JP3852213B2 - 非線形光学シリカ材料及び非線形光学素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、SiO2−GeO2系の非線形光学シリカ材料、特にその非線形光学特性の発現が容易で、特性が良く、また信頼性に優れた非線形光学シリカ材料、及びこれを用いた光学機能素子の構成及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信の分野は、今後大きな発展が確実視されており、光制御スイッチング素子や、波長変換素子、光メモリや光センサ等の光機能素子はこの様な光通信システムにおける主要素子である。そして、これら光機能素子を製造するには非線形特性を備えた光学材料が重要となる。
【0003】
この非線形光学材料として、これまでにLiNbO3(ニオブ酸リチウム)等の結晶材料が実用化されている。
【0004】
ところがこの非線形光学材料LiNbO3は、光学素子として使用される際、接続部材となるガラス(例えば光ファイバガラス)との間で大きな物性差があり、この物性差が光学素子の損失につながるという問題があった。また、LiNbO3は、薄膜化が極めて困難なバルク型であり、このようなバルク型の光機能部品と、半導体素子とをそれぞれ別途作製した後に組み合わせる必要があり、コスト的に不利となるという問題があった。更に、バルク型の非線形光学素子は微細加工が困難であるため、高機能化が行いにくいという問題もあった。
【0005】
そこで、薄膜化可能でかつシリカガラス等との物性差の小さいシリコンガラス系の非線形材料として、新たにSiO2−GeO2ガラスの開発が推進されている。図7は、このSiO2−GeO2ガラスの立体的(3次元的)に構成される結合状態を平面的(2次元的)に示した模式図である。このようなSiO2−GeO2は、従来の材料に比べて光損失、透過波長領域、加工性、耐久性に優れており、またSiO2−GeO2材料はその薄膜化も容易と考えられており、この非線形光学材料SiO2−GeO2の薄膜化により、IC、LSI等の半導体(電気)デバイスとのハイブリッド化が期待される。ところで、周知のようにIC、LSIはSiやGaAs等の基板表面の微細加工を行いつつ、熱処理や薄膜形成を行って形成される。従って、薄膜化されたSiO2−GeO2材料を用れば、IC,LSIの作製プロセスに非線形光学材料の形成プロセスを組み込むことが可能となり、光−半導体ハイブリッド素子を形成することが可能になる。さらには、高集積光素子(光IC)への発展性も高い。また、このSiO2−GeO2は、主要な半導体材料Si、及びSiを加工する時に形成され用いられる酸化膜(SiO2)と材料組成が近く、従来の非線形光学材料に比べて半導体プロセスへの適用性に優れるという特徴を備えている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、現在提案されているこの薄膜化の可能なSiO2−GeO2膜は、まだ研究段階であって十分な非線形光学特性が得られておらず、また成分構成や、製造方法等において最適化されておらず、実用化には至っていない。そして、このSiO2−GeO2膜に非線形光学特性を発現させるには、成膜後、105V/cm程度の高電界を付与してポーリングを行う必要がある。しかし、このような高電界は、非線形光学材料膜と同じSi等の半導体基板上に形成された他の半導体素子部分(トランジスタ、コンデンサ等)がIC,LSI等と組み込みハイブリッド素子が構成される場合には、半導体素子部分の破壊、性能低下が発生する。このため、SiO2−GeO2膜に電界をかけることによる悪影響が他の半導体素子に及ばないような低い電界の印加で十分な非線形光学特性が得られることが望まれている。
【0007】
また、SiO2−GeO2膜をSi等の半導体基板上に形成した場合に、SiO2−GeO2膜中のGe等の元素が半導体基板(Si)中に拡散し、半導体基板及び半導体基板に形成したトランジスタ、コンデンサ等の素子の破壊、または性能の低下を引き起こす。更に、SiO2−GeO2薄膜を半導体基板上へ形成するときに、半導体基板表面の欠陥を増大させるという問題も指摘されている。
【0008】
本発明は、シリカガラスとの物性差の小さいSiO2−GeO2薄膜を光学材料として用いる場合に、他の素子部分に影響を与えないような弱い電界でも十分高い非線形光学特性を発現することの可能な材料の提供を目的とする。
【0009】
