JP3846280B2 - 車両用スピーカ取り付け構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両にスピーカを取り付けるための、車両用スピーカ取り付け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車のドアやリヤシェルフ等にはスピーカが取り付けられている。以下、このようなスピーカの取り付け構造の一例について図23を用いて説明すると、自動車のドアパネル104にはスピーカユニット101を装着するための開口部105が形成されている。
【0003】
この開口部105周辺の所定位置には、複数の止め孔104aが形成されており、この止め孔104aにはビス103と螺合するグロメット102がそれぞれ嵌入されるようになっている。
したがって、作業者は、スピーカユニット101に形成されたビス孔101aとドアパネル104に装着されたグロメット102との位置合わせを行ない、スピーカユニット101を開口部105に配置した状態を保持して、ビス103をビス孔101aに通してグロメット102の取り付け孔102aに螺合させる。
【0004】
そして、このような作業により、スピーカユニット101はドアパネル104の開口部105の所定位置に取り付けられる。
しかしながら、このような取り付け構造によれば、スピーカユニット取り付け部分における錆の発生等を考慮してグロメット102を用いる必要があり、部品点数が増大してしまう。また、スピーカユニット101を取り付けるためには多くの作業工数が必要である。
【0005】
したがって、
▲1▼製造コストが高い。
▲2▼組立に時間がかかる。
▲3▼スピーカユニット101のビス孔101aとグロメット102とを正確に位置合わせをする必要があるので作業性が悪い。
▲4▼作業者がスピーカユニット101、ビス103、工具(ドライバ)を同時に保持して作業する必要があり、生産性が低い。
等の課題があった。
【0006】
そこで、このようなビス止めによるスピーカ取り付け構造に代えて、近年各分野で用いられているような回転式の取り付け構造の適用が提案されている。
この回転式取り付け構造とは、取り付け先(上記の例ではドアパネル)に幅の広い第1スリット部と、上記第1スリット部に連通接続された幅の狭い第2スリット部とを有するスリットを形成し、取り付け元(上記の例ではスピーカユニット)に突起を形成し、第1スリット部側に突起を差し込んでから取り付け元(スピーカユニット)を回転させ、第2スリット部側で取り付け元に形成された突起と取り付け先に形成された溝部と係合させることで取り付け元を固定しようとするものである。
【0007】
この構成によれば、従来必要であったグロメットやビス等を廃止でき、且つ特別な工具なしに取り付け作業をすることができる。そして、例えば特開2001−169374号公報には、この回転式の取り付け構造をスピーカ取り付けに適用した技術が開示されている。
そして、上記公報の技術では、取り付け後のスピーカの回転を防止するために、取り外し側へのスピーカの逆回転を規制するような回転防止用当接片(上記公報中の符号15参照)が設けられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術では、スピーカの逆回転を規制するような回転防止用当接片をわざわざ設ける必要があり、構成が複雑になるという課題があった。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、簡単な構成でスピーカユニットの脱落や緩みを防止できるようにした、車両用スピーカ取り付け構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明の車両用スピーカ取り付け構造は、スピーカ本体を保持するとともに複数の爪部が形成されたスピーカハウジングを有するスピーカユニットと、開口部及び複数のスリットが形成されたパネル部材とをそなえ、該複数のスリットに該複数の爪部を夫々挿入するとともに、該スピーカハウジングを周方向へ回転させることで該スピーカユニットを該パネル部材に取り付ける車両用スピーカ取り付け構造において、該スピーカハウジングには、該スピーカ本体に対して電力を供給するハーネス端子が結合されるコネクタが設けられるとともに、該コネクタの該パネル部材側の面には、該爪部を該スリットに挿入したとき該パネル部材により該パネル部材とは反対方向に弾性変形され、該スピーカハウジングを回転させて所定の位置となったときに復元力により該パネル部材側へ復帰するよう構成された弾性片が形成され、該ハーネス端子は、該弾性片が該復元力により該パネル部材側へ復帰したときのみ該コネクタと結合可能に構成されていることを特徴としている。
【0010】
したがって、コネクタによりスピーカユニットが確実に位置決めされる。また、一旦ハーネスを結合するとこのハーネスを外さない限りスピーカユニットを回転させることができなくなる。このため、スピーカユニットの脱落及び緩みを確実に防止できる。また、こりによりコネクタに回転防止機能が付加されたことになるので、新たに回転防止用の部材を設ける必要もなく、簡素な構成となる。
【0011】
また、請求項2記載の本発明の車両用スピーカ取り付け構造は、請求項1記載の構成において、該弾性片には、該パネル部材側に突出した凸部が形成され、該パネル部材には、該スピーカハウジングが所定の位置にあるとき該凸部と係合する凹部が形成されていることを特徴としている。
また、請求項3記載の本発明の車両用スピーカ取り付け構造は、請求項2記載の構成において、該弾性片は、該コネクタの該パネル部材側の面の一部を切り欠くことにより形成された切り欠き片であって、該切り欠き片の一端部は、該コネクタと一体に形成されるとともに他端部が自由端として構成され、該他端部に該凸部が形成されていることを特徴としている。
したがって、スピーカユニットを回転していくとユニットが所定の位置になったとき凸部が凹部と係合してディテント感(節度感)が発生し、作業者はユニットが正しい位置になったことを感じることができ、組み付け性が向上する。
【0012】
また、請求項記載の本発明の車両用スピーカ取り付け構造は、請求項1〜3のいずれか1項記載の構成において、該コネクタは、該スピーカハウジングとは別体で構成されるとともに、少なくとも該弾性片は該スピーカハウジングよりも柔らかい材料で成形されていることを特徴としている。
