JP3841973B2 - ホースカー昇降装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、消防ポンプ車などの車両にホースカーを積み降しする昇降装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
消防ポンプ車に載せられるホースカーには、ノズル、消防ポンプ車の給水口、あるいは他のホースなどに接続される接続用ホースが捲回されている。
【0003】
このようなホースカーの消防ポンプ車への積み降しは、従来、人手によって行われていたが、最近では、図12に示すように、積み降し専用の昇降装置L2 を設置した消防ポンプ車100が多くなってきている。
【0004】
ホースカー昇降装置としては、図13に示すように、消防ポンプ車100(図12参照)の後部に設置されるアウタフレーム101と、下端にホースカー載置台103が設けられたインナフレーム102とを備え、このインナフレーム102を、油圧シリンダ141及びローラチェーン・スプロケット142などで構成される駆動装置104によって上下動させて、ホースカー載置台103を、使用位置と格納位置との間において昇降させる装置がある。
【0005】
この種のホースカー昇降装置には、ホースカーの格納時(ホースカー載置台が格納位置にあるとき)に、ホースカー載置台の滑り落ちを防止するための固定装置が設けられている。その一例として、先の図13に示すように、アウタフレーム101の上部位置に、互いに対向する左右一対のノックアウトピン105と、その各ノックアウトピン105をインナフレーム102に向けて突き出す油圧シリンダ106を備え、ホースカー載置台103が上昇端まで移動したときに、各油圧シリンダ106を作動(前進)させ、ノックアウトピン105をインナフレーム102に嵌合させることによって、ホースカー載置台103を固定する装置がある(特開平10−165536号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図13に示した固定装置によれば、駆動装置(昇降用)の油圧シリンダを駆動するパワーユニットから油圧を分配し、その分配した油圧で固定装置の油圧シリンダを作動させているので、装置全体の構造が複雑になる上、リリーフ騒音がはげしいという問題がある。また、固定装置の油圧シリンダがアウタフレームの側方に突き出しているので、昇降装置の全幅がどうしても大きくなってしまい、小型の消防ポンプ車への架装が困難となる。
【0007】
さらに、パワーユニットが故障したときに、ハンドポンプへの切換用のバルブに加えて、固定装置の油圧シリンダに関係する複数のバルブ(例えば4個)を操作する必要があるため、故障時の対応に時間を要するという問題もある。
【0008】
本発明はそのような実情に鑑みてなされたもので、昇降装置の全幅を従来よりも小さくすることができ、しかも故障時の対応を簡単かつ迅速に行える固定装置を備えたホースカー昇降装置の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のホースカー昇降装置は、車両の後部に設置される固定フレームと、この固定フレームに対して上下方向に移動可能な可動フレームと、可動フレームの下部に設けられたホースカー載置台と、可動フレームに上下動を与え、ホースカー載置台を昇降する駆動装置と、ホースカー載置台の滑り落ちを防止する固定装置とを備えた昇降装置において、上記固定装置上記固定フレームと上記可動フレームとの間の隙間に対応する位置に配置され、この隙間に入り込むロック位置と、その隙間から完全に抜け出るロック解除位置との間において回動自在に固定フレームに支持された回転ストッパと、回転ストッパに回転力を与えて当該回転ストッパをロック位置とロック解除位置とに配置させる電動式アクチュエータを備え、回転ストッパをロック位置に配置することで格納位置にあるホースカー載置台の下降を規制するように構成され、さらに、レバー操作によって回転ストッパをロック位置からロック解除位置に配置する手動操作装置が設けられていることによって特徴づけられる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、以下、図面に基づいて説明する。
【0011】
図1及び図2に示すように、本実施の形態の昇降装置L1 は、消防ポンプ車100の後部(図12参照)に設置されるアウタフレーム1と、このアウタフレーム1に対して上下方向にスライド自在に設けられたインナフレーム2と、インナフレーム2の下端に設けられたホースカー載置台3と、インナフレーム2に上下動を与え、ホースカー載置台3を昇降する駆動装置4などを主体として構成されている。
【0012】
駆動装置4は、油圧シリンダ41と、ローラチェーン42・スプロケット43などによって構成されており、その油圧シリンダ41の駆動は、消防ポンプ車100に設置された操作スイッチ(図示せず)によって制御される。なお、油圧シリンダ41には、駆動用のパワーユニットに加えて、故障時等に使用するハンドポンプ(いずれも図示せず)が接続されている。
