JP3847568B2 - 半導体装置製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、インターネット等の情報通信回線を用いて、ユーザが遠隔地から半導体装置の製造管理を行う半導体製造管理システムに係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体装置の製造管理は、ユーザから注文を受けた半導体装置製造業者がラインで半導体装置の製造を行いながら、半導体装置のプロセス工程毎に各工程のパラメータを測定し、予め決められたスペック内に収まっているか否かのチェックにより行われている。
すなわち、薄膜の形成工程では、形成した薄膜の厚さがスペック内にあるか、また、配線パターンの形成工程では、上記薄膜をフォトリソグラフィ工程の後エッチングして、配線パターンを作成すると、この配線パターンの幅がスペック内にあるか等のチェックが行われる。
【0003】
しかしながら、これらのチェックにおいては、半導体装置を製造するときに、プロセス工程毎の処理結果の良否を判定するための製造管理が行われるのみである。
最終的なイールド、すなわち良品として得られた半導体装置の数は、半導体装置が機能的に動作する完成品となり、半導体試験装置において電気的特性を含めた動作確認を行うことにより確認される。
したがって、通常は、注文したユーザは、半導体装置の製造が終了するときまで、実際に得られる良品の半導体装置の数を知ることが出来ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の製造管理においては、各プロセス毎に最終的に取得できる良品数の判定が行えず、ウェハの電気特性による良品数の確認が半導体装置が完成した後でなければ測定出来ないため、ユーザに納入される良品数が納期の時点でなければ判らなかった。
このため、従来の製造管理には、プロセス毎のチェックで不具合が生じていたとき、通常のチェックで検出できない場合、完成後に半導体装置の良品数が納入に必要な納品数に足りないことが確認されるという欠点がある。
【0005】
したがって、従来の製造管理には、良品数が確認された後の段階において、納入数に足りないことが確認された場合に、半導体装置の製造のためのロット(1枚単位または複数単位のウェハで構成される)を再投入する必要があるが、ロット投入から半導体装置の完成まで通常2ヶ月程度かかるため、プロセスの不具合により良品数が少ない場合にユーザの生産計画が大幅に遅れてしまうという問題がある。
【0006】
本発明はこのような背景の下になされたもので、各プロセス(工程)毎にプロセスの処理の良否だけでなく、プロセス(例えば、コンタクトホールの形成工程)毎に、ユーザが発注した半導体装置の最終的に取得できる良品数を推定することが可能な半導体装置製造管理システムを提供する事にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体装置製造管理システムは、半導体製造センタ(例えば、半導体製造センタC)に設けられ、半導体装置を製造する工程毎の処理を行う複数の製造装置(例えば、製造装置11a,11b,11c)と、前記製造装置毎に設けられ、この製造装置の工程毎に、各工程に対応したプロセスパラメータの測定を行い、測定結果を半導体装置のロット単位に測定データとして出力するインライン測定装置(例えば、インライン検査装置12a,12b,12c,…)と、少なくとも1枚以上のウェハの組毎に、半導体装置の生産方法データ,前記測定データ,この測定データに対応した工程のスペック,推定イールド,ロット投入日時データ,工程予定日データ,各工程毎の実際の完了日データ,半導体装置の完成予定日データを、半導体装置のロット番号データに対応して前記工程毎に記憶するデータベース(例えば、データベース2)と、前記前記スペックと前記測定データに基づいて、前記測定データから最終的なイールドである推定イールドを演算する推定イールド演算部(例えば、推定イールド演算部1a)と,ユーザの入力した前記各データ及び前記推定イールドに基づいて、発注された半導体装置の製造管理を行う製造管理部(例えば、製造管理部1b)とを有するサーバとを具備し、前記サーバが情報通信回線(例えば、情報通信回線I)を介してユーザ端末(例えば、ユーザ端末U1,U2,U3)と接続され、このユーザ端末から入力される前記各データの書き込み及び読み出しを、前記データベースに対して行うことを特徴とする。
【0008】
本発明の半導体装置製造管理システムは、前記製造管理部が1枚以上のウェハの組毎に、前記生産方法データ,ロット投入日時データ,及び前記完成予定日データに基づき、ロット管理に用いる、各工程毎の工程予定日時データからなる工程表(例えば、図13のテーブル,処理予定表)を作成し、この工程表に基づいて各ロットの工程を管理し、半導体装置の製造管理を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明の半導体装置製造管理システムは、前記推定イールド演算部が、ロットの工程が終了し、前記スペックに基づいてプロセスパラメータの測定を行った後、この測定データ,前記スペック及び過去のデータの統計値から、最終的なイールドである推定イールドの演算を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明の半導体装置製造管理システムは、前記ユーザ端末が、前記半導体装置の前記工程毎にユーザの入力するスペック,測定を行うウェハ上の位置を示す測定位置データ,測定を行う測定エレメントの種類を示すエレメントデータをロット番号と共に前記サーバに出力し、このサーバが入力される前記スペック,測定位置データ及びエレメントデータを、前記データベースにおいてロット番号データに対応する半導体装置の領域に書き込むことを特徴とする。
【0011】
本発明の半導体装置製造管理システムは、ユーザ端末が、ユーザの前記推定イールドに対応して入力する再投入日データ及び再投ウェハ枚数データを前記サーバに出力し、このサーバが入力される前記再投入日データ及び再投入ウェハ枚数データに基づいた製造計画に対応して、この再投入ウェハ枚数データに応じたウェハ枚数を有するロットの各工程毎に、前記工程予定日データを書き込むことを特徴とする。
【0012】
本発明の半導体装置製造管理システムは、前記製造管理部が工程毎の前記測定の結果、推定される推定イールドが、ユーザの指定する最低イールドを下回った場合、前記ユーザ端末へ検出結果を通知することを特徴とする。
【0013】
本発明の半導体装置製造管理システムは、前記インライン測定装置が、絶縁膜を介して積層された配線パターン間の電気的接続を行う、この絶縁膜を貫通して形成された穴に、電子ビームを照射して、この穴の形成状態に応じて流れる電流値を測定し、測定された電流値を前記測定データとして出力することを特徴とする。
【0014】
本発明の半導体装置製造管理システムは、前記推定イールド演算部が、前記工程毎の推定イールドを過去のデータに基づき演算し、この推定イールドから1枚以上のウェハの組毎の良品数を演算し、この良品数及び製造装置の稼働率に基づいて半導体装置の予想価格を演算することを特徴とする。
【0015】
本発明の半導体装置製造管理方法は、ユーザが各1枚以上のウェハの組毎に入力する、少なくとも半導体装置の生産方法データ,前記測定データ,この測定データに対応した工程のスペック,ロット投入日時データ,工程予定日データ,各工程毎の実際の完了日データ,半導体装置の完成予定日データを、ユーザ端末から入力する工程と、前記生産方法データ,前記測定データ,前記スペック,前記ロット投入日時データ,前記工程予定日データ,前記完了日データ,前記完成予定日データを、データベースに記憶する工程と、複数の製造装置において、順次処理する工程毎に対応するプロセス処理が行われる工程と、前記各工程毎にプロセスに対応したプロセスパラメータの測定が行われる工程と、この測定結果の測定データと各工程のスペックとに基づいて、各1枚以上のウェハの組毎に、最終的なイールドである推定イールドを演算する工程と、この推定イールドが対応する1枚以上のウェハの組毎に、前記データベースへ記憶される工程とを有し、ユーザの入力した前記各データと前記推定イールドとに基づいて、発注された半導体装置の製造管理を行うことを特徴とする。
【0016】
本発明の製造管理プログラムは、上記システムのいずれかに記載の半導体装置製造管理システムを用いて、半導体製造管理を行う製造管理プログラムであって、ユーザが各1枚以上のウェハの組毎に入力する、少なくとも半導体装置の生産方法データ,前記測定データ,この測定データに対応した工程のスペック,ロット投入日時データ,工程予定日データ,各工程毎の実際の完了日データ,半導体装置の完成予定日データを、ユーザ端末から入力する工程と、前記生産方法データ,前記測定データ,前記スペック,前記ロット投入日時データ,前記工程予定日データ,前記完了日データ,前記完成予定日データを、データベースに記憶する工程と、複数の製造装置において、順次処理する工程毎に対応するプロセス処理が行われる工程と、前記各工程毎にプロセスに対応したプロセスパラメータの測定が行われる工程と、この測定結果の測定データと各工程のスペックとに基づいて、各1枚以上のウェハの組毎に、最終的なイールドである推定イールドを演算する工程と、この推定イールドが対応する1枚以上のウェハの組毎に、前記データベースへ記憶される工程とを有し、ユーザの入力した前記各データと前記推定イールドとに基づいて、発注された半導体装置の製造管理をコンピュータに行わせることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態による半導体装置製造管理システムの構成を示すブロック図である。
