JP3846441B2 - 車両のアームレスト構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室の内壁面にアームレストを設けてなる車両のアームレスト構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の多くは、車室の一部を形成しているドア本体の内面側にアームレストを設けて、乗員の腕を休ませられるようにしてある。
【0003】
通常、こうしたアームレストには、車室の内壁面となるドア本体の内面から平盤状に壁部を張り出し、同壁部の端部を下方の内壁面へ延ばすという、略断面が逆L字形の壁構造が用いられ、上壁部分の上面に乗員の腕が載せられる構造にしてある。
【0004】
ところで、アームレストは、端部が車室内へ突き出る部材が自動車に装備される都合上、快適に乗員が休められるよう腕の重さを支えるのに十分な剛性(下方向に対する剛性)の確保と、側面衝突時に車室内へ突き出たアームレストの端部が乗員に衝撃を与えないようにする措置が求められる。
【0005】
そこで、これらを両立するために、例えばドアトリムにアームレスト用開口を形成し、中空のボックス形のアームレストを用い、同アームレストをドアトリムの裏面から該ドアトリムに形成したアームレスト用開口から車室内へ突き出し、アームレストの基端部に形成された段差部の有るフランジ部をドアトリムの裏面に溶着するアームレスト構造を採用して、通常時はフランジ部による支持で乗員の腕を支えるのに必要な剛性を確保し、側面衝突時は、乗員と当たることで加わる車室内方向からの荷重により、アームレストの基端部がドアトリムから脱落、さらには段差部での応力集中による変形で、フランジ部、さらにアームレストの基端側へと進む変形を進行させて、衝撃力の緩和する技術が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−286232号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようなアームレストのフランジ部、周壁部に変形を順次拡大させて衝撃力を吸収する構造は、アームレストの座屈の変形に依存しているから、衝撃吸収に必要な剛性の低下には限度があるうえ、アームレストの変形特性を最適にコントロールすることが難しく、最適な衝撃吸収が行えにくい問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、アームレストとしての剛性を確保しつつ、側面衝突時には最適な変形特性で十分に衝撃吸収が行える車両のアームレスト構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、車室の内壁面から車室内側に支持座を突き出し、同支持座に一端部が載置され他端部が車室内側へ突き出るアームレスト上面部を設け、アームレスト上面部の他端部から下方へ延びて前記車室の内壁面へ至るアームレスト側面部を設け、アームレスト上面部とアームレスト側面部とが連結する連結部または該連結部の近傍部分の壁面に、アームレストの側部へ車室内方向から所定値以上の荷重が入力されると、アームレスト上面部の折れ曲げを誘発させ、アームレスト上面部およびアームレスト側面部が偏平状に展開するのを促す切欠部を設け、さらにアームレスト上面部の折れ曲げの際、支持座に載置されているアームレスト上面部の一端部の上方への移動を促す移動促進手段を設け、加えて切欠部より下方のアームレスト側面部の裏面または切欠部より車室外側のアームレスト上面部の裏面、あるいは切欠部が設けられた部位以外のアームレスト上面部の裏面およびアームレスト側面部の裏面に設けられ、アームレストの側部から入力される荷重を切欠部へ集中させる補強部とを設けた構造を採用した。
【0010】
同構成により、通常時は、アームレスト上面部が支持座、アームレスト側面部で支えられるので、アームレストとしての必要な剛性が確保される。側面衝突時は、車室内へ突き出たアームレストの側部に所定値以上の荷重が加わると、切欠部が有る地点での剛性はその荷重に耐えられなくなる。すると、アームレスト上面部は切欠部を支点とした折れ曲げが生じる。これにより、アームレスト上面部の展開を誘発する。と共にアームレスト上面部の一端部は、移動促進手段により、上方へ移動され、アームレスト上面部の展開を促す。
【0011】
この展開により、アームレストの荷重入力方向(横方向)の断面形状は急激に破断される。すると、アームレストの剛性は急激に低下する。これにより、アームレスト上面部およびアームレスト側面部は、大きな変形、偏平状になるまで変形する。つまり、座屈変形では奏し得ない、荷重入力方向(横方向)の大きな断面形状の変化がもたらさせられる。これにより、加わる衝撃力は十分に吸収される。
