JP3850983B2 - 香料組成物または付香製品の匂い特性を付与、改善、増強または変性する方法、新規の二環式化合物、香料組成物、付香製品および新規の化合物の製造方法 - Google Patents
香料組成物または付香製品の匂い特性を付与、改善、増強または変性する方法、新規の二環式化合物、香料組成物、付香製品および新規の化合物の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規の香料成分に関する。本発明はさらに具体的には、以下で定義する一般式:
【0002】
【化6】
【0003】
の化合物および該化合物の付香製品中での使用に関する。
【0004】
前記の化合物は新規の発香特性、つまりウッディーでフルーティーな匂いを有し、前記の組み合わせは従来技術の化合物では未知である。本発明はまた前記の化合物を製造するための合成および新規の中間生成物にも関する。
【0005】
本発明の対象である該化合物は、共通した特徴として二環式炭素骨格7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカンを示し、これは環外の3位にある酸素原子からなる発香団を有する。さらに二環は他の置換基、たとえばアルキル基を有していてもよい。
【0006】
【従来の技術】
二環系6,6−ジメチル−9−メチレン−ビシクロ[3.3.1]ノナンからなり、従って発香団を有する環中で炭素原子が1個少ない、類次構造の物質の香水中での使用は長い間公知であった。嗅覚の観点からは、この周知のグループのもっとも重要な物質は、式:
【0007】
【化7】
【0008】
の2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−9−メチレン−ビシクロ[3.3.1]ノナンであり、該物質の合成は50年代にStoll等(米国特許第2、803、662号明細書を参照)により初めて行われた。それ以来、いくつかの合成が該生成物に関して記載されたが、この場合はすべてエキソおよびエンドエトキシ異性体の混合物が生じ、この場合選択された合成により、この2つの異性体の相対的比率は著しく異なっていた。さらに、該異性体の混合物は商品名フィゼオール(Physeol)で販売された(スイス、ジュネーブ在、Firmenich SAより入手)。この市販の化合物はアンバーエーテルノートを伴ったウッディーな匂いを有する。
【0009】
ところで発香団を有する環中に付加的に1個の炭素原子が存在することにより、フィゼオールおよびその類似の化合物とは明らかに区別される発香特性が生じ、これはつまりウッディーおよびアンバーノートに強烈なフルーティーノート、特にルバーブまたはグレープフルーツタイプのノートが加わっている。従って前記の、6,6−ジメチル−9−メチレン−ビシクロ[3.3.1]ノナンタイプの二環式化合物、特にフィゼオールの匂い特性の組み合わせの知識の観点では、この結果はきわめて意外であり、かつ前記の匂い特性に基づいて化合物(I)および(II)を香水類において特に有用なものにしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の課題は、前記の特殊な匂いを有する新規の香料成分、および前記生成物の合成を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は一般式:
【0012】
【化8】
【0013】
[式中、
R1及びR2は同一または異なっており、かつそれぞれメチル基またはエチル基を表し、
R3は水素あるいは直鎖または分枝のC1〜C4アルキル基を表し、
R4は水素、直鎖または分枝のC1〜C4アルキル基、あるいは式R5C(O)−のアシル基を表し、この場合R5は水素あるいは直鎖または分枝のC1〜C4アルキル基である]
の化合物および該化合物の香水類中での使用を記載する。
【0014】
3位でオキソ置換された、二環7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカンを含有する本発明の化合物の共通の特徴は、その嗅覚特性である。その匂いは強烈なフルーティーノートを伴ったウッディーノートとして記述することができる。前記のフルーティーノートの質および強烈さは異なった性質のものであってもよいが、しかしウッディーなベースノートは常に明らかに存在し、該化合物を香水類の中で特に有用なものにしている。
【0015】
もちろん、本発明の化合物がウッディー−フルーティータイプの共通の匂いを有するという事実にも関わらず、種々の生成物の間に違いは存在し、その違いはかなり明白でありうる。これらの違いは、異なった化学構造の化合物の間にのみではなく、得られた化合物の立体異性体の間にさえ現れうる。
【0016】