また、本発明の他の目的は、Si基板など、他の半導体素子等が形成された基板上にSiO2−GeO2を主成分とする非線形光学シリカ薄膜を形成する場合に、該膜の存在によって他の素子等が受ける悪影響を低減することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために成され、以下のような特徴を備える。
【0011】
本発明の非線形光学シリカ材料は、シリカ材料中に含まれるGe原子が、ダングリングボンドと、2つのGe−O結合と、1つのGe−H結合を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の態様において、SiO2−GeO2 系非線形光学シリカ材料は、シリカ材料中に含まれるGe原子が、ダングリングボンドと、2つのGe−O結合と、1つのGe−ハロゲン結合を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の他の態様では、上記シリカ材料において、前記ダングリングボンドを備えるGe原子部分が非線形性を発現することを特徴とする。
【0014】
SiO2−GeO2を主成分とする非線形光学材料において、4配位であるSi,Ge元素は、O元素を介して結合し、Si−O−Si,Si−O−Ge,Ge−O−Geの結合を形成している。これらの内、材料に非線形性を発現させる部分はGe−O結合部分において、4配位のGe元素の結合手の全てがO元素と結合せずに、一部の結合手が非結合手として残ったいわゆるダングリングボンド(不対電子)の存在する部分である(Ge・)。
【0015】
ここで、本発明の非線形光学シリカ材料は、平面的に表現すると例えば図1に示すごとき構造を備える。図1の例では、材料中にHが追加されており、結晶中にSi−H,Ge−H結合(ハロゲン元素Xが添加された場合にはSi−X,Ge−X結合)が存在している。非線形性を発現させる部分(Ge・)の結合状態は、従来材料(図7参照)では、3本のGe−O結合が存在するのに対して、本発明の材料(図1参照)においては1つのGeに対し、2本のGe−O結合と1本のGe−H(ハロゲン元素X添加の場合にはGe−X)結合が存在することとなっている。
【0016】
このように非線形光学シリカ材料中で水素やハロゲン元素が添加されていることで、非線形性を発現させる部分(Ge・)に、結晶ネットワークの結合に関与しないGe−H結合やGe−Xの結合を形成することができる。つまり、Ge・部分に結晶ネットワークに関与しない結合を有することにより、本発明では、非線形光学シリカ材料に非線形性を発現させるための極性配向(ポーリング)処理において、印加する電界を従来の非線形光学シリカ材料に比較して十分低くすることが可能となる。
【0017】
以上のような本発明の非線形光学シリカ材料を用いれば、これを半導体基板上に薄膜として形成し、光−半導体ハイブリッド素子等を作製する場合において、この極性配向のために印加される電界によって、半導体素子部分の破壊、性能低下が起こることが抑制される。このため、本発明の非線形光学シリカ材料を薄膜化して半導体素子に組み込むことで、微細化及び多機能な素子の同時形成が可能となり、光素子の機能が大幅に向上する。また、大幅なコストダウンが可能になる。
【0018】
なお、本発明において、H又はハロゲン元素Xの添加量は基本となるSiO2−GeO2結合を乱すことなく、添加の効果を十分に出現させる割合とすることが好適である。SiとGe元素の構成比率は光材料として必要な光透過率を十分確保しつつ、かつGe・による非線形効果を十分に発現させる割合である。酸素の含有量はSi−O−Si,Si−O−Ge,Ge−O−Geの結合を構成させるための含有量が望ましい。
【0019】
本発明に係る非線形光学素子においては、上述のような水素やハロゲンが材料中に含まれ、あるいは、Geと結合する酸素が水素やハロゲンと置換されている非線形光学シリカ材料が、所望の基板上に形成されており、この非線形光学シリカ材料と基板との間に、更に絶縁性薄膜が介在するように形成されていることを特徴とする。
【0020】
このような絶縁性薄膜は、非線形光学シリカ薄膜と所望の基板との間に介在することで、該シリカ薄膜を基板表面に形成する場合に生じる基板表面の欠陥の増大や、またGe元素の半導体基板への拡散を防止する機能がある。このため、半導体素子として重要なトランジスタやコンデンサ等が形成される半導体層等の破壊や性能低下を抑制することが可能になる。
【0021】
