JP3846442B2 - 車両のアームレスト構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室の内壁面にアームレストを設けてなる車両のアームレスト構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の多くは、車室の一部を形成している本体の内面側にアームレストを設けて、乗員の腕を休ませられるようにしてある。
【0003】
通常、こうしたアームレストには、車室の内壁面となる本体の内面から平盤状に壁部を張り出し、同壁部の端部を下方の内壁面へ延ばすという、略断面が逆L字形の壁構造が用いられ、上壁部分の上面に乗員の腕が載せられる構造にしてある。
【0004】
ところで、アームレストは、端部が車室内へ突き出る部材が自動車に装備される都合上、快適に乗員が休められるよう腕の重さを支えるのに十分な剛性(下方向に対する剛性)の確保と、側面衝突時に車室内へ突き出たアームレストの端部が乗員に衝撃を与えないようにする措置が求められる。
【0005】
そこで、これらを両立するために、例えばドアトリムにアームレスト用開口を形成し、中空のボックス形のアームレストを用い、同アームレストをドアトリムの裏面から該ドアトリムに形成したアームレスト用開口から車室内へ突き出し、アームレストの基端部に形成された段差部の有るフランジ部をドアトリムの裏面に溶着するアームレスト構造を採用して、通常時はフランジ部による支持で乗員の腕を支えるのに必要な剛性を確保し、側面衝突時は、乗員と当たることで加わる車室内方向からの荷重により、アームレストの基端部がドアトリムから脱落、さらには段差部での応力集中による変形で、フランジ部、さらにアームレストの基端側へと進む変形を進行させて、衝撃力の緩和する技術が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−286232号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようなアームレストのフランジ部、周壁部に変形を順次拡大させて衝撃力を吸収する構造は、アームレストの座屈の変形に依存しているので、衝撃吸収に必要な剛性の低下には限度がある。このため、十分な衝撃力の緩和が期待できない問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、アームレストとしての剛性を確保しつつ、側面衝突時には十分な衝撃吸収性能がもたらせられる車両のアームレスト構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、アームレスト構造には、車室の内壁面から車室内側に支持座を突き出る支持座を設け、同支持座に一端部が載置され他端部が車室内側へ突き出るアームレスト上面部、アームレスト上面部の他端部から下方へ延びて前記車室の内壁面へ至るアームレスト側面部を設け、アームレスト上面部とアームレスト側面部とが連結する連結部または該連結部の近傍に、アームレストの側部へ車室内側から所定値以上の荷重が入力されると、アームレスト上面部の折れ曲げを誘発させ、アームレスト上面部およびアームレスト側面部が偏平状に展開するのを促す折れ曲げ起点部を設け、折れ曲げ起点部の折れ曲げの際、支持座に載置されているアームレスト上面部の一端部の上方への移動を促す移動促進手段を設け、車室の内壁面とアームレスト上面部およびアームレスト側面部とで囲まれる空間内にアームレストからの衝撃を緩衝する衝撃吸収部材を配設した構造を採用した。
【0010】
同構成により、通常時は、アームレスト上面部が支持座、アームレスト側面部で支えられるので、アームレストとしての必要な剛性が確保される。
【0011】
