JP3843378B2 - 鉄キレートを含有する廃液の処理方法 - Google Patents

鉄キレートを含有する廃液の処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術】
本発明は、鉄キレートを含有する廃液の処理方法である。より詳しくは、写真処理廃液等の鉄キレートを含有する廃液を焼却処理する方法である。有機・無機化合物と共に、キレート剤により可溶化された鉄塩いわゆる鉄キレートを含有する廃液、すなわち写真処理工程で生成する廃液、精錬工程において鉄を含む鉱石を洗浄した際の廃液、金属の加工工程で生成する廃液、ボイラー洗浄廃液、各種金属の酸洗工程から発生する廃液等の処理に適した方法である。
【0002】
【従来の技術】
産業活動に伴って発生する各種廃液の処理については、環境に対する意識の高まりにより、環境への負荷がより少ないものとすることが要請されている。COD,BOD負荷を持つ有機化合物と一緒に無機化合物が含まれ、さらに鉄キレートを含有するような廃液は、処理が難しい廃液とされており、これまでこれらの廃液の多くは海洋投棄処分がなされていた。
【0003】
しかしながら、近年の水質汚濁防止法や公害規制の強化により、写真処理廃液をはじめとする前記の廃液の多くは海洋投棄処分が禁止され、陸上での処理が必要となっている。
以下に鉄キレートを含有する廃液の代表として、写真処理廃液を例にしてその処理方法について説明する。
【0004】
これまでに写真処理廃液の処理方法としては、蒸発濃縮・固化法、化学処理法、活性汚泥法、イオン交換法、逆浸透法等が知られているが、かならずしも満足されるものではなかった。最近では、特開平7−91637号公報のようにNa/Kのモル比を特定範囲として焼却処理する方法や、特開平7−185591,7−185592号公報のごとく、前処理した後に湿式酸化処理と生物処理を組み合わせる方法が提案されている。
【0005】
写真処理廃液には、現像液、定着液、発色現像液、漂白液、漂白定着液等があり、これらは脱銀処理を施された後、その廃液を混合して処理されることが多く、COD、BOD負荷を持つ有機化合物が数%程度存在し、このためCOD値として数万ppmとなるうえ、10%程度の無機化合物と鉄分として1000ppm前後の鉄キレート化合物を含有し、残部が水の組成を有する廃液である。
【0006】
このような写真処理廃液を焼却処理する場合には、有機化合物はほぼ完全に分解することができるが、無機化合物と鉄キレート化合物の分解によって生ずる塩類や酸化物等の灰分が多量に発生して炉内に付着したり堆積するため、炉況を不安定とすることが多く、定期的に炉内に付着した灰分を取り除くことを余儀なくされていた。焼却処理法においては、省エネルギーの観点から廃液を濃縮してから処理に供することが多いので、濃縮により無機化合物等の割合が増大し、その分炉況の不安定な状態を助長して長期間の運転の障害となることがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、写真処理廃液等の鉄キレートを含有する廃液を、焼却処理する新しい方法を提案するものであり、焼却炉内へ噴霧して焼却処理する際に、炉況を安定させ、長期間の運転を可能とする処理方法を提供するものでる。
【0008】
本発明は、これまで処理が困難とされていた各種廃液・廃酸等を混合し、結果的に鉄キレートが含有されているような廃液をも効果的に処理することができる方法を提供するものである。
【0009】
さらに本発明では、焼却炉等の焼却設備を改造する等の負担が少ないような方法とすることが別の目的である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、鉄キレートを含有する廃液にアルカリを添加してpH12以上として沈殿を生成させ、生成した沈殿を分離した後の残りの廃液を焼却炉内へ噴霧して焼却処理することを特徴とする鉄キレートを含有する廃液の処理方法である。さらには、鉄キレートを含有する廃液を予め濃縮した後、前記濃縮廃液にアルカリを添加する廃液の処理方法であり、いずれの場合においても、アルカリ添加の際には、廃液を60〜250℃に加熱することが望ましい。