【0012】
しかも、アームレストの変形の開始は、切欠部が有る部位を破断させる破断荷重で定まるから、切欠部の深さを変化させて破断荷重を設定するという比較的容易な措置だけで、アームレストの衝撃吸収荷重をコントロールすることができ、適切な変形特性を与えることができる。そのうえ、アームレストの側部から入力される荷重を切欠部へ集中させる補強部により、衝撃力が加わると、必ず切欠部を起点に折り曲げが始まる。
【0013】
それ故、乗員の腕を載せるに必要な剛性と、側面衝突時における最適な変形特性での十分な衝撃吸収性能との双方が確保される。
【0015】
請求項2に記載の発明は、前記目的を達成するために、請求項1の発明の切欠部の代わりに、継手部材を介してアームレスト上面部とアームレスト側面部とを接続する構造を採用して、継手部材の剛性を変えて回動を始める点を設定するという比較的容易な措置だけで、アームレストの衝撃吸収荷重をコントロールして、適切な変形特性が与えられるようにした。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1ないし図4に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
【0017】
図1中1は自動車(車両)の車体、2は同車体1内に形成される車室、3は車体1の側部に開閉自在に設けられたドアを示している。
【0018】
ここで、ドア3は、偏平箱形のドアパネル部5の上部に枠形のサッシュ部4とを組合わせたドア本体3aを有している。このドア本体3aのうち、車室2側に臨むインナパネル面(図示しない)には、例えば全体に渡り、例えば合成樹脂製のドアトリム6が装着されている。そして、車室の内壁面をなす、ドアトリム6の車室2内に臨むトリム面6aのうち、例えば中段の地点には、例えば合成樹脂製のアームレスト10が形成されている。図2にはこのアームレスト10のA−A線に沿う断面が示され、図3にはアームレスト10のB部を拡大した図が示されている。
【0019】
アームレスト10について説明すると、アームレスト10が形成されるドアトリム6の中段部分には、車体前後方向に延びる細長の開口部11(図2にだけ一部図示)が形成されている。図2に示されるようにこの開口部11の開口縁の上縁部分には、例えば全体に渡り、車室2側へ例えば略水平に突き出る帯板状の支持座12が形成されている。そして、支持座12を含みドアトリム10の開口部11を塞ぐように、アームレスト本体部13が組み付けられている。このアームレスト本体部13は、断面がL字形の本体壁を有して構成してある。この本体壁は、例えば開口部11の上縁部に沿って配置され車室2内へ突き出る例えば横壁状のアームレスト上面部14と、このアームレスト上面部14の突出した端部と一体に連結されて下方へ延びる縦壁状のアームレスト側面部15とを有している。アームレスト上面部14は、アームレスト10の上面部(乗員の腕が載る部分)をなし、アームレスト側面部15は車室2内に面するアームレスト10の側面部をなす部分である。なお、アームレスト上面部14の全体は、例えば図1に示されるように例えば後部側の突き出し量が略一定で、前方へ向かうにしたがい突き出し量が減少する外形をなしている。そして、アームレスト上面部14の端部14aが、ドアトリム6から突き出た支持座12の上面に載置させてある。またアームレスト側面部15の下端部15aは、例えばドアトリム6側へ湾曲して(あるいは逆L字状に曲がって)、アームレスト本体部13の下側のドアトリム面6aに近づいている。この下端部15aが例えばドアトリム6と一体に連結され、アームレスト上面部14を支持座12とアームレスト側面部15とで両側から支えている。この支持により、アームレストとしての機能、すなわち乗員の腕を載せておくのに必要な上下方向の支持剛性を確保させている。またL字形の本体壁(アームレスト上面部14とアームレスト側面部とがなす壁)の車体後方側の開口部分は、図1および図3に示されるように開口部11の後縁部から車室2内へ張り出しているドアトリム10の後部壁10aで塞がれている。そして、これらアームレスト上面部14およびアームレスト側面部15の車体後方側の端部と後部壁10aとの間は、脆弱部、例えば切れ込みの有る連結部17で連結されていて、中空のアームレスト本体部13の全体を形成している。この連結構造により、アームレスト10の側部10b(車内側に突き出る部分)へ車室内側から所定値以上の衝撃力(荷重)が加わると、アームレスト上面部14とアームレスト側面部15の後端部が、切れ込み部分から分離される構造にしてある。
