFT手段を用いたキャリア再生手段と比較して回路規模が削減され、オーバーサンプリングによってキャリア周波数偏差の推定特性がサンプリングタイミングによる影響を受けないという利点を有するが、前記DFT手段を用いたキャリア再生手段と比較して、キャリア周波数偏差の推定精度が劣るという課題があった。
【0035】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、十分なキャリア周波数推定精度を実現しつつキャリア再生手段の回路規模を削減し、復調データ系列のビット誤り率特性の優れた信号復調装置及び信号復調方法を得ることを目的とする。
【0036】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る信号復調装置にあっては、キャリア再生用の所定信号パターンを含む受信信号のオーバサンプリングデータ系列に基づいて、所定の方法により前記受信信号のキャリア周波数偏差を推定するキャリア周波数偏差検出手段と、前記オーバサンプリングデータ系列からナイキスト点近傍のデータのみを抽出してナイキスト点データ系列を生成するナイキスト点データ抽出手段と、ナイキスト点データ系列を逆変調して得られた前記キャリア再生用信号パターンの逆変調信号を、前記推定周波数キャリアを中心とする所定の観測周波数範囲内に配置された複数の特定周波数について離散フーリエ変換処理して各特定周波数における相関値を算出し、複数の相関値に基づいて再生キャリア信号を生成する再生キャリア信号生成手段と、前記再生キャリア信号に基づいて、前記ナイキスト点データ系列の周波数偏差を補正し、所定の復調方式でデータ判定を行って復調データ系列を得る復調データ生成手段とを備える。
【0037】
次の発明にかかる信号復調装置にあっては、キャリア周波数偏差検出手段は、オーバサンプリングデータ系列に所定数のシンボル時間だけ遅延を付加して出力するサンプリングデータ遅延手段と、前記オーバサンプリングデータ系列に、遅延付加後のオーバサンプリングデータを複素乗算して遅延検波済データ系列を出力する複素乗算手段と、前記遅延検波済データ系列を所定時間に亘り平均化する平均化手段と、平均化処理後の遅延検波済データ系列の逆正接値を算出する逆正接手段と、前記逆正接値に基づき推定キャリア周波数偏差を算出するキャリア周波数偏差算出手段とを備える構成とされる。
【0038】
次の発明にかかる信号復調装置にあっては、再生キャリア信号生成手段は、逆変調信号を記憶する記憶手段を有し、該記憶手段に記憶された逆変調信号を、複数の特定周波数を切替えながら所定回数繰り返して離散フーリエ変換処理を行って各特定周波数における相関値を算出し、複数の相関値に基づいて再生キャリア信号を生成する構成とされる。
【0039】
次の発明にかかる信号復調装置にあっては、再生キャリア信号生成手段は、各離散フーリエ変換処理毎に、各特定周波数相互間の周波数間隔を狭めながら特定周波数を切替える構成とされる。
【0040】
次の発明にかかる信号復調装置にあっては、再生キャリア信号生成手段は、各離散フーリエ変換処理毎に、複数の相関値のうち最大の相関値を選択する最大相関値検出手段をさらに備え、初回の離散フーリエ変換処理では、キャリア周波数偏差検出手段から出力された推定キャリア周波数偏差を中心とする所定の観測周波数範囲内に複数の特定周波数を配置し、2回目以降の離散フーリエ変換処理では、前記最大相関値検出手段の選択結果に基づいて特定された特定周波数を中心とする観測周波数範囲内に各特定周波数を配置する構成とされる。
【0041】
次の発明にかかる信号復調装置にあっては、復調データ生成手段は、複数の復調方式を切替えてデータ判定することが可能な構成とされる。
【0042】
次の発明にかかる信号復調装置にあっては、周波数偏差補正後のナイキスト点データ系列に含まれたキャリア再生用信号パターンに基づいて回線品質を検出し、所定の方法により当該回線品質に応じた変復調方式を選択して、該選択結果を送信側の変調装置に通知する回線品質検出手段をさらに備える構成とされる。
【0043】
次の発明にかかる信号復調装置にあっては、復調データ系列のビット誤り率に基づいて回線品質を検出し、所定の方法により当該回線品質に応じた変復調方式を選択して、該選択結果を送信側の変調装置に通知する回線品質検出手段をさらに備える構成とされる。
【0044】
次の発明にかかる信号復調方法にあっては、キャリア再生用の所定信号パターンを含む受信信号のオーバサンプリングデータ系列に基づいて、所定の方法により前記受信信号のキャリア周波数偏差を推定するキャリア周波数偏差検出工程と、前記オーバサンプリングデータ系列からナイキスト点近傍のデータのみを抽出してナイキスト点データ系列を生成するナイキスト点データ抽出工程と、ナイキスト点データ系列を逆変調して得られた前記キャリア再生用信号パターンの逆変調信号を、前記推定周波数キャリアを中心とする所定の観測周波数範囲内に配置された複数の特定周波数について離散フーリエ変換処理して各特定周波数における相関値を算出し、複数の相関値に基づいて再生キャリア信号を生成する再生キャリア信号生成工程と、前記再生キャリア信号に基づいて、前記ナイキスト点データ系列の周波数偏差を補正し、所定の復調方式でデータ判定を行って復調データ系列を得る復調データ生成工程とを備える。
【0045】
次の発明にかかる信号復調方法にあっては、再生キャリア信号生成工程は、逆変調信号を記憶手段に記憶する記憶工程を有し、記憶手段に記憶された逆変調信号を、複数の特定周波数を切替えながら所定回数繰り返して離散フーリエ変換処理を行って各特定周波数における相関値を算出し、複数の相関値に基づいて再生キャリア信号を生成する。
【0046】
次の発明にかかる信号復調方法にあっては、再生キャリア信号生成工程は、各離散フーリエ変換処理毎に、各特定周波数相互間の周波数間隔を狭めながら特定周波数を切替える。
【0047】
次の発明にかかる信号復調方法にあっては、再生キャリア信号生成工程は、各離散フーリエ変換処理毎に、複数の相関値のうち最大の相関値を選択する最大相関値検出工程をさらに備え、初回の離散フーリエ変換処理では、キャリア周波数偏差検出工程で得られた推定キャリア周波数偏差を中心とする所定の観測周波数範囲内に複数の特定周波数を配置し、2回目以降の離散フーリエ変換処理では、前記最大相関値検出工程の選択結果に基づいて特定された特定周波数を中心とする観測周波数範囲内に各特定周波数を配置する。
【0048】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本実施の形態1のバースト信号復調装置は、遅延型検波型のキャリア周波数偏差検出手段とDFT手段を用いた再生キャリア信号生成手段とを備え、両手段を互いに補完するように動作させることにより、回路規模増大を抑制しつつ、周波数精度の高い再生キャリア信号を生成し、復調データ系列のビット誤り率特性を改善する。
【0049】
図1は、本実施の形態1のバースト信号復調装置の構成図である。
図1において、1は無線信号を受信するアンテナ、2は周波数変換ローカル用発振器21から出力される所定周波数のローカル信号に基づいて無線周波数帯の受信信号を準同期検波処理しベースバンド帯に周波数変換処理する周波数変換手段、3_1及び3_2はそれぞれベースバンド帯の受信信号を標本化してオーバサンプルデータ系列に変換するA/D変換器、5は受信信号のオーバサンプルデータ系列からナイキスト点近傍のデータのみを抽出しナイキスト点データ系列として出力するナイキスト点データ抽出手段、50は受信信号中の“0π”変調信号に基づいて再生シンボルクロック信号を生成するシンボルクロック再生手段、51は前記オーバサンプルデータ系列を所定時間遅延させる第一の遅延手段、52は前記再生シンボルクロック信号に基づいて前記オーバサンプルデータ系列からナイキスト点に近接するデータを抽出するサンプラである。
