JP3840930B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴキブリ忌避手段を備えた誘導加熱調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の誘導加熱調理器は、家庭内の特に台所で使用する機器であり、図8に示すように、本体1の上面に設けられた被加熱物を載置する天板2と、その下部左側にロースター加熱室3、右側前面に出力を設定する操作部4、加熱コイル5,6、ラジエントヒーター7と、加熱コイル5,6に対応した駆動回路8、9と、ファンモーター10と連結した送風ファン11とを備えている。
【0003】
また、ロースター加熱室3とラジエントヒーター7への通電制御はそれぞれ駆動回路8,9により行われる。加熱コイル5,6、ラジエントヒーター7およびロースター加熱室3への通電に連動してファンモーター10が運転され送風ファン11によって本体1の内部全体へ送風が可能となる。それらの加熱源を使用しないときには送風ファン11は停止しており、本体1の内部は空気の流動もなく、暗くて、物陰の多い構成となっているため、ゴキブリをはじめとする不快害虫にとっては絶好の住処となる場合がある。
【0004】
また、駆動回路8,9の基板にはオレイン酸などの脂肪酸が半田部のフラックスに使用されており、これらの物質はゴキブリの摂食行動誘引物質として知られている。さらに、これらゴキブリ等の不快害虫は、餌や水などよりも熱などの棲息環境による誘引力が大きく、駆動回路部品、ファンモーター、ロースター加熱室など発熱部分が多くて、調理使用後の誘導加熱調理器機の内部は、27℃±5℃と云った棲息適温状態となっていることがある。
【0005】
また前述の加熱源以外にも、構成上形状が複雑に入り組み、完全なゴキブリ等に対する被害防護対策が施し難い部分が多くあり、またこれらの箇所はリード線も多く接続され、それらリード線を伝って害虫が侵入したり、わずかな間隙でも器体内に侵入する。内部への侵入を未然に防ぐ工夫として、ゴキブリの性質を逆に利用したゴキブリ誘引捕獲器も市販されている。誘導加熱調理器においても基板に忌避薬剤を塗布したものもあるが、完全な忌避効果を備えたものがないのが現状である。
【0006】
そして、前記従来の構成では、誘導加熱調理器においては完全密閉を考慮しても、操作部やロースター部などの開閉部、本体外郭の間隙、冷却のための吸気口および排気口の開口部などがあり完全な密閉構造は取りにくい構成となっている。従ってゴキブリは熱や餌に誘引されたり、物陰に隠れようという性質から、誘導加熱調理器内の暖かい場所を好んで棲息し、機器内部の物陰に隠れていたりする。誘導加熱調理器内に一度侵入した害虫は外部には出ないで、夜間など使用しない状態においては、ゴキブリにとっては非常に住みやすい環境となっている。また、幼齢期のゴキブリは、わずか1mmの小さな間隙からでも侵入し、誘導加熱調理器内に侵入したゴキブリは内部で成長し、様々な被害を発生させる。さらに卵を持ったゴキブリが侵入した場合は内部で増殖もする。ゴキブリが内部に侵入すると幼虫、成虫に関わらず、またその死骸においても絶縁破壊や電気的短絡による誤動作などの重要な障害を発生させる場合があるため、害虫対策が必要とされていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の誘導加熱調理器は、制御スイッチの操作に応じて、加熱コイルへの通電が開始されるよりも前に、ゴキブリを駆動回路基板上の充電部から追い払うべく送風ファンを間欠的に動作させる構成としたものである。この送風ファンによる送風作用が加熱コイルへの通電直前に駆動回路基板上に存在する害虫に不快要因を与えて、駆動回路基板上の充電部から追い払うことができ、充電部に大電流が流れても、害虫による短絡などの不具合を減らすことができる。さらに、送風ファンをゴキブリを追い払うために動作させるのに必要な待機電力や消費電力を抑制することができる。また、本体全体の間隙や物陰の隅々にいるゴキブリに対して、それらが不快と感ずる要因である空気の乱れや風切り音を発生させることができるものである。
