JP3840452B2 - インクジェットプリンタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタのインクジェットヘッドのノズル面を払拭清掃するヘッドクリーニング装置を備えたインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
被印刷物を搬送するコンベアの近傍に配備されて被印刷物に印刷をするインクジェットプリンタとしては、本出願人が出願した下記の特許文献1に記載のプリンタが知られている。かかる文献記載のインクジェットプリンタは、インクジェットヘッドのノズル面に多数のノズルが設けられており、インクタンクとノズルをつなぐインク通路のノズル手前に液体インクを一時貯留する小さなチャンバを備えている。インク通路の途中にはインクポンプ手段が配備されている。このインクポンプ手段はインク噴出時にインクを押し引きするので、外部の空気がノズルからチャンバ内に入ることがある。また、液体インクに溶け込んでいた空気が周囲温度の上昇により気泡となってインク通路やチャンバ内に現れることもある。
【0003】
このようにインク通路やチャンバ内に気泡が増えると、噴出圧が気泡に吸収されてインクの噴出態様が正常でなくなり、ノズルからのインク噴出方向が変わったり、ノズル面に液垂れなどを生じることがある。そのため、印刷作業の始業前や終業後に、強制的にインクをノズルから噴出させてインク通路やチャンバ内の気泡を外部に放出させるパージ操作が実施される。かかるパージ操作の際には、インクジェットヘッドのノズル面をティッシュペーパなどで覆って多量のインクを吸い取るようにしていた。このときノズル面に付着したインクをそのままにしておくと、ノズル面でインクが凝固してノズルの詰まりを引き起こしたり、ゴミなどが付着しやすくなり、インクの噴出態様に悪影響を及ぼすおそれがある。そこで、インクジェットヘッドのノズル面をティッシュペーパで頻繁に拭いて清浄に保っていた。
【0004】
【特許文献1】
実開平5−65538号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ティッシュペーパを手にとってノズル面を拭くと、ノズル面の液体インクやティッシュペーパに付着した液体インクに手が触れて汚れることがあり、手に付いたインクは容易には落ちない。しかも、用済みのティッシュペーパは非常に嵩張り、周囲を汚す一因となる。
【0006】
他方で、固体インクを加熱、溶解して印字するホットメルトタイプのインクジェットプリンタのヘッドクリーニング装置が、下記の特許文献2に開示されている。このヘッドクリーニング装置は、インクジェットヘッドの清掃を行う用紙と、用紙をインクジェットヘッド清掃位置に移動させる移動手段と、用紙を清掃に先立ち予め加熱する加熱手段を有しており、凝固したインクを加熱後の用紙で溶解させながら清掃するようになっている。
【0007】
しかしながら、特許文献2記載のヘッドクリーニング装置において、インクジェットヘッドの温度が下がると、ノズル面のインクは凝固して固体インクに戻る。そのときに、インクジェットヘッドのノズル面を手やティッシュで触っても手はあまり汚れることがなく、液体インクを取り扱う場合とは事情が異なっている。
一方、インクジェットヘッドに付着している固体インクの清掃に際しては、用紙を加熱して固体インクを解かさなければならず、加熱手段およびその付帯部品を設けるための構成が複雑になり、製造コストがかさむという問題もある。
【0008】
【特許文献2】
特開平5−42677号公報
【0009】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、手や周囲環境を汚すことなく、液体インク使用のインクジェットヘッドのノズル面を払拭清掃することのできるインクジェットプリンタの提供を目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るインクジェットプリンタは、液体インクを噴出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドのノズル面を清掃するヘッドクリーニング装置とを備えたインクジェットプリンタであって、ヘッドクリーニング装置の本体ケーシング内に、インクジェットヘッドと、インクジェットヘッドのノズル面に接触配置される長尺のクリーニングシートと、クリーニングシートをインクジェットヘッドのノズル面に搬送するシート搬送機構と、ノズル面と接触後のクリーニングシートを巻き取る巻取りリールと、巻取りリールを回転駆動させるリール駆動源とを備えて成り、クリーニングシートに、インクジェットヘッドのノズル面を清掃するためのクリーニング部と、インクジェットヘッドのノズル面の前方を開放する開口部と、インクジェットヘッドのノズルを摺動自在に蓋うキャッピング部とが設けられ、被印刷物への印刷時にはインクジェットヘッドのノズル面の前方にクリーニングシートの開口部が配置されるように構成され、キャッピング部、クリーニング部、および開口部が当該順でクリーニングシートにシート搬送方向上流側に向かって配置されているインクジェットプリンタにおいて、ノズルから液体インクを噴出させるパージ動作を行ない、前記パージ動作中およびパージ動作終了後所定期間にわたってクリーニングシートのクリーニング部をインクジェットヘッドのノズル面に接触搬送させて清掃する構成にしてある。
【0011】
また、本発明に係るインクジェットプリンタは、液体インクを噴出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドのノズル面を清掃するヘッドクリーニング装置とを備えたインクジェットプリンタであって、ヘッドクリーニング装置の本体ケーシング内に、インクジェットヘッドと、インクジェットヘッドのノズル面に接触配置される長尺のクリーニングシートと、クリーニングシートをインクジェットヘッドのノズル面に搬送するシート搬送機構と、ノズル面と接触後のクリーニングシートを巻き取る巻取りリールと、巻取りリールを回転駆動させるリール駆動源とを備えて成り、クリーニングシートに、インクジェットヘッドのノズル面を清掃するためのクリーニング部と、インクジェットヘッドのノズル面の前方を開放する開口部と、インクジェットヘッドのノズルを摺動自在に蓋うキャッピング部とが設けられ、被印刷物への印刷時にはインクジェットヘッドのノズル面の前方にクリーニングシートの開口部が配置されるように構成され、クリーニングシートにおけるキャッピング部のシート搬送方向下流側にクリーニング部が設けられ、クリーニングシートにおけるキャッピング部のシート搬送方向上流側に、当該上流側に向かって順に配置されるクリーニング部と開口部の対が複数対設けられているインクジェットプリンタにおいて、ノズルから液体インクを噴出させるパージ動作を行ない、前記パージ動作中およびパージ動作終了後所定期間にわたってクリーニングシートのクリーニング部をインクジェットヘッドのノズル面に接触搬送させて清掃するように構成されているものである。
【0012】
そして、請求項1または請求項2の構成におけるクリーニングシートに、インクパージ時にインクジェットヘッドのノズル面から噴出された液体インクを吸い取るパージインク吸い取り部が設けられているとともに、ノズルから液体インクを噴出させるパージ動作を行ない、前記パージ動作中およびパージ動作終了後所定期間にわたってクリーニングシートのクリーニング部をインクジェットヘッドのノズル面に接触搬送させて清掃するように構成されているものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここに、図1は本発明と関連するヘッドクリーニング装置を示す側面図、図2は前記ヘッドクリーニング装置の要部を示す一部断面を含む平面図、図3は前記ヘッドクリーニング装置の要部外観図である。
各図において、このヘッドクリーニング装置1は、当該装置とは別個独立構成(外部)であるインクジェットプリンタ30のインクジェットヘッド32のノズル面37(いずれも図中において2点鎖線で示してある)を清掃するために用いられる。インクジェットヘッド32は縦長でありプリンタケーシング31の背面に突出していて、そのノズル面37には液体インク噴出用の多数(例えば500個程度)のノズル33,33,33,・・・が縦並びに所定間隔で設けられている。かかるインクジェットプリンタ30は、被印刷物を搬送するコンベア17の近傍に、インクジェットヘッド32のノズル面37をコンベア17側に向けて配備されている。
【0015】
そして、ヘッドクリーニング装置1は、ケーシング前面にヘッド対面開口39が形成された本体ケーシング2を有している。ヘッド対面開口39は前記のインクジェットヘッド32と対面させるために設けられていて、インクジェットヘッド32及びプリンタケーシング31前部を通せる大きさに形成されている。本体ケーシング2の背面には取手15が取り付けられていて、ヘッドクリーニング装置1全体を手で運搬可能な可搬式としている。取手15にはスイッチ16が配備されている。
本体ケーシング2内におけるヘッド対面開口39の両側には、垂直軸心回りに回転するガイドローラ5とピンチローラ6が回動自在に配備されている。ピンチローラ6はモータ2の駆動軸と連結されて回転駆動される。ピンチローラ6の隣接位置にはガイドローラ7が回動自在に配備されていて、適宜の押圧力でピンチローラ6に押付けられている。かかるピンチローラ6とガイドローラ7の間にクリーニングシート8が挟持されて送られる。