上記絶縁性薄膜は、例えば、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)等のシリコン化合物を用いることができる。また、絶縁性薄膜の厚みは0.1〜10000nm、好ましくは2〜1000nmとすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態(以下実施形態という)について説明する。
【0023】
[実施形態1]
図1は、立体的(3次元的)に構成される本実施形態1に係る非線形光学シリカ材料の結合状態を平面的(2次元的)に示した模式図である。4配位であるSi,Ge元素は、O元素を介して結合し、Si−O−Si,Si−O−Ge,Ge−O−Geの結合を形成する。部分的にはSi−Si,Si−Ge,Ge−Geの結合も存在する。非線形性を発現させる部分はGe−O結合部分において、4配位のGe元素の結合手が全てO元素と結合することなく、ダングリングボンド(不対電子)が存在する部分である。図中においてはGe・と表現している。
【0024】
本実施形態では、従来の非線形光学シリカ材料の結晶構成(図7)に比べ、Hが追加され、Si−H,Ge−H結合が存在する。非線形性を発現させる部分(Ge・)の結合状態は、従来の材料(図7参照)では3本のGe−O結合が存在するのに対して、図1に示すような本実施形態1の非線形光学シリカ材料においては2本のGe−O結合と1本のGe−H結合が存在する。
【0025】
このような結晶構造の非線形光学シリカ材料を形成した後、実際に非線形性を発現させるためには、この非線形光学材料に電界を付与し、Ge・部分の電気的な極性を同一方向(極性配向)にする。
【0026】
このポーリングに際して、本実施形態1では、非線形光学シリカ材料において非線形性を発現させる部分Ge・にネットワークの結合に関与しないGe−H等の結合が存在するため、Ge・の極性配向が容易となり、必要な電界を低くすることが可能となる。具体的には、後述するように従来のシリカ材料では105V/cm程度以上の電界強度が必要であるのに対し、本実施形態1の材料では103V/cm〜104V/cmの間の1桁近く低い電界強度でポーリングすることができる。
【0027】
構成される元素は、主に結合を構成する元素としてのSi,Oと、結合を構成しつつダングリングボンドを有するGeと、更に添加元素であるHである。その構成比は、元素数比率において、Si:15〜40%、Ge:0.01〜20%、O:20〜70%、H:1ppm〜50%である。好ましくはSi:20〜35%、Ge:2〜10%、O:35〜64%、H:2〜40%である。代表的な構成はSi:27.7%、Ge:5.6%、O:56.7%、H:10.0%である。
【0028】
Hの添加量は基本となるSiO2−GeO2結合を乱すことなく、添加の効果を十分に出現させる割合である。またSiとGe元素の構成比率は光材料として必要な光透過率を十分確保しつつ、かつGe・による非線形効果を十分に発現させる割合である。また、酸素の含有量はSi−O−Si,Si−O−Ge,Ge−O−Geの結合を構成させるための含有量が望ましく、化学量論的な構成比として、元素数比率において、(Si+Ge):{O×2+H}=1:4程度が望ましい。
【0029】
次に、本実施形態1に係る非線形光学シリカ薄膜を形成するための一例について説明する。本実施形態1の非線形光学シリカ薄膜は、例えば半導体基板上等に形成する際に、気相合成法、例えば代表的な例としてプラズマCVD法を用いることにより容易に形成することができる。
【0030】
図2は、このプラズマCVD装置を模式的に示している。図2において、原料が導入される減圧容器11内に、上下部放電電極(12u、12d)が配置されている。上部放電電極12uに、本実施形態1の非線形光学シリカ薄膜1を形成するための半導体基板3を設置し、下部放電電極12dには高周波電源13、ガス混合部14が接続される。半導体基板3は目的とする非線形光学シリカ薄膜の構造に応じて、50〜500℃に加熱できるようになっている。減圧容器11の排気口はポンプに接続され、容器11内部の空気を排気する。
【0031】
ここで密封容器11内に少なくともSiとHを含む物質又は少なくともSiとGeを含む物質を、H2、O2ガス流量を調整しつつ導入する。続いて、ガスの圧力を1〜1000Pa程度に保持し、高周波電源13から電力を印加して、一定時間プラズマを生成させ、前記ガスを一定時間分解させ、半導体基板3の表面に本実施形態1の非線形光学シリカ薄膜1を形成する。
【0032】
