JP3847491B2 - 伸縮ブーム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、伸縮ブームに関し、さらに詳細には、導電材料性の基端側ブーム部材に伸縮動自在に設けられ絶縁性を有する先端ブーム部材と、先端ブーム部材の先端部を覆う先端カバーとを有して構成される伸縮ブームに関する。
【0002】
【従来の技術】
高所作業車は、車体上に旋回動自在に設けられた旋回台と、旋回台の上部に上下方向に揺動自在に枢結された伸縮ブームと、伸縮ブームの先端部に常時垂直状態に保持された垂直ポストと、垂直ポストに接続された作業台とを有して構成されているものがある。伸縮ブームはその基端側から基端側ブーム部材と中間ブーム部材と先端ブーム部材とを入れ子式に伸縮動自在に構成し、先端ブーム部材の先端部には上下方向に揺動自在な垂直ポストが枢結され、この垂直ポストに作業者が搭乗可能な作業台が取り付けられている。
【0003】
このような高所作業車において、配電作業等を行なう場合、作業台に搭乗した作業者の安全を確保するために、先端ブーム部材を絶縁性を有する材料で形成することで作業台と車体(地面)間を電気的に絶縁している。但し、基端側ブーム部材と中間ブーム部材は金属製で導電性を有し、中間ブーム部材の先端部は常に先端ブーム部材に接触しているので、作業台の十分な電気的絶縁を確保するには、先端ブーム部材の先端部と中間ブーム部材の先端部間の距離を所定以上に確保する必要がある。そこで、配電作業等を行なう場合には、先端ブーム部材を所定伸長量以上に伸長させることにしている。
【0004】
また、配電作業は降雨時においても行なわれるが、先端ブーム部材を所定伸長量に伸長させた場合でも、先端ブーム部材の外壁に雨水が付着すると、この雨水が先端ブーム部材の上面上を中間ブーム部材側へ流れ、この雨水により先端ブーム部材と中間ブーム部材間を電気的に接続して、作業台の電気的絶縁性能を低下させる。そこで、基端ブーム部材から突出した先端ブーム部材の全体を覆う絶縁製カバーを先端ブーム部材に設けているものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、配電作業時において先端ブーム部材を所定伸長量に伸長させた場合、先端ブーム部材を絶縁製カバーで覆っても、絶縁製カバーの上面に雨水が付着すると、雨水が絶縁製カバーの先端側から後端側へ流れ、絶縁製カバーの後端から基端ブーム部材に雨水が流れて作業台と基端ブーム部材間が電気的に接続されて、作業台の電気的絶縁性能を低下させる。そこで、絶縁製カバー上に付着した雨水が基端側ブーム部材側へ流れるのを防止するために、絶縁製カバーの後端に外側へ突出する鍔部を設けたものが既に提案されている。
【0006】
しかしながら、この鍔部は絶縁製カバーの延出方向と略直角方向に延出し、絶縁製カバーの上面は平面状であるので雨水の流れる方向は一定ではなく、また、絶縁製カバーに製造ムラが生じると、雨水が鍔部の一部周辺に溜まり、溜まった雨水が鍔部を乗り越える場合がある。雨水が鍔部を乗り越えると、この雨水により作業台と基端側ブーム部材間を電気的に接続し、作業台の電気的絶縁性能を低下させる虞があった。
【0007】
また、作業台を車体に格納する場合には、伸縮ブームを全縮状態にして基端ブーム部材を倒伏動させて、伸縮ブームを負角の状態にして車体に格納し、伸縮ブームの先端部に設けられた絶縁製カバーの上面の上方に位置させる。しかしながら、絶縁製カバーの上面に鍔部が突設され、車両重心をできるだけ低くしたいので、鍔部の高さを低くしなければならない。このため、雨水が鍔部を容易に乗り越えて作業台の電気的絶縁性能を低下させている。
【0008】
更に、伸縮ブームが負角の状態で車体に格納されている場合、絶縁製カバーの基端ブーム側端部の開口部は上方に露出している。この状態で、降雨時に車両を走行させると雨水が開口部から侵入して絶縁製カバー内の先端ブーム部材を濡らす、という問題が生じる。