また側面衝突時は、十分な衝撃吸収性が発揮される。すなわち、例えば車室内へ突き出たアームレストの側部に所定値以上の荷重が加わり、折れ曲げ起点部の剛性がその荷重に耐えられなくなると、アームレスト上面部は折れ曲げ起点部を支点とした折れ曲げが生じ、アームレスト上面部の展開が誘発される。一方、アームレスト上面部の一端部は、移動促進手段により、上方へ移動され、アームレスト上面部の展開を加速度的に促す。この展開により、アームレストの荷重入力方向(横方向)の断面形状は急激に破断され、アームレストの剛性は急激に低下し、初期の衝撃荷重を吸収する。続いてアームレスト上面部およびアームレスト側面部が大きく変形する。このときのアームレスト上面部やアームレスト側面部が偏平状になるまでの変形を利用して、衝撃吸収部材は、その後の衝撃荷重を吸収する。これにより、座屈変形では奏し得ない、荷重入力方向(横方向)の大きな断面形状の変化を利用して、十分に衝撃力が吸収される。
【0012】
それ故、乗員の腕を載せるに必要な剛性の確保と、側面衝突時の十分な衝撃吸収性能との双方が確保される。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記目的に加え、さらに簡単かつ衝撃荷重の調整が可能な構造で、効果的に初期の衝撃荷重の吸収が行えるよう、折れ曲げ起点部には、コーナー部またはコーナー部近傍の壁面を切欠した切欠部で形成したことにある。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1ないし図4に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
【0015】
図1中1は自動車(車両)の車体、2は同車体1内に形成される車室、3は車体1の側部に開閉自在に設けられたドアを示している。
【0016】
ここで、ドア3の本体3aは、例えばドアアウタパネル4aとドアインナパネル4bとを組み合わせてなる偏平箱形のドアパネル部5と、同ドアパネル部4の上部に組付けた枠形のサッシュ部4とを有して構成してある。この本体3aのうち、図2および図4に示されるように車室2に臨む内壁面となるインナパネル面4cには、例えば全体に渡り、例えば合成樹脂製のドアトリム6が装着されている。そして、トリム面6a(ドアトリム6の車室2内に臨む面)のうち、例えば中段の地点には、例えば合成樹脂製のアームレスト10が形成されている。図2にはこのアームレスト10のA−A線に沿う断面が示され、図3にはアームレスト10のB部を拡大した図が示されている。
【0017】
アームレスト10について説明すると、アームレスト10が形成されるドアトリム6のトリム面6aの中段部分には、車体前後方向に延びる細長の開口部11(図2、図4に一部図示)が形成されている。図2に示されるようにこの開口部11の開口縁の上縁部分には、例えば全体に渡り、車室2側へ例えば略水平に突き出る帯板状の支持座12が形成されている。つまり、支持座12はドアトリム6から車室内へ突き出るように設けられる。そして、支持座12を含みドアトリム10の開口部11を塞ぐように、アームレスト本体部13が組み付けられている。このアームレスト本体部13は、断面がL字形の本体壁を有して構成してある。この本体壁は、例えば開口部11の上縁部に沿って配置され車室2内へ突き出る例えば横壁状のアームレスト上面部14と、このアームレスト上面部14の突出した端部と一体に連結されて下方へ延びる縦壁状のアームレスト側面部15とを有している。アームレスト上面部14は、アームレスト10の上面部(乗員の腕が載る部分)をなし、アームレスト側面部15は車室2内に面するアームレスト10の側面部をなす部分である。なお、アームレスト上面部14の全体は、例えば図1に示されるように例えば後部側の突き出し量が略一定で、前方へ向かうにしたがい突き出し量が減少する外形をなしている。そして、アームレスト上面部14の端部14aが、ドアトリム6から突き出た支持座12の上面に載置させてある。またアームレスト側面部15の下端部15aは、例えばドアトリム6側へ湾曲して(あるいは逆L字状に曲がって)、アームレスト本体部13の下側のドアトリム面6aに近づいている。この下端部15aが例えばドアトリム6と一体に連結されてインナパネル面4cへ至り、アームレスト上面部14を支持座12とアームレスト側面部15とで両側から支えている。この支持により、アームレストとしての機能、すなわち乗員の腕を載せておくのに必要な上下方向の支持剛性を確保させている。