JP3843217B2 - 内燃機関用点火装置および燃料室内に充填された燃料への点火方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガソリンなどの燃料と空気との混合ガスを放電火花によって点火し、燃焼圧力を動力に変換する内燃機関の点火装置および燃料室内に充填された燃料への点火方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関における空気と燃料との混合ガスに点火する手段として、2つの電極間に高電圧パルスを印加し、発生した放電火花によって混合ガスに点火するものが多く用いられている。
【0003】
この点火に用いられる放電火花の放電時間、および放電火花の大きさが十分な場合は、放電開始直後に、混合ガスの気体分子が放電によって励起され、イオン化した混合ガスの気体分子が、放電による電界によって加速されながら、他の混合ガスの気体分子と衝突し、さらに複数のイオン化分子を生成するため、イオン化分子が指数関数的に増加していく。このように混合ガスの気体分子がイオン化することで、点火後の燃焼速度が速まり、燃焼効率が向上する。
【0004】
ところが、この点火方法には、2つの電極間の気流の揺らぎ、あるいは不純物粒子の存在などによって放電開始電圧が大きく左右されるという特徴があるため、放電火花の大きさ、および放電時間がまちまちになり、燃料の点火性と、燃焼状態、および燃焼効率に大きな影響を与えている。特に、起動直後などは、内燃機関が冷えているために、燃焼が安定しないため、放電火花の大きさ、および放電時間の影響が顕著に現れる。
【0005】
放電火花の大きさ、および放電時間がまちまちになると、励起される混合ガスの気体分子の数が安定しないため、燃焼速度が遅くなり、燃焼効率が悪化し、失火を引き起こしたり、不完全燃焼による燃料消費率の悪化と、エンジン出力の低下、および排気ガス中の炭化水素化合物の増加をもたらす。
【0006】
特に、低負荷運転状態、および希薄燃焼方式の車両用エンジンでは、出力低下が顕著に現れるため、従来から燃焼室内の燃焼状態を改善するために、さまざまな点火装置が検討されてきた。
【0007】
燃料の点火性を向上させる内燃機関用点火装置として、主に多点点火式と連続点火式の火花点火装置があげられ、多点点火式の火花点火装置の1つに、特開2001−82306号公報で提案されているものがある。また、連続点火式の点火装置の1つに、特開2001−50147号公報で提案されているものがある。
【0008】
特開2001−82306号公報で提案されている多点点火式の点火装置は、ピストンまたは燃焼室壁面の一部に絶縁部材であるセラミック材を備え、このセラミック材に複数の電極を配設することで点火点を増やし、混合ガスに点火する装置である。
【0009】
また、特開2001−50147号公報で提案されている連続点火式の点火システムは、点火制御信号によって点火コイルに送電される一次電流の通電と遮断とを繰り返し制御して、点火プラグに複数回の放電を行わせる点火システムである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記多点点火式の火花点火装置は、燃焼室、およびピストンの加工が複雑、かつ困難なため、適用できる内燃機関が限定され、さらに長期間にわたる内燃機関の運用により、電極が経年劣化した場合には、ピストンおよび燃焼室の交換が必要となるため、交換および修理の作業性が悪く、作業コストが高くなるという問題があった。
【0011】
また、前記連続点火式の点火システムは、点火制御用回路が必要なため、点火システムが複雑になり、交換および修理の際には点火制御用回路ごと交換するなど作業コストが高くなるという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、製造が容易で、交換修理の作業性にも優れ、作業コストが安くすむ内燃機関用点火装置および燃料室内に充填された燃料への点火方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上記課題を解決するため、内燃機関に用いられて、電気的に接地する接地電極と、高電圧パルスが印加される中心電極とを備え、前記接地電極の端部と前記中心電極の端部とを近接配置し、前記接地電極の前記端部と前記中心電極の前記端部との間で放電火花を発生させ、燃料と空気の混合ガスに点火する内燃機関用点火装置であって、前記接地電極は主接地電極と補助接地電極とに分岐し、前記主接地電極の端部と前記補助接地電極の端部とはそれぞれが前記中心電極の前記端部に近接配置し、流れる電流の変化量に応じて逆起電力が生じるインダクタ部を前記補助接地電極が前記接地電極から分岐する部分と、前記補助接地電極の端部との間に一体に備えたことを要旨とする内燃機関用点火装置である。
【0014】
つまり、補助接地電極にインダクタの機能を備えることで、高電圧パルスを電極に印加して、補助接地電極で補助放電を行わせた際に、補助接地電極のインダクタ部に逆起電力が生じるため、補助放電は短時間で終了する。これでは、燃焼室内の混合ガスを点火するまでには至らないが、混合ガスの気体分子を励起することができる。なお、主接地電極による主放電は、励起した混合ガスの気体分子を点火するので、確実に点火が行われ、燃焼効率を向上させることができる。
【0015】
請求項2記載の発明は、上記課題を解決するため、請求項1記載の内燃機関用点火装置であって、前記補助接地電極が棒状に形成され、前記インダクタ部が前記補助接地電極の端部と前記電極基体との間に設けられた屈曲部であることを要旨とする内燃機関用点火装置である。
【0016】
つまり、インダクタ部の持つリアクタンスを適切な値に設定することが可能になり、補助放電の放電状態を変化させて、燃焼効率をさらに改善することが可能になる。
【0017】
請求項3記載の発明は、上記課題を解決するため、請求項1記載の内燃機関用点火装置であって、前記インダクタ部がらせん状に形成された、らせん状屈曲部であることを要旨とする内燃機関用点火装置である。
【0018】
つまり、インダクタ部の持つリアクタンスを適切な値に設定することが可能になり、補助放電の放電状態を変化させて、燃焼効率をさらに改善することが可能になる。
【0019】
請求項4記載の発明は、上記課題を解決するため、請求項1記載の内燃機関用点火装置であって、前記補助接地電極が前記主接地電極の端部に延設して設けられたことを要旨とする内燃機関用点火装置である。
【0020】
つまり、主接地電極の端部に補助接地電極を配設することで、製造時の電極部分の加工が容易になる。
【0021】