【0008】
また、動作を間欠的におこなうことにより不快感を抱かせる気流への慣れをなくすことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
請求項に記載の発明は、加熱コイルと、前記加熱コイルへの通電を制御する駆動回路と、送風ファンと、前記加熱コイルへの通電を開始する制御スイッチとを備え、前記制御スイッチの操作に応じて、前記加熱コイルへの通電が開始されるよりも前に、ゴキブリを前記駆動回路基板上の充電部から追い払うべく前記送風ファンを間欠的に動作させる構成としたことにより、加熱コイルへの通電直前に駆動回路基板上に存在する害虫に不快要因を与えて、駆動回路基板上の充電部から追い払うことができ、充電部に大電流が流れても、害虫による短絡などの不具合を減らすことができる。さらに、送風ファンをゴキブリを追い払うために動作させるのに必要な待機電力や消費電力を抑制することができる。
【0010】
また、動作を間欠的におこなうことにより不快感を抱かせる気流への慣れをなくすことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、送風ファンを間欠的に動作させることに替えて回転数を経時的に変化させて動作させる構成としたことにより、器体内部に発生させる気流の変化を増やし、気流への慣れをなくすことができる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(参考例1)
図1、図2および図3は、本発明の参考例1における誘導加熱調理器を示す図である。図において、本体21上面の天板22の下方に加熱源である右および左の加熱コイル23、24と、その後方にラジエントヒーター25と、左の加熱コイル24の下方には、ロースター加熱室26を備えている。本体の前面右側に本体21の出力を設定する操作部27が設けられており、加熱動作を制御する制御スイッチ28を備えている。その奥方に右および左の加熱コイル23、24を制御する駆動回路基板29、30があり、これら複数の駆動回路基板29,30は保持台31,32によって2層になるように支えられ、駆動回路基板29、30と保持台31、32とはそれぞれ個別ユニットにして積み重ねられている。
【0014】
さらにその奥側に近接した送風ファン33と送風ファンを駆動させるファンモーター34と、送風ファン33とファンモーター34を覆う送風ダクト35とを備えている。さらにラジエントヒーター25とロースター加熱室26への制御は駆動回路基板29,30の中に構成された回路により行われる。さらに、本体21の上面後部には送風ダクト35につながる吸気口36とその反対側でロースター加熱室26側の排気口37を備えている。以上のように本体21は全体が外郭により一体化され外郭の上部のフランジ38によってキッチンなどに支えられる組み込み式のものである。
【0015】
まず、誘導加熱調理器本体内部の温度分布を測定した結果、右および左の加熱コイル23,24、ラジエントヒーター25およびロースター加熱室26の使用中においては、送風ファン33により本体21の内部に風が流れているが、本体21の内部は高温になっている。また加熱源の加熱を停止した後には送風ファン33は停止し、駆動回路基板29,30上の発熱部品は余熱を保ったままで室温まで徐々に低下する。しかし鍋などの被加熱物をそのまま天板22に載置されると長時間にわたり、本体21の内部がゴキブリの最適環境温度である27±5℃の状態が続くことがある。
【0016】
ゴキブリは、活動時間帯になるとキッチンやキャビネットに近づき物陰に潜む。機器を使用している時や人が近くにいる場合にはなりを潜めているが、本体21の内部の27±5℃の雰囲気に気づき、主に夜間や人が使用しない時を狙ってキャビネットを這い、本体21の吸気口36および排気口37、外郭の間隙から侵入し、熱を持っている部分に誘引される。
【0017】