【0011】
【作用】
写真処理廃液等の鉄キレートを含有する廃液を、液性をアルカリ領域として焼却炉内へ噴霧して焼却処理することによって炉内に生ずる灰分は、その大部分が硫酸ナトリウム等のナトリウムおよびカリウムを主体とする塩類と、鉄の複合酸化物であり、特に鉄の複合酸化物は融点が高く炉内で難溶融性なため、この鉄の複合酸化物が多くなると炉況が不安定となり、長期間の運転が困難となることを知見した。本発明は前記の知見をもとに完成されたものである。
【0012】
このため、本発明ではEDTA等のキレート剤によって安定化されている廃液中の鉄キレートを、アルカリを添加して分解し、予め廃液中に含まれている鉄分の割合を低減させてから、焼却炉内へ供給するようにしたものである。前述のように廃液を焼却処理する場合には、水溶液である廃液を構成する多量の水分を燃焼温度まで加熱・蒸発させるために、大量の熱エネルギーを要するため、焼却処理に先立って廃液を濃縮することが多いが、本発明はこのように濃縮工程を経ることにより、全体として廃液中の無機化合物と鉄キレートが多くなり、鉄分としても存在が多くなるようなケースに適用すると効果的である。
【0013】
すなわち、本発明では、鉄キレートを含有する廃液にアルカリを添加してpH12以上として沈殿を生成させ、生成した沈殿を分離した後の残りの廃液を焼却炉内へ噴霧して焼却処理するようにしていることから、廃液中に含まれている鉄分の割合が低減された状態で焼却処理することによって、炉内に生ずる灰分の溶融性を示す硫酸ナトリウム等の塩類の割合が多くなり、難溶融性の鉄の複合酸化物の相対的な比率が低下し、炉内に付着したり堆積することがなくなることにより、炉況が安定し、長期間の運転が可能になるものと考えている。本発明においては、焼却処理時の炉況および焼却処理後の炉内の状況を観察した結果等から、難溶融性の鉄の複合酸化物の絶対量が少なくなると共に、溶融性を示す塩類の割合が多くなり、全体として灰分の流動性が改善され、鉄の複合酸化物等の難溶融性の生成物を巻き込んで灰分が炉外へ排出されるようになったためと推測される。
【0014】
本発明では、最初に鉄キレートを含有する廃液に、アルカリを添加してpH12以上として沈殿を生成させる。これは、EDTA等のキレート剤によって安定化されている廃液中の鉄キレートを分解して、水酸化物として沈殿させるためである。この工程で、写真処理廃液に通常含有されている鉄分のほか、各種廃酸等を混合した場合に混入してくる重金属等の少量の金属成分が存在した場合には、それらも殆ど沈殿となり、次の固液分離工程で液中より除去される。このため、焼却処理によって生成する金属酸化物が少なくなることも、この処理による効果の一つである。
【0015】
鉄キレートを含有する廃液を予め濃縮しておくことは、省エネルギーのほか、処理容量の低減、設備のコンパクト化等の効果があり、望ましいことである。廃液の濃縮程度は2倍以上、好ましくは3倍以上であるが、あまり濃縮の程度を高くすると液中に析出物が生じることがあるので、上限は廃液の性状によって適宜判断するようにする。
【0016】
廃液中の鉄分の除去効率から、pHは12以上、好ましくはpH13以上として反応させ、温度は常温でもよいが、加温したほうが鉄分の除去効率が改善されることから60〜250℃に加熱することが望ましい。前記温度としては、好ましくは60〜150℃であり、反応の際の温度が大気圧下で沸騰温度を越える場合には、当然のことながら加圧下で反応を行なわせることが必要である。アルカリを添加して沈殿を生成させる際の温度を高くすることは、鉄分の除去効率が改善されるのみならず、沈殿の沈降性が改良され、分離性が良くなる。このため、生成した沈殿を分離するための固液分離プロセスにも影響し、固液分離の際のコストダウンに寄与するものである。
