JP3842693B2 - 湿式排煙脱硫装置 - Google Patents
湿式排煙脱硫装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3842693B2 JP3842693B2 JP2002146554A JP2002146554A JP3842693B2 JP 3842693 B2 JP3842693 B2 JP 3842693B2 JP 2002146554 A JP2002146554 A JP 2002146554A JP 2002146554 A JP2002146554 A JP 2002146554A JP 3842693 B2 JP3842693 B2 JP 3842693B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- circulation tank
- liquid
- wall
- flue gas
- gas desulfurization
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Treating Waste Gases (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボイラなどの燃焼装置から排出される排ガス中の二酸化硫黄(SO2)を除去する湿式排煙脱硫装置に係わり、特に、循環タンクのコンパクト化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
火力発電所等において、化石燃料の燃焼に伴って発生する排煙中の硫黄酸化物は、大気汚染・酸性雨等の環境問題における主原因の一つである。排煙中の硫黄酸化物を取り除く脱硫システムは、石灰石−石膏法による湿式法が主流を占めており、中でも実績が多く信頼性の高いスプレ方式が世界的にも多く採用されている。このような湿式排煙脱硫装置は完成された技術とも考えられているが、燃料の多様化、排水量低減などに伴い、脱硫装置に対して厳しい運転条件が要求されている。一方、脱硫装置自体のコンパクト化も望まれており、脱硫装置には小型化と高性能化を同時に達成する高度な技術が必要となる。
【0003】
従来技術のスプレ方式を採用した湿式排煙脱硫装置の公知例として、脱硫装置を構成する吸収塔の側断面略図を図12に示す。この湿式排煙脱硫装置は、主に吸収塔本体1、入口ダクト2、出口ダクト3、吸収液循環ポンプ4、循環タンク6、攪拌機7、空気供給管8、ミストエリミネータ9、吸収液抜出し管10、循環配管11、スプレヘッダー12、スプレノズル13、吸込み配管14等から構成される。
【0004】
ボイラから排出される排ガスは、入口ダクト2から吸収塔本体1に導入され、塔頂部に設けられた出口ダクト3から排出される。吸収液循環ポンプ4から送られる炭酸カルシウムを含んだ吸収液5がスプレノズル13から噴射されており、吸収液5と排ガスの気液接触が行われる。このとき吸収液5は排ガス中のSO2を吸収し、Ca(HSO3)2を生成する。循環タンク6に落下した吸収液5は、循環タンク内を下降し、循環ポンプ4に吸込まれて再びスプレノズル13から噴射される。この間に、酸化用攪拌機7によって攪拌されながら、空気供給管8から供給される空気15中の酸素により吸収液中のCa(HSO3)2が酸化され、硫酸カルシウム(石膏)が生成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、循環タンク6内におけるCa(HSO3)2の酸化に必要な液の滞留時間及び酸化効率に関して、十分な対策がとられていない。亜硫酸を十分に酸化して、高い脱硫性能を得るためには長時間の滞留時間を確保する必要があり、循環タンク6は大容量としなくてはならなかった。また、循環タンク6に落下する液滴が泡沫層16(図12)を生じさせ、この泡沫層16からの気泡が循環ポンプ4に吸い込まれて、液循環量を減少させる問題があった。
【0006】
本発明の課題は、コンパクトな循環タンクで、かつ液の滞留時間の確保と酸化効率の向上、気泡の吸い込み防止が可能な湿式排煙脱硫装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、次の構成により解決される。
【0008】