そこで、加熱源を停止した後、ゴキブリを本体周辺に放って、本体内に侵入させ、主に人が使用しない夜間時に強制的に送風ファン33だけを運転させるという模擬的に試験を実施した結果を(表1)に示す。
【0018】
【表1】
Figure 0003840930
【0019】
試験装置は、キャビネットを収納することのできる深さ30cmの試験槽を用い、縦壁面に炭酸カルシウムを塗布し、コーナー4カ所に餌と水を配置し、試験槽の略中央部に試験用の本体を透明キャビネットに組み込んだ状態で設置し、飼育ゴキブリ成虫を雌雄各100匹放す。本体内部の駆動回路部およびその他開口部・間隙がよく観察できる場所にビデオカメラを配置し、ゴキブリが活発に活動する21時から翌朝6時までの9時間の挙動をビデオテープレコーダーに録画する。録画開始までは、加熱源を動作させて本体内部の温度を十分飽和させておく。上記(表1)には挙動解析した結果を示すものである。
【0020】
その結果、送風ファンが運転していないときには、本体外郭の開口部および間隙からゴキブリが侵入し、駆動回路基板まで到達するものがあったが、送風ファンを運転すると、駆動回路基板上にいるゴキブリに対しては、送風ファンに最も近接している構成をとっていることもあり、一部は風圧により飛ばされ、また不快感を感じて駆動回路基板周辺から退散していく様子が確認された。
【0021】
また、駆動回路基板周辺のみならず、送風ファンによる効果は、本体の外郭全体を冷却する効果もあり、本体内部の隅々にまで送風作用は行き渡る構成になっており、本体外郭にある間隙の内から外に向けて風が放出される。そのため、駆動回路基板から退散したゴキブリやその他の開口部や間隙近辺に滞留していたものは、本体内部に留まることに不快感を感じ、侵入した間隙や開口部から本体外に退散していく様子も確認できた。1日の内、使用している時間よりも使用していない時間の方が多く、使用していないときに害虫などは本体内に営巣してしまうので、営巣を防止する効果もある。また、送風作用による忌避効果と共に送風ファンが回転することによる風切り音による相乗効果でより一層の忌避効果を得ることができる。
【0022】
この結果から本発明の誘導加熱調理器の加熱源に通電しないで調理に未使用時における送風ファンの運転は有効な害虫忌避効果があることが明らかである。
【0023】
なお、本参考例において、加熱コイルが左右の2個で駆動回路基板を2層としたが、これに限るものではなく、1個の加熱コイルと1個の駆動回路基板を備えるものや、3個の加熱コイルと3層の駆動回路基板を備えるもの、駆動回路基板を並列に載置したもの、加熱コイルが1個で他の熱源は電熱式のラジエントヒーターやガス燃焼装置、あるいは全ての熱源がラジエントヒータ−やガス燃焼装置でも送風ファンの運転によるゴキブリの忌避効果がある。また駆動回路基板に対して送風するファンは1個に限るものではなく、複数個でも構わない。さらに組み込み式の誘導加熱調理器を例に挙げたが、据置タイプあるいは卓上設置型のものにおいても同様の忌避効果が得られる。
【0024】
また、調理に使用している時に動作させるものがファンモーターによる送風作用や風切り音で発生する体感的、聴覚的なものに限るのではなく、LEDなどの発光体による視覚的要因のものを外郭の間隙開口部あるいは駆動回路基板上の充電部に至る経路の少なくとも1カ所に設けた場合でも害虫の忌避効果が得られる。さらに、加熱コイルへの通電時に発生する高周波磁界や発振周波数によっても害虫の忌避効果が得られる。
【0025】
(実施例1)
図4は本発明の実施例1における誘導加熱調理器の縦側面断面図である。本体の構成は参考例1と同様であるから詳細説明を省略する。前記参考例1と異なるのは、駆動回路基板41,42への出力を設定する操作部43において、加熱動作を制御する制御スイッチ44の動作を行った後、加熱源による加熱動作を開始するよりも前に、ファンモーター45を動作させ、送風ファン46による送風作用を利用することができる構成としたことである。
【0026】