本発明の化合物の発香特性は、7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デセ−3−イルアセテートまたは3−メトキシ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカンにおいて最も良く代表される。従って前記の2つの化合物が本発明によれば有利である。
【0017】
7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デセ−3−イルアセテートは、エキソおよびエンド立体配置の異性体混合物の形で、ルバーブタイプのノートを伴ったウッディーノートを展開する。該化合物の匂いの全体的な印象は、ベチバータイプのウッディー−ルーティーノートのものであり、この場合ルーティーな特性は前記のフルーティーな特性を伴っている。この嗅覚特性はファインパフューマリー中できわめて賞賛される。
【0018】
該化合物の2つのエキソおよびエンド異性体は異なった匂いを有する。エキソ異性体は、実際、ウッディーでセダーな特徴がより著しい匂いを展開し、他方エンド異性体はルバーブおよびグレープフルーツタイプの匂い特性がきわめて著しいウッディーなノートを有する。
【0019】
3−メトキシ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカンもまた2つの立体異性体の形で、つまりエキソおよびエンド立体配置の異性体として存在し、これらは互いに、またはこれらの混合物とからも異なる発香特性を有する。エンド異性体はシトラス−グレープフルーツ香を展開し、ノートカトン(nootkatone)を思わせ、これはきわめて強烈であり、他方エキソ異性体は暖かくて典型的なウッディーノートを有し、アンブロックス(Ambrox(R)、8,12−エポキシ−13,14,15,16−テトラノルラブダン、スイス、ジュネーブ在Firmenich SAの登録商標)およびオリスを思わせるアスペクトを伴っている。これらの2つの異性体の混合物はウッディーおよびグレープフルーツノートがきわめて重要で頑強な、ボリュームのある匂いを有する。一般に、この2つの異性体ならびにこれらの混合物はすべて有用な香料成分である。
【0020】
式(I)および(II)の化合物はファインパフューマリーと同様に機能的な香料類においても使用することができ、これはこれらの純粋な異性体の形で、またはこれらの混合物の形で使用することができる。これらは自体種々の香料組成物、ベースおよび香料濃縮物、ならびに香水およびコロンの製造に適切であることが判明し、該化合物はこれらにウッディー−フルーティーな特徴を付与する。種々の製品、たとえばセッケン、バスジェルまたはシャワージェル、シャンプー、ヘアコンディショニングクリームおよびローション、化粧品製剤、ボディーデオドラントまたはエアーフレシュナーの付香のためのこれらの使用は、また有利である。
【0021】
さらにこれらは洗剤または繊維柔軟仕上げ剤およびオールパーパスハウスホールドクリーナーの付香にもまた適切である。
【0022】
本発明の化合物を前記の種々の製品中で使用する割合は、広い範囲の値で異なってよい。該値は付香される製品の性質および所望の嗅覚効果に依存する。該値はまた、従来使用されているその他の香料成分、溶剤または補助剤と一緒に本発明の化合物を使用する場合には、所定の組成物中の共成分の性質にも依存する。本発明の化合物はもちろん、そのままでまたは従来使用されている溶剤中の溶液として、香料組成物または付香される製品に添加することもできる。
【0023】
1例として、該化合物を配合する香料組成物に対して1〜10重量%、もしくは20重量%以上の濃度が挙げられる。該化合物を前記の種々の製品の付香に使用する場合に、前記の濃度よりはるかに低い濃度で使用することもできる。
【0024】
本発明はさらに式:
【0025】
【化9】
【0026】
[式中、R1〜R4は前記のものを表す]の化合物の製造方法にも関し、該方法は以下の工程からなる:
a)式:
【0027】
【化10】
【0028】
[式中、R1およびR2は式(II)に記載したものを表す]の化合物と還元剤を反応させ、式中でR3およびR4がそれぞれ水素を表す式(II)の相応する化合物を得る;または
b)式(I)の化合物と適切な有機金属とを反応させ、式中でR3が直鎖または分枝のC1〜C4アルキル基を表し、かつR4が水素を表す、式(II)の相応する化合物を形成させ、
c)必要な場合には、工程a)またはb)で得られた化合物(II)をエーテル化して相応するエーテルを形成させ、
d)必要な場合には、工程a)またはb)で得られた化合物(II)をエステル化して相応するエステルを得る。
【0029】
前記の方法で重要な生成物は環式ケトン(I)であり、該ケトンから所望の生成物が得られる。製造されうる該ケトンは図式Iに示すとおりである。ケト基の化学的な変性により、性質の異なった発香団を製造することができ、この場合生じた分子の嗅覚特性にバリエーションを生じる。
【0030】