ここで、スピーカハウジングとしては強固なほうが音響特性及び取り付け剛性を考慮すると好ましいが、堅すぎると弾性片が変形しづらくまた脆くなる。そこで上述のように弾性片をスピーカハウジングよりも柔らかい材料で成形することによりスピーカの音質向上とコネクタの弾性変形との両立を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の一実施形態にかかる車両用スピーカ取り付け構造について説明する。図1〜図3において、1はスピーカユニット、2はシール部材、3はパネル部材としてのドアインナパネルである。スピーカユニット1は、主にスピーカ本体(以下、単にスピーカという)11と、このスピーカ11を保持するスピーカハウジング(以下、単にハウジングという)12とから構成されており、このハウジング12にコイル等の機能部品が保持される。
【0014】
また、本実施形態では、ハウジング12は樹脂により一体成形されており、図2,図8,図9及び図14に示すように、ハウジング12の裏面側には、スピーカユニット1をドアインナパネル3に固定するための爪部13が複数形成されている。
また、図1〜図3に示すように、スピーカユニット1が取り付けられるドアインナパネル3には、開口部4が形成されるとともに、この開口部4の周囲には、上記爪部13に対応する位置にそれぞれスリット5が形成されている。なお、爪部13及びスリット5は、スピーカユニット1の中心に対して120度の位相間隔で形成されている。
【0015】
そして、ハウジング12の各爪部13をそれぞれスリット5に挿通させた後、ハウジング12を周方向に回動させることにより、図6に示すように、スピーカユニット1をドアインナパネル3に固定するようになっている。
以下、さらに詳しく説明すると、この開口部4はスピーカハウジング12の外径よりも小径に形成されている。また、図1〜図4及び図10(a)に示すように、開口部4は略三角形状に形成されている。具体的には、図10(a)に示すように、この開口部4は3つの直線部41を有するとともに、各直線部41を曲線(例えば円弧)42で接続したような形状に形成されている。なお、開口部4をこのような三角形状に形成する理由については後述する。
【0016】
また、図10(a),(b)に示すように、開口部4の縁部には、この縁部を略直角に曲げ加工することによりフランジ44が形成されている。そして、このようなフランジ44を設けることにより開口部4の剛性向上が図られている。
また、各スリット5は、3つの直線部41よりも外側に配設されており、さらに、図2及び図8に示すように、各スリット5及び各爪部13はスピーカハウジング12の外径の円(外周円)よりも内側に形成されている。
【0017】
一方、図19に示すように、爪部13は、内側に折れ曲がった(即ち、スピーカユニット1の取り付け状態で開口部4側に折れ曲がった)先端部13aと、先端部13aとハウジング12とを連結する腕部13bとをそなえ、その断面が略L字形状となるように形成されている。
また、図10(a)に示すように、スリット5は、爪部13の先端部13aが挿通可能な第1スリット部51と、この第1スリット51に接続されて腕部13bのみが挿通可能な第2スリット部52とをそなえている。
【0018】
そして、スピーカユニット1の取り付け作業時には、まず第1スリット部51に爪部13の先端部13aを挿通させ、その後スピーカユニット1を回転させることにより腕部13bを第2スリット52内に移動させる。これにより爪部13がスリット5に係合して、スピーカユニット1がドアインナパネル3に固定されるようになっている。また、後述するコネクタ6の凸部6bとドアインナパネル3に形成された穴部(凹部)31とが係合することにより、スピーカユニット1がドアインナパネル3に対してロックされる。
【0019】
次に、開口部4を円形ではなく三角形状に形成した理由について説明すると、これは、スピーカユニット1の取り付け後には爪部13を極力フランジ44に近接させて係合させるためである。
ここで、開口部4が円形の場合には、スピーカユニット1の爪部13の中心回転軌跡43〔図10(a)参照〕と開口部4とは同心円となってしまい、回転軌跡43と開口部4の縁部とは平行になるが、本実施形態では、回転軌跡43と直線部41を延長した線とは交差することになる。したがって、スピーカユニット1を回転させると、爪部13と直線部41と距離が変化することになる。
【0020】
特に、本実施形態では、直線部41と回転軌跡43との距離が最大となる位置に第1スリット部51が形成されており、スピーカユニット1の取り付け時に爪部13を挿入した後ハウジング12を回転させると、爪部13が開口部4の縁部、即ちフランジ44に近接するようになっているのである。
そして、このようにして爪部13がフランジ44に近接した位置で係合させることにより、スピーカユニット1の取り付け剛性の向上を図ることができるのである。
【0021】
つまり、従来よりスピーカの取り付け剛性を高めるべくスリットを極力フランジに近づけたいという要望があった。これは、フランジ部分が最も面強度が高く、周辺にいくほど剛性が低下するからである。しかし、加工上スリットをフランジに近づけるには限界があり、フランジとスリットとは多少の距離をおかざるを得ないため取り付け剛性を高めることができなかった。
【0022】
また、スピーカの音響特性を考慮すると、開口面積はなるべく大きくとりたいという要望もあった。
そこで、本願発明の車両用スピーカ取り付け構造では、開口部4を円形ではなく三角形状に形成して、上述の課題を解決しているのである。つまり、開口部4の形状を上述のような三角形状にすることにより、スリット5とフランジ44との間の距離を大きく設定しても、スピーカユニット1の取り付け時にスピーカユニット1を回転させることにより、爪部13が開口部4の縁部、即ち、フランジ44に近づけることができるのである。これにより、取り付け後は係合部がフランジ44に近接することとなり、取り付け剛性の向上を図ることができるのである。
【0023】
また、このような三角形状の開口部4を設けることにより、開口面積も大きくとることができ、スピーカの音響特性を損なうようなことも防止することができるのである。
