JP3845131B2 - 車両のブレーキ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のブレーキ制御装置に関し、特にブレーキ作動によるトラクション制御およびヨー制御機能を有する車両のブレーキ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、路面の摩擦係数変化、横風および路面に生じている轍等の外乱によって車両が不安定となるのを防止するために、旋回外輪側の車輪ブレーキを作動せしめるようにしたものが、たとえば特開平2−70561号公報等により既に知られており、また駆動輪のスリップ傾向を検出するのに応じて駆動輪ブレーキを作動せしめてトラクション制御を行なうようにしたものが、たとえば特開平6−80070号公報等により既に知られている。
【発明が解決しようとする課題】
車輪ブレーキによる車両のヨー制御ならびにトラクション制御をそれぞれ実行可能とすることにより、車両のより円滑な運転が可能であり、付加価値を上げるためにも上記両制御機能を車両に持たせることが望ましい。しかるに、車両のヨー制御を従動輪のブレーキ作動によって行なうようにした場合には、トラクション制御にあたって車体速度を従動輪速度に基づいて推定しているために、両制御の同時実行時には従動輪のブレーキ作動による車体速度の推定精度低下が生じ、それに起因したトラクション制御の制御精度低下が生じることになる。
【0003】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、ブレーキ作動によるヨー制御およびトラクション制御をそれぞれ実行可能とするとともに、車体の安定性確保を優先することにより両制御をともに実行したときの相互干渉およびトラクション制御の不具合発生を防止した車両のブレーキ制御装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、駆動輪速度を検出する駆動輪速度検出手段と、従動輪速度を検出する従動輪速度検出手段と、従動輪速度検出手段で検出された従動輪速度に基づいて車体速度を推定する車体速度推定手段と、少なくとも車体速度推定手段で推定された車体速度ならびに駆動輪速度検出手段で検出された駆動輪速度に基づいて駆動輪のスリップ傾向を判断するとともにその判断結果に応じて駆動輪ブレーキを作動させ得るトラクション制御手段と、車両の目標ヨーレートを定める目標ヨーレート決定手段と、車両の実際のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、目標ヨーレート決定手段で得られた目標ヨーレートならびにヨーレート検出手段で得られた実際のヨーレートの偏差が所定範囲内に収まるように車両の左、右いずれかの従動輪ブレーキを作動せしめるヨー制御手段と、トラクション制御手段によるブレーキ作動に優先してヨー制御手段によるブレーキ作動を選択して実行する選択手段とを備えることを特徴とする
【0005】
【作用】
求項記載の発明の構成によれば、車体速度及び駆動輪速度に基づいて駆動輪のスリップ傾向を判断するトラクション制御手段によって駆動輪ブレーキを作動せしめることによるトラクション制御と、ヨー制御手段によって左、右いずれかの従動輪ブレーキを作動せしめることによるヨー制御とを実行可能であり、しかもトラクション制御に対してヨー制御を優先させるので、トラクション制御はヨー制御が実行されないときに実行されることとなって、従動輪速度に基づいて推定される車体速度の推定精度がヨー制御のために低下することはなく、トラクション制御にあたっての不具合が生じることはない。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、添附図面に示す参考例および本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0007】
図1ないし図5は参考例を示すものであり、図1は非ブレーキ操作時のブレーキ制御を実行するためのブレーキ制御装置の全体構成を示すブロック図、図2はブレーキ制御実行手順の一部を示すフローチャート、図3はブレーキ制御実行手順の残部を示すフローチャート、図4はタイムチャート、図5はヨーレートの経時変化の一例を示す図である。
【0008】