請求項5記載の発明は、上記課題を解決するため、請求項1〜4のいずれか1項記載の内燃機関用点火装置であって、前記補助接地電極と前記中心電極との間隔が、前記主接地電極と前記中心電極との間隔よりも狭いことを要旨とする内燃機関用点火装置である。
【0022】
つまり、補助接地電極と中心電極との間隔が、主接地電極と中心電極との間隔よりも狭いことで、より確実に補助放電を主放電よりも先に行うことができる。
【0023】
請求項6記載の発明は、上記課題を解決するため、請求項1〜5のいずれか1項記載の内燃機関用点火装置であって、1つの前記中心電極に対して、前記接地電極は1つの前記主接地電極と、複数の前記補助接地電極とに分岐していることを要旨とする内燃機関用点火装置である。
【0024】
つまり、1つの主接地電極に対し、複数の補助接地電極を備えることで、混合ガス分子の励起状態をさらに高めることができる。
【0025】
請求項7記載の発明は、上記課題を解決するため、請求項1〜6のいずれか1項記載の内燃機関用点火装置であって、複数組の対向する前記接地電極と前記中心電極とを備えたことを要旨とする内燃機関用点火装置である。
【0026】
つまり、複数組の電極を備えることで、大きな燃焼室を持つ内燃機関についても、補助放電によって混合ガスを励起状態にし、主放電で全て燃焼させることができる。
【0027】
請求項8記載の発明は、燃料と空気を燃焼室に充填する工程と、中心電極に高電圧パルスを送電する工程と、流れる電流の変化量に応じて逆起電力が生じるインダクタ部を有する補助接地電極と前記中心電極との間で補助放電を行ない前記燃焼室内の燃料と空気の混合ガスを励起させる工程と、主接地電極と前記中心電極との間で主放電を行ない前記混合ガスに点火する工程とからなることを要旨とする燃料室内に充填された燃料への点火方法である。
【0028】
つまり、補助放電によって混合ガス分子を励起し、主放電によって励起した混合ガスを点火することができるので、確実に点火が行われ、燃焼効率を向上させることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0030】
図1〜4に本発明に係る内燃機関用点火装置1を点火プラグに適用した場合の第1〜4実施形態について電極部分を示す構成図で、図5は第1実施形態を適用した点火プラグにイグニッションコイル(不図示)の二次電圧を印加した場合に、中心電極10と接地電極20との電極間にかかる電圧と電極間に流れる放電電流の時間変化を示した図で、図6は、本発明に係る内燃機関用点火装置の第1実施形態を備えた燃焼室を示す構成図である。
【0031】
図1に示される第1実施形態の点火プラグに配設された接地電極20は、円筒形状に形成され、点火プラグ本体に配設された接地電極基体27と、接地電極基体27に突設された主接地電極21と、接地電極基体27に突設された補助接地電極30とからなる。ねじ部28を持つ接地電極基体27が導電性の燃焼室の壁面に設けられた孔にねじ込まれることで電気的に接地しながら、点火プラグを固定している。
【0032】
主接地電極21は、接地電極基体27と突設部22を通じて一体に形成され、さらに突設部22から延びる直線部24の先端に位置する端部25が、後述する中心電極10の端部11の端面12との間隔がD1になるように、突設部22と直線部24との間に設けられた屈曲部23の曲率と直線部24の長さが決められている。
【0033】
補助接地電極30は、突設部31を通じて一体に形成され、さらに突設部31から延びるインダクタ部32の先端に位置する端部36が、後述する中心電極10の端部11の端面12との間隔がD2になるように、インダクタ部32に設けられた屈曲部33、35の曲率と、屈曲部33、35の間に位置する直線部34の長さが決められている。
【0034】
なお、主接地電極21の端面26と補助接地電極30の端面37とが近接配置され、中心電極10と主接地電極21との間隔D1と、中心電極10と補助接地電極30との間隔D2とについて、間隔D2が間隔D1よりも狭くなるように、主接地電極21と補助接地電極30とが配設されている。
【0035】
中心電極10は、円筒形状の接地電極基体27のほぼ中心軸上に配設され、一方の端部11は、主接地電極21の端部25、および補助接地電極30の端部36とに近接配置されている。中心電極10の他方の端部(不図示)には、ターミナル(不図示)を通じて、イグニッションコイルから二次電圧が印加される。
【0036】
また、補助接地電極30について、補助接地電極30の端部36と突設部31との間には、インダクタとして機能を発揮するように、突設部31と直線部35が平行に折り重なるように屈曲部33、35で折り曲げられたインダクタ部32を備えており、補助接地電極30の内部を電流が流れる際に生じる磁束を打ち消すように逆起電力が発生し、リアクタンスが生じる。
【0037】
なお、円筒状に形成された接地電極基体27と、接地電極基体27のほぼ中心軸上に配設された中心電極10とは電気的に絶縁されている。
【0038】
図5(a)は、第1実施形態の点火プラグにイグニッションコイルの二次電圧を印加した場合に、中心電極10と接地電極20との電極間にかかる電圧と電極間に流れる放電電流との時間変化を示し、図5(b)は、補助接地電極30備えていない従来の点火プラグに二次電圧を印加した場合に、中心電極10と接地電極20との電極間にかかる電圧と電極間に流れる放電電流の時間変化を示している。
【0039】
図5(b)では、中心電極に印加された電圧が点火プラグの放電開始電圧に電極間電圧が達すると、中心電極と接地電極との間に放電電流が流れ始め、電極間電圧の低下と共に放電電流が増加、減少していくことが示されている。なお、この従来の点火プラグは、電極間の混合ガスの揺らぎ、あるいは不純物粒子の存在などにより、実際の放電開始電圧が大きく左右されるため、放電火花の大きさ、および放電時間がまちまちになり、燃料の点火性と、燃焼状態、および燃焼効率に大きな影響を与えている。特に、内燃機関の起動直後などは、燃焼室が冷えているために、燃焼が安定しないため、放電火花の大きさ、および放電時間の影響が顕著に現れる。
【0040】
放電火花の大きさ、および放電時間がまちまちになると、励起される混合ガスの気体分子の数が安定しないため、燃焼速度が遅くなり、燃焼効率が悪化し、失火を引き起こしたり、不完全燃焼による燃料消費率の悪化と、エンジン出力の低下、および排気ガス中の炭化水素化合物の増加をもたらしてしまう。
【0041】
図5(a)では、イグニッションコイルの二次電圧が点火プラグのターミナルに印加されると、対向する中心電極10と、接地電極20との間に二次電圧がかかる。回路を流れる電流が角振動数ωで変化した場合、リアクタンスLを持つインダクタ部32に生じるインピーダンスZは下記式(1)で表される。