従来技術は、R1およびR2がそれぞれメチル基を表す式(I)のケトンを製造するために、図式Iに示した類似のプロセスを記載している(たとえばA. Ruveda et al., Tetrahedron 1990(46), 4149; J. D. White, T. C. Somera et K. T. Yager, Tetrahedoron Lett. 1990 (31)59を参照のこと)。前記の方法は、以下の図式Iの式(IV)(式中R1=R2=メチル)に相応するα−ジヒドロイオノンを出発生成物として使用する。このようにして得られたケトン、または7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカン−3−オンの匂いは、ボルネオールを思わせるノートを有するウッディータイプのものであり、これは文献に記載されたことはない。従って該ケトンは有用な香料成分であることも判明している。
【0031】
【化11】
【0032】
図式Iに記載され、かつ式(IV)に相応する、その他の出発生成物は市販されているか、または市販の製品から容易に入手することができる。
【0033】
以下の図式IIは式(I)のケトンの変換の可能性を示す。
【0034】
【化12】
【0035】
前記の図式IIから、適切な還元剤を使用して、ケトン(I)を直接還元して相応するアルコール(IIa)が得られることは明らかである。これに関連して、たとえばLiAlH4またはNaBH4を挙げることができる。還元をその中で実施する溶剤は、エーテル、たとえばTHFまたはジエチルエーテル、またはアルコール、たとえばメタノールまたはエタノールから選択される。前記の還元剤および溶剤以外に、満足のいく結果をもたらすその他の薬剤および溶剤が存在することは明白である。
【0036】
同様に、ケトン(I)を有機金属反応試薬と反応させ(工程d)、加水分解後に、相応するα−置換されたアルコール(IIb)を得ることができる。適切なメタレート化剤として、グリニャール化合物およびオルガノリチウム化合物、ならびにこの種の反応の従来技術の当業者に公知のその他のメタレート化剤が挙げられる。反応は、必要な場合には有機金属化合物を安定化させることのできる不活性溶剤中で実施する。溶剤として、この種の反応のために通例の溶剤はすべて使用することができる。
【0037】
アルコール(IIa)および(IIb)は、エーテル化剤を使用して相応するエーテル(IIa´)および(IIb´)に変換してもよい[工程(b)または(e)を参照のこと]。適切な合成方法は、ウィリアムソン合成であり、該方法はアルコールをアルカリ金属アルコラートへ変換し、かつこれをそれぞれのアルカンのハロゲン化物に反応させることからなる。アルカリ金属水酸化物、例えばKHまたはNaHは、アルコール基のアルコラートへの変換に適切であることが判明している。アルカリ塩を形成させる場合には、エーテル化反応は例えばハロゲン化アルキルと共に実施することができる。反応がその中で良好に進行する不活性溶剤を選択する。例えば、THFまたはジエチルエーテルを挙げることができる。エーテル化反応は原則として公知であるので、従来技術の当業者はもちろん、本発明の要求を満足するようなその他のエーテル化反応、ならびに溶剤を見いだすことができる。
【0038】
さらに、通例の反応試薬、例えばそれぞれのカルボン酸の塩化物または無水物を使用して、アルコール(IIa)および(IIb)をエステル化することもできる[工程(c)または(f)]。前記の反応で使用することのできる溶剤は、エステル化反応試薬と同様に、通例は公知である。
【0039】
本発明を以下の実施例で詳細に説明するが、この場合温度は摂氏で表され、かつ略号は従来技術で通例の意味を表す。
【0040】
【実施例】
一般的な注意:すべてのNMRスペクトルはCDCl3で記録した。
【0041】
例1
式(IIb)のアルコールの製造
一般的な方法:
還流冷却器、温度計および滴下漏斗を備えた3口フラスコ中にN2雰囲気下でマグネシウム削りくず2.4g(0.1モル)を装入した。無水エーテル30mlおよびヨウ素の結晶1つを添加後、使用される適切なハロゲン化アルキルを数滴添加することにより反応を開始した。次いで無水エーテル50ml中の適切なハロゲン化アルキル0.12モルの溶液を滴加し、その際に溶液を還流下で煮沸した。すべてのマグネシウムが溶けたたら、無水エーテル50ml中の式(I)の適切なケトン、つまり7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカン−3−オンまたはその同族体の1種0.078モルの溶液を添加し、そのあいだ反応を還流で行った。引き続き反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで氷に注ぎ、かつエーテルに取った。このようにして得られた溶液を塩水で洗浄し、かつ次いでNa2SO4上で乾燥した。濾過および残留物の洗浄後、得られた溶液を真空下で濃縮した。クロマトグラフィーにより、シクロヘキサン:エーテル/8:2の混合物を溶離剤として使用して、SiO2上で生成物を精製後、バルブ・ツー・バルブ(bulb-to-bulb)装置中で圧力10Paで蒸留することにより純粋な生成物が得られた。