先ず図1において、車両の非ブレーキ操作時にあっては、左駆動輪ブレーキ制御手段1L による左駆動輪ブレーキ(図示せず)あるいは右駆動輪ブレーキ制御手段1R による右駆動輪ブレーキ(図示せず)の作動により、車両のヨー制御あるいはトラクション制御が実行されるものであり、非ブレーキ操作時にヨー制御あるいはトラクション制御を実行するためのブレーキ制御装置は、左駆動輪速度VDLおよび右駆動輪速度VDRをそれぞれ個別に検出する左駆動輪速度検出手段2L および右駆動輪速度検出手段2R と、左従動輪速度VFLおよび右従動輪速度VFRをそれぞれ個別に検出する左従動輪速度検出手段3L および右従動輪速度検出手段3R と、操舵角θを検出する操舵角検出手段4と、車体速度VV を推定する車体速度推定手段5と、トラクション制御手段6と、車両の目標ヨーレートYB を定める目標ヨーレート決定手段7と、車両の実際のヨーレートYA を検出するヨーレート検出手段8と、ヨー制御手段9と、トラクション制御手段6およびヨー制御手段9のうちヨー制御手段9側を優先的に選択して左駆動輪ブレーキ制御手段1L あるいは右駆動輪ブレーキ制御手段1R に接続する選択手段10とを備える。
【0009】
車体速度推定手段5では、左従動輪速度検出手段3L で得られた左従動輪速度VFLならびに右従動輪速度検出手段3R で得られた右従動輪速度VFRが平均化され、両従動輪速度VFL,VFRの平均値が車体速度VV として車体速度推定手段5から出力される。
【0010】
トラクション制御手段6は、左駆動輪用トラクション制御量演算部6L および右駆動輪用トラクション制御量演算部6R を有する。而して両演算部6L ,6R では、車体速度推定手段5で推定された車体速度VV に基づいて定まる基準車輪速度と、対応する駆動輪速度VDL,VDRとの比較によって駆動輪のスリップ傾向を判断するとともにその判断結果に応じたPID演算により対応する駆動輪ブレーキの作動制御量をそれぞれ定める。
【0011】
目標ヨーレート決定手段7では、或る車体速度で或る操舵角だけの操舵を行なったときに発生すべきヨーレートの規範となる目標ヨーレートYB が、車体速度推定手段5で得られた車体速度VV ならびに操舵角検出手段4で得られた操舵角θに応じて設定される。またヨーレート検出手段8では、左、右従動輪速度検出手段3L ,3R でそれぞれ得られた左、右従動輪速度VFL,VFRの差に左、右従動輪のトレッドに対応する所定の定数を乗じることにより実際のヨーレートYA が求められる。しかも該ヨーレートYA は、右旋回時にプラス、左旋回時にマイナスの値となるように設定されている。
【0012】
ヨー制御手段9では、目標ヨーレート決定手段7で得られた目標ヨーレートYB と、ヨーレート検出手段8で得られた実際のヨーレートYA との偏差が所定範囲内に収まるようにPID演算が実行され、その演算結果により、左、右駆動輪ブレーキのうち車両旋回時の旋回外輪側の駆動輪ブレーキを作動せしめるための制御量が定められる。
【0013】
選択手段10は左駆動輪切換部10L および右駆動輪切換部10R を備え、左駆動輪切換部10L には、トラクション制御手段6の左駆動輪用トラクション制御量演算部6L で得られた制御量ならびにヨー制御手段9で得られた制御量が入力されるとともにヨーレート検出手段8で得られた実際のヨーレートYA が入力され、右駆動輪切換部10R には、トラクション制御手段6の右駆動輪用トラクション制御量演算部6R で得られた制御量ならびにヨー制御手段9で得られた制御量が入力されるとともにヨーレート検出手段8で得られた実際のヨーレートYA が入力される。而して左駆動輪切換部10L は、ヨー制御手段9から制御量が入力されたときには、ヨーレート検出手段8から入力される実際のヨーレートYA がプラスの値を示すとき(右旋回時)にヨー制御手段9からの制御量をそのまま左駆動輪ブレーキ制御手段1L に与えるが、上記ヨーレートYA がマイナスの値を示すとき(左旋回時)にはヨー制御手段9からの制御量を強制的に「0」として左駆動輪ブレーキ制御手段1L に与えるものであり、トラクション制御手段6の左駆動輪用トラクション制御量演算部6L で得られた制御量はヨー制御手段9から制御量が入力されないときのみ左駆動輪切換部10L を経て左駆動輪ブレーキ制御手段1L に与えられる。また右駆動輪切換部10R は、ヨー制御手段9から制御量が入力されたときには、ヨーレート検出手段8から入力される実際のヨーレートYA がマイナスの値を示すとき(左旋回時)にヨー制御手段9からの制御量をそのまま右駆動輪ブレーキ制御手段1R に与えるが、上記ヨーレートYA がプラスの値を示すとき(右旋回時)にはヨー制御手段9からの制御量を強制的に「0」として右駆動輪ブレーキ制御手段1R に与えるものであり、トラクション制御手段6の右駆動輪用トラクション制御量演算部6R で得られた制御量はヨー制御手段9から制御量が入力されないときのみ右駆動輪切換部10R を経て右駆動輪ブレーキ制御手段1R に与えられる。
【0014】
すなわち、選択手段10はトラクション制御手段6によるブレーキ作動に優先してヨー制御手段9によるブレーキ作動を選択し、ヨー制御手段9によるブレーキ作動を実行する際には旋回外輪側の駆動輪ブレーキが作動せしめられることになる。