【0017】
アルカリとしては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム等の強アルカリで、廃液のpHを12以上とすることができればよい。しかしながら、添加するアルカリは、固液分離した後液側に残り、焼却処理により灰分を形成するために、灰分中のカリウムが多くなりすぎると炉壁へ付着し易くなる傾向があるので、灰分の流動性の改善に寄与するナトリウム化合物の使用が望ましく、このうちでも水酸化ナトリウムの使用が特に好ましい。また、水分の増加を少なくするため、アルカリは高濃度液として使用することが望ましい。本発明におけるアルカリの添加は、廃液のpHを12以上にするためであるから、廃アルカリが入手可能であればそれを使用してもよい。例えば、写真処理廃液で、定着系および漂白系の廃液は鉄分が多く含まれ弱酸性であるが、現像液はアルカリ性であるため、この現像液をアルカリの一部に用い、不足するアルカリを水酸化ナトリウム等で補うようにすればよい。
【0018】
アルカリを添加して沈殿を生成させるための反応時間は、特に制限されるものではないが、600℃以下では30〜60分程度、100℃以上の場合には15分程度で、その間の60〜100℃は20〜30分程度が一応の目安である。
【0019】
このように写真処理廃液のアルカリを添加すると、もともと廃液中に含まれているアンモニアが放散され、温度を高めた場合にはアンモニア放散が顕著となるため、放散されるアンモニアを別途処理することが必要である。放散されたアンモニアは、硫酸等の吸収液に接触させて回収してもよいし、触媒を利用した接触酸化や焼却処理で処理してもよい。または、アンモニアを後述する焼却炉へ導いて廃液と共に焼却することもできる。この場合には、アンモニアが排ガス中のNOxの低減に効果を発揮する。
【0020】
廃液と沈殿を分離するための固液分離プロセスとしては、周知の方法が適用できる。例えば、濾過法、遠心分離法等が使用でき、沈殿生成の反応温度が低い場合には、沈殿の分離性がやや劣るため、効率のよい分離機を選定するならば濾過法がよく、反応温度が高い場合には遠心分離法の利用が望ましい。本発明では、生成した沈殿を分離した後の残りの廃液を、焼却炉内へ噴霧して焼却処理するため、沈殿を分離する工程で廃液中の懸濁物も一緒に除去されることとなり、廃液を噴霧する際のノズル詰まり等のトラブルを回避するためにも有効である。特に本発明で生成する沈殿は、鉄の水酸化物を主とするものであり、鉄の水酸化物は凝集剤としてよく知られているとおりで、濾過等の固液分離においても有利に作用する。
尚、沈殿の分離に際しては、珪藻土等の周知の濾過助剤を必要に応じて使用してもよい。
【0021】
次に、沈殿を分離した後の残りの廃液を、焼却処理する方法について説明する。 本発明で用いる焼却炉は、耐火物で内張りされた耐熱炉等であり、バーナーからLPG,都市ガス、軽油等の燃料を燃焼して高温とされた炉内に、噴霧され微細な液滴として供給される廃液が燃焼分解できればよく、形状は竪型であっても横型であってもよい。
【0022】
廃液を焼却処理するための焼却炉を中心とする設備の一例を図面をもとに説明する。図1は、本発明の方法に使用することができる焼却炉の一例を示すものである。図中の、焼却炉本体1は、外側が金属板で覆われ内側が耐火物で形成されており、炉の上部に燃料導入口と空気導入口を有するバーナー2が設けられている。バーナーとしては、焼却炉を小さくし高温で安定した燃焼状態とするため、高負荷短焔バーナーの使用が好ましい。燃料は、完全燃焼が可能で、後処理の必要な酸性ガスおよびダスト成分等を発生しないクリーンな燃料であるLPGまたは灯油の利用が望ましい。
【0023】
