JP3842614B2 - 周波数特性算出回路およびそれを用いたキャンセラならびに装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式によるデジタル放送やデジタル伝送において、受信したOFDM信号の周波数特性(総合伝達関数)を算出する周波数特性算出回路およびこの種の周波数特性算出回路を用いたマルチパスキャンセラ、回り込みキャンセラ、ダイバーシティ中継装置、ダイバーシティ受信装置およびOFDM信号受信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のOFDM信号用の周波数特性算出回路としては、学会発表論文“「地上ディジタル放送におけるOFDMシンボル長とスキャッタードパイロットによる伝送特性」,映像情報メディア学会誌Vol.52,No.11,pp,1658-1666(1998)”などに記載されているような、SP(Scattered Pilot)やCP(Continual Pilot)と呼ばれるパイロットキャリアを用いたものがある。これらSP、CPを用いた周波数特性算出回路は、パイロットキャリアの挿入間隔をNキャリア置きとすると、複素のサンプリング定理により、OFDM信号の有効シンボル長のN分の1までの遅延波による周波数特性を正確に算出することができる。
【0003】
日本の地上デジタル放送方式であるISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)においては、パイロットキャリアの挿入間隔を1シンボル内で12キャリア置きとし、4シンボル分のデータを用いることで3キャリア置きにSPが挿入されており、有効シンボル期間の3分の1までの遅延波による周波数特性を算出可能となっている。
【0004】
また、DQPSK (Differential Quadrature Phase Shift Keying)やQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)などの位相変調方式を用いたOFDM信号については、本発明者らの発明に係る特許出願(特開2000−349734号「回り込みキャンセラ」)や、学会発表論文“「地上デジタル放送SFNにおける放送波中継用回り込みキャンセラの基礎検討」,映像情報メディア学会誌Vol.54,No.11,pp.1568-1575(2000)の4.3項「差動変調方式における回り込み推定法」”に記載のアルゴリズムにて位相変調された全OFDMキャリアについて周波数特性が算出可能であり、有効シンボル期間分までの長い遅延波による周波数特性を算出することが可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)と64QAMを用いたOFDM信号については、SPを用いた周波数特性の算出により、観測可能な遅延波は有効シンボル期間の3分の1までであり、それ以上の遅延時間の遅延波を観測することができなかった。
【0006】
そこで本発明の目的は、16QAMや64QAMなどの多値QAMを用いたOFDM信号においても、有効シンボル期間の3分の1以上の遅延時間の遅延波を観測可能な周波数特性算出回路を提供することにある。
本発明の他の目的は、この種の周波数特性算出回路を用いたマルチパスキャンセラ、回り込みキャンセラ、ダイバーシティ中継装置、ダイバーシティ受信装置およびOFDM信号受信装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、高速フーリエ変換されたOFDM信号の複素の周波数データが実質的に入力され、この入力複素周波数データから伝送路特性を算出するための周波数特性算出回路において、当該周波数特性算出回路が:
前記入力複素周波数データからOFDM信号に含まれるSPおよびCPの複素データを抽出して出力するSP/CP抽出回路と;
前記入力複素周波数データに送信側で挿入されたSPおよびCPと同じ振幅値と位相値を有する複素データを発生して出力するSP/CP発生回路と;
該SP/CP発生回路と前記SP/CP抽出回路の出力がそれぞれ入力され、前記入力複素周波数データのSPおよびCPが挿入されているキャリアのデータについて、前記SP/CP抽出回路の出力の複素データを前記SP/CP発生回路の出力の複素データで除算して、その複素の商を出力するSP/CP除算回路と;
前記SP/CP除算回路から出力されたデータを、1シンボル分だけのデータを用いて周波数軸方向であるキャリア方向にのみ内挿フィルタ処理を行って出力する1次元内挿フィルタ回路と;
前記SP/CP除算回路から出力されたデータを、時間軸方向であるシンボル方向と周波数軸方向であるキャリア方向の両方を用いて、2次元的に内挿フィルタ処理を行って出力する2次元内挿フィルタ回路と;