本発明の半導体装置管理システムは、基本的に、半導体製造センタCとインターネットを介して接続された複数のユーザ端末U1,U2,U3,…とから構成されている。
半導体製造センタCの内部には、製造ライン10,サーバ1,データベース2が設けられ、このサーバ1が情報通信回線Iを介して、パーソナルコンピュータ等で構成されるユーザ端末U1,U2,U3,…と接続されている。
ここで、情報通信回線Iは、インターネット,ISDN(サービス統合デジタル網),公衆回線等が用いられる。
また、サーバ1及びユーザ端末U1,U2,U3,…には、情報通信回線Iを介してデータの送受信を行う機能が設けられている。
【0018】
製造ライン10には、半導体装置を形成する各工程の処理を行う製造装置11a,11b,11c,11d,…が、プロセスフローの示す工程の順番に直列に設置されている。
また、製造ライン10において、製造装置11a,11b,11c,11d,…の後段、すなわち各製造装置の間には、それぞれインライン検査装置12a,12b,12c,12d,…が設けられている。
このインライン検査装置12a,12b,12c,12d,…は、各々製造装置11a,11b,11c,11d,…の工程で処理されたロット毎に、このロットを構成するウェハ内の所定の位置のチップに対して、工程に対応したプロセスパラメータに対する測定を行い、測定データを出力する。
【0019】
本発明の最も特徴的な部分は、上記のように、インライン検査装置12a,12b,12c,12d,…で測定された測定データを、各ユーザ毎のロット毎のロット番号に対応させてデータベース2に記憶させ、ロットを製造ライン10で流しているユーザ自身が、このデータベース2における上記検査データに基づいて、各ロットの製造管理を、情報通信回線Iを用いて行う点である。
本明細書において、ロットとは、1枚または複数のウェハ(1枚以上のウェハ)で構成された製造の処理単位を示すこととする。
これは、ロットを分割した場合や試作の場合に、1枚のウェハ単位で流す事もあり、他のロットに対して独立してプロセスの工程を経て製造されるため、1枚のウェハでもロットとしての管理を行う必要があるためである。
【0020】
このとき、上記プロセスパラメータに対するスペックもユーザが指定した値が用いられる。
また、サーバ1は、上記スペック,測定データ及び補正値とから、各工程毎に推定イールド(例えば、単位が%)を演算して、各ロット毎に、ロットを構成するウェハ枚数を示すウェハ枚数データとともに、このロット番号に対応させてデータベース2に記憶させる。
【0021】
この推定イールドは、各工程の終了後に、インライン装置により測定される測定データを、対応するスペックと比較して得られる各工程毎のイールドから、以降の工程が全て100%のイールドであると仮定して、全ての工程が終了した時の最終的なイールドとして、サーバ1に設けられた推定イールド演算部1aにより演算される。
これにより、ユーザは、各工程が終了する毎に、推定イールドから最終的に納入可能となる半導体装置(チップ)の個数を確認することができる。
すなわち、ユーザは、本発明の半導体装置製造管理システムにおいて、投入したロットの各工程の終了時において、予測された最終的な納入可能な半導体装置の個数を確認しながら、納入数が少ない場合に新たなロットを投入する等の製造管理が行える。
【0022】
以下、図1に戻り、本発明の半導体装置製造管理システムの構成の詳細な説明を行う。
例えば、製造装置11aは、半導体装置の絶縁膜をフォトリソグラフィ処理後にエッチングし、この絶縁膜に貫通した穴を開ける装置である。
すなわち、製造装置11aは、絶縁膜が介挿されて絶縁される拡散層と後に形成される配線と(または配線と配線と)を接続させるため、各々コンタクトホール(またはビアホール)を形成する。
この製造装置11aの工程としては、上記絶縁膜の上面にレジストを塗布し、コンタクトホールのパターンのマスクを用いたフォトリソグラフィ処理により、レジストにコンタクトホールのパターンを形成する。
【0023】
そして、製造装置11aのエッチング装置により、コンタクトホールのレジストのパターン対して異方性エッチングを行い、パターンに応じたコンタクトホールを前記絶縁膜に形成する。
すなわち、製造装置11aは、例えばフォトリソグラフィ処理を行うステッパとエッチング装置とで構成されている。
【0024】
また、製造装置11aの工程の前にシリコン基板に不純物が拡散される拡散工程と、この拡散層の上面に層間絶縁膜(絶縁膜)としてシリコン酸化膜を堆積させる絶縁膜堆積工程とが行われている。
ここで、この製造装置11aの前段の製造装置である絶縁膜を形成する製造装置,及びイオンプランテーション装置など半導体装置を製造する他の製造装置は省略されている。
【0025】
製造装置11bは、パターン化されてトランジスタ間の配線となる導電性の薄膜を堆積する工程を行うCVD(化学的気層成長)装置等である。
また、製造装置11cは、製造装置11bにおいて堆積された薄膜のパターン化を行う装置である。
すなわち、製造装置11cは、上記薄膜をフォトリソグラフィ処理後にエッチングし、配線として、導電性の配線パターンを形成する装置である。
【0026】
この製造装置11cの工程としては、上記導線性の薄膜の上面にレジストを塗布し、配線のパターンのマスクを用いたフォトリソグラフィ処理により、レジストによる配線のパターンを形成する。
そして、製造装置11cのエッチング装置により、配線のレジストのパターン対して異方性エッチングを行い、パターンに応じたコンタクトホールを前記絶縁膜に形成する。
すなわち、製造装置11cは、例えばフォトリソグラフィ処理を行うステッパとエッチング装置とで構成されている。
【0027】
インライン検査装置12aは、製造装置11aの工程のプロセスパラメータとして、エッチング装置でエッチングする前段階のフォトリソグラフィ処理後に、レジストのコンタクトホールのパターンの直径の測定と、エッチング装置によるエッチング後の、絶縁膜に明けられたコンタクトホールの底面積とを測定して、ロット番号とともにサーバ1へ出力する。
すなわち、図2(a)に示す様に、電子ビーム31をコンタクトホールやビアホールが円であればこの円の直径より長い検出範囲を有する長尺上の電子ビームをコンタクトホール43及び図示しないビアホールに照射する。
【0028】
そして、インライン検査装置12aにおいて、電流計9は電子ビーム31が照射されることにより流れる電流を検出する。
このとき、電子ビーム31が絶縁膜41に照射されている場合、絶縁膜を介して流れる微少な電流値を検出する。
一方、電子ビーム31がコンタクトホール43の部分を照射している場合、半導体である下地基板42に電子ビーム31が照射されるため、絶縁膜41に照射された場合に比較して大きな電流が電流計9により検出される(図2(b))。
【0029】
すなわち、インライン検査装置12aは、コンタクトホール43において、コンタクトホール43により露出されている下地基板42の面積に応じて流れる電流を検出電流として測定することにより、予め単位面積当たりの電子ビームにより流れる電流の電流値の積分値を測定し、この単位電流値の積分値と測定された上記検出電流の電流値の積分値とを比較することにより、コンタクトホール43の底の面積を推定することができる。
【0030】
また、図3(a)に示すように、コンタクトホール43やビアホールが照射面積内に含まれる電子ビーム51を用いても、図2の場合と同様に、絶縁膜41に照射された場合に比較して大きな検出電流が電流計9により検出される(図3(b))。
この場合、一括してコンタクトホール全体を測定することが出来るため、得られる検出電流がコンタクトホールの底面積に対応した値となる。
インライン検査装置12aは、予め単位面積当たりの電子ビームにより流れる電流の電流値の積分値を測定し、この単位電流値の積分値と測定された上記検出電流の電流値とを比較することにより、コンタクトホール43の底の面積を推定することもできる。
【0031】
インライン検査装置12bは、製造装置11bの工程のプロセスパラメータとして、堆積した薄膜の厚さと、薄膜のシート抵抗とを測定して、ロット番号とともにサーバ1へ出力する。
インライン検査装置12cは、製造装置11cの工程のプロセスパラメータとして、エッチング装置でエッチングする前段階のフォトリソグラフィ処理後に、レジストの配線のパターンの幅の測定と、エッチング装置によるエッチング後の配線の欠陥の有無とを測定して、ロット番号とともにサーバ1へ出力する。
【0032】
ここで、インライン検査装置12cは、レジストの配線のパターンの幅の測定を、触針式の装置で行う。
しかしながら、エッチング後の配線の欠陥の有無に付いては、インライン検査装置12aと同様に、図4に示すように、電子ビームを用いて測定を行う。図4は、電子ビームによる配線のパターンの欠陥の有無の検査、特に、配線のパターンが縦方向に同じ形状を有する場合の検査例を説明する概念図である。図4(a)は良品チップの測定例を示し、図4(b)は配線のパターンに欠陥を有する不良品チップの測定例を示す。
例えば、図4において、走査方向に対して10nmの幅、走査方向に対して垂直方向の長さ数μmの線状の電子ビームを、各チップにおける測定領域に照射する。
【0033】