【0016】
ガイドローラ5の後方には未使用のクリーニングシート8を巻いた原シートロール9が設置され、ピンチローラ6の後方にはクリーニングシート8を巻き取って巻取りシートロール10にする巻取りリール38が設置されている。巻取りリール38はモータ13(リール駆動源の例)と連結されて回転駆動される。上記のクリーニングシート8は全体が水性インクまたは油性インクを吸い取れる長尺の吸い取り紙で構成されており、インクジェットヘッド32のノズル面37を清掃するために用いられる。
【0017】
また、ヘッド対面開口39の後方位置には押付けパッド11が設置されている。押付けパッド11は例えば軟質ゴムやスポンジなどの弾性体で構成されていて、その前端位置はガイドローラ5の前側外周面とピンチローラ6の前側外周面を結ぶ線(図2ではガイドローラ5とピンチローラ6間に架け渡されたクリーニングシート8の位置)よりも前方にせり出している。これにより、押付けパッド11はガイドローラ5とピンチローラ6間のクリーニングシート8を常に前向きに弾性押圧している。
上記した原シートロール9、ガイドローラ5、ピンチローラ6、ガイドローラ7、及び、巻取りシートロール10の巻取りリール38は、本体ケーシング2内の上部に配備された上部シャーシ4と、下部に配備された下部シャーシ3の双方に回動自在に軸支されている。
【0018】
尚、モータ13を一定の回転速度にしてクリーニングシート8を走行させると、時間経過により巻取りシートロール10の巻き径が変わってクリーニングシート8の搬送速度が変化し払拭動作に影響を及ぼす。そこで、クリーニングシート8の搬送はピンチローラ6を駆動するモータ12に主導させ、モータ13は巻取り用の補助動力として用いる。
そして、ヘッドクリーニング装置1は、例えばマイコンなどで構成された制御装置14を本体ケーシング2内に備えている。制御装置14の信号入力側にはスイッチ16からの信号入力線が配線接続され、その信号出力側にモータ12,13への信号出力線が配線接続されている。
【0019】
引続き、ヘッドクリーニング装置1によるインクジェットヘッド32のクリーニング動作を説明する。
まず、ヘッドクリーニング装置1全体を手で持って、停止中のコンベア17上に載せ、ヘッド対面開口39をインクジェットプリンタ30のインクジェットヘッド32に対面させる。続いて、ヘッドクリーニング装置1をインクジェットプリンタ30に向けて(矢印K方向)手で押すと、インクジェットヘッド32がヘッド対面開口39内に入る。これにより、インクジェットヘッド32のノズル面37がクリーニングシート8と接触し、同時に押付けパッド11により弾性的に押し返される。
【0020】
この状態で、図4に示すように、スイッチ16を入電(図4中の期間E)すると、制御装置14がモータ12,13に駆動信号を送信してモータ12,13を起動させる。すると、モータ12が所定回転速度で回転駆動してクリーニングシート8を原シートロール9から繰り出しヘッド対面開口39に向けて移動(図4中の期間G)させ、インクジェットヘッド32のノズル面37と摺接させて払拭清掃する。尚、スイッチ16の入電と同時に、インクジェットプリンタ30側でも各ノズル33,33,33,・・・から強制的に液体インクを噴出させてパージ動作(図4中の期間F)を実行させる。かかるパージ動作により、ノズル33内に溜まった空気が排出されるとともにノズル33内のインクの詰まりが溶解されて排出されたり、ノズル33外のインクの固まりが溶解される。
【0021】
このように溶解したインクはクリーニングシート8により拭き取られる。クリーニングシート8によるノズル面37の拭き取り動作(図4中の期間I)はスイッチ16の入電から立ち上がり遅れの期間Hを経たのちに実質的に実行される。そうして、ヘッド対面開口39の内方を通過した後のクリーニングシート8は、モータ13の回転駆動力により巻取りリール38に巻取りシートロール10として矢印Lのように巻き取られるのである。
【0022】
すなわち、ガイドローラ5、押付けパッド11、ピンチローラ6及びガイドローラ7、モータ12からクリーニングシートをヘッド対面開口に搬送してインクジェットヘッドのノズル面と接触させるシート搬送機構40が構成される。
【0023】
以上述べたように、ヘッドクリーニング装置1によれば、インクジェットプリンタ30のインクジェットヘッド32のノズル面37を、手で拭うことなく機械的に払拭して清浄にするので、払拭作業により手が汚れることがない。また、使用済みのクリーニングシート8は巻取りリール38に巻き取られるので、周囲を汚したりしない。更には、装置全体がコンパクトであり手で持ち運びできるから、工場の狭い場所でも搬入することが可能となり機動性が高い。また、ヒータなどのシート加熱源も必要としない。
【0024】
次に、別の関連するインクジェットプリンタを図5及び図6に示す。尚、図1〜図3に示したヘッドクリーニング装置1及びインクジェットプリンタ30の構成要素と同一または同様の機能を有する構成要素には、同一の符号をまたは同一の符号に添字を付して用いる。
図5及び図6に示したインクジェットプリンタ30aは、インクジェットヘッド32と、インクジェットヘッド32とは別個独立構成であってインクジェットヘッド32に対し上下に相対移動するヘッドクリーニング装置1aとから成っている。ヘッドクリーニング装置1aは、その本体ケーシング2aの底面に、液体インクを噴出するインクジェットヘッド32を内蔵したプリンタケーシング31を出し入れ自在に格納する格納部21が形成されている。
【0025】
格納部21の後壁には、ヘッド対面開口39aが形成されている。ヘッド対面開口39aをはさむ両側には、垂直軸心回りに回転するガイドローラ18とガイドローラ19が回動自在に配備されている。そして、ガイドローラ18の側方にはガイドローラ5が回動自在に配備され、ガイドローラ19の側方にピンチローラ6が回動自在に配備されている。ピンチローラ6はモータ12の駆動軸と連結されている。本体ケーシング2a内のガイドローラ5側の側部には原シートロール9aが設置され、ピンチローラ6側の側部にはクリーニングシート8を巻き取って巻取りシートロール10aにする巻取りリール38が設置されている。巻取りリール38はモータ13の駆動軸と連結されている。
【0026】
ガイドローラ18とガイドローラ19間の後方位置には押付けパッド11aが設置されている。この押付けパッド11aはその後方に配備されたプランジャ20の駆動端と連結され、プランジャ20の作動により前後方向(矢印V方向)に移動するようになっている。原シートロール9aからのクリーニングシート8は、ガイドローラ5,18の後周面、押付けパッド11aの前面、ガイドローラ19及びピンチローラ6の後周面を順次経て、巻取りリール38と連結されている。
上記した原シートロール9a、ガイドローラ5、ガイドローラ18、ガイドローラ19、ピンチローラ6、及び、巻取りシートロール10aの巻取りリール38は、本体ケーシング2a内の上部に配備された上部シャーシ(図示省略)と、下部に配備された下部シャーシ3aの双方に回動自在に軸支されている。
そして、本体ケーシング2aの側面には上下に沿って一対の雌ネジ筒22,22が固設され、雌ネジ筒22,22と螺合する雄ネジ付きロッド23,23がプリンタケーシング31の側面に回動自在に軸支されている。雄ネジ付きロッド23,23はモータ24の駆動軸と連結されている。
【0027】
上記のように構成されたインクジェットプリンタ30aにより、コンベア17上を搬送されるダンボールなどの被印刷物25に印刷するにあたっては、図5に示すように、モータ24の正転駆動により雄ネジ付きロッド23,23が雌ネジ筒22,22に対し螺進しヘッドクリーニング装置1aの本体ケーシング2aをプリンタケーシング31よりも上方(高さTぶん)に持ち上げて、搬送中の被印刷物25が本体ケーシング2aと接触干渉しないようにする。
そして、インクジェットヘッド32のノズル面37を払拭清掃するにあたっては、モータ24を逆転駆動させることにより、本体ケーシング2aを下降させてプリンタケーシング31及びインクジェットヘッド32を格納部21内に格納する。すると、インクジェットヘッド32のノズル面37がガイドローラ18,19間のクリーニングシート8と対面する。このとき、インクジェットヘッド32は、格納部21内の所定の格納位置(図5中で本体ケーシング2aが2点鎖線で示す位置にあるときのインクジェットヘッド32の位置(図6も参照))にある。
【0028】
そこで、プランジャ20を作動させると、押付けパッド11aが前進してインクジェットヘッド32のノズル面37にクリーニングシート8を押付ける。次に、モータ12,13を駆動させることにより、クリーニングシート8がヘッド対面開口39aに搬送され、インクジェットヘッド32のノズル面37に摺接して払拭清掃する。払拭清掃後のクリーニングシート8は巻取りリール38に巻取りシートロール10aとして矢印Mのように巻き取られる。
【0029】
この場合、ガイドローラ5、ガイドローラ18、押付けパッド11a、ガイドローラ19、ピンチローラ6、及び、モータ12からシート搬送機構40aが構成される。また、雌ネジ筒22,22、雄ネジ付きロッド23,23、及び、モータ24からインクジェットヘッドを、ヘッドクリーニング装置における格納部内の格納位置と本体ケーシング外の印刷位置との間で相対移動させる移動駆動機構41が構成される。
【0030】
以上述べたように、このインクジェットプリンタ30aはインクジェットヘッド32に対して移動するヘッドクリーニング装置1aを備えていて、コンベアなどの近傍に設置された状態で印刷動作と払拭動作を切り換えて実行するので、大
型の産業用インクジェットプリンタとして好適である。無論、手でインクジェットヘッド32を拭わなくて済み、手で持ち運びする必要もない。また、ヒータなどのシート加熱源も必要としない。
【0031】
次に、本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタを図7及び図8に示す。この場合も、図1〜図3に示したヘッドクリーニング装置1及びインクジェットプリンタ30の構成要素と同一または同様の機能を有する構成要素には、同一の符号を、または同一の符号に添字を付して用いる。
図7及び図8に示したインクジェットプリンタ30bでは、ヘッドクリーニング装置1bの本体ケーシング2b内に、インクジェットヘッド32を有するプリンタケーシング31が内蔵された一体構成となっている。本体ケーシング2bの背面における、インクジェットヘッド32のノズル面37と対面する位置には、ノズル面37のノズル33から噴出された液体インクを通過させるための噴き出し開口26が形成されている。
【0032】
インクジェットヘッド32の右側方にガイドローラ5が回動自在に配備され、左側方にピンチローラ6が回動自在に配備されている。本体ケーシング2b内のガイドローラ5側の側部には原シートロール9bが設置され、ピンチローラ6側の側部にはクリーニングシート8aを巻き取って巻取りシートロール10bにする巻取りリール38が設置されている。巻取りリール38はモータ13の駆動軸と連結されている。
上記した原シートロール9b、ガイドローラ5、ピンチローラ6、及び、巻取りシートロール10bの巻取りリール38は、本体ケーシング2b内の上部に配備された上部シャーシ(図示省略)と、下部に配備された下部シャーシ3bの双方に回動自在に軸支されている。
【0033】
このインクジェットプリンタ30bはインクジェットヘッド32のノズル面37にクリーニングシート8aを常時あてがった状態で使用される。このクリーニングシート8aは、図9に示すように、例えば比較的強度のあるポリエチレンシート製のシート基材27を主材料として構成されている。シート基材27には、インクジェットヘッド32のノズル面37を清掃するためのクリーニング部28がシート前面に接着され、インクジェットヘッド32のノズル面37の前方を開放する開口部29が形成されている。これらのクリーニング部28と開口部29は対として所定のピッチPで多数対が設けられている。
【0034】
上記のように構成されたインクジェットプリンタ30aにおいて、被印刷物25への印刷時には、モータ13を駆動してクリーニングシート8aを搬送(矢印N方向)し、インクジェットヘッド32のノズル面37の前方にクリーニングシート8aの開口部29を配置させた状態で停止させる。その状態で、インクジェットヘッド32のノズル33,33,33,・・・から液体インクが噴出される。インクはクリーニングシート8aの開口部29及び本体ケーシング2bの噴き出し開口26を通過して被印刷物に印刷される。
一方、インクジェットヘッド32の払拭清掃にあたっては、モータ13の駆動により、クリーニングシート8aのクリーニング部28をインクジェットヘッド32のノズル面37に摺接させてノズル面37を払拭する。払拭後のクリーニングシート8aは巻取りリール38に巻取りシートロール10bとして巻き取られる。この場合、ガイドローラ5、及びピンチローラ6から成るシート搬送機構40bが、本発明にいうところのシート搬送機構の一例となる。
【0035】
ところで、既述したインクジェットプリンタ30a(図5、図6)は、プリンタケーシング31に対しヘッドクリーニング装置1aを昇降移動させるため、複雑な構成を装置全体が大型になりヘッドクリーニング装置1aの上昇スペースも確保しなければならない。また、印刷作業の途中でインクジェットヘッド32を簡便に払拭清掃をすることは困難である。
それに対し、このインクジェットプリンタ30bは、インクジェットヘッド32がヘッドクリーニング装置1bの本体ケーシング2b内に一体に組み込まれているため、装置全体がコンパクトである。また、モータ13を駆動しクリーニングシート8aの位置を少し変えるだけで、印刷モードと払拭清掃モードとにいとも簡単に切り換えられるので、インクジェットヘッド32のノズル面37をよりいっそう清浄に保つことができる。無論、クリーニングシート8aを長く搬送することにより数ピッチぶんのクリーニング部28を用いて十分に払拭することも可能である。