すなわち、吸収液を貯留する循環タンクの上側に、ボイラなどの燃焼装置から排出される排ガスを入口ダクトから導入し、出口ダクトから排出する排ガス流路を有し、循環タンクから抜き出した吸収液を前記ガス流路内に設けられるガス吸収部で噴霧して排ガスと気液接触させることにより、排ガス中の硫黄酸化物を処理する吸収塔を備えた湿式排煙脱硫装置において、循環タンク内壁の周囲全体に、中央部に開口を有し、全体が循環タンクに落下する吸収液滴により液面近傍に形成される気泡を含む泡沫層より下方の吸収液中に浸漬している鍔状の邪魔板を設置した湿式排煙脱硫装置である。
【0010】
前記邪魔板は、循環タンク内壁近傍を流下する液の流れ方向が循環タンク中心部に向かうように配置することができる。
【0011】
また、邪魔板は、循環タンク底部に向けて傾斜させ、循環タンク内壁面に設けること、多孔板とすること、その循環タンク内壁側壁面の接合部分を曲面にしたこと、循環タンク垂直壁面に少なくとも2段以上設置することなどの構成を採用することができる。
【0012】
また、邪魔板上に鉛直方向に壁面を有するガイドベーンを設けること、さらにガイドベーンを循環タンクの中心軸を通る平面に対して0度を超え、かつ90度以下の傾斜角度で循環タンク側壁と交わる壁面を有するように配置することができる。
【0013】
また、本発明の前記邪魔板は、循環タンク液深の1/2〜7/8の位置に設置し、該邪魔板の幅は循環タンクの径の1/20〜1/4とすることが望ましい。
【0014】
【作用】
図12に示す従来技術において、循環タンク6の液面に落下した吸収液は循環タンク6内を下降し、循環ポンプ4に吸込まれるまでの間に、空気供給管8から供給される酸化空気15により酸化されて硫酸カルシウムとなる。
【0015】
図13は、循環タンク6内の液と気泡の流動シミュレーションの結果から、酸化空気供給管8から供給される空気気泡軌跡を表した図である。従来、循環タンク6内に供給された空気15は、攪拌機7から吐出する液流れに同伴して循環タンク6内に均一に分散されると考えられていた。しかしながら、その多くが攪拌機7による吐出流により循環タンク6の中心部に集まっていることが明らかとなった。中心部に集まった気泡は上昇し始めるが、気泡上昇に伴い液も循環タンク6の中心部において上方に向かう上昇流となる。一方、循環タンク6の液面には、スプレノズル13から噴出した吸収液が落下し続けている。
【0016】
図14は、循環タンク6の液面に落下した吸収液の流線の一部を示す。
循環タンク6の中心部付近に落下した吸収液は、該上昇流によって循環タンク6の中心部に落下できず、液面に沿って水平方向に流れ、循環タンク6の内壁に衝突して、次に下降流となっていることが分かる。この下降流は内壁近傍のごく狭い領域に液が集中するため高流速となり、かつ、図15に示すように循環タンク6内の周囲全体に発生する。循環タンク内壁近傍の液は該下降流によって十分な滞留時間を得ないまま循環ポンプ4に吸い込まれ、亜硫酸の酸化が不十分となる。さらに、図13に示したように循環タンク6の中心部においては気泡15が多く存在するため、液中の溶存酸素濃度は高く、逆に循環タンク内壁近傍においては低濃度となる。溶存酸素濃度が低い循環タンク内壁近傍を吸収液は短時間で通過するため、酸化不十分は顕著なものとなる。また、下降流に同伴して、液面近傍の泡沫層16が循環ポンプ4に吸い込まれるため、目標とする吸収液の循環量が得られず脱硫性能が低下するという問題が発生する。
【0017】
このような問題に対し、本発明では、例えば図1に示す循環タンク6の内壁の周方向全体に液の下降流速を減少させる機能を有する手段を設けることに特徴がある。下降流速を減少させる機能を有する手段としては、循環タンク6の内壁に邪魔板17を設置する。このような邪魔板17によって、内壁近傍の液下降流速を減少させることができ、滞留時間の確保と泡沫層(気泡)16の吸収液循環ポンプ4による吸い込みが防止できる。さらに、邪魔板17によって、循環タンク6の内壁近傍の液が循環タンク6の中央部へと流れ込むため、溶存酸素濃度の高い液との混合が促進され、酸化効率が向上する。
【0018】
循環タンク内壁に設置した邪魔板が水平方向に対して循環タンクの底面に向かって傾斜した角度で設置されていると吸収液中の石膏が邪魔板上で堆積することを防止できる。また、邪魔板を多孔板とすることによって、高スラリー濃度の吸収液においても石膏の堆積を防止できる。
【0019】