前記1次元内挿フィルタ回路の出力と、前記2次元内挿フィルタ回路の出力とが入力され、前記1次元内挿フィルタ回路の出力または前記2次元内挿フィルタ回路の出力のどちらか一方を選択して出力する選択回路と;
前記入力複素周波数データと、前記選択回路の出力がそれぞれ入力され、前記入力複素周波数データを前記選択回路の出力で除算することで前記入力複素周波数データを等化して出力する第 1 複素除算回路と;
該第1複素除算回路の出力が入力され、この入力された等化後の複素の周波数データ全てについて各キャリアの変調方式に従った領域判定により、各キャリアの振幅値と位相値を判定して、各キャリアの複素の判定値を出力する領域判定回路と;
前記各キャリアの複素の判定値と、前記入力複素周波数データとがそれぞれ入力され、全てのキャリアについて前記入力複素周波数データを前記複素の判定値で除算して、その複素の商を前記入力されたOFDM信号の周波数特性として出力する第2複素除算手段と;
を少なくとも具えていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明による周波数特性算出回路は、入力信号に含まれる遅延波をキャンセルするマルチスキャンセラに適用するのが好適である。その利点は、従来のSPによる周波数特性算出回路を用いたマルチパスキャンセラでは不可能であった有効シンボル期間の3分の1以上の遅延時間のマルチパスを観測してキャンセルできることにある。
【0011】
本発明による周波数特性算出回路はさらに、回り込みキャンセラ、ダイバーシティ中継装置、ダイバーシティ受信装置およびOFDM信号受信装置などに適用して、従来は不可能であった遅延時間の長い遅延波をキャンセルすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照し、発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明による周波数特性算出回路の一実施例を示したブロック図であり、ここに、1はFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)回路、2は本発明周波数特性算出回路、3はTMCC(伝送多重構成制御信号)復号回路、4はSP/CP抽出回路、5はSP/CP発生回路、6はSP/CP除算回路、7は内挿フィルタ回路、8は第1バッファ回路、9は第1複素除算回路、10は領域判定回路、11は第2バッファ回路、12は第2複素除算回路をそれぞれ示す。
【0014】
FFT回路1は、入力される複素の時間軸OFDM信号から1シンボル分の有効シンボル期間の時間軸データを切り出し、FFTすることで複素の周波数データに変換して、このデータを周波数特性算出回路2およびTMCC復号回路3へ出力する。
【0015】
周波数特性算出回路2は、FFT回路1から入力される複素の周波数データ(これを本明細書では単に入力複素周波数データと称する)から全キャリアの周波数特性を算出して出力する。
【0016】
TMCC復号回路3は、FFT回路1の出力の周波数データのうち、ISDB−Tにて規定されているTMCCのキャリアからTMCC情報を復号して、シンボル番号および各周波数セグメントにおける変調方式を周波数特性算出回路2へ出力する。なお、ISDB−TおよびTMCCの詳細な説明については、“「地上ディジタルテレビジョン放送実証実験用放送設備」,映像情報メディア学会,Vol.53,No.2,pp.187-193,1999”や、“「特集 地上デジタル放送方式の研究」,NHK技研R&D,No.56,1999年5月”などを参照されたい。
【0017】
なお、TMCC復号回路3は、各キャリアの変調方式を知るための手段として説明したものであり、本発明による周波数特性算出回路の動作を詳細に説明するために用いたものである。また、本発明周波数特性算出回路は、OFDMを用いた信号であれば動作可能であり、各キャリアの変調方式を知るための手段さえ用いることができれば、本明細書の説明で用いているISDB−T信号以外のOFDM信号にも適用可能である。
【0018】
以下に本発明による周波数特性算出回路2について詳細に説明する。
FFT回路1を経て周波数特性算出回路2に入力される入力複素周波数データは、SP/CP抽出回路4、第1バッファ回路8および第2バッファ回路11へ入力される。
【0019】
SP/CP抽出回路4は、入力複素周波数データからSPおよびCPのキャリアを抽出して、これらのキャリアをSP/CP除算回路6へ出力する。この際、SPおよびCPのキャリア位置を判定するために、TMCC復号回路3の出力のシンボル番号ならびに変調方式を用いる。
【0020】