【0042】
Z=iωL (i:虚数単位) ・・・ (1)
中心電極10と補助接地電極30との間とで放電が開始されると、(1)式から算出されるインピーダンスZによって、二次電圧の大半が補助接地電極30に分配される。その結果、中心電極10と補助接地電極30間の放電はその間隙部分に分配される二次電圧の割合が急速に減少するため短時間で終了する。これにより、補助接地電極30と中心電極10との電極間での放電は燃焼室内の混合ガスを点火するまでには至らないが、混合ガスの気体分子を励起するには十分な放電エネルギーを放出する。
【0043】
主接地電極21はインダクタ部を持たないため、リアクタンスが低く、そのインピーダンスによる二次電圧の分配比率が小さい。その結果、主接地電極21と中心電極との電極間での放電は二次電圧が十分に小さくなるまで継続される。つまり、放電時間が長くなることに加え、励起されている混合ガス分子に点火することで、燃焼状態が安定し、燃焼効率も向上する。
【0044】
これにより、失火の防止、燃料消費率の向上、エンジン出力の向上、排ガス中の炭化水素化合物の低減などの効果が得られる。
【0045】
図2に示される第2実施形態と図1に示される第1実施形態との大きな違いは、補助接地電極に設けられたインダクタ部の形状が異なる点である。
【0046】
第2実施形態の点火プラグは、補助接地電極40の屈曲部を43、45、46の3つに増やすことで、折り返しを2重から3重にし、インダクタ部42の持つリアクタンスをより適切な値に設定することができるため、燃焼効率を更に改善することが可能になる。
【0047】
なお、補助接地電極30の屈曲部45と中心電極10との間隔D3は、補助接地電極30の端部と中心電極10との間隔D2よりも大きいため、屈曲部43と中心電極10との間で放電火花が生じることはない。
【0048】
図3に示される第3実施形態と図1に示される第1実施形態との大きな違いも第2実施形態と同様に、補助接地電極に設けられたインダクタ部の形状が異なる点である。
【0049】
第3実施形態の点火プラグは、補助接地電極50のインダクタ部52をコイル形状とすることで、インダクタ部52を小型化しつつ、インダクタ部52の持つリアクタンスをより適切な値に設定できるため、燃焼効率をさらに改善することが可能になる。
【0050】
図4に示される第4実施形態と図1に示される第1実施形態との大きな違いは補助接地電極60が主接地電極21の端部に、連結部61を通じて配設されている点である。補助接地電極60を主接地電極21の端部に配設することで、製造時の電極部分の加工を容易にしつつ、インダクタ部62の持つリアクタンスをより適切な値に設定することが可能になる。
【0051】
なお、本実施形態によれば、放電領域周辺の混合ガスの流動性が高く、特に低負荷運転状態や、希薄燃焼方式のエンジンでも、放電領域での燃料混合気濃度を高く保つことができるために、点火効率を向上させることが可能になる。
【0052】
図6は、本発明に係る内燃機関用点火装置の第1実施形態を備えた4サイクルエンジンの燃焼室を示す構成図である。71はシリンダブロック、72はピストン、73はシリンダヘッド、74はこれらシリンダブロック71、ピストン、シリンダヘッド73により形成された燃焼室74である。
【0053】
シリンダヘッド73には吸気ポート75を開閉する吸気バルブ76と、排気ポート77を開閉する排気バルブ78とを配設してある。
【0054】
吸気ポート75の内部にガソリン燃料を噴射する燃料噴射弁79を配設してあると共に、燃焼室74の中心位置に図1に示される電極構造を備えた点火プラグ80を配設してある。
【0055】
吸気行程では、ピストン72が下に移動し、吸気バルブ76が開き、吸気ポート75を通じて空気が燃焼室74の内部に充填される。このとき、同時に燃料噴射弁79から規定量の燃料が噴射されて、燃焼室74には空気と燃料との混合ガスが充填される。
【0056】
燃焼室74内部に混合ガスが充填されると、吸気バルブ76が閉じ、ピストン72が上に移動を始め、圧縮行程に入る。
【0057】
ピストン72が上死点付近になると、イグニッションコイル(不図示)の二次電圧が点火プラグ80に印加され、中心電極10と接地電極20との間で放電が開始する。
【0058】
中心電極10と接地電極20との間で放電が開始されると、補助接地電極30に備えられたインダクタ部32のインピーダンスZによって、二次電圧の大半が補助接地電極30に分配される。その結果、中心電極10と補助接地電極30間の放電は、その間隙部分に分配される二次電圧の割合が急速に減少するため短時間で終了する。これにより、燃焼室内の混合ガスの分子を励起する。
【0059】
主接地電極21はインダクタ部を持たないため、リアクタンスが低く、そのインピーダンスによる二次電圧の分配比率が小さい。その結果、主接地電極21と中心電極との電極間での放電は二次電圧が十分に小さくなるまでの時間継続する。放電時間が長くなることに加え、励起されている混合ガス分子に点火することで、燃焼状態が安定し、燃焼効率も向上する。
【0060】
これにより、失火の防止、燃料消費率の向上、エンジン出力の向上、排ガス中の炭化水素化合物の低減などの効果が得られる。
【0061】
さらに、本発明は点火プラグの電極部に配設することが可能なため、新規に開発される内燃機関だけでなく、すでに市場に流通している内燃機関にも点火プラグを交換することで適用が可能なため、極めて汎用性が高い内燃機関用点火装置である。
【0062】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するものではない。したがって、上記の実施形態に示された各要素は、本発明の技術範囲に属する全ての設計上の選択事項をも含む趣旨である。
【0063】
たとえば、第4実施形態では、電極を折り返すことでインダクタ部を設けているが、コイル形状をしていても構わない。
【0064】
また、図6では4サイクルエンジンに使用される点火プラグに本発明を適用した場合を示したが、2サイクルエンジンに使用される点火プラグに本発明を適用しても同様の効果が得られる。
【0065】