この実施例においても参考例1で述べた送風ファン46を運転することによる忌避効果を確認するために、参考例1と同様の試験装置で忌避試験を行い、同様の忌避効果が得られた。この他に、加熱源に通電をしないで調理に使用していないときにファンモーター45の運転を制御する必要がないので、ゴキブリの忌避効果を得るために必要となる待機電力や消費電力を小さくすることができる。すなわち、使用者が加熱源の動作を行う場合にのみ、送風ファンの送風作用により駆動回路基板上の害虫に不快感を与え、退散させることができるため、非常に効率の良いものである。また、従来、送風ファン46の運転と同時に加熱コイルへの通電を行っていたため、駆動回路基板には大電流が流れており、その時に駆動回路基板に害虫がいると駆動回路基板の制御回路が誤動作をして、スイッチング素子などの短絡などの不具合が発生していたが、駆動回路が加熱コイルなどの加熱源への通電を開始する前に忌避を行うことができるため害虫による通電不良や誤動作を減らすことができる。
【0027】
なお、本実施例においては、制御スイッチを動作させて加熱源への通電が始まるまでの間隔は長い程良いのであるが、使用者が違和感を感じない程度に設定するのが望ましい。また制御スイッチは、押すタイプ、回転するタイプ、静電式のタッチスイッチなどその形態はどのようなものであっても、加熱源への通電を開始できる手段であればよい。
【0028】
(実施例2)
以下本発明の実施例2について説明する。本体の構成は参考例1と同様である。前記参考例1と異なるのは、未使用時のファンモーターへの通電を間欠的に行うことができる構成としたことである。
【0029】
この実施例においてはファンモーターを間欠的に運転することによる効果を確認するために、参考例1と同様の試験装置で忌避試験をおこなった。間欠的に運転した場合では、ファンモーターへ通電を停止している間に害虫が駆動回路基板や器体の開口部や間隙に再び近寄ってくる行動が見られた。そして、再度ファンモーターに通電した場合、送風ファンの送風作用により前記部位から退散していくのも確認できた。この結果、ファンモーターの連続通電以外にも間欠的に動作させることで参考例1と同様の忌避効果が得られた。さらに本発明においては、連続通電による送風の定常流れに害虫を慣れさせないことができる。
【0030】
なお、送風ファンを間欠的に運転させる場合、送風ファンの動作期間または動作停止期間の一方あるいは両方を一定で運転しても良いし、一定としなくても良い。送風ファンの動作期間または休止期間の一方あるいはその両方を一定とせず変化を与えることで、さらに害虫の忌避効果を高めることができる。
【0031】
(実施例3)
以下本発明の実施例3について説明する。本体の構成は参考例1と同様であるため詳細説明は省略する。前記参考例1と異なるのは、調理の未使用時のファンモーターに通電を行う際に、ファンモーターの回転数または、回転方向を経時的に変化させることができる構成としたことである。
【0032】
この参考例においてはファンモーターの回転数や回転方向に変化を与えることの効果を確認するために、実施例1と同様の試験装置で忌避試験をおこなった。回転数に変化を与えた場合、実施例1で確認した通常の動作を行うときに生じる約2000〜2500rpmの回転数の高い時と同様の送風ファンによる忌避効果を、約50〜100rpmの回転数の低い時でも得ることができた。さらにまた、回転方向が一定の通常状態では、時間経過と共に送風の定常流に害虫が慣れてしまい害虫にとっての忌避効果が薄れてしまう。しかし、ファンモーターの回転方向を変えることで、本体内部に生じる風の流れに変化を与え、あたかももう一つの送風ファンが別方向に存在しているのと同じ忌避効果を害虫に与えることができた。この結果、ファンモーターの回転数や回転方向に変化を与えることで参考例1における忌避効果以上の忌避効果が得られた。
【0033】