【0042】
a)3,7,7−トリメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカン−3−エキソ−オール
使用したハロゲン化アルキル:ヨウ化メチル
無色の油状物11.2gが得られ、これは理論値の69%の収率であり、かつもっぱらエキソ異性体を形成した。
【0043】
匂い:ウッディー−セダーノート、パチュリ特性およびわずかな発汗ノートを有する。
【0044】
【外1】
【0045】
b)3−エチル−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]−3−デカン−オール
使用したハロゲン化アルキル:臭化エチル
無色の油状物12.8gが得られ、これは理論値の74%の収率で2つのエンド/エキソ異性体(1/9)を形成した。
【0046】
匂い:アンバー特性を有するウッディー−シダーノート、発汗ノートは前記の例ほど顕著ではない。
【0047】
【外2】
【0048】
例2
式(IIa´)のエーテルの製造
一般的な方法:
還流冷却器、温度計および滴下漏斗を備えた3口フラスコ中にN2雰囲気下で油中のKHの懸濁液(20%、FLUKA)12ml(0.06モル)を装入した。水素化物を無水ペンタンで3回洗浄し、できる限り油を除去した。次いで無水THF48ml中の式(IIb)のそれぞれのアルコール、つまり7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカン−3−オールまたはその同族体の1種0.049モルの溶液を滴加した。引き続き反応混合物を2時間撹拌し、選択したハロゲン化アルキル0.81モルを滴加した。反応混合物を室温でさらに3時間撹拌し、次いで氷に注ぎ、かつエーテルに取り、中性になるまで塩水で洗浄した。Na2SO4上で乾燥後、該溶液を濾過し、かつ真空下で濃縮した。
【0049】
a)3−メトキシ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカン
使用したハロゲン化アルキル:ヨウ化メチル
混合物は2つの異性体からなる(29/71)
エンドメチルエーテル(ピーク1;混合物の29%)
エキソメチルエーテル(ピーク2;混合物の71%)
ヴィグロウタイプのカラムで蒸留後、無色の油状物9.05gが得られた。
【0050】
収率=理論値の88%
【0051】
【外3】
【0052】
エンド異性体およびエキソ異性体が、7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デセ−3−イルアセテートのエンド異性体およびエキソ異性体からサポニン化およびその後のエーテル化により、純粋な状態で製造された(例3を参照のこと)。
【0053】
該異性体の分析的な特性は以下の通りである:
【0054】
【外4】
【0055】
匂い:明細書に記載。
【0056】
b)3−エトキシ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカン
前記の方法により、臭化エチルをハロゲン化物として使用することにより、エチルエーテルを製造した。150℃および10Paでバルブ・ツー・バルブ蒸留後に、無色の油状物0.95gが得られた。
【0057】
収率=理論値の89%
混合物は2つの異性体からなる(71/29)
エンドエチルエーテル(ピーク1;混合物の29%)
エキソエチルエーテル(ピーク2;混合物の71%)
匂い:強力、グリルしたピーナッツノートを有し、かつルバーブとグレープフルーツを思わせるベースノートを有するウッディー・セダー
【0058】
【外5】
【0059】
例3
式(IIa´´)のエステルの製造
7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デセ−3−イルアセテート
還流冷却器を有する三口フラスコ中にN2雰囲気下で7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカン−3−オール 0.9g(4.6ミリモル)、無水酢酸8mlおよびリン酸1滴を装入した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。次いでH2O 50mlを添加し、かつ該溶液を室温でもう一晩撹拌した。生じた混合物をエーテルに取り、中性になるまで塩水で洗浄し、かつNa2SO4上で乾燥した。濾過および真空中で濃縮後、150℃(10Pa)で、バルブ・ツー・バルブ装置中で生成物を蒸留した。無色の油状物1.09gが理論値の99%の収率で得られた。このようにして得られた混合物は2つの異性体からなり(71/29)、該異性体を、長さ5メートルのカルボワックス(R)(Carbowax(R))カラム上でガスクロマトグラフィーにより分離した。