つまり、補助接地電極がインダクタの機能を備えることで、高電圧パルスを電極に印加して、補助接地電極で補助放電が行われた際に、補助接地電極に逆起電力を生じさせて、補助放電を短時間で終了させることで燃焼室内の混合ガスの気体分子を励起し、さらに主接地電極による主放電によって、励起された混合ガスの気体分子を点火することができるように装置が設計されているか、または高電圧パルスを電極に印加して、補助接地電極で補助放電が行われた際に、補助接地電極に逆起電力を生じさせて、補助放電を短時間で終了させることで燃焼室内の混合ガスの気体分子を励起し、さらに主接地電極による主放電によって、励起された混合ガスの気体分子を点火する点火方法を備えていれば、上記実施形態に何ら限定されるものではない。
【0066】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、補助接地電極にインダクタの機能を備えることで、高電圧パルスを電極に印加して、補助接地電極で補助放電を行わせると、補助接地電極のインダクタ部に逆起電力が生じるため、補助放電は短時間で終了する。これでは、燃焼室内の混合ガスを点火するまでには至らないが、混合ガスの気体分子を励起することができる。これにより、主接地電極による主放電は、励起した混合ガスの気体分子を点火するので、確実に点火が行われ、燃焼効率が向上し、失火の防止、燃料消費率の向上、エンジン出力の向上、排ガス中の炭化水素化合物の低減などの効果を奏する。
【0067】
また、本発明は点火プラグの電極部の加工のみで配設が可能なために、製造が容易で、新規に開発される内燃機関だけでなく、すでに市場に流通している内燃機関にも使用中の点火プラグを本発明を具備した点火プラグに交換するだけで効果が得られるという高い汎用性を備えている。
【0068】
さらに長期間に及ぶ使用による経年劣化などによって行われる交換修理などの作業、およびインダクタ部の調整は、点火プラグを交換するだけで行えるため、交換修理の作業性にも優れ、作業コストが安く済むという効果を奏する。
【0069】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、インダクタ部の折り返しを増やすことで、インダクタ部の持つリアクタンスを適切な値に設定することが可能になり、燃焼効率をさらに改善することが可能になるという効果を奏する。
【0070】
請求項3記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、インダクタ部の形状をらせん形状とすることで、インダクタ部の持つリアクタンスを適切な値に設定することが可能になり、燃焼効率を更に改善することが可能になるという効果を奏する。
【0071】
請求項4記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、補助接地電極が主接地電極の端部に延設されていることで、インダクタ部の持つリアクタンスを適切な値に設定することが可能になり、燃焼効率をさらに改善することが可能になるという効果と、製造時の加工が容易になるという効果をを奏する。
【0072】
請求項5記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、補助接地電極と中心電極との間隔が、主接地電極と中心電極との間隔よりも狭いことで、より確実に補助放電を主放電よりも先に行うことができるという効果を奏する。
【0073】
請求項6記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、1つの主接地電極に対し、複数の補助接地電極を備えることで、補助放電による混合ガス分子の励起状態をさらに高めることができるという効果を奏する。
【0074】
請求項7記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、複数組の電極を備えることで、大きな燃焼室を持つ内燃機関についても、補助放電によって混合ガスを励起状態にし、主放電で混合ガスを完全燃焼させることができるという効果を奏する。
【0075】
請求項8記載の発明によれば、補助放電によって混合ガス分子を励起し、主放電によって励起した混合ガスを点火することができるので、確実に点火が行われ、燃焼効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃機関用点火装置を点火プラグに適用した場合の第1実施形態について電極部分を示す構成図である。
【図2】本発明に係る内燃機関用点火装置を点火プラグに適用した場合の第2実施形態について電極部分を示す構成図である。
【図3】本発明に係る内燃機関用点火装置を点火プラグに適用した場合の第3実施形態について電極部分を示す構成図である。
【図4】本発明に係る内燃機関用点火装置を点火プラグに適用した場合の第4実施形態について電極部分を示す構成図である。
【図5】(a)は、本発明にかかる第1実施形態を適用した点火プラグにイグニッションコイルの二次電圧を印加した場合に、中心電極と接地電極との電極間にかかる電圧と電極間に流れる放電電流の時間変化を示した図で、(b)は、補助接地電極を備えていない従来から使用されている点火プラグにイグニッションコイルの二次電圧を印加した場合に、中心電極と接地電極との電極間にかかる電圧と電極間に流れる放電電流の時間変化を示した図である。
【図6】本発明に係る内燃機関用点火装置の第1実施形態を備えた燃焼室を示す構成図である。
【符号の説明】
10 中心電極
20 接地電極
21 主接地電極
25 主接地電極の端部
27 電極基体
30 補助接地電極
32 インダクタ部
36 補助接地電極の端部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガソリンなどの燃料と空気との混合ガスを放電火花によって点火し、燃焼圧力を動力に変換する内燃機関の点火装置および燃料室内に充填された燃料への点火方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関における空気と燃料との混合ガスに点火する手段として、2つの電極間に高電圧パルスを印加し、発生した放電火花によって混合ガスに点火するものが多く用いられている。
【0003】
この点火に用いられる放電火花の放電時間、および放電火花の大きさが十分な場合は、放電開始直後に、混合ガスの気体分子が放電によって励起され、イオン化した混合ガスの気体分子が、放電による電界によって加速されながら、他の混合ガスの気体分子と衝突し、さらに複数のイオン化分子を生成するため、イオン化分子が指数関数的に増加していく。このように混合ガスの気体分子がイオン化することで、点火後の燃焼速度が速まり、燃焼効率が向上する。
【0004】
ところが、この点火方法には、2つの電極間の気流の揺らぎ、あるいは不純物粒子の存在などによって放電開始電圧が大きく左右されるという特徴があるため、放電火花の大きさ、および放電時間がまちまちになり、燃料の点火性と、燃焼状態、および燃焼効率に大きな影響を与えている。特に、起動直後などは、内燃機関が冷えているために、燃焼が安定しないため、放電火花の大きさ、および放電時間の影響が顕著に現れる。
【0005】
放電火花の大きさ、および放電時間がまちまちになると、励起される混合ガスの気体分子の数が安定しないため、燃焼速度が遅くなり、燃焼効率が悪化し、失火を引き起こしたり、不完全燃焼による燃料消費率の悪化と、エンジン出力の低下、および排気ガス中の炭化水素化合物の増加をもたらす。
【0006】
特に、低負荷運転状態、および希薄燃焼方式の車両用エンジンでは、出力低下が顕著に現れるため、従来から燃焼室内の燃焼状態を改善するために、さまざまな点火装置が検討されてきた。
【0007】
燃料の点火性を向上させる内燃機関用点火装置として、主に多点点火式と連続点火式の火花点火装置があげられ、多点点火式の火花点火装置の1つに、特開2001−82306号公報で提案されているものがある。また、連続点火式の点火装置の1つに、特開2001−50147号公報で提案されているものがある。
【0008】
特開2001−82306号公報で提案されている多点点火式の点火装置は、ピストンまたは燃焼室壁面の一部に絶縁部材であるセラミック材を備え、このセラミック材に複数の電極を配設することで点火点を増やし、混合ガスに点火する装置である。
【0009】
また、特開2001−50147号公報で提案されている連続点火式の点火システムは、点火制御信号によって点火コイルに送電される一次電流の通電と遮断とを繰り返し制御して、点火プラグに複数回の放電を行わせる点火システムである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記多点点火式の火花点火装置は、燃焼室、およびピストンの加工が複雑、かつ困難なため、適用できる内燃機関が限定され、さらに長期間にわたる内燃機関の運用により、電極が経年劣化した場合には、ピストンおよび燃焼室の交換が必要となるため、交換および修理の作業性が悪く、作業コストが高くなるという問題があった。
【0011】
また、前記連続点火式の点火システムは、点火制御用回路が必要なため、点火システムが複雑になり、交換および修理の際には点火制御用回路ごと交換するなど作業コストが高くなるという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、製造が容易で、交換修理の作業性にも優れ、作業コストが安くすむ内燃機関用点火装置および燃料室内に充填された燃料への点火方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上記課題を解決するため、内燃機関に用いられて、電気的に接地する接地電極と、高電圧パルスが印加される中心電極とを備え、前記接地電極の端部と前記中心電極の端部とを近接配置し、前記接地電極の前記端部と前記中心電極の前記端部との間で放電火花を発生させ、燃料と空気の混合ガスに点火する内燃機関用点火装置であって、前記接地電極は主接地電極と補助接地電極とに分岐し、前記主接地電極の端部と前記補助接地電極の端部とはそれぞれが前記中心電極の前記端部に近接配置し、流れる電流の変化量に応じて逆起電力が生じるインダクタ部を前記補助接地電極が前記接地電極から分岐する部分と、前記補助接地電極の端部との間に一体に備えたことを要旨とする内燃機関用点火装置である。
【0014】
つまり、補助接地電極にインダクタの機能を備えることで、高電圧パルスを電極に印加して、補助接地電極で補助放電を行わせた際に、補助接地電極のインダクタ部に逆起電力が生じるため、補助放電は短時間で終了する。これでは、燃焼室内の混合ガスを点火するまでには至らないが、混合ガスの気体分子を励起することができる。なお、主接地電極による主放電は、励起した混合ガスの気体分子を点火するので、確実に点火が行われ、燃焼効率を向上させることができる。
【0015】
請求項2記載の発明は、上記課題を解決するため、請求項1記載の内燃機関用点火装置であって、前記補助接地電極が棒状に形成され、前記インダクタ部が前記補助接地電極の端部と前記電極基体との間に設けられた屈曲部であることを要旨とする内燃機関用点火装置である。
【0016】
つまり、インダクタ部の持つリアクタンスを適切な値に設定することが可能になり、補助放電の放電状態を変化させて、燃焼効率をさらに改善することが可能になる。
【0017】
請求項3記載の発明は、上記課題を解決するため、請求項1記載の内燃機関用点火装置であって、前記インダクタ部がらせん状に形成された、らせん状屈曲部であることを要旨とする内燃機関用点火装置である。
【0018】
つまり、インダクタ部の持つリアクタンスを適切な値に設定することが可能になり、補助放電の放電状態を変化させて、燃焼効率をさらに改善することが可能になる。
【0019】
請求項4記載の発明は、上記課題を解決するため、請求項1記載の内燃機関用点火装置であって、前記補助接地電極が前記主接地電極の端部に延設して設けられたことを要旨とする内燃機関用点火装置である。
【0020】
つまり、主接地電極の端部に補助接地電極を配設することで、製造時の電極部分の加工が容易になる。
【0021】
請求項5記載の発明は、上記課題を解決するため、請求項1〜4のいずれか1項記載の内燃機関用点火装置であって、前記補助接地電極と前記中心電極との間隔が、前記主接地電極と前記中心電極との間隔よりも狭いことを要旨とする内燃機関用点火装置である。
【0022】
つまり、補助接地電極と中心電極との間隔が、主接地電極と中心電極との間隔よりも狭いことで、より確実に補助放電を主放電よりも先に行うことができる。
【0023】
請求項6記載の発明は、上記課題を解決するため、請求項1〜5のいずれか1項記載の内燃機関用点火装置であって、1つの前記中心電極に対して、前記接地電極は1つの前記主接地電極と、複数の前記補助接地電極とに分岐していることを要旨とする内燃機関用点火装置である。
【0024】
つまり、1つの主接地電極に対し、複数の補助接地電極を備えることで、混合ガス分子の励起状態をさらに高めることができる。
【0025】
請求項7記載の発明は、上記課題を解決するため、請求項1〜6のいずれか1項記載の内燃機関用点火装置であって、複数組の対向する前記接地電極と前記中心電極とを備えたことを要旨とする内燃機関用点火装置である。
【0026】
つまり、複数組の電極を備えることで、大きな燃焼室を持つ内燃機関についても、補助放電によって混合ガスを励起状態にし、主放電で全て燃焼させることができる。
【0027】