【0015】
このようなブレーキ制御装置による非ブレーキ操作時における制御手順は図2および図3で示されるものであり、先ず図2において、第1ステップS1では、トラクション制御手段6により駆動輪のスリップ傾向判断ならびにその判断結果に応じたPID演算が実行され、第2ステップS2では、前記PID演算により得られたトラクション制御用である左側および右側の制御量CTL,CTRが、左、右駆動輪ブレーキ制御手段1L ,1R の制御量CL ,CR としてそれぞれ設定される。
【0016】
第3ステップS3では、車体速度VV が設定速度VV0以上であるか否かが判定され、車体速度VV が設定速度VV0未満であると判定されたときには、第4ステップS4で、ヨー制御を実行中であるか否かを示すフラグFがリセットされた後、第5ステップS5で左、右駆動輪のブレーキ制御量CL ,CR が出力される。
【0017】
また第3ステップS3で車体速度VV が設定速度VV0以上であると判定されたときには、第6ステップS6でフラグFがセットされているか否か、すなわちヨー制御を実行中であるか否かが判定され、F=0(リセット状態)であったときには第7ステップS7に進み、F=1(セット状態)であったときには、第7〜第9ステップS7〜S9を迂回して第10ステップS10へと進む。
【0018】
第7ステップS7では、目標ヨーレートYB から実際のヨーレートYA を減算した値の絶対値|YB −YA |が設定偏差値ΔY以上であるか否かが判定される。而して|YB −YA |≧ΔYであったときには第8ステップS8に進み、|YB −YA |<ΔYであったときには第4ステップS4に進む。第8ステップS8では、実際のヨーレートYA の絶対値|YA |が第1設定値A1 以上であるか否かが判定され、|YA |≧A1 であったときには第9ステップS9に、また|YA |<A1 であったときには第4ステップS4に進むことになる。さらに第9ステップS9ではフラグFがセットされる。
【0019】
このような第7〜第9ステップS7〜S9は、ヨー制御を開始するか否かを判断するためのステップであり、目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の偏差の絶対値が設定偏差値ΔY以上大きいこと、ならびに実際のヨーレートYA の絶対値が第1設定値A1 以上であることがヨー制御の開始条件として設定されていることになる。
【0020】
第10ステップS10では、実際のヨーレートYA の絶対値|YA |が第2設定値A2 以上であるか否かが判定され、|YA |≧A2 であったときには第12ステップS12(図3)に、また|YA |<A2 であったときには第4ステップS4に進むことになる。
【0021】
この第10ステップS10は、ヨー制御を終了するか否かを判断するためのステップであり、実際のヨーレートYA の絶対値が第2設定値A2 未満であることがヨー制御の終了条件として設定されており、第2設定値A2 は第1設定値A1 とは異なって設定され、たとえばA1 >A2 である。
【0022】
第10ステップS10でヨー制御を終了しないと判定されたときには、図3の第11ステップS11で目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の偏差に基づくPID演算が実行され、そのPID演算値RPID が得られる。
【0023】
而して第12ステップS12では、実際のヨーレートYA がプラスの値であるかどうか、すなわち車両が右旋回状態にあるか否かが判定され、右旋回状態であったときには第13ステップS13で目標ヨーレートYB がプラスの値であるか否かが判定され、実際のヨーレートYA および目標ヨーレートYB がともにプラスすなわち右旋回状態を示すものであったときには、第14ステップS14において、PID演算値RPID に「−」符号を付した値がヨー制御量CY として設定される。ここで、YA >YB であるときにはPID演算値RPID はマイナスの値を示すものであるので、「−」符号が付されることによりヨー制御量CY はプラスの値を示すことになる。
【0024】
次の第15ステップS15ではCY <0であるか否かが判定され、CY <0であるとき、すなわちYA <YB であるときには第16ステップS16でCY =0と設定されて第17ステップS17に進み、CY >0であったときには第16ステップS16を迂回して第17ステップS17に進む。
【0025】
第17ステップS17では、右旋回時に旋回外輪側である左駆動輪をブレーキ作動せしめるべく、CL =CY 、CR =0とそれぞれ設定され、その後、図2の第5ステップS5に進むことになる。