【0020】
また図2に示されるようにアームレスト上面部14とアームレスト側面部15とが連結するコーナー部18(連結部に相当)付近(コーナー部18を含む)、例えばコーナー部18近傍となるコーナー部18寄りのアームレスト側面部15の裏面(内面)には、前後方向に延びる切欠部19が形成されている。この切欠部19は、アームレスト10の側部10b(車室内側の端部)へ所定値以上の衝撃力(荷重)が加わると、アームレスト上面部14が展開方向(上方向)へ折れ曲がる起点を形成する部分である。この切欠部19には、例えば図2に示されるようにアームレスト側面部15の内面に全長に渡り、例えば断面三角状の溝部19aをコーナー部18に沿って一条形成して、溝部19aが存在する部分を折り曲げが生じやすい薄肉部分にした構造が用いられる。つまり、アームレスト10の側部10bへ所定値以上の衝撃力(荷重)が車内側から入力されると、薄肉部分が破断して折れ曲がりが生じるようにしてある。この折れ曲がりにより、アームレスト上面部14は、薄肉部分をヒンジ点として、端部14aが支持座12から離れる動き、すなわちアームレスト上面部14が上方向へ展開する挙動やアームレスト側面部15が押し潰される挙動が誘発されるようにしている。つまり、アームレスト10は、側部から衝撃力が入力されると、切欠部19を支点として、アームレスト上面部14とアームレスト側面部15とが折れ曲がる構造にしてある。
【0021】
溝部19aを挟んで車室外側に配置されるアームレスト上面部14の裏面(内面)および溝部19aより下方に配置されるアームレスト側面部15の裏面(内面)には、それぞれ補強部として例えば車室内外方向全体に延びる複数のリブ部20が車体前後方向に並列に形成してある(例えば一体形成)。この各リブ部20にて、アームレスト10の側部10bから入力される衝撃力がヒンジ点(溝部19aの有る部分)に集中して加わる構造してある。つまり、リブ部20によってアームレスト上面部15の展開方向の動きが助長されるようにしている。
【0022】
またアームレスト本体部13の各部には、この展開時におけるアームレスト上面部15の上方向への移動を促進するための種々の促進部21a〜21d(いずれも移動促進手段に相当)が設けてある。促進部21a〜21dを説明すると、促進部21a〜21dは、いずれもアームレスト10の展開の際、アームレスト上面部14の端部14aの上方へ向かう移動を促す構造である。
【0023】
すなわち、促進部21aには、例えば図2および図4に示されるようにアームレスト上面部14の端部14aの先端部分に誘導用のガイド部分22を形成した構造が用いてある。具体的にはガイド部分22は、例えば支持座12に載る端部14aの先端側に、車室外方向に向かうにしたがい斜め上方へ延ばした部分、例えば斜め上方へ傾斜した突片を形成した構造が用いてある。これにより、アームレスト10の側部10bに衝撃力が加わり、端部14aがトリム面6aへ至ると、上向きに傾斜したガイド部分22(突片)がトリム面6aを伝わりながら上方へ向かうようにしてある、つまり、ガイド部分22の挙動により、積極的にアームレスト上面部14aの端部を持ち上がらせて、アームレスト上面部14の展開(上方向の移動)を促せるようにしてある。
【0024】
促進部21bには、例えば図2〜図4に示されるように端部14aの先端直上(上方)に配置されるトリム面部分の全域(図1中のαで示す部位)に渡り、上下方向に湾曲した曲面24aの凹面をもつ凹部24が形成した構造が用いてある。これにより、アームレスト10の側部10bに衝撃力が加わり、端部14aがトリム面6aへ至ると、端部14aの先端は、曲面24aで、トリム面6aの上方へ向かうよう誘導されるようにしてある。つまり、曲面24aがもたらす挙動により、積極的にアームレスト上面部14aの端部を持ち上がらせて、アームレスト上面部14の展開(上方向の移動)を促せるようにしてある。
【0025】
促進部21cは、例えば図2および図4に示されるように端部14aの先端から退避した地点、ここでは突片(ガイド部分22)の基端部の全体に渡り、上下方向の向きに変位自在なヒンジ部25を形成した構造が用いてある。具体的にはヒンジ部25は、例えば図2に示されるように突片の基端部内面に該突片に沿って断面三角状の切込みを一条形成して、切込み部25aが存在する薄肉部分だけを上下方向に自在に折り曲げできる部分にしてなる。これにより、上向き傾斜した突片が切込み部25aを支点として上向き方向に変位できるようにしている。同構造により、アームレスト10の側部10bに衝撃力が加わり、端部14aがトリム面6aへ至ると、端部14aの先端の回動変位、ここでは突片が、切込み部25aを支点とした変位により、端部14aの端がトリム面6aの上方へ向かうよう誘導されるようにしてある。つまり、切込み部25aがもたらす挙動により、積極的にアームレスト上面部14aの端部を持ち上がらせて、アームレスト上面部14の展開(上方向の移動)を促せるようにしてある。
