JP3845324B2 - 炊き込み御飯の調理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、きのこ等の具を入れて米を炊く炊き込み御飯の調理方法、及び炊き込み御飯用乾燥味付け材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、炊き込み御飯を調理する場合、家庭だけでなく給食センターや病院などにおいても、一般的には炊き込み御飯の素を使用する。この炊き込み御飯の素は、醤油、鰹節や昆布などのだし汁の他に、みりんなどを適宜な割合で混ぜて濃縮した味付け汁と、予め濃い味付けにして煮込んだきのこなどの具とを一緒に袋詰めしたレトルト食品である。
【0003】
このレトルトタイプの炊き込み御飯の素を使用して、炊き込み御飯を調理する場合には、炊飯器の釜の中に、米と水と炊き込み御飯の素とを入れて炊飯する。そして、美味しい炊き込み御飯に仕上げるためのコツは、炊き込み御飯の素が液体なので、水の量を白米御飯の時よりも少なく調整することにあった。すなわち、通常の白米炊飯時に入れる水量から炊き込み御飯の素の味付け汁の分量だけ差し引いた水量に調整して、この水に味付け汁が加えられた量が丁度水分の適量となるようにすることが炊き込み御飯を美味く調理する際のコツであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、味付け汁の量を考慮して水の量を減らすというコツは、炊き込み御飯を調理し慣れたプロの調理人にとっては難しいことではことではないかもしれないが、実際には、米の量に応じて水加減しなければならないばかりでなく、使用する炊き込み御飯の素によって味付け汁の分量が異なるので、一般的な人にとっては決して容易なことではなかった。このため、料理店で食べる炊き込み御飯と同じような美味しさの炊き込み御飯を調理することは困難であった。これは一般家庭に限らず、給食センター、病院、寮、老人ホームなどの施設における調理でも同様であり、不慣れな調理人にとっては美味しい炊き込み御飯を調理する際には水の加減が難しかった。
【0005】
また、予め煮込んだ具と味付け汁とを一緒に袋詰めしたレトルト食品においては、きのこなどの具の風味や歯ごたえを保つことができないので、出来上がった炊き込み御飯は具が入っていても、その風味に欠け、また、具の歯ごたえも悪かった。これは、具を煮込む時と、レトルトにする際の加熱殺菌時と、炊飯時の少なくとも3回加熱することになるので、加熱する度に風味が抜けてしまうからである。特に、具の風味と食感が重要な具を使用した場合、例えば、松茸の炊き込み御飯では風味の問題が顕著であった。
【0006】
また、生の具を米の上に載せて、醤油などの調味料を水に溶かした味付け汁で米を炊くとともに具を煮る方法もあるが、これでは具と米とが同じ濃さの味付けになってしまい、具の味付けが不足する。したがって、この様な調理方法では、具の味を活かした美味しい炊き込み御飯に調理することがきわめて困難であった。そして、予め具に下味を付けることも考えられるが、これでは手間がかかってしまうし、風味も抜け易いので、給食センターや病院等の施設では、事実上困難であった。
【0007】
本発明は上記した事情に鑑み提案されたもので、その目的は、炊き込み御飯の調理であっても白米の御飯の炊飯と同じ水の量で調理でき、具の風味と歯ごたえを良好に保つことができる、簡単で美味しい炊き込み御飯の調理方法、及び炊き込み御飯用乾燥味付け材を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために提案されたもので、請求項1に記載のものは、炊飯器の釜内に、米とこの米の量に応じた量の水を入れるとともに、米の上に生の具を入れ、この釜内に張られた水の水面から上部あるいは全体が出た状態の具の上に乾燥味付け材をふりかけ、この状態で釜に蓋をして、釜を加熱して米を炊くとともに具を煮て両者に乾燥味付け材の溶液で味付けすることを特徴とする炊き込み御飯の調理方法である。
【0009】
請求項2に記載のものは、乾燥味付け材が、醤油を5.0〜35.0乾燥重量%、旨味成分10.0〜80.0乾燥重量%、糖分15.0〜30.0乾燥重量%、食塩10.0〜30.0乾燥重量%の割合で配合し、上記成分の合計が100乾燥重量%以内となるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の炊き込み御飯の調理方法である。また、糖分は、ブドウ糖、ショ糖など甘味を付けるための成分である。
【0010】