循環タンク内壁に側壁高さ方向に少なくとも2段の邪魔板を設置すると、循環タンクの内壁近傍の吸収液の高速下降流をより確実に防止でき、液滞留時間を確保できる。また、その多段邪魔板を、循環タンクの底面に向かって傾斜をつけると邪魔板上で石膏が堆積しにくくなる。
【0020】
邪魔板の循環タンク6の内壁面との接合部分を曲面にすることにより、循環タンク6の液面から降下してきた吸収液を淀み無く循環タンクの中心部へと流すことが可能となり、邪魔板上の石膏が堆積するのを防止できる。
【0021】
また、邪魔板上に鉛直方向に壁面を有するガイドベーンを1以上設けると、循環タンクの中心部へと向かう液流れを整流し、より効率的な液混合が可能となる。また、ガイドベーンは邪魔板の補強にも成る。さらにガイドベーンを循環タンクの中心軸を通る平面に対して0度を超え、かつ90度以下の傾斜角度で循環タンク側壁と交わる壁面を有するように配置することで、水平方向に対して旋回流となっている循環タンク内の液流れの方向と同一方向にガイドベーンで落下吸収液を誘導できるので効率的な液混合が可能となる。
【0022】
また、本発明の邪魔板を循環タンク6の液深の1/2から7/8の範囲の位置に設置することが、吸収液の滞留時間の確保および液混合促進効率が良くなるので望ましい。また、邪魔板の幅を循環タンク径の1/20〜1/4とすることで、循環タンク内壁近傍の高速下降流を抑制することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0024】
図1に示す本実施の形態では、図12に示す排煙脱硫装置と同一符号の部材は同一番号を付してその説明は省略する。
【0025】
図1は本実施の形態の循環タンク6の内壁の周方向全体にリング状の邪魔板17を設置した吸収塔の側面を表した図であり、図2は循環タンク6内の液流れを従来技術(図2(a))と本発明(図2(b))で比較した図である。図3は、本発明を適用した循環タンク6に落下する吸収液の流線を示した図である。図4は、循環タンク6に落下する液中の亜硫酸が循環ポンプ4に吸い込まれるまでに完全酸化されるのに必要な循環タンク容量、供給空気量を、従来技術の場合を1として、本発明を適用した循環タンク6と比較した図である。
【0026】
図1に示す装置では、循環タンク6の内壁の周方向全体にリング状の邪魔板17を設置した点で従来技術と異なる。スプレノズル13から噴射された吸収液5は、吸収塔内で排ガス中のSO2を吸収し、Ca(HSO3)2が生成され、循環タンク6に落下する。循環タンク6の液面に落下した吸収液は循環タンク6内を下降し循環ポンプ4に吸込まれるまでの間に、空気供給管8から供給される酸化空気15により酸化され硫酸カルシウムとなる。循環タンク6内に供給された空気15は、攪拌機7から吐出する液流れに同伴して循環タンク6内に分散されるが、その多くが循環タンク6中心部に集まる。中心部に集まった気泡は上昇し始めるが、気泡上昇に伴い液も循環タンク6中心部において上方に向かう上昇流となる。一方、吸収塔内でSO2を吸収し亜硫酸Ca(HSO3)2が生成された液滴は、液面全体に常に落下し続けている。落下した吸収液は、循環タンク6内を下降し始めるが、その流れは気泡上昇によって発生した上昇流の影響を強く受ける。
【0027】
図2(a)の従来技術に示した循環タンク6では、循環タンク6の液面に落下した液滴は気泡によって生じた上昇流によって下降できず、液面に沿って水平方向に流れ、循環タンク6の内壁に衝突し、下降流となる。循環タンク6内壁近傍では、多量の吸収液が流れ込み、高速の下降流が発生する。
【0028】
循環タンク6内壁近傍に生じた高速下降流は、以下のような問題を起こす。まず、循環タンク6内壁近傍の吸収液の大部分は、循環タンク6液面に落下した亜硫酸濃度の高い液で、かつ短時間で循環タンク6の底面まで下降する。このため、酸化に十分な液滞留時間が得られず、循環ポンプ4に吸い込まれるまでに亜硫酸が完全に酸化されない問題が発生する。また、循環タンク6の中央部においては気泡が多く存在するため液中の溶存酸素濃度は高く、逆に循環タンク6内壁近傍においては低濃度となる。循環タンク6液面に落下した吸収液が流れこむ循環タンク6内壁近傍には、酸化に十分な酸素も無く、亜硫酸の酸化不十分がさらに顕著なものとなる。さらに、高速下降流は液面付近に存在する泡沫層16を同伴して下降するため、泡沫層16がそのまま循環ポンプ4に吸い込まれる。循環ポンプ4に吸い込まれた泡沫(気泡)は液循環量を減少させるだけでなく、気泡混入量が極端に多い場合には循環ポンプ4を破損させる。
