JP2000189030A - 蚊の誘引捕獲装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 人間や動物に悪影響を及ぼす殺虫剤等を使用
することなく、しかも野外等の広い空域においても蚊か
ら身体を護ることができる蚊の誘引捕獲装置を提供す
る。 【解決手段】 本発明の蚊の誘引捕獲装置１は、平面状
発熱体２、捕獲手段となる粘着トラップ３、この発熱体
２と粘着トラップ３の開放側の近辺に、ドライアイス５
と水６を入れたドライアイス容器４を置くことによって
構成する。そして、粘着トラップ３上に黒色の布を貼り
付けるか、粘着トラップ３、３間に発熱体としての使い
捨て懐炉２を入れた黒色の布袋が設置されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、多数の蚊を誘引し
捕獲することができる蚊の誘引捕獲装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】人や動物を刺して吸血する蚊を駆除する
ための手段については、古くから様々なものが実用化さ
れてきた。例えば、蚊取線香や蚊取マットにより殺虫剤
を蒸散させたり、エアゾールにして殺虫剤を噴霧したり
して蚊を殺滅する手段がよく知られている。また、野外
などでは蚊を身体から忌避するために、腕や脚にディー
ト等の忌避剤を塗ることが行われている。

【０００３】このような手段は蚊に対して十分な殺滅又
は忌避効果が得られるが、殺虫剤等を使用することで空
気中に拡散した殺虫剤等を吸い込む可能性があり、人体
への安全性の面で必ずしも満足のいくものではなかっ
た。そこで、上記手段が検討されており、例えば、殺虫
剤等を使用せずに蚊から身体を守る手段が、例えば、蚊
の誘引手段と粘着手段とを備え、蚊を誘引して粘着捕獲
する蚊取器が知られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな蚊取器は、殺虫剤を用いなくとも蚊による被害から
身体を守れるという利点があるものの、誘引作用が十分
とはいえず、野外等の広い空域ではその効果が十分に発
揮されず改良の余地があった。本発明は、このような従
来の課題に鑑みてなされたものであり、殺虫剤等を使用
することなく、しかも野外等の広い空域においても蚊か
ら身体を護ることができる蚊の誘引捕獲装置を提供する
ことを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係わる上記課題
は、誘引手段の１種として黒色の外観を呈するものを他
の誘引手段と併用することにより蚊を効率良く誘引し捕
獲することができること、更に捕獲手段として特定の粘
度を有する粘着トラップを併用することにより極めて効
率良く蚊を誘引し捕獲することができることを知見し、
この知見に基づいて上記目的を達成できることを見い出
し本発明を完成するに至った。

【０００６】すなわち、本発明は、次の構成からなる。 （１）２種以上の誘引手段と捕獲手段とを有し、誘引手
段の１種が黒色の外観を呈するものであることを特徴と
する蚊の誘引捕獲装置。 （２）前記捕獲手段が、１００〜１０００センチポアズ
／１６０℃の粘度を有する粘着トラップであることを特
徴とする前記(1) 記載の蚊の誘引捕獲装置。 （３）前記誘引手段の１種が、黒色の布であることを特
徴とする前記(1) 又は(2) 記載の蚊の誘引捕獲装置。 （４）前記誘引手段の１種が、炭酸ガスを発生させるド
ライアイスが収納された水入り容器であることを特徴と
する前記(1) 乃至(3) の少なくとも１項に記載の蚊の誘
引捕獲装置。 （５）前記誘引手段の１種が、使い捨て懐炉であること
を特徴とする前記(1) 乃至(4) の少なくとも１項に記載
の蚊の誘引捕獲装置。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明の蚊の誘引捕獲装置は、野
外等の広い空域に設置して使用するのに適した装置であ
り、誘引手段としては、蚊を該装置に誘き寄せる作用を
有するもの２種以上からなり、その１種が黒色の外観を
呈するものであることに特徴がある。前記誘引手段とし
て、外観的に黒色を付与する方法としては、例えば、他
の誘引手段や捕獲手段の１部を黒色としたり、これらと
は別に黒色部材を併設するなどすればよい。

【０００８】この具体的な形態を示すと、例えば、粘着
トラップを黒色として誘引手段に近接して設置したり、
誘引手段や捕獲手段とは別に、黒色の布や板をこれらに
近接して併設したりすることができる。この他にも、誘
引手段と捕獲手段を一体化させて、例えば、粘着トラッ
プ上に黒色の袋等に使い捨て懐炉を収納して設置した
り、黒色板の上に透明の粘着層を設けた粘着トラップと
炭酸ガスや発熱体とを組合せて用いるなどの形態が挙げ
られる。

【０００９】前記黒色とは、可視光のすべての波長域に
わたって、一様にその大部分を吸収する物体の性質のこ
とを言い、外観が黒色の誘引手段とは、入射する電磁波
（赤外線、可視光線、紫外線、Ｘ線等々）を完全に吸収
する物体である黒体としての作用を有するものであれば
その材質は如何なるものであってもよい。例えば、黒色
の例示としては、黒色４０１号等の法定色素；カーボン
ブラック、ベンガラ、黒酸化鉄、酸化クロム等の顔料；
アルカニン、血色素等の天然色素などがあり、具体的に
は黒色の染料で染色された布、黒色のペイントで塗布さ
れた木板、金属板、黒色顔料で着色したプラスチック板
などが挙げられる。

【００１０】その形状は、必ずしも布、織物、板、テー
プ、フィルムなどのシート状に限定されないが、嵩張ら
ない点でシート状物が好ましく、特に柔軟性に富む点で
布、織物などの繊維製品が好ましい。また、その表面は
必ずしも平坦である必要はなく、布、織物などでは表面
が起毛処理されたベロア、ビロード、フラノ、フランネ
ルなどであってもよい。また、木板、金属板、プラスチ
ック板などは、表面が黒色であれば光沢を有していて
も、または艶消し状態であってもよい。

【００１１】更に、上記のように黒色シート状物が必ず
しも表面に出ている必要はなく、例えば、黒色板の上に
透明な粘着層を設けたものも使用可能である。

【００１２】また、外観が黒色の誘引手段以外の誘引手
段としては、例えば、炭酸ガス、乳酸及びそのエステ
ル、酪酸、脂肪酸等の物質を供給するもの。ここで炭酸
ガスを発生させる具体例としては、炭酸ガスを入れたボ
ンベ、ドライアイスを水に入れた容器、有機酸と炭酸塩
とを反応させる炭酸ガス発生装置である。なお、一般的
には、炭酸ナトリウムや炭酸カルシウム（石灰石）等の
炭酸塩を熱分解させて炭酸ガスを発生させるか、または
キップガス発生器中で大理石に塩酸を加えて発生させる
方法が知られている。

【００１３】また、前記発熱体としては、ヒータ、赤外
線電球、発熱燈、懐炉等が挙げられる。ここで懐炉の具
体的な一例としては、例えば、市販の酸化発熱タイプの
使い捨て懐炉等が挙げられる。この発熱体の発熱温度と
しては、３０〜５０℃程度、好ましくは、人間の体温に
近い４０℃前後が適している。

【００１４】上述した１種以上を黒色の誘引手段と一緒
に用いることで、蚊に対して驚くべき誘引効果を得るこ
とができるが、好ましくは２種以上を組合せて用いるこ
とがよい。さらに好ましくは、炭酸ガスと懐炉というよ
うに蚊に対して異なる刺激を与え得る誘引手段を組合せ
る方がよい。

【００１５】一方、本発明の蚊の誘引捕獲装置を構成す
る捕獲手段としては、誘引された蚊を捕獲できるもので
あればよく、例えば、不織布や織物等でできた袋、粘着
テープや粘着紙等の粘着トラップ等が挙げられる。好ま
しくは、取扱が容易で捕獲効率が高い粘着テープや粘着
紙等の粘着トラップがよい。

【００１６】前記粘着トラップにおいては、その特性と
して１００〜１０００センチポアズ（以下、「ｃｐｓ」
と略記する）／１６０℃の粘度、好ましくは２００〜７
００ｃｐｓ／１６０℃の粘度を有するものがよい。粘度
があまり高い（例えば、２０００ｃｐｓ／１６０℃）
と、粘着剤が硬くなって十分に蚊を捕獲することができ
ない。また、このような粘着トラップの粘着層の厚さと
しては、５０〜３０００μｍ、好ましくは２００〜１０
００μｍが捕獲効率と経済性の点で適している。

【００１７】以下、本発明の蚊の誘引捕獲装置の実施形
態の概要を図１及び図２を参照して説明する。図１は、
本発明の第１実施形態の蚊の誘引捕獲装置を示し、誘引
手段（発熱体）及び捕獲手段（トラップ）が平面状に形
成された概略構成を示す斜視図であり、図２は本発明の
第２実施形態の蚊の誘引捕獲装置を示し、誘引手段及び
捕獲手段が同心円筒状に形成された概略構成を示す斜視
図である。

【００１８】先ず、図１に示すように、第１実施形態の
蚊の誘引捕獲装置１は、平面状発熱体２、捕獲手段とな
る粘着トラップ３、ドライアイス容器４、ドライアイス
５、水６から構成されている。本実施形態の黒色の誘引
手段としては、粘着トラップ３としての粘着紙上に黒色
の布、又は使い捨て懐炉を入れた黒色の布袋を置く。即
ち、粘着トラップ３より表面積の小さい黒色の布袋に入
った平面状発熱体２が粘着トラップ３上に設置された
り、或いは平面状発熱体２と粘着トラップ３の間に黒色
板が設置される。また、平面状発熱体２と粘着トラップ
３との開放された側の近辺に、蚊を誘引する物質である
周知の炭酸ガスを発生するドライアイス５と水６を入れ
た発泡スチロール等の断熱材で作られたドライアイス容
器４が設置される。

【００１９】前記構成の誘引捕獲装置１により、ドライ
アイス５から炭酸ガスが発生し、また平面状発熱体２か
ら熱が発生され、炭酸ガスと共に雰囲気温度が加熱され
ることで、黒色の誘引手段に周辺に存在する多数の蚊が
誘引される。そして、この誘引された蚊は、その近傍に
存在する粘着紙３に粘着されることで、極めて効率的に
捕獲される。

【００２０】次に、図２に示すように、第２実施形態の
蚊の誘引捕獲装置１１は、円筒状発熱体１２、捕獲手段
となる円弧状内面粘着トラップ１３、円筒状ドライアイ
ス容器１４、ドライアイス１５と水１６、電源コード端
部に接続されたプラグ１７とから構成されている。ま
た、ドライアイス１５を浮かべ水１６を入れたドライア
イス容器１４の頂部円周上に円環状部材１８を取付けた
複数本の支柱部材１９が据え付けられている。この支柱
部材１９のドライアイス容器１４上部に円筒状発熱体１
２を支持するメッシュ状円板２０が設けられている。ま
た、複数本の支柱部材１９間に適宜間隔をあけて複数枚
の粘着紙である内面粘着トラップ１３が円環状部材１８
とメッシュ状円板２０との間に円弧状に張設されてい
る。

【００２１】また、前記誘引捕獲装置１１においては、
外観が黒色の誘引手段として黒色の布が、内面粘着トラ
ップ１３の内周面上又は円筒状発熱体１２の外周面上に
貼り付けられる。或いは、隣接する内面トラップ１３、
１３間に円形状の黒色板を適宜間隔をあけて配置するこ
とができる。このように構成された円筒状の蚊の誘引捕
獲装置１１においても、上記平面状に形成された誘引捕
獲装置１と同様に蚊を極めて効率的に捕獲することがで
きる。

【００２２】

【実施例】以下、本発明の蚊の誘引捕獲装置に関する実
施例を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定
されるものではない。 誘引捕獲試験 上述した平面状の誘引捕獲装置を使用して本発明の効果
を確認した。具体的には下記(1) 〜(5) の５通りを用意
して試験した。 (1) ドライアイス２００ｇを水０．３リットルの入った
ドライアイス容器を粘着トラップ（大きさが２８. ０×
１８．５ｃｍであり、その粘着層の粘度が約５００ｃｐ
ｓ／１６０℃の粘着紙）に近接して設置した誘引捕獲装
置。 (2) 粘着トラップに黒色の布（１０×２０ｃｍ）を貼り
付け、その他は上記(1) と同様設置した誘引捕獲装置。 (3) 粘着トラップ間に市販の使い捨て懐炉を入れた黒色
の布袋（１０×２０ｃｍ）を設置して、その他は上記
(1) と同様に設置した誘引捕獲装置。 (4) 粘着トラップと黒色の布を併設した誘引捕獲装置。 (5) 粘着トラップのみ設置した誘引捕獲装置。 上記(1) 〜(5) の誘引捕獲装置をヤブカの生息する緑地
帯にそれぞれ設置し、４５分間に誘引捕獲されたヤブカ
の捕獲数を計算した。

【００２３】その結果、各々誘引捕獲装置(1) 〜(5) に
対する捕獲数は以下の通りである。 誘引捕獲装置 捕獲数 (1) ３ (2) １６ (3) ６７ (4) ３ (5) ０

【００２４】即ち、誘引捕獲装置(2) （炭酸ガス＋黒布
＋粘着トラップ）の捕獲数は、誘引捕獲装置(1) （炭酸
ガス＋粘着トラップ）及び誘引捕獲装置(4) （黒布＋粘
着トラップ）に比べて約５．３倍であった。また、本発
明の蚊の誘引捕獲装置における好ましい形態である誘引
捕獲装置(3) （炭酸ガス＋発熱体＋黒布＋粘着トラッ
プ）は、誘引捕獲装置(1) 、(4) に比べて約２２．３倍
であった。従って、炭酸ガスと粘着トラップだけの誘引
捕獲装置(1) よりも黒布を更に付加した誘引捕獲装置
(2) の方が捕獲機能が優れており、この誘引捕獲装置
(2) よりも発熱体を更に付加した誘引捕獲装置(3) の方
が極めて捕獲機能が優れていることが解る。

【００２５】なお、この実施例では４５分間の比較的短
時間で実験を行ったため、簡便で持ち運びに便利なドラ
イアイスを水に入れて炭酸ガスを発生する方式を使用し
たが、長時間にわたり蚊の誘引捕獲を行うときは、炭酸
ガスボンベ等を使用する方がより効果的である。

【００２６】

【発明の効果】以上詳述したように本発明の蚊の誘引捕
獲装置においては、人間や動物に悪影響を及ぶ殺虫剤を
使用することなく、ヤブカ等の蚊を効率的に誘引捕獲す
ることができ、蚊の吸血等の被害から人間や動物を確実
に護ることができる。特に、誘引手段として炭酸ガスと
発熱体と黒色の外観を呈するものを併用し、捕獲手段と
しての粘着トラップと組合わせた蚊の誘引捕獲装置は、
従来の捕獲装置に較べて極めて優れた捕獲効果を得るこ
とができる。また、本発明の蚊の誘引捕獲装置は、野外
等の広い空域においても十分に効果を発揮することが理
解できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の蚊の誘引捕獲装置の第１実施形態を示
す概略斜視図である。

【図２】本発明の蚊の誘引捕獲装置の第２実施形態を示
す概略斜視図である。

【符号の説明】

１ 蚊の誘引捕獲装置（第１実施形態） ２ 平面状発熱体 ３ 粘着トラップ ４ ドライアイス容器 ５ ドライアイス ６ 水 １１ 蚊の誘引捕獲装置（第２実施形態） １２ 円筒状発熱体 １３ 円弧状内面粘着トラップ １４ 円筒状ドライアイス容器 １５ ドライアイス １６ 水 １７ 電源プラグ １８ 円環状部材 １９ 支柱部材 ２０ メッシュ状円板

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２種以上の誘引手段と捕獲手段とを有
   し、誘引手段の１種が黒色の外観を呈するものであるこ
   とを特徴とする蚊の誘引捕獲装置。
2. 【請求項２】 前記捕獲手段が、１００〜１０００セン
   チポアズ／１６０℃の粘度を有する粘着トラップである
   ことを特徴とする請求項１記載の蚊の誘引装置。
3. 【請求項３】 前記誘引手段の１種が、黒色の布である
   ことを特徴とする請求項１または２記載の蚊の誘引捕獲
   装置。
4. 【請求項４】 前記誘引手段の１種が、炭酸ガスを発生
   するドライアイスが収納された水入り容器であることを
   特徴とする請求項１乃至３の少なくとも１項に記載の蚊
   の誘引捕獲装置。
5. 【請求項５】 前記誘引手段の１種が、使い捨て懐炉で
   あることを特徴とする請求項１乃至４の少なくとも１項
   に記載の蚊の誘引捕獲装置。