【0013】
ホースカー載置台3の前方側(消防ポンプ車の後方側)の両端には、左右一対の道板(フラップ)5が設けられている。これら道板5は、その各端部に固着された支持軸51とホースカー載置台3に設けられた軸受31とによって、ホースカー載置台3に対し回動自在に支持されている。道板5の支持軸51の一端は、軸受31の外方に突出しており、その突出部に、後述するリンク機構7のベルクランク71が固着されている(図3参照)。
【0014】
ホースカー載置台3には、ホースカー200を固定する左右一対の固縛装置6が設置されている。固縛装置6は、図3に示すように、ホースカー200の車軸201を受ける係止凹部61aが設けられた受部材61と、その係止凹部61aに入り込んだ車軸201を固縛する固定ピン62とを備えている。
【0015】
固定ピン62は、受部材61に対し上下方向に移動自在で、その下端にベルクランク63(ボックス60内に配置)、回転軸64及びベルクランク65が固着されており、そのベルククランク65の回転により、固定ピン62が上下動し、その上端が受部材61の係止凹部61aに突出する位置(固縛位置)と、係止凹部61aよりも下方となる位置(固縛解除位置)に移動する。
【0016】
リンク機構7は、図3に示すように、道板5の支持軸51に固着されるベルクランク71と、ホースカー載置台3の側部に設けられた支持軸32に回動自在に支持される連結クランク73と、この連結クランク73の一端と道板5側のベルクランク71とを相互に連結する圧縮リンク72と、連結クランク73の他端に連結されるリンクロッド74によって構成されており、このリンクロッド74の端部に固縛装置6のベルクランク65が連結されている。
【0017】
そして、以上の構造において、道板5を使用位置から格納位置(図1に示す起立姿勢)に向けて回動すると、リンクロッド74が引っ張られて固縛装置6のベルクランク65が回動し、これに伴って固定ピン62が上昇して、その上端が受部材61の係止凹部61a内に突出し、固定ピン62が固縛状態となる。一方、道板5を、以上の格納位置から使用位置に向けて回動すると、リンクロッド74が押されて固縛装置6のベルクランク65が先とは逆向きに回動し、これに伴って固定ピン62が下降して、その上端が受部材61の係止凹部61aよりも下方に位置する(固縛解除)。
【0018】
なお、以上の昇降装置L1 において、アウタフレーム1の幅寸法(内寸)及びインナフレーム2の幅寸法(外寸)は、これらアウタフレーム1の内面(側面)とインナフレーム2の外面(側面)との間に、後述する回転ストッパ82の厚さ(t=16mm)よりも所定量だけ大きな隙間Cが開くように設定されている(図6参照)。
【0019】
さて、本実施の形態の昇降装置L1 には、ホースカー載置台3の滑り落ちを防止する固定装置8が設けられている。その固定装置8の構造を、以下、図4〜図9を参照しつつ説明する。
【0020】
まず、図4(A)及び(B)に示すように、アウタフレーム1の下部には、互いに対向する左右一対の支持プレート11が設けられている。その各支持プレート11はアウタフレーム1の背面側(消防ポンプ車の前方側)に突出しており、その突出上端部にそれぞれ軸受12が設けられている。この左右一対の軸受12は、図6に示すように、固定装置8の回転軸81を支持するためのもので、その軸受中心は水平方向に沿っている。
【0021】
固定装置8の回転軸81には、図6〜図8に示すように、左右一対の回転ストッパ82が固着されている。これら回転ストッパ82は、アウタフレーム1とインナフレーム2との間の隙間Cに対応する位置に配置されている。
【0022】
回転ストッパ82は、図9(A)及び(B)に示すように、上部を矩形状に切欠いた形状のプレート(厚さ16mm)で、その切欠き面が、後述するインナフレーム2の固定ブロック21に対する規制面82aとなっている。また、回転ストッパ82の上部には、アウタフレーム1に当たって、回転ストッパ82の回動を規制するための止めブロック82bが固着されている。
【0023】
回転軸81にベルクランク83が固着されている。また一方の突出端部には、後述する手動操作装置9を連結するためのジョイント90が設けられている。
【0024】
回転軸81に固着されたベルクランク83には、駆動ロッド84及びベルクランク85を介して電動モータ80が連結されており、その電動モータ80の駆動(正転・逆転)により、回転ストッパ82が、アウタフレーム1とインナフレーム2との間の隙間Cに入り込むロック位置と、その隙間Cから完全に抜け出るロック解除位置との間において回動する。
【0025】
回転ストッパ82と支持プレート11との間には、引張コイルばね86が設けられており、この引張コイルばね86の弾性力により、回転ストッパ82に、アウタフレーム1側に向かう回転力が付与されている。