請求項8記載の発明は、燃料と空気を燃焼室に充填する工程と、中心電極に高電圧パルスを送電する工程と、流れる電流の変化量に応じて逆起電力が生じるインダクタ部を有する補助接地電極と前記中心電極との間で補助放電を行ない前記燃焼室内の燃料と空気の混合ガスを励起させる工程と、主接地電極と前記中心電極との間で主放電を行ない前記混合ガスに点火する工程とからなることを要旨とする燃料室内に充填された燃料への点火方法である。
【0028】
つまり、補助放電によって混合ガス分子を励起し、主放電によって励起した混合ガスを点火することができるので、確実に点火が行われ、燃焼効率を向上させることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0030】
図1〜4に本発明に係る内燃機関用点火装置1を点火プラグに適用した場合の第1〜4実施形態について電極部分を示す構成図で、図5は第1実施形態を適用した点火プラグにイグニッションコイル(不図示)の二次電圧を印加した場合に、中心電極10と接地電極20との電極間にかかる電圧と電極間に流れる放電電流の時間変化を示した図で、図6は、本発明に係る内燃機関用点火装置の第1実施形態を備えた燃焼室を示す構成図である。
【0031】
図1に示される第1実施形態の点火プラグに配設された接地電極20は、円筒形状に形成され、点火プラグ本体に配設された接地電極基体27と、接地電極基体27に突設された主接地電極21と、接地電極基体27に突設された補助接地電極30とからなる。ねじ部28を持つ接地電極基体27が導電性の燃焼室の壁面に設けられた孔にねじ込まれることで電気的に接地しながら、点火プラグを固定している。
【0032】
主接地電極21は、接地電極基体27と突設部22を通じて一体に形成され、さらに突設部22から延びる直線部24の先端に位置する端部25が、後述する中心電極10の端部11の端面12との間隔がD1になるように、突設部22と直線部24との間に設けられた屈曲部23の曲率と直線部24の長さが決められている。
【0033】
補助接地電極30は、突設部31を通じて一体に形成され、さらに突設部31から延びるインダクタ部32の先端に位置する端部36が、後述する中心電極10の端部11の端面12との間隔がD2になるように、インダクタ部32に設けられた屈曲部33、35の曲率と、屈曲部33、35の間に位置する直線部34の長さが決められている。
【0034】
なお、主接地電極21の端面26と補助接地電極30の端面37とが近接配置され、中心電極10と主接地電極21との間隔D1と、中心電極10と補助接地電極30との間隔D2とについて、間隔D2が間隔D1よりも狭くなるように、主接地電極21と補助接地電極30とが配設されている。
【0035】
中心電極10は、円筒形状の接地電極基体27のほぼ中心軸上に配設され、一方の端部11は、主接地電極21の端部25、および補助接地電極30の端部36とに近接配置されている。中心電極10の他方の端部(不図示)には、ターミナル(不図示)を通じて、イグニッションコイルから二次電圧が印加される。
【0036】
また、補助接地電極30について、補助接地電極30の端部36と突設部31との間には、インダクタとして機能を発揮するように、突設部31と直線部35が平行に折り重なるように屈曲部33、35で折り曲げられたインダクタ部32を備えており、補助接地電極30の内部を電流が流れる際に生じる磁束を打ち消すように逆起電力が発生し、リアクタンスが生じる。
【0037】
なお、円筒状に形成された接地電極基体27と、接地電極基体27のほぼ中心軸上に配設された中心電極10とは電気的に絶縁されている。
【0038】
図5(a)は、第1実施形態の点火プラグにイグニッションコイルの二次電圧を印加した場合に、中心電極10と接地電極20との電極間にかかる電圧と電極間に流れる放電電流との時間変化を示し、図5(b)は、補助接地電極30備えていない従来の点火プラグに二次電圧を印加した場合に、中心電極10と接地電極20との電極間にかかる電圧と電極間に流れる放電電流の時間変化を示している。
【0039】
図5(b)では、中心電極に印加された電圧が点火プラグの放電開始電圧に電極間電圧が達すると、中心電極と接地電極との間に放電電流が流れ始め、電極間電圧の低下と共に放電電流が増加、減少していくことが示されている。なお、この従来の点火プラグは、電極間の混合ガスの揺らぎ、あるいは不純物粒子の存在などにより、実際の放電開始電圧が大きく左右されるため、放電火花の大きさ、および放電時間がまちまちになり、燃料の点火性と、燃焼状態、および燃焼効率に大きな影響を与えている。特に、内燃機関の起動直後などは、燃焼室が冷えているために、燃焼が安定しないため、放電火花の大きさ、および放電時間の影響が顕著に現れる。
【0040】
放電火花の大きさ、および放電時間がまちまちになると、励起される混合ガスの気体分子の数が安定しないため、燃焼速度が遅くなり、燃焼効率が悪化し、失火を引き起こしたり、不完全燃焼による燃料消費率の悪化と、エンジン出力の低下、および排気ガス中の炭化水素化合物の増加をもたらしてしまう。
【0041】
図5(a)では、イグニッションコイルの二次電圧が点火プラグのターミナルに印加されると、対向する中心電極10と、接地電極20との間に二次電圧がかかる。回路を流れる電流が角振動数ωで変化した場合、リアクタンスLを持つインダクタ部32に生じるインピーダンスZは下記式(1)で表される。
【0042】
Z=iωL (i:虚数単位) ・・・ (1)
中心電極10と補助接地電極30との間とで放電が開始されると、(1)式から算出されるインピーダンスZによって、二次電圧の大半が補助接地電極30に分配される。その結果、中心電極10と補助接地電極30間の放電はその間隙部分に分配される二次電圧の割合が急速に減少するため短時間で終了する。これにより、補助接地電極30と中心電極10との電極間での放電は燃焼室内の混合ガスを点火するまでには至らないが、混合ガスの気体分子を励起するには十分な放電エネルギーを放出する。
【0043】
主接地電極21はインダクタ部を持たないため、リアクタンスが低く、そのインピーダンスによる二次電圧の分配比率が小さい。その結果、主接地電極21と中心電極との電極間での放電は二次電圧が十分に小さくなるまで継続される。つまり、放電時間が長くなることに加え、励起されている混合ガス分子に点火することで、燃焼状態が安定し、燃焼効率も向上する。
【0044】
これにより、失火の防止、燃料消費率の向上、エンジン出力の向上、排ガス中の炭化水素化合物の低減などの効果が得られる。
【0045】
図2に示される第2実施形態と図1に示される第1実施形態との大きな違いは、補助接地電極に設けられたインダクタ部の形状が異なる点である。