またL字形の本体壁(アームレスト上面部14とアームレスト側面部とがなす壁)の車体後方側の開口部分は、図1および図3に示されるように開口部11の後縁部から車室2内へ張り出しているドアトリム10の後部壁10aで塞がれている。そして、これらアームレスト上面部14およびアームレスト側面部15の車体後方側の端部と後部壁10aとの間は、脆弱部、例えば切れ込みの有る連結部17で連結されていて、中空のアームレスト本体部13の全体を形成している。この連結構造により、アームレスト10の側部10b(車内側に突き出る部分)へ車室内側から所定値以上の衝撃力(荷重)が加わると、アームレスト上面部14とアームレスト側面部15の後端部が、切れ込み部分から分離される構造にしてある。
【0018】
また図2に示されるようにアームレスト上面部14とアームレスト側面部15とが連結するコーナー部18(連結部に相当)付近(コーナー部18を含む)、例えばコーナー部18近傍となるコーナー部18寄りのアームレスト側面部15には、前後方向に沿って折れ曲げ起点部19が形成されている。折れ曲げ起点部19は、アームレスト10の側部10b(車室内へ突き出ている部位)へ所定値以上の衝撃力(荷重)が加わると、アームレスト上面部14が展開方向へ折れ曲がる起点を形成する部分である。この折れ曲げ起点部19には、例えば図2に示されるようにアームレスト側面部15の裏面(内面)に切欠部として例えば断面三角状の溝部19aをコーナー部18に沿って一条形成して、溝部19aが存在する部分を折り曲げが生じやすい薄肉部分にした構造が用いられる。つまり、アームレスト10の側部10bへ所定値以上の衝撃力(荷重)が車室内側から入力されると、薄肉部分が破断して折れ曲がりが生じるようにしてある。この折れ曲がりにより、アームレスト上面部14は、薄肉部分をヒンジ点として、端部14aが支持座12から離れる動き、すなわちアームレスト上面部14が上方向へ展開する挙動やアームレスト側面部15が押し潰される挙動が誘発されるようにしている。つまり、アームレスト10は、側部から衝撃力が入力されると、折れ曲げ起点部19を支点として、アームレスト上面部14とアームレスト側面部15とが折れ曲がる構造にしてある。そして、このアームレスト上面部15の動きが助長されるよう、ヒンジ点を挟んだアームレスト上面部14の裏面(内面)やアームレスト側面部15の裏面(内面)などには、加わる衝撃力がヒンジ点に集中して加わるよう、補強部、例えば車室内外方向に延びるリブ20が複数、車体の前後方向に沿って形成してある。
【0019】
またアームレスト本体部13の各部には、この展開時におけるアームレスト上面部15の上方向への移動を促進(助長)するための種々の促進部21a〜21d(いずれも移動促進手段に相当)が設けてある。
【0020】
促進部21a〜21dを説明すると、促進部21a〜21dは、いずれもアームレスト10の展開の際、アームレスト上面部14の端部14aの上方へ向かう移動を促す構造である。
【0021】
すなわち、促進部21aには、例えば図2および図4に示されるようにアームレスト上面部14の端部14aの先端部分に誘導用のガイド部分22を形成した構造が用いてある。具体的にはガイド部分22は、例えば支持座12に載る端部14aの先端側に、車室外方向に向かうにしたがい斜め上方へ延ばした部分、例えば斜め上方へ傾斜した突片を形成した構造が用いてある。これにより、アームレスト10の側部10bに衝撃力が加わり、端部14aがトリム面6aへ至ると、上向きに傾斜したガイド部分22(突片)がトリム面6aを伝わりながら上方へ向かうようにしてある、つまり、ガイド部分22の挙動により、積極的にアームレスト上面部14aの端部を持ち上がらせて、アームレスト上面部14の展開(上方向の移動)を促せるようにしてある。
【0022】
促進部21bには、例えば図2〜図4に示されるように端部14aの先端直上(上方)に配置されるトリム面部分の全域(図1中のαで示す部位)に渡り、上下方向に湾曲した曲面24aの凹面をもつ凹部24が形成した構造が用いてある。これにより、アームレスト10の側部10bに衝撃力が加わり、端部14aがトリム面6aへ至ると、端部14aの先端は、曲面24aで、トリム面6aの上方へ向かうよう誘導されるようにしてある。つまり、曲面24aがもたらす挙動により、積極的にアームレスト上面部14aの端部を持ち上がらせて、アームレスト上面部14の展開(上方向の移動)を促せるようにしてある。