【0009】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、絶縁製カバーに付着した雨水が先端ブーム部材上に流れ落ちず、作業台の格納位置を低くし、作業台の電気的絶縁性能を低下させず、絶縁製カバーの後端の開口部から雨水が侵入しない伸縮ブームを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の伸縮ブームは、車体に対して起伏動自在に設けられ導電材料製の基端側ブーム部材(例えば、実施形態における基端ブーム部材11a)と、基端側ブーム部材に伸縮動自在に設けられ絶縁性を有した先端ブーム部材と、先端ブーム部材の先端部を覆い絶縁材料製の先端カバーとを有して構成された伸縮ブームであって、先端カバーの上面の後端部に後方へ向かって斜めに延びて雨水等が先端ブーム部材の上面を流れるのを阻止する鍔部を有したものである。
【0011】
このように構成された伸縮ブームによれば、降雨時において伸縮ブームを使用するために基端側ブーム部材を起伏動させた場合、先端カバーが上方へ移動して先端カバーの上面に雨水が付着する。付着した雨水はその自重により先端カバーの上面上を下方へ移動し鍔部に衝突する。鍔部は上面に後方へ向かって斜めに延びているので、鍔部に衝突した雨水は鍔部に沿って下方へ移動し、鍔部の下端から地面へ落下する。
【0012】
このため、先端カバーの上面に付着した雨水が鍔部を乗り越えて先端ブーム部材の上面に流れ出ることはない。また、先端ブーム部材を伸縮動させて先端ブーム部材の先端部と基端側ブーム部材の先端部間の距離を先端ブーム部材の先端部が所定の電気的絶縁性能を有した距離のうち最小の距離(以下、「先端最小伸長量」と記す。)に伸長させた場合でも、先端ブーム部材と基端側ブーム部材間が雨水により電気的に接続されることがないので、先端ブーム部材の先端部の電気的絶縁性能を十分に確保することができる。
【0016】
第2の本発明に係る伸縮ブームは、先端カバーの少なくとも上面に先端カバーの延出方向と略直角方向に延設されるとともに上方へ突出して雨水等が先端ブーム部材の上面を流れるのを阻止する鍔部(例えば、実施形態における可倒部49b)を形成し、先端ブーム部材の先端部に基端側ブーム部材の起伏角度に係わらず常時水平状態に保持される作業台を設け、鍔部を可倒性を有する材料から作り、先端ブーム部材を縮小動させて基端側ブーム部材に格納し、基端側ブーム部材を負角の状態で車体上に格納させた場合、作業台の底部が鍔部の先端部に当接して鍔部を撓ませ、先端カバーの上方であって所定の間隙を有した位置に作業台を格納するよう構成される。
【0017】
先端ブーム部材を縮小動させて基端側ブーム部材に格納し、基端側ブーム部材を負角の状態で車体上に格納すると、作業台は水平状態に保持されたまま作業台の底部が先端カバーの上方へ移動するとともに、可倒性を有する鍔部の先端部に当接する。鍔部は作業台の底部により押圧されて撓み、先端カバーの上方であって所定の間隙を有した位置に作業台が格納される。
【0018】
このように構成された伸縮ブームによれば、基端ブーム部材を負角の状態で車体に格納し、且つ作業台を先端カバーの上方に格納する場合、鍔部を撓ませることで作業台の上下方向の格納位置を先端カバー側にすることができ、車両の重心をより低くすることができる。また、伸縮ブームを使用する場合、基端ブーム部材を起仰動させて作業台が上方へ移動すると、撓んでいた鍔部は起立する。このため、先端カバーに雨水が付着しても起立した鍔部が雨水の流れを阻止するので、先端ブーム部材と基端側ブーム部材間が雨水により電気的に接続されることはなく、作業台の電気的絶縁性能を確保することができる。
【0019】