【0060】
匂い:明細書に記載
【0061】
【外6】
【0062】
例4
香料組成物
男性タイプの香水のためのベース香料組成物を以下の成分から製造した:
成分 重量%
酢酸リナリル 350
アンブリノール1) 20
アンブロックス(R) 2) 30
レモン油 600
クマリン 60
10%*α−ダマスコン3) 50
ジヒドロミルセノール4) 660
エストラゴン油 20
10*ファレナル(R)(Farenal(R)) 35
2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン
−1−イル)−ペンテン−1−オール6) 5
ガラキソリド(R)(Galaxolide(R))507) 200
ゲラニオール 40
ゼラニウム精油(中国) 120
ヘジオン(R)(Hedion(R))8) 350
ローレル油 10
リナロール 150
リラール(R)(Lyral(R))9) 80
10%*1−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキシル)
−3−ヘキサノール10) 70
オシロール(R)(Osyrol(R))11) 130
トナリド(R)(Tonalide(R)12) 500
バニリン 20
合計 3500
* ジプロピレングリコール中
1) オクタヒドロ−2,5,5−トリメチル−2−ナフタレノール、スイス、ジュネーブ在、Firmenich SAより入手
2)8,12−エポキシ−13,14,15,16−テトラノルラブダン、スイス、ジュネーブ在、Firmenich SAより入手
3)スイス、ジュネーブ在、Firmenich SAより入手
4)2,6−ジメチル−7−オクテン−2−オール、アメリカ、International Flavors and Fragrances Inc.より入手
5)2,6,10−トリメチル−9−ウンデカナールドイツ、Haarmann Reimer GmbHより入手
6)スイス、ジュネーブ在、Firmenich SAより入手
7)1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル−シクロペンタ[g]−2−ベンゾピラン、アメリカ、International Flavors and Fragrances Inc.より入手
8)メチルジヒドロジャスモネート、スイス、ジュネーブ在、Firmenich SAより入手
9)4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボアルデヒドおよび3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボアルデヒド、アメリカ、International Flavors and Fragrances Inc.より入手
10)スイス、ジュネーブ在、Firmenich SAより入手
11)7−メトキシ−3,7−ジメチル−2−オクタノール、イギリス、Bush, Boak Allen Ltd.より入手
12)7−アセチル−1,1,3,4,4,6−ヘキサメチルテトラリン、オランダ、PFW, Naardenより入手
シトラス、ウッディー、ムスクタイプの前記のベース組成物に、3−メトキシ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカン 1700重量部を添加した。このようにして、ウッディーノートが古典的なオーデコロンの典型的な新鮮さを備えた新規の組成物が得られ、該組成物はシトラス特性が大いに認識される。7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デセ−3−イルアセテート 1700重量部を添加すると、ウッディーなベースノートに加えてベチバーを思わせるすばらしいルーティーなコノテーションを示す、新規の組成物が得られた。
【0063】
例5
香料組成物
男性用タイプのコロンのためのベース香料組成物を以下の成分から製造した。
【0064】
成分 重量%
酢酸ベンジル 60
酢酸リナリル 450
酢酸フェニルエチル 5
50%*シンナミックアルコール 30
アミルシンナミックアルデヒド 100
10%*C−アルデヒド 40
1%*4−(4−ヒドロキシ−1−フェニル)−2−ブタノン1) 20
ベルガモット油 600
キャラウェイ油 70
10%**アンブロックス(R)2) 30
純シトラール 600
アリルフェノキシアセテート3) 50
クマリン 65
オイゲノール 90
ゼラニウム精油(中国) 90
ヘジオン(R)4) 200
ヘリプロパナール(Helipropanal)5) 40
10%***インドール 70