前記のバーナー部から末広がりに広がった炉の肩部の所に廃液を炉内へ供給するための、噴霧ノズル3等の廃液の供給装置が設けられている。これらは必要に応じて設置個所やその数を適宜選定することができるようになっているのが普通である。
廃液は配管4を経由して噴霧ノズル3より、炉内の高温部に向かって噴霧することにより、急速な水の蒸発と廃液成分の分解、さらに有機物の燃焼が行なわれる。
廃液の焼却処理の際に、廃液を供給する噴霧ノズル3の位置を炉の中心軸線に対し対称位置に配置して、炉内へ噴出された廃液が炉の中心部にうまく分散するようにするなどの対応が望ましい。
【0024】
本発明で有機物を完全に焼却するとともに、生成する灰分の流動性を確保するために、焼却温度としては850℃以上とすることが必要である。廃液を焼却する領域の上限温度としては、高温にするほどNOxの発生が多くなること、燃料の節約および炉材材質の問題等から、1100℃以下とすることが望ましい。
【0025】
焼却処理によって発生する燃焼排ガス6は、炉の出口5を通って炉外に排出され、その後冷却され必要に応じて無害化のための処理がなされてから大気中に放出される。尚、図中の7は灰分を示し、焼却処理によって生ずる灰分の大部分は、燃焼排ガス6に随伴して炉外へ持ち出されるが、一部炉壁等に付着したものは灰分の流動性が良好であれば徐々に炉外へ排出されるようになる。実際の操業にあたっては、図2に示すように炉の出口5に続くダウンカマー12を設置して冷却水13中に燃焼排ガスを吹き込み、冷却・除塵を行なってから燃焼排ガス6を系外へ排出してもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
脱銀処理した後の写真処理廃液として、定着廃液、定着廃液と現像廃液等の混合廃液、および前記混合廃液を約3倍に濃縮した濃縮廃液を用い、アルカリとして48重量%の水酸化ナトリウムを添加して沈殿を生成させ、沈殿を遠心分離器により3000Gの遠心力で分離した後の廃液中の鉄分を測定した。
反応温度は、室温(25℃)、60℃、およびオートクレーブを使用して100℃、150℃とした。
【0027】
使用した定着廃液、定着廃液と現像廃液等の混合廃液、および混合廃液の濃縮廃液のpH、密度、鉄分は以下のようであった。この他有機化合物が多く含まれCODとしては数万ppmで、EDTA等のキレート剤が存在していた。
Figure 0003843378
【0028】
3種類の廃液中の鉄分を測定した結果を、図3〜図5に示した。尚、図中の廃液中の鉄分の濃度は、初期の廃液をベースとして表示したものである。
いずれの場合にも、廃液中の鉄分はpH12以上で徐々に減少しはじめ、pH13以上となると急激に減少する。また、反応温度としては、温度が高い方が鉄分は少なくなる傾向を示し、高pHの領域でその傾向が顕著となることがうかがえる。生成した沈殿は、室温(25℃)よりも反応温度が高い方が沈降性が良好であった。
【0029】
前記の定着廃液と混合廃液を約3倍に濃縮した濃縮廃液を用いて、48重量%の水酸化ナトリウムを添加してpHを13として、温度60℃の条件で沈殿を生成させた。沈殿を遠心分離器により3000Gの遠心力で分離した後、得られた鉄分の少なくなった廃液を図2の焼却炉に供給し、流量調節弁14を設けた燃料ライン10からLPGを、同じく流量調節弁14を設けた空気ライン11から空気を送り、炉内を加熱し、そこへ前記の廃液を噴霧ノズル3から図示していない圧縮空気により炉内へ噴霧して950℃で焼却した。
【0030】
沈殿を分離した後の定着廃液および濃縮廃液の鉄分は、初期の廃液ベースで各々480mg/リットル、900mg/リットルであり、この廃液を用いて別々に連続焼却処理を行なったところ、いずれの場合にも炉況は安定し、2週間の連続運転が可能であった。冷却水中のCODは数ppmであり、廃液中の有機物はほぼ完全に分解されていた。運転終了後に炉内を観察したが、定着廃液の場合には炉の下部に薄い灰分の付着が認められた程度であったが、濃縮廃液の場合には、炉の下部の出口付近に白色の流動性の良好な灰分に混じって薄い茶褐色の鉄の複合酸化物が少量存在していたが、灰分が全体的に炉の出口に向い流れ出している様子が認められた。