第3の本発明に係る伸縮ブームは、先端ブーム部材の先端部であって先端カバーの後端よりも先端ブーム部材の基端側に先端ブーム部材の外壁から外側へ突出するフランジ部を設け、フランジ部が先端カバーの後端の開口部を閉蓋するように構成される。
【0020】
作業台が車体に格納された状態で降雨時に車両を走行させた場合、先端カバーの後端側に形成された開口部はフランジ部により閉蓋されているので、降雨時における雨水が基端ブーム部材の上面に付着して先端カバー側へ流れても、フランジ部によりその流れが阻止されて先端カバー内部へ侵入することはない。このため、先端カバー内の先端ブーム部材が雨水で濡れることはない。
【0021】
第4の本発明に係る伸縮ブームは、先端カバーの内側に内側へ突出する内側突出部を設け、内側突出部により先端カバーで覆われた先端ブーム部材の先端部と後端部間を遮断するように構成される。
【0022】
作業台を車体に格納した状態で降雨時に車両を走行させた場合、雨水は基端ブーム部材に付着して先端カバー側へ流れるが内側突出部によりその流れが阻止されて、内側突出部よりも先端側の先端ブーム部材に雨水が流入せず、先端ブーム部材の先端部が雨水で濡れることはない。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図1から図6に基づいて説明する。本実施の形態は車体上に起伏且つ旋回動自在に設けられた伸縮ブームを有した高所作業車の態様を示す。
【0027】
【第1の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態の伸縮ブームを図1から図5に基づいて説明する。最初に本発明の伸縮ブームを搭載した高所作業車を説明する。高所作業車1は、図1に示すように、車体3の前部に運転キャビン5を有し、運転キャビン5よりも車両後方側の車体3の前後における各左右方向の縁部に車体外側へ張り出して下端部を接地させ車体3を安定支持するアウトリガジャッキ7を有している。車体前部には上方へ突出し旋回動自在な旋回台9が設けられ、旋回台9の下方の車体3内には旋回台9を旋回動させる図示しない旋回モータが設けられ、この旋回モータを作動させると旋回台9が旋回動するように構成されている。
【0028】
旋回台9の上部には伸縮ブーム11の基部が上下方向に揺動自在に枢結されている。伸縮ブーム11は2本のブーム部材を入れ子式に構成し、その基端側から基端ブーム部材11a、先端ブーム部材11bを有している。基端ブーム部材11aは導電材料製(金属製)であり、先端ブーム部材11bは絶縁性材料(FRP)で形成されている。先端ブーム部材11bの先端部の周壁には、先端ブーム部材11bの先端部と基端側ブーム部材11aの先端部間の電気的絶縁を確保する先端ブーム部材の伸長量のうち最小限の伸長量(以下、「先端最小伸長量」と記す。)を表示するマーカー(図示せず)が付けられている。
【0029】
基端ブーム部材11a内には図示しない伸縮シリンダが内蔵されており、この伸縮シリンダが伸縮作動すると伸縮ブーム11が伸縮作動するように構成されている。旋回台9の中部と基端ブーム部材11aの下面間には起伏シリンダ13が枢結されており、この起伏シリンダ13が伸縮作動すると伸縮ブーム11が起伏作動するように構成されている。
【0030】
先端ブーム部材11bの先端には上下方向に揺動自在に枢結された垂直ポスト15が設けられ、垂直ポスト17の上部に作業者が搭乗可能な作業台17が取り付けられている。先端ブーム部材11b内にはレベリングシリンダ19が枢結されており、このレベリングシリンダ19のロッド側先端部が垂直ポスト15の下部に枢結されている。レベリングシリンダ19は起伏シリンダの伸縮作動に連動して作動して垂直ポスト15を常時垂直状態にするように作動する。このため、作業台17は常に水平状態に保持される。
【0031】