SP/CP発生回路5は、TMCC復号回路3の出力のシンボル番号ならびに変調方式をもとに、SP/CP抽出回路4に入力される入力複素周波数データに送信側で挿人されたSPおよびCPと同じ振幅値と位相値を有する複素データを発生して、これらの複素データをSP/CP除算回路6へ出力する。
【0021】
SP/CP除算回路6は、SPおよびCPのキャリア位置の周波数データについて、SP/CP抽出回路4の出力をSP/CP発生回路5の出力で複素除算して、その商を内挿フィルタ回路7へ出力する。なお、SPまたはCP以外のキャリア位置については、通常、内挿フィルタ回路7におけるフィルタ処理を考慮して、0の値を出力するように構成する。
【0022】
内挿フィルタ回路7は、SP/CP除算回路6からの複素の周波数データをもとに、SPまたはCP以外のキャリア位置のデータを内挿補間するフィルタ処理を行って第1複素除算回路9へ出力する。
【0023】
第1バッファ回路8は、入力複素周波数データがSP/CP抽出回路4からSP/CP除算回路6および内挿フィルタ回路7を経て第1複素除算回路9へ出力されるのに要する時間だけ、入力複素周波数データを遅延させて第1複素除算回路9へ出力する。
【0024】
第1複素除算回路9は、第1バッファ回路8からの複素の周波数データを、内挿フィルタ回路7からの複素の周波数データで除算することで、第1バッファ回路8からの複素の周波数データを等化して、この等化した複素の周波数データを領域判定回路10へ出力する。
【0025】
領域判定回路10は、第1複素除算回路9からの複素の周波数データ全てについて、各キャリアの変調方式に従った領域判定により各キャリアの振幅値と位相値を判定し、判定した各キャリアの複素の判定値を第2複素除算回路12へ出力する。この判定値は、周波数特性算出回路2にマルチパスやノイズの無い理想的な信号が入力された場合には、送信側の変調器からの出力における周波数データと一致する。
【0026】
次に、領域判定回路10の動作について図2を参照して説明する。
図2は、ISDB−T方式における64QAMのキャリアを領域判定するための位相図を示している。図2において、●はデータキャリアの位相点を、○はパイロットキャリアの位相点をそれぞれ示している。なお、図2はパイロットキャリアであるSPの絶対値が
【外1】
となるように等化した場合の位相図である。
【0027】
第1複素除算回路9によって等化されて領域判定回路10に入力された複素の周波数データは、図2に示すような位相図を用いてキャリアの位相点を領域判定する。領域判定回路10は、入力された複素の周波数データが破線で区切ったどの領域内にあるかを判定して、その領域の中心に示している位相点であると判定し、その位相点の複素の値を出力する。例えば、ある1つの64QAMキャリアの複素の周波数データが、I軸(実軸)のデータが−5.2で、Q軸(虚軸)のデータが2.3であるとすると、領域判定回路10は、I軸のデータが−6≦−5.2<−4であるため、これを“−5”であると判定し、Q軸のデータが2≦2.3<4であるため、これを“3”であると判定し、この判定した複素の周波数データを出力する。また、BPSKやDBPSK変調されたSPやCP、TMCC、ACのキャリアのデータが領域判定回路10に入力された場合には、I軸のデータが0以上であれば、これを
【外2】
と判定し、I軸のデータが0未満であれば、これを
【外3】
と判定する。またQ軸のデータは、その値にかかわらず“0”と判定し、判定した複素の周波数データを出力する。
【0028】
以上、図2を用いて領域判定回路10の動作について説明したが、これは図2のような位相図となるように第1複素除算回路9を構成した場合の一例であり、図2に示す以外の位相図となるような等化をこの第1複素除算回路9で行った場合には、その位相図に従って領域判定を行うように領域判定回路10を構成する。また、説明中の領域判定における等号は、判定値に対して小さい値側に使用しているが、これを判定値に対して大きい値側に使用して、例えば−6<−5.2≦−4のように判定してもどちらでも動作可能である。
【0029】
第2バッファ回路11は、入力複素周波数データが第1バッファ回路8から第1複素除算回路9および領域判定回路10を経て第2複素除算回路12へ出力されるのに要する時間だけ、入力複素周波数データを遅延させて第2複素除算回路12へ出力する。
【0030】
第2複素除算回路12は、第2バッファ回路11からの複素の周波数データをその判定値である領域判定回路10からの複素の周波数データで複素除算して、その商を入力複素周波数データの周波数特性として出力する。
【0031】
以上のように周波数特性算出回路を構成することにより、全てのキャリアについて周波数特性を算出することが可能となり、Nキャリア置きに配置されたSPでは、遅延波の観測が有効シンボル期間のN分の1の遅延時間までが限界であったが、本発明による周波数特性算出回路を用いることで、最大有効シンボル期間までの遅延時間の遅延波の観測が可能となる。
