JP3847529B2 - 飲料供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビール等の飲料を供給するためのホースを冷却する機能を備えた飲料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビールサーバの冷水槽から取り出した冷水でビール供給用のホースを冷却してそのホース内の汚れの付着や微生物の繁殖を防止する飲料供給装置が知られている。
【0003】
例えば実開平5−81098号公報には、ビール樽から冷水槽へビールを導くためのビール供給ホースに隣接して一対の冷水送りホースおよび冷水戻しホースを配置し、冷水槽から汲み上げた冷水を冷水送りホースから冷水戻しホースを経て冷水槽へと循環させる飲料供給装置が開示されている。
【0004】
また、実開平6−76194号公報には、ビール供給ホースを冷水送りホースの内部に収容し、その冷却ホースに冷水槽内の冷水を送り込んで供給ホース内のビールを冷却する飲料供給装置が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前者の公報に記載の装置では、冷水送りホースや冷水戻しホースを通過する冷水とビール供給ホース内を通過するビールとの間の熱交換が二つのホースを挟んで行なわれるので熱交換の効率が悪い。そのため、十分な冷却効果を得るためには多量の冷水を高速で循環させる必要があり、その循環途中で失われる熱量が大きい。多量の冷水を冷水槽から汲み上げて外部で循環させると、熱交換後の多量の水が冷水槽へ戻されることとなり、冷水槽内の温度が安定しなくなることもある。
【0006】
後者の公報に記載の装置では、冷水送りホースを通過する冷水によりビール供給ホースが直接冷やされるので熱交換の効率が改善される。しかし、冷水槽内の冷水循環ポンプから吐出される冷水の一部を分岐して冷却ホースの一端に導くとともに、その冷却ホースを供給ホースのビール樽側の端部で折り返してその他端側を冷水槽の水中に開口した接続部に繋いでいるため、冷却ホース内を冷水が移動する間の圧力損失が大きく、十分な冷却水を循環させるためには大型の冷水循環ポンプが必要となる。そのため、既に料飲店に設置されている装置に冷却機能を組み込もうとすれば、大幅な改造が必要となる。
【0007】
本発明は、冷水を低流量かつ低速で循環させるだけで飲料供給ホースを効率よく冷却でき、既存の飲料供給装置を改造して冷却機能を追加する場合でも小規模な改造で足りる飲料供給装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0009】
本発明の飲料供給装置(1)は、飲料を冷却するための冷水槽(2)と、その冷水槽内の飲料配管部(4)と一方の端部(6a)が接続される飲料供給ホース(6)とを備えている。そして、前記冷水槽の冷水を送り出す冷水供給ポンプ(12)と、前記飲料供給ホースに沿って設けられ、前記冷水供給ポンプから送られる冷水を前記飲料供給ホースの他方の端部(6b)に向かって導く冷水送りホース(10)と、前記飲料供給ホースに沿って設けられ、前記冷水送りホースにて送られた冷水を前記冷水槽へ戻すための冷水戻しホース(11)とを具備し、前記飲料供給ホースの少なくとも一部が前記冷水送りホースまたは前記冷水戻しホースの内部に収容されるとともに、前記冷水槽側に配置された前記冷水戻しホースの一方の端部(11a)が前記冷水槽内の水面よりも上方にて開口するものである。
【0010】
この発明によれば、冷水送りホースまたは冷水戻しホースを通過する冷水が飲料供給ホースに直接触れるので冷却効率が高まる。冷水戻しホースの冷水槽側の端部が水面上にて開口しているので、冷水送りホースから冷水戻しホースを経て冷水槽に戻る冷水の循環経路が大気圧に開放され、その経路を冷水が循環する際の圧力損失は小さい。従って、冷水を低流量かつ低速で流すだけで飲料供給ホースを十分に冷却できる。その結果、冷水槽の外部を循環する冷水を小量に絞り込めるので、冷水槽内の温度も安定する。冷水供給ポンプは小型のもので足り、既存の飲料供給装置の改造も容易に行える。