【0046】
第2実施形態の点火プラグは、補助接地電極40の屈曲部を43、45、46の3つに増やすことで、折り返しを2重から3重にし、インダクタ部42の持つリアクタンスをより適切な値に設定することができるため、燃焼効率を更に改善することが可能になる。
【0047】
なお、補助接地電極30の屈曲部45と中心電極10との間隔D3は、補助接地電極30の端部と中心電極10との間隔D2よりも大きいため、屈曲部43と中心電極10との間で放電火花が生じることはない。
【0048】
図3に示される第3実施形態と図1に示される第1実施形態との大きな違いも第2実施形態と同様に、補助接地電極に設けられたインダクタ部の形状が異なる点である。
【0049】
第3実施形態の点火プラグは、補助接地電極50のインダクタ部52をコイル形状とすることで、インダクタ部52を小型化しつつ、インダクタ部52の持つリアクタンスをより適切な値に設定できるため、燃焼効率をさらに改善することが可能になる。
【0050】
図4に示される第4実施形態と図1に示される第1実施形態との大きな違いは補助接地電極60が主接地電極21の端部に、連結部61を通じて配設されている点である。補助接地電極60を主接地電極21の端部に配設することで、製造時の電極部分の加工を容易にしつつ、インダクタ部62の持つリアクタンスをより適切な値に設定することが可能になる。
【0051】
なお、本実施形態によれば、放電領域周辺の混合ガスの流動性が高く、特に低負荷運転状態や、希薄燃焼方式のエンジンでも、放電領域での燃料混合気濃度を高く保つことができるために、点火効率を向上させることが可能になる。
【0052】
図6は、本発明に係る内燃機関用点火装置の第1実施形態を備えた4サイクルエンジンの燃焼室を示す構成図である。71はシリンダブロック、72はピストン、73はシリンダヘッド、74はこれらシリンダブロック71、ピストン、シリンダヘッド73により形成された燃焼室74である。
【0053】
シリンダヘッド73には吸気ポート75を開閉する吸気バルブ76と、排気ポート77を開閉する排気バルブ78とを配設してある。
【0054】
吸気ポート75の内部にガソリン燃料を噴射する燃料噴射弁79を配設してあると共に、燃焼室74の中心位置に図1に示される電極構造を備えた点火プラグ80を配設してある。
【0055】
吸気行程では、ピストン72が下に移動し、吸気バルブ76が開き、吸気ポート75を通じて空気が燃焼室74の内部に充填される。このとき、同時に燃料噴射弁79から規定量の燃料が噴射されて、燃焼室74には空気と燃料との混合ガスが充填される。
【0056】
燃焼室74内部に混合ガスが充填されると、吸気バルブ76が閉じ、ピストン72が上に移動を始め、圧縮行程に入る。
【0057】
ピストン72が上死点付近になると、イグニッションコイル(不図示)の二次電圧が点火プラグ80に印加され、中心電極10と接地電極20との間で放電が開始する。
【0058】
中心電極10と接地電極20との間で放電が開始されると、補助接地電極30に備えられたインダクタ部32のインピーダンスZによって、二次電圧の大半が補助接地電極30に分配される。その結果、中心電極10と補助接地電極30間の放電は、その間隙部分に分配される二次電圧の割合が急速に減少するため短時間で終了する。これにより、燃焼室内の混合ガスの分子を励起する。
【0059】
主接地電極21はインダクタ部を持たないため、リアクタンスが低く、そのインピーダンスによる二次電圧の分配比率が小さい。その結果、主接地電極21と中心電極との電極間での放電は二次電圧が十分に小さくなるまでの時間継続する。放電時間が長くなることに加え、励起されている混合ガス分子に点火することで、燃焼状態が安定し、燃焼効率も向上する。
【0060】
これにより、失火の防止、燃料消費率の向上、エンジン出力の向上、排ガス中の炭化水素化合物の低減などの効果が得られる。
【0061】
さらに、本発明は点火プラグの電極部に配設することが可能なため、新規に開発される内燃機関だけでなく、すでに市場に流通している内燃機関にも点火プラグを交換することで適用が可能なため、極めて汎用性が高い内燃機関用点火装置である。
【0062】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するものではない。したがって、上記の実施形態に示された各要素は、本発明の技術範囲に属する全ての設計上の選択事項をも含む趣旨である。
【0063】
たとえば、第4実施形態では、電極を折り返すことでインダクタ部を設けているが、コイル形状をしていても構わない。
【0064】
また、図6では4サイクルエンジンに使用される点火プラグに本発明を適用した場合を示したが、2サイクルエンジンに使用される点火プラグに本発明を適用しても同様の効果が得られる。
【0065】
つまり、補助接地電極がインダクタの機能を備えることで、高電圧パルスを電極に印加して、補助接地電極で補助放電が行われた際に、補助接地電極に逆起電力を生じさせて、補助放電を短時間で終了させることで燃焼室内の混合ガスの気体分子を励起し、さらに主接地電極による主放電によって、励起された混合ガスの気体分子を点火することができるように装置が設計されているか、または高電圧パルスを電極に印加して、補助接地電極で補助放電が行われた際に、補助接地電極に逆起電力を生じさせて、補助放電を短時間で終了させることで燃焼室内の混合ガスの気体分子を励起し、さらに主接地電極による主放電によって、励起された混合ガスの気体分子を点火する点火方法を備えていれば、上記実施形態に何ら限定されるものではない。
【0066】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、補助接地電極にインダクタの機能を備えることで、高電圧パルスを電極に印加して、補助接地電極で補助放電を行わせると、補助接地電極のインダクタ部に逆起電力が生じるため、補助放電は短時間で終了する。これでは、燃焼室内の混合ガスを点火するまでには至らないが、混合ガスの気体分子を励起することができる。これにより、主接地電極による主放電は、励起した混合ガスの気体分子を点火するので、確実に点火が行われ、燃焼効率が向上し、失火の防止、燃料消費率の向上、エンジン出力の向上、排ガス中の炭化水素化合物の低減などの効果を奏する。
【0067】
また、本発明は点火プラグの電極部の加工のみで配設が可能なために、製造が容易で、新規に開発される内燃機関だけでなく、すでに市場に流通している内燃機関にも使用中の点火プラグを本発明を具備した点火プラグに交換するだけで効果が得られるという高い汎用性を備えている。