ところで、図1〜図3,図5,図7〜図9,図12及び図13にそれぞれ示すように、ハウジング12の外周部には複数の凹部14が形成されている。この凹部14は、取り付け作業時に作業者が確実にハウジング12を保持できるようにするために設けられたものであり、各凹部14は、ハウジング12の外周部において径方向に窪んだ形状に形成されている。また、これらの凹部14は、本実施形態では図7に示すような4箇所に形成されており、スピーカユニット1の中心に対して対称となる位置に設けられている。
【0024】
そして、このような凹部14を設けることにより、取り付け作業時には作業者がこの凹部14に指を入れて確実にスピーカユニット1を保持することができ、ドアインナパネル3への取り付け作業時にスピーカユニット1を容易に回転させることができる。したがって、作業性を向上させるためにスピーカユニット1を大型化するような事態も回避でき、スピーカユニット1を回転させる際に特殊な作業工具も必要としない。また、各凹部14をスピーカユニット1の中心に対して対称となる位置に設けることにより、作業者がハウジング12を両手で保持しやすくなり、さらに作業性が向上する。
【0025】
次に、凹部14の成形方法について図17を用いて簡単に説明する。ここで、上述したように、ハウジング12は樹脂により一体成形されたものであり、このような樹脂のハウジング12に径方向に窪んだ凹部14を成形する際には、通常は径方向に抜く型(これをスライド型という)が必要になる。
このような、スライド型を用いる場合には、通常は最低でも2つのスライド型が必要になり、本実施形態のように凹部14を4箇所に設ける場合には、少なくとも4つのスライド型が必要になる。さらには、スライド型に加えて、軸方向に抜く型も必要となるので、このようなスライド型を用いた成形では製造工数も多くコストが上昇してしまう。
【0026】
そこで、本実施形態では、スライド型を用いずに、軸方向に互いに反対方向に移動する2つの型を用いて爪部13や凹部14を一体にそなえたハウジング12が成形されるようになっている。
以下、具体的に説明すると、図17に示すように、ハウジング12は、第1の型9aと、この第1の型9aの反対側に配設される第2の型9bとにより成形されるようになっている。
【0027】
そして、この第1の型9aにより、主にハウジング12の裏面側の形状が成形され、第2の型9bにより、主にハウジング12の表面側の形状が成形されるようになっている。
ここで、図16〜図19に示すように、スピーカ11は、スピーカコーン11aと、スピーカコーン11aの外周に形成され、その断面が半円形状に形成されたコーンエッジ11bとを有している。また、このコーンエッジ11bの外周縁部にはコーンエッジ11bと一体的に形成されたコーンフランジ11cが設けられており、このコーンフランジ11cがハウジング12のフランジ部15に接着剤等により固着されている。
【0028】
さらに、コーンフランジ11cの外周には、膨出部11dが設けられている。この膨出部11dは、コーンフランジ11cと一体的に形成されたものであって、図16〜図19に示すように、コーンエッジ11bよりもスピーカ11の軸方向に突出するように形成されている。
また、図2及び図8に示すように、スピーカハウジング12の凹部14には、スピーカ11の軸方向に沿ってハウジング12の軸方向内側(即ち、ドアインナパネル3側)に開口する開口14aが設けられている。
【0029】
そして、このような開口14aを設けることにより、ハウジング12を軸方向に抜ける2つの型9a,9bで成形することができるのである。つまり、第1の型9aは、図17に示すように、ハウジング12のフランジ部15から開口14を貫通してハウジング12の軸方向に伸びる延長部91をそなえており、この延長部91により凹部14の形状が形成されるようになっている。
【0030】
また、第2の型9bはフランジ15から外周方向に延在している。そして、これらの型9a,9bをそれぞれ軸方向反対側に抜くことにより、いわゆるスライド型を用いずに外周側に窪み(凹部)14を有するような円形のハウジング12を成形することができ、低コストでハウジング12を製造することができるのである。
【0031】
次に、スピーカ11について説明すると、上述したように、スピーカ11は、スピーカコーン11a,コーンエッジ11bコーンフランジ11c及び膨出部11dをそなえて構成されている(図16〜図19参照)。
そして、図16〜図19に示すように、この膨出部11dにより、ハウジング12のフランジ15の外周側に立設された縁部(第1の突出部)15aが覆われるようになっている。なお、この縁部15aは、膨出部11dの頂部に向けて突出するように形成されている。
【0032】
一方、スピーカ11は、車両のドアインナパネル3への取り付け後には、図示しないドアインナトリム(カバー部材)で覆われるようになっている。また、図20に示すように、このドアインナトリムには、上記縁部15aと対向する位置において、縁部15aに向かって突出するトリムフランジ(第2の突出部)8が形成されており、ドアインナトリムを取り付けると、図示するようにトリムフランジ8によりスピーカ11の膨出部11dが軸方向に押圧されるようになっている。
【0033】
なお、このときには、図示するように縁部15aとトリムフランジ8との間には空隙が形成されるようになっている。つまり、通常の状態(或いは静的な状態)では、縁部15aとトリムフランジ8とは接触しないように縁部15a及びトリムフランジ8の大きさが設定されている。
そして、このように構成することにより、膨出部11dは、トリムフランジ8により押し付けられ、膨出部11dの先端が潰れることにより、この膨出部11dがトリムフランジ8に密着する。
【0034】
ここで、ドアインナトリム(以下、ドアトリムという)とスピーカ11との間に隙間があると、隙間から音が漏れてしまったり、膨出部11dとドアインナトリムとが干渉してビビリ音等の振動や騒音が発生するが、上記膨出部11dをドアインナパネル側に密着させることによりこのような問題を解決することができる。
【0035】
なお、従来は、このようなトリムフランジ8を形成せずに、代わりにスポンジ等を設けていたが、このようなスポンジをトリムに貼り付けるのは作業が面倒でありコスト増を招いていた。これに対して、本実施形態では、トリムフランジ8を形成することで、このようなスポンジ材を不要にすることができ、部品点数を低減できるほか、作業性も向上しコスト低減を図ることができる。
【0036】
また、トリムフランジ8を形成せずにトリム面で直接膨出部11dを押し付けることも考えられるが、この構成だとスピーカコーン11aとトリム面とが近づくことになる。