【0050】
また、6は前記オーバサンプルデータ系列から再生キャリア信号を生成するキャリア生成手段、61は前記オーバサンプルデータ系列を遅延検波処理して推定キャリア周波数偏差を算出するキャリア周波数偏差検出手段、62は上記ナイキスト点データ系列をDFT処理して再生キャリア信号を生成する再生キャリア信号生成手段、11はナイキスト点データ系列に再生キャリア信号生成に要する所定時間の遅延を付加する第2の遅延手段、12はキャリア生成手段6から出力された再生キャリア信号に基づいて遅延付加されたナイキスト点データ系列からキャリア周波数偏差やキャリア位相誤差を除去する周波数偏差・位相誤差補正手段、13はナイキスト点データ系列のキャリア残留周波数偏差を検出しキャリア補正データΔCを生成するキャリア追従手段、14はキャリア周波数偏差が補正されたナイキスト点データ系列を所定の復調方式に従い判定処理し復調データ系列を出力するデータ判定手段である。
【0051】
次に、上記の通り構成される本実施の形態1のバースト信号復調装置の動作について説明する。
まずバースト信号復調装置は、所定の変調方式(例えばQPSK、16QAM等)で変調された、無線周波数帯のバースト信号をアンテナ1で受信する。当該受信信号は、前記図12に示すバーストフォーマットで構成され、キャリア信号再生用のプリアンブルとして設けられた“0π”変調信号と、所定の方式で変調処理された有意データとからなる。
【0052】
周波数変換手段2は、周波数変換ローカル用発振器21によって生成される所定周波数のローカル信号を用いて無線周波数帯の受信信号を準同期検波処理し、無線周波数帯からベースバンド帯に周波数変換する。
ここで一般に、ローカル信号の周波数と受信信号の中心周波数は完全には一致していないためキャリア周波数偏差が生じ、ベースバンド帯に変換された受信信号のキャリア位相θ(t)は、前述の式1で表されるとおり時間tと共に変動する。式1より、1シンボル周期T当りのキャリア位相θ(t)の変化量は、2π(Δf/Rs)[rad/symbol]となる。
【0053】
A/D変換器3_1及び3_2は、ベースバンド帯の受信信号の同相成分と直交成分とを、それぞれ別個に予め定められたサンプリング速度で標本化しオーバサンプルデータ系列に変換する。当該A/D変換器3_1、3_2のサンプリング速度はシンボルレートのN倍に設定される。
【0054】
バースト検出手段7は、A/D変換器3_1、3_2から出力されるオーバサンプルデータ系列を常時監視し、前記バーストフォーマットを有する受信信号の到来を検出すると、バースト検出タイミング信号を出力する。また、該バースト検出タイミングから予め定められた前記”0π”変調信号のシンボル時間長を計測し、該”0π”変調信号の受信完了タイミングを示す、プリアンプル受信完了タイミング信号を生成して出力する。
【0055】
オーバサンプルデータ系列は、ナイキスト点データ抽出手段5のシンボルクロック再生手段50に入力される。該シンボルクロック再生手段50は、オーバサンプルデータ系列に基づいて受信信号中の“0π”変調信号の包絡線信号(エンベロープ)を検出し、当該包括線信号に、シンボル周波数成分を抽出するために生成された、所定周波数の複素ローカル信号を乗算した後に、ローパスフィルタにより前記乗算結果から高周波成分を除去し両信号の相関値を算出する。さらに、当該相関値の逆正接を算出し、該相関値の示す位相角に基づいて再生シンボルクロック信号を生成する。
【0056】
第1の遅延手段51は、シンボルクロック再生手段50による再生シンボルクロック信号の生成処理に要する所定時間だけ、前記オーバサンプルデータ系列に遅延を付加する。サンプラ52は、前記再生シンボルクロック信号に基づいて、第1の遅延手段51から出力された遅延付加後のオーバサンプルデータ系列からナイキスト点に最も近接するデータを抽出し、ナイキスト点データ系列として出力する。
ここで、第1の遅延手段51は“0π”変調信号を含むバーストフォーマット全体を遅延させるため、サンプラ520から出力されるナイキスト点データ系列にも“0π”変調信号に対応するナイキスト点データが含まれる。
【0057】
次にキャリア再生手段6において、キャリア周波数偏差検出手段61は前記A/D変換器3_1及び3_2から出力されたオーバサンプルデータ系列を入力する。
図2は、キャリア周波数偏差検出手段の構成図である。図2において、65はオーバサンプルデータ系列に所定シンボル時間の遅延を付加するシフトレジスタ、66はオーバサンプルデータ系列と遅延付加後のデータとを複素乗算処理して遅延検波済データ系列を出力する複素乗算手段、67は前記遅延検波済データ系列を平均化処理する平均化手段、68は平均化処理後の遅延検波済データ系列の逆正接値を算出する逆正接手段、69は前記逆正接値に基づいて受信信号の推定キャリア周波数偏差を算出するキャリア周波数偏差算出手段である。
【0058】
まずオーバサンプルデータ系列はシフトレジスタ65に入力される。前記A/D変換器3_1、3_2のオーバーサンプル数がN[sample/symbol]、遅延検波シンボル数がLである場合、シフトレジスタ65はN×L段の構成とされ、オーバサンプルデータ系列にLシンボル時間分の遅延が付加される。複素乗算手段66は、前記オーバサンプルデータ系列と、前記Lシンボル遅延付加後のオーバサンプルデータ系列とを複素乗算処理して複素共役値を算出し、これをLシンボル遅延検波処理後の遅延検波済データ系列として出力する。当該遅延検波済データ系列は同相成分と直交成分とからなる複素信号であり、N[sample/symbol]の情報速度を有する。
【0059】
平均化手段68は、遅延検波済データ系列の同相成分及び直交成分を、それぞれ“0π”変調信号区間にわたって平均化処理することにより雑音成分を除去する。
【0060】
図3は、オーバサンプリング数N=2[sample/symbol]、遅延検波シンボル数L=1、キャリア周波数偏差Δθ=−0.2[rad/symbol]の場合における“0π”変調信号の遅延検波済データ系列を示した波形図である。図3において、横軸はシンボル周期Tを単位とした時間を表し、各ナイキスト点データは時刻i(=0,1,2,3,...)[symbol]に位置する。また、縦軸は“0π”変調信号の包絡線を「1」とした場合の正規化振幅を表す。
【0061】
図3より、“0π”変調信号の遅延検波済データ系列は、シンボル周期Tで振幅の増減を繰返す周期信号であり、かつ同相成分と直交成分の示すベクトル角は、時刻(i+0.5)[symbol]の場合を除き一定となる。従って、オーバーサンプリング数N≧2であれば、前記周波数変換手段2において生じたナイキスト点からのタイミング誤差とは無関係に、前記平均化手段67から出力される信号は一定の値となる。
図3の例では、縦の実線で示されたタイミング誤差5π/8[rad]を有する受信信号の遅延検波済データ系列(同相成分,直交成分)は、(−0.25,0.18)及び(−0.56,0.41)を交互に繰り返し、一方、縦の点線で示されたタイミング誤差π/4[rad]を有する受信信号の遅延検波済データ系列は(−0.69,0.50)及び(−0.12,0.09)を交互に繰り返す。この場合、タイミング誤差が5π/8[rad]又はπ/4[rad]のいずれであっても、遅延検波済データ系列の各信号成分(同相成分,直交成分)のLシンボル時間の平均値は(−0.48)で一定となる。