【0023】
促進部21cは、例えば図2および図4に示されるように端部14aの先端から退避した地点、ここでは突片(ガイド部分22)の基端部の全体に渡り、上下方向の向きに変位自在なヒンジ部25を形成した構造が用いてある。具体的にはヒンジ部25は、例えば図2に示されるように突片の基端部内面に該突片に沿って断面三角状の切込みを一条形成して、切込み部25aが存在する薄肉部分だけを上下方向に自在に折り曲げできる部分にしてなる。これにより、上向き傾斜した突片が切込み部25aを支点として上向き方向に変位できるようにしている。同構造により、アームレスト10の側部10bに衝撃力が加わり、端部14aがトリム面6aへ至ると、端部14aの先端の回動変位、ここでは突片が、切込み部25aを支点とした変位により、端部14aの端がトリム面6aの上方へ向かうよう誘導されるようにしてある。つまり、切込み部25aがもたらす挙動により、積極的にアームレスト上面部14aの端部を持ち上がらせて、アームレスト上面部14の展開(上方向の移動)を促せるようにしてある。
【0024】
促進部21dは、例えば図2および図4に示されるように支持座12の先端部の全域に車室内へ向かうしたがい下方へ傾斜する傾斜部26を形成し、端部14aの先端側の内面(裏面)に持ち上げ起点部27(本願の持ち上がり部に相当)を形成した構造が用いてある。持ち上げ起点部27には、端部14aの内面に、傾斜部26の傾斜面26aと斜面が向き合うよう断面三角形状のリブ部27bを形成した構造が用いてある。なお、27aはリブ部27の傾斜面を示す。この傾斜部26とリブ部27bとの組み合わせにより、アームレスト10の側部10bへ車室内側から衝撃力が加わり、端部14aがトリム面6aへずれると(端部14aがトリム面6aへ向かう挙動)、リブ部27bが傾斜部26の傾斜面26a上を変位するようにしてある。つまり、端部14aは、所定値以上の衝撃力が受けると、傾斜面26aにならって持ち上がるようにしてある。この端部14aの持ち上げにより、積極的にアームレスト上面部14の展開(上方向の移動)を促せるようにしてある。
【0025】
また図2に示されるように本体3aのインナパネル4cと各アームレスト上面部14およびアームレスト側面部15とで囲まれる空間β(開口部11を含む)には、同空間βを占めるように衝撃吸収部材28が配設してある。
【0026】
詳しくは、衝撃吸収部材28は、例えば車体前後方向へ連続して細長く延びた角形の発泡部材(衝撃を受けると変形する部材)で形成してある。そして、この衝撃吸収部材28の車室外側の端部が、開口部11を貫通して、ドアインナパネル4bに固定、例えばドアインナパネル4bに形成した貫通孔29を貫通して同貫通孔29の開口縁に固定させてある。また衝撃吸収部材28の車室内側の端部は、例えばアームレスト側面部15の裏面(内面)と近接する地点まで延びている。この衝撃吸収部材28が、空間βの大部分、具体的には例えば乗員と干渉しやすいアームレスト10の領域γを占めるように収めてある。これにより、アームレスト側面部15が衝撃力で押し潰されると、衝撃吸収部材28が変形を生じるようにしてある。つまり、衝撃力の吸収(緩和)が行えるようにしてある。
【0027】
こうした構造により、アームレスト10に求められる性能を確保している。
【0028】
すなわち、通常時のアームレスト10は、アームレスト上面部14の両側が、本体3aで支持されるドアトリム6から突き出る支持座12、ドアトリム6とつながるアームレスト側面部15で支えられていることによって、乗員の腕を載せておくのに耐える剛性を確保している。つまり、通常時は、アームレスト機能に必要な剛性が確保される。
【0029】