なお、回転数に変化を与える手段として、ファンモーターに印加する電圧、電流、あるいは抵抗値を可変するだけでなく、周波数にも変化を与えると有効的である。さらに通常状態以上の回転数をファンモーターに与えた場合も、害虫にとっては棲息しにくい環境となるので効果的である。また、ファンモーターへの通電開始から安定状態になるまでの過渡期の状態を多く発生させることで、送風作用や風切り音が安定することなく害虫にとっては常に環境が変化している状態であるため忌避効果がよい。さらに、参考例3の作用と組み合わせることでより一層の忌避効果を可能にすることができる。
【0034】
(参考例2)
図5は、本発明の参考例2における誘導加熱調理器の縦側面断面図を示す図である。図において、本体51、天板52、右加熱コイル53、ラジエントヒーター54、操作部55、制御スイッチ56、駆動回路基板57、58、送風ファン59、ファンモーター60と、送風ダクト61、本体外郭の間隙開口部である吸気口62は実施例1と同様である。実施例1と異なるのは駆動回路基板57,58の保持台63,64に熱誘因に効果のある誘因忌避剤を塗装により被着させた構成としたことである。保持台63,64の外壁に塗布した塗膜65は、ウレタン系樹脂に経皮効果性のあるピレスロイド系ゴキブリ忌避剤を配合したものである。
【0035】
以下に本参考例の効果について簡易的に実験を行ったものについて説明する。試験装置は、深さ約220×330×500の試験槽を用い、開口部付近の縦壁面全周にわたって幅10cmに炭酸カルシウムを塗布し、試験槽内の略中央部にはゴキブリが退避できる短冊状に折り曲げた紙製のシェルターと試験槽の短辺方向にシェルターと壁面との中間に位置するようにガーゼに水を含ませた水飲み場を2ヶ所対照に設置し、長辺方向の一方には前記シェルターと壁面との中間の位置に忌避剤を塗布した試験サンプルを、もう一方に忌避剤を塗布しない試験サンプルを設けた。忌避剤を塗布した試験サンプルは、駆動回路基板を載置する保持台の外周側面に忌避剤を塗布したものであり、本参考例では、ポリプロピレン樹脂のものを使用している。外周側面の塗布面積は約550cmで忌避剤付着後の塗布量は、0.5〜1.8mg/cmであり、斑模様に付着している。
【0036】
試験槽には、飼育ゴキブリ成虫を雌雄大小各50匹放す。本参考例では、代表的なチャバネゴキブリを用いた。基板保持台の中央には、誘因剤の餌である角砂糖を設けている。この角砂糖の減少量により忌避剤の効果である忌避率を求めて効果のほどを確認した。また、同時に試験装置の上部からゴキブリの動きをよく観察できる場所にビデオカメラを配置し、テープレコーダーに録画する。
【0037】
試験結果を(表2)に示す。
【0038】
【表2】
Figure 0003840930
【0039】
上記の結果より忌避剤塗布品のものの優位性が明らかであることがわかる。また、使用したチャバネゴキブリについては、他の忌避試験に使用したものを使っており、忌避剤に対して耐性を備えた可能性があるにも関わらず、上記のような結果が得られたことにより、効果は十分と考えられる。
【0040】
さらに、効果の優位性を確認するために、従来の基板に忌避剤を施したものとの比較試験を行った。試験装置は、直径74cmの円周上に高さ20cmの壁をたてて、忌避剤を塗布した保持台に従来の忌避剤を塗布していない駆動回路基板をセットしたもの、忌避剤を塗布していない保持台に従来の忌避剤を塗布した駆動回路基板をセットしたもの、保持台にも駆動回路基板にも忌避剤を塗布していないもの、の3つの同時比較を行った。その結果を(表3)に示す。
【0041】
【表3】
Figure 0003840930
【0042】
上記の結果より、本参考例の忌避剤処理品の方が、従来の基板に忌避剤を処理したものよりも優位性があることが明らかである。また、駆動回路基板を載置してある保持台に忌避剤を処理したものは、保持台に寄り付くゴキブリも少なく、保持台の外壁をよじ登って駆動回路基板上に侵入するゴキブリは見られず、ゴキブリの触覚および前脚の皮膚より忌避剤が浸透して、忌避効果を充分発揮させることができた。また、従来の基板に忌避剤を処理したものについては、保持台に寄り付き、壁面を上ってくるゴキブリを多数確認できた。さらにゴキブリの摂食行動誘引物質として知られる食用油などが、誘導加熱調理器の揚げ物などの油調理をする場合には、吸気口から気化した油が吸い込まれるため、駆動回路基板上や保持台の内壁に油を吹き付けて、基板上や内壁の忌避剤をコーティングして、忌避剤の効果を激減させてしまうが、本参考例の忌避剤処理部については、吸い込んだ油滴の付着しにくい場所になっているため、効果の持続性についても、従来の方法よりも優位性がある。
【0043】
その他、侵入口であるとともに餌場であり、かつ侵入数が最も多く、駆動回路基板への最短経路である送風ダクトの内壁や吸気口に同様なゴキブリ忌避剤を処理することで、保持台に寄り付くゴキブリの数そのものをさらに半分以下にすることができた。
【0044】
なお、本参考例においては、簡易的に実験を行ったものの効果について示したが、実際の本体に忌避剤を処理した保持台を組み込んだり、侵入数の最も多い送風ダクトにゴキブリ忌避剤を処理したものについても同様に試験を行い、従来の処理方法よりも効果の優位性を確認できた。さらに、保持台や送風ダクトに限らず、結束バンドなどの締結部材のように電線上に物理的に接触する部材や本体外郭の間隙開口部、本体外郭を構成する部材で滞留場所となる所に処理することでも同様の効果が得られる。
【0045】
さらに本体外郭の間隙開口部の全てにゴキブリ忌避剤の処理を行うことで、器体内部への侵入そのものを完全に防止することができる。また、部材へのゴキブリ忌避剤の処理は塗装で行ったが、塗装方法は、刷毛塗りでもディップ漬けでも吹き付け塗装でも印刷でも効果は変わらない。また、塗膜の形成状態については、本参考例については、斑模様であったが、外周側面に未塗布箇所がないように均一に塗装されていても(3.2〜10.9mg/cm)、膜厚が剥離しない程度に厚く塗装されていても、忌避の効果は本参考例以下になることはなく、同等以上の効果が得られる。
【0046】
また、忌避剤を処理する被対象部品は樹脂製品に限らず、本体を形成する金属部材でも構わない。樹脂製品については、塗布面を荒らして前処理する方が、忌避剤の密着強度も良くなり好ましい。また、基板保持台の外周側面に塗布を行ったが、基板保持台への塗装は外周側面に限定されるものではなく内周壁面あるいは駆動回路基板の裏面と対向する底面に塗布されていても構わない。また部品内に混練、表面にゴキブリ忌避処理を施し裏面に粘着剤を塗布したテープ、不織布もしくは発泡体に含浸またはコーティングのいずれかの状態で本体の内外に存在していれば、同様の効果を得ることができる。
【0047】
さらに、実施例1〜3、参考例1または2の構成と併用することで、より忌避効果を高めることができる。さらに本体の使用環境を考慮すると調理中に油などの粒子を吸い込んでしまうため、経皮効果性のピレスロイド系ゴキブリ忌避剤は油をはじく作用もしくは油を透過して部材表面に忌避剤がブリードアウトする作用を有しているものが最も有効である。さらに、本参考例では、チャバネゴキブリにおいて、効果を確認したが、その他の種類のゴキブリである、クロゴキブリ、ヤマトゴキブリ、ワモンゴキブリなどの種類に関係なく同様の効果が得られる。
【0048】
(参考例3)
図6は、本発明の参考例3における誘導加熱調理器の縦側面断面図を示す図である。図において、本体71、天板72、右加熱コイル73、ラジエントヒーター74、操作部75、制御スイッチ76、駆動回路基板77、78、保持台79、80、ファンモーター81と、送風ダクト82、吸気口83は実施例1と同様である。実施例1と異なるのは送風ファン84にガス化蒸散性のゴキブリ忌避剤を塗装により被着させた構成としたことである。送風ファンに84に塗布した塗膜85は、忌避剤としてジエチルトルアミド(一般名ディート)を用いた。
【0049】
