JP3845962B2 - 液晶組成物および液晶表示素子 - Google Patents

液晶組成物および液晶表示素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示素子等に用いられる液晶表示素子に使用する液晶組成物およびこれら液晶組成物を用いた液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
薄膜トランジスタなどを用いたアクティブマトリックス駆動による液晶表示素子において、液晶材料はフレーム周波数間の蓄積電荷を保持しなければならない。そのため液晶材料にはフレーム周波数間の蓄積電荷の保持能力の高い、すなわち電圧保持率の高い材料を用いることが必須となっている。
これら液晶表示装置はバックライトを用いる透過型素子がその大半を占めている。しかし近年開発が盛んな携帯情報端末(PDA)は限られたバッテリーで長時間駆動をする必要があり、部材には消費電力の少ないものが求められている。表示素子においては低消費電力型のバックライトを用いない反射型素子が好適であり、その中でも二色性色素を用いたゲストホスト液晶組成物が光の利用効率が高いことから有力である。
【0003】
これらの液晶材料においては、従来のシアノ基を含む液晶材料の代りに、通常イオン性不純物を含みにくい、フッ素原子、トリフルオロメチル基などのフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基などのフルオロメトキシ基等のフッ素原子を含む置換基をもつフッ素系液晶材料を用いることが行なわれてきた。しかしながらこれらの液晶材料に二色性色素を添加すると、しばしばホスト液晶のもつ電圧保持特性を大きく損い、特にキセノンランプ等を光源とする光照射試験後の電圧保持率の低下が大きいという問題があり、このことによりゲストホスト液晶組成物を用いたアクティブマトリックス駆動液晶表示素子の実用化は困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の難点のない、特に光照射後においても電圧保持率の高いカラー液晶組成物および液晶表示素子を提供する事にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは光照射によりゲストホスト液晶組成物の電圧保持率が低下するという問題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の分子構造を有する二色性色素と液晶材料とを組み合わせることにより、ゲストホスト液晶組成物の電圧保持率が、キセノンランプ等を光源とする光照射試験の前後においても良好であるということを見出し、本発明に至ったものである。
【0006】
すなわち本発明はホスト液晶並びに下記の(A)群、(B)群、(C)群および(D)群で示される二色性色素を各々の群から少なくとも一種ずつ含むことを特徴とする液晶組成物(但し、下記(A)群、(B)群、(C)群および(D)群以外の二色性色素を含む場合を除く)、およびこれら液晶組成物を少なくとも一方が透明な電極基板間に挟持することを特徴とした液晶表示素子に存する。
(A)群
下記一般式[I]で表わされるアゾ系二色性色素。
【0007】
【化6】
【0008】
(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立に水素原子;炭素数1〜10のアルキル基もしくはアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;ハロゲン原子;あるいはこれらのアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子又はアルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基もしくはシクロヘキシルメチル基を表わす。)
(B)群
下記一般式[II]で表わされるアゾ系二色性色素。
【0009】
【化7】
【0010】
(式中、nは0または1を示し、R3 は水素原子;炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;ハロゲン原子;またはこれらのアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子もしくはアルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基あるいはシクロヘキシルメチル基を表わし、R4 、R5 はそれぞれ独立に水素原子;炭素数1〜10のアルキル基またはアルコキシ基あるいはフッ素原子で置換されたハロゲン化アルキル基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;炭素数2〜12のハロゲン化アルコキシアルキル基;ハロゲン原子;アルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシ基もしくはハロゲン原子で置換されていてもよいシクロヘキシルメチル基またはベンジル基を表わす。)
(C)群
下記一般式[III ]で表わされるアントラキノン系二色性色素。
【0011】
【化8】
【0012】
(式中、R6 およびR7 はそれぞれ水素原子;ハロゲン原子;炭素数1〜10のアルキル基あるいはアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;もしくはこれらのハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基もしくはアルコキシアルキル基を有しても良いシクロヘキシル基あるいはフェニル基を示す。)
(D)群