しかし、ドアトリムの場合、トリムに乗員の足、膝等が当たりやすいため、スピーカコーン11aとトリム面とが近接していると、ドアトリムでスピーカコーン11aを押し付けてしまうことになり、この結果スピーカが破損するおそれがあるという問題が生じる。
【0037】
これを回避するためには、膨出部11dの高さを高くすればよいが、ドアトリムは弾性体であるため、ドアトリムとスピーカコーン11aとの接触を完全に回避することは困難であるし、スピーカ11の取り付け位置の規制もあり実用的ではない。
そこで、本実施形態のように、膨出部11dとトリムフランジ(第2の突出部)8とを設けるとともに、トリムフランジ8と対向する位置のハウジング12にトリムフランジ8側へ向かって突出する縁部(第1の突出部)15aを形成して、トリムがスピーカコーン11a側に押されたとしてもトリム面とコーンエッジ11bとが接触する前にトリムフランジ8と縁部15aとが当接することで、それ以上のトリムの変形を防止することができる。
【0038】
また、従来は、コーンエッジ11bが振動してもドアトリム(又はカバー部材)に触れないように矢ゴムという振動規制部材がコーンエッジ11bの側部に貼り付けられているが、トリム面はトリムフランジ8よりも離間した位置にあり、トリム面が変形してコーンエッジ11bに近づいたとしてもトリムフランジ8と縁部15aとが先に当接してそれ以上の変形が防止されるため、このような矢ゴムを別途設ける必要もなくなり構成が簡素になる利点も有している。
【0039】
また、トリムフランジ8と縁部15aとは通常時には所定の間隙で離間しているため、両者が当接して振動や騒音を発生することもない。
さらに、膨出部11dはスピーカコーン11a及びコーンエッジb等と一体に形成されているので、取り付け作業時に格別な位置決めも不要となるという利点もある。
【0040】
ところで、図1及び図2に示すように、ドアインナパネル3とスピーカユニット1との間にはゴム製のシール部材2が介装されるが、このシール部材2には、ハウジング12に形成された凹部14の開口14aを閉塞するような舌片21が形成されている。
そして、スピーカユニット1の取り付け後には、このような舌片21で凹部14の開口14aを閉塞することにより、この開口14aからの空気流れを遮断して、音質の向上が図られるようになっている。また、開口14aを閉塞するために専用の部品を設ける必要もなくなり、部品点数の増加を抑制することができる。
【0041】
また、図1に示すように、各舌片21には、開口14a側に隆起した凸部21aが形成されるとともに、この舌片21の周囲には、開口14a側に折れ曲がったフランジ21bが形成されている。
そして、図17に示すように、これらの凸部21a及びフランジ21bが、開口14aの縁部と係合することにより、開口14aのシール性が高められるようになっている。また、このような凸部21a及びフランジ21bを設けることにより、ハウジング12にシール部材2を取り付ける際に位置決めが容易になるとともに、舌片21の剛性を高めることができる。
【0042】
さらには、凹部14の開口14aと舌片21とを機械的に係合させることで、取り付け作業時にハウジング12を回転させてもシール部材2がハウジング12からはがれないようにすることができ、ハウジング12とシール部材2との接着を不要にすることができるほか、スピーカの振動による舌片21の振動を防止することもできる。
【0043】
また、図2に示すように、このシール部材2のドアインナパネル3と接する側にはシール性を高めるためのリップ23が形成されている。このリップ23は、ドアインナパネル3側に向けて立設されたものであり、シール部材2に対して一体に形成されている。
ここで、図14及び図22に示すように、リップ23は、シール部材2の中心側(開口部側)に形成された第1リップ24と、第1リップ24よりも外周に形成された第2リップ25と、第1リップ24と第2リップ25との間に形成された第3リップ26とをそなえている。また、これらのリップ24〜26はいずれも同心円上に形成されており、且つ、シール部材2の周方向に連続的に形成されている。
【0044】
そして、ハウジング12とドアインナパネル3との間にこのようなゴム製のシール部材2を設けることにより、取り付け作業時におけるスピーカユニット1の回転時の摺動抵抗を低減でき、作業性の向上を図ることができるのである。
また、このようなリップ24〜26を設けることにより、スピーカ11の振動を効率よく吸収することができ、ドアインナパネル3に対する取り付けが安定するようになっている。
【0045】
また、図22に示すように、各リップ24〜26は、いずれもその断面形状がドアインナパネル3側に頂点を有する三角形状に形成されている。このうち、第1リップ24の断面形状は、シール部材2の中心側に略垂直な面を有する三角形状に形成され、第2リップ25の断面形状は、中心と反対側(即ち、シール部材2の外周側)に略垂直面を有する三角形状に形成されている。
【0046】
そして、各リップ24〜26の断面形状を上述のように形成することにより、取り付け作業時には、図22において矢印で示すように、内周側の第1リップ24は内周側に倒れるとともに、外周側の第2リップ25は外周側に倒れることになり、第3のリップ26はまっすぐに押し潰されることになる。
つまり、第1のリップ24及び第2のリップ26は、その断面形状が略垂直な面を有するように構成され、且つこの垂直面に対向する面が、垂直面側に傾斜しているので、スピーカ取り付け時にはこれらのリップ24,26は、垂直面側に倒れる。したがって、リップ24,26の倒れ方向が一定となり、途中でリップの倒れ方向が反転して、この反転部から水等が浸入したりシールが破損したりするのを防止することができる。
【0047】
また、第1リップ24により開口4側からの水等の浸入を確実に防止でき、また、第2リップ25によりハウジング12の外周側からの水等の浸入を確実に防止できる。
ところで、図2,図8,図9及び図14に示すように、ハウジング12の裏面側にはドアインナパネル3側に突出する複数の突起19がそれぞれ等間隔で形成されており、また、図1及び図9に示すように、シール部材2にはこの突起19に対応した位置〔本実施形態では、第1リップ24と第3リップ26との間(図22参照)〕に穴部27が形成されている。また、突起19の先端部は、半球形状に形成されている。
【0048】