イラリア(R)(Iiralia(R)) 80
ジャスモン 5
ラベンダー油 480
リナロール 800
マンダリン油 100
オークモスabs.(モロッコ) 60
パチュリ油 150
ぺチグレン油 40
ローズマリー油 30
ウンデカラクトン 5
β−イオノン7) 10
合計 4100
* ジプロピレングリコール中
** 2−(2−エトキシエトキシ−1−エタノール中、スイス、ジュネーブ在、Firmenich SAより入手
*** トリエタノールアミン中
1)スイス、ジュネーブ在、Firmenich SAより入手
2)例4を参照のこと
3)スイス、ジュネーブ在、Firmenich SAより入手
4)例4を参照のこと
5)3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−メトキシプロパナール、スイス、ジュネーブ在、Firmenich SAより入手
6)メチルイオノン、スイス、ジュネーブ在、Firmenich SAより入手
7)スイス、ジュネーブ在、Firmenich SAより入手
前記のベース組成物に、3−メトキシ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカン 150重量部を添加した。このようにしてウッディーノートが増強されたことが観察され、同時にシトラス特性はすでに前記のベース組成物に存在しており、後者の効果はさらに顕著であった。7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デセ−3−イルアセテート 150重量部の添加は該組成物にボリュームを付与し、かつベース組成物のウッディーベースノートを増強した一方で、該組成物にシプレータイプの効果を付与し、これはオークモスを含有する本発明の化合物のアコードに起因する。
【0065】
例6
香料組成物
「ウッディー・フォージェル(fougere)」タイプの男性用コロンを製造するためのベース香料組成物を以下の成分から製造した:
成分 重量%
酢酸リナリル 500
ベルガモット精油 200
純シトラール 20
レモン油 60
シトロネロール 90
50%*シベット(精製) 20
コラノール(Coranol)1) 50
クマリン 80
2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)
−4−ペンテン−1−オール2) 30
ゼラニウム精油(中国) 30
ヘジオン(R)3) 400
ラバンジン油 180
ライラール(R)4) 300
マンダリン油 60
50%*オークモスabs.(モロッコ) 40
パチュリ油 720
バニリン 20
合計 2800
* ジプロピレングリコール中
1)4−シクロヘキシル−2−メチル−2−ブタノール、スイス、ジュネーブ在、Firmenich SAより入手
2)、3)、4)例4を参照のこと
前記のベース香料組成物に、3−メトキシ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカン 400重量部を添加して、ウッディーノートがさらにフレッシュになり、かつさらにボリュームを有する新規の組成物が得られた。すでに明確なウッディーノートを有する前記のベースに7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デセ−3−イルアセテート 400重量部を添加すると、さらにルーティーで、ベチバーな次元が付与された。
【0066】
例7
香料組成物
成分 重量%
酢酸ベンジル 130
酢酸リナリル 230
10%*アンブリノール1) 30
アストロトン(Astrotone)2) 300
1%*4−(4−ヒドロキシ−1−フェニル)−2−ブタノン3) 20
10%**アンブロックス(R)4) 80
10%*γ−デカラクトン5) 90
2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)
−4−ペンテン−1−オール6) 20
ガラキソリド(R) 507) 700
ゼラニウム精油(アフリカ) 30
ヘジオン(R)7) 930
リナロール 125
リラール(R)8) 310
δ−ノナラクトン9) 10
パチュリ油 20
バニリン 635
ヴェルトフィックスクール(R)(Vertofix Coeur(R)) 340
合計 4000
* ジプロピレングリコール中
** 2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノール中、スイス、ジュネーブ在、Firmenich SAより入手
1)、4)、6)、7)、8)例4を参照のこと
2)1,4−ジオキサ−5,17−シクロヘプタデカンジオン、スイス、ジュネーブ在、Firmenich SAより入手
3)例5を参照のこと
5)スイス、ジュネーブ在、Firmenich SAより入手