この測定法の原理である電流測定法で得られる電流値は、同時照射されている配線のパターンがそれぞれ生じる電流の合計値が測定されることである。
すなわち、インライン検査装置12cは、細い線状の電子ビームが、それぞれの配線のパターン部分に照射したときに生じる電流値を合計した電流値を測定する。
図4(a),(b)の測定例では、電子ビーム161が位置aないし位置bを通過するときには、良品チップでも不良品チップでも、ぞれぞれ配線162,164による同様な値の電流が検出される。
【0034】
一方、電子ビーム161が位置cないし位置dを通過するとき、良品チップでは配線163による電流が観測されるのに対し、不良品チップでは配線165による小さな電流値しか検出されない。
したがって、大きな電流波形の違いが生じ、配線のパターンの欠陥であるパターン欠陥166の存在が検出される。
すなわち、電子ビーム161の走査に対して、配線の位置が重なっている場合にも、不良チップの検出及び不良位置の特定を行うことができる。
【0035】
上述した測定は、ロット毎に、各ロット内の複数のウェハを選択し(または全てのウェハにおいて)、これらのウェハ内の複数の位置にあるチップにおいて各工程毎のプロセスパラメータの測定を行う。
この測定位置は、図5に示すように、ウェハ内の測定されるチップを示す測定領域Aとして、予めユーザが指定する。この測定位置を示す測定位置データは、ユーザがユーザ端末U1から入力し、サーバ1によりデータベースCにロット番号に対応して記憶される。
【0036】
また、ユーザは、上記測定位置データの示すチップに配置されたTEG(Test Element Group)から、流しているロット毎に明確な推定イールドが演算できるエレメントの形状や種類を、各プロセスパラメータ毎に選択することができる。例えば、ユーザは、コンタクトホールの底面積を測定する場合、図6に示すように直径の異なった円状のコンタクトホールのテストエレメントTS1,TS2及びTS3のなかから、このロットに適したテストエレメントを選択する。
この測定エレメントを示すエレメントデータは、ユーザがユーザ端末U1から入力し、サーバ1によりデータベースCにロット番号に対応して記憶される。
【0037】
また、インライン検査装置12a,12b及び12c,…は、全ウェハにおいて測定されたチップ毎の測定データを、工程毎に、各工程の測定データが予め設定されたスペックの範囲内にあるか否かの判定を行い、この判定結果をサーバ1へ出力する。
このスペックは、各ロット毎に、図7に示すように、ロットのプロセスフローに対応した各工程毎に設定される。
図7は、工程毎の各スペックの上限及び下限の範囲を示す設定表の概念図である。
ここで、中心値とは、各製造装置において、通常の工程処理を行った場合の各プロセスパラメータの中央値、すなわち図8に示すようなポアソン分布のピーク値を示している。
【0038】
そして、図8における測定値の範囲Lを規格化して、図7において、測定値A(図8)を規格化された値を規格値STDAとし、測定値B(図b)を規格化された値を規格値STDBとして、各製造装置において測定データの取りうる範囲を定める。
これにより、ユーザは、この規格値STDA及びSTDBの間で、各工程のスペックの範囲を規定する。
そして、推定イールド演算部1aは、各工程終了後に、図9に示す概念に基づいて、良品数を演算する。
【0039】
すなわち、測定したチップの測定データを値の小さい順に並べて、この測定データの値が、スペック範囲、すなわち上限値STDAと下限値STDBとの間に入っているチップの数(良品数)を計数する。
ここで、図9において、縦軸は規格化された測定値であり、横軸は規格化された測定値を小さい順位並べたときのチップの番号を示している。測定値が同じ値のチップが存在するときにも、それぞれ異なった番号を付けて並べる。
そして、ウェハ毎に、この良品数を測定数で除算すると、ウェハ単位のイールド(ウェハイールド)を演算することができ、ロット内の各ウェハで測定されたチップをロット単位でまとめて、ロット全体の良品数を、ロット全体の測定数で除算すればロット単位のイールド(ロットイールド)が演算できる。
【0040】
また、上述したスペックの範囲と良品チップの番号との関係は、図10に示すテーブルとしてデータベース2にロット番号に対応して記憶されている。
この図10において、工程No.として示された各工程の番号に対応して、工程毎のプロセスパラメータのスペックの範囲が示されている。
例えば、工程1aは、コンタクトホール作成の場合のコンタクトホールのレジストのパターンを形成するリソグラフィ工程である。
【0041】
そして、工程1aにおけるプロセスパラメータがパターンであるホール(穴)の直径であるので、例えば、スペックの範囲として、上限値「2μm」,下限値「1.5μm」として、ユーザに規定されている。上限値及び下限値の欄における各数値の後ろに示されている( )内の数値は、各々規格化された上限値STDA,下限値STDBの数値である。
【0042】
同様に、工程1bは工程1aにおけるレジストのパターンに基づき、エッチング処理を行い、絶縁膜に拡散層に達するコンタクトホールを形成するエッチング工程である。
そして、工程1bにおけるプロセスパラメータが絶縁膜に開けたコンタクトホールの底面積であるので、スペックの範囲として、上限値「12.6μm2」,下限値「7μm2」として、ユーザに規定されている。
【0043】
ここで、工程1aの平坦領域開始位置とはスペックの範囲の下限値以上となったチップの番号を示し、平坦領域終了位置とはスペックの範囲の上限値を超えたチップの番号が示されている。
このテーブルに基づいて、ロットにおいて測定された全てのチップを、図9と同様に測定データの小さい順に並べて作成し、推定イールド演算部1aは、ロット全体のスペックの範囲にある良品チップの数を算出する。
この良品数は、「(平坦領域終了位置のチップ番号)−(平坦領域開始位置のチップ番号)」の式により求めることができる。
【0044】
すなわち、推定イールド演算部1aは、各工程の終了時において、ロット内の複数のウェハを選択し(またはロットの全てのウェハにおいて)、各ウェハ毎に複数測定したチップをロット全体で合計し、この合計数により、ロット全体においてスペック内に測定データが入っているチップの総数を割ることにより、各工程が終了した時点での、各工程終了時の工程毎の工程イールドが求められる。
例えば、図9において、工程1aの工程イールドは、ロットにおいて測定されたチップの総数が「100」個であるとすると、「80(平坦領域終了位置のチップ番号)−4(平坦領域開始位置のチップ番号)=76」個と求まる良品数を、この「100」個で除算すれば、「76%」と求まる。
【0045】
次に、推定イールドの計算方法について説明する。
推定イールドは、工程イールドに、補正値を乗算することにより求める。
この補正値は、過去の実績から統計的に求められた数値であり、各工程で求められた工程イールドが、製造工程が全て終了した時点における最終的なイールドとなるかを算出するための係数である。
すなわち、補正値は、過去の複数ロットにおいて各工程毎の工程イールドにより、それぞれの最終的なイールドを除算した数値を平均化したものであり、各工程毎に求められる。
【0046】
また、この補正値は、プロセスの種類(製造ライン)やロットの流し方(生産方法)により異なるため、製造ラインと生産方法との組み合わせに対応して、各工程毎に複数の補正値から、推定イールド演算部1aにより選択される。
ここで、プロセスの種類としては、たとえば、図11に示すテーブルにより分類されているデザインルールの区別がある。
図11において、ライン番号とは半導体装置を製造する製造装置が、クリーンルームにおいて直線上に設置されているラインの番号を示す。
デザインルールに示されている数値は、半導体設計におけるMOSトランジスタのゲート長の最小線幅等を示し、各ラインが対応可能な加工精度の能力を示す。
【0047】
また、生産方法としてのロットの流し方とは、例えば、図12に示すように、ファースト納期重視コース(生産方法1),納品日個数重視コース(生産方法2),トータルコスト重視コース(生産方法3),品質重視コース(生産方法4)がある。
ファースト納期重視コースの生産方法は、製品の試作等で組み込むための半導体装置を製造する場合に選択され、納入される良品数や品質を無視して、選択された製造ライン10において最優先で処理が行われる。
このため、半導体装置の1個当たりの価格は、ファースト納期重視コースの製造方法において、非常に高くなる。
【0048】
納品日個数重視コースの生産方法は、各製造ライン10において、標準のスピードで処理が行われ、決められた納期に、納入される良品の個数を最優先とする。
トータルコスト重視コースの生産方法は、選択された製造ライン10において、稼働していない時間帯を選んで処理を行うため、生産完了までは時間がかかるが、製造ライン10の遊休時間帯を有効に使用できるため、製造のコストを安くすることが可能である。
すなわち、トータルコスト重視の生産方法は、完成までの時間が増加するが、半導体装置1個当たりの価格を低下させることができる。
【0049】
品質重視コースの生産方法は、各製造ライン10の各製造装置11において、各工程のプロセスチェックを事前に行った後に、実際のロットの処理を行うため、各工程の処理時間がかかり、プロセスチェックの手間もかかるために半導体装置1個当たりの価格が非常に高くなる。