【0026】
また第13ステップS13で目標ヨーレートYB がマイナスの値であると判定されたとき、すなわち実際のヨーレートYA および目標ヨーレートYB の方向が逆であると判定されたときには、第18ステップS18において、PID演算値RPID に定数kが乗算されるとともに「−」符号を付した値がヨー制御量CY として設定された後、第17ステップS17に進むことになる。ここで、前記定数kは「1」よりも小さく設定されるものであり、またYA がプラスの値であるのにYB がマイナスの値であるときにはPID演算値RPID はマイナスの値を示すものであるので、第18ステップS18で得られるヨー制御量CY は、PID演算値RPID が同一である状態で第14ステップS14で得られたヨー制御量CY に比べて小さいプラスの値となる。
【0027】
このような第12ないし第18ステップS12〜S18によれば、車両が右旋回状態にあるときに、目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の偏差が同一であることを前提とすれば、目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の方向が同一であるときよりも目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の方向が逆であるときの方がヨー制御量CY が小さく定められることになり、また目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の方向が同一であってもYA <YB のときにはヨー制御量CY が強制的に「0」とされ、ブレーキ制御が実行されないことになる。
【0028】
一方、第12ステップS12で、実際のヨーレートYA がマイナスの値であると判定されたとき、すなわち車両が左旋回状態にあると判定されたときには、第19ステップS19で目標ヨーレートYB がプラスの値であるか否かが判定され、実際のヨーレートYA および目標ヨーレートYB がともにマイナスすなわち左旋回状態を示すものであったときには、第20ステップS20において、PID演算値RPID がそのままヨー制御量CY として設定される。ここで、YA <YB であるときにはPID演算値RPID はプラスの値を示すものであるので、ヨー制御量CY はプラスの値を示すことになる。
【0029】
次の第21ステップS21ではCY <0であるか否かが判定され、CY <0であるとき、すなわちYA >YB であるときには第22ステップS22でCY =0と設定されて第23ステップS23に進み、CY >0であったときには第22ステップS22を迂回して第23ステップS23に進む。
【0030】
第23ステップS23では、左旋回時に旋回外輪側である右駆動輪をブレーキ作動せしめるべく、CL =0、CR =CY とそれぞれ設定され、その後、図2の第5ステップS5に進むことになる。
【0031】
また第19ステップS19で目標ヨーレートYB がプラスの値であると判定されたとき、すなわち実際のヨーレートYA および目標ヨーレートYB の方向が逆であると判定されたときには、第24ステップS24において、PID演算値RPID に定数kが乗算された値がヨー制御量CY として設定された後、第23ステップS23に進むことになる。このようにして第24ステップS24で得られるヨー制御量CY は、PID演算値RPID が同一である状態で第20ステップS20で得られたヨー制御量CY に比べて小さいプラスの値となる。
【0032】
このような第19ないし第24ステップS19〜S24によれば、車両が左旋回状態にあるときに、目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の偏差が同一であることを前提とすれば、目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の方向が同一であるときよりも目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の方向が逆であるときの方がヨー制御量CY が小さく定められることになり、また目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の方向が同一であってもYB <YA のときにはヨー制御量CY が強制的に「0」とされ、ブレーキ制御が実行されないことになる。
【0033】