なお、ガス混合部14には、原料容器18より、流量調整器17とバルブ16を経由して原料ガスが供給される。原料容器18の配管は、可燃性ガス19及び支燃性ガス20を分離するように接続されている。これは、十分に減圧されたガス混合部において可燃性ガス(例えばH2やSiH4、GeH4等)、支燃性ガス(例えばO2)が初めて混合するように配管したものであり、配管内での可燃性ガスの燃焼等を防止するものである。
【0033】
このように、気相合成法(プラズマCVD法)を用いることにより、原料ガスの選択、原料ガスの混合比率、半導体基板の温度、減圧容器内の圧力等を調整することにより、図1に示すようなSi−H,Ge−H等の結合を有するSiO2−GeO2を主成分とした非線形光学シリカ薄膜1を形成することが可能となる。
【0034】
図3は、本実施形態に係る非線形光学シリカ薄膜1を半導体基板3に形成した場合の構成の一例を示している。非線形光学シリカ薄膜1は上述のようにSiO2−GeO2を主成分とし、Hが添加されている。半導体基板3には、このシリカ薄膜1の他に、配線4及び半導体層5等から構成される半導体素子(トランジスタ、コンデンサ等)が形成してある。
【0035】
上述のように、本実施形態1では、非線形光学シリカ薄膜1がGe−H結合を有するため、その部分には未結合手としてGe・が存在する。このGe・部分では電子が欠損し+電荷を帯びている。そして、この局在部分を外部電界を用いて一方向に統一、配向(ポーリング:分極)させることにより非線形性を発現させることができる。Ge・部分の配向を行うためには、非線形光学シリカ薄膜1、半導体基板3を電極に接触させて電界を付与する。
【0036】
印加した電界強度に対して、発現した非線形性強度(非線形光学定数)を測定した一例を図4に示す。なお、図4では、比較のために本実施形態1に係るHを含有した非線形光学シリカ薄膜(図1参照)と、従来の非線形光学シリカ薄膜(図7参照)の結果を示す。図4に示すように、SiO2−GeO2主成分とするシリカ薄膜内にHを含有させることにより、非線形性を発現させるための印加電界の強度が、従来(105V/cm)に比較して、図4の例では104V/cmを大きく下回っており、1桁あるいはそれ以上も大幅に減少している。また、印加電界の増加に対する非線形光学定数の増加率も、本実施形態1の薄膜の方がその傾きが急峻であり、従来の薄膜に比較して向上していることが分かる。
【0037】
この様に本実施形態1の構成によれば、Ge・を極性配向させるための印加電界を低くすることができ、印加電界強度の減少により、図3に示す半導体基板3及び半導体層5に形成された半導体素子に印加される電界強度も減少する。従って、図3に示す様な、光−半導体ハイブリッド素子を作製する場合においても、シリカ薄膜1ポーリング時に印加される電界によって半導体素子部分の破壊が起きたり性能低下が起こることを抑制することができる。
【0038】
また、図3に示すように、非線形光学材料を薄膜化し、半導体素子に組み込むことが可能になるため、微細化及び多機能な素子の同時形成が可能となり、光素子の機能が大幅に向上する。また、大幅なコストダウンが可能になる。
【0039】
(実施例1)
次に、図2に示すプラズマCVD装置を用いて本実施形態1に係る非線形光学シリカ薄膜を形成する具体的な例を示す。
【0040】
まず、減圧容器11内に設置される上部側の電極12uに、既に所定の半導体層を形成した半導体基板3を設置する。なお、通常、上部の電極12uはアースに接続(接地)され、下部の電極12dは高周波電源13に接続されている。
【0041】
続いて密封容器11をポンプ15を用いて10-3〜10-4Pa程度まで減圧排気する。続いて、上部電極12uなどに内蔵されるヒータにより、必要に応じて半導体基板3を50〜500℃程度に加熱する。
【0042】
続いて、減圧容器11内に可燃性ガス19を充填したボンベにより、必要に応じてH2または不活性ガスで希釈されたSiH4ガス、必要に応じてH2または不活性ガスで希釈されたGeH4ガス、H2ガスをそれぞれ流量調整器17、バルブ16を経由して供給する。一方、支燃性ガス20であるO2ガスを充填したボンベより、O2ガスを流量調整器17、バルブ16を経由して供給する。なお、上述のように支燃性ガスであるO2ガスは、配管内での燃焼等を防止するために、十分に減圧された容器11内にガス混合部14で可燃性ガスと混合させる。
【0043】
続いて、圧力を調整器を用いて10〜100Pa程度に保持し、電源13から周波数13.56MHzの電力を印加し、一定時間プラズマを生成させ、前記のSiH4,GeH4,H2,O2等の原料ガスを分解し、半導体基板3の表面に厚さ0.1〜10μmの非線形光学シリカ薄膜1を形成する。
【0044】