先端ブーム部材11bの先端部にはFRP等の絶縁性材料で作られた先端カバー30が覆われている。先端カバー30は、図2に示すように、角筒状であり、その先端部の幅方向には先端側へ突出する一対のフランジ部31が設けられ、一対のフランジ部31間には凹部33が形成され、フランジ部31の先端部には幅方向に貫通する貫通孔35が設けられている。先端カバー30の外周には外側へ突出する鍔部37が先端カバー30の延出方向に所定の間隙を有して2つ配設されている。一方の鍔部37は先端カバー37の後端に設けられ、他方の鍔部37は先端カバー30の中間部に設けられている。鍔部37は上面鍔部39と側面鍔部41とを有して構成され、上面鍔部39は先端カバー30の上面30aから垂直方向に立設し、その中間部に頂部39aを有し、この頂部39aから先端カバー30の後端に進むにしたがって漸次先端カバー30の両側面30b側に傾斜する一対の傾斜面39aを有して構成されている。側面鍔部41は上面鍔部39の両端部に連接し先端カバー30の上端から下端に渡って先端カバー30の側面30bから側方へ突設している。
【0032】
次に、第1の実施の形態の伸縮ブーム11の作用を説明する。最初に、図1に示す伸縮ブーム11が全縮し且つ負角にされた状態で車体3上に格納され、且つアウトリガジャッキ7が車体3に格納された状態で、車両を作業現場まで移動させる。車両が作業現場に到着すると、作業者がアウトリガジャッキ7の張り出し操作を行なって車体3を安定支持させた後に作業台17内に搭乗する。作業者は作業台17内に設けられた図示しないブーム操作装置を操作して伸縮ブーム11を作動させる。
【0033】
このとき、先端ブーム部材11bを伸長動させる場合、作業台17の電気的絶縁性を確保するために先端ブーム部材11bの伸長量が先端最小伸長量になるように、先端ブーム部材11bの先端部に示されたマーカー(図示せず)が基端ブーム部材11aの先端部と略同一の位置になるように作業者がブーム操作装置を操作して先端ブーム部材11bを伸長動させる。尚、先端ブーム部材11bの伸長量は先端最小伸長量を越えていればよく、作業現場の位置により先端ブーム部材11bの伸長量が決められる。その結果、作業台17が所望の位置に移動し、作業者が配電作業等の高所作業を行なう。
【0034】
ここで、作業者が高所作業を行なっているときに雨が降ってきた場合、雨水は図2に示す先端カバー30の上面30aに少なくとも付着する。ここで、先端カバー30が挿着された先端ブーム部材11bは起仰した状態にあるので、先端カバー30の上面30aは傾斜している。その結果、上面30aに付着した雨水は先端カバー30の後端側へ移動し、上面鍔部39の傾斜面39bに衝突した後、傾斜面39bに沿って先端カバー30の左右の両端部側へ移動する。そして、雨水が側面鍔部41に沿って下方に落下する。このため、先端カバー30に付着した雨水は上面鍔部39を乗り越えることはなく、先端ブーム部材11bと基端ブーム部材11a間が電気的に接続されず、図1に示す作業台17の電気的絶縁性の低下を防止することができる。
【0035】
尚、前述した実施の形態では鍔部37の上面鍔部39は後方へ傾斜した傾斜面39bを有したものを示したが、これに限るものではなく、図3に示す鍔部43にすることができる。図3(a)に示す鍔部43は先端カバー30の上面30aの後端に設けられ、上面鍔部45の上端が前方に略90度の角度をなして屈曲して先端側へ傾斜している。上面鍔部45の両端部には側面鍔部47が連設し、側面鍔部47は先端カバー30の上端から下端に渡って先端カバー30の側面30bから側方へ突設している。この鍔部43を有した先端カバー30を先端ブーム部材11bの先端部に挿着し、この先端ブーム部材11bを先端最小伸長量になるまで伸長させ且つ、図1に示す伸縮ブーム11を起仰動させた場合、雨水の一部は図3(b)に示す先端カバー30の上面30aに付着する。ここで、先端カバー30が挿着された先端ブーム部材11bは起仰した状態であり、先端カバー30の上面30aは傾斜しているので、この上面30aに付着した雨水は先端カバー30の後端側へ移動し、上面鍔部45の下部に衝突する。上面鍔部45の上端は前方に折り曲げられて先端側へ傾斜しているので、雨水は上面鍔部45を乗り越えることはなく、後から来る他の雨水により最初の雨水が上面鍔部45の端部側へ移動する。そして、上面鍔部45の端部から雨水が地面へ落下する。