【0029】
図2(b)に示す従来技術の比較で示す本発明の実施の形態では、循環タンク6内壁の周方向全体にわたってリング状の邪魔板17が設置してある。気泡が循環タンク6の中心部に集まり上昇流が発生するのは従来技術とほぼ同じである。しかし、吸収液が循環タンク6の内壁に衝突し、下降し始めると、邪魔板17によって下方に向かう流れは、一旦、方向を転換され、従来技術で見られた循環タンク6の内壁近傍の高速下降流は発生しない。
【0030】
図3は、本発明を適用した循環タンク6に落下する吸収液の流動シミュレーションから得た流線図である。図2の本発明で示したように、循環タンク6の液面に落下した吸収液が循環タンク6中心部へと方向を転換させられていることがわかる。このため、まず、吸収液の液滞留時間が十分に確保できることから、亜硫酸の酸化が十分に行われる。また、液面近傍の泡沫層16が下降流に同伴して循環ポンプ4に吸い込まれることも防止できる。さらに、邪魔板17によって方向転換させられた液は、循環タンク6の中心部へと流れ込む。循環タンク6の中心部では、気泡が多く存在し、液中の溶存酸素濃度が高い。高亜硫酸濃度である壁近傍を流れる吸収液と溶存酸素濃度が高い循環タンク6の中心部の吸収液の混合が促進されるので、亜硫酸の酸化がより完全なものとなる。
【0031】
リング状の邪魔板17の設置位置は、液面近傍であるほうが吸収液の滞留時間の確保および液混合促進の点から効率が良いため、循環タンク6の液深の1/2から7/8の範囲の位置に設置することが望ましい。また、邪魔板17の幅は、循環タンク6内壁近傍の高速下降流を抑制しなければならないことから、循環タンク6径の1/20〜1/4とすることが望ましい。このように、循環タンク6内壁の周方向全体にわたってリング状の邪魔板17を設置することにより、液の滞留時間の確保と泡沫層16の循環ポンプ4への吸い込み、および亜硫酸の酸化効率の向上が同時に達成できる。したがって、コンパクト化が可能となり、かつ亜硫酸の高効率酸化が可能となる。
【0032】
図4は、循環タンク6に落下する液中の亜硫酸濃度が5 [mmol/L]のとき、循環ポンプ4に吸い込まれるまでに完全酸化されるのに必要な循環タンク容量、供給空気量を従来技術の場合を1として、本発明を適用した循環タンク6と比較した図である。図4より、循環タンク容量、供給空気量ともに減少していることがわかる。本発明を適用することにより、循環タンク6のコンパクト化が可能となり、供給空気量も低減可能であり、ランニングコストおよび空気を供給するブロアの台数も減らせられる。
【0033】
本発明の他の実施の形態について図5により説明する。図5に示す実施例は、循環タンク6内壁に設置したリング状の邪魔板17が、水平方向に対して循環タンク6の底面に向かって45度の角度で設置されている点で図1に示した実施の形態と異なる。吸収液は石膏スラリーであるため、邪魔板17には石膏が堆積する。邪魔板17を循環タンク6底面に向かって傾斜させることによって邪魔板17上での石膏の堆積を防止できる。
【0034】
図6に示す実施例は、リング状邪魔板17を多孔板とした点で図1〜図5に示した実施の形態と異なる。邪魔板17を多孔板とすることによって、高スラリー濃度の吸収液においても石膏の堆積を防止できる。
【0035】
図7に示す実施例は、垂直方向に対し、循環タンク6内壁に少なくとも2列以上のリング状邪魔板17を設置した点で図1〜図6に示した実施の形態と異なる。邪魔板17を多く設置することによって、循環タンク6の内壁近傍の吸収液の高速下降流をより確実に防止でき、液滞留時間を確保できる。
【0036】
図8に示す実施の形態は、垂直方向に対し多段にわたって設置したリング状邪魔板17を、循環タンク6の底面に向かって45度の傾斜をつけた点で図1〜図7に示した実施の形態と異なる。リング状邪魔板17を多段に設置すると、循環タンク6の内壁近傍の液下降流速が顕著に減少するため、邪魔板17には石膏が堆積しやすい。そこで、邪魔板17を循環タンク6の底面に向かって傾斜をつけることによって石膏の堆積を防止できる。
【0037】