【0036】
一方、上記のインクジェットプリンタ30bには、図10及び図11に示したクリーニングシート8bを用いることもできる。クリーニングシート8bは、既述したクリーニングシート8aの構成に加えて、インクジェットヘッド32のノズル33を蓋うキャッピング部35がシート基材27の前面に接着されている。キャッピング部35は例えばシリコンゴムシートまたはポリテトラフルオロエチレンシートで構成され、例えばピッチPで配置されたクリーニング部28を6つぶん含むピッチQごとに配置されている。
【0037】
かかるクリーニングシート8bを用いることにより、インクジェットプリンタ30bの非使用時、例えば業務終了時やちょっとした休憩時に、クリーニングシート8bを移動させてインクジェットヘッド32のノズル33をキャッピング部35で摺動自在に蓋うことができる。従って、ノズル33内外における液体インクの乾燥・凝固を抑制することが可能となり、インクジェットヘッド32のノズル面37の清浄化をいっそう図ることができる。あるいは、より乾燥しやすい液体インクを使用することも可能となる。
【0038】
また、図12に示したクリーニングシート8cでは、クリーニングシート8bの構成に加えて、広い面積のパージインク吸い取り部36が適当な間隔でシート基材27の前面に接着されている。パージインク吸い取り部36も例えば吸い取り紙などで構成されている。
かかるクリーニングシート8cを用いると、インクパージ時にインクジェットヘッド32のノズル面37にパージインク吸い取り部36を接触させることにより、放出された多量の液体インクを吸い取ることができる。従って、パージ動作が簡便となり高頻度でパージ動作を行うことができる。
【0039】
尚、上記では、開口部29を設けることによるシート強度の低下を考慮して、シート基材27とクリーニング部28を別構成にしたが、それに限定されるものでなく、一定以上のシート強度を確保できれば、シート基材27及びクリーニング部28を一枚の吸い取り紙などで一体に構成しても構わない。
【0040】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係るヘッドクリーニング装置によれば、クリーニングシートのクリーニング部を、液体インク使用のインクジェットヘッドのノズル面に接触させてノズル面を払拭し、払拭後のクリーニングシートを巻取りリールで巻き取るようにしてあるので、手を用いることなくインクジェットヘッドを清浄にすることができる。従って、払拭作業により手が汚れるといったことがなく周囲も汚さない。
【0041】
そして、本発明に係るクリーニングシートによれば、インクジェットヘッドがヘッドクリーニング装置の本体ケーシング内に一体に組み込まれているので、装置全体がコンパクトである。また、クリーニングシートを少し移動させるだけで印刷動作と払拭動作とに簡単に切り換えられるので、インクジェットヘッドのノズル面をよりいっそう清浄に保つことができる。
【0042】
更に、本発明に係るクリーニングシートによれば、また、クリーニングシートを移動させるだけでインクジェットヘッドのノズルがキャッピング部で蓋われる。従って、ノズル内外におけるインクの乾燥・凝固を簡便に抑えることができる。
【0043】
また、パージインク吸い取り部を備えるクリーニングシートを用いると、インクパージ時にインクジェットヘッドのノズル面にパージインク吸い取り部を接触させることにより、放出された多量の液体インクを吸い取ることができる。従って、パージ動作が簡便となり高頻度でパージ動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明と関連するヘッドクリーニング装置を示す側面図である。
【図2】 前記ヘッドクリーニング装置の要部を示す一部断面を含む平面図である。
【図3】 前記ヘッドクリーニング装置の要部外観図である。
【図4】 前記ヘッドクリーニング装置の動作を示すタイムチャートである。
【図5】 本発明と別に関連するインクジェットプリンタを示す側面図である。
【図6】 前記インクジェットプリンタの要部を示す一部断面を含む平面図である。
【図7】 本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタを示す側面図である。
【図8】 前記インクジェットプリンタの要部を示す一部断面を含む平面図である。
【図9】 前記インクジェットプリンタのヘッドクリーニング装置に用いられるクリーニングシートを示す正面図である。