【0036】
このため、先端カバー30に付着した雨水が鍔部43を乗り越えることはなく、先端ブーム部材11bと基端ブーム部材11a間が電気的に接続されず、作業台17の電気的絶縁性の低下を防止することができる。
【0037】
また、図4に示す鍔部49を有した先端カバー30を使用することができる。同図(a)に示す鍔部49は先端カバー30の上面30aに先端カバー30の幅方向の一方の端部から他方の端部に渡って先端カバー30の延出方向と略直角方向に延設され上方へ突出したものであり、先端カバー30の延出方向に所定の間隙を有して2つ設けられている。鍔部49は基部49aとこの基部49aの上部に挿着され可倒性を有する可倒部49bとを有して構成されている。可倒部49bはウレタン樹脂製であって板状であり、図4(b)に示すように、先端カバー30の延出方向に倒すことができる。
【0038】
この可倒部49bを有した鍔部49によれば、図5(a)に示すように、作業台17を車体3に格納する場合、伸縮ブーム11は負角の状態で車体3に格納され、且つ先端カバー30の上方に作業台17が格納されるので、作業台17の底部が可倒部49bの先端部に当接する。可倒部49bは作業台17により押圧されてその先端部が先端カバー30の先端側へ撓む。このため、作業台17の上下方向の格納位置を低い位置にして、車両の重心を低くすることができる。また、同図(b)に示すように、伸縮ブーム11を起仰させて高所作業を行なう場合には、作業台17の底部が先端カバー30の上面30aから上方へ離反し、撓んでいた可倒部49bが起立するので、雨水が先端カバー30の上面30aに付着して先端カバー30の後方へ流れても、起立した可倒部49bが雨水の流れを阻止し、雨水が可倒部49bの両端側へ流れて下方に落下する。このため、先端カバー30に付着した雨水が先端ブーム部材11bと基端ブーム部材11a間を電気的に接続することはなく、作業台17の電気的絶縁性の低下を防止することができる。
【0039】
尚、図4では可倒部49bを有する鍔部49が直線状のものを示したが、これに限るものではなく、可倒部49bは図2に示す先端カバー30の後部側へ傾斜する傾斜面39bを有したものや、図3(a)に示す先端が屈曲したものを使用することができる。また、図3に示す上面鍔部39は2つの傾斜面39bを有したものを示したがこれに限るものではなく、上面鍔部39が1つの傾斜面39bを有して構成し、この傾斜面39bが上面30aの幅方向の一方の端部から他方の端部に渡って延設されるように構成することができる。
【0040】
【第2の実施の形態】
次に、本発明の伸縮ブームにおける第2の実施の形態を図1、図2及び図6に基づいて説明する。第2の実施の形態においては第1の実施の形態との相違点のみを説明し、第1の実施の形態と同一態様部分については同一符号を付してその説明を省略する。図6(a)に示す先端カバー30には図2に示す鍔部37が設けられていない。先端ブーム部材11bの先端部であって先端カバー30の後端よりも先端ブーム部材11bの基端側の外壁には外側へ突出する矩形状のフランジ部55が設けられている。このフランジ部55により先端カバー30の後端の開口部30cを閉蓋している。
【0041】
このため、図1に示す作業台17が車体3に格納された状態で車両を走行させた場合、先端カバー30の後端の開口部30cはフランジ部55により閉蓋されているので、降雨時における雨水が先端ブーム部材11bの上面に付着して先端カバー30側へ流れてもフランジ部55がその流れを阻止するので、雨水が先端カバー30内部へ侵入することはない。このため、フランジ部55よりも先端側の先端ブーム部材11bを常に乾いた状態にすることができる。