次にこの参考例の作用について図4を参照しながら説明すると、操舵角θの変化に応じて目標ヨーレートYB の絶対値が第1設定値A1 以上となっている状態での時刻t1 で、路面の摩擦係数変化、横風および路面に生じている轍等の外乱により実際のヨーレートYA が大きく変化したとすると、目標ヨーレートYB から実際のヨーレートYA を減算した値の絶対値|YB −YA |が設定偏差値ΔY以上となった時刻t2 で、旋回外輪側である駆動輪ブレーキのブレーキ作動が開始され、それにより旋回外輪の駆動輪ブレーキ圧および車輪速度がそれぞれ変化し、ブレーキ制御を実行しなかったときのヨーレートYA ′が大きく乱れるのに対し、ヨーレートYA の変化を抑え、車両が不安定となるのを防止することができる。
【0034】
しかも非ブレーキ操作時にはトラクション制御手段6による駆動輪のブレーキ制御を実行可能であるにもかかわらず、ヨー制御手段9による駆動輪ブレーキのブレーキ制御を優先して実行するものであるので、両制御の対象が同一車輪であっても両制御の相互干渉が生じることはない。
【0035】
またヨー制御手段9によるブレーキ制御開始にあたっては、目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の偏差の絶対値が設定偏差値ΔY以上大きいこと、ならびに実際のヨーレートYA の絶対値が第1設定値A1 以上であることをともに満たすことが必要であるので、ブレーキ作動頻度を低減した上で必要なヨー制御を確実に行なうことができる。すなわち、実際のヨーレートYA および目標ヨーレートYB の方向が逆である所謂プラウ状態では、目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA 間の偏差が大きくなるものの、カウンターステアを当てようとしている場合には実際のヨーレートYA の値が大きくなることは比較的少なく、実際のヨーレートYA の値が小さいときにはヨー制御を実行しないことによりブレーキ作動頻度を低減することができる。一方、路面の摩擦係数が比較的高いことにより比較的大きなヨーレートYA で旋回している場合には、スピン傾向が生じた時には速やかなブレーキ制御を行なうことが望ましく、この場合には、ヨーレートYA の値が充分に大きいので上記偏差条件さえ整えばブレーキ作動によるヨー制御を速やかに行なうことができる。
【0036】
さらに、目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の方向が同一である状態で目標ヨーレートYB の絶対値よりも実際のヨーレートYA の絶対値の方が大きいときには、旋回方向が同一であることによるモーメントの合算に対抗して大きなカウンターモーメントを与える必要があるのに対し、目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の方向が逆である状態では旋回方向が逆であることによるモーメントの一部相殺により比較的小さなカウンターモーメントを与えればよい。而して、目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の偏差が同一であることを前提とすれば、目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の方向が同一であるときよりも目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の方向が逆であるときの方がヨー制御量CY が小さく定められていることにより、車両の運動状態に適合したブレーキ制御を行なうことができる。
【0037】
ところで、上述のように目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の偏差の絶対値が設定偏差値ΔY以上大きいこと、ならびに実際の ヨーレートYA の絶対値が第1設定値A1 以上であることをともに満たすことが、ヨー制御手段9によるブレーキ制御の開始条件とされているのに対し、そのブレーキ制御の終了条件は、実際のヨーレートYA の絶対値が第2設定値A2 未満であることのみであり、目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の偏差の絶対値が設定偏差値未満であることは制御終了条件とはなっておらず、そのような設定により、たとえば雪上や氷上等のように低摩擦係数の路面で強いアンダーステアの状態からオーバーステア状態へとステアリング特性が変化したときのブレーキ制御開始タイミングを早めることが可能となる。
【0038】