【0062】
次に逆正接手段68は、平均化手段67から出力される平均化処理後の遅延検波済データ系列の同相成分と直交成分とに基づいて逆正接値θを算出する。
【0063】
ここで、上記逆正接値θ[rad]、キャリア周波数偏差Δθ[rad/symbol]、遅延検波シンボル数Lの間には、式5a及び式5bの関係が成立する。
Δθ=(θ−π)/L (L=1,3,5・・・) ・・・式5a
Δθ=θ/L (L=2,4,6・・・) ・・・式5b
キャリア周波数偏差算出手段69は、上記式5a、5bに基づいて前記逆正接値θから推定キャリア周波数偏差Δθを算出する。
【0064】
次にキャリア補正値合成手段10は、キャリア周波数偏差検出手段61から出力される推定キャリア周波数偏差Δθと、後述するキャリア追従手段13から出力されるキャリア補正データΔCとを加算し、キャリア補正値ΔDを算出する。
なお、“0π”変調信号受信時を受信しキャリア周波数偏差検出手段61が推定キャリア周波数偏差Δθを算出するまでの「初期キャリア状態」においては、後述する通り、キャリア追従手段13は動作せずキャリア補正データΔCはゼロ固定であるため、キャリア補正値ΔDは推定キャリア周波数偏差Δθと等しくなる。
【0065】
キャリア再生手段6の動作タイミングを図4に従って説明する。図4に示すように、第1の遅延手段51において、シンボルクロック再生手段50による再生シンボルクロック信号の生成処理に要する時間(“0π”変調信号の受信時間長以下)だけ遅延付加されたオーバサンプルデータ系列は、サンプラ52によって前記再生シンボルクロック信号に基づきナイキスト点データ系列に変換される。
【0066】
バースト状の受信信号が入力され、前記バースト信号検出手段7からバースト検出タイミング信号が出力されると、ナイキスト点データ抽出手段5及びキャリア再生手段6は「初期キャリア状態」となり、シンボルクロック再生手段50が再生シンボルクロック信号生成処理を開始し、キャリア周波数偏差検出手段61は推定キャリア周波数偏差Δθの算出処理を開始する。
また”0π”変調信号の受信が完了し、バースト信号検出手段7からプリアンプル受信完了タイミング信号が出力されると、シンボルクロック再生手段50は再生シンボルクロック信号の出力を開始し、キャリア周波数偏差検出手段61も推定キャリア周波数偏差Δθを出力する。
【0067】
ここで、受信信号に付加されたキャリア周波数の変動や伝送路上で付加される誤差信号の影響により、キャリア周波数偏差検出手段61における推定キャリア周波数偏差Δθの推定精度が劣化する場合がある。したがって、推定キャリア周波数偏差Δθのみに基づいてキャリア周波数偏差の補正を行うと、キャリア残留周波数偏差が大きくなり復調データ系列のビット誤り特性が劣化する場合がある。
【0068】
そこで再生キャリア信号生成手段62は、キャリア周波数偏差検出手段61における推定キャリア周波数偏差Δθの周波数偏差推定誤差の範囲で、DFT処理を適用して実際に受信信号に付加されたキャリア周波数偏差を再度高精度に推定し、周波数精度の高い再生キャリア信号を生成する。
なお以下では、再生キャリア信号生成手段62によって推定された高精度なキャリア周波数偏差を「二次推定周波数偏差Δθ」と呼び、再生キャリア信号生成手段62によるDFT処理を適用した高精度な二次推定周波数偏差Δθの推定処理を「二次推定処理」と呼ぶ。
【0069】
再生キャリア信号生成手段62は、前述の図14と同様の構成とされ、サンプラ52から出力された“0π”変調信号のナイキスト点データに基づいて二次推定処理を行って二次推定周波数偏差Δθし、再生キャリア信号を生成処理を行う。
【0070】
まず2分周器72は、前記再生シンボルクロック信号を入力して2分周処理して、−1と+1とを交互に繰返す逆変調用ローカル信号を生成する。逆変調手段71は、“0π”変調信号を含むナイキスト点データ系列の同相成分(I)及び直交成分(Q)各々に対して前記逆変調用ローカル信号を乗算し、ナイキスト点データ系列を逆変調処理する。
【0071】
次に周波数変換手段73は、全n個のDFT手段73_1〜73_nを備え、各特定周波数f〜fについてDFT処理を行い周波数軸上のスペクトルを得る。
ここで、周波数変換手段73のDFT手段の個数n及び特定周波数f〜fは、前記キャリア周波数偏差検出手段61の推定キャリア周波数偏差Δθの推定精度に基づいて、予め決定される。
【0072】
例えば、予備的な計算機シミュレーションや実験等により、キャリア周波数偏差検出手段61の推定キャリア周波数偏差Δθの推定精度が±Δf[Hz]と算出されており、所望のビット誤り率特性を得るために必要とされる再生キャリア信号の周波数推定精度がfSTEP[Hz]である場合には、DFT手段の個数nは(2Δf/fSTEP)となる。
一般に、キャリア周波数偏差検出手段61による推定精度±Δf[Hz]は、前記周波数変換手段2において付加されるキャリア周波数偏差の周波数範囲±Δf[Hz]よりも小さくなる(|Δf|≫|Δf|)。したがって、推定キャリア周波数偏差Δθの推定精度±Δf[Hz]に基づいて決定されたDFT手段の個数n(=2Δf/fSTEP)は、キャリア周波数偏差の周波数範囲±Δf[Hz]全域についてDFT処理を行う場合(n=2Δf/fSTEP)と比べてはるかに少ない個数で足りる。
具体的に、キャリア周波数偏差の周波数範囲±Δf=±150k[Hz]、推定キャリア周波数偏差Δθの推定精度±Δf=±25k[Hz]、所望の再生キャリア信号の周波数推定精度fSTEP=5k[Hz]である場合には、キャリア周波数偏差の周波数範囲±Δf[Hz]全域についてDFT処理を行う前記従来のキャリア再生手段100ではn=60となるのに対し、本実施の形態1の再生キャリア信号生成手段62ではn=10となる。
【0073】
図6は各DFT手段73_1〜73_nの複素ローカル信号生成手段76の構成図である。図6において、70は前記キャリア補正値合成手段10から出力されたキャリア補正値ΔDに従い各特定周波数f〜fを周波数シフト処理し、複素ローカル信号ck〜ckの1シンボル毎の回転位相角である角周波数データF〜Fを算出する周波数シフト手段、85は各周波数データF〜Fを所定時間積分処理する積分手段、87は積分結果から正弦値及び余弦値を算出して、複素ローカル信号ck〜ckを生成するCOS・SIN変換手段である。
【0074】
各周波数シフト手段70には、二次推定処理の中心周波数を0[Hz]とした場合の特定周波数の初期値f01〜f0nが予めそれぞれに割当てられ保存されている。
【0075】
前記キャリア補正値合成手段10からキャリア補正値ΔDが出力されると、周波数シフト手段70は、キャリア補正値ΔDに基づいて下記式6に従い特定周波数f(添え字mはDFT手段を特定する符号、m=1,2,・・・,n)の周波数シフト量ΔFを算出する。
ΔF=ΔD/2π×f ・・・式6
但し、fはシンボル周波数である。
各周波数シフト手段70は、それぞれに前記特定周波数の初期値f0mに周波数シフト量ΔFを加算し、実際にDFT処理を行う特定周波数fを決定する。
【0076】
図5は周波数シフト手段70における特定周波数f〜fの配置例を示した説明図である。図5においてDFT手段の個数nは5である。
図5(a)は、各周波数シフト手段70にキャリア補正値ΔDが入力される前の特定周波数の初期値f01〜f05の配置を示している。この時、推定範囲±Δfの中心に位置する周波数f03は0[Hz]に配置される。