【0032】
図3は、本発明による周波数特性算出回路の第2の実施形態を示したブロック図である。この図3に示した周波数特性算出回路と図1に記載の周波数特性算出回路との相違点は、図3の例では、内挿フィルタ回路7が2種類のフィルタを具えており、それらのフィルタ出力を切り替えて出力するような構成となっているところにある。なお、図3において、図1に示した第1の実施形態の周波数特性算出回路と同じ構成要素には同じ参照符号を付して示してあり、これらについての詳細な説明は省略する。
【0033】
図3において、13は1次元内挿フィルタ回路、14は2次元内挿フィルタ回路、15は選択回路をそれそれ示す。
【0034】
1次元内挿フィルタ回路13は、SP/CP除算回路6からの複素の周波数データをもとに、1シンボル分だけのデータを用いて周波数軸方向であるキャリア方向にのみSPまたはCP以外のキャリア位置のデータを内挿補間するフィルタ処理を行って選択回路15へ出力する。
【0035】
図4は、1次元内挿フィルタ回路13による内挿補間の概念の一例を示した図である。この図4では、SPまたはCP以外のキャリア位置のデータの内挿補間をSPまたはCPのキャリア位置のデータにより直線補間するフィルタを一例として示しているが、例えばFIR型の内挿フィルタを用いることもできる。1次元内挿フィルタ回路13は、このように12キャリア置きのパイロットキャリアの間を補間するようなフィルタで構成する。
【0036】
2次元内挿フィルタ回路14は、SP/CP除算回路6からの複素の周波数データを4シンボル分以上用いて、時間軸方向であるシンボル方向と周波数軸方向であるキャリア方向の両方を用いてSPまたはCP以外のキャリア位置のデータを内挿補間するフィルタ処理を行って選択回路15へ出力する。
【0037】
図5は、2次元内挿フィルタ回路14による内挿補間の概念の一例を示した図である。この図5では、シンボル方向にSPの最新値を保持するフィルタと、SPまたはCP以外のキャリア位置のデータの内挿補間を4シンボル分のSPと最新値のCPのキャリア位置のデータでキャリア方向に直線補間するフィルタを一例として示しているが、シンボル方向およびキャリア方向ともに、例えばFIR型の内挿フィルタを用いることもできる。2次元内挿フィルタ回路14は、このように4シンボル分以上のパイロットキャリアを用いてそれらキャリアの間を補間するようなフィルタで構成する。
【0038】
選択回路15は、1次元内挿フィルタ回路13または2次元内挿フィルタ回路14からの出力の何れか一方を選択して出力するように構成する。本発明による周波数特性算出回路をマルチパスキャンセラや回り込みキヤンもラなどの等化器に用いる場合には、選択回路15における1次元内挿フィルタ回路13または2次元内挿フィルタ回路14からの出力の選択の切り替えを、以下の手順でおこなうように構成する。
1)等化器の起動時には、2次元内挿フィルタ回路14の出力を選択する。
2)周波数特性算出回路の出力結果を用いて1回目の等化を行う。
3)1回目の等化が行われたことを確認後、選択回路15の出力を1次元内挿フィルタ回路13からの信号に切り替え、以降1次元内挿フィルタ回路13からの信号を選択して出力する。
【0039】
以上のような構成にすることの利点は、2次元内挿フィルタは4シンボル以上のデータを要するため、等化器の動作後に4シンボル分以上のデータが必要になるのに対して、1次元内挿フィルタは1シンボルだけのデータだけで済むため、等化器の動作を高速化することが可能となるところにある。
【0040】
図6は、本発明による周波数特性算出回路2を等化器であるマルチパスキャンセラ30に適用した場合の一実施形態を示している。図6において、図1または図3に示した回路と同じ構成要素には同じ参照符号を付して示してあり、これらについての詳細な説明は省略する。
【0041】
図6において、16はFFT窓誤差補正回路、17は主波成分抽出回路、18はマルチパス特性推定回路、19はIFFT回路、20は周波数帯域拡張回路、21は係数更新回路、22はフィルタ係数ゲート回路、23は遅延回路、24はFIRフィルタ、25は減算器である。なお、図6の構成におけるマルチパスキャンセラ30は既に発表されており公知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。FFT窓誤差補正回路16の詳細については、本発明者らの発明に係る特許出願(特開2000−295195号「OFDM復調装置」)を、その他の回路の詳細については、本発明者らの発明に係る特許出願(特開2000−341242号、特願2000−349438号、いずれも「回り込みキャンセラ」)などを参照されたい。
【0042】