一方、例えば側突(車体1の側部が衝突)などにより、シートに着座している乗員の身体(いずれも図示しない)が、アームレスト10の車室内へ突き出ている側部10bに干渉し、この際、図4(a)に示されるようにアームレスト10の側部10bに車室内側から荷重Fが加わるとする。すると、アームレスト上面部14やアームレスト側面部15はたわみを生じる。このとき、入力される荷重Fが所定値以上であると、応力が集中する折れ曲げ起点部19における支持剛性や連結部17の切れ込み部分は、その荷重Fに支持剛性が耐えられなくなる。すると、切れ込み部分が破れる。また折れ曲げ起点部19の薄肉部分は破断して、同部分に折れ曲がりが起きる。これにより、図4(b)に示されるようにアームレスト上面部14とアームレスト側面部15は、折れ曲がり部19が有る薄肉部分を支点として展開する方向へ折れ曲げられる。つまり、アームレスト上面部14には展開しようとする挙動が誘発される。
【0030】
一方、アームレスト上面部14の端部14aは、展開が促進されるよう、促進部21a〜21dにて、上方への移動が促させられる。すなわち、図4(a),(b)に示されるようにアームレスト上面部14の端部14aは、斜め上方へ傾斜したガイド部分22により持ち上げられたり、曲面24aにより持ち上げられたり、ヒンジ部25により持ち上げられたり、リブ部27bが傾斜部26の傾斜面26a上を移動することで持ち上げられたりする。
【0031】
こうした端部14aの上方への移動により、アームレスト10の展開は、加速的に進む。これにより、図4(b)に示されるようにアームレスト10の荷重Fの入力方向(横方向)の断面形状は急激に破断され、アームレスト10の剛性の急激な低下を誘発する。すると、アームレスト上面部14は折れ曲げ起点部19を支点として上方へ大きく移動、アームレスト側面部15は押し潰されるという、荷重入力方向(横方向)において大きな断面形状の変化が起きる。具体的には、図4(b)に示されるようにアームレスト10は、アームレスト上面部14、アームレスト側面部15および折れ曲がり起点部19が上下方向に略直線状に連なる偏平状となるまで大きく変形する。
【0032】
このときのアームレスト10の剛性が急激に低下する挙動にて、入力される衝撃力のうち、初期の衝撃荷重が吸収される。そして、続くアームレスト上面部14およびアームレスト側面部15が図4(b)に示されるように大きく変形、すなわち偏平状になるまで変形するときのアームレスト側面部15の押し潰れを利用して、アームレスト10に内蔵の衝撃吸収部材28が変形を起こし、その後の衝撃荷重を吸収する。
【0033】
これにより、座屈変形では奏し得ない、荷重入力方向(横方向)の大きな断面形状の変化を用いて、入力される衝撃力Fを、初期の衝撃荷重、その後の衝撃荷重といった具合に効果的に吸収することができる。
【0034】
それ故、乗員の腕を載せるに必要な剛性の確保と、側面衝突時の十分な衝撃吸収性能との双方を確保することができる。しかも、折れ曲げ起点部19には、溝部19a(切欠部19)を採用したので、構造が簡単であるうえ、深さを変えるだけで容易に衝撃吸収荷重の調整ができ、適切に初期の衝撃荷重の吸収ができる。
【0035】
図5は、本発明の第2の実施形態を示す。
【0036】
本実施形態は第1の実施形態の変形例である。同実施形態は、折り曲げ起点部19を薄肉部分でなく、別途、継手部材、例えばヒンジ部材30を介して、アームレスト上面部14とアームレスト側面部15とを展開可能に連結するという構造で構成したものである。
【0037】
このようにしても第1の実施形態と同様の効果を奏する。但し、図5において、第1の実施形態と同じ部分には同一符号を附してその説明を省略した。