【図10】 前記ヘッドクリーニング装置に用いられる別のクリーニングシートを示す正面図である。
【図11】 前記別のクリーニングシートの平断面図である。
【図12】 前記ヘッドクリーニング装置に用いられる更に別のクリーニングシートを示す正面図である。
【符号の説明】
b ヘッドクリーニング装置
b 本体ケーシング
ガイドローラ
6 ピンチローラ
b,8c クリーニングシート
3 モータ(リール駆動源)
14 制御装置
5 被印刷物
28 クリーニング部
29 開口部
0b インクジェットプリンタ
32 インクジェットヘッド
33 ノズル
35 キャッピング部
37 ノズル面
38 巻取りリール
0b シート搬送機構
G 期間
矢印

Claims (3)

  1. 液体インクを噴出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドのノズル面を清掃するヘッドクリーニング装置とを備えたインクジェットプリンタであって、ヘッドクリーニング装置の本体ケーシング内に、インクジェットヘッドと、インクジェットヘッドのノズル面に接触配置される長尺のクリーニングシートと、クリーニングシートをインクジェットヘッドのノズル面に搬送するシート搬送機構と、ノズル面と接触後のクリーニングシートを巻き取る巻取りリールと、巻取りリールを回転駆動させるリール駆動源とを備えて成り、クリーニングシートに、インクジェットヘッドのノズル面を清掃するためのクリーニング部と、インクジェットヘッドのノズル面の前方を開放する開口部と、インクジェットヘッドのノズルを摺動自在に蓋うキャッピング部とが設けられ、被印刷物への印刷時にはインクジェットヘッドのノズル面の前方にクリーニングシートの開口部が配置されるように構成され、キャッピング部、クリーニング部、および開口部が当該順でクリーニングシートにシート搬送方向上流側に向かって配置されているインクジェットプリンタにおいて、ノズルから液体インクを噴出させるパージ動作を行ない、前記パージ動作中およびパージ動作終了後所定期間にわたってクリーニングシートのクリーニング部をインクジェットヘッドのノズル面に接触搬送させて清掃するように構成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
  2. 液体インクを噴出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドのノズル面を清掃するヘッドクリーニング装置とを備えたインクジェットプリンタであって、ヘッドクリーニング装置の本体ケーシング内に、インクジェットヘッドと、インクジェットヘッドのノズル面に接触配置される長尺のクリーニングシートと、クリーニングシートをインクジェットヘッドのノズル面に搬送するシート搬送機構と、ノズル面と接触後のクリーニングシートを巻き取る巻取りリールと、巻取りリールを回転駆動させるリール駆動源とを備えて成り、クリーニングシートに、インクジェットヘッドのノズル面を清掃するためのクリーニング部と、インクジェットヘッドのノズル面の前方を開放する開口部と、インクジェットヘッドのノズルを摺動自在に蓋うキャッピング部とが設けられ、被印刷物への印刷時にはインクジェットヘッドのノズル面の前方にクリーニングシートの開口部が配置されるように構成され、クリーニングシートにおけるキャッピング部のシート搬送方向下流側にクリーニング部が設けられ、クリーニングシートにおけるキャッピング部のシート搬送方向上流側に、当該上流側に向かって順に配置されるクリーニング部と開口部の対が複数対設けられているインクジェットプリンタにおいて、ノズルから液体インクを噴出させるパージ動作を行ない、前記パージ動作中およびパージ動作終了後所定期間にわたってクリーニングシートのクリーニング部をインクジェットヘッドのノズル面に接触搬送させて清掃するように構成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
  3. クリーニングシートに、インクパージ時にインクジェットヘッドのノズル面から噴出された液体インクを吸い取るパージインク吸い取り部が設けられているとともに、ノズルから液体インクを噴出させるパージ動作を行ない、前記パージ動作中およびパージ動作終了後所定期間にわたってクリーニングシートのクリーニング部をインクジェットヘッドのノズル面に接触搬送させて清掃するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
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