【0011】
本発明の飲料供給装置においては、前記飲料供給ホース(6)および前記冷水送りホース(10)が前記冷水戻しホース(11)内に収容され、前記冷水戻しホースの他方の端部(11b)が閉鎖部材(15)により閉鎖され、前記飲料供給ホースの前記他方の端部(6b)は前記閉鎖部材を貫いて外側に突出し、前記冷水送りホースは前記冷水戻しホース内にて開口してもよい。飲料供給ホースおよび冷水送りホースはそれぞれ冷水槽側において飲料配管部や冷水ポンプと接続されるのに対して、冷水戻しホースは冷水槽側では水面上に開口しているので、その開口部分を利用して飲料供給ホースおよび冷水送りホースを冷水戻しホース内に挿入すればよく、各ホースの配管を容易に行える。
【0012】
前記飲料供給ホース(6)の前記他方の端部(6b)は前記飲料の貯蔵容器(5)と接続可能なものでもよい。但し、本発明は貯蔵容器と冷水槽とを結ぶ飲料供給ホースに限らず、貯蔵容器以外に接続される飲料供給ホースに対しても適用できる。
【0013】
前記冷水戻しホース(11)の前記一方の端部(11a)から流出する冷水が前記飲料供給ホースと前記冷水槽(2)内の飲料配管部(4)とを接続する継手部(13)に接触するように、前記冷水戻しホースの前記一方の端部と前記継手部の位置関係が設定されてもよい。このようにすれば、冷水戻しホースから冷水槽へ戻される冷水を利用して継手部を冷却し、その内面への汚れの付着等を抑えられる。
【0014】
前記冷水槽(2)内に撹拌手段(7,8)が設けられ、その撹拌手段にて形成される水流の少なくとも一部が前記冷水供給ポンプ(12)の吸入口に導かれるように前記冷水供給ポンプの位置を設定してもよい。この場合には、撹拌手段にて形成された水流を乱すことなく冷水供給ポンプにて必要量の冷水を汲み上げることができる。
【0015】
本発明においては、前記飲料供給ホース(6)の内面は金属にて構成されてもよいし、樹脂にて構成されてもよい。ホース内面を構成する材質に応じて、汚れの付着や微生物の繁殖を抑える効果が異なるため、なるべくその効果の高い材質を選択すれば、ホースの冷却と相まって顕著な効果を奏することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を瞬間冷却式ディスペンサに適用した例を示している。周知のように、瞬間冷却式ディスペンサ1は、冷水槽2に蓄えられた水と冷媒配管3を通過する冷媒との間で熱交換を行なって冷媒配管3の周囲に着氷させ、その冷媒配管3の内側に設けられた飲料配管部としての飲料コイル4(一部のみ示す。)を通過する飲料を冷却させる。飲料は予め貯蔵容器5に詰めて提供される。例えば、飲料がビールの場合、その貯蔵容器としてはビール樽が使用される。
【0017】
貯蔵容器5と飲料コイル4とは飲料供給ホース6にて接続される。不図示の炭酸ガスボンベから貯蔵容器5にガスが送られると、その圧力で貯蔵容器5から飲料供給ホース6を介して飲料コイル4に飲料が導かれる。飲料コイル4を通過した飲料は冷水槽2の側壁に設けられた不図示のタップから注出される。冷水槽2の上部には撹拌モータ7が設置され、その撹拌モータ7から下方に延ばされた回転軸7aに撹拌翼8が取り付けられる。これら撹拌モータ7および撹拌翼8により撹拌手段が構成される。撹拌翼8の回転により冷水槽2内に適度な水流が形成されて冷水の温度が均一化される。
【0018】
飲料供給ホース6を冷却してその内面への汚れの付着や微生物の繁殖を防止するため、ディスペンサ1には、飲料供給ホース6に沿って冷水送りホース10が設けられる。また、飲料供給ホース6および冷水送りホース10は冷水戻しホース11の内部に収容される(図2および図3参照)。冷水送りホース10の一方の端部10aは、冷水槽2内に設けられた冷水供給ポンプ12の吐出口12aに継手20を介して接続される。冷水供給ポンプ12は撹拌モータ7の回転軸7aの途中に配置される。回転軸7aの回転を利用して冷水供給ポンプ12を駆動してもよい。冷水供給ポンプ12の位置は、冷水槽2内の冷水を取り込める位置であれば適宜変更してよいが、好ましくは、撹拌翼8にて形成された水流の少なくとも一部が冷水供給ポンプ12の吸入口(不図示)に導かれるようにする。このようにすれば、冷水槽2内の水流の乱れを抑えながら必要量の冷水を冷水供給ポンプ12に取り込める。