この参考例においても参考例1と同様の試験装置で忌避試験を行い、その結果、送風ファンに処理することにより、蒸散性の忌避剤はファンモーターへの通電により送風ファンは回転し、送風作用と共に駆動回路基板はもちろんのこと器体内部の間隙開口部の隅々まで気化した忌避剤を分散させることができ、実施例1と同様の忌避効果を得ることができた。また、ガス化蒸散性のゴキブリ忌避剤にマイクロカプセル化したものを使用することで、効力持続期間が限られる忌避剤の効力延長を実現できる。
【0050】
なお、本発明の参考例は、送風ファンにガス化蒸散性のゴキブリ忌避剤を処理しているが、これに限るものではなく、本体後部の吸気口と駆動回路基板との間に位置する構成部材である、送風ダクトや吸気口周辺に処理することでも同様にファンの送風作用を利用して器体内部に忌避剤を分散することができる。また、図7のように、本体後部の吸気口90と駆動回路基板91,92との間に仕切り板93からなる別部材を設けて、それにガス化蒸散性のゴキブリ忌避剤の塗膜94を処理することでも同様の効果がある。
【0051】
また、送風ファンへのゴキブリ忌避剤の処理は塗装で行ったが、部品内に混練、表面にゴキブリ忌避処理を施し裏面に粘着剤を塗布したテープ、不織布もしくは発泡体に含浸またはコーティングのいずれかの状態で存在していれば、同様の効果を得ることができる。さらに、実施例1〜3、参考例1の構成と併用することで、より忌避効果を高めることができる。さらに、本体の使用環境を考慮すると調理中に油などの粒子を吸い込んでしまうため、ガス化蒸散性の忌避剤に油をはじく作用もしくは油を透過して部材表面にブリードアウトする作用を有しているものがより有効である。
【0052】
【発明の効果】
以上のように、請求項1または2に記載の発明によれば、器体外部に対し器体内部がよりゴキブリの棲息適温状態に近づくことによるゴキブリ誘引を防止するものであり、前記ゴキブリ誘引による導通不良、死骸の炭化による電流短絡などの多くの不具合につながる可能性を低減できる効果がある。
【0053】
特に、請求項1または2の発明によれば、薬剤を用いずに安全性が高く、効果持続期間が限定されることのない交換不要で有効な忌避効果を得ることができる。また、ゴキブリの環境に対する抵抗性が慢性化することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例1における誘導加熱調理器の斜視図
【図2】 同誘導加熱調理器の破断平面図
【図3】 同誘導加熱調理器の縦側面断面図
【図4】 本発明の実施例1における誘導加熱調理器の縦側面断面図
【図5】 本発明の参考例2における誘導加熱調理器の縦側面断面図
【図6】 本発明の参考例2における誘導加熱調理器の縦側面断面図
【図7】 本発明の参考例3における誘導加熱調理器の一応用例の縦側面断面図
【図8】 従来例の誘導加熱調理器の斜視図
【符号の説明】
21,51,71 本体
2,22,52,72 天板
3,26 ロースター加熱室
4,27,43,55,75 操作部
5,6,23,24,53,73 加熱コイル
7,25,54,74 ラジエントヒーター
8,9,29,30,41,42,57,58,77,78,91,92 駆動回路基板
10,34,45,60,81 ファンモーター
11,33,46,59,84 送風ファン
28,44,56,76 制御スイッチ
31,32,63,64,79,80 保持台
35,61,82 送風ダクト
36,62,83,90 吸気口
37 排気口
38 フランジ
65,85、94 塗膜
93 仕切り板

Claims (2)

  1. 加熱コイルと、前記加熱コイルへの通電を制御する駆動回路と、送風ファンと、前記加熱コイルへの通電を開始する制御スイッチとを備え、前記制御スイッチの操作に応じて、前記加熱コイルへの通電が開始されるよりも前に、ゴキブリを前記駆動回路基板上の充電部から追い払うべく前記送風ファンを間欠的に動作させる構成とした誘導加熱調理器。
  2. 送風ファンを間欠的に動作させることに替えて回転数を経時的に変化させて動作させる構成とした請求項1に記載の誘導加熱調理器。
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