【0068】
さらに長期間に及ぶ使用による経年劣化などによって行われる交換修理などの作業、およびインダクタ部の調整は、点火プラグを交換するだけで行えるため、交換修理の作業性にも優れ、作業コストが安く済むという効果を奏する。
【0069】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、インダクタ部の折り返しを増やすことで、インダクタ部の持つリアクタンスを適切な値に設定することが可能になり、燃焼効率をさらに改善することが可能になるという効果を奏する。
【0070】
請求項3記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、インダクタ部の形状をらせん形状とすることで、インダクタ部の持つリアクタンスを適切な値に設定することが可能になり、燃焼効率を更に改善することが可能になるという効果を奏する。
【0071】
請求項4記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、補助接地電極が主接地電極の端部に延設されていることで、インダクタ部の持つリアクタンスを適切な値に設定することが可能になり、燃焼効率をさらに改善することが可能になるという効果と、製造時の加工が容易になるという効果をを奏する。
【0072】
請求項5記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、補助接地電極と中心電極との間隔が、主接地電極と中心電極との間隔よりも狭いことで、より確実に補助放電を主放電よりも先に行うことができるという効果を奏する。
【0073】
請求項6記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、1つの主接地電極に対し、複数の補助接地電極を備えることで、補助放電による混合ガス分子の励起状態をさらに高めることができるという効果を奏する。
【0074】
請求項7記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、複数組の電極を備えることで、大きな燃焼室を持つ内燃機関についても、補助放電によって混合ガスを励起状態にし、主放電で混合ガスを完全燃焼させることができるという効果を奏する。
【0075】
請求項8記載の発明によれば、補助放電によって混合ガス分子を励起し、主放電によって励起した混合ガスを点火することができるので、確実に点火が行われ、燃焼効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃機関用点火装置を点火プラグに適用した場合の第1実施形態について電極部分を示す構成図である。
【図2】本発明に係る内燃機関用点火装置を点火プラグに適用した場合の第2実施形態について電極部分を示す構成図である。
【図3】本発明に係る内燃機関用点火装置を点火プラグに適用した場合の第3実施形態について電極部分を示す構成図である。
【図4】本発明に係る内燃機関用点火装置を点火プラグに適用した場合の第4実施形態について電極部分を示す構成図である。
【図5】(a)は、本発明にかかる第1実施形態を適用した点火プラグにイグニッションコイルの二次電圧を印加した場合に、中心電極と接地電極との電極間にかかる電圧と電極間に流れる放電電流の時間変化を示した図で、(b)は、補助接地電極を備えていない従来から使用されている点火プラグにイグニッションコイルの二次電圧を印加した場合に、中心電極と接地電極との電極間にかかる電圧と電極間に流れる放電電流の時間変化を示した図である。
【図6】本発明に係る内燃機関用点火装置の第1実施形態を備えた燃焼室を示す構成図である。
【符号の説明】
10 中心電極
20 接地電極
21 主接地電極
25 主接地電極の端部
27 電極基体
30 補助接地電極
32 インダクタ部
36 補助接地電極の端部
Claims (8)
- 内燃機関に用いられて、電気的に接地する接地電極と、高電圧パルスが印加される中心電極とを備え、前記接地電極の端部と前記中心電極の端部とを近接配置し、前記接地電極の前記端部と前記中心電極の前記端部との間で放電火花を発生させ、燃料と空気の混合ガスに点火する内燃機関用点火装置であって、
前記接地電極は主接地電極と補助接地電極とに分岐し、
前記主接地電極の端部と前記補助接地電極の端部とはそれぞれが前記中心電極の前記端部に近接配置し、
流れる電流の変化量に応じて逆起電力が生じるインダクタ部を、前記補助接地電極が前記接地電極から分岐する部分と、前記補助接地電極の端部との間に一体に備えたことを特徴とする内燃機関用点火装置。 - 請求項1記載の内燃機関用点火装置であって、前記補助接地電極が棒状に形成され、前記インダクタ部が前記補助接地電極の端部と前記電極基体との間に設けられた屈曲部であることを特徴とする内燃機関用点火装置。
- 請求項1記載の内燃機関用点火装置であって、前記インダクタ部がらせん状に形成された、らせん状屈曲部であることを特徴とする内燃機関用点火装置。
- 請求項1記載の内燃機関用点火装置であって、前記補助接地電極が前記主接地電極の端部に延設して設けられたことを特徴とする内燃機関用点火装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の内燃機関用点火装置であって、前記補助接地電極と前記中心電極との間隔が、前記主接地電極と前記中心電極との間隔よりも狭いことを特徴とする内燃機関用点火装置。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の内燃機関用点火装置であって、1つの前記中心電極に対して、前記接地電極は1つの前記主接地電極と、複数の前記補助接地電極とに分岐していることを特徴とする内燃機関用点火装置。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の内燃機関用点火装置であって、複数組の対向する前記接地電極と前記中心電極とを備えたことを特徴とする内燃機関用点火装置。
- 燃料と空気を燃焼室に充填する工程と、
中心電極に高電圧パルスを送電する工程と、
流れる電流の変化量に応じて逆起電力が生じるインダクタ部を有する補助接地電極と前記中心電極との間で補助放電を行ない、前記燃焼室内の燃料と空気の混合ガスを励起させる工程と、
主接地電極と前記中心電極との間で主放電を行ない、前記混合ガスに点火する工程とからなることを特徴とする燃料室内に充填された燃料への点火方法。
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