なお、原料ガスを分解する手段としては、本実施例1においては13.56MHzの高周波電源を用いている。しかし、この周波数に限ることなく、1KHz〜10GHz程度の周波数を用いることができる。また、高周波に限らず、直流放電、紫外線等の光エネルギ、化学反応、高温(熱)等により、原料ガスを分解することも可能である。
【0045】
[実施形態2]
上記実施形態1では、SiO2−GeO2を主成分とする非線形光学シリカ材料中に水素を添加しているが、本実施形態2では、この水素の一部又は全部に代えてこの材料中に、ハロゲン元素Xを添加する。
【0046】
図5は、立体的(3次元的)に構成される本実施形態2に係る非線形光学シリカ材料の結合状態を平面的(2次元的)に示した模式図である。図5では、図1のHに代わり、その一部または全部がハロゲン元素X、この例ではフッ素:Fで置換され、結晶中にSi−F,Ge−F等の結合が形成されている。この内、非線形性を発現させる部分(Ge・)では、2本のGe−O結合と1本のGe−F結合が存在している。
【0047】
上記実施形態1と同様に、このような結晶構造の非線形光学シリカ材料を形成した後、実際に非線形性を発現させるために、材料に電界を付与してポーリングを行うが、Ge・部分に結晶ネットワークに関与しないGe−F結合が存在するため、ポーリングに必要な印加電界は実施形態1と同様に低くすることが可能である。
【0048】
従って、F等のハロゲン元素を添加した場合においても、Hと同様に、図3に示すような光−半導体ハイブリッド素子を作製する場合に、ポーリングのための電界の付与による半導体素子部分の破壊、性能低下を抑制することができる。
【0049】
ここで、ハロゲン元素は、H元素添加の場合に比べ、極性配向に必要な電界を減少させる効果はやや小さい。しかし、ハロゲン元素は電気陰性度の大きい元素であり、極性配向させた場合の非線形性(非線形光学定数)を大きくすることが可能となる。
【0050】
なお、以上においてはハロゲン元素XとしてFを例に挙げているが、他、Cl、Br等も同様に適用可能である。
【0051】
更に、本実施形態2において、得られる非線形光学シリカ薄膜1の元素数比率は、好ましくは、Si:20〜35%、Ge:2〜10%、O:35〜64%、F等のハロゲン元素X:2〜40%である。また、ハロゲン元素Xの添加量は、Hの場合と同様に、基本となるSiO2−GeO2結合を乱すことなく、添加の効果を十分に出現させる割合である。またこの場合のSiとGe元素の構成比率も実施形態1と同様に、光材料として必要な光透過率を十分確保しつつ、かつGe・による非線形効果を十分に発現させる割合である。また、酸素の含有量はSi−O−Si,Si−O−Ge,Ge−O−Geの結合を構成させるための含有量が望ましく、化学量論的な構成比として、元素数比率において、(Si+Ge):{O×2+X}=1:4程度が望ましい。
【0052】
本実施形態2の非線形光学シリカ薄膜を形成する場合においては、上記実施形態1と同様に、CVD装置を用いることができる。この場合に、原料としては、例えば、少なくともSiとハロゲン元素を含む物質と、少なくともGeとハロゲン元素を含む物質と、H2、O2ガスを用いればよい。さらに、別途ハロゲン元素を含む物質を混合することも可能である。このように、原料ガスの選択、原料ガスの混合比率、半導体基板の温度、減圧容器内の圧力等を調整することにより、図4に示すようなSi−X,Ge−X等の種々の結合を有する非線形光学薄膜をプラズマCVD等によって、形成することが可能である。
【0053】
(実施例2)
次に、図2に示すプラズマCVD装置を用いて本実施形態2に係る非線形光学シリカ薄膜を形成した実施例を示す。本実施例2では、実施例1と同様に、半導体基板3を設置後、減圧排気し、必要に応じて半導体基板3を50〜500℃に加熱した。
【0054】
続いて、減圧容器11内に可燃性ガス19を充填したボンベにより、必要に応じてF2等のハロゲンガスまたは不活性ガスで希釈されたSiF4ガス、必要に応じてF2等のハロゲンガス、または不活性ガスで希釈されたGeF4ガス、F2ガスをそれぞれ流量調整器17、バルブ16を経由して供給した。一方、支燃性ガス20であるO2ガスを充填したボンベより、O2ガスを流量調整器17、バルブ16を経由して供給した。ここでO2ガスは、配管内での燃焼等を防止するために、十分に減圧された容器11内の混合部14で可燃性ガスと混合させている。
【0055】