下記一般式[IV]で表わされるアントラキノン系二色性色素。
【0013】
【化9】
【0014】
(式中、R8 、R9 はそれぞれ水素原子;ハロゲン原子;炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基あるいはアルコキシ基;炭素数2〜12の直鎖状又は分岐状のアルコキシアルキル基;もしくはこれらのハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基もしくはアルコキシアルキル基を有しても良いシクロヘキシル基あるいはフェニル基を示し、
【0015】
【化10】
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶組成物はブラック、ダークブルー、ブラウン等の色相を有するものであり、本発明で用いられる色素は上記のような各群で示されている二色性色素の組み合わせにより効果を奏するもので、各群の色素はそれぞれ公知である。前記一般式[I]で示される色素は例えば特開昭58−138767号公報に、一般式[III ]で示される色素は例えば特開昭59−179561号公報に、一般式[IV]で示される色素は例えば特開昭59−4650号公報に各々記載されている。
また、前記一般式[II]で示される色素は特開昭63−301850号公報等に記載されているほか、日本感光色素(株)により市販されてもいる。
【0017】
次に、このような本発明で用いられる色素について詳細に説明する。
すなわち、前記一般式[I]におけるR1 、R2 としてはそれぞれ独立に通常水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などのアルキル基;メトキシメチル基、ブトキシメチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、オクトキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子もしくはアルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基あるいはシクロヘキシルメチル基を示し、好ましくは水素原子;アルキル基;アルコキシアルキル基;アルコキシ基、更に好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基である。
【0018】
前記一般式[II]におけるR3 としては水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、オクトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシメチル基、ブトキシメチル基、メトキシプロピル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基等の炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;またはこれらのアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子もしくはアルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基あるいはシクロヘキシルメチル基を表わし、R4 、R5 はそれぞれ独立に水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、オクトキシ基等のアルコキシ基;ノナフルオロヘキシル基、ペンタフルオロメチル基等のフッ素原子で置換された炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基;メトキシメチル基、ブトキシメチル基、メトキシプロピル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基等の炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;ペンタフルオロエトキシエチル等のフッ素原子で置換されたハロゲン化アルコキシアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;アルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシ基もしくはハロゲン原子で置換されていてもよいシクロヘキシルメチル基またはベンジル基を表わす。)
【0019】
前記一般式[III ]におけるR6 、R7 としては、それぞれ、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシメチル基、ブトキシメチル基、メトキシプロピル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基等の炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、オクトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;これらのハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基またはアルコキシアルキル基で置換されてもよいシクロヘキシル基あるいはフェニル基を示す。
【0020】