図5(b)は、各周波数シフト手段70にキャリア補正値ΔDが入力された後の特各特定周波数f〜fを示している。各特定周波数f〜fは、前述の式6に従い算出された周波数シフト量ΔF[Hz]だけ周波数シフト処理され、推定範囲±Δfの中心に配置された特定周波数fはf03=0[Hz]からΔF[Hz]にシフトする。
【0077】
各周波数シフト手段70は、前記の通り周波数シフト処理された特定周波数fに基づいて、当該複素ローカル信号生成手段76で生成される複素ローカル信号ckの1シンボル毎の回転位相角である角周波数データFを上述の式2に従い算出する。
【0078】
各周波数シフト手段70は、前記キャリア補正値合成手段10に入力される推定キャリア周波数偏差Δθ及びキャリア補正データΔCが変動し、キャリア補正値ΔDが更新される毎に、特定周波数fの周波数シフト処理及び角周波数データFの算出処理をおこなって、当該複素ローカル信号生成手段76で生成される複素ローカル信号ckの周波数を調整する。
【0079】
次に積分手段85は、角周波数データFを1シンボル周期Tに亘って積分処理し、その積分結果をモジュロ360[deg]で出力する。COS・SIN変換手段87は、角周波数データFの積分結果に基づき正弦値及び余弦値を算出した後、当該正弦値及び余弦値に基づいて複素ローカル信号ck=exp(j2πfTi)を生成する。
【0080】
複素乗算手段75は、前記逆変調手段71から出力された逆変調信号と、前記複素ローカル信号ckとを複素乗算する。平均化手段77は、複素乗算手段75から出力された複素乗算結果を、プリアンブルである“0π”変調信号の長さに相当するシンボル時間だけ平均化処理し、前記逆変調信号の特定周波数fに関する相関値Γとして出力する。
【0081】
最大相関値検出手段78は、各相関値Γ〜Γそれぞれについて、上述の式3(若しくは式4)に基づき、各相関値Γ〜Γの評価値V〜Vを算出し、各相関値の評価値V〜Vから最大値max(V)を検出して、該最大値max(V)を特定する最大値検出情報k(∈{1,2,・・・、n})と、対応する相関値Γとを出力する。
ここで、最大値検出情報kに対応したDFT手段から出力される複素ローカル信号ckに対応する特定周波数fが、上記受信信号に実際に付加されたキャリア周波数偏差に最も近接する二次推定周波数偏差Δθに対応する周波数成分となる。
【0082】
ローカル信号選択手段79は、n個の複素ローカル信号ck〜ckから、最大値検出情報kに対応する複素ローカル信号ckを選択して出力する。
【0083】
次に移相手段105は、前記選択された複素ローカル信号ckと相関値Γとを複素乗算処理することにより複素ローカル信号ckを移相処理して、キャリア周波数偏差を除去し、再生同相キャリア成分及び再生直交キャリア成分からなる再生キャリア信号を生成する。
【0084】
一方、サンプラ52から出力されたナイキスト点データ系列は第2の遅延手段11によって予め定められた所定時間だけ遅延を付加される。
前述の図4では、第2の遅延手段11において、ナイキスト点データ系列に“0π”変調信号の受信時間の1/2の長さの遅延が付加された場合について示している。キャリア再生手段6はナイキスト点データ系列に含まれた“0π”変調信号に基づいて再生キャリア信号の生成を行うため、図中のA時点より再生キャリア信号が出力される。
【0085】
周波数偏差・位相誤差補正手段12は、再生キャリア信号と、前記第2の遅延手段11によって遅延が付加されたナイキスト点データ系列とを複素乗算処理することによりキャリア位相を補正し、ナイキスト点データ系列に含まれたキャリア周波数偏差を補償する。
ここでナイキスト点データ系列には、“0π”変調信号の受信時間の1/2の長さの遅延が付加されているため、A時点以降に周波数偏差・位相誤差補正手段12に入力される“0π”変調信号区間の1/2以降とユーザデータ領域がキャリア周波数偏差及び位相誤差の補正処理の対象とされる。
【0086】
キャリアホールド状態において、周波数偏差・移送誤差補正手段12から出力されたナイキスト点データ系列は、再生キャリア信号に基づいてキャリア周波数偏差の補正処理が行われるが、実際にはユーザデータ受信中にも受信信号の周波数変動が生じ、キャリア周波数偏差が変動するため、キャリア周波数偏差補正処理後のナイキスト点データ系列にキャリア残留周波数偏差が含まれる場合がある。そこで、キャリア追従手段13は、キャリアホールド状態においてキャリア残留周波数偏差を検出し、該キャリア残留周波数偏差を除去するために再生キャリア信号の周波数を調整する。
【0087】
キャリア追従手段13は、前記従来のバースト信号復調装置と同様に、例えばコスタスループ等の2次PLLによって構成される。キャリア追従手段13は、キャリアホールド状態において、周波数偏差・移送誤差補正手段12から出力されたキャリア周波数偏差補正後のナイキスト点データ系列に基づいてキャリア残留周波数偏差を検出し、当該キャリア残留周波数偏差を除去するために適切な位相補正量であるキャリア補正データΔC(i=1,2,3...)を算出して、前記キャリア補正値合成手段10に出力する。
【0088】
キャリア補正値合成手段10は、キャリア補正データΔCと前記キャリア周波数偏差検出手段61から出力される推定キャリア周波数偏差Δθとを加算し、キャリア補正値ΔDを更新する。キャリア位相検出手段最大値検出情報kによって特定されたDFT手段73_kの複素ローカル信号生成手段76は、キャリア補正値ΔDに従い複素ローカル信号ckの特定周波数fを調整して、再生キャリア信号のキャリア残留周波数偏差を補正する。
【0089】
なお、キャリア再生手段6が基づいて再生キャリア信号の生成を行う初期キャリア状態では、キャリア追従手段13はキャリア残留周波数偏差の検出処理を行わず、上記キャリア補正データΔCはゼロ固定とされる。
【0090】
次にデータ判定手段14は、前記周波数偏差・位相誤差補正手段12から出力されたキャリア周波数偏差補正処理後のナイキスト点データ系列を、所定の復調方式に基づいて判定処理し、{0,1}の復調データ系列を出力する。
【0091】
以上の通り、本実施の形態1のバースト信号復調装置は、遅延検波型のキャリア周波数偏差検出手段61と複数のDFT手段を有する再生キャリア信号生成手段62とを備える構成とされ、再生キャリア信号生成手段62は、キャリア周波数偏差検出手段61から出力された周波数シフト量ΔFを中心とする推定キャリア周波数偏差Δθの周波数推定精度±Δfの範囲内に配置された複数の特定周波数f〜fについてDFT処理を行い、キャリア周波数偏差を高精度に二次推定して再生キャリア信号を生成する。従って、従来のバースト信号復調装置におけるキャリア再生手段と比較して、キャリア周波数偏差の推定に要するDFT手段の個数nを大幅に削減することができ、小さな回路規模で周波数精度の高い再生キャリア信号を生成することができる。
【0092】
また、キャリア周波数偏差検出手段61は、”0π”変調信号のオーバサンプリングデータに基づいて推定キャリア周波数偏差Δθを算出するため、ナイキスト点データ抽出手段5によるナイキスト点データ系列の抽出処理とキャリア周波数偏差検出手段61による推定キャリア周波数偏差Δθの演算処理とを並行処理することが可能であり、第2の遅延手段は前記従来のバースト信号復調装置と同様に、キャリア再生手段6が再生キャリア信号の生成に要する時間だけナイキスト点データ系列を遅延させればよく、キャリア周波数偏差検出手段61を追加したことによる遅延時間の増加は生じない。
【0093】
実施の形態2.