さらに、この品質重視コースの生産方法は、出荷する半導体製品の品質を向上させるために、各工程のプロセスパラメータの測定データに対するスペックの範囲を狭めるため、スペックをユーザの十分満足する品質が実現出来る代わりに、ロットから得られるチップの良品数が減少し、このことからもチップ1個当たりの価格が非常に高くなる。
【0050】
このため、例えば、コンタクトホールをエッチング形成した工程1bの工程イールドから推定イールドを求めるとき、工程1bの工程イールドに乗ずる補正値は、ライン2(図11)で生産した場合、生産方法1に対して「0.1」、生産方法2に対して「0.8」、生産方法3に対して「0.9」,生産方法4に対して「0.2」が設定されている。
ここで、生産方法1の補正値が低いのは、納期優先で生産するために、スペックの範囲を大きく取り、本来の良品としてのスペックの範囲を超えた数値を基準として、半導体装置の生産を続けるため、最終的なイールドが非常に低くなるためである。
【0051】
また、生産方法4の補正値が低いのは、品質優先で生産するために、スペックを従来のスペックの範囲をより狭めた数値を基準として、半導体装置の生産を行うことにより、各工程毎において良品数が少なくなり、最終的に良品数が大幅に減少し、イールドが減少するためである。
上述した生産ライン及び生産方法の各コースの選択は、ユーザが生産するロットのデザインルール,及びチップを使用する用途に応じて、それぞれ合わせて、ユーザ端末、例えばユーザ端末U1を用いて行う。
【0052】
上述してきたユーザにより各々設定されたデータは、図13に示す構成でデータベース2に記憶されている。
図13において、「オーダー形態」として、「ユーザ名」には発注元などのユーザの名称が示されており、以下の各構成はこのユーザ名に対応して記憶されている。
「品名」としては製品の名称が示され、「ロット番号」にはロットの番号が示されている。
【0053】
さらに、以下に説明する構成は、このロット番号に対応して各々記憶されている。
そして、「生産方法」の欄には、図12で示した生産方法の各コースのなかから、ユーザが対応するロットに対して選択したコースを示す。
また、「ライン名」は、図11で示したラインのなかから、ユーザが対応するロットのデザインルールに合わせて選択したラインのライン番号を示す。
【0054】
オーダー形態の右側の欄は、選択したライン番号のラインにおける製造工程に含まれる工程が、プロセスフローの順に、すなわち図10と同様の工程の順番に並んで、各工程の欄がある。
この工程の欄には、例えば、コンタクトホールのリソグラフィ工程である工程1a、コンタクトホールを形成するエッチング工程である工程1bなどが示される。
この工程の欄には、さらに分化された、「予定日」,「完了日」、「推定イールド」の各欄がある。
【0055】
この「予定日(工程予定日時データ)」は、製造管理部1bが各々のロットに対して、ユーザの入力したこのロットに対するロット投入日と完成希望日と生産方法の種類とに基づき、ユーザの指定した製造ラインで製造されている他のロットとの調整を行った後に求められた、ロットごとの行程を行う予定日である。
すなわち、製造管理部1bは、ユーザの入力する生産方法の種類とロット投入日と完成希望日とに基づいて、各工程毎の処理予定表のいずれの日時に処理が可能かを検出して、このデータに対応するロットの処理を行う予定日の算出を行い、ロット番号に対応させてデータベース2へ記憶させる。
ここで、処理予定表とは、それぞれのラインの各工程毎に、ラインを流れているロットを、何日の何時〜何時に処理するかのスケジュールを示す予定表であり、製造管理部1bにより作成される。
【0056】
そして、製造管理部1bは、この処理予定表に基づいて、各製造装置11a〜11c,…の動作の管理を行うことで、各ロットの工程管理を行い、各工程終了後にインライン検査装置12a〜12c,…により、各工程に対応したプロセスパラメータの測定データを測定してサーバ1へ送信する。
また、サーバ1は、製造管理部1からの測定データを、データベース2へ各ロットに対応して記憶させる。
【0057】
また、「完了日(完了日データ)」は、上記予定日に対して、実際に実行された日が記述されており、完了していないロットに関してはこの欄が空白(データが入力されていない)状態となっている。
ここでの「推定イールド」は、この工程、例えば工程1aにおいて、完了した工程処理後の測定された測定データから、前述の推定イールドの演算方法により演算された推定イールドが示される。
この図13のテーブルは、ユーザがユーザ端末U1(またはU2,U3)からロット番号を入力して、ロットの進捗状況を問い合わせると、ユーザ端末U1の画面に表示される。
【0058】
このとき、サーバ1は、ユーザがユーザ端末U1を介して入力したロット番号に基づいて、データベース2からユーザの要求するロット番号のロットに対応するデータのブロック、すなわち図13に示すテーブルに示す各データを抽出して、ユーザ端末U1へ出力する。
そして、ユーザ端末U1は、表示画面に図13のテーブル形式で、要求したロット番号に対応してサーバ1から出力されるロットの各データを表示する。
【0059】
また、このテーブルにおいて、ユーザが「工程1a」と表示された下部の「予定日」,「完了日」及び「推定イールド」と表示された領域をマウスでクリックすることにより、先に説明した図10のテーブルが表示される。
このとき、図13のテーブルにおいてクリックされた欄の工程に対応して、図10のテーブルのこの工程の欄の背景色が他の工程の欄と変わって表示され、ユーザは、対応する工程の測定データの状況やプロセスパラメータのスペック等の確認が行える。
【0060】
このとき、サーバ1は、ユーザがユーザ端末U1を介して入力したロット番号に基づいて、データベース2からユーザの要求するロット番号のロットに対応する各工程のデータのブロック、すなわち図10に示すテーブルに示す各データを抽出して、ユーザ端末U1へ出力する。
そして、ユーザ端末U1は、表示画面に図10のテーブル形式で、要求したロット番号に対応してサーバ1から出力されるロットの各データを表示する。
【0061】
さらに、図13のテーブルにおいて、「ロット番号」と表示された下部の各ロットのロット番号が表示されている領域をクリックすることにより、図14に示すテーブルが表示される。
このとき、サーバ1は、ユーザがユーザ端末U1を介して入力したロット番号に基づいて、データベース2からユーザの要求するロット番号のロットに対応する各工程のデータのブロック、すなわち図14に示すテーブルに示す各データを抽出して、ユーザ端末U1へ出力する。
そして、ユーザ端末U1は、表示画面に図14のテーブル形式で、要求したロット番号に対応してサーバ1から出力されるロットの各データを表示する。
【0062】
この図14のテーブルは、各ロット毎の半導体装置の製造過程の履歴が表示されており、ユーザの製造管理の基本となる各データが示される。以下、このテーブルに示されるデータを順次説明する。
「計算日」に対応する欄には、各工程の以下に説明するデータを演算した日が示される。
「現在工程」に対応する欄には、例えば、ロットを投入した日を示す「投入日」や「コンタクト(工程1a及び工程1b)」工程等のように、各工程の名称が示される。
【0063】
「完成予定日(完成予定日データ)」の欄には、ユーザの入力した完成希望日もしくは、製造管理部1bが各工程の処理を終了した時点で演算した完成予定日とのいずれかが示されている。
製造管理部1bは、ユーザからのロット投入日(ロット投入日時データ)と完成希望日(完成希望日データ)と生産方法の種類とに基づいて算出される各工程の前記予定日から、各工程の処理予定表における調整後の結果として、完成予定日を求め、この完成予定日をデータベース2へロット番号に対応させて、記憶させる。
そして、この完成予定日は、通常、製造管理部1bの演算したデータであり、ロットを流している製造ラインの稼働率や他のロットとの調整により、工程の終了時に変化する。
「予定納品数」の欄には、各工程の終了時に算出される推定イールドと、ロットの全チップ数とから、推定イールド演算部1aにより演算される半導体装置の予想良品数が示される。
【0064】
「チップ単価」の欄には、推定イールド演算部1aが、良品となった半導体装置(チップ)の単価、すなわちこのロットの製造に要した費用である「総コスト」を、上記予定量品数で除算することにより、1チップの価格が示される。
ここで、推定イールド演算部1aは、各工程の終了毎に、最終的な半導体装置の価格が推定されることとなる。
「総コスト」の欄には、上述したように、ロットの製造にかかる費用の総合計の価格が示される。
【0065】
「備考」の欄には、ロットの各工程における処理において、何らかの変更が行われる場合に、この変更に対応した記述が行われる。
例えば、配線工程において、フォトリソグラフィの工程3aでレジストのパターンの幅がスペック範囲からはずれており、推定イールドが非常に低く演算された場合、このフォトリソグラフィをやり直す必要がある。
ユーザがこの配線工程をやり直すことをサーバ1に通知した場合、サーバ1はレジストを除去して、新たなリソグラフィの処理を行うため、この備考の欄に「100%再工事選択」との文字データを示す。
【0066】
そして、製造管理部1bは、このフォトリソグラフィの工程の再処理を行う日時を、処理予定表に基づき新たに調整する。
このとき、サーバ1は、新たなリソグラフィの処理を行う工程のため、この備考の欄に「100%再工事」との文字データを示す。