図6のような構成のマルチパスキャンセラ30に本発明周波数特性算出回路2を適用することの利点は、従来のSPによる周波数特性算出回路を用いたマルチパスキャンセラでは不可能であった有効シンボル期間の3分の1以上の遅延時間のマルチパスを観測してキャンセルできるところにある。さらに、図6中の周波数帯域拡張回路20およびフィルタ係数ゲート回路22において本発明者らの発明に係る特許出願(特開2000−341242号「回り込みキャンセラ」)に記載のフィルタ係数に対して閾値以下の係数を0とする非線形処理を行うため、たとえ本発明による周波数特性算出回路の領域判定回路10(図1および図3参照)において判定誤りが発生したとしても、正しく判定したキャリアによるインパルス応答でフィルタ係数が生成され、誤った判定をしたキャリアによるインパルス応答は周波数帯域拡張回路20およびフィルタ係数ゲート回路22により削除されるため、マルチパスキャンセラ30を安定的に動作させることが可能となる。
【0043】
図7は、本発明による周波数特性算出回路2を等化器である回り込みキャンセラ40に適用して、同一周波数再送信による回り込みをキャンセルする場合の一実施形態を示している。この場合には、キャンセル残差演算回路26で用いるキャンセル残差推定式を既に公知の回り込み特性を正確に推定する構成とすることで適用可能である。図7において、図6に示した回路と同じ構成要素には同じ参照符号を付して示してあり、ここではこれらについての詳細な説明は省略する。なお、本発明による周波数特性算出回路2を適用する回り込みキャンセラは既に発表されており公知であり、これについての詳細は、本発明者らの発明に係る特許出願(特開2000−94528号「回り込みキャンセラ」)などを参照されたい。
【0044】
図8は、本発明による周波数特性算出回路2をダイバーシティ中継装置50に適用した場合の一実施形態を示している。なお、ダイバーシティ中継装置については、学会発表技術報告“「スベースダイバーシティを用いた地上デジタル放送の放送波中継の検討」,映像情報メディア学会技術報告Vol.25,No.31,pp.7-12 ,BCS2001-11(2001)”などにて既に公知であるため、これについての詳細な説明は省略する。
【0045】
図9は、本発明による周波数特性算出回路2をダイバーシティ受信装置60に適用した場合の一実施形態を示している。この場合には、本発明による周波数特性算出回路2を、ダイバーシティ受信装置60の周波数応答を算出する手段として適用することができる。なお、ダイバーシティ受信装置については、学会発表論文“「アンテナアレイを用いたOFDM信号の受信特性の解析」,映像情報メディア学会誌Vol.53,No.11,pp.1566-1574 ,(1999)”などにて既に公知であるため、これについての詳細な説明は省略する。
【0046】
さらに、図10は、本発明による周波数特性算出回路2をマルチパスキャンセル機能を具えたOFDM信号受信装置70に適用した場合の一実施形態を示している。この図10において、図7の回り込みキャンセラと同じ構成要素には同じ参照符号を付して示してある。なお、本発明による周波数特性算出回路2を適用するOFDM信号受信装置については、本願人の出願に係る特開2001−292120号「デジタル放送受信装置」などを参照されたい。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、多値QAMを用いたOFDM信号において、最大で有効シンボル期間までの遅延時間の遅延波を観測可能な周波数特性算出回路を提供することが可能になる。
さらに本発明によれば、遅延時間の長い遅延波をキャンセル可能なマルチパスキャンセラ、回り込みキャンセラ、ダイバーシティ受信装置およびOFDM復調装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による周波数特性算出回路の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】 ISDB−T方式における64QAMのキャリアを領域判定するための位相図である。
【図3】 本発明による周波数特性算出回路の第2の実施形態を示すフロック図である。
【図4】 図3の周波数特性算出回路に用いる1次元内挿フィルタ回路による内挿補間の概念の一例を示した図である。
【図5】 図3の周波数特性算出回路に用いる2次元内挿フィルタ回路による内挿補間の概念の一例を示した図である。
【図6】 本発明による周波数特性算出回路をマルチパスキャンセラに適用した場合の一実施形態を示すブロック図である。
【図7】 本発明による周波数特性算出回路を回り込みキャンセラに適用した場合の一実施形態を示すブロック図である。
【図8】 本発明による周波数特性算出回路をダイバーシティ中継装置に適用した場合の一実施形態を示すブロック図である。