すなわち、実際のヨーレートYA および目標ヨーレートYB が図5で示すように変化したときを想定すると、|YB −YA |≧ΔYが成立した時刻t1 ′から時間が経過した時刻t2 ′で|YA |≧A1 が成立すると、この時刻t2 ′でヨー制御手段9によるブレーキ制御の開始条件が整うことになり、フラグFがセットれる。しかしYB >YA であることから、ヨー制御量CY が強制的に「0」とされており、ブレーキ制御が実行されることはない。而して強いアンダーステア状態であることから車両の運転者が時刻t3 ′で操舵角を増大操作すると、その時刻t3 ′以降、オーバーステア状態へと一気に移行することになり、時刻t4 ′でYA >YB となると、ヨー制御量CY がプラスの値となるのに応じてブレーキ制御が開始される。それに対して、目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の偏差の絶対値が設定偏差値未満であることを制御終了条件としたときには、時刻t4 ′では制御終了条件が満たされてフラグFがリセットされており、目標ヨーレートYB および実際のヨーレートYA の偏差の絶対値が設定偏差値ΔY以上大きくなる時刻t5 ′でフラグFがセットされてブレーキ制御が開始されるものであり、ブレーキ制御開始のタイミングが遅れることになる。
【0039】
次に本発明の一実施例について説明する。先の参考例では、ヨー制御手段9によるブレーキ制御を、駆動輪を対象として行なっていたが、本実施例では、ヨー制御手段9によるブレーキ制御を、従動輪を対象として行なうようにしており、その他の構成は、参考例と同様である。本実施例では、トラクション制御は、参考例と同様にヨー制御が実行されないときに実行されるので、従動輪速度に基づいて推定される車体速度の推定精度が低下することはなく、トラクション制御にあたっての不具合が生じることはない。
【0040】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である
【0041】
【発明の効果】
以上のように発明によれば、車体速度及び駆動輪速度に基づいて駆動輪のスリップ傾向を判断するトラクション制御手段によって駆動輪ブレーキを作動せしめることによるトラクション制御と、ヨー制御手段によって左、右いずれかの従動輪ブレーキを作動せしめることによるヨー制御とを実行可能とした上で、ヨー制御を優先させることにより、従動輪速度に基づいて推定される車体速度の推定精度がヨー制御のために低下することはなくなり、従ってその推定精度低下によるトラクション制御の不具合が生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 非ブレーキ操作時のブレーキ制御を実行するためのブレーキ制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】 ブレーキ制御実行手順の一部を示すフローチャートである。
【図3】 ブレーキ制御実行手順の残部を示すフローチャートである。
【図4】 タイムチャートである。
【図5】 ヨーレートの経時変化の一例を示す図である。
【符号の説明】
L ,2R ・・・駆動輪速度検出手段
L ,3R ・・・従動輪速度検出手段
5・・・車体速度推定手段
6・・・トラクション制御手段
7・・・目標ヨーレート決定手段
8・・・ヨーレート検出手段
9・・・ヨー制御手段
10・・・選択手段
DL,VDR・・・駆動輪速度
FL,VFR・・・従動輪速度
V ・・・車体速度
A ・・・実際のヨーレート
B ・・・目標ヨーレート

Claims (1)

  1. 駆動輪速度(VDL,VDR)を検出する駆動輪速度検出手段(2L ,2R )と、従動輪速度(VFL,VFR)を検出する従動輪速度検出手段(3L ,3R )と、従動輪速度検出手段(3L ,3R )で検出された従動輪速度(VFL,VFR)に基づいて車体速度(VV )を推定する車体速度推定手段(5)と、少なくとも車体速度推定手段(5)で推定された車体速度(VV )ならびに駆動輪速度検出手段(2L ,2R )で検出された駆動輪速度(VDL,VDR)に基づいて駆動輪のスリップ傾向を判断するとともにその判断結果に応じて駆動輪ブレーキを作動させ得るトラクション制御手段(6)と、車両の目標ヨーレート(YB )を定める目標ヨーレート決定手段(7)と、車両の実際のヨーレート(YA )を検出するヨーレート検出手段(8)と、目標ヨーレート決定手段(7)で得られた目標ヨーレート(YB )ならびにヨーレート検出手段(8)で得られた実際のヨーレート(YA )の偏差が所定範囲内に収まるように車両の左、右いずれかの従動輪ブレーキを作動せしめるヨー制御手段(9)と、トラクション制御手段(6)によるブレーキ作動に優先してヨー制御手段(9)によるブレーキ作動を選択して実行する選択手段(10)とを備えることを特徴とする車両のブレーキ制御装置
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