図9に示す実施の形態は、リング状邪魔板17の循環タンク6の内壁面との接合部分を曲面にした点で図1〜図8に示した実施例と異なる。前記接合部を曲面とすることにより、循環タンク6の液面から降下してきた吸収液を淀み無く循環タンク6の中心部へと流すことが可能となり、邪魔板17上の石膏堆積を防止できる。
【0038】
図10に示す実施の形態は、リング状邪魔板17上にガイドベーン18を設けた点で図1〜図9に示した実施例と異なる。ガイドベーン18により、循環タンク6の中心部へと向かう液流れを整流し、より効率的な液混合が可能となる。また、ガイドベーン18はリング状邪魔板17の補強にもなり得る。
【0039】
図11に示す実施例は、リング状邪魔板17上にガイドベーン18を設け、該ガイドベーン18を循環タンク6の中心軸を通る平面に対して0度を超え、かつ90度以下の傾斜角度で循環タンク6側壁と交わる壁面を有するように配置する点において図1〜図10に示した実施の形態と異なる。攪拌機7によって循環タンク6内の液流れは水平方向に対して旋回流となっている。この旋回方向と同一方向に旋回するよう該ガイドベーン18を傾斜させることにより、効率的な液混合が可能となる。
【0040】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明によれば、循環タンク内壁近傍に発生する高速下降流を防止できる。これにより、循環タンク中心部の高溶存酸素濃度の吸収液との液混合が促進されるため、液滞留時間の確保と亜硫酸の酸化効率が同時に達成でき、かつ、循環ポンプへの気泡吸い込みも防止可能である。従来技術よりも、少ない循環タンク容量で効率的に亜硫酸を酸化できるため、コンパクトで、かつ高性能な湿式排煙脱硫装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の湿式排煙脱硫装置の循環タンク内壁の周方向全体にリング状の邪魔板を設置した概略断面図である。
【図2】 本発明の湿式排煙脱硫装置の循環タンク内の液流れを従来技術と比較した図である。
【図3】 図1の循環タンクに落下する吸収液の流線を示した図である。
【図4】 図1の循環タンクに落下する液中の亜硫酸が完全酸化されるのに必要な循環タンク容量、供給空気量を、従来技術の場合を1として、本発明を適用した循環タンクと比較した図である。
【図5】 本発明の実施の形態の湿式排煙脱硫装置の循環タンク壁面にリング状の邪魔板が、水平方向に対して循環タンク底面に向かい45度の角度で設置した概略断面図である。
【図6】 本発明の実施の形態の湿式排煙脱硫装置の循環タンク壁面に多孔板とした邪魔板を設置した概略断面図である。
【図7】 本発明の実施の形態の湿式排煙脱硫装置の循環タンク壁面にタンク壁面の垂直方向に対し多段にリング状邪魔板を設置した概略断面図である。
【図8】 本発明の実施の形態の湿式排煙脱硫装置の循環タンク壁面に垂直方向に対し多段のリング状邪魔板を、循環タンク底面に向かって45度の傾斜をつけて設置した概略断面図である。
【図9】 本発明の実施の形態の湿式排煙脱硫装置の邪魔板と循環タンク内壁との接合部分を曲面とした概略断面図である。
【図10】 本発明の実施の形態の湿式排煙脱硫装置の邪魔板上にガイドベーンを設けた循環タンクの斜視図である。
【図11】 本発明の実施の形態の湿式排煙脱硫装置の邪魔板上に傾斜させたガイドベーンを設けた循環タンクの斜視図である。
【図12】 従来技術による湿式脱硫装置の概略断面図である。
【図13】 従来技術による循環タンクに設けた酸化空気供給管から供給される空気気泡の軌跡を表した図である。
【図14】 従来技術による循環タンク液面に落下した吸収液の流線を示した図である。
【図15】 従来技術による循環タンク液面に落下した吸収液の液流れを示した図である。
【符号の説明】
1 吸収塔本体 2 入口ダクト
3 出口ダクト 4 吸収液循環ポンプ
5 吸収液 6 循環タンク
7 攪拌機 8 空気供給管
9 ミストエリミネータ 10 吸収液抜出し管
11 循環配管 12 スプレヘッダー
13 スプレノズル 14 吸込み配管
15 空気 16 泡沫層
17 邪魔板 18 ガイドベーン
Claims (9)
- 吸収液を貯留する循環タンクの上側に、ボイラを含む燃焼装置から排出される排ガスを入口ダクトから導入し、出口ダクトから排出する排ガス流路を有し、循環タンクから抜き出した吸収液を前記ガス流路内に設けられるガス吸収部で噴霧して排ガスとを気液接触させることにより、排ガス中の硫黄酸化物を処理する吸収塔を備えた湿式排煙脱硫装置において、