また、推定イールド演算部1aは、工程の再処理が終了した時点で、新たに推定イールドを演算し、この推定イールドに基づき、予定納品数とチップ単価とを再度演算して、データ更新を行い、この更新結果を対応する欄に示す。
【0067】
上述してきたように、本発明の半導体装置製造異管理システムは、半導体センタに設けられた複数の製造装置11a,11b,11c,…と、各製造装置の工程に対応したプロセスパラメータの測定を行い、測定結果を半導体装置のロット単位に測定データとして出力するインライン測定装置12a,12b,12c,…と、生産方法のデータ,測定データ,この測定データに対応した工程のスペック,推定イールド,ロット投入日のデータ,予定日のデータ,工程の完了日のデータ,半導体装置の完成予定日のデータ等の図5〜図15において説明してきた各データからなるロット毎の管理データを、半導体装置のロットに付されたロット番号のデータに対応して工程毎に(すなわち、ロット番号に対応した領域の工程毎の部分に)記憶するデータベース2と、スペックと測定データとに基づいて、測定データから推定イールドを演算する推定イールド演算部1aと、上記管理データ,完成希望日のデータに基づいて、発注された半導体装置の製造管理を行う製造管理部1bとを有するサーバ1とから構成されている。
【0068】
そして、サーバ1が情報通信回線Iを介してユーザ端末U1,U2,U3と接続され、このユーザ端末U1,U2,U3からユーザの入力するスペック,完成希望日(完成希望日データ)及びロット投入日時(ロット投入日時データ)と、管理データとの各データの書き込み及び読み出しを、データベース2対して行う。
【0069】
また、図13の「品名」の欄の下部の品名が示されている領域をクリックすると、図15に示すテーブルが表示される。
このとき、サーバ1は、ユーザがユーザ端末U1を介してクリックすることにより入力した品名に基づいて、データベース2からユーザの要求する品名に対応するウェハ投入ポートフォリオの構成を示すデータ、すなわち図15に示すテーブルに示す各データを抽出して、ユーザ端末U1へ出力する。
【0070】
そして、ユーザ端末U1は、表示画面に図15のテーブル形式で、要求した品名に対応してサーバ1から出力されるロットの各データを表示する。
すなわち、ポートフォリオの構成でロットを製造している場合、品名により1つのグループを形成しているため、製造管理を行うときにグループ内のロット番号のロットについて確認する時も、図15には品名のグループ内のロット番号が全て表示される事になる。
そのため、ユーザが個別のロットの予定良品数を確認するときは、図14のテーブルにおける予定納品数で行う必要がある。
【0071】
図15のテーブルにおいて、1つの品名の製品は、複数のロットで製造されており、このロットが各々別のロットである場合もあるが、1つのロットを複数に分割して製造することもある。
たとえば、エンジニアリングサンプル(ES)として、急いで必要なチップの個数と、サンプル出荷に必要なチップの個数と、信頼性テストに必要なチップの個数との合計したチップ数が1ロットで十分な場合には、1つのロットを分割して、この分割して出来たロットを各々の使い道に振り分けて、必要な生産方法を指定することとなる。
【0072】
例えば、図15においては、クリックされた品名の半導体装置が、ロット番号「XX」のロットを、ロット番号「XXA」,「XXB」及び「XXC」の3つに分割し、各々の運用方法を生産方法1,生産方法2,生産方法3として、生産されていることを示している。
混合率は、品名全体のなかでのロット番号「XXA」,「XXB」,「XXC」の各ロットの構成割合を示している。
【0073】
ここで、品名全体で10枚のウェハが生産されているとすると、ロット番号「XXA」の混合率が「60(%)」であるので、ウェハ枚数が6枚であり、ロット番号「XXB」の混合率が「20(%)」であるので、ウェハ枚数が2枚であり、ロット番号「XXC」の混合率が「20(%)」であるので、ウェハ枚数が2枚である。
また、「初期チップ出荷日」の欄には、製造管理部1bの各コースの完成予定日の演算に基づき、各生産方法のコースにおいて、最も早く半導体の完成する生産方法のコースの完成予定日が示される。
【0074】
さらに、「予想良品数」の欄には、推定イールド演算部1aが各工程の推定イールドに基づいて、各ロット毎の上記予定納品数を演算し、この各ロット毎の予定納品数に基づいて、ポートフォリオ全体で得られる全良品数を演算する。
加えて、「予想チップコスト」の欄には、推定イールド演算部1aがポートフォリオを構成する各ロット毎のチップ単価を演算し、この各ロットのチップ単価に基づき、推定ポートフォリオを構成しているロット全体において平均したチップコストの演算を行った結果が示される。
【0075】
すなわち、上述したウェハ投入ポートフォリオ(上述してきたポートフォリオ)とは、通常の証券会社や銀行が行っているポートフォリオと同様で、最終的に得られるチップ数(運用益に対応)と、チップ出荷日(運用期間)とにより少ない生産コストで高い運用益としてのチップを得るためのロットの生産方法の組み合わせを示している。
ユーザは、この初期チップ出荷日や予想チップコストを確認することにより、最終的に必要なチップ数や良品チップを得る日が希望に合致するか否かの判定を行う。
【0076】
次に、図16、図17および図18を参照し、一実施形態の半導体装置製造管理システムの動作例を説明する。
図16は、ユーザの処理、すなわち新たにロットを投入する処理か、またはすでに投入したロットの製造管理を行う処理のいずれかの処理を選択する動作を説明する流れを示すフローチャートである。
図17は、ユーザが新たなロットを投入するときの処理の流れを示すフローチャートである。
図18は、ユーザがすでに投入したロットの製造管理を行う処理の流れを示すフローチャートである。
【0077】
図16のフローチャートの説明を以下に行う。このとき、情報通信回線Iとしてインターネットを用いるとする。
ステップS0において、ユーザは、ユーザ端末U1に設けられているブラウザに、キーボード等の入力装置から半導体製造センタCのURL(Uniform Resourse Locator)を入力し、半導体製造センタCのサーバ1と回線を接続する。
【0078】
次に、ステップS1において、サーバ1は、内部の記憶部に記憶されているプログラムにより、半導体製造センタCのウェブページの画像を、表示画像としてユーザ端末U1へHTML形式の形態で送信する。
この表示画像には、ユーザを確認する、図19に示すユーザIDとパスワードとを入力する入力部(認証入力画面)を有している。
【0079】
次に、ステップS2において、ユーザ端末U1は、ブラウザにより、サーバ1から送信されたウェブページの表示画像を、表示画面に表示する。
そして、ユーザは、ユーザ端末U1の表示画面の図19に示す入力部に、予め与えられているユーザIDと、予めサーバ1に登録したパスワードとを入力する。
これにより、ユーザ端末U1のブラウザ(以下、ユーザ端末U1とする)は、入力されたユーザIDとパスワードとをサーバ1へ送信する。
【0080】
次に、ステップS3において、サーバ1は、入力されたID番号とパスワードとがデータベース2に登録されているか否かの判定を行う。
このとき、サーバ1は、入力されたID番号とパスワードとがデータベース2に登録されていないと判定すると、処理をステップS1に戻し、ユーザに再度のID番号とパスワードとの入力を行わせる処理を行う。
そして、サーバ1は、設定された回数、例えば、入力されたID番号とパスワードとのいずれかが3回とも一致しない場合、回線を切断するなどして、一度ユーザ端末U1との送受信を停止させる。
【0081】
一方、ステップS3において、サーバ1は、入力されたID番号とパスワードとがデータベース2に登録されていると判定した場合、上記認証入力画面と同様に、図20に示す処理内容選択画面をユーザ端末U1へ送信する。
図20の処理内容選択画面には、「新規投入」と「製造管理」との文字が表示されており、「新規投入」が新たにロットを投入する処理を示し、「製造管理」がすでに投入されてラインを流れているロットの製造管理を行う処理を示している。
【0082】
次に、ステップS4において、ユーザ端末U1は、サーバ1から送信された図20に示す処理内容選択画面を、表示画面に表示する。
そして、ユーザは、ユーザ端末U1に表示された処理内容選択画面のいずれかをクリックすることにより、要求する処理を行うことができる。
このとき、ユーザ端末U1は、クリックされた処理の選択情報を、サーバ1に送信する。
【0083】
次に、ステップS5において、サーバ1は、ユーザ端末U1から入力される上記選択情報に基づき、ユーザの希望する処理を判定する。
すなわち、ステップS6において、サーバ1は、この選択情報が新たにロットを投入する処理であるとすると判定した場合、ステップS7の新規ロット投入の処理Aへ処理を進める。
一方、ステップS8において、サーバ1は、この選択情報がすでに投入されたロットの製造管理を行う処理であるとすると判定した場合、ステップS9のロット管理の処理Bへ処理を進める。
【0084】
次に、ステップ7のロットの新規投入の処理を、図17のフローチャートにより説明する。
ステップS70において、サーバ1は、新規投入するロットのロット番号を決定して新たなロットのデータ領域をデータベース2に作成する。
そして、サーバ1は、図12に示すロットの生産方法を選択する、ロットの生産方法の選択表の画像と、図11に示すロットを流す製造ラインの選択を行うテーブルの画像とを、ユーザ端末U1へ送信する。