【0042】
また、図6(b)に示す先端カバー30を使用することができる。この先端カバー30は先端カバー30の内壁の上面と両側面に内側へ突出する内側突出部57を有し、この内側突出部57により先端カバー30で覆われた先端ブーム部材11bの先端部と後端部間を遮断している。この先端カバー30によれば、降雨時に図1に示す作業台17を車体3に格納した状態で車両を走行させた場合、雨水は先端ブーム部材11bの上面に付着して先端カバー30側へ流れるが、内側突出部57がその流れを阻止する。このため、内側突出部57よりも先端側の先端ブーム部材11bを常に乾いた状態にすることができる。
【0043】
尚、内側突出部57は先端カバー30の内壁の上面と両側面から内側へ突設したものを示した、これに限らず、内側突出部57が先端ブーム部材11bの先端部と後端部とを遮断するものであれば、内壁の周方向に環状に設けたり、上面、側面、底面の少なくともいずれかのみに設けてもよい。
【0044】
次に、伸縮ブームにおける他の参考例を図7に基づいて説明する。この参考例の形態においては第1の実施の形態と同様であるが更なる相違点があり、ここでは相違点のみを説明し、第1の実施の形態と同一態様部分については同一符号を付してその説明を省略する。この参考例は先端カバー30の長さL1を特定したものである。図7に示す先端カバー30が挿着された先端ブーム部材11bの先端部と基端ブーム部材11aの先端部間が所定の電気的絶縁性能を確保するための先端ブーム部材11bの先端部と基端ブーム部材11aの先端部間の距離のうち最小の最小限距離(先端最小伸長量L2)になるように先端ブーム部材11bを基端ブーム部材11aから伸長させた場合、先端カバーの長さL1は先端最小伸長量L2から基端ブーム部材11aの先端から先端カバー30の後端間の先端ブーム部材11bの耐電性能が所定の耐電性能を確保する長さL3を減算した長さ以下としている。
【0045】
更に詳細には、先端カバー30に設けられた鍔部37により露出した先端ブーム部材11b上への雨水の落下を阻止できるので、雨水により先端ブーム部材11bの先端部と基端ブーム部材11aの先端部間が電気的に接続されることは無くなった。このため、先端カバー30の後端部と基端ブーム部材11aの先端部間の先端ブーム部材11bを内部に絶縁体を挟装したコンデンサとして考えることができる。この場合、コンデンサの一方の極板(先端カバー30側)には交流の電圧供給源が接続され、他方の極板(基端ブーム11a側)は接地されていると考える。
【0046】
ここで、交流の電圧供給源からコンデンサの一方の極板に交流電圧が印加されて一方の極板に時間的に変化する電荷が供給されている場合、極板間に変位電流が流れていると考えると、極板の内外で電流は連続となり、作業台17と基端ブーム部材11a間に漏洩電流Iが流れることになる。
【0047】
そこで、作業台17の電気的絶縁性能から漏洩電流Iの大きさを決定し、作業台17で行なわれる配電作業で取り扱われる最大電圧値と漏洩電流Iの大きさに基づいてコンデンサの容量を算出し、この算出されたコンデンサの容量に基づいてコンデンサの極板間距離dを算出する。この極板間距離dを先端カバー30の後端と基端ブーム部材11aの先端部間の距離L3とすることで、先端カバー30の長さL1は先端最小伸長量L2から距離L3を減算した値以下に決定することができる。
【0048】