循環タンク内壁の周囲全体に、中央部に開口を有し、全体が循環タンクに落下する吸収液滴により液面近傍に形成される気泡を含む泡沫層より下方の吸収液中に浸漬している鍔状の邪魔板を設置したことを特徴とする湿式排煙脱硫装置。 - 邪魔板は、循環タンク内壁近傍を流下する液の流れ方向が循環タンク中心部に向かうように配置したことを特徴とする請求項1記載の湿式排煙脱硫装置。
- 邪魔板は、循環タンク底部に向けて傾斜させ、循環タンク内壁面に設けたことを特徴とする請求項2記載の湿式排煙脱硫装置。
- 邪魔板は、多孔板としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の湿式排煙脱硫装置。
- 循環タンク垂直壁面に少なくとも2段以上の邪魔板を設置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の湿式排煙脱硫装置。
- 邪魔板は、その循環タンク内壁側壁面の接合部分を曲面にしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の湿式排煙脱硫装置。
- 邪魔板上に鉛直方向に壁面を有するガイドベーンを設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の湿式排煙脱硫装置。
- ガイドベーンは、循環タンクの中心軸を通る平面に対して0度を超え、かつ90度以下の傾斜角度で循環タンク側壁と交わる壁面を有することを特徴とする請求項7に記載の湿式排煙脱硫装置。
- 邪魔板は、循環タンク液深の1/2〜7/8の位置に設置され、該邪魔板の幅は循環タンクの径の1/20〜1/4としたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の湿式排煙脱硫装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002146554A JP3842693B2 (ja) | 2002-05-21 | 2002-05-21 | 湿式排煙脱硫装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002146554A JP3842693B2 (ja) | 2002-05-21 | 2002-05-21 | 湿式排煙脱硫装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003334420A JP2003334420A (ja) | 2003-11-25 |
JP3842693B2 true JP3842693B2 (ja) | 2006-11-08 |
Family
ID=29705511
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002146554A Expired - Fee Related JP3842693B2 (ja) | 2002-05-21 | 2002-05-21 | 湿式排煙脱硫装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3842693B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101250440B (zh) * | 2007-12-11 | 2011-06-22 | 江苏沙钢集团有限公司 | 湿法脱硫系统及其脱硫工艺 |
CN107051177B (zh) * | 2017-06-09 | 2023-07-25 | 大唐环境产业集团股份有限公司 | 一种脱硫除尘气液动力旋流增效装置 |
CN113144841B (zh) * | 2021-02-22 | 2022-08-23 | 中国石油天然气集团有限公司 | 一种烟气消雨消白方法 |
CN114217523B (zh) * | 2021-12-15 | 2023-09-01 | 江苏昆仑互联科技有限公司 | 一种sds干法脱硫剂精准加料控制方法和装置 |
CN114748948B (zh) * | 2022-04-27 | 2024-05-14 | 安徽鸿德玻璃钢环保设备有限公司 | 一种玻璃钢交叉流净化塔 |
-
2002