【0026】
なお、回転ストッパ82の回動は、止めブロック82bがアウタフレーム1に当たることにより規制され、その止めブロック82bがアウタフレーム1に当たった状態で、規制面82aが略水平方向に沿うようになっている。
【0027】
また、回転軸81に固着のベルクランク83と駆動ロッド84とは、駆動ロッド84に設けた長穴84aに連結ピン83aを嵌め込むことによって連結されており、図7に示す状態(ロック位置)から、回転ストッパ82を、引張コイルばね86の弾性力に抗して、ロック解除側に向けて回動させることができる。
【0028】
一方、インナフレーム2の側面(外面)には、図5(A)及び(B)に示すように、左右一対の固定ブロック21が固着されている。これら固定ブロック21は、図6〜図7に示すように、インナフレーム2が上昇端にあるときに、回転ストッパ82の規制面82aの上方に位置する。なお、固定ブロック21は、例えば幅25mm×高さ38mm×厚さ16mmの直方体である。
【0029】
そして、以上の構造の固定装置8において、電動モータ80の駆動はリミットスイッチ等により制御される。具体的には、昇降装置L1 のホースカー載置台3が上昇して格納位置(上昇端)に達したときに、電動モータ80が回転(正転)して、回転ストッパ82がロック解除位置からロック位置に回動し、また、格納位置に配置されたホースカー載置台3が下降を開始すると、これと同時に電動モータ80が回転(逆転)して、回転ストッパ82がロック位置からロック解除位置に回動する、という動作を行うように制御される。
【0030】
ここで、本実施の形態の固定装置8には、電動モータ80などが故障した際に使用する手動操作装置9が連結されている。
【0031】
その手動操作装置9は、図10及び図11に示すように、固定装置8の回転軸81に一端が連結され、他端が消防ポンプ車100の内壁Wに支持された連結軸91、この連結軸91に固着されたベルクランク92、消防ポンプ車100の後部に設置されたレバー93、並びにベルクランク92とレバー93とを連結するリンクロッド94などによって構成されており、この構造の手動操作装置9において、レバー93を操作すると、リンクロッド94が消防ポンプ車100の後方側に引かれて連結軸91が回転し、これに伴って固定装置8の回転軸81が回転して、回転ストッパ82がロック解除位置側に回転する。また、レバー94を放すと、固定装置8の引張コイルばね86の弾性力により、回転ストッパ82がロック位置に自動的に戻る。
【0032】
次に、ホースカーの積み降し操作を以下に説明する。
まず、ホースカー200を消防ポンプ車に積むときには、昇降装置L1 のホースカー載置台3を下降端まで下降させ、次いで、ホースカー載置台3の前方両端の道板5を手動操作により使用位置側に向けて回動する。この回動操作により、固縛装置6の固定ピン62の上端が受部材61の係止凹部61aの下方に位置する(固縛解除)。
【0033】
次に、ホースカー200の車輪202をそれぞれ道板5に合わせた状態で、ホースカー200を押してホースカー載置台3上に載せるとともに、車軸201の両端をそれぞれ左右の固縛装置6の係止凹部61aに入れた後、各道板5を使用位置から格納位置へと回動操作して、車軸201を固縛する。
【0034】
以上の操作が完了した後、昇降装置L1 の駆動装置4を駆動し、ホースカー載置台3を上昇させる。この上昇過程において、固定装置8の回転ストッパ82はロック解除位置に配置されており、ホースカー載置台3が格納位置(上昇端)に達した時点で、固定装置8の電動モータ80が駆動(正転)して、回転ストッパ82がアウタフレーム1とインナフレーム2との間の隙間Cに入り込み(図6、図7参照)、その規制面82aがインナフレーム2側面の固定ブロック21の下方に位置する(ロック状態)。
【0035】
このロック状態(図7の状態)において、昇降装置L1 に走行時の負荷(振動等)により、ホースカー載置台3(インナフレーム2)が下降しようとしても、インナフレーム2の固定ブロック21が回転ストッパ82の規制面82aに当たった時点で、その下降が規制されるので、ホースカー載置台3が滑り落ちることがなくなる。しかも、回転ストッパ82は、止めブロック82bによって、下降側への回動(アウタフレーム1側への回転)が阻止されているので、ホースカー載置台3に衝撃等の強い力が作用しても、ホースカー載置台3の滑り落ちを確実に防止することができる。
【0036】
一方、ホースカー200を消防ポンプ車から降ろす場合は、昇降装置L1 の駆動装置4を駆動し、ホースカー載置台3を下降端まで下降させる操作を行う。このとき、ホースカー載置台3が下降を開始した時点で、固定装置8の電動モータ80が駆動(逆転)して、回転ストッパ82がロック位置からロック解除位置に回動する。なお、ホースカー載置台3が下降端に達した時点では、ホースカー200の車軸201の固縛は保持されたままの状態となっているので、例えば消防ポンプ車を登り坂に駐車した場合であっても、ホースカー200が自走することはない。