9)スイス、ジュネーブ在、Firmenich SAより入手
10)9−アセチル−8−セドレンとセダーセスキテルペンとの混合物、アメリカ、International Flavors and Fragrances Inc.より入手
前記ベース組成物に3−メトキシ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカン 400重量部を添加すると、すばらしいシトラス特性が付与され、この場合本発明の化合物の効果はきわめて著しく、これは前記化合物を高濃度で使用する場合に一般に該当する。同量の7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デセ−3−イルアセテートは前記ベース化合物に、パチュリとの組み合わせにより自然なウッディー・クラシカルな効果を加える。
Claims (13)
- 前記の化合物が3−メトキシ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカンまたは7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デセ−3−イルアセテートである、請求項2に記載の方法。
- 前記の化合物がエキソ−3−メトキシ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカン、エンド−3−メトキシ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカン、エキソ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デセ−3−イルアセテートまたはエンド−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デセ−3−イルアセテートである、請求項3に記載の方法。
- 3−メトキシ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカンまたは7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デセ−3−イルアセテート。
- エキソ−3−メトキシ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカン、エンド−3−メトキシ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカン、エキソ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デセ−3−イルアセテートまたはエンド−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デセ−3−イルアセテート。
- 香料成分として請求項1に記載の式IまたはIIの化合物を含有する香料組成物または付香製品。
- 香料成分として、3−メトキシ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカンまたは7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デセ−3−イルアセテートを含有する香料組成物または付香製品。
- エキソ−3−メトキシ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカン、エンド−3−メトキシ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デカン、エキソ−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デセ−3−イルアセテートまたはエンド−7,7−ジメチル−10−メチレン−ビシクロ[4.3.1]デセ−3−イルアセテートを含有する、請求項9に記載の香料組成物または付香製品。
- 香水またはコロン、セッケン、バスジェルまたはシャワージェル、シャンプーまたはその他のヘアケア製品、化粧品製剤、ボディーデオドラント、エアーフレッシュナー、洗剤または繊維柔軟仕上げ剤、またはオールパーパスハウスホールドクリーナーの形の、請求項8から10までのいずれか1項に記載の芳香製品。
- 式IIの化合物の製造方法において、以下の工程:
b)式Iの化合物と適切な有機金属化合物とを反応させ、式中でR3が直鎖または分枝のC1〜C4アルキル基を表し、かつR4が水素を表す式IIの相応する化合物を形成させ、
c)必要な場合には、工程a)またはb)で得られた化合物IIをエーテル化して相応するエーテルを形成させ、
d)必要な場合には、工程a)またはb)で得られた化合物IIをエステル化して相応するエステルを得る、
請求項12に記載の方法。
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