- 2002-05-21 JP JP2002146554A patent/JP3842693B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003334420A (ja) | 2003-11-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101959401B1 (ko) | 배기가스 처리장치의 배출 세정액 내의 유해가스 제거 시스템 및 방법 | |
JP2009240908A (ja) | 湿式二段排煙脱硫装置及び湿式二段排煙脱硫装置の運用方法 | |
KR101857216B1 (ko) | 배기가스 처리 시스템 | |
WO2008035703A1 (fr) | Appareil de désulfuration d'echappement de type humide | |
JP3842698B2 (ja) | ガス吹抜け防止に適した湿式排煙脱硫装置における吸収塔構造 | |
CN106237825A (zh) | 扰流捕捉器及一种湿法烟气脱硫除尘吸收塔 | |
KR101981066B1 (ko) | 부식 방지 기능을 가진 배기가스 처리 시스템 | |
JP3776793B2 (ja) | 湿式排煙脱硫装置 | |
KR102113210B1 (ko) | 확산수단을 포함하는 배기가스 처리장치 | |
JP4905926B2 (ja) | 二室型湿式排煙脱硫装置 | |
JP3842693B2 (ja) | 湿式排煙脱硫装置 | |
JPH11151426A (ja) | 煙突一体型排煙脱硫装置 | |
CN206008453U (zh) | 扰流捕捉器及一种湿法烟气脱硫除尘吸收塔 | |
JP2002248318A (ja) | 湿式排煙脱硫装置 | |
JP2002253925A (ja) | 湿式排煙脱硫装置 | |
JP4014073B2 (ja) | 二室型湿式排煙脱硫装置 | |
JP2003103139A (ja) | 湿式排煙脱硫装置 | |
JP3910307B2 (ja) | 湿式排煙脱硫装置 | |
JP3805783B2 (ja) | 二室型湿式排煙脱硫装置及び方法 | |
JP2004082037A (ja) | 二室型湿式排煙脱硫装置 | |
JP3904771B2 (ja) | 二室型湿式排煙脱硫装置 | |
KR102038944B1 (ko) | 향상된 공간활용도를 가진 하이브리드형 배기가스 처리 시스템 | |
JPH09206550A (ja) | 湿式排煙脱硫装置 | |
JP3842706B2 (ja) | 湿式排煙脱硫装置と方法 | |
JP4349511B2 (ja) | 排ガス処理装置とその運転方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050427 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060421 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060509 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060710 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060808 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060810 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090818 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100818 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110818 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110818 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120818 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |