JP3840833B2 - キャブオーバ型車両 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型商用車やワンボックス車等のキャブオーバ型車両、とくに、キャブフロアにおける上下段差部の車両後方にラジエータが配置された車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のキャブオーバ型車両においては、図5及び図6に例示されているように、キャブフロア1に上下方向への大きな段差部2が形成されて、段差部2の外側に取り付けられた層状のインシュレータ3と、車両に搭載されたエンジン4用のラジエータ5との間に比較的大きな間隙6が形成されていると共に、キャブフロア1にはラジエータ5に向かって車幅方向に広がるコーナ部7が設けられ、コーナ部7の外側に取り付けられた層状のインシュレータ3と、ラジエータ5の両側部との間にそれぞれ間隙8が形成されており、従って、図5及び図6の矢印が示すように、間隙6、8においては車両前方よりの走行風から剥離流9が発生するので、ラジエータ5の通過風量が減少して、ラジエータ5の冷却性能を悪化させるという問題があった。
【0003】
また、実用新案登録第2586280号公報には、キャブオーバ型車両のフレーム側に搭載されたラジエータとキャブフロアの下面との隙間から走行風が後方へ抜けてしまうことを防止するため、車幅方向に延びて上記隙間を遮断するラジエータカバーを取り付けたものが記載されているが、この場合には、ラジエータカバーを新たに必要とするので、部品コストや取付け工数の増加を招く不具合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、キャブオーバ型車両において、格別のコスト増加を要することなく、ラジエータの冷却性能を高く維持させようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明にかかるキャブオーバ型車両は、車両後方に向かって高くなる段差部が形成されたキャブフロアと、上記キャブフロアの下方で上記段差部の車両後方に配置されたラジエータと、上記段差部と上記ラジエータに向かって車幅方向に広がるコーナ部との外側にそれぞれ取り付けられて外表面が部分的に上記ラジエータへ近接する実質的な肉厚部をそなえ上記外表面により走行風を上記ラジエータへ導くインシュレータとを有している。
【0006】
すなわち、キャブオーバ型車両のキャブフロアに車両後方へ向かって高くなる段差部が形成され、キャブフロアの下方で段差部の車両後方にラジエータが配置されていても、キャブフロア段差部とラジエータに向かって車幅方向に広がるコーナ部との外側にそれぞれ取り付けられたインシュレータは外表面が部分的にラジエータへ近接する実質的な肉厚部をそなえていて、肉厚部の外表面が走行風をラジエータへスムースに導くようにしているので、キャブフロア段差部及びコーナ部のインシュレータ外表面とラジエータとの間に剥離流が起こりにくくなって、走行風は効率よくラジエータへ流入し、ラジエータにおける通過風量を確実に増加させることによって、ラジエータの冷却性能を高く維持させることが可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態例について、同等部分にはそれぞれ同一符号を付けて説明する。
図1及び図2において、キャブオーバ型車両のキャブフロア10は、車両後方に向かって高くなる大きな段差部11と、キャブフロア10の下方で段差部11に沿い段差部11の車両後方に配置されたラジエータ12に向かって車幅方向に広がるコーナ部13とが形成され、キャブフロア10の下面、すなわち、車室外側には、グラスウールの熱成形品であって外表面にアルミ箔が張られたインシュレータ14が取り付けられており、エンジン15が発生させる熱及び騒音がキャブフロア10へ伝えられることをインシュレータ14が防止している。
【0008】
インシュレータ14は、段差部11及びコーナ部13の外側でそれぞれ肉厚部16を形成していて、それらの外表面がラジエータ12に近接することにより走行風をラジエータ12へスムースに導くように構成されている。
【0009】
従って、キャブフロア10の段差部11及びコーナ部13におけるインシュレータ肉厚部16の外表面とラジエータ12との間に従来のような剥離流は起こりにくくなって、走行風は効率よくラジエータ12へ流入し、ラジエータ12における通過風量を確実に増加させることにより、ラジエータ12の冷却性能を常に高く維持させることができる。
【0010】
しかも、走行風の上記ガイド作用は、従来と同様に、キャブフロア10の外側にインシュレータ14を取り付けることにより自動的に生じるため、ラジエータ12の冷却性能を向上させるために部品点数が格別増加することはなく、従ってまた、その取付け工数がとくに増加することもないので、所要コストの上昇を容易に抑制することができる実用的長所がある。
【0011】
なお、上記実施形態例では、キャブフロア段差部11の外側に取り付けられたインシュレータ14の外表面が肉厚部16そのものによりラジエータ12へ近接するように構成されているが、図3に例示されているように、キャブフロア段差部11の外側に取り付けられたインシュレータ20の内部に中空部分21を形成させ、もしくは、図4に例示されているように、キャブフロア段差部11とインシュレータ30との間に空間31を設けることにより、それぞれキャブフロア段差部11に対してインシュレータ20、30に実質的な肉厚部40を形成させ、肉厚部40の外表面がそれぞれが図示しないラジエータへ近接して、そのラジエータへ走行風をスムースに導くように構成しても、上記実施形態例と同等の作用効果を奏することができるのはいうまでもない。
【0012】
【発明の効果】
本発明にかかるキャブオーバ型車両にあっては、キャブフロア段差部とラジエータに向かって車幅方向に広がるコーナ部との外側にそれぞれ取り付けられたインシュレータの外表面が部分的にラジエータへ近接する実質的な肉厚部をそなえていて、肉厚部の外表面が走行風をラジエータへスムースに導くので、走行風は効率よくラジエータへ流入してラジエータにおける通過風量を確実に増加させることにより、ラジエータの冷却性能を高く維持させることができるが、この場合、走行風をラジエータへ導くための部品点数や取付け工数がとくに増加することもないので、所要コストの上昇を容易に抑制することができる実用的長所がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例における要部縦断面図。
【図2】図1のII−II横断面図。
【図3】本発明の他の実施形態例における一部縦断面図。
【図4】本発明の他の実施形態例における一部縦断面図。
【図5】従来装置の縦断面図。
【図6】図5のVI−VI横断面図。
【符号の説明】
10 キャブフロア
11 段差部
12 ラジエータ
13 コーナ部
14 インシュレータ
16 肉厚部
20 インシュレータ
21 中空部分
30 インシュレータ
31 空間
40 肉厚部

Claims (1)

  1. 車両後方に向かって高くなる段差部が形成されたキャブフロアと、上記キャブフロアの下方で上記段差部の車両後方に配置されたラジエータと、上記段差部と上記ラジエータに向かって車幅方向に広がるコーナ部との外側にそれぞれ取り付けられて外表面が部分的に上記ラジエータへ近接する実質的な肉厚部をそなえ上記外表面により走行風を上記ラジエータへ導くインシュレータとを有するキャブオーバ型車両。
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