【0085】
次に、ステップS71において、ユーザ端末U1は、サーバ1から送信されるロットの生産方法の選択表の画像と、製造ラインの選択を行うテーブルとを、表示画面に表示する。
これにより、ユーザは、この生産方法の選択表において「1 ファースト納期重視」コース,「2 納期日個数重視」コース,「3 トータルコスト重視」コース,「4 品質重視」コースのいずれか1つをクリックすることにより、新規投入するロットの生産方法を選択する。
【0086】
同様に、ユーザは、この製造ラインの選択を行うテーブルにおいて「ライン10.1−0.13μm」,「ライン2 0.13−0.15μm」,「ライン3 0.15−0.18μm」,「ライン4 0.18−0.25μm」,「ライン5 0.25−0.35μm」,「ライン6 0.35μm以上」のいずれか1つをクリックすることにより、新規投入するロットの製造ラインを選択する。
このとき、ユーザは、新たに投入するロットのロット投入日及び完成希望日とをユーザ端末U1に、キーボード等から入力する。
そして、ユーザ端末U1は、クリックされた生産方法のデータと、製造ラインのデータと、ロット投入日のデータと、完成希望日のデータとをサーバ1へ送信する。
【0087】
次に、ステップS72において、サーバ1は、ユーザ端末U1から入力される生産方法のデータと製造ラインのデータと、ロット投入日のデータと、完成希望日のデータとを、新たに投入して登録された上記ロット番号に対応させてデータベース2へ記憶させる。
ここで、新たにロットに投入するロットのロット番号は、サーバ1がすでに流れている最終番号のロット番号に「1」を加算することで求める。
そして、サーバ1は、図7に示す各工程毎のスペックの範囲を入力するスペック設定画面の画像と、新たに登録された上記ロット番号のデータとをユーザ端末U1へ送信する。
【0088】
次に、ステップS73において、ユーザ端末1は、図7のスペック設定画面を表示画面に表示するとともに、与えられたロット番号を内部の管理テーブルに品名,ロット投入日,完成希望日に対応させて記憶させる。
そして、ユーザは、各工程毎にスペックの範囲をマウス等で、表示画面に対応して入力する。
また、このとき、ユーザは、図7において、スペック範囲を設定する工程を順次クリックして、キーボードからこの工程のプロセスパラメータに対応したスペック範囲を、クリックして選択した工程毎に、順番に入力することも可能である。
【0089】
次に、ステップS74において、サーバ1は、ユーザ端末U1から入力される各工程のスペック範囲のデータを、新たに投入して登録された上記ロット番号に対応させてデータベース2へ記憶させる。
そして、サーバ1は、図6に示すプロセスパラメータの測定データを測定するテストエレメントの種類を選択する選択画面と、測定を行うウェハ上の位置を選択する画面との画像をユーザ端末U1へ送信する。
【0090】
次に、ステップS75において、ユーザ端末U1は、サーバ1から送信されたテストエレメントの種類の選択画面と、測定を行うウェハ上の位置を選択する画面との画像を、表示画面に表示する。
そして、ユーザは、ユーザ端末U1の表示画面をクリックする事により、テストエレメントの種類を選択する画面に基づき、使用するテストエレメントを選択し、同様に、測定を行うウェハ上の位置を選択する画面に基づき、ウェハ上の測定点を、各工程毎に選択する。
これにより、ユーザ端末U1は、選択されたエレメントを示すエレメントデータと、選択された測定点のウェハ上の位置を示す測定位置データとを、サーバ1へ送信する。
【0091】
次に、ステップS76において、サーバ1は、ユーザ端末U1から入力される各工程のエレメントデータと測定位置データとを、新たに投入して登録された上記ロット番号に対応させてデータベース2へ記憶させる。
そして、サーバ1は、投入時の予想良品数を演算するため、生産方法のコースと、製造ラインとに基づいて、過去の同様の生産方法及び製造ラインの組み合わせの場合の推定イールドをデータベース2から抽出する。
次に、サーバ1は、この抽出された推定イールドと、ロットのチップ総数とを乗算する演算を行うことにより、ロット投入時の予想良品数を算出する。
そして、サーバ1は、この算出したロット投入時の予想良品数を、ユーザ端末U1へ送信する。
【0092】
次に、ステップS77において、ユーザ端末U1は、サーバ1から送信された予想良品数を表示画面に表示する。
そして、ユーザは、表示された予想良品数を確認して、最終的に必要なチップ数が得られるか否かの判定を行う。
このとき、ユーザは、上記予想良品数が必要なチップ数に満たない場合、表示画面上の「不十分」と記載された領域をクリックする。
【0093】
これにより、ユーザ端末U1は、新たなロットの投入(ロットの再投入)を、このロットの枚数を添付して要求する要求データをサーバ1へ送信する。
そして、サーバ1は、ユーザ端末U1から上記要求データを入力すると、処理をステップS6に戻し、新たに再投入する再投入ロットを異なったロット番号とし、同一の品名で行う。この新たな再投入ロットの投入処理は、すでに上述したロットを投入する場合の処理と同様である。
【0094】
すなわち、サーバ1は、推定イールド演算部1a及び製造管理部1bにより、ユーザがユーザ端末U1から入力する完成希望日に基づく製造計画を立て、この製造計画に基づいて予定日のデータを含むデータの算出等の処理を、すでに上述したロットを投入する場合の処理と同様に行う。
このとき、入力されるロットの投入日データは再投入日データとされ、投入されるウェハ枚数は再投入ウェハ枚数データとして、再投入されるロットのロット番号に対応してデータベース2へ格納され、上述したように新たなロットの投入として処理される。
【0095】
また、ステップS77において、ユーザは、予想良品数を確認した後、図21に示す様に、ロットの分割処理が可能である。
すなわち、ユーザがユーザ端末U1を介してサーバ1に分割処理を要求すると、図21に示す分割処理の選択画面の画像をユーザ端末U1へ送信する。
次に、ユーザ端末U1は、サーバ1から送信された分割処理を選択する画面の画像を表示画面に表示する。
【0096】
そして、ユーザは、ユーザ端末U1の表示画面をクリックする事により、分割処理を選択する画面に基づき、ロットの分割処理の方法を選択する。
上記分割処理の表示画面には、分割を行わない「コース1」,半分に分割を行う「コース2」,条件を付けて分岐する「コース3」の3種類がある。
ロットの分割を行わない「コース1」は、通常にロットを流す場合と変わらない。
【0097】
ロットを半分ずつに分割する「コース2」は、どうしても期限内に必要数のチップが必要な場合に、危険分散として1つのロットを半分(場合によっては複数)に分割して、時間をずらして製造ラインで半導体装置の製造を行う。
条件分岐で分割する「コース3」は、1つのロットを分割して、それぞれの分割されたロット毎に生産方法を変更して、図15に示すポートフォリオを1つのロットで組む場合である。
【0098】
このとき、分割前のロット番号が「XX」であると、分割したロット番号は、例えば、3つに分割したとすると「XXA」,「XXB」,「XXC」となる。
この時点から、この新たに投入されたロットに対して、前述した推定イールド演算部1a及び製造管理部1bによる、このロットに対する工程管理及び推定イールドを初めとする図13,14,15における前述した各データの演算が開始される。
【0099】
すなわち、上述の図17のフローチャートの処理が終了した後、図13及び図14のテーブル,及びこのロットの投入された製造ライン(例えば、ライン1〜6のいずれか)各工程の処理予定表に基づいて、ロットの工程管理が製造管理部1bにより行われ、各工程の処理の終了した後にインライン検査装置(12a〜12c,…)により、各工程に対応したプロセスパラメータの測定データの測定が行われる。
【0100】
また、推定イールド演算部1aは、工程が終了して得られる測定データに基づき、各工程の終了時の推定イールド等のデータが演算される。
そして、本願発明の半導体装置製造管理システムは、投入時において推定される最終的なイールドとして、投入時の推定イールドを演算するため、以下に示しように、ロット分割の処理が有効に用いることが可能となる。
【0101】
これにより、本発明の半導体装置製造管理システムは、投入時の推定イールドに基づいて、通常の1ロットを、必要なチップ数を有する複数のロットに分割できるため、時間をずらして流すことにより、先行する分割したロットがプロセスや製造装置の問題により不良となったときに、後続の分割したロットを製造することにより、従来のように最初から新たなロットを流すことなく、必要なチップ数を確実に定められた期間に生産することが可能である。
【0102】
また、本発明の半導体装置製造管理システムは、「コース3」の条件分岐の分割を用い、投入時の推定イールドにより、使用目的別のチップ数及び必要な時期に基づき、上述のポートフォリオの構成をうまく組み合わせることにより、初期に必要なエンジニアサンプリングのチップ(早急に流す必要のある)と、信頼性の試験に必要な品質重視の生産方法で製造されたチップ数と、最終的に必要なチップ数とを、各々の必要な時期及びトータルの価格を低くすることが可能となる。
【0103】
さらに、これまでの説明では、ポートフォリオを1つのロットを分割して、この分割したロットで説明していたが、複数のロット1つのロットを複数の分割したロットとすることは、「品名」をグループとして、複数のロットを管理することと同様であり、ポートフォリオを分割しない複数のロットで行うことも可能である。
【0104】
次に、ステップ9における、すでに投入されたロットの製造管理の処理を、図18のフローチャートにより説明する。
ステップS90において、サーバ1は、製造管理を行うロット番号の入力画面の画像を、ユーザ端末U1へ送信する。
次に、ステップS91において、ユーザ端末U1は、サーバ1から送信されるロット番号の入力画面を、表示画面に表示する。
これにより、ユーザは、この入力画面に対して、キーボード等により製造管理を行うロットのロット番号を入力する。
そして、ユーザ端末U1は、入力されたロット番号のデータをサーバ1へ送信する。
【0105】
次に、ステップS92において、サーバ1は、ユーザ端末U1から入力されるロット番号のデータに基づき、このロットの工程管理のテーブル(図13)を、データベース2から検索する。
そして、サーバ1は、検索された工程管理のテーブルの画像をユーザ端末U1へ送信する。
【0106】
次に、ステップS93において、ユーザ端末1は、サーバ1から入力される図13の工程管理のテーブルの画像を表示画面に表示する。
そして、ユーザは、このロットの工程管理のテーブルにおいて、各工程毎に、工程の予想完了日,工程の実際の完了日及び推定イールドを確認し、また、この図13の工程管理のテーブルから、図14,図15等のテーブルをデータベース2から読み込み、半導体装置の完成予定日,チップ単価,予想納品数,総コスト,初期チップ出荷日,予想良品数及び予想チップコストを、それぞれ確認して、必要な時期及びチップの個数が満足される状態にあるか否かの判定を行う。
【0107】
このとき、ユーザは、図13〜図14の各テーブルにおける数値が満足する状態であれば、次の工程の予想完了日に再度確認することとし、ステップS98のログアウトの処理を行い、サーバ1との回線を切断する。
一方、ユーザは、図13〜図14の各テーブルにおける数値が満足する状態でないと生産方法やロットの製造の継続等を考慮する必要がある。
【0108】
例えば、ポートフォリオを行うために、3つに分割してエンジニアサンプリング(生産方法1)として出荷しようとしていた分割したロット番号「XXA」の推定イールドが悪く、このまま製造を継続しても良品が取れないと、ユーザは、生産方法2で流しているロット番号「XXB」の生産方法を、生産方法2から生産方法1へ変更する。
【0109】
ここで、工程の処理後に演算される推定イールドが、ユーザの予め設定した工程の希望イールドより低くなり、一定期間、例えばこの演算された推定イールドが低い工程が完了してから1日以内に、ユーザからのアクセスが無い場合、サーバ1はこの演算された推定イールドと、この推定イールドの対応する工程とを通知するメールをユーザ端末U1へ送信する。
この希望イールドは、ユーザが図7における各工程のスペックをサーバ1に対して送信するときに、同時に送信される。
そして、サーバ1は、上記希望イールドを、ロット番号毎の各工程に対応して記憶する。
【0110】
このとき、ユーザは、ロット番号「XXB」及びこのロット番号「XXB」の生産方法を変更する命令と、ロット番号「XXA」及びこのロット番号「XXA」のロットの製造を継続させるか否かの選択を要求する命令とをキーボード等により入力する。
これにより、ユーザ端末U1は、ロット番号「XXB」のロットの生産方法変更を要求する変更要求データと、ロット番号「XXA」のロットの製造を継続させるか否かを要求する継続要求データとをサーバ1へ送信する。
【0111】
次に、ステップS94において、サーバ1は、ユーザ端末U1から入力される上記変更要求データと、上記継続要求データとに基づき、図13の工程管理のテーブルと、図22に示すロットの製造を以降継続するか否かを選択するテーブルとの画像をユーザ端末U1へ送信する。
【0112】
次に、ステップS95において、ユーザ端末U1は、サーバ1から送信されたロット番号「XXB」のロットに対応する図13のテーブルと、ロット番号「XXA」のロットに対応する図22のテーブルとの画像を、表示画面に表示する。そして、ユーザは、ユーザ端末U1の表示画面の図13のテーブルの生産方法の欄をクリックし、図12の選択テーブルを表示させ、変更したい生産方法をクリックする。
【0113】
これにより、ユーザが生産方法1をクリックすると、ロット番号「XXB」は、生産方法が生産方法2から生産方法1へ変更される。
そして、ユーザ端末U1は、対象となるロットのロット番号のデータを含む、生産方法の変更命令を、サーバ1へ送信する。
また、ユーザは、表示されている図22の選択テーブルから、ロット番号「XXA」の推定イールドが悪く、ロットの製造を中止する場合、「3 中止」の文字領域をクリックする。
これにより、ユーザ端末U1は、ロット番号「XXA」の製造を中止する製造中止命令を、サーバ1へ送信する。この製造中止命令には、対象となるロットのロット番号も含まれている。
【0114】
次に、ステップS96において、サーバ1は、入力される上記変更命令に基づき、データベース2において、ロット番号「XXB」のロットに対応する生産方法のデータを、生産方法2から生産方法1へ変更する。
ここで、推定イールド演算部1aは、生産方法が変更となったため、変更された工程での推定イールドを演算し直し、演算された推定イールド及びこの推定イールドに基づき演算された図14の他の数値をロット番号に対応してデータベース2に記憶させる。
【0115】
このとき、ポートフォリオで半導体装置を製造していれば、図15の最終予想良品数を再度演算して、演算結果の予想良品数を、ロット番号に対応させてデータベース2へ記憶させる。
また、製造管理部1bは、ロット番号「XXB」の生産方法が生産方法1へ変更となったため、以降の工程の処理予定を生産方法1に対応させるための調整を行う。
さらに、サーバ1は、入力される製造中止命令に基づき、製造管理部1bに対してロット番号「XXA」の製造を中止する命令を出力する。
【0116】
これにより、製造管理部1bは、各工程におけるロット番号「XXB」の処理順を生産方法1に対応するように繰り上げ、また、各工程の処理予定からロット番号「XXA」を削除し、以降のロット番号「XXA」のロットの製造を停止する。
そして、サーバ1は、ロット番号「XXB」のロットに対応する図14のテーブルと図15のテーブルとの画像のデータをユーザ端末U1へ送信する。
【0117】
次に、ステップS97において、ユーザ端末U1は、サーバ1から入力される図14のテーブルと図15のテーブルとの画像を、表示画面に表示する。
そして、ユーザは、図14のテーブルと図15のテーブルとから、推定イールドや予想良品数、また初期チップ出荷日が満足できるものか否かの判定を行う。
ここで、ユーザは、図14のテーブルと図15のテーブルとに示された数値が不満足であれば、ステップS93の処理を繰り返す。
また、ユーザは、図14のテーブルと図15のテーブルとに示された数値に満足すれば、ステップS98の処理に移り、ログアウトしてサーバ1との接続を切断する。
【0118】
一方、ステップS93において、ユーザがロット番号「XXA」の推定イールド(確認した時点の工程後における)が非常に高く、現在のチップ数の半分以下でも十分必要量に達すると判定した場合、ユーザは、上述したロット番号「XXA」のロットの製造を継続させるか否かの選択を要求する命令とをキーボード等により入力する。
これにより、ユーザ端末U1は、ロット番号「XXA」のロットの製造を継続させるか否かを要求する継続要求データとをサーバ1へ送信する。
【0119】
次に、ステップS94において、サーバ1は、ユーザ端末U1から入力される上記継続要求データに基づき、図22に示すロットの製造を以降継続するか否かを選択するテーブルとの画像をユーザ端末U1へ送信する。
次に、ステップS95において、ユーザ端末U1は、サーバ1から送信されたロット番号「XXA」のロットに対応する図22のテーブルの画像を、表示画面に表示する。
【0120】
そして、ユーザは、チップ数を半数とするため、表示画面に表示された図22のテーブルにおける「2 50%継続」の領域をクリックする。
これにより、ユーザ端末U1は、ロット番号「XXA」のロットにおけるウェハの枚数を半分とする(チップ数を半分とする)枚数変更命令をサーバ1へ送信する。この枚数変更命令には、対象となるロットのロット番号が含まれている。
【0121】
次に、ステップS96において、サーバ1は、ユーザ端末U1から入力される上記枚数変更命令に基づき、製造管理部1bへ、ロット番号「XXA」のロットにおけるウェハ枚数を半分にする指示を出力する。
これにより、製造管理部1bは、以降の各工程のスケジュールにおけるロット番号「XXA」のロットにおけるウェハの処理枚数を半分に変更する。
【0122】
そして、推定イールド演算部1aは、ロット番号「XXA」のロットの処理枚数が半分となったことで、ロット番号「XXA」のロットの図14及び図15のテーブルにおける予定納品数,チップ単価,総コスト,予想良品数を算出し、データベース2へ、ロット番号「XXA」に対応させて記憶する。
そして、製造管理部1bは、枚数変更以降の各工程における、ロット番号「XXA」のロットのスケジュール変更に伴い、データベース2において、ロット番号「XXA」の完成予定日及び初期チップ出荷日のデータを変更する。
【0123】
また、ステップS95において、ユーザが図15において予想良品数が必要なチップ数に満たないと判断すると、ユーザは、ステップS4における画面に戻し、表示画面の図20における新規投入の領域をクリックし、新たなロット投入を行う。