【0026】
促進部21dは、例えば図2および図4に示されるように支持座12の先端部の全域に車室内へ向かうしたがい下方へ傾斜する傾斜部26を形成し、端部14aの先端側の内面(裏面)に持ち上げ起点部27を形成した構造が用いてある。持ち上げ起点部27には、端部14aの内面に、傾斜部26の傾斜面26aと斜面が向き合うよう断面三角形状のリブ27bを形成した構造が用いてある。なお、27aはリブ27の傾斜面を示す。この傾斜部26とリブ27bとの組み合わせにより、アームレスト10の側部10bへ車室内側から衝撃力が加わり、端部14aがトリム面6aへずれると(端部14aがトリム面6aへ向かう挙動)、リブ27bが傾斜部26の傾斜面26a上を変位するようにしてある。つまり、端部14aは、所定値以上の衝撃力が受けると、傾斜面26aにならって持ち上がるようにしてある。この端部14aの持ち上げにより、積極的にアームレスト上面部14の展開(上方向の移動)を促せるようにしてある。
【0027】
このような構造により、アームレスト10に求められる性能を確保している。
【0028】
すなわち、通常時のアームレスト10は、アームレスト上面部14の両側が、ドア本体3aで支持されるドアトリム6から突き出る支持座12、ドアトリム6とつながるアームレスト側面部15で支えられていることによって、乗員の腕を載せておくのに耐える剛性を確保している。つまり、通常時は、アームレスト機能に必要な剛性が確保される。
【0029】
一方、例えば側突(車体1の側部が衝突)などにより、シートに着座している乗員の身体(いずれも図示しない)が、アームレスト10の車室内へ突き出ている側部10bに干渉し、この際、図4(a)に示されるようにアームレスト10の側部10bに車室内側から荷重Fが加わるとする。
【0030】
ここで、切欠部19が形成されている部位以外のアームレスト上面部14やアームレスト側面部15の裏面には、複数のリブ部20が形成されているので、入力される荷重Fは、剛性の弱い部分、すなわち切欠部19の有る薄肉部分や連結部17の切れ込み部分へ集中して加わる。そして、アームレスト上面部14やアームレスト側面部15をたわませる。
【0031】
このとき、入力される荷重Fが所定値以上であると、切欠部19が有る薄肉部分の剛性や連結部17の切れ込み部分は、その荷重Fに耐えられなくなる。すると、切れ込み部分は破れが生じる。また切欠部19の薄肉部分は破断して、同部分に折れ曲がりが起きる。これにより、図4(b)に示されるようにアームレスト上面部14とアームレスト側面部15は、切欠部19が有る薄肉部分を支点として展開する方向へ折れ曲げられる。つまり、アームレスト上面部14の展開しようとする挙動が誘発される。と同時にアームレスト上面部14の端部14aは、展開が促進されるよう、促進部21a〜21dにて、上方への移動が促させられる。
【0032】
すなわち、図4(a),(b)に示されるようにアームレスト上面部14の端部14aは、斜め上方へ傾斜したガイド部分22により持ち上げられたり、曲面24aにより持ち上げられたり、ヒンジ部25により持ち上げられたり、リブ27bが傾斜部26の傾斜面26a上を移動することで持ち上げられたりする。
【0033】
こうした端部14aの移動の促進を受けてアームレスト10の展開は、加速的に進む。これにより、図4(b)に示されるようにアームレスト10の荷重Fの入力方向(横方向)の断面形状は急激に破断され、アームレスト10の剛性の急激な低下を誘発する。すると、アームレスト上面部14およびアームレスト側面部15は、コーナー部18の近傍の切欠部19が有る部位を支点として展開するという、座屈変形では奏し得ない、荷重入力方向(横方向)において大きな断面形状の変化が生じる。具体的には、図4(b)に示されるようにアームレスト10は、アームレスト上面部14、アームレスト側面部15および切欠部19の有る部位が上下方向に略直線状に連なる偏平状となるまで大きく変形して、加わる衝撃力Fを十分に吸収する。
【0034】
それ故、アームレスト10は、十分な乗員の腕を載せるに必要な剛性の確保と、十分な側面衝突時における衝撃吸収性能とを確保することができる。しかも、このアームレスト10の変形開始は、切欠部19が有る部位を破断させる破断荷重で決まるから、切欠部19の深さを変化させて破断荷重を設定するという容易な措置だけで、アームレスト10の衝撃吸収荷重をコントロールすることができ、最適な変形特性のもとで最良の衝撃吸収性能を確保することができる。