上記の方法で決定された長さL1を有する先端カバー30を使用した場合、たとえ降雨時の雨水が先端カバー30の鍔部37を乗り越えて先端ブーム部材11b上に落下してもその量は少ないので、先端カバー30の後端と基端ブーム部材11aの先端部間が電気的に接続されず、漏洩電流Iを増加させない。また、雨水の落下した場所は絶縁性を有した先端ブーム部材11b上であるので、この落下した雨水を介して先端カバー30の後端と基端ブーム部材11aの先端部間が電気的に接続されることもない。その結果、漏洩電流Iの大きさが増加することはないので、作業台17の電気的絶縁性能を確実に確保することができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明による伸縮ブームによれば、車体に対して起伏動自在に設けられ導電材料製の基端側ブーム部材と、基端側ブーム部材に伸縮動自在に設けられ絶縁性を有した先端ブーム部材と、先端ブーム部材の先端部を覆い絶縁材料製の先端カバーとを有して構成し、先端カバーの上面の後端部に後方へ向かって斜めに延びて雨水等が先端ブーム部材の上面を流れるのを阻止する鍔部を設けることで、先端カバーの上面に雨水が付着し、その雨水が上面上を下方へ移動しても、雨水は鍔部に衝突し鍔部に沿って下方へ移動して鍔部の下端から地面へ落下するので、雨水が鍔部を乗り越えて先端ブーム部材の上面に流れることはなく、先端ブーム部材を伸縮動させて先端ブーム部材の先端部と基端側ブーム部材間の距離を先端ブーム部材の先端部の電気的絶縁を確保できる先端ブーム部材の最小限の伸長量にした場合でも、先端ブーム部材と基端側ブーム部材間が雨水により電気的に接続されることがないので、作業台の電気的絶縁性能を十分に確保することができる。
【0051】
更に、先端カバーの少なくとも上面に先端カバーの延出方向と略直角方向に延設されるとともに上方へ突出して雨水等が先端ブーム部材の上面を流れるのを阻止する鍔部を形成し、先端ブーム部材の先端部に基端側ブーム部材の起伏角度に係わらず常時水平状態に保持される作業台を設け、鍔部を可倒性を有する材料製とし、先端ブーム部材を縮小動させて基端側ブーム部材に格納し、基端側ブーム部材を負角の状態で車体上に格納させたときに、作業台の底部が鍔部の先端部に当接して鍔部を撓ませ、先端カバーの上方であって所定の間隙を有した位置に作業台が格納される場合には、作業台の上下方向の格納位置がより下方となり、車両の重心をより低くすることができる。また、伸縮ブームを使用する場合に基端ブーム部材を起仰動させると作業台が上方へ移動して倒れていた鍔部が起立するので、先端カバーに雨水が付着しても起立した鍔部が雨水の流れを阻止することができる。
【0052】
また、先端ブーム部材の先端部であって先端カバーの後端よりも先端ブーム部材の基端側に先端ブーム部材の外壁から外側へ突出するフランジ部を設け、フランジ部が先端カバーの後端の開口部を閉蓋する場合には、降雨時に伸縮ブームを車体に格納した状態で車両を走行させても、先端カバーの後端側の開口部はフランジ部で閉蓋されているので、雨水が先端ブーム部材の上面に付着して先端カバー側へ流れてもフランジ部によりその流れが阻止されて先端カバー内部へ侵入することはなく、先端ブーム部材の先端部を濡らすことはない。
【0053】
更に、先端カバーの内側に内側へ突出する内側突出部を設け、内側突出部により先端カバーで覆われた先端ブーム部材の先端部と後端部間を遮断する場合には、降雨時に伸縮ブームを車体に格納した状態で車両を走行させても、雨水は先端ブーム部材に付着して先端カバー側へ流れても内側突出部がその流れを阻止するので、内側突出部よりも先端側の先端ブーム部材を濡らすことはない。
【0054】
また、先端カバーを有した先端ブーム部材の先端部と基端側ブーム部材の先端部間が所定の電気的絶縁性能を確保できる先端ブーム部材の先端部と基端側ブーム部材の先端部間の距離のうち最小の最小限距離になるように先端ブーム部材を基端側ブーム部材から伸長させた場合、先端カバーの先端ブーム部材の延出方向の長さは最小限距離から基端側ブーム部材の先端から先端カバーの後端間の先端ブーム部材の耐電性能が所定の耐電性能を有した長さを減算した長さ以下にする場合には、たとえ、降雨時の雨水が先端カバーの鍔部を乗り越えて先端ブーム部材上に落下してもその量は少なく先端カバーの後端と基端側ブーム部材の先端部間が電気的に接続されることはなく、また、雨水が落下した場所は絶縁性を有した先端ブーム部材であるのでこの落下した雨水を介して先端カバーの後端と基端ブーム部材の先端部間が電気的に接続されることもない。