【0037】
次に、ホースカー載置台3が下降端まで下降した後、道板5を使用位置に向けて回動する。この操作により、固縛装置6の固定ピン62が下降して、固定ピン62によるホースカー200の車軸201の固縛が解除され、ホースカー200が自由な状態となる。そして、ホースカー200のひき手(図示せず)を持ち、車輪202を道板5に合わせた状態で、ホースカー200を消防ポンプ車の後方側に引き出す。
【0038】
以上の実施の形態によれば、ホースカー載置台3の滑り落ちを防止する固定装置8及び固縛装置6は電動式もしくは手動式であり、油圧系統は駆動装置4の油圧シリンダ41のみであるので、何らの原因により、パワーユニットが故障した場合でも、パワーユニットからハンドポンプに切り換えるバルブを1個操作するだけでよく、簡単かつ迅速に対処することができる。しかも、固定装置8の電動モータ80のみが故障したときには、油圧系のバルブの切換等の操作を行うことなく、即座に手動操作に移行することができる。
【0039】
なお、以上の実施の形態では、回転ストッパ82の回転力を与える手段として電動モータ80を用いているが、これに代えて、例えばソレノイド式アクチュエータあるいは電動シリンダ等の他の電動式アクチュエータを使用してもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のホースカー昇降装置によれば、格納位置に配置したホースカー載置台の下降を、回転ストッパにより防止する構造であるので、固定フレームの外方に突き出す部分が小さくて済み、固定装置ホースカー昇降装置の全幅を小さくすることができる。ちなみに、従来の昇降装置では、ホースカーの全幅が1120mmである場合、昇降装置の全幅が1400mmであったのに対し、本発明の昇降装置では、全幅を1180mmとすることができ、例えば小型の消防ポンプ車への架装も可能になる。
【0041】
しかも、電動モータ等の電動式アクチュエータにより回転ストッパを回動させる構造であるので、構造が簡単で騒音もなく、またメンテナンスも容易である。さらに、手動操作に切り換える操作が簡単で、故障時の対応を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の側面図である。
【図2】本発明の実施の形態の正面図である。
【図3】本発明の実施の形態に適用する固縛装置とリンク機構の構成を示す側面図である。
【図4】本発明の実施の形態に適用するアウタフレームの側面図(A)及び背面図(B)である。
【図5】本発明の実施の形態に適用するインナフレームの正面図(A)及び側面図(B)である。
【図6】本発明の実施の形態に適用する固定装置の構成を示す正面図である。
【図7】同じく固定装置の構成を示す側面図である。
【図8】図6のX−X断面図である。
【図9】本発明の実施の形態に適用する回転ストッパの正面図(A)及び側面図(B)である。
【図10】本発明の実施の形態に適用する手動操作装置の構成を示す平面図である。
【図11】同じく手動操作装置の構成を示す側面図である。
【図12】従来のホースカー昇降装置の説明図である。
【図13】同じくホースカー昇降装置の説明図である。
【符号の説明】
L1 昇降装置
1 アウタフレーム(固定フレーム)
11 支持プレート
12 軸受
2 インナフレーム(可動フレーム)
21 固定ブロック
3 ホースカー載置台
4 駆動装置
41 油圧シリンダ
42 ローラチェーン
43 スプロケット
5 道板
6 固縛装置
7 リンク機構
8 固定装置
80 電動モータ
81 回転軸
82 回転ストッパ
9 手動操作装置

Claims (1)

  1. 車両の後部に設置される固定フレームと、この固定フレームに対して上下方向に移動可能な可動フレームと、可動フレームの下部に設けられたホースカー載置台と、可動フレームに上下動を与え、ホースカー載置台を昇降する駆動装置と、ホースカー載置台の滑り落ちを防止する固定装置とを備えた昇降装置において、
    上記固定装置上記固定フレームと上記可動フレームとの間の隙間に対応する位置に配置され、この隙間に入り込むロック位置と、その隙間から完全に抜け出るロック解除位置との間において回動自在に固定フレームに支持された回転ストッパと、回転ストッパに回転力を与えて当該回転ストッパをロック位置とロック解除位置とに配置させる電動式アクチュエータを備え、回転ストッパをロック位置に配置することで格納位置にあるホースカー載置台の下降を規制するように構成され
    さらに、レバー操作によって回転ストッパをロック位置からロック解除位置に配置する手動操作装置が設けられていることを特徴とするホースカー昇降装置。
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