続いて、実施例1と同様に一定時間プラズマを生成させ、前記のSiF4,GeF4,F2,O2等の原料ガスを分解し、半導体基板3の表面に、厚さ0.1〜10μmの非線形光学シリカ薄膜1を形成した。このようにして基板3上に形成された非線形光学シリカ薄膜1の元素数比率は、Si:20〜35%、Ge:2〜10%、O:35〜64%、F等のハロゲン元素(又はHを含む場合はハロゲン元素とHの合計):2〜40%であり、図5に示すようにSi−O,Ge−Oのネットワークを形成する結合を基本に、Si−H,Si−F,Ge−H,Ge−F等の結合により構成される。さらに、未結合手としてGe・を備えている。続いて、この様なシリカ薄膜1に対し、実施例1と同様に電界を付与することによって該シリカ薄膜1に非線形性を発現させる。
【0056】
[実施形態3]
本実施形態3では、図3に例示したように、半導体基板3上に上記実施形態1又は2の構成の非線形光学シリカ薄膜1を形成する場合に、半導体基板3とこの非線形光学シリカ薄膜1との間に、絶縁性薄膜2を介在させている。この絶縁性薄膜2は、例えば、代表的な材料として、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)等のシリコン化合物より形成される。また、絶縁性薄膜の厚みは0.1〜10000nm、好ましくは2〜1000nmである。
【0057】
図3に示すような絶縁性薄膜2の存在は、非線形光学シリカ薄膜1を半導体基板3の表面に形成する場合に生じる半導体基板表面の欠陥の増大や、またシリカ薄膜1に含まれるGe元素の半導体基板への拡散を防止する効果がある。このため、半導体素子として重要なトランジスタやコンデンサ等が形成される半導体層5の破壊や性能低下を抑制することが可能になる。
【0058】
次に、本実施形態3の絶縁性薄膜2の形成方法である熱酸化法、CVD法についてそれぞれ説明する。
【0059】
(i)熱酸化法による絶縁性薄膜の形成
図3に示すような絶縁性薄膜2の形成方法として、Si半導体基板上に形成する場合には、熱酸化により、Si表面を酸化して、SiO2膜を形成することができる。
【0060】
この熱酸化によるSiO2膜の形成は、図6に示すような酸化炉を用いて行うことができる。まず、清浄に保たれた石英管21を環状ヒータ22で600〜1200℃の温度に加熱する。ここで、O2、H2等のガスを供給し、また、石英ボード24上に半導体基板3を設置して、図6に示すように石英管21内に設置する。続いて5min〜120min程度、上記ガスを流しつつ加熱することにより、半導体基板3の表面には絶縁性薄膜としてSiO2膜が形成される。ここで、石英管内の清浄度の向上、半導体基板表面の汚染物除去のためにHClガス等を添加してもよい。また、このようにして形成される絶縁性薄膜(SiO2膜)の厚みは0.1〜10000nm、好ましくは2〜1000nmである。
【0061】
熱酸化によるSiO2膜の形成は、汚染が極めて少なく、かつ緻密な絶縁膜を形成できるという特徴を備える。このため、図3に示すような構成において、絶縁性薄膜2としてこの熱酸化によるSiO2膜を用いることにより、半導体基板3及び半導体層5の汚染不純物による性能低下及び機能の破壊を防止しつつ、非線形光学シリカ薄膜の性能を維持することが可能となる。
【0062】
(実施例3−1)
以下、図6に示す酸化炉を用いて半導体基板3上に絶縁性薄膜2を形成した場合の実施例について説明する。
【0063】
まず、清浄に管理された石英管21内にO2等の供給ガス23を流しながら、石英管21の周囲に設置された環状ヒータ22により石英管21内部を900〜1000℃に加熱した。ここで、石英管内の清浄度をさらに向上させるためには、例えば、O2とHClの混合ガスを供給し、10〜120分間保持し、石英管内部の汚染不純物を除去することが好ましい。
【0064】
続いて、石英ボート24に、あらかじめ図3に示したような半導体層5を形成した半導体基板3を並べた。なお、半導体基板3は、アルカリ性溶液、酸性溶液、有機溶剤等であらかじめ洗浄してある。ボートを石英管21に挿入する場合においては、環状ヒータ22を制御し、炉内温度を700〜900℃に低下させ、挿入時の温度変動を少なくしつつ、所定の速度まで石英ボート24を石英管21に挿入している。
【0065】
石英ボート24を挿入後、温度を900〜1000℃まで上昇させた。続いて、O2とHClの混合ガスを供給し、10分程度保持し、半導体基板3上に絶縁性薄膜2を形成しつつ、半導体基板の表面の微少な汚染不純物を除去した。続いて供給ガス23をO2とH2の混合ガスに切り替え、60分程度保持し、半導体基板上に絶縁性薄膜を形成する。
【0066】