請求項3に記載のものは、乾燥味付け材が、醤油を5.0〜35.0乾燥重量%、旨味成分10.0〜80.0乾燥重量%、糖分15.0〜30.0乾燥重量%、食塩10.0〜30.0乾燥重量%、アガリクス0.2〜5.0乾燥重量%の割合で配合し、上記成分の合計が100乾燥重量%以内となるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の炊き込み御飯の調理方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は炊飯器の釜(内鍋)1内に米2、水3、具4を入れて、本発明に使用する乾燥味付け材(以下、「炊き込み御飯の素」という)5を振りかけている状態を示す釜1の断面図であり、図2は炊飯中の断面図である。
【0012】
炊き込み御飯の素5は、各種の調味料を粉末、或いは顆粒状にしたものであり、本実施形態では所定量ずつ袋6に詰めてある。具体的に説明すると、醤油を5.0〜35.0乾燥重量%、鰹節10.0〜80.0乾燥重量%、ブドウ糖15.0〜30.0乾燥重量%、食塩10.0〜30.0乾燥重量%、植物油脂0.5〜10.0乾燥重量%、アミノ酸0.5〜30.0乾燥重量%、アガリクス0.2〜5.0乾燥重量%の割合で配合し、好ましくは、醤油を25.0〜35.0乾燥重量%、鰹節15.0〜30.0乾燥重量%、ブドウ糖15.0〜30.0乾燥重量%、食塩25.0〜30.0乾燥重量%、植物油脂0.5〜2.5乾燥重量%、アミノ酸0.5〜2.5乾燥重量%、アガリクス0.2〜1.0乾燥重量%の割合で配合し、いずれの配合においても上記成分の合計が100乾燥重量%以内となるようにしてある。
【0013】
鰹節は旨味成分の一種として配合したもので、アミノ酸も旨味成分である。そして、旨味成分としては、昆布出し汁を乾燥させて配合しても良い。
また、ブドウ糖は甘味を付ける糖分の一種として配合したもので、糖分としてはショ糖など他の糖分でもよい。
したがって、本発明に係る炊き込み御飯の素は、醤油を5.0〜35.0乾燥重量%、旨味成分10.0〜80.0乾燥重量%、糖分15.0〜30.0乾燥重量%、食塩10.0〜30.0乾燥重量%、アガリクス0.2〜5.0乾燥重量%の割合で配合し、上記成分の合計が100乾燥重量%以内となるようにしてあればよい。
【0014】
この様に、配合に幅をもたせた理由は、美味しさの感じ方が地域によって異なることを考慮したものであり、例えば、東北地方などでは比較的塩分と醤油味の濃い味が美味しいとされ、関東地方では醤油味と塩味が中位の濃さが美味しいとされ、関西地方では醤油味を薄くして鰹節等の旨味成分の味を濃くしたものが美味しいとされるからである。また、前記成分の最大値を超えると、具の味が他の旨味成分等によって隠されてしまい、炊き込み御飯特有の美味しさが失われてしまう。
【0015】
本実施形態における炊き込み御飯の素をさらに具体的に説明すると、本実施形態では、粉末醤油を6.0グラム、鰹節粉末を4.0グラム、ブドウ糖粉末を4.0グラム、食塩粉末を5.4グラム、植物油脂粉末を0.2グラム、アミノ酸粉末を0.3グラム、アガリクス粉末を0.1グラム配合し、上記成分の合計が100乾燥重量%以内となるようにして、一袋で3合の米2に使用できるように、20グラム詰めにしてある。
なお、一袋の充填する量は適宜設定することができ、家庭用では少なく設定し、給食センターや病院などで使用する業務用では多く設定することが望ましい。
【0016】
次に、前記した炊き込み御飯の素5を使用して炊き込み御飯を調理する手順について説明する。
まず、炊飯器の釜(内鍋)1の中に米2を所望する量(例えば、6合)入れ、次に、この米2の量に応じた量の水3を入れる(レベルL)。例えば、6合の米2の場合には釜1に目盛られている「6」の目盛までの水3を入れる。そして、この状態で生の具4、例えば、しめじ、椎茸、松茸、エノキ、マイタケなどを好みの量だけ入れる。なお、具4はきのこ類に限定されるものではなく、筍、アサリ、鮭、鱒など好みの物を入れることができる。また、入れる具4の量は好みに応じて加減するが、米2が隠れる程度入れることが望ましい。
【0017】
水3を張った釜1内に具4を入れると、これらの具4の多くは水面からその上部あるいは全体が出た状態となり、この状態で炊き込み御飯の素5を具4の上に振りかけて準備を終了する。なお、本実施形態では、米2が6合なので標準的に2袋分(40グラム)の炊き込み御飯の素5を振りかけるが、好みに応じてその量を加減してよい。
【0018】
そして、準備が終了したならば、釜1に蓋7をして、炊飯器のスイッチ(図示せず)を入れて釜1を加熱する。
【0019】
釜1が加熱されると、釜1内の水3、米2、具4の温度が次第に上昇し、釜1内の湿度が過飽和まで上昇し、これにより粉末状の炊き込み御飯の素5が次第に空気中の水分を吸収するとともに、蓋7の内面(下面)で結露した水分が水滴8となって炊き込み御飯の素5に次々と降り注ぎ、炊き込み御飯の素5を溶かす。釜1内の温度がさらに上昇すると炊き込み御飯の素5の溶融がさらに進行し、溶けた炊き込み御飯の素5の溶液が具4の内部に浸透して味付けする。また、溶けた炊き込み御飯の素5の溶液は米2を浸している湯(水3)にも溶けて濃度を下げ、希釈化された炊き込み御飯の素5の溶液が米2の一粒一粒を包んで次第に米2の内部に浸透して味付けする。