【0031】
これらの結果から、廃液中の鉄分を徹底的に除去するまでに低減しなくとも、本発明のように鉄分の量を少なくすると共に、灰分中の鉄の酸化物の割合を低減させて、灰分の流動性を改善することが効果があることが判る。
【0032】
尚、前記の定着廃液と混合廃液を約3倍に濃縮した濃縮廃液を、そのまま図2の焼却炉に供給し、炉内へ噴霧して950℃で焼却した。
定着廃液の場合には、炉の下部に茶褐色の灰分の付着が認められ、この灰分の流動性が低いため、長時間の運転には支障があると予測される状態であった。濃縮廃液の場合には、運転中に冷却水の中に灰分の剥離によって生ずる小塊の落下による音響が観測され、炉内の圧力が上昇したため、1週間で運転を停止した。運転終了後に炉内を観察したところ、炉の下部の出口付近に茶褐色の灰分が多く固まった状態で残っていた。
【0033】
以上のように鉄キレートを含有する廃液から、アルカリを用いて予め鉄分を低減して焼却処理する本発明の方法は、写真処理廃液だけでなく、同様に有機化合物や無機化合物と共に、鉄キレートを含有する廃液に適用できることは明らかである。
【0034】
【発明の効果】
本発明により、写真処理廃液等の鉄キレートを含有する廃液を、焼却処理する際に、焼却炉の運転が容易となり、長期間の運転が可能になった。また、焼却処理のため廃液中の有機物は、高い分解率で処理することができる。
【0035】
本発明では、焼却処理の際に問題となっていた廃液中の鉄分を70〜90%除去し、ほかの成分との相対的な割合を低減させることで、写真処理廃液のみならず、これまで処理が困難とされていた各種廃液・廃酸等を混合し、結果的に鉄キレートが含有されてくるような廃液をも効果的に処理することができるようになる。
【0036】
また、本発明は、廃液から鉄分を除くための設備は必要であるが、焼却炉等の焼却設備を改造する等の負担が少なく実施できる方法である。このため、既存の焼却設備に前処理に相当する鉄分を除く設備を設置することで適用でき、経済的にも優位性があるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用することができる焼却炉の一例である。
【図2】本発明に使用することができる焼却炉の例で、焼却排ガスの冷却設備を備えたものである。
【図3】定着廃液にアルカリを添加して、生成する沈殿を分離した後の液中の鉄分の測定結果を示す。
【図4】定着廃液と現像廃液等の混合廃液にアルカリを添加して、生成する沈殿を分離した後の液中の鉄分の測定結果を示す。
【図5】定着廃液と現像廃液等との混合廃液の濃縮廃液にアルカリを添加して、生成する沈殿を分離した後の液中の鉄分の測定結果を示す。
【符号の説明】
1 焼却炉本体
2 バーナー
3 噴霧ノズル
4 配管
5 炉の出口
6 燃焼排ガス
7 灰分
10 燃料ライン
11 空気ライン
12 ダウンカマー
13 冷却水
14 流量調節弁

Claims (3)

  1. 鉄キレートを含有する廃液にアルカリを添加してpH12以上として沈殿を生成させ、生成した沈殿を分離した後の残りの廃液を焼却炉内へ噴霧して焼却処理することを特徴とする鉄キレートを含有する廃液の処理方法。
  2. 鉄キレートを含有する廃液を予め濃縮した後、前記濃縮廃液にアルカリを添加する請求項1記載の鉄キレートを含有する廃液の処理方法。
  3. アルカリ添加の際に廃液を60〜250℃に加熱する請求項1または請求項2記載の鉄キレートを含有する廃液の処理方法。
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