また、ハウジング12にシール部材2を重ねた状態、即ち、突起19を穴部27に挿通させた状態では、図22に示すように、各リップ24〜26の方が、突起19よりも高くなるように突起の高さが設定されている。つまり、スピーカユニット1をドアインナパネル3に取り付ける前では突起19の高さが、各リップ24〜26の高さよりも低くなるように設定されているのである。
【0049】
そして、上述した穴部27に突起19を挿通させることにより、シール部材2の位置決めが行なわれるとともに、組み付け時のリップの潰れ代が規制されるようになっている。
ここで、このような突起19を設けなかった場合には、スピーカユニット1を回転させて取り付ける際に各リップ24〜26は限界まで倒れ込み、回転時の摺動抵抗が大きくなって取り付け作業性が低下する。
【0050】
これに対して、本願発明の車両用スピーカ取り付け構造では、スピーカユニット1をドアインナパネル3に取り付けた際に、突起19の先端がドアインナパネル3に当接した後、リップ24〜26の先端は、突起19に対する高さ寸法の差分d(図22参照)だけ倒れ(潰れ)が許容される。つまり、突起19の高さにしたがってリップ24〜26の潰れ代がコントロールされるため、この状態でスピーカユニット1を回転させたときにリップ24〜26が無用に潰れることがなく作業性が向上する。
【0051】
なお、上述以外にも、各突起19及び穴部27を第2リップ25と第3リップ26との間に設けても良い。
また、突起19の先端部が半球形状に形成されているので、取り付け作業時には、ドアインナパネル3に突起19の頂部が当接して、回転時のドアインナパネル3と、シール部材2との間の接触抵抗が低減されて取り付け作業性が向上する。
【0052】
また、各突起19をそれぞれシール部材2の円周上で等間隔で形成することにより、各リップ24〜26によるシール圧が均等になりシール性が向上する。
また、図1〜図3,図5,図7〜図9,図11〜14及び図16にそれぞれ示すように、ハウジング12の外周縁部にはスピーカユニット1への電力供給用のハーネス(図示省略)を保持又は固定するためのクリップ17が形成されている。
【0053】
このクリップ17は、図16に示すように、一端(基端)がハウジング12の外周に固定されるとともに他端(先端)が開放端として構成されている。また、クリップ17の先端は楔状に形成されている。そして、このようなクリップ17を設けることにより、クリップ17とハウジング12の外周との間にハーネスを容易に挿入することができ、ハーネスが確実に固定されるようになっている。また、取り付け後にハーネスがばたつくこともなく、他の部品との干渉を確実に防止することができる。
【0054】
また、ハウジング12の外周縁部であってクリップ17の先端部近傍には、外周側に向けて突出した突出部18が形成されている。また、この突出部18はハウジング12の径方向から見てクリップ17の両側にそれぞれ設けられている。また、この突出部18は先端側(図13中の右側)端部が丸みを帯びて形成されており、反対側(クリップ17の基端側;図13中の左側)の端部には略垂直な面が形成されている。
【0055】
ここで、この突出部18はクリップ17で狭持されたハーネスの抜けを防止するべく設けられたものであり、突出部18の先端部を上述のように丸みを帯びて形成することにより、突出部18がハーネス挿入の妨げになることもなく、手さぐりの作業であっても滑らかにハーネスをクリップ17に挿入することができる。
【0056】
また、クリップ17の基端側に略垂直な面を形成することにより、振動や衝撃が入力されても上記の垂直面によりハーネスの位置が規制されて、ハーネスがクリップ17からはずれるのを防止することができる。
また、本実施形態では、図11に示すように、クリップ17及び突出部18が左右対称の位置に2箇所に設けられているが、これはハウジング12を左側スピーカと右側スピーカとで共用化するためであり、実際にはこれら左右2箇所に設けられたクリップ17及び突出部18のうち、いずれか1箇所のみが用いられる。
【0057】
なお、クリップ17や突出部18の形状は上記のものに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば突出部18の先端を楔形状やテーパ形状にしてもよい。
また、図1及び図2に示すように、ハウジング12には、コネクタ6を取り付けるための凹部16が形成されている。ここで、コネクタ6は、車両側からのハーネスに接続されたハーネス端子7と結合してスピーカに電力を供給するものであり、ハウジング12とは別体に構成されている。
【0058】
また、コネクタ6の取り付け用凹部16は、コネクタ6に対応した大きさに形成されており、コネクタ6を凹部16に嵌合させることでコネクタ6がハウジング12に取り付けられるようになっている
また、このコネクタ6には、図2に示すような弾性片6aが形成されている。この弾性片6aは、コネクタ6のドアパネル3側の面の一部を切り欠くことにより形成されたものであり、その一端部(基端部)がコネクタ6と一体に形成されるとともにその他端部(先端部)は自由端として構成されている。また、弾性片6aの他端部(先端部)には、ドアインナパネル3側に突出する凸部6bが形成されている。
【0059】
また、図1に示すように、シール部材2には上記凸部6bと係合する穴部22が形成されている。また、同様に、ドアインナパネル3には、スピーカハウジング12を回転させて所定の取り付け位置となったときに、上記凸部6bと係合する穴部(凹部)31が形成されている。
したがって、スピーカユニット1を車体に取り付ける場合には、まずハウジング12とシ―ル部材2とを位置を合わせて重ね合わせ、ドアインナパネル3に取り付ける。このとき、図21(a)に示すように、正しい位置にスピーカユニット1を取り付けないと弾性片6aがコネクタ6の内側にたわみ、車体側のハーネス端子7をコネクタ6に差し込むことができない。
【0060】
また、図15及び図21(b)に示すように、スピーカユニット1を正確な位置に取り付けると、凸部6bとドアインナパネル3の穴部31とが係合して、弾性片6aの復元力によりコネクタ6内にハーネス端子7が挿通しうる状態となる。
したがって、スピーカユニット1をドアパネル3の正確な位置へ取り付けた後でないとハーネスの結線作業ができなくなり、誤組付けを防止することができる。
【0061】
また、ハーネス端子7とコネクタ6とを結合した後は、ハーネス端子7を抜かない限りは、図21(b)に示すように、係合片6の変形が規制されて、凸部6bと穴部31との係合を解除することができない。したがって、ハーネス端子7を外さない限りはスピーカユニット1が取り付け位置に自動的にロックされることになり、ドアの開閉が繰り返されてもスピーカユニット1の脱落や緩みを確実に防止することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、弾性片6aを含むコネクタ6は例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)、ハウジング12は例えばABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン樹脂)+ガラス繊維で成形されている。これは、ハウジング12は強固なほうが音響特性及び取り付け剛性を考慮すると好ましいからである。ただし、このような強固な材質では弾性変形領域が狭く、コネクタ6をハウジング12と一体成形した場合には弾性片6aが変形しづらく、また脆くなる。
【0063】
そこで、本実施形態ではハウジング12とコネクタ6とを別体に形成するとともに、コネクタ6をハウジング12よりも柔らかい材料で形成することで音質の向上と、上述のような弾性変形との両立を可能としているのである。ここで、PBTは比較的高価な材質ではあるが、使用範囲が狭いので、スピーカ全体としては安価に構成することができる。また、ハウジング12よりも柔らかい材質でコネクタ6及び弾性片6aを成形できるのであれば、上述の材質以外のものを用いても良い。また、弾性片6aの弾性変形を許容するような材料であれば、コネクタ6とハウジング12とを一体に形成してもよい。
【0064】
本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造は、上述のように構成されているので、以下のような作用及び効果を得ることができる。
すなわち、スピーカユニット1の取り付け作業時には、ハウジング12の各爪部13をそれぞれドアインナパネル3のスリット5に挿通させた後、ハウジング12を周方向に回動させることにより、このスピーカユニット1がドアインナパネル3に固定される。具体的には、第1スリット部51に爪部13の先端部13aを挿通させ、その後、スピーカユニット1を回転させて腕部13bを第2スリット52内に移動させることにより、爪部13がスリット5に係合してスピーカユニット1がドアインナパネル3に固定されるのである。また、このときコネクタ6の凸部6bとドアインナパネル3に形成された穴部(凹部)31とが係合することにより、スピーカユニット1がドアインナパネル3に対してロックされる。
【0065】
したがって、スピーカユニット1を回転していくとスピーカユニット1が正しい取り付け位置(所定の位置)になったときに凸部6bが穴部31と係合してディテント感(節度感)が発生するので、作業者はスピーカユニット1が正しい位置になったことを感じることができ、組み付け性が向上する。
また、本実施形態では、開口部4の形状を三角形状にすることにより、スリット5と開口部4のフランジ44との間の距離を大きく設定した場合であっても、スピーカユニット1の取り付け時にスピーカユニット1を回転させることにより爪部13が開口部4の縁部、即ち、フランジ部44に近づくので、取り付け後は係合部がフランジ44に近接して、取り付け剛性の向上を図ることができるという利点がある。
【0066】
また、このような三角形状の開口部4を設けることにより、開口面積も大きくとることができ、スピーカの音響特性を損なうようなこともない。
また、ハウジング12の外周部には複数の凹部14を形成することにより、取り付け作業時に作業者が確実にハウジング12を保持することができ、スピーカユニット1を容易に回転させることができるようになる。また、スピーカユニット1を回転させる際に特殊な作業工具も必要なくなる。さらには、作業性を向上させるためにスピーカユニット1が大型化するような事態も回避できるという利点がある。
【0067】
また、スピーカユニット1の取り付け後には、ゴム製のシール部材2の舌片21により凹部14の開口14aが閉塞される。これにより、開口14aからの空気流れが遮断されて、音質が向上する。また、シール部材2と一体の舌片21を設けることにより、開口14aを閉塞するために専用の部品を設ける必要もなくなり、部品点数の増加を抑制することができる。
【0068】
また、ハウジング12とドアインナパネル3との間に上述にようなシール部材2を介装させることにより、取り付け作業時におけるスピーカユニット1の回転時の摺動抵抗を低減でき、作業性の向上を図ることができる。
また、スピーカ11は、車両のドアインナパネル3への取り付け後には、図示しないドアインナトリム(カバー部材)で覆われが、このときには、図20に示すように、ドアインナトリムに形成されたトリムフランジ8によりスピーカ11の膨出部11dが軸方向に押圧される。なお、このときには、図示するように縁部15aとトリムフランジ8との間には空隙が形成されて、通常は縁部15aとトリムフランジ8とは接触しない。
【0069】
したがって、膨出部11dはトリムフランジ8により押し付けられ、膨出部11dの先端が潰れることにより、この膨出部11dがトリムフランジ8に密着して、隙間からの音漏れや、膨出部11dとドアインナトリムとの干渉によるビビリ音等の発生が防止される。
なお、従来は、このようなトリムフランジ8を形成せずに、代わりにスポンジ等を設けていたが、このようなスポンジをトリムに貼り付けるのは作業が面倒でありコスト増を招いていた。これに対して、本実施形態では、トリムフランジ8を形成することで、このようなスポンジ材を不要にすることができ、部品点数を低減できるほか、作業性も向上しコスト低減を図ることができる。
【0070】
また、膨出部11dとトリムフランジ(第2の突出部)8とを設けるとともに、トリムフランジ8と対向する位置のハウジング12にトリムフランジ8側へ向かって突出する縁部(第1の突出部)15aを形成することで、トリムがスピーカコーン11a側に押されたとしてもトリム面とコーンエッジ11bとが接触する前にトリムフランジ8と縁部15aとが当接することで、それ以上のトリムの変形が防止される。
【0071】
このため、従来必要であった、いわゆる矢ゴムを設ける必要がなくなり、構成が簡素になるとともにコストの低減を図ることができる。また、膨出部11dはスピーカコーン11a及びコーンエッジb等と一体に形成されているので、取り付け作業時に格別な位置決めも不要となる。
また、シール部材2には、上述したように3重のリップ24〜26(図14参照)が形成されており、これらのリップ24〜26によりスピーカ11の振動が効率よく吸収されて、ドアインナパネル3に対する取り付けが安定する。
【0072】
また、図22に示すように、第1のリップ24及び第2のリップ25は、その断面形状が略垂直な面を有するように構成され、且つこの垂直面に対向する面が、垂直面側に傾斜しているので、スピーカ取り付け時にはこれらのリップ24,25は、垂直面側に倒れる。したがって、リップ24,25の倒れ方向が一定となり、途中でリップの倒れ方向が反転して、この反転部から水等が浸入したりシールが破損したりするのを防止することができる。また、第1リップ24により開口側からの水等の浸入を確実に防止でき、また、第2リップ25によりハウジング12の外周側からの水等の浸入を確実に防止できる。
【0073】
また、スピーカユニット1をドアインナパネル3に取り付けた際に、ハウジング12の裏面側に形成された突起19の先端がドアインナパネル3に当接すると、リップ24〜26の先端は、突起19との高さ寸法の差分dだけ倒れ(潰れ)が許容される。つまり、突起19の高さにしたがってリップ24〜26の潰れ代がコントロールされることになる。このため、スピーカユニット1を回転させたときにリップ24〜26が必要以上に潰れることがなく作業性が向上する。
【0074】
また、ハウジング12の外周上に、一端(基端)がハウジング12に固定されるとともに、他端(先端)が楔状の開放端として構成されたクリップ17を設けることにより、クリップ17とハウジング12の外周との間にハーネスを容易に挿入することができ、ハーネスを確実に固定することができる。
また、クリップ17の先端部近傍に設けられた突出部18によりクリップ17で狭持されたハーネスの抜けが防止される。すなわち、突出部18の先端部を丸みを帯びて形成されているので、突出部18がハーネス挿入の妨げになることもなく、手さぐりの作業であっても滑らかにハーネスをクリップ17に挿入することができる。また、クリップ17の基端側に略垂直な面を形成することにより、振動や衝撃が入力されても上記の垂直面によりハーネスの位置が規制されて、ハーネスがクリップ17からはずれるのを防止することができる。
【0075】
次に、コネクタ6に着目すると、このコネクタ6は、ハウジング12に形成された凹部16に嵌合させることでハウジング12に取り付けられる。
そして、スピーカユニット1を車体に取り付ける場合には、図21(a)に示すように、正しい位置にスピーカユニット1を取り付けないとコネクタ6に形成された弾性片6aがコネクタ6の内側にたわみ、車体側のハーネス端子7をコネクタ6に差し込むことができない。また、図21(b)に示すように、スピーカユニット1を正確な位置に取り付けると、弾性片6aの凸部6bとドアインナパネル3の穴部31とが係合して、弾性片6aの復元力によりコネクタ6内にハーネス端子7が挿通しうる状態となる。
【0076】
したがって、スピーカユニット1をドアパネル3の正確な位置へ取り付けた後でないとハーネスの結線作業ができなくなり、誤組付けを防止することができる。
また、ハーネス端子7とコネクタ6とを結合した後は、ハーネス端子7を抜かない限りは、図21(b)に示すように、係合片6の変形が規制されて、凸部6bと穴部31との係合を解除することができない。
【0077】
したがって、ハーネス端子7を外さない限りはスピーカユニット1が取り付け位置に自動的にロックされることになり、ドアの開閉が繰り返されてもスピーカユニット1の脱落や緩みを確実に防止することができる利点がある。また、コネクタ6に回転防止機能を設けているので、新たに回転防止用の部材を設ける必要もなく簡素な構成とすることができるという利点がある。
【0078】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述ではドアインナパネル(パネル部材)3の開口を3本の直線を有する略三角形状に形成した例について説明したが、直線の数は3以上であればよく、開口形状は四角形や五角形でもよい。
【0079】
また、上述のパネル部材3にスピーカユニット1を取り付けた状態でアッセンブリ化しておき、このアッセンブリを車体のフレーム等に組み付けるようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、車両のドアにスピーカを設置する場合について説明したが、リヤシェルフにスピーカを取り付ける場合に適用してもよい。この場合には、リヤシェルフパネルがパネル部材に相当する。また、上述したドアやリヤシェルフ以外の場所にスピーカを取り付ける場合にも本願発明を適用可能であるのは言うまでもない。
【0080】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明の車両用スピーカ取り付け構造によれば、コネクタによりスピーカユニットを確実に位置決めすることができる。また、一旦ハーネスを結合するとこのハーネスを外さない限りスピーカユニットを回転させることができないため、スピーカユニットの脱落及び緩みを確実に防止できる。また、コネクタに回転防止機能を設けているので、新たに回転防止用の部材を設ける必要もなく簡素な構成とすることができる。
【0081】
また、請求項2及び3記載の本発明の車両用スピーカ取り付け構造によれば、スピーカユニットを回転していくとユニットが正しい位置になったとき凸部が凹部と係合してディテント感(節度感)が発生するので、作業者はユニットが正しい位置になったことを感じることができ、組み付け性が向上する。
また、請求項記載の本発明の車両用スピーカ取り付け構造によれば、少なくとも弾性片をスピーカハウジングより柔らかい部材で形成することによりスピーカの音質向上とコネクタの弾性変形とを両立できる。
【0082】
つまり、スピーカハウジングとしては強固なほうが音響特性及び取り付け剛性を考慮すると好ましいが、堅すぎると弾性片が変形しづらくまた脆くなる。そこで上述のように構成することにより、スピーカの音質向上とコネクタの弾性変形との両立を図ることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造の要部構成を示す模式的な分解斜視図であって、スピーカの表面側から見た図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造の要部構成を示す模式的な分解斜視図であって、スピーカの裏面側から見た図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるスピーカ取り付け直前の状態を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるパネル部材を示す模式図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるスピーカ取り付け後の状態をスピーカの表面側から見た模式図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるスピーカ取り付け後の状態をスピーカの裏面側から見た模式図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるスピーカハウジングの形状を表面側から見た模式図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるスピーカハウジングの形状を裏面側から見た模式図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるスピーカハウジングをシール部材を装着した状態で示す模式図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるパネル部材を示す模式図であって、(a)はその平面図、(b)はそのR−R断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるスピーカユニットを示す模式的な正面図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるスピーカユニットを示す模式的な上面図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるスピーカユニットを示す模式的な側面図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるスピーカユニットを示す模式的な裏面図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるスピーカユニットを示す模式的な断面図であって、図14におけるI−I断面図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるスピーカユニットを示す模式的な断面図であって、図14におけるK−K断面図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるスピーカユニットを示す模式的な断面図であって、図14におけるM−M断面図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるスピーカユニットを示す模式的な断面図であって、図14におけるN−N断面図である。
【図19】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるスピーカユニットを示す模式的な断面図であって、図14におけるO−O断面図である。
【図20】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるスピーカ取り付け後の状態を示す模式的な断面図である。
【図21】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるコネクタの作用を説明する図である。
【図22】本発明の一実施形態に係る車両用スピーカ取り付け構造におけるシール部材の形状を拡大して示す模式的な断面図である。
【図23】従来の車両用スピーカ取り付け構造の一例を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 スピーカユニット
2 シール部材
3 ドアインナパネル(パネル部材)
4 開口部
5 スリット
6 コネクタ
6a 弾性片
6b 凸部
7 ハーネス端子
11 スピーカ(スピーカ本体)
12 ハウジング(スピーカハウジング)
13 爪部
31 穴部(凹部)

Claims (4)

  1. スピーカ本体を保持するとともに複数の爪部が形成されたスピーカハウジングを有するスピーカユニットと、
    開口部及び複数のスリットが形成されたパネル部材とをそなえ、
    該複数のスリットに該複数の爪部を夫々挿入するとともに、該スピーカハウジングを周方向へ回転させることで該スピーカユニットを該パネル部材に取り付ける車両用スピーカ取り付け構造において、
    該スピーカハウジングには、該スピーカ本体に対して電力を供給するハーネス端子が結合されるコネクタが設けられるとともに、
    該コネクタの該パネル部材側の面には、該爪部を該スリットに挿入したとき該パネル部材により該パネル部材とは反対方向に弾性変形され、該スピーカハウジングを回転させて所定の位置となったときに復元力により該パネル部材側へ復帰するよう構成された弾性片が形成され、
    該ハーネス端子は、該弾性片が該復元力により該パネル部材側へ復帰したときのみ該コネクタと結合可能に構成されている
    ことを特徴とする、車両用スピーカ取り付け構造。
  2. 該弾性片には、該パネル部材側に突出した凸部が形成され、該パネル部材には、該スピーカハウジングが所定の位置にあるとき該凸部と係合する凹部が形成されている
    ことを特徴とする、請求項1記載の車両用スピーカ取り付け構造。
  3. 該弾性片は、該コネクタの該パネル部材側の面の一部を切り欠くことにより形成された切り欠き片であって、
    該切り欠き片の一端部は、該コネクタと一体に形成されるとともに他端部が自由端として構成され、
    該他端部に該凸部が形成されている
    ことを特徴とする、請求項2記載の車両用スピーカ取り付け構造。
  4. 該コネクタは、該スピーカハウジングとは別体で構成されるとともに、少なくとも該弾性片は該スピーカハウジングよりも柔らかい材料で成形されている
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の車両用スピーカ取り付け構造。
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