【0020】
この様に、具4の上に粉末状の炊き込み御飯の素5を振りかけて炊飯すると、濃度の高い(味の濃い)炊き込み御飯の素5の溶液が具4に浸透しながら煮込んで具4を濃い味に味付けする一方、米2は薄められた炊き込み御飯の素5の溶液によって炊かれて薄味に味付けされる。
【0021】
したがって、米2が炊き上がると、米2にしみ込んだ炊き込み御飯の素5の味は、具4にしみ込んだ炊き込み御飯の素5の味に比較して薄く、具4の方が味が濃くなる。
【0022】
炊き上がった炊き込み御飯を食べる場合には、具4が米2の上に載った状態なので、これを良く混ぜ合わせる。そして、食べると、米2に付けられた味よりも具4に付けられた味の方が濃いので、米2の味わいの中に具4の味がその存在を表して具4の旨味を明確化する。なお、本実施形態においては、アガリクスの粉末を添加しているので、このアガリクス特有の旨味が付加されて、これまでにない良好な味わいとなる。なお、アガリクスの旨味は、具にきのこを使用した場合に、同じきのこ類なので、味の相性が良好である。
【0023】
また、本発明における炊き込み御飯においては、具4を生の状態から炊き込んで加熱は1度だけなので、数回加熱するレトルトタイプのものよりも、具4の風味が強く残り、さらには歯ごたえも残される。したがって、単に具4の味だけではなく、具4の風味と歯ごたえ、歯ざわりも良好な炊き込み御飯となる。特に、歯ごたえ、歯ざわりが重要とされる具4、例えば、松茸の炊き込み御飯においては、従来のレトルトタイプに比較して、その差が顕著である。
【0024】
なお、本発明における乾燥味付け材5は、粉末に限らず乾燥状態であればよく、例えば、顆粒にしてもよいし、或いは顆粒より少し大きな固形の塊(ランプ)に成形しても良い。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、水の量を、白米を炊く場合と同じにして調理することができるので、炊き込み御飯の調理に不慣れな人であっても、水加減を失敗することなく、容易にいつも通りの硬さ(柔らかさ)の炊き込み御飯を調理することができる。また、本発明は、具を生の状態で入れて炊くので、具の加熱を1度だけにすることができ、これにより風味と歯ざわりを残すことができ、風味と食感の良好な炊き込み御飯を調理することができる。そして、乾燥味付け材を、釜内に張られた水の水面から上部あるいは全体が出た状態の具の上にふりかけて炊くので、濃度の高い乾燥味付け材の溶液が具に浸透しながら煮込まれることにより具の味付けを米の味付けよりも濃くすることができ、炊き込み御飯の主役となる具の味を味わい易くして、これにより炊き込み御飯の美味しさを増すことができる。
【0026】
したがって、家庭における調理に限らず、給食センター、寮、病院などの施設においても大量の炊き込み御飯を美味しく、しかも容易に調理することができる。
【0027】
さらに、本発明によれば、生の具を使用するので、季節によって旬の具を選択でき、レトルトタイプに比較して、栄養分の損失を抑えることができ、しかも安価で美味しい炊き込み御飯とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】炊き込み御飯の素を振り掛けている状態を示す釜の断面図である。
【図2】炊飯中の状態を示す釜の断面図である。
【符号の説明】
1 炊飯器の釜(内鍋)
2 米
3 水
4 具
5 乾燥味付け材(炊き込み御飯の素)
6 乾燥味付け材を包装した袋
7 釜の蓋
8 水滴
Claims (3)
- 炊飯器の釜内に、米とこの米の量に応じた量の水を入れるとともに、米の上に生の具を入れ、この釜内に張られた水の水面から上部あるいは全体が出た状態の具の上に乾燥味付け材をふりかけ、この状態で釜に蓋をして、釜を加熱して米を炊くとともに具を煮て両者に乾燥味付け材の溶液で味付けすることを特徴とする炊き込み御飯の調理方法。
- 前記乾燥味付け材は、醤油を5.0〜35.0乾燥重量%、旨味成分10.0〜80.0乾燥重量%、糖分15.0〜30.0乾燥重量%、食塩10.0〜30.0乾燥重量%の割合で配合し、上記成分の合計が100乾燥重量%以内となるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の炊き込み御飯の調理方法。
- 前記乾燥味付け材は、醤油を5.0〜35.0乾燥重量%、旨味成分10.0〜80.0乾燥重量%、糖分15.0〜30.0乾燥重量%、食塩10.0〜30.0乾燥重量%、アガリクス0.2〜5.0乾燥重量%の割合で配合し、上記成分の合計が100乾燥重量%以内となるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の炊き込み御飯の調理方法。
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