【0124】
本発明の半導体装置製造管理システムは、推定イールドを各工程の終了する毎に求め、その時点での最終的に得られるチップの予想良品数が演算できるため、必要となるチップ数に満たないと判定される場合に、新たなロットを投入する等の対応がユーザにより的確に行うことが可能となる。
また、本発明の半導体装置製造管理システムは、推定イールドを各工程の終了する毎に求め、その時点での最終的に得られるチップの予想良品数が演算できるため、必要となるチップを大幅に超えることが判明した時点で、ユーザがロットのウェハ枚数を調整して、必要なチップ数の分のウェハ枚数として、以降の工程を流すことができるため、無駄なチップを作成することが無いため、1チップ当たりの製造コストを削減することができる。
【0125】
さらに、本発明の半導体装置製造管理システムは、処理予定表及び図13,14に基づき、半導体装置の完成予定日が算出されるため、半導体装置が完成した後の生産計画が立てやすくなり、かつ、生産方法をユーザが変更することにより、予定表の範囲で完成予定日を設定することができ、目的に応じて完成予定日を調整することにより、半導体装置の生産コストの調整が可能となる。
【0126】
また、図16,図17,図18に示す各ステップの全て、またはいずれか、もしくは組み合わせを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより半導体装置の製造管理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フロッピーディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可般媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0127】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0128】
【発明の効果】
本発明の半導体装置製造管理システムによれば、推定イールドを各工程の終了する毎に求め、その時点での最終的に得られるチップの予想良品数が演算できるため、必要となるチップ数に満たないと判定される場合に、新たなロットを投入する等の対応がユーザにより的確に行うことが可能となる。
また、本発明の半導体装置製造管理システムによれば、推定イールドを各工程の終了する毎に求め、その時点での最終的に得られるチップの予想良品数が演算できるため、必要となるチップを大幅に超えることが判明した時点で、ユーザがロットのウェハ枚数を調整して、必要なチップ数の分のウェハ枚数として、以降の工程を流すことができるため、無駄なチップを作成することが無いため、1チップ当たりの製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による半導体装置製造管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】 図1のインライン検査装置12aの一例であり、電子ビームによるコンタクトホールの底面積の測定を説明する概念図である。
【図3】 図1のインライン検査装置12aの一例であり、電子ビームによるコンタクトホールの底面積の測定を説明する概念図である。
【図4】 図1のインライン検査装置12cの一例であり、導電性の材料で形成したは汚染幅の電子ビームによる測定を説明する概念図である。
【図5】 ウェハ内の測定位置を示す測定位置データの説明を行うための、ウェハの概念図である。
【図6】 測定するエレメントのエレメントデータの説明を行うための概念図である。
【図7】 工程毎の各プロセスパラメータのスペックの上限及び下限の範囲を示す設定表の概念図である。
【図8】 規格化されたパラメータの範囲を求める説明を行うためのポアソン分布を示した概念図である。
【図9】 各工程の終了時における工程イールドを求める流れを説明するための概念図である。
【図10】 各工程のプロセスパラメータの範囲及び上限/下限の数値を示すテーブルである。
【図11】 製造ラインの設定を行うための、各ラインの製造可能な最小線幅の範囲を示すデーブルである。
【図12】 ロットの生産方法を選択する、選択可能な生産方法を示したテーブルである。
【図13】 製造管理部1bがロットの製造管理を行うための工程管理のテーブルである。
【図14】 製造管理部1bがロットの製造管理を行うための工程管理のテーブルである。
【図15】 ポートフォリオ構成で製造しているロットの構成を示すテーブルである。
【図16】 ロットの製造管理を行う動作例において、半導体装置製造管理システムのロットの処理選択を行う部分のフローチャートである。
【図17】 ロットの製造管理を行う動作例において、半導体装置製造管理システムの新たなロットの投入を行う部分のフローチャートである。
【図18】 ロットの製造管理を行う動作例において、半導体装置製造管理システムのすでに投入されたロットの製造管理を行う部分のフローチャートである。
【図19】 ユーザID及びパスワードを入力する画面の概念図である。
【図20】 図16のフローチャートにおいて、ユーザの処理選択を行う画面の概念図である。
【図21】 ロットの分割を如何に行うかのコース選択を行う画面の概念図である。
【図22】 ロットの以降の製造を如何にするかの選択を行う画面の概念図である。
【符号の説明】
1 サーバ
1a 推定イールド演算部
1b 製造管理部
2 データベース
11a,11b,11c 製造装置
12a,12b,12c インライン検査装置
C 半導体製造センタ
I 情報通信回線
U1,U2,U3 ユーザ端末
Claims (6)
- 半導体装置を製造する複数のプロセス各々に対応した製造装置からなる製造ラインを管理するサーバと、情報通信回線を用いて接続された半導体装置を発注するユーザのユーザ端末とからなる製造管理システムにて、前記ユーザが投入したロットを各プロセス毎にユーザが管理する半導体装置製造方法であり、
ユーザがユーザ端末からのロットの投入処理を行うと、前記サーバがロットの納期を含む生産方法及び加工寸法を示す製造ラインの選択を行う画面を端末へ送信する工程と、
生産方法及び製造ラインが表示された選択表から、前記ユーザの選択または入力した生産方法、製造ライン、各工程毎のプロセスパラメータ、各プロセスパラメータのスペック範囲を、前記ユーザ端末がサーバへ送信する工程と、
サーバが入力される前記生産方法及び製造ラインにて、ロットの投入処理を行う工程と、
前記各工程毎に設けられたインライン検査装置が、工程に対応したプロセスパラメータの測定データを測定し、前記サーバへ出力する工程と、
該サーバが入力される前記プロセスパラメータの測定データを前記各工程終了後に、ユーザの流したロットに対応させてデータベースに記憶させる工程と、
推定イールド演算部が各工程が終了した後、その工程での測定データが前記スペック範囲にある良品チップを全チップ数にて除算して求まる工程イールドに対し、過去の実績から統計的に求められた補正値を乗算し、最終的なイールドの推定値として推定イールドを算出する工程と、
前記サーバが前記推定イールドとロットのチップ総数とを乗算し、予想良品数を算出して、端末に送信する工程と、
ユーザがユーザ端末を介して入力する、前記予想良品数に対応した生産方法の変更により、前記サーバがロットの生産方法を、入力された生産方法に変更する処理を行う工程と
を有することを特徴とする半導体装置製造方法。 - 前記ユーザ端末が、ユーザの入力した前記測定データのスペック範囲をロット番号に対応して送信する工程と、
前記サーバが前記スペック範囲をロット番号に対応させて前記データベースへ記憶させる工程と
をさらに有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置製造方法。 - ユーザ端末が、ユーザの入力するロット番号をサーバに送信する工程と、
サーバが前記ロット番号に対応して、データベースから、少なくとも測定データ及び推定イールドを抽出し、ユーザ端末へ送信する工程と
をさらに有することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の半導体製造装置。 - 前記サーバが、ユーザ端末から入力されるロット分割要求により、ロットを分割して、それぞれ指定された生産方法に変更する処理を行う工程と
をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項項3のいずれかに記載の半導体製造装置。 - 前記サーバが、ロット番号に対応した生産方法に基づき、少なくとも完成予定日,予想良品数,チップ単価,総コストの内1つを計算し、ユーザ端末に送信する工程と、
ユーザ端末が入力される少なくとも完成予定日,予想良品数,チップ単価,総コストの内1つを表示する工程と
をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の半導体製造装置。 - 前記ユーザ端末が、ユーザの選択した、インライン装置が測定データを測定するTEG(TestElement Group)を、ロット番号に対応してサーバに送信する工程と
を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の半導体装置製造方法。
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