前記一般式[IV]におけるR8 およびR9 としては、それぞれ、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシメチル基、ブトキシメチル基、メトキシプロピル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基等の炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、オクトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;これらのハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基またはアルコキシアルキル基で置換されてもよいシクロヘキシル基あるいはフェニル基を示す。
【0021】
【化11】
【0022】
本発明で使用できる色素の例を下記の表−1にまとめて示すが、本発明の要旨を越えない限りこれらに限定されるものではない。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
本発明に用いる二色性色素は上述の通りであるが、特に後述する置換基を持つものがより好ましい。すなわち、前記一般式[I]におけるR1 、R2 としてはそれぞれ独立に水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基である。
【0026】
前記一般式[II]におけるR4 、R3 、R5 としてはそれぞれ独立に水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基である。
前記一般式[III ]におけるR6 、R7 としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。
前記一般式[IV]におけるR8 およびR9 としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基で置換されたフェニル基があげられる。
【0027】
【化12】
【0028】
の場合、R8 はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、
【0029】
【化13】
【0030】
の場合、R8 はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基で置換されたシクロヘキシル基が好ましい。
また、前記一般式[II]のnが1である場合にはR4 、もしくはR5 の置換基がハロゲン化アルキル基であることが耐光性などの安定性の点から更に望ましい。
【0031】
本発明に用いる液晶材料としては特に限定されないが、特に好ましいものとして下記に構造式で示されるような各種液晶化合物を混合したフッ素原子、トリフルオロメチル基などのフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基などのフルオロメトキシ基等のフッ素原子を含む置換基をもつ液晶化合物を主成分とするフッ素系液晶材料組成物が挙げられる。
【0032】
【化14】
【0033】
(式中、R′、X′はそれぞれ独立してアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシ基、アルキルフェニル基、アルコキシアルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、アルキルシクロヘキシル基、アルコキシアルキルシクロヘキシル基、アルコキシシクロヘキシル基、アルキルシクロヘキシルフェニル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基などのフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基などのフルオロメトキシ基、アルキルフェニルアルキル基、アルコキシアルキルフェニルアルキル基、アルキルシクロヘキシルアルキル基、アルコキシシクロヘキシルアルキル基、アルコキシフェニルアルキル基、アルキルシクロヘキシルフェニルアルキル基を示し、さらに上記各基のアルキル鎖、アルコキシ鎖中に光学活性中心を有しても良い。又、R′、X′中のフェニル基又はフェノキシ基は、フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子でさらに置換されていても良い。また、各式中のフェニル基は1個または2個のフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子でさらに置換されていても良い。)
【0034】
上記の液晶化合物は主として誘電異方性が正であるが、誘電異方性が負の公知の液晶も、誘電異方性が正の液晶と混合して、全体として正の液晶材料にして用いることができる。
更に上記の液晶化合物はコレステリルノナノエートのような光学活性物質、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの添加物を含有しても良い。
本発明の液晶組成物は、前記(A)群、(B)群、(C)群および(D)群の各々の群から選ばれる少なくとも一種ずつの色素を、上記の液晶化合物に公知の方法に従って溶解させることにより、容易に調整することができる。
【0035】
(A)群、(B)群、(C)群および(D)群で表わされる各色素群の使用量は、得ようとする色相によって適時選択されるが、ブラック、ブラウン、ダークブルー等の色相を有する組成物を得るためには、ホスト液晶材料に対して(A)群色素0.01〜1.8重量%、(B)群色素0.01〜1.3重量%、(C)群色素0.03〜4.2重量%、(D)群色素0.05〜7.7重量%使用することが好ましく、二色性色素の全使用量はホスト液晶材料に対して0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜8重量%である。
【0036】