【0019】
図3から明らかなように、冷水戻しホース11の一方の端部11aは冷水槽2の上部に配置されて冷水槽2内に蓄えられる水面よりも上方に開口している。飲料供給ホース6および冷水送りホース10はそれぞれ冷水戻しホース11の端部11aからホース11内に挿入されている。飲料供給ホース6の一方の端部6aは継手13を介して飲料コイル4と接続されている。継手13は冷水戻しホース11の外部に露出しているが、その位置は飲料供給ホース6を伝って冷水槽2へ落下する冷水と接触するように定められる。これにより、継手13を冷水戻しホース11から冷水槽2へ戻される冷水で冷却することができる。
【0020】
図4に示すように、冷水戻しホース11の他方の端部11bの内周には閉鎖部材15がはめ込まれ、それにより端部11bが閉じられている。飲料供給ホース6の他方の端部6bは閉鎖部材15を貫いて冷水戻しホース11の外部に突出する。この突出部分が貯蔵容器5の蓋部分に設けられた注出口(不図示)と接続される。一方、冷水送りホース10の他方の端部10bは閉鎖部材15を貫くことなく、冷水戻しホース11内で開口する。そのため、冷水供給ポンプ12から冷水送りホース10に送り込まれた冷水は飲料供給ホース6の貯蔵容器5側の端部6bの付近で冷水送りホース10から流出する。その流出した冷水は飲料供給ホース6に直接接触してこれを冷却しつつ、冷水戻しホース11の内部を通過して冷水槽2に戻される。なお、冷水送りホース10を通過する冷水によっても飲料供給ホース6は冷却される。その冷却効率を高めるため、飲料供給ホース6と冷水送りホース10とはホース固定具16により適宜束ねられる(図5参照)。
【0021】
飲料供給ホース6の内周部分(飲料に触れる部分)は金属製でもよいし、樹脂製でもよい。ホース6の内周を金属製(例えばステンレス鋼製)とする場合には、図4に示したように飲料供給ホース6の端部6bにその金属部分を露出させ、その端部6bと閉鎖部材15とを溶接部17にて液密に接合することができる。金属製ホースの場合には、例えば蛇腹状の構成する有するフレキシブルホースを使用することが望ましい。
【0022】
一方、ホース6の内周を樹脂製とする場合には、図6に示したように飲料供給ホース6の端部6bと閉鎖部材15との間にOリング等のシール部材18を介在させて閉鎖部材15とホース端部6bとの間をシールすればよい。勿論、ホース6の端部6bが金属製の場合でも、特に溶接が難しい材料を利用する場合等にはシール部材18を利用して閉鎖部材15とホース端部6bとの間をシールしてもよい。冷水送りホース10および冷水戻しホース11を移動する間の冷水の温度上昇を抑えるため、冷水戻しホース11の外周を保冷材19で覆うことが好ましい。
【0023】
本発明は以上の実施形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば冷水送りホースの内部に飲料供給ホースと冷水戻しホースとを収容してもよい。この場合には、冷水送りホースの冷水槽側の端部に、冷水供給ポンプとの接続口と、冷水戻しホースおよび飲料供給ホースの挿入口とを設け、冷水戻しホースの冷水槽側の端部は水面上に開口させ、反対側の端部は冷水送りホース内に開口させる。
【0024】
飲料供給ホースは貯蔵容器と冷水槽とを結ぶものに限定されず、例えば冷水槽とそこから離されたドラフトタワー等の注出装置との間を結ぶ飲料供給ホースについて本発明を適用してもよい。本発明は、飲料としてビールを扱う飲料供給装置において効果が確認されているが、ビール以外の飲料についても適用が可能である。本発明は瞬間冷却式ディスペンサに限定されることなく、冷水槽を利用して飲料を冷却するタイプの各種の飲料供給装置に適用できる。