【図9】 本発明による周波数特性算出回路をダイバーシティ受信装置に適用した場合の一実施形態を示すブロック図である。
【図10】 本発明による周波数特性算出回路をOFDM信号受信装置に適用した場合の一実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 FFT回路
2 周波数特性算出回路
3 TMCC復号回路
4 SP/CP抽出回路
5 SP/CP発生回路
6 SP/CP除算回路
7 内挿フィルタ回路
8 第1バッファ回路
9 第1複素除算回路
10 領域判定回路
11 第2バッファ回路
12 第2複素除算回路
13 1次元内挿フィルタ回路
14 2次元内挿フィルタ回路
15 選択回路
30 マルチパスキャンセラ
40 回り込みキャンセラ
50 ダイバーシティ中継装置
60 ダイバーシティ受信装置
70 OFDM信号受信装置
Claims (4)
- 高速フーリエ変換されたOFDM信号の複素の周波数データが実質的に入力され、この入力複素周波数データから伝送路特性を算出するための周波数特性算出回路において、当該周波数特性算出回路が:
前記入力複素周波数データからOFDM信号に含まれるSPおよびCPの複素データを抽出して出力するSP/CP抽出回路と;
前記入力複素周波数データに送信側で挿入されたSPおよびCPと同じ振幅値と位相値を有する複素データを発生して出力するSP/CP発生回路と;
該SP/CP発生回路と前記SP/CP抽出回路の出力がそれぞれ入力され、前記入力複素周波数データのSPおよびCPが挿入されているキャリアのデータについて、前記SP/CP抽出回路の出力の複素データを前記SP/CP発生回路の出力の複素データで除算して、その複素の商を出力するSP/CP除算回路と;
前記SP/CP除算回路から出力されたデータを、1シンボル分だけのデータを用いて周波数軸方向であるキャリア方向にのみ内挿フィルタ処理を行って出力する1次元内挿フィルタ回路と;
前記SP/CP除算回路から出力されたデータを、時間軸方向であるシンボル方向と周波数軸方向であるキャリア方向の両方を用いて、2次元的に内挿フィルタ処理を行って出力する2次元内挿フィルタ回路と;
前記1次元内挿フィルタ回路の出力と、前記2次元内挿フィルタ回路の出力とが入力され、前記1次元内挿フィルタ回路の出力または前記2次元内挿フィルタ回路の出力のどちらか一方を選択して出力する選択回路と;
前記入力複素周波数データと、前記選択回路の出力がそれぞれ入力され、前記入力複素周波数データを前記選択回路の出力で除算することで前記入力複素周波数データを等化して出力する第 1 複素除算回路と;
該第1複素除算回路の出力が入力され、この入力された等化後の複素の周波数データ全てについて各キャリアの変調方式に従った領域判定により、各キャリアの振幅値と位相値を判定して、各キャリアの複素の判定値を出力する領域判定回路と;
前記各キャリアの複素の判定値と、前記入力複素周波数データとがそれぞれ入力され、全てのキャリアについて前記入力複素周波数データを前記複素の判定値で除算して、その複素の商を前記入力されたOFDM信号の周波数特性として出力する第2複素除算手段と;
を少なくとも具えていることを特徴とする周波数特性算出回路。 - 請求項1に記載の周波数特性算出回路の出力が入力され、周波数領域の信号である周波数特性データを逆フーリエ変換して、時間領域のインパルス応答データに変換して出力するIFFT回路と;
該IFFT回路から出力された前記インパルス応答データに対して、閾値以下のデータを0として出力する非線形処理回路と;
を少なくとも具えて、入力信号に含まれる遅延波をキャンセルするように構成したことを特徴とするマルチパスキャンセラ。 - 請求項1に記載の周波数特性算出回路の出力が入力され、周波数領域の信号である周波数特性データを逆フーリエ変換して、時間領域のインパルス応答データに変換して出力するIFFT回路と;
該IFFT回路から出力された前記インパルス応答データに対して、閾値以下のデータを0として出力する非線形処理回路と;
を少なくとも具えて、同一周波数再送信による回り込みをキャンセルするように構成したことを特徴とする回り込みキャンセラ。 - 請求項1に記載の周波数特性算出回路の出力が入力され、周波数領域の信号である周波数特性データを逆フーリエ変換して、時間領域のインパルス応答データに変換して出力するIFFT回路と;
該IFFT回路から出力された前記インパルス応答データに対して、閾値以下のデータ を0として出力する非線形処理回路と;
を少なくとも具えて構成したことを特徴とするOFDM信号受信装置。
Priority Applications (1)
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