このように調整された液晶組成物を、少なくとも一方が透明な1対の電極基板間に挟持させることにより、例えば、「液晶デバイスハンドブック、日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社発行、第315頁から第329頁」等に記載されているHeilmeier型ゲストホスト、相転移型ゲストホストや「液晶デバイスハンドブック、日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社発行、第367頁から第370頁」等に記載されている高分子分散型ゲストホストなどのゲストホスト効果を応用した各種表示素子を構成することができる。
【0037】
このように、本発明では液晶表示素子のモードは種々のものが使用可能であるが、ネマチック液晶組成物中に光学活性物質を加えることにより得られる相転移モードでは、通常用いられる偏光板が不要となる為表示が明るく、反射型液晶表示素子として特に好ましい。
本発明の液晶表示素子の一例として、図1および図2にアクティブ駆動方式の相転移モードゲストホスト型液晶表示素子の略示的断面図を示す。図1は液晶表示素子の電圧無印加状態を表わし、図2は電圧印加状態を表わす。図中、1は入射光、2は透明ガラス板、3は透明電極、4はアクティブ素子、5は配向膜、6は液晶化合物、7は二色性色素を示す。
【0038】
電圧無印加時(図1)では、液晶化合物6はコレステリック相を示す。二色性色素7も液晶化合物6と共にコレステリック構造を示すので、入射光1は自然光であっても、偏光板を用いることなく色素7に吸収される。電圧を印加すると(図2)、液晶化合物6と二色性色素7は電界方向に配列するため、光は透過する。
このように、液晶表示素子では電界の有無によって、光の透過、吸収を制御することができる。
【0039】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、その要旨を越えない限り以下に限定されるものではない。
実施例1
下記の二色性色素を、商品名ZLI−4792(E.MERCK社製)として市販されているフッ素系化合物を主成分とする液晶混合物100gに溶解させて液晶組成物−Iを調製した。
【0040】
【表3】
色素
[I−2] 0.58g
[II−1] 0.42g
[III −2] 1.41g
[IV−1] 2.40g
【0041】
この液晶組成物−Iをポリイミド系樹脂を塗布硬化後、ラビングしてホモジニアス配向処理された透明電極付きガラス板からなり、その配向処理面を対向させるように構成されたギャップ6μmのセルに封入し液晶表示素子を作成した。このセルを25℃下で電圧5V、ON時間60μsec、フレーム周波数30Hzまたは3Hzのパルス信号を印加し電圧保持率を測定した(フレーム周波数が30Hzの場合、保持時間は16.7msecに、フレーム周波数が3Hzの場合、保持時間は167msecになる)。更に、このセルの表面に透過限界波長が400nmであるトリアセチルセルロース製シャープカットフィルターを配し、キセノンフェードメーターによる光照射試験(照射強度320W/m2 )を行った後に電圧保持率を測定した。測定結果を表−2に示す。
【0042】
実施例2
下記の二色性色素を、商品名ZLI−4792(E.MERCK社製)として市販されているフッ素系化合物を主成分とする液晶混合物100gに溶解させて液晶組成物−IIを調製した。
【0043】
【表4】
色素
[I−1] 0.30g
[I−2] 0.29g
[II−1] 0.42g
[III −1] 0.47g
[III −2] 0.48g
[III −3] 0.43g
[IV−1] 1.20g
[IV−2] 1.32g
【0044】
この液晶組成物−IIを用いて実施例1と同様な方法により液晶表示素子を作製し、実施例1と同様な方法により光照射試験前後の電圧保持率を測定した。結果を表−2に示す。
【0045】
比較例1
商品名ZLI−4792(E.MERCK社製)として市販されているフッ素系化合物を主成分とする液晶混合物100gに、特開平6−234975に記載の下記の二色性色素を溶解させて液晶組成物−III を調製した。
【0046】
【表5】
色素
[I−2] 0.99g
[II−4] 0.65g
[IV−1] 2.60g
下記構造式[V]で示される色素0.26g
【0047】
【化15】
【0048】
この液晶組成物−III を用いて実施例と同様な方法により液晶表示素子を作製し、実施例1と同様な方法により光照射試験前後の電圧保持率を測定した。結果を表−2に示す。実施例1、実施例2と比較して光照射試験後に低い値を示し、保持時間を長くすることにより実施例と比較例の差が顕著になった。
実施例3
下記の二色性色素を、商品名ZLI−4792(E.MERCK社製)として市販されているフッ素系化合物を主成分とする液晶混合物100gに溶解させて液晶組成物−IVを調製した。
【0049】
【表6】
色素
[I−1] 0.42g
[I−2] 0.40g
[II−6] 0.76g
[III −1] 0.38g
[III −2] 0.39g
[IV−1] 1.28g
[IV−2] 1.40g
【0050】
この液晶組成物−IVをポリイミド系樹脂を塗布硬化後、ラビングしてホモジニアス配向処理された透明電極付きガラス板からなり、その配向処理面を対向させるように構成されたギャップ6μmのセルに封入し液晶表示素子を作成した。このセルを25℃下で電圧5V、ON時間60μsec、フレーム周波数3Hzのパルス信号を印加し電圧保持率を測定した(保持時間は167msec)。更に、このセルの表面に透過限界波長が400nmであるトリアセチルセルロース製シャープカットフィルターを配し、キセノンフェードメーターによる光照射試験(照射強度320W/m2 )を行った後に電圧保持率を測定した。測定結果を表−3に示す。
【0051】
実施例4
下記の二色性色素を、商品名ZLI−4792(E.MERCK社製)として市販されているフッ素系化合物を主成分とする液晶混合物100gに溶解させて液晶組成物−Vを調製した。
【0052】
【表7】
色素
[I−1] 0.45g
[I−2] 0.43g
[II−6] 0.70g
[III −1] 0.33g
[III −2] 0.33g
[IV−1] 1.40g
[IV−2] 1.54g
【0053】
この液晶組成物−Vを用いて実施例3と同様な方法により液晶表示素子を作製し、実施例3と同様な方法により光照射試験前後の電圧保持率を測定した。結果を表−3に示す。
【0054】
【表8】
【0055】
【表9】
【0056】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によって、耐光安定性の優れたゲストホスト組成物によるアクティブマトリックス液晶表示素子が可能となり、耐光性の改善された表示を得ることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるゲストホスト型液晶素子の電圧無印加状態の略示的断面図を表わす。
【図2】本発明に係わるゲストホスト型液晶素子の電圧印加状態の略示的断面図を表わす。
【符号の説明】
1 入射光
2 透明ガラス板
3 透明電極
4 アクティブ素子
5 配向膜
6 液晶化合物
7 二色性色素

Claims (5)

  1. 二色性色素およびホスト液晶から成るゲストホスト型液晶組成物において、下記(A)群、(B)群、(C)群および(D)群で示される二色性色素を各々の群から少なくとも一種ずつ含むことを特徴とするゲストホスト型液晶組成物。(但し、下記(A)群、(B)群、(C)群および(D)群以外の二色性色素を含む場合を除く。)
    (A)群
    下記一般式[I]で表わされるアゾ系二色性色素。
    (式中、R1 、R2 はそれぞれ独立に水素原子;炭素数1〜10のアルキル基もしくはアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;ハロゲン原子;あるいはこれらのアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子又はアルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基もしくはシクロヘキシルメチル基を表わす。)
    (B)群
    下記一般式[II]で表わされるアゾ系二色性色素。
    (式中、nは0または1を示し、R3 は水素原子;炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;ハロゲン原子;またはこれらのアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子もしくはアルコキシアルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基あるいはシクロヘキシルメチル基を表わし、R4 、R5 はそれぞれ独立に水素原子;炭素数1〜10のアルキル基またはアルコキシ基あるいはフッ素原子で置換されたハロゲン化アルキル基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;炭素数2〜12のハロゲン化アルコキシアルキル基;ハロゲン原子;アルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシ基もしくはハロゲン原子で置換されていてもよいシクロヘキシルメチル基またはベンジル基を表わす。)
    (C)群
    下記一般式[III]で表わされるアントラキノン系二色性色素。
    (式中、R6 およびR7 はそれぞれ水素原子;ハロゲン原子;炭素数1〜10のアルキル基あるいはアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;もしくはこれらのハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基もしくはアルコキシアルキル基を有しても良いシクロヘキシル基あるいはフェニル基を示す。)
    (D)群
    下記一般式[IV]で表わされるアントラキノン系二色性色素。
    (式中、R8 、R9 はそれぞれ水素原子;ハロゲン原子;炭素数1〜10のアルキル基あるいはアルコキシ基;炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;もしくはこれらのハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基もしくはアルコキシアルキル基を有しても良いシクロヘキシル基あるいはフェニル基を示し、
  2. 前記一般式[II]において、nが0である色素を少なくとも1種含むことを特徴とする請求項1記載のゲストホスト型液晶組成物。
  3. 前記一般式[II]において、nが1である色素を少なくとも1種含むことを特徴とする請求項2記載のゲストホスト型液晶組成物。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のゲストホスト型液晶組成物において、フッ素系液晶材料をホスト液晶として用いることを特徴とするアクティブ駆動用液晶組成物。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のゲストホスト型液晶組成物を少なくとも一方が透明な1対の電極基板間に挟持したことを特徴とする液晶表示素子。
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