実施の形態1において、再生キャリア信号生成手段は、キャリア周波数偏差検出手段によって演算された推定キャリア周波数偏差Δθに基づいて決定された周波数シフト量ΔFを中心として、推定キャリア周波数偏差Δθの推定精度±Δfの範囲内に配置された複数の特定周波数f〜fについてDFT処理を行い、キャリア周波数偏差を高精度に二次推定して再生キャリア信号を生成したが、本実施の形態2の再生キャリア信号生成手段は予め定められた個数のDFT手段を備え、各特定周波数を切替えながら“0π”変調信号のナイキスト点データを複数回繰返してDFT処理し、キャリア周波数偏差を高精度に二次推定して再生キャリア信号を生成する。
【0094】
なお、本実施の形態2のバースト信号復調装置は、前記実施の形態1とは再生キャリア信号生成手段の構成及び動作が異なるものでありその他の構成は同様であるため、以下では再生キャリア信号生成手段の動作について説明し、同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0095】
図7は、本実施の形態2の再生キャリア信号生成手段62の構成図である。図7において、74は逆変調手段71から出力された逆変調信号を記憶するRAM、80は複数回のDFT処理の結果に基づき再生キャリア信号の周波数補正データを算出する逆正接手段、81は各DFT処理における特定周波数を決定する周波数設定手段である。
実施の形態1において再生キャリア信号生成手段62のDFT手段の個数nは、推定キャリア周波数偏差Δθの推定精度±Δf、及び所望の再生キャリア信号の周波数推定精度fSTEPに基づいて予め決定されたが、本実施の形態2の再生キャリア信号生成手段62では、回路規模の制約等に基づいて予め定められたn’個のDFT手段を備えるものとし、該個数n’は推定キャリア周波数偏差Δθの推定精度±Δf等とは直接関係なく決定される。
【0096】
上記の通り構成される、本実施の形態2の再生キャリア信号生成手段62の動作について説明する。
キャリア周波数偏差検出手段61により”0π”変調信号のオーバサンプリングデータに基づいて推定キャリア周波数偏差Δθが算出され、キャリア補正値合成手段10からキャリア補正値ΔDが出力されると、再生キャリア信号生成手段62は1回目のDFT処理を開始する。
【0097】
第mのDFT手段の複素ローカル信号生成手段76において、周波数シフト手段70は、キャリア補正値ΔDに基づいて前記式6に従い周波数シフト量ΔFを算出し、当該DFT手段に割当てられた第1回目の特定周波数f(1,m)(但し、カッコ内の第一パラメータ”1”はDFT処理の回数、第2パラメータ”m”はDFT手段を特定する変数を表す)下記式7に従って算出する。
f(1,m)=ΔF+(m−0.5n’+0.5)・fS_1 ・・・式7
但し、m=1,2,・・・,n’であり、fS_1は第1回目のDFT処理における特定周波数の周波数間隔を表わす。第1回目の周波数間隔fS_1は、前記キャリア周波数偏差検出手段61における推定キャリア周波数偏差Δθの推定精度±Δf[Hz]と、DFT手段の個数n’に基づいて予め決定され、一般に所望の再生キャリア信号の周波数推定精度fSTEPより大きくなる。
【0098】
また各周波数シフト手段70は、特定周波数f(1,m)に基づいて、当該複素ローカル信号生成手段76で生成される複素ローカル信号ckの1シンボル毎の回転位相角である角周波数データFを上述の式2に従い算出する。
【0099】
次に積分手段85は、角周波数データFを1シンボル周期Tに亘って積分処理し、その積分結果をモジュロ360[deg]で出力する。加算器86は、角周波数データFの積分結果と後述する周波数補正データPθ(第1回目のDFT処理ではPθ=0)とを加算し、COS・SIN変換手段87は、加算器86の出力信号の正弦値及び余弦値を算出した後、当該正弦値及び余弦値に基づいて周波数f(1,m)の複素ローカル信号ckを生成する。
【0100】
逆変調手段71は、“0π”変調信号を含むナイキスト点データ系列の同相成分(I)及び直交成分(Q)各々に対して前記逆変調用ローカル信号を乗算して、ナイキスト点データ系列を逆変調処理する。
RAM74は、前記バースト検出手段7から出力されたバースト検出タイミング信号に従い、逆変調手段71から出力された逆変調信号を記憶する。
【0101】
各DFT手段73_mの複素乗算手段75は、逆変調手段71から出力された逆変調信号と前記複素ローカル信号ckとを複素乗算処理する。平均化手段77は、複素乗算手段75から出力された複素乗算結果を、“0π”変調信号の時間長に亘って平均化処理し、前記逆変調信号の特定周波数f(1,m)に関する相関値Γ(1,m)として出力する。
【0102】
次に最大相関値検出手段78は、各相関値Γ(1,1)〜Γ(1,n’)それぞれについて、上述の式3(若しくは式4)に基づき、評価値V〜Vn’を算出し、各相関値の評価値V〜Vn’から最大値max(V)を検出して、該最大値max(V)を特定する最大値検出情報k(∈{1,2,・・・、n’}、添え字はDFT処理の回数を表わす)と、対応する相関値Γ(1,k)とを出力する。
【0103】
以上の通り第1回目のDFT処理が完了すると、周波数設定手段81は、最大値検出情報kに基づいて、下記式8に従い第2回目のDFT処理の特定周波数f(2,m)を算出する。
f(2,m)
=f(1,k)+(m−0.5n’+0.5)・fS_2 ・・・式8
但し、fS_2は第2回目のDFT処理における特定周波数の周波数間隔である。周波数間隔fS_2は、第1回目の周波数間隔fS_1よりも小さな値が予め定められているものとする。
【0104】
各DFT手段73_mの複素ローカル信号生成手段76は、前記特定周波数f(2,m)の複素ローカル信号ckを生成する。複素乗算手段75は、前記RAM74に記憶された逆変調信号と前記複素ローカル信号ckとを複素乗算処理する。平均化手段77は、複素乗算手段75から出力された複素乗算結果を、“0π”変調信号の時間長に亘って平均化処理し、前記逆変調信号の特定周波数f(2,m)に関する相関値Γ(2,m)を出力する。
次に最大相関値検出手段78は、各相関値Γ(2,1)〜Γ(2,n’)それぞれについて評価値V〜Vn’を算出し最大値max(V)を検出して、第2回目のDFT処理に関する最大値検出情報kと、対応する相関値Γ(2,k)とを出力する。
【0105】
以降同様に、各DFT手段73_mは、RAM74に記憶された逆変調信号に基づいて、予め定められた総回数YだけDFT処理を繰り返す。第y回目のDFT処理における特定周波数f(y,m)は、下記式9で与えられる。
f(y,m)
=f(y−1,ky−1)+(m−0.5n’+0.5)・fS_y・・・式9
但し、y=2,3,・・・,Y、またfS_yは第y回目の各DFT処理における特定周波数の周波数間隔であり、fS_y<fS_(y−1)且つfS_ Y≦fSTEPである。
即ち、全Y回のDFT処理の結果、特定周波数の周波数間隔fS_Yが所望のキャリア周波数偏差推定精度fSTEP[Hz]以下となるように、DFT処理の総回数N、及び各DFT処理に特定周波数の周波数間隔fS_yが予め定められるものとする。
【0106】
例えば、推定キャリア周波数偏差Δθの推定精度±Δf=±50k[Hz]所望のキャリア周波数偏差推定精度fSTEP=5k[Hz]、DFT手段の個数n’=5、DFT処理の繰り返し総回数Y=4とした場合、各DFT処理の特定周波数の周波数間隔fS_yを下記式10a〜dのように予め選択しておくことで上記の条件を満足する。
S_1=25k[Hz] ・・・式10a
S_2=15k[Hz] ・・・式10b
S_3=10k[Hz] ・・・式10c
S_4=5k[Hz](=fSTEP) ・・・式10d
なお、各DFT処理の特定周波数の周波数間隔fS_yは上記の組合わせに限定されるものではなく、上記周波数間隔fS_yに関する条件を満足するものであれば他の組合わせであっても良い。
【0107】
図9は、DFT手段の個数n’=5、DFT処理の繰り返し総回数Y=4とした場合の、各特定周波数f(y,m)の配置を示した説明図である。図9において横軸は周波数を表し、縦軸は各特定周波数における評価値Vの大きさをを表す。
【0108】
まず第1回目のDFT処理において、特定周波数f(1,m)は前述の式7に従って算出され、中心に配置される特定周波数f(1,3)は周波数シフト量ΔF(=推定キャリア周波数偏差Δθc)と一致する。
【0109】
第1回目のDFT処理の結果、各特定周波数の相関値の評価値Vの内、実際に受信信号に付加されたキャリア周波数偏差にもっとも近接する特定周波数f(1,4)の相関値の評価値Vが最大となる。最大相関値検出部78は、最大値検出情報k=4と対応する相関値Γ(1,4)を出力する。
【0110】
次に周波数設定手段81は、最大値検出情報k=4に対応する特定周波数f(1,4)に基づいて前記式8に従い、第2回目のDFT処理の特定周波数f(2,m)を算出し、各DFT手段73_1〜73_n’の複素ローカル信号生成手段76に対して出力する。ここで中心に配置される特定周波数f(2,3)は最大値検出情報k=4に対応する特定周波数f(1,4)と一致する。
【0111】
第2回目のDFT処理の結果、受信信号に付加されたキャリア周波数偏差にもっとも近接する特定周波数f(2,2)の相関値の評価値Vが最大となる。最大相関値検出部78は、最大値検出情報k=2と対応する相関値Γ(2,2)を出力する。
【0112】
周波数設定手段81は、最大値検出情報k=2に対応する特定周波数f(2,2)に基づいて前記式9に従い、第3回目のDFT処理の特定周波数f(3,m)を算出し、各DFT手段73_1〜73_n’の複素ローカル信号生成手段76に対して出力する。ここで中心に配置される特定周波数f(3,3)は最大値検出情報k=2に対応する特定周波数f(2,2)と一致する。
第3回目のDFT処理の結果、受信信号に付加されたキャリア周波数偏差にもっとも近接する特定周波数f(3,4)の相関値の評価値Vが最大となる。最大相関値検出部78は、最大値検出情報k=4と対応する相関値Γ(3,4)を出力する。
【0113】
周波数設定手段81は、最大値検出情報k=4に対応する特定周波数f(3,4)に基づいて前記式9に従い、第4回目のDFT処理の特定周波数f(4,m)を算出し、各DFT手段73_1〜73_n’の複素ローカル信号生成手段76に対して出力する。ここで中心に配置される特定周波数f(4,3)は最大値検出情報k=4に対応する特定周波数f(3,4)と一致する。
第4回目のDFT処理の結果、受信信号に付加されたキャリア周波数偏差にもっとも近接する特定周波数f(4,3)の相関値の評価値Vが最大となる。最大相関値検出部78は、最大値検出情報k=3と対応する相関値Γ(4,3)を出力する。
【0114】
以上4回(Y=4)のDFT処理で、特定周波数の周波数間隔fS_4が所望の所望のキャリア周波数偏差推定精度fSTEP以下となる。従って、初期キャリア再生手段62はf(4,3)を二次推定周波数偏差Δθとして特定する。
【0115】
以上の通り全Y回のDFT処理が完了すると、逆正接手段80は、最大相関値検出手段78から出力された最大値検出情報kに対応する相関値Γ(Y,k)のベクトル角を算出して周波数補正データPθとして出力する。
【0116】
各複素ローカル信号生成手段76において、加算器86は前記積分手段85から出力された角周波数データFの積分結果に周波数補正データPθを加算する。COS・SIN変換手段87は、加算器86の出力信号の正弦値及び余弦値を算出した後、当該正弦値及び余弦値に基づいて周波数f(Y,m)の複素ローカル信号ckを生成する。
ここで各複素ローカル信号ckは、キャリア補正データPθに従って位相シフト処理され位相偏差が除去される。
【0117】
ローカル信号選択手段79は、位相シフト処理されたn’個の複素ローカル信号ckの内、最大相関値検出手段78から出力されたY回目の最大値検出情報kに基づいて、特定周波数f(Y,k)の複素ローカル信号ckkYを選択し、再生キャリア信号として出力する。
【0118】
以上の通り、本実施の形態2のバースト信号復調装置において、再生キャリア信号生成手段62は、ナイキスト点データ系列を記憶するRAM74を有する所定個数n’のDFT手段73_1〜73_n’を備え、各DFT手段の特定周波数f(y,m)を切替えて、特定周波数の周波数間隔fS_yを狭めながらRAM74に記憶されたナイキスト点データ系列を複数回繰返してDFT処理し、所望の周波数推定精度fSTEPでキャリア周波数偏差を二次推定して再生キャリア信号を生成する。従って、キャリア周波数偏差の二次推定に要するDFT手段の個数n’を大幅に削減することができ、小さな回路規模で周波数精度の高い再生キャリア信号を生成することができる。
【0119】
また、逆正接手段80において最大値検出情報kに対応する相関値Γ(Y,k)に基づき周波数補正データPθを算出し、各複素ローカル信号生成手段76において周波数補正データPθに基づき複素ローカル信号ckの位相偏差を補正して、再生キャリア信号を生成するような構成としたことにより、再生キャリア信号の位相偏差を補正する移相手段を別個に備える必要がなく、再生キャリア信号生成手段62の回路規模を削減することができる。
【0120】
実施の形態3.
前記実施の形態2のバースト信号復調装置において、キャリア追従手段13はキャリア残留周波数偏差の検出及びキャリア補正データΔCの生成を行い、キャリア再生手段6はキャリア補正データΔCに従い再生キャリア信号の周波数を調整して、ナイキスト点データ系列のキャリア周波数変動を除去したが、本実施の形態3では、再生キャリア信号の周波数調整に要する処理時間だけ、ナイキスト点データ系列を遅延させる第3の遅延手段をさらに備え、再生キャリア信号の周波数調整が安定的に行われた後に、ナイキスト点データ系列のキャリア周波数偏差の補正とキャリア周波数変動の除去を行う。
なお、本実施の形態3のバースト信号復調装置は、前記実施の形態2とは、第3の遅延手段を備え、再生キャリア信号の周波数調整が安定的に行われた後に、ナイキスト点データ系列のキャリア周波数偏差の補正処理を行う点が異なるものであるため、以下では、キャリア追従手段、キャリア再生手段、周波数偏差・位相誤差補正手段及び第3の遅延手段の動作について説明し、その他同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0121】
図10は、本実施の形態3のバースト信号復調装置の構成図である。図10において、ナイキスト点データ系列に遅延を付加する第3の遅延手段ある。
【0122】
キャリア再生手段6は、上述の実施の形態2と同様に、初期キャリア状態において、”0π”変調信号のナイキスト点データ系列に基づいて再生キャリア信号を生成を開始し、キャリアホールド状態に遷移する。
キャリアホールド状態において、キャリア追従手段13は前記周波数偏差・位相誤差補正手段12から出力されたキャリア周波数偏差及びキャリア位相誤差補正後のナイキスト点データ系列を入力してキャリア残留周波数偏差を検出し、当該キャリア残留周波数偏差を除去するために適切な位相補正量であるキャリア補正データΔC(i=1,2,3...)を算出する。キャリア再生手段6はキャリア補正データΔCに従い再生キャリア信号の周波数を調整し、周波数偏差・位相誤差補正手段12によってナイキスト点データ系列のキャリア周波数偏差の変動が補正される。
【0123】
ここで、ナイキスト点データ系列のキャリア周波数が変動してから、キャリア追従手段13がキャリア残留周波数偏差を検出し、キャリア再生手段6が再生キャリア信号の周波数を調整するまで処理遅延時間(以下、キャリア追従処理遅延時間と呼ぶ)が生じるが、このキャリア追従処理遅延時間がナイキスト点データ系列のシンボル周期と比較して無視できない程の大きさである場合には、当該キャリア追従処理遅延時間の間に周波数偏差・位相誤差補正手段に入力されるナイキスト点データのキャリア周波数偏差及び位相誤差が正確に補正されず、ビット誤り率特性劣化の原因となる。
このキャリア追従処理遅延時間に起因するビット誤り率特性劣化は、キャリア残留周波数偏差の検出精度を高めるためにキャリア追従手段13の検出時定数を大きくした場合に顕著である。
【0124】
そこで、想定されるキャリア追従処理遅延時間を計算機シミュレーションや予備実験などで予め測定しておき、第3の遅延手段11において、第2の遅延手段15から出力されたナイキスト点データ系列にキャリア追従処理遅延時間だけ遅延を付加して出力する。
【0125】
周波数偏差・位相誤差補正手段12は、最初に第2の遅延手段11から出力されたナイキスト点データ系列を入力してキャリア周波数偏差の補正処理を行い、キャリア追従手段13及びキャリア再生手段6はキャリア周波数変動の補正を開始する。
【0126】
周波数偏差・位相誤差補正手段12が第2の遅延手段11から出力されたナイキスト点データ系列のキャリア周波数偏差補正処理を開始してから、前記キャリア追従処理遅延時間が経過し、第3の遅延手段15から遅延付加されたナイキスト点データ系列が出力開始されると、周波数偏差・位相誤差補正手段12は、当該第3の遅延手段15から遅延付加されたナイキスト点データ系列のキャリア周波数偏差補正処理を開始する。
キャリア追従手段13は、周波数偏差・位相誤差補正手段12からの出力に基づいてキャリア残留周波数偏差の検出及びキャリア補正データΔCの算出を継続し、キャリア再生手段6は再生キャリア信号の周波数調整を行う。
【0127】
データ判定手段14は、第3の遅延手段15によって遅延付加され、周波数偏差・位相誤差補正手段12によってキャリア周波数偏差が補正されたナイキスト点データ系列を入力し、所定の復調方式に基づいて判定処理し、{0,1}の復調データ系列を出力する。
【0128】
以上の通り、本実施の形態3では第2の遅延手段11から出力されたナイキスト点データ系列にキャリア追従処理遅延時間だけ遅延を付加する第3の遅延手段15を備え、キャリア追従手段13及びキャリア再生手段6においてキャリア残留周波数偏差の除去が安定的に行われるようになった後に、キャリア周波数偏差及び位相誤差の補正処理を行う様な構成とした。従って、ナイキスト点データ系列のキャリア周波数偏差及びキャリア残留周波数偏差を高精度に補正して、復調データ系列のビット誤り率特性を高めることができる。
【0129】
なお上記実施の形態3では、キャリア再生手段6は上記実施の形態2と同一の構成としたが、キャリア再生手段は上記実施の形態1と同一の構成であってもよい。
【0130】
また上記実施の形態では、バースト信号復調装置は予め定められた一の変調方式で変調された受信信号を入力し、データ判定手段14はキャリア周波数偏差補正後のナイキスト点データ系列を該変調方式に対応する復調方式に従って判定し復調データ系列を生成したが、予め定められた複数の変復調方式の内、何れかの方式で受信信号が変調処理されている無線通信システムにおいて、バースト信号復調装置に受信信号に基づいて当該変調方式を識別する変調方式識別手段をさらに設け、上記データ判定手段14は、変調方式識別手段の識別結果に基づいてキャリア周波数偏差補正後のナイキスト点データ系列を判定し復調データ系列を生成するような構成であってもよい。
このような無線通信システムにおいて何れの変調方式が選択された場合であっても、バーストフォーマットに”0π”変調信号がプリアンブルとして挿入されていれば上記実施の形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0131】
また、本発明のバースト信号復調装置に、キャリア周波数偏差補正後のナイキスト点データ系列と復調データ系列とに基づいて回線品質を検出する回線品質検出手段をさらに設け、検出結果をバースト信号の送信側に通知することにより、回線品質に応じて変復調方式を適応的に切替える適応変調通信を行うことも可能である。
回線品質検出手段は、前記周波数偏差・位相誤差補正手段12から出力されたキャリア周波数偏差補正後のナイキスト点データ系列を用いて受信信号のCN比を測定し、復調データ系列のビット誤り率を測定する。これらの測定結果と、予め複数の変復調方式にそれぞれ対応付けられた複数の閾値とを比較し、例えば、回線品質が良好な場合は16QAMや16QAMや等、伝送レートの高い変復調方式を選択し、回線品質が劣化している場合はQPSKやBPSK等、伝送レートの高い変復調方式を選択する。選択された変復調方式は通信回線でバースト信号を送信する復調装置側に通知され、以降、選択された変復調方式によりバースト信号の送受信が行われる。
この際、何れの変復調方式においても、前述の図12に示したバーストフォーマットに従い、”0π”変調信号をプリアンブルとしてバーストフォーマットの先頭に挿入することにより、回線品質検出手段は”0π”変調信号の受信区間のナイキスト点データ及び復調データを用いて回線品質検出を行うことができ、処理タイミングを選択された各変調方式毎に切替える必要がないため、簡易な構成で複数の方式で変調処理された受信信号に対応することができる。
【0132】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、キャリア周波数偏差検出手段において推定キャリア周波数偏差を算出するとともに、再生キャリア信号生成手段において、前記推定キャリア周波数偏差に基づき所定の観測周波数範囲内に複数の特定周波数を配置してナイキスト点データ系列の逆変調信号を離散フーリエ変換処理してキャリア周波数偏差を高精度に二次推定し、再生キャリア信号を生成する。従って、キャリア周波数偏差の推定に要する再生キャリア信号生成手段の回路規模を削減しつつ、周波数精度の高い再生キャリア信号を生成し信号復調装置の復調性能を改善することができる、といった効果を奏する。
【0133】
また、次の発明によれば、再生キャリア信号生成手段は複数の特定周波数を切替えながら前記逆変調信号を所定回数繰り返して離散フーリエ変換処理するような構成としたことにより、キャリア周波数偏差の推定に要する再生キャリア信号生成手段の回路規模を一層削減することができる、といった効果を奏する。
【0134】
また、次の発明によれば、再生キャリア信号生成手段は複数の特定周波数の周波数間隔をを狭めながら特定周波数を切替えて離散フーリエ変換処理を繰り返すような構成としたことにより、キャリア周波数偏差の推定に要する再生キャリア信号生成手段の回路規模を削減しつつ、周波数精度の高い再生キャリア信号を生成し信号復調装置の復調性能を改善することができる、といった効果を奏する。
【0135】
また、次の発明によれば、再生キャリア信号生成手段は、2回目以降の離散フーリエ変換処理において、既に算出済の各特定周波数の相関値の最大値に基づいて、当該離散フーリエ変換処理の特定周波数を決定するような構成としたことにより、キャリア周波数偏差の推定に要する再生キャリア信号生成手段の回路規模を削減しつつ、周波数精度の高い再生キャリア信号を生成し信号復調装置の復調性能を改善することができる、といった効果を奏する。
【0136】
また、次の発明によれば、データ判定手段は複数の復調方式を切替えてデータ判定することが可能な構成とされたことにより、受信信号の変復調方式が切替えられる無線通信システムでも、キャリア周波数偏差の推定に要する再生キャリア信号生成手段の回路規模を削減しつつ、周波数精度の高い再生キャリア信号を生成し信号復調装置の復調性能を改善することができる、といった効果を奏する。
【0137】
また、次の発明によれば、所定の方法により回線品質を検出し、該回線品質に応じた変復調方式を選択して、該選択結果を送信側の変調装置に通知する回線品質検出手段をさらに備える構成とされたことにより、変復調方式を回線品質に応じて変更する適応変調通信システムを実現することができ、キャリア周波数偏差の推定に要する再生キャリア信号生成手段の回路規模を削減しつつ、周波数精度の高い再生キャリア信号を生成し信号復調装置の復調性能を改善することができる、といった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1及び2のバースト信号復調装置の構成図である。
【図2】 本発明の実施の形態1のキャリア周波数偏差検出手段の構成図である。
【図3】 本発明の遅延検波済データ系列の波形図である。
【図4】 本発明の実施の形態1のバースト信号復調装置の動作タイミングを示した説明図である。
【図5】 本発明の実施の形態1における特定周波数の配置例を示した説明図である。