【0025】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、冷水を低流量かつ低速で流すだけで飲料供給ホースを十分に冷却できる飲料供給装置を提供することができる。また、冷水供給ポンプが小型のもので足りるために、既存の飲料供給装置を簡単に改造して飲料供給ホースに対する冷却機能を付加できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の飲料供給装置の要部を示す図。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図。
【図3】図1の装置に設けられた飲料供給ホースの冷水槽側の端部を示す図。
【図4】金属製の飲料供給ホースを使用したときの貯蔵容器側のホース端部を示す図。
【図5】図4のV−V線に沿った断面図。
【図6】樹脂製の飲料供給ホースを使用したときの貯蔵容器側のホース端部を示す図。
【符号の説明】
1 ディスペンサ(飲料供給装置)
2 冷水槽
3 冷媒配管
4 飲料コイル(飲料配管部)
5 貯蔵容器
6 飲料供給ホース
7 撹拌モータ(撹拌手段)
8 撹拌翼(撹拌手段)
10 冷水送りホース
11 冷水戻しホース
12 冷水供給ポンプ
13 継手
15 閉鎖部材
16 ホース固定具
17 溶接部
18 シール部材
19 保冷材
Claims (4)
- 飲料を冷却するための冷水槽と、その冷水槽内の飲料配管部と一方の端部が接続される飲料供給ホースとを備えた飲料供給装置において、
前記冷水槽の冷水を送り出す冷水供給ポンプと、
前記飲料供給ホースに沿って設けられ、前記冷水供給ポンプから送られる冷水を前記飲料供給ホースの他方の端部に向かって導く冷水送りホースと、
前記飲料供給ホースに沿って設けられ、前記冷水送りホースにて送られた冷水を前記冷水槽へ戻すための冷水戻しホースとを具備し、
前記飲料供給ホースの少なくとも一部が前記冷水送りホースまたは前記冷水戻しホースの内部に収容されるとともに、前記冷水槽側に配置された前記冷水戻しホースの一方の端部が前記冷水槽内の水面より上方にて開口しており、
前記冷水槽内に回転軸および当該回転軸に取り付けられた攪拌翼を有する撹拌手段が設けられ、その撹拌手段にて形成される水流の少なくとも一部が前記冷水供給ポンプの吸入口に導かれるように前記冷水供給ポンプが攪拌手段の回転軸の途中の位置に配設され、
前記飲料供給ホースおよび前記冷水送りホースが前記冷水戻しホース内に収容され、前記冷水戻しホースの他方の端部が閉鎖部材により閉鎖され、前記飲料供給ホースの前記他方の端部は前記閉鎖部材を貫いて外側に突出し、前記冷水送りホースは前記冷水戻しホース内にて開口し、
前記飲料供給ホースは、金属から構成される蛇腹状フレキシブルホースからなり、
前記飲料供給ホースの前記他方の端部と前記閉鎖部材とが溶接部にて接合されてなることを特徴とする飲料供給装置。 - 前記攪拌手段において攪拌翼は回転軸の下端近傍に取り付けられており、前記冷水供給ポンプは当該回転軸における攪拌翼の上方の位置に配設されていることを特徴とする請求項1記載の飲料供給装置。
- 前記飲料供給ホースの前記他方の端部が前記飲料の貯蔵容器と接続可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の飲料供給装置。
- 前記冷水戻しホースの前記一方の端部から流出する冷水が前記飲料供給ホースと前記冷水槽内の飲料配管部とを接続する継手部に接触するように、前記冷水戻しホースの前記一方の端部と前記継手部の位置関係が設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の飲料供給装置。
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2000
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