この様に、Si表面を高温の酸化雰囲気に曝すことで、Si表面を酸化して得られたSiO2膜の厚みは、ここでは100〜500nmであり、形成する温度と時間を制御することで、この膜厚は制御することが可能である。また、このようにして得られたSiO2膜は、半導体基板3及び半導体層5を保護し、絶縁性薄膜2上に非線形光学薄膜1を形成した場合において、汚染となる不純物の拡散や、機械的なダメージを防止するための十分な膜厚となっている。
【0067】
続いて、図3に示すように、形成されたSiO2膜の上に、上述の実施形態1、実施形態2で説明したような方法によって非線形光学薄膜1を形成し、更に配線4を形成することで、光−半導体ハイブリッド素子を完成することができた。
【0068】
(ii)気相合成法(CVD法)による絶縁性薄膜の形成
次に、絶縁性薄膜2を形成する別の手法である気相合成法による絶縁性薄膜形成方法について説明する。この絶縁性薄膜形成のためのCVD法は、図2に示すような非線形光学薄膜1をCVD法で形成する場合に用いる装置と同様のCVD装置によって行うことができる。
【0069】
図2に示すように原料が導入される減圧容器11内に、放電電極(12u、12d)を配置したプラズマCVD装置を利用することができる。なお、以下の説明において図2について既に説明した部分と同様な箇所についてはその説明を省略する。
【0070】
上部放電電極12uに、絶縁性薄膜2を形成すべき半導体基板3を設置し、下部放電電極12dには高周波電源13、ガス混合部14を接続する。ガス混合部14には原料容器18から、それぞれ流量調整器17とバルブ16を経由して原料ガスが供給されるが、ここでは、密封容器11内に、絶縁性薄膜2の構成成分となる元素を含んだ材料として、例えばSiH4,NH3,H2,O2,N2O,TEOS等、少なくともSiおよびO(酸素)元素、または少なくともSi及びN元素を含むガス(ガス状)を流量を調整しながら導入する。続いて、ガスの圧力を1〜1000Pa程度に保持し、高周波電源13から電力を印加して、一定時間プラズマを生成させ、前記ガスを一定時間分解させることで、半導体基板3の表面に絶縁性薄膜2を形成する。原料を分解する手段としては、高周波放電、直流放電、紫外線放電などの光エネルギ、化学反応、高温による分解等が考えられる。
【0071】
このように、気相合成法(プラズマCVD法)を用いて絶縁性薄膜2を形成するには、原料ガスの選択、原料ガスの混合比率、半導体基板の温度、減圧容器内の圧力等を任意に調整すればよい。そして、気相合成法、特にプラズマCVD法を用いることにより、比較的低い温度で絶縁性薄膜2を形成することが可能になる。このため、図3のような構成において、半導体基板3及び半導体層5が加熱処理に曝されることによる性能低下及び性能の破壊を防止することが可能となる。
【0072】
絶縁性薄膜2を上述のようにCVD法によって形成すれば、この絶縁性薄膜2と非線形光学シリカ薄膜1とを、同一のCVD装置内で、供給ガスを変更して連続形成することが可能となり、作製素子のプロセスコストの低減を図ることが可能となる。
【0073】
(実施例3−2)
次に、上記気相合成法(プラズマCVD)法によって図3のように半導体基板3上に絶縁性薄膜2を形成した実施例について説明する。
【0074】
まず、減圧容器11内の上部側の電極12uに半導体層5の形成された半導体基板3を設置した。なお、通常、上部の電極はアースに接続(接地)され、下部の電極は高周波電源13に接続されている。続いて密封容器11をポンプ15を用いて10-3〜10-4Pa程度まで減圧排気した。なお、この際、必要に応じて、続いて、上部電極12u等に内蔵されるヒータにより、半導体基板3を50〜500℃程度に加熱する。
【0075】
次に、減圧容器11内に、可燃性ガス19を充填したボンベより、必要に応じてH2または不活性ガスで希釈されたSiH4ガス、NH3ガス、N2ガスをそれぞれ流量調整器17、バルブ16を経由して供給した。
【0076】
更に、圧力を調整器を用いて10〜100Pa程度に保持し、電源13から周波数13.53MHzの電力を印加し、一定時間プラズマを生成させ、前記のSiH4、NH3、N2等の原料ガスを分解することで、半導体基板3の表面に、厚さ100〜500nmの絶縁性薄膜を形成した。基板3の表面に得られた絶縁性薄膜2は、H元素を含有したSiNx膜であった。そして、このSiNx膜は半導体基板3及び半導体層5を保護し、絶縁性薄膜2の上に上述の実施形態1及び2ような非線形光学シリカ薄膜1を形成した場合において、基板3又は半導体5にとって汚染となる不純物の拡散や、これらが機械的なダメージをうけることを防止するために十分な膜厚となっている。