【図6】 本発明の実施の形態1の複素ローカル信号生成手段の構成図である。
【図7】 本発明の実施の形態2の再生キャリア信号生成手段の構成図である。
【図8】 本発明の実施の形態2の複素ローカル信号生成手段の構成図である。
【図9】 本発明の実施の形態2における特定周波数の配置例を示した説明図である。
【図10】 本発明の実施の形態3のバースト信号復調装置の構成図である。
【図11】 従来のバースト信号復調装置の構成図である。
【図12】 本発明及び従来の受信信号のバーストフォーマット例を示した説明図である。
【図13】 本発明及び従来の”0π”変調信号の位相遷移を示した説明図である。
【図14】 従来の再生キャリア信号生成手段の構成図である。
【図15】 従来の複素ローカル信号生成手段の構成図である。
【符号の説明】
1 アンテナ
2 周波数変換手段
3_1、3_2 A/D変換器
4 A/D変換用ローカル発振器
5 ナイキスト点データ抽出手段
6、100 キャリア再生手段
7 バースト検出手段
10 キャリア補正値合成手段
11 第2の遅延手段
12 周波数偏差・位相誤差補正手段
13 キャリア追従手段
14 データ判定手段
15 第3の遅延手段
21 周波数変換用ローカル発振器
50 シンボルクロック再生手段
51 第1の遅延手段
52 サンプラ
61 キャリア周波数偏差検出手段
62 再生キャリア信号生成手段
65 シフトレジスタ
66 複素乗算手段
67 平均化手段
68 逆正接手段
69 キャリア周波数偏差算出手段
70 周波数シフト手段
71 逆変調手段
71_1、71_2 乗算器
72 2分周器
73 周波数変換手段
73_1〜73_n、73_n’ DFT手段
74 RAM
75 複素乗算手段
77 平均化手段
76 複素ローカル信号生成手段
78 最大相関値検出手段
79 ローカル信号選択手段
80 逆正接手段
81 周波数設定手段
85、111 積分手段
86、110 加算器
87、112 COS・SIN変換手段
105 移相手段

Claims (12)

  1. キャリア再生用の所定信号パターンを含む受信信号のオーバサンプリングデータ系列に基づいて、所定の方法により前記受信信号のキャリア周波数偏差を推定するキャリア周波数偏差検出手段と、
    前記オーバサンプリングデータ系列からナイキスト点近傍のデータのみを抽出してナイキスト点データ系列を生成するナイキスト点データ抽出手段と、
    ナイキスト点データ系列を逆変調して得られた前記キャリア再生用信号パターンの逆変調信号を、前記推定周波数キャリアを中心とする所定の観測周波数範囲内に配置された複数の特定周波数について離散フーリエ変換処理して各特定周波数における相関値を算出し、複数の相関値に基づいて再生キャリア信号を生成する再生キャリア信号生成手段と、
    前記再生キャリア信号に基づいて、前記ナイキスト点データ系列の周波数偏差を補正し、所定の復調方式でデータ判定を行って復調データ系列を得る復調データ生成手段とを備えたことを特徴とする信号復調装置。
  2. キャリア周波数偏差検出手段は、オーバサンプリングデータ系列に所定数のシンボル時間だけ遅延を付加して出力するサンプリングデータ遅延手段と、
    前記オーバサンプリングデータ系列に、遅延付加後のオーバサンプリングデータを複素乗算して遅延検波済データ系列を出力する複素乗算手段と、
    前記遅延検波済データ系列を所定時間に亘り平均化する平均化手段と、
    平均化処理後の遅延検波済データ系列の逆正接値を算出する逆正接手段と、
    前記逆正接値に基づき推定キャリア周波数偏差を算出するキャリア周波数偏差算出手段とを備える構成とされたことを特徴とする、請求項1に記載の信号復調装置。
  3. 再生キャリア信号生成手段は、逆変調信号を記憶する記憶手段を有し、
    該記憶手段に記憶された逆変調信号を、複数の特定周波数を切替えながら所定回数繰り返して離散フーリエ変換処理を行って各特定周波数における相関値を算出し、複数の相関値に基づいて再生キャリア信号を生成する構成とされたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の信号復調装置。
  4. 再生キャリア信号生成手段は、各離散フーリエ変換処理毎に、各特定周波数相互間の周波数間隔を狭めながら特定周波数を切替える構成とされたことを特徴とする、請求項3に記載の信号復調装置。
  5. 再生キャリア信号生成手段は、各離散フーリエ変換処理毎に、複数の相関値のうち最大の相関値を選択する最大相関値検出手段をさらに備え、
    初回の離散フーリエ変換処理では、キャリア周波数偏差検出手段から出力された推定キャリア周波数偏差を中心とする所定の観測周波数範囲内に複数の特定周波数を配置し、2回目以降の離散フーリエ変換処理では、前記最大相関値検出手段の選択結果に基づいて特定された特定周波数を中心とする観測周波数範囲内に各特定周波数を配置する構成とされたことを特徴とする、請求項3又は4に記載の信号復調装置。
  6. 復調データ生成手段は、複数の復調方式を切替えてデータ判定することが可能な構成とされたことを特徴とする、請求項1ないし5の何れかに記載の信号復調装置。
  7. 周波数偏差補正後のナイキスト点データ系列に含まれたキャリア再生用信号パターンに基づいて回線品質を検出し、所定の方法により当該回線品質に応じた変復調方式を選択して、該選択結果を送信側の変調装置に通知する回線品質検出手段をさらに備える構成とされたことを特徴とする、請求項6に記載の信号復調装置。
  8. 復調データ系列のビット誤り率に基づいて回線品質を検出し、所定の方法により当該回線品質に応じた変復調方式を選択して、該選択結果を送信側の変調装置に通知する回線品質検出手段をさらに備える構成とされたことを特徴とする、請求項6に記載の信号復調装置。
  9. キャリア再生用の所定信号パターンを含む受信信号のオーバサンプリングデータ系列に基づいて、所定の方法により前記受信信号のキャリア周波数偏差を推定するキャリア周波数偏差検出工程と、
    前記オーバサンプリングデータ系列からナイキスト点近傍のデータのみを抽出してナイキスト点データ系列を生成するナイキスト点データ抽出工程と、
    ナイキスト点データ系列を逆変調して得られた前記キャリア再生用信号パターンの逆変調信号を、前記推定周波数キャリアを中心とする所定の観測周波数範囲内に配置された複数の特定周波数について離散フーリエ変換処理して各特定周波数における相関値を算出し、複数の相関値に基づいて再生キャリア信号を生成する再生キャリア信号生成工程と、
    前記再生キャリア信号に基づいて、前記ナイキスト点データ系列の周波数偏差を補正し、所定の復調方式でデータ判定を行って復調データ系列を得る復調データ生成工程とを備えたことを特徴とする信号復調方法。
  10. 再生キャリア信号生成工程は、逆変調信号を記憶手段に記憶する記憶工程を有し、
    該記憶手段に記憶された逆変調信号を、複数の特定周波数を切替えながら所定回数繰り返して離散フーリエ変換処理を行って各特定周波数における相関値を算出し、複数の相関値に基づいて再生キャリア信号を生成することを特徴とする、請求項9に記載の信号復調方法。
  11. 再生キャリア信号生成工程は、各離散フーリエ変換処理毎に、各特定周波数相互間の周波数間隔を狭めながら特定周波数を切替えることを特徴とする、請求項10に記載の信号復調方法。
  12. 再生キャリア信号生成工程は、各離散フーリエ変換処理毎に、複数の相関値のうち最大の相関値を選択する最大相関値検出工程をさらに備え、
    初回の離散フーリエ変換処理では、キャリア周波数偏差検出工程で得られた推定キャリア周波数偏差を中心とする所定の観測周波数範囲内に複数の特定周波数を配置し、2回目以降の離散フーリエ変換処理では、前記最大相関値検出工程の選択結果に基づいて特定された特定周波数を中心とする観測周波数範囲内に各特定周波数を配置することを特徴とする、請求項10又は11に記載の信号復調方法。
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