【0035】
またアームレスト10は、切欠部19が有る部位以外のアームレスト上面部14の裏面、アームレスト側面部15の裏面に設けたリブ部20によって、アームレスト10の側部10bから加わる荷重Fを切欠部19へ荷重Fを集中させる構造にしているから、展開時は、確実に切欠部19の有る部位からアームレスト上面部14を折り曲げさせることができ、常に適切な展開動作のもとで良好な衝撃吸収性能を発揮させることができる。
【0036】
図5は、本発明の第2の実施形態を示す。
【0037】
本実施形態は第1の実施形態の変形例である。同実施形態は、アームレスト上面部14の裏面だけ(切欠部19より車室外側となる裏面部分だけ)に、複数のリブ部20を設けて、切欠部19で剛性の弱くなった部分へアームレスト10の側部10bに入力される荷重が集中しやすくした構造である。
【0038】
このようにしても第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0039】
図6は、本発明の第3の実施形態を示す。
【0040】
本実施形態は第1の実施形態の変形例である。同実施形態は、アームレスト側面部15の裏面だけ(切欠部19より下方となる裏面部分だけ)に、複数のリブ部20を設けて、切欠部19で剛性の弱くなった部分へアームレスト10の側部10bに入力される荷重が集中しやすくした構造である。
【0041】
このようにしても第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0042】
図7は、本発明の第4の実施形態を示す。
【0043】
本実施形態は第1の実施形態の変形例である。同実施形態は、第1の実施形態で述べた切欠部の代わりに継手部材、例えばヒンジ部材30を用いてアームレスト上面部14を折れ曲げ可能にした構造である。具体的には、アームレスト上面部14とアームレスト側面部15とを別体にして、アームレスト上面部14の車室内側に突き出る突出端とアームレスト上面部15の上端とを、ヒンジ部材30の両側に形成されている一対の取付部30aで回動可能に連結した構造である。そして、同構造によって、アームレスト10の側部10bへ車室外方向から所定値以上の荷重Fが入力されると、アームレスト上面部14の展開方向の折り曲げを誘発させるようにした。
【0044】
このようにしても第1の実施形態と同様の効果を奏する。しかも、アームレスト10の変形開始は、ヒンジ部材30を回動変位させる荷重で決まるから、ヒンジ部材30がもつ剛性を変えて回動を始める点を設定するという容易な措置だけで、アームレスト10の衝撃吸収荷重をコントロールすることができ、最適な変形特性のもとで最良の衝撃吸収性能を確保することができる。
【0045】
但し、図5〜図7において、第1の実施形態と同じ部分には同一符号を附してその説明を省略した。
【0046】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施してもよいことはいうまでもない。例えば上述した各実施形態では、アームレスト上面部とアームレスト側面部とのコーナー部近傍に切欠部や継手部材を設けた例を挙げたが、これに限らず、アームレスト上面部とアームレスト側面部とのコーナー部に切欠部や継手部材を設けてもよく、要は切欠部や継手部材を設ける位置は、アームレストの側部へ荷重が入力されたとき、当該切欠部や継手部材の有る部位を支点にアームレスト上面部とアームレスト側面部とが展開する地点であればよい。また上述した実施形態は、車両のドアトリムに形成したアームレストに適用したが、これに限らず、ドアパネル部の壁面から直接、アームレストが突き出る構造でも、ドアでなく、車体の内壁面からアームレストが突き出る構造にも、本発明を適用してもよい。また促進部21a〜21dは必ずしも全ての構造を有している必要はなく、何れかを適宜に組み合わせたり、何れか1つのみを有する構成としても良い。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1、請求項2に記載の発明によれば、通常時、アームレスト上面部は、支持座、アームレスト側面部で支えられてアームレストとしての必要な剛性が確保されるうえ、側面衝突時は、切欠部や継手部材を支点としたアームレスト上面部、アーム側面部の展開により、単なる座屈変形では奏し得ない、アームレストの荷重入力方向(横方向)の断面形状が大きく変化するという挙動を得て、アームレストの剛性を急激に低下させるから衝撃力が十分に吸収される。しかも、アームレストの変形開始は、切欠部や継手部材が有る部位の剛性で決まるから、切欠部の深さや継手部材の剛性を変化させて折曲げ荷重を設定するという容易な措置で、衝撃吸収荷重のコントロールが行える。さらにアームレストの側部に入力される衝撃荷重が、切欠部や継手部材の有る部位へ集中されるようになるから、確実にアームレスト上面部を切欠部の有る部位や継手部材の有る部位から折れ曲げさせることができる。