【0077】
なお、原料ガスを分解する手段としては、本実施例3−2においては13.56MHzの高周波電源を用いたが、この周波数に限ることなく、1KHz〜10GHz程度の周波数を用いることができる。また、高周波に限らず、直流放電、紫外線等の光エネルギ、化学反応、高温(熱)等により、原料ガスを分解することも可能である。
【0078】
続いて、該絶縁性薄膜2上には、上述の実施形態1または実施形態2に示すような非線形光学シリカ薄膜1を形成し、また、配線4を形成し、図3に示すような光−半導体ハイブリッド素子が得られた。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、SiO2−GeO2を主成分とする非線形光学シリカ材料中に、H又はハロゲン元素Xが添加され、結晶中でこのシリカ材料に非線形性を発現させる部分Ge・において結晶ネットワークに寄与しないGe−H結合又はGe−X結合を備える。従って、非線形性を発現させるための極性配向処理に際し、付与する電界を弱くでき、上記非線形光学シリカ材料を用いて光−半導体ハイブリッド素子等を作製する場合等において、他の半導体素子部分の破壊、性能低下を防止できる。また、高性能で低コストの光−半導体ハイブリッド素子の提供も容易となる。
【0080】
また、このように水素、ハロゲンを添加することにより、材料中の元素の配置自由度が大きくなり、薄膜の応力が減少し、基板からの剥離を防止することが可能となり、非線形光学薄膜と半導体素子を組み合わせた光−半導体ハイブリッド素子を作成する場合における不良率が低減される。従ってこのような点からも素子の信頼性が向上する。
【0081】
さらに、水素、ハロゲンにより、材料中に本来的に内在する欠陥が低減し、この点からも信頼性、安定性が向上する。
【0082】
また、半導体基板と上記非線形光学シリカ薄膜との間に絶縁性薄膜を介在配置することで、半導体基板や他の素子に不要な不純物などが拡散したり、基板に欠陥が発生したりすることを防止でき、信頼性に優れた機能素子を作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るHの添加されたSiO2−GeO2非線形光学シリカ材料の結晶構造を示す模式図である。
【図2】 半導体基板上に非線形光学シリカ薄膜又は絶縁性薄膜を形成するためのCVD装置の構成を示す模式図である。
【図3】 本発明に係るSiO2−GeO2非線形光学シリカ薄膜を備えた光学素子の構成例を示す図である。
【図4】 SiO2−GeO2非線形光学シリカ材料にHを添加したことによる効果を示す図である。
【図5】 本発明に係るハロゲン元素の添加されたSiO2−GeO2非線形光学シリカ材料の結晶構造を示す模式図である。
【図6】 熱酸化法を実行する酸化炉の構成を示す模式図である。
【図7】 従来のSiO2−GeO2非線形光学シリカ材料の結晶構造を示す模式図である。
【符号の説明】
1 非線形光学シリカ薄膜、2 絶縁性薄膜、3 半導体基板、4 配線、5半導体層、11 減圧容器、12u 上部放電電極、12d 下部放電電極、13 高周波電源、14 ガス混合部、15 ポンプ、16 バルブ、17 流量調整器、18 原料容器、19 可燃性ガス、20 支燃性ガス、21 石英管、22 環状ヒータ、23 供給ガス、24 石英ボード。
Claims (4)
- SiO2−GeO2 系非線形光学シリカ材料であり、
該シリカ材料中に含まれるGe原子が、ダングリングボンドと、2つのGe−O結合と、1つのGe−H結合を有することを特徴とする非線形光学シリカ材料。 - SiO2−GeO2 系非線形光学シリカ材料であり、
該シリカ材料中に含まれるGe原子が、ダングリングボンドと、2つのGe−O結合と、1つのGe−ハロゲン結合を有することを特徴とする非線形光学シリカ材料。 - 請求項1又は請求項2に記載の非線形光学シリカ材料であって、
前記ダングリングボンドを備えるGe原子部分が非線形性を発現することを特徴とする非線形光学シリカ材料。 - 請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の非線形光学シリカ材料が、半導体基板上に形成された非線形光学素子であって、
前記非線形光学シリカ材料と前記基板との間には、絶縁性薄膜が介在するように形成されていることを特徴とする非線形光学素子。
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