その結果、基端側ブーム部材の先端から先端カバーの後端間の先端ブーム部材の耐電性能が所定の耐電性能に保持されるので、作業台の電気的絶縁性能を確実に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態における伸縮ブームを搭載した高所作業車の正面図を示す。
【図2】 本発明の第1の実施の形態における先端ブーム部材に挿着された先端カバーの斜視図を示す。
【図3】 本発明の第1の実施の形態における先端ブーム部材に挿着された先端カバーを示し、同図(a)は先端カバーの斜視図を示し、同図(b)は先端カバーの正面図を示す。
【図4】 本発明の第1の実施の形態における先端ブーム部材に挿着された先端カバーを示し、同図(a)は先端カバーの斜視図を示し、同図(b)は先端カバーの要部の正面図を示す。
【図5】 本発明の第1の実施の形態における先端カバーの作用を説明するための図を示す。
【図6】 本発明の第2の実施の形態における伸縮ブームの斜視図を示す。
【図7】 伸縮ブームの参考例における先端カバーの正面図を示す。
Claims (4)
- 車体に対して起伏動自在に設けられ導電材料製の基端側ブーム部材と、前記基端側ブーム部材に伸縮動自在に設けられ絶縁性を有した先端ブーム部材と、前記先端ブーム部材の先端部を覆い絶縁材料製の先端カバーとを有して構成された伸縮ブームであって、
前記先端カバーの上面の後端部に後方へ向かって斜めに延びて雨水等が前記先端ブーム部材の上面を流れるのを阻止する鍔部を有することを特徴とする伸縮ブーム。 - 車体に対して起伏動自在に設けられ導電材料製の基端側ブーム部材と、前記基端側ブーム部材に伸縮動自在に設けられ絶縁性を有した先端ブーム部材と、前記先端ブーム部材の先端部を覆い絶縁材料製の先端カバーとを有して構成された伸縮ブームであって、
前記先端カバーの少なくとも上面に前記先端カバーの延出方向と略直角方向に延設されるとともに上方へ突出して雨水等が前記先端ブーム部材の上面を流れるのを阻止する鍔部を形成し、
前記先端ブーム部材の先端部に前記基端側ブーム部材の起伏角度に係わらず常時水平状態に保持される作業台を有し、前記鍔部は可倒性を有する材料から作られ、前記先端ブーム部材を縮小動させて前記基端側ブーム部材に格納し、前記基端側ブーム部材を負角の状態で前記車体上に格納した場合、前記作業台の底部が前記鍔部の先端部に当接して前記鍔部が撓み、前記先端カバーの上方に所定の間隙を有して前記作業台が格納されることを特徴とする伸縮ブーム。 - 車体に対して起伏動自在に設けられ導電材料製の基端側ブーム部材と、前記基端側ブーム部材に伸縮動自在に設けられ絶縁性を有した先端ブーム部材と、前記先端ブーム部材の先端部を覆い絶縁材料製の先端カバーとを有して構成された伸縮ブームであって、
前記先端ブーム部材の先端部であって前記先端カバーの後端よりも前記先端ブーム部材の基端側に前記先端ブーム部材の外壁から外側へ突出するフランジ部を設け、前記フランジ部が前記先端カバーの後端の開口部を閉蓋することを特徴とする伸縮ブーム。 - 車体に対して起伏動自在に設けられ導電材料製の基端側ブーム部材と、前記基端側ブーム部材に伸縮動自在に設けられ絶縁性を有した先端ブーム部材と、前記先端ブーム部材の先端部を覆い絶縁材料製の先端カバーとを有して構成された伸縮ブームであって、
前記先端カバーの内側に内側へ突出する内側突出部を有し、前記内側突出部により前記先端カバーで覆われた前記先端ブーム部材の先端部と後端部間を遮断することを特徴とする伸縮ブーム。
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