【0048】
それ故、アームレストとしての剛性を確保しつつ、側面衝突時には最適な変形特性で十分な衝撃吸収性能を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るアームレスト構造を、車両のドアと共に示す斜視図。
【図2】図1中のA−A線に沿うアームレストの断面図。
【図3】図1中のB部を拡大して示す一部切欠した斜視図。
【図4】アームレストが側部から衝撃を受けて展開するまでを説明するための断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るアームレスト構造を示す斜視図。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るアームレスト構造を示す斜視図。
【図7】本発明の第4の実施形態に係るアームレスト構造を示す断面図。
【符号の説明】
2…車室、3…ドア、6…ドアトリム、6a…トリム面(車室の内壁面)、10…アームレスト、12…支持座、14…アームレスト上面部、15…アームレスト側面部、18…コーナー部(連結部)、19…切欠部、20…リブ部(補強部)、22,24,25,26,27…ガイド部分,凹部,ヒンジ部,傾斜部,持ち上がり部(移動促進手段)、30…継手部材(ヒンジ部材)。
Claims (2)
- 車室の内壁面から車室内側に突き出るアームレストを備えた車両のアームレスト構造において、
前記車室の内壁面から車室内側に突き出るように形成された支持座と、
一端部が前記支持座に載置され他端部が車室内側へ突き出て前記アームレストの上面部を形成するアームレスト上面部と、
前記アームレスト上面部の他端部から下方へ延びて前記車室の内壁面へ至り、前記アームレストの側面部を形成するアームレスト側面部と、
前記アームレスト上面部と前記アームレスト側面部とが連結する連結部または該連結部の近傍部分の壁面を切欠してなり、前記アームレストの側部へ車室内側から所定値以上の荷重が入力されると、前記アームレスト上面部の折れ曲げを誘発させ、前記アームレスト上面部および前記アームレスト側面部が偏平状に展開するのを促す切欠部と、
前記アーム上面部の折れ曲げの際、前記アームレスト上面部の一端部の上方への移動を促す移動促進手段と、
前記切欠部より下方の前記アームレスト側面部の裏面または前記切欠部より車室外側の前記アームレスト上面部の裏面、あるいは前記切欠部が設けられた部位以外の前記アームレスト上面部の裏面および前記アームレスト側面部の裏面に設けられ、前記アームレストの側部から入力される荷重を前記切欠部へ集中させる補強部と
を有することを特徴とする車両のアームレスト構造。 - 車室の内壁面から車室内側に突き出るアームレストを備えた車両のアームレスト構造において、
前記車室の内壁面から車室内側に突き出るように形成された支持座と、
一端部が前記支持座に載置され他端部が車室内側へ突き出て前記アームレストの上面部を形成するアームレスト上面部と、
前記アームレスト上面部とは別体で形成され、前記アームレスト上面部の他端部から下方に配置されて前記車室の内壁面へ至り、前記アームレストの側面部を形成するアームレスト側面部と、
一端が前記アームレスト上面部の他端部に接続され、他端が前記アームレスト側面部の上端に接続され、前記アームレストの側部へ車室内側から所定値以上の荷重が入力されると、前記アームレスト上面部の折れ曲げを誘発させ、前記アームレスト上面部および前記アームレスト側面部が偏平状に展開するのを促す継手部材と、
前記アームレスト上面部が折れ曲がる際、前記アームレスト上面部の一端部の上方への移動を促す移動促進手段と、
前記切欠部より下方の前記アームレスト側面部の裏面または前記切欠部より車室外側の前記アームレスト上面部の裏面、あるいは前記切欠部が設けられた部位以外の前記アームレスト上面部の裏面および前記アームレスト側面部の裏面に設けられ、前記アームレストの側部から入力される荷重を前記切欠部へ集中させる補強部と
を有することを特徴とする車両のアームレスト構造。
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