【0038】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施してもよいことはいうまでもない。例えば上述した各実施形態では、アームレスト上面部とアームレスト側面部とのコーナー部近傍に折り曲げ起点部を設けた例を挙げたが、これに限らず、アームレスト上面部とアームレスト側面部とのコーナー部に折り曲げ起点部を設けてもよく、要は折り曲げ起点部を設ける位置は、アームレストの側部へ荷重が入力されたとき、当該折り曲げ起点部を支点にアームレスト上面部とアームレスト側面部とが展開する地点であればよい。また上述した実施形態は、車両のドアトリムに形成したアームレストに適用したが、これに限らず、ドアパネル部の壁面から直接、アームレストが突き出る構造でも、ドアでなく、車体の内壁面からアームレストが突き出る構造にも、本発明を適用してもよい。また、促進部21a〜21dは必ずしもすべての構成を有している必要はなく、いずれかを適宜に組み合わせたり、いずれか1つのみを有する構成としても良い。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、通常時は、アームレスト上面部は、支持座、アームレスト側面部で支えられてアームレストとしての必要な剛性が確保される。また側面衝突時は、折れ曲げ起点部を支点としたアームレスト上面部、アーム側面部の展開により、座屈変形では奏し得ない、アームレストの荷重入力方向(横方向)の断面形状が大きく変化するという挙動により、アームレストの剛性が急激に低下して、初期の衝撃荷重を吸収し、続く衝撃吸収部材の変形により、その後の衝撃荷重を吸収する。
【0040】
それ故、アームレストとしての剛性を確保しつつ、側面衝突時には十分な衝撃吸収性能が発揮できるアームレストを実現させることができる。
【0041】
請求項2に記載の発明によれば、さらに請求項1の効果に加え、簡単な構造で、適切に初期の衝撃荷重の吸収ができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るアームレスト構造を、車両のドアと共に示す斜視図。
【図2】図1中のA−A線に沿うアームレストの断面図。
【図3】図1中のB部を拡大して示す一部切欠した斜視図。
【図4】アームレストが側部から衝撃を受けて展開するまでを説明するための断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るアームレスト構造を示す断面図。
【符号の説明】
2…車室、3…ドア、4b…ドアインナパネル、4c…インナパネル面(車室の内壁面)、6…ドアトリム、6a…トリム面、10…アームレスト、12…支持座、14…アームレスト上面部、15…アームレスト側面部、18…コーナー部(連結部)、19…折れ曲げ起点部、20,24,25,26,27…ガイド部分,凹部,ヒンジ部,傾斜部,持ち上がり部(移動促進手段)、28…衝撃吸収部材。
Claims (2)
- 車室の内壁面から車室内側に突き出るアームレストを備えた車両のアームレスト構造において、
前記車室の内壁面から車室内側に突き出るように形成された支持座と、
一端部が前記支持座に載置され他端部が車室内側へ突き出て前記アームレストの上面部を形成するアームレスト上面部と、
前記アームレスト上面部の他端部から下方へ延びて前記車室の内壁面へ至り、前記アームレストの側面部を形成するアームレスト側面部と、
前記アームレスト上面部と前記アームレスト側面部とが連結する連結部または該連結部の近傍に形成され、前記アームレストの側部へ車室内側から所定値以上の荷重が入力されると、前記アームレスト上面部の折れ曲げを誘発させ、前記アームレスト上面部および前記アームレスト側面部が偏平状に展開するのを促す折れ曲げ起点部と、
前記折れ曲げ起点部の折れ曲がりの際、前記アームレスト上面部の一端部の上方への移動を促す移動促進手段と、
前記車室の内壁面と前記アームレスト上面部および前記アームレスト側面部とで囲まれる空間内に配設され、前記アームレストの側部から入力される衝撃を緩衝する衝撃吸収部材と
を有することを特徴とする車両のアームレスト構造。 - 前記折れ曲げ起点部は、前記コーナー部または前記コーナー部近傍の壁面を切欠した切欠部で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両のアームレスト構造。
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JP2